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特開2024-92684柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092684
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
E04B2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208793
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 緑
(72)【発明者】
【氏名】山村 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】辻 正和
(72)【発明者】
【氏名】森川 勝浩
(72)【発明者】
【氏名】工藤 文康
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NC01
2E002PA04
2E002RA02
2E002RB01
2E002SA02
2E002WA19
2E002XA05
2E002XA18
(57)【要約】
【課題】柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースを確保することができ、柱に取り付けられる左右の外壁パネルフレームの建方手順の発生を解消して高い施工効率を享受することのできる、柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造を提供すること。
【解決手段】柱と外壁パネルフレームの固定方法であり、柱10の屋外側の側面11から本固定プレート21と仮固定プレート22が張り出し、仮固定プレート22の側方に一方の外壁パネルフレーム50を建て込み、第1A仮固定ボルト孔22aと第2仮固定ボルト孔60aに対して仮固定ボルト70を挿通して仮固定する仮固定工程と、本固定プレート21の側方に他方の外壁パネルフレーム50を建て込み、第1本固定ボルト孔21aと第2本固定ボルト孔51aと第3本固定ボルト孔51bに対して本固定ボルト80を挿通して本固定する本固定工程とを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を構成する柱に対して、左右にある第1外壁パネルフレームと第2外壁パネルフレームが固定されている、柱と外壁パネルフレームの固定方法であって、
前記柱の屋外側の側面から、本固定プレートと仮固定プレートが張り出しており、
前記本固定プレートには、本固定ボルトが挿通される第1本固定ボルト孔が開設され、
前記仮固定プレートには、仮固定ボルトが挿通される、第1A仮固定ボルト孔と第1B仮固定ボルト孔が開設され、
前記第1外壁パネルフレームには、前記第1A仮固定ボルト孔に対応する位置に、第2仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第2本固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームには、前記第1B仮固定ボルト孔に対応する位置に、第3仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第3本固定ボルト孔が開設されており、
前記仮固定プレートの側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームの一方を建て込み、前記第1A仮固定ボルト孔もしくは前記第1B仮固定ボルト孔と、これらの一方に対応する前記第2仮固定ボルト孔もしくは前記第3仮固定ボルト孔とに対して前記仮固定ボルトを挿通して仮固定する、仮固定工程と、
前記本固定プレートの側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームの他方を建て込み、前記第1本固定ボルト孔と前記第2本固定ボルト孔と前記第3本固定ボルト孔に対して前記本固定ボルトを挿通して本固定する、本固定工程とを有することを特徴とする、柱と外壁パネルフレームの固定方法。
【請求項2】
前記仮固定プレートは、前記柱の上方に取り付けられており、
前記本固定プレートは、前記柱の少なくとも上方と下方に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の柱と外壁パネルフレームの固定方法。
【請求項3】
前記第1外壁パネルフレームを構成する左右端にある縦胴縁に対して、前記仮固定プレートの側面に当接する第2被仮固定プレートが張り出すようにして取り付けられ、該第2被仮固定プレートに前記第2仮固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームを構成する左右端にある縦胴縁に対して、前記仮固定プレートの側面に当接する第3被仮固定プレートが張り出すようにして取り付けられ、該第2被仮固定プレートに前記第3仮固定ボルト孔が開設されており、
前記第2被仮固定プレートと前記第3被仮固定プレートは、前記縦胴縁の長手方向において相互にずれた位置に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の柱と外壁パネルフレームの固定方法。
【請求項4】
建物を構成する柱に対して、左右にある第1外壁パネルフレームと第2外壁パネルフレームが固定されている、柱と外壁パネルフレームの固定構造であって、
前記柱の屋外側の側面から、本固定プレートと仮固定プレートが張り出しており、
前記本固定プレートには、本固定ボルトが挿通される第1本固定ボルト孔が開設され、
前記仮固定プレートには、仮固定ボルトが挿通される、第1A仮固定ボルト孔と第1B仮固定ボルト孔が開設され、
前記第1外壁パネルフレームには、前記第1A仮固定ボルト孔に対応する位置に、第2仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第2本固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームには、前記第1B仮固定ボルト孔に対応する位置に、第3仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第3本固定ボルト孔が開設されており、
前記仮固定プレートの左右の側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームが配設され、前記第1A仮固定ボルト孔もしくは前記第1B仮固定ボルト孔と、これらの一方に対応する前記第2仮固定ボルト孔もしくは前記第3仮固定ボルト孔とに対して前記仮固定ボルトが挿通されており、
前記本固定プレートの左右の側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームが配設され、前記第1本固定ボルト孔と前記第2本固定ボルト孔と前記第3本固定ボルト孔に対して前記本固定ボルトが挿通されていることを特徴とする、柱と外壁パネルフレームの固定構造。
【請求項5】
建物を構成する柱に対して、左右にある第1外壁パネルフレームと第2外壁パネルフレームの一方が仮固定されている、柱と外壁パネルフレームの仮固定構造であって、
前記柱の屋外側の側面から本固定プレートと、仮固定プレートが張り出しており、
前記本固定プレートには、本固定ボルトが挿通される第1本固定ボルト孔が開設され、
前記仮固定プレートには、仮固定ボルトが挿通される、第1A仮固定ボルト孔と第1B仮固定ボルト孔が開設され、
前記第1外壁パネルフレームには、前記第1A仮固定ボルト孔に対応する位置に、第2仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第2本固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームには、前記第1B仮固定ボルト孔に対応する位置に、第3仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第3本固定ボルト孔が開設されており、
前記仮固定プレートの側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームの一方が配設され、前記第1A仮固定ボルト孔もしくは前記第1B仮固定ボルト孔と、これらの一方に対応する前記第2仮固定ボルト孔もしくは前記第3仮固定ボルト孔とに対して前記仮固定ボルトが挿通されて、該第1外壁パネルフレームと該第2外壁パネルフレームの一方が仮固定されていることを特徴とする、柱と外壁パネルフレームの仮固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物のうち、架構(骨組み)や屋根、外壁等の納まりが標準化されることにより、構成部材の生産プロセスがシステム化されている建物は、一般に「システム建築」と称されている。例えば、工場や物流倉庫、ドラッグストアやコンビニエンスストア等の物販店舗等がシステム建築の一例として挙げられる。上記するシステム建築では、外壁の下地(胴縁)が柱(外柱)の面内(柱における屋内外側に沿う側面の内部)に配置される形態があり、この構造によって、下地が柱の屋外側に配置される形態と比べて、外壁の厚みを薄くすることが可能になる。
【0003】
例えば、鉄骨柱に対して上記する外壁の下地である鉄骨の胴縁を接合する方法では、既に建て込まれている鉄骨柱や鉄骨梁に対して、胴縁を1本ずつボルト接合する方法が一般に行われているが、この施工方法では、外周に沿って間隔を置いて立設されている複数の柱に対して多数の胴縁を接合する必要があることから、施工に手間と時間を要する。
【0004】
そこで、施工効率を高めるべく、複数の胴縁(例えば縦胴縁と横胴縁)同士を地組みして外壁パネルフレーム(胴縁パネル)を製作し、鉄骨柱に対して左右の外壁パネルフレームを接合する方法が考えられる。この施工方法では、鉄骨柱の左右の側面に左右の外壁パネルフレームを接合することにより、柱に対する効率的な外壁パネルフレームの取り付け施工を実現することができる。
【0005】
ところで、昨今の上記システム建築では、耐火性を有するシステム建築へのニーズが高まっていることから、柱の周囲に耐火被覆を施工することが要求されることになるが、上記するように外壁の下地が柱の面内に配置される形態では、外壁の厚みを薄くできる一方で、柱の周囲に耐火被覆を施工するための十分なスペースが確保し難くなるといった背反がある。
【0006】
そこで、柱の周囲に耐火被覆を施工するための十分なスペースを確保するべく、柱の屋外側に仮固定プレートを張り出しておき、左右のいずれか一方の外壁パネルフレームを予め先行して仮固定プレートに取り付けた後、後行の外壁パネルフレームを先行の外壁パネルフレームとともに鉄骨柱に本固定することにより、柱の周囲に耐火被覆を施工するための十分なスペースを確保しながら、柱に対して外壁パネルフレームを取り付けることが可能になる。
【0007】
しかしながら、この施工方法では、柱に対して左右の外壁パネルフレームを順次取り付けるに際して、双方の外壁パネルフレームの建方手順(建方の順序)が発生することになり、施工効率の大きな向上を見込み難くなるといった課題が生じ得る。
【0008】
以上のことから、柱に外壁パネルフレームを固定する施工において、柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースを確保することができ、さらには、柱に取り付けられる左右の外壁パネルフレームの建方手順の発生を解消して高い施工効率を享受することのできる、柱と外壁パネルフレームの固定方法や、この固定方法にて施工される固定構造が望まれる。
【0009】
ここで、特許文献1には、柱とサイディング外壁パネルとを有する、サイディング外壁パネル仕様の外壁構造が提案されている。この外壁構造において、柱の側面には側方へ突出するガセットプレートが固定され、サイディング外壁パネルは、矩形に枠組みされた面材取付用下地となるパネルフレームと、このパネルフレームの前面に上下または左右に並べて複数枚取付けられたサイディング材とを備えている。パネルフレームの両側縁の縦フレーム材は、隣り合う柱の互いに内側となる側面に沿って配置され、かつ裏面に有するボルト挿通孔に挿通されたボルトにより柱のガセットプレートに取付けられ、ボルトによるパネルフレームのガセットプレートへの締め込み方向が柱の前面に垂直な方向となっている。サイディング材は、縦フレーム材よりも側方に張出して柱の前面の柱幅中央まで覆い、複数枚のサイディング材に渡って裏面が防水シートで覆われ、サイディング材の裏面における側縁部には、柱の前面に押し付け状態に接して配置される弾性材からなる止水材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6054117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載のサイディング外壁パネル仕様の外壁構造によれば、サイディング外壁のパネル化による生産性や施工性の向上、工期短縮等の様々な利点が得られ、さらには、外壁の壁厚を薄くでき、シーリング工事を不要にして乾式シールによる安定した止水性を得ることができる。しかしながら、この外壁構造は、外壁の下地が柱の面内に配置されることから、柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースを確保することは難しい。
【0012】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、柱に外壁パネルフレームを固定する施工において、柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースを確保することができ、柱に取り付けられる左右の外壁パネルフレームの建方手順の発生を解消して高い施工効率を享受することのできる、柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成すべく、本発明による柱と外壁パネルフレームの固定方法の一態様は、
建物を構成する柱に対して、左右にある第1外壁パネルフレームと第2外壁パネルフレームが固定されている、柱と外壁パネルフレームの固定方法であって、
前記柱の屋外側の側面から、本固定プレートと仮固定プレートが張り出しており、
前記本固定プレートには、本固定ボルトが挿通される第1本固定ボルト孔が開設され、
前記仮固定プレートには、仮固定ボルトが挿通される、第1A仮固定ボルト孔と第1B仮固定ボルト孔が開設され、
前記第1外壁パネルフレームには、前記第1A仮固定ボルト孔に対応する位置に、第2仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第2本固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームには、前記第1B仮固定ボルト孔に対応する位置に、第3仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第3本固定ボルト孔が開設されており、
前記仮固定プレートの側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームの一方を建て込み、前記第1A仮固定ボルト孔もしくは前記第1B仮固定ボルト孔と、これらの一方に対応する前記第2仮固定ボルト孔もしくは前記第3仮固定ボルト孔とに対して前記仮固定ボルトを挿通して仮固定する、仮固定工程と、
前記本固定プレートの側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームの他方を建て込み、前記第1本固定ボルト孔と前記第2本固定ボルト孔と前記第3本固定ボルト孔に対して前記本固定ボルトを挿通して本固定する、本固定工程とを有することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、柱の屋外側の側面から本固定プレートと仮固定プレートが張り出し、仮固定プレートにおいて、柱の左右の2つの外壁パネルフレームのそれぞれの仮固定ボルト孔(第2、第3仮固定ボルト孔)が位置合わせされる仮固定ボルト孔(第1A,第1B仮固定ボルト孔)が開設されていることにより、左右どちらの外壁パネルフレームが先に仮固定される場合であっても、対応する第1A仮固定ボルト孔もしくは第1B仮固定ボルト孔と外壁パネルフレームの第2仮固定ボルト孔もしくは第3仮固定ボルト孔が位置合わせされ、仮固定ボルトが挿通されて一方の外壁パネルフレームを仮固定することができる。その後、他方の外壁パネルフレームを建て付け、相互に位置合わせされている、本固定プレートの本固定ボルト孔と2つの外壁パネルフレームのそれぞれの本固定ボルト孔に対して本固定ボルトを挿通して本固定することにより、外壁パネルフレームの取り付けに建方手順が発生することを解消でき、外壁パネルフレームを利用することと相俟って、高い施工効率の下で柱と外壁パネルフレームを固定することができる。
【0015】
また、柱の屋外側の側面から張り出している本固定プレートに対して、左右の2つの外壁パネルフレームが本固定されることから、柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースを確保することができるため、耐火性の高い(耐火建築物である)システム建築の施工に好適となる。
【0016】
また、仮に、柱(外柱)同士を当該柱の面内に取り付けられる鉛直ブレースにて繋ぐ場合に、外壁パネルフレームがこの面内に配置される形態では、柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースを確保し難いことの他に、柱における鉛直ブレースの取り付け位置を当該柱の面内の中心位置(幅中心位置)から屋内側へセットバックした位置にずらさざるを得なくなる。そのため、鉛直ブレースの偏心位置における取り付けに起因して、柱には偏心による負荷(偏心による曲げ等)がかかることになり得るが、外壁パネルフレームを柱の屋外側に配置することで、鉛直ブレースを柱の面内の偏心位置に取り付けることを解消でき、偏心による負荷の発生を防止できる。
【0017】
また、外壁の下方に腰壁がある場合に、外壁パネルフレームが柱の面内に配置される形態では、外壁を構成する外装材よりも屋外側に張り出した位置に腰壁が配置されることとなり、建物の外観意匠性を低下させる要因となり得るが、外壁パネルフレームが柱の屋外側へ張り出した位置に配置されることにより、外装材と腰壁のそれぞれの屋外に対向する表面を面一もしくは略面一に設定することが可能となり、建物の外観意匠性を向上させることができて好ましい。
【0018】
本態様の固定方法が適用される建物は、好適にはシステム建築建物であるが、システム建築建物以外の一般の戸建て住宅や集合住宅等が適用対象であってもよい。また、外壁パネルフレームは、例えば溝形鋼やH形鋼等の重量形鋼や、C形鋼等の軽量形鋼からなる縦胴縁と横胴縁が組み付けられたパネルフレームであり、工場等にて製作されたものが現場へ搬送され、予め建て込みが完了している柱に対して設置されるものである。
【0019】
また、本発明による柱と外壁パネルフレームの固定方法の他の態様において、
前記仮固定プレートは、前記柱の上方に取り付けられており、
前記本固定プレートは、前記柱の少なくとも上方と下方に取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、仮固定プレートが柱の上方に取り付けられていることにより、柱に対して先行して仮固定される外壁パネルフレームを当該柱に対して安定的に仮固定することができる。また、本固定プレートが柱の少なくとも上方と下方に取り付けられていることにより、柱に対して左右の外壁パネルフレームを安定的に本固定することができる。ここで、「柱の少なくとも上方と下方に取り付けられている」とは、柱の上方と下方の例えば2箇所に取り付けられている形態の他に、柱の上方と中段と下方の例えば3箇所や4箇所に取り付けられている形態を含んでいる。
【0021】
また、本発明による柱と外壁パネルフレームの固定方法の他の態様において、
前記第1外壁パネルフレームを構成する左右端にある縦胴縁に対して、前記仮固定プレートの側面に当接する第2被仮固定プレートが張り出すようにして取り付けられ、該第2被仮固定プレートに前記第2仮固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームを構成する左右端にある縦胴縁に対して、前記仮固定プレートの側面に当接する第3被仮固定プレートが張り出すようにして取り付けられ、該第2被仮固定プレートに前記第3仮固定ボルト孔が開設されており、
前記第2被仮固定プレートと前記第3被仮固定プレートは、前記縦胴縁の長手方向において相互にずれた位置に設けられていることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、2つの外壁パネルフレームのそれぞれに取り付けられて、柱の仮固定プレートに当接される第2被仮固定プレートと第3被仮固定プレートが、縦胴縁の長手方向において相互にずれた位置に設けられていることにより、柱に対して先行して取り付けられる外壁パネルフレームが第1、第2外壁パネルフレームのいずれであっても、柱の仮固定プレートに開設されている対応した第1A仮固定ボルト孔もしくは第1B仮固定ボルト孔に位置合わせされ、速やかに仮固定ボルトを挿通して仮固定することができる。
【0023】
ここで、第1、第2外壁パネルフレームのそれぞれの例えば左右端にある縦胴縁のうち、柱から張り出している本固定プレートにある第1本固定ボルト孔に対応する位置にそれぞれ、第2本固定ボルト孔と第3本固定ボルト孔が設けられている形態を例示できる。
【0024】
また、本発明による柱と外壁パネルフレームの固定構造の一態様は、
建物を構成する柱に対して、左右にある第1外壁パネルフレームと第2外壁パネルフレームが固定されている、柱と外壁パネルフレームの固定構造であって、
前記柱の屋外側の側面から、本固定プレートと仮固定プレートが張り出しており、
前記本固定プレートには、本固定ボルトが挿通される第1本固定ボルト孔が開設され、
前記仮固定プレートには、仮固定ボルトが挿通される、第1A仮固定ボルト孔と第1B仮固定ボルト孔が開設され、
前記第1外壁パネルフレームには、前記第1A仮固定ボルト孔に対応する位置に、第2仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第2本固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームには、前記第1B仮固定ボルト孔に対応する位置に、第3仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第3本固定ボルト孔が開設されており、
前記仮固定プレートの左右の側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームが配設され、前記第1A仮固定ボルト孔もしくは前記第1B仮固定ボルト孔と、これらの一方に対応する前記第2仮固定ボルト孔もしくは前記第3仮固定ボルト孔とに対して前記仮固定ボルトが挿通されており、
前記本固定プレートの左右の側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームが配設され、前記第1本固定ボルト孔と前記第2本固定ボルト孔と前記第3本固定ボルト孔に対して前記本固定ボルトが挿通されていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、外壁パネルフレームの取り付けに建方手順が発生することを解消でき、外壁パネルフレームを利用することと相俟って、高い施工効率の下で施工される柱と外壁パネルフレームの固定構造となる。また、柱の屋外側の側面から張り出している本固定プレートに対して、左右の2つの外壁パネルフレームが本固定されていることから、柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースが確保され、このスペースに耐火被覆が施工されて耐火性の高いシステム建築建物を形成できる。また、柱同士を繋ぐ鉛直ブレースを柱の面内の中心位置に取り付けることができ、鉛直ブレースが柱の面内の偏心位置に取り付けられる場合の偏心による負荷の発生を防止できる。また、外壁の下方に腰壁がある場合に、外装材と腰壁の屋外に対向するそれぞれの表面を面一もしくは略面一に設定することが可能となり、建物の外観意匠性を向上させることができる。
【0026】
さらに、例えば対象建物がパラペットを有する場合に、このパラペットを外壁パネルフレームのみで構成することが可能になり、パラペットの立ち上がり高さが所定の一定範囲内にある場合には、柱をパラペット天端まで延ばす必要がなく、柱の高さを軒までとすることで足りる。例えば、外壁パネルフレームが柱の面内に配置される場合は、柱をパラペット天端まで延ばす必要が生じ得る。
【0027】
また、本発明による柱と外壁パネルフレームの仮固定構造の一態様は、
建物を構成する柱に対して、左右にある第1外壁パネルフレームと第2外壁パネルフレームの一方が仮固定されている、柱と外壁パネルフレームの仮固定構造であって、
前記柱の屋外側の側面から本固定プレートと、仮固定プレートが張り出しており、
前記本固定プレートには、本固定ボルトが挿通される第1本固定ボルト孔が開設され、
前記仮固定プレートには、仮固定ボルトが挿通される、第1A仮固定ボルト孔と第1B仮固定ボルト孔が開設され、
前記第1外壁パネルフレームには、前記第1A仮固定ボルト孔に対応する位置に、第2仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第2本固定ボルト孔が開設されており、
前記第2外壁パネルフレームには、前記第1B仮固定ボルト孔に対応する位置に、第3仮固定ボルト孔が開設され、かつ、前記第1本固定ボルト孔に対応する位置に、第3本固定ボルト孔が開設されており、
前記仮固定プレートの側方に、前記第1外壁パネルフレームと前記第2外壁パネルフレームの一方が配設され、前記第1A仮固定ボルト孔もしくは前記第1B仮固定ボルト孔と、これらの一方に対応する前記第2仮固定ボルト孔もしくは前記第3仮固定ボルト孔とに対して前記仮固定ボルトが挿通されて、該第1外壁パネルフレームと該第2外壁パネルフレームの一方が仮固定されていることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、外壁パネルフレームの取り付けに建方手順が発生することを解消でき、外壁パネルフレームを利用することと相俟って、高い施工効率の下で施工される柱と外壁パネルフレームの仮固定構造となる。
【発明の効果】
【0029】
以上の説明から理解できるように、本発明による柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造によれば、柱に外壁パネルフレームを固定する施工において、柱の周囲に耐火被覆を施工するのに十分なスペースを確保することができ、柱に取り付けられる左右の外壁パネルフレームの建方手順の発生を解消して高い施工効率を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】システム建築建物の架構の一例の一部を示す図である。
図1B図1AのB部の拡大図である。
図2A】第1外壁パネルフレームの一例の斜視図である。
図2B図2AのB部の拡大図である。
図3A】第2外壁パネルフレームの一例の斜視図である。
図3B図3AのB部の拡大図である。
図4】実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定方法を説明する工程図であって、かつ実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの仮固定構造の一例を示す斜視図である。
図5図4のV部の拡大図である。
図6図4に続いて、実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定方法を説明する工程図であって、かつ実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定構造の一例を示す斜視図である。
図7図6のVII部の拡大図である。
図8】実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定構造における、柱の周囲の構造を説明する横断面図である。
図9】柱の面内に外壁パネルフレームが配置される固定構造における、外壁の下方の構造を説明する縦断面図である。
図10】実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定構造における、外壁の下方の構造を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0032】
[実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造]
図1乃至図10を参照して、実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定方法と固定構造、及び仮固定構造の一例について説明する。ここで、図1Aは、システム建築建物の架構の一例の一部を示す図であり、図1Bは、図1AのB部の拡大図である。また、図2Aは、第1外壁パネルフレームの一例の斜視図であり、図2Bは、図2AのB部の拡大図である。また、図3Aは、第2外壁パネルフレームの一例の斜視図であり、図3Bは、図3AのB部の拡大図である。また、図4図6は順に、実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定方法を説明する工程図であり、図4はさらに、実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの仮固定構造の一例を示す斜視図であり、図6はさらに、実施形態に係る柱と外壁パネルフレームの固定構造の一例を示す斜視図である。また、図5図7はそれぞれ、図4のV部の拡大図と図6のVII部の拡大図である。
【0033】
以下の説明では、実施形態に係る固定方法によりシステム建築建物が施工される例を示すが、実施形態に係る固定方法により施工される建物は、戸建て住宅や集合住宅等であってもよい。また、以下の説明において、部材同士の固定がボルト接合される以外の固定箇所には、溶接接合が適用される。
【0034】
図1Aは、システム建築建物を構成する架構40の一例の一部を示している。架構40は鉄骨架構であり、間隔を置いて立設する複数の柱10(鉄骨柱)と、柱10の上方同士を繋ぐ軒桁15及び柱つなぎ16と、中柱30と、柱10と軒桁15の接合部と中柱30に接続される大梁31と、大梁31同士を繋ぐ小梁32と、小梁32と柱10を繋ぐ小屋つなぎ梁33とを有する。ここで、柱10は、外壁を構成する外壁パネルフレーム50(図2A等参照)が取り付けられる、外柱である。
【0035】
柱10の側面にはブラケット17が取り付けられており、隣接する柱10の双方のブラケット17に鉛直ブレース18が架け渡されている。また、大梁31と小梁32により形成される水平構面や、小梁32と小屋つなぎ梁33等で形成される水平構面には、水平ブレース34が架け渡されている。
【0036】
例えば、柱10は角形鋼管により形成され、軒桁15や柱つなぎ16、小屋つなぎ梁33、小梁32は溝形鋼により形成され、大梁31はH形鋼により形成される。
【0037】
システム建築建物の施工においては、まず、図1Aに示すように、架構40を構築する。ここで、図1Bに示すように、柱10における屋外側の側面11には、本固定プレート21と仮固定プレート22が屋外側に張り出すようにして固定されている。図示例では、柱10の長手方向において、上方と下方と中段の2箇所の計4箇所に本固定プレート21が固定され、上方の本固定プレート21の下方位置に仮固定プレート22が固定されている。尚、本固定プレート21の数は、図示例の他にも、上下の2箇所であってもよいし、上下と中段の計3箇所等であってもよい。
【0038】
本固定プレート21には、本固定ボルト80(図7参照)が挿通される第1本固定ボルト孔21aが開設されており、図示例は2つの第1本固定ボルト孔21aが開設されている。
【0039】
一方、仮固定プレート22には、仮固定ボルト70(図5参照)が挿通される、第1A仮固定ボルト孔22aと第1B仮固定ボルト孔22bが開設されている。図示例では、第1A仮固定ボルト孔22aが相対的に下方位置に開設されている。
【0040】
さらに、柱10における屋内外側に沿う側面12の幅t1の中央位置(t1/2の位置)に、鉛直ブレース18の端部が接続されるブラケット17が固定されている。
【0041】
柱10に固定される外壁パネルフレーム50は、図2Aに示す第1外壁パネルフレーム50Aと、図3Aに示す第2外壁パネルフレーム50Bである。両者の構成は同一であるが、正面視において、柱10の左側に配置されるパネルフレームを第1外壁パネルフレーム50Aとし、柱10の右側に配置されるパネルフレームを第2外壁パネルフレーム50Bとして区別する。また、ここでは、柱10に対して第1外壁パネルフレーム50Aが先行して取り付けられるものとする。
【0042】
図2A図3Aに示すように、外壁パネルフレーム50は、一対の縦胴縁51と、それらの上下同士を繋ぐ一対の横胴縁52とにより、パネルフレームの矩形枠が構成され、矩形枠の内部に複数の横胴縁53と縦胴縁54が取り付けられることにより、外壁パネルフレーム50が構成される。ここで、縦胴縁51,54と横胴縁52,53はいずれも、軽量溝形鋼により形成されているが、その他の鋼材(角パイプ等を含む)が適用されてもよい。
【0043】
図2AのB部の拡大図である図2Bに示すように、第1外壁パネルフレーム50Aの縦胴縁51のうち、上端から長さt2下方の位置には、第2被仮固定プレート60Aが固定されている。この第2被仮固定プレート60Aには、第2仮固定ボルト孔60aが開設されている。
【0044】
また、縦胴縁51における第2仮固定ボルト孔60aの上方で、縦胴縁51の上端から長さt3下方の位置には、2つの第2本固定ボルト孔51aが開設されている。
【0045】
一方、図3AのB部の拡大図である図3Bに示すように、第2外壁パネルフレーム50Bの縦胴縁51のうち、上端から長さt4(t2>t4)下方の位置には、第3被仮固定プレート60Bが固定されている。この第3被仮固定プレート60Bには、第3仮固定ボルト孔60bが開設されている。このように、第2被仮固定プレート60Aと第3被仮固定プレート60Bは、縦胴縁51の長手方向において相互にずれた位置に設けられている。
【0046】
また、縦胴縁51における第3仮固定ボルト孔60bの上方で、縦胴縁51の上端から長さt3下方の位置には、2つの第3本固定ボルト孔51bが開設されている。
【0047】
図4に示すように、既に施工済みの架構40を構成する複数の柱10のうち、図中の中央に位置する柱10Aの左側に、第1外壁パネルフレーム50Aを仮固定する。
【0048】
より具体的には、図4のV部の拡大図である図5に示すように、柱10から屋外側に張り出している仮固定プレート22の側方(左側側方)に、第1外壁パネルフレーム50Aを建て込むことにより、仮固定プレート22と第2被仮固定プレート60Aを当接させる。この当接により、第1A仮固定ボルト孔22aとこれに対応する第2仮固定ボルト孔60aが位置合わせされ、これらに対して仮固定ボルト70を挿通することにより、柱10に対して第1外壁パネルフレーム50Aが仮固定される。
【0049】
この第1外壁パネルフレーム50Aの仮固定により、柱と外壁パネルフレームの仮固定構造100が形成される。
【0050】
ここで、仮に、右側の第2外壁パネルフレーム50Bを先行して建て付け、仮固定プレート22の第1B仮固定ボルト孔22bに対して、第2外壁パネルフレーム50Bに取り付けられている第3被仮固定プレート60Bの第3仮固定ボルト孔60bを位置合わせし、これらに対して仮固定ボルト70を挿通して第2外壁パネルフレーム50Bを仮固定する場合であっても、第1A仮固定ボルト孔22aとは異なる位置にある第1B仮固定ボルト孔22bに対して第3仮固定ボルト孔60bが位置合わせされることから、第2外壁パネルフレーム50Bの仮固定が可能になる。
【0051】
このように、柱10に取り付けられている仮固定プレート22に対して、第1A仮固定ボルト孔22aと第1B仮固定ボルト孔22bが開設されていること、及び、第1外壁パネルフレーム50Aの第2被仮固定プレート60Aにある第2仮固定ボルト孔60aと、第2外壁パネルフレーム50Bの第3被仮固定プレート60Bにある第3仮固定ボルト孔60bがそれぞれ第1A仮固定ボルト孔22aと第1B仮固定ボルト孔22bに対応していることにより、柱10に対して左右いずれの外壁パネルフレーム50を先行して仮固定してもよく、従って、外壁パネルフレーム50の建て込みに際して建方手順が発生することが解消される(以上、仮固定工程)。
【0052】
次に、図6に示すように、柱10Aの右側に第2外壁パネルフレーム50Bを配設し、柱10Aに取り付けられている複数(図示例は4つ)の各本固定プレート21に対して第1外壁パネルフレーム50Aとともに本固定することにより、柱と外壁パネルフレームの固定構造200が形成される。
【0053】
より具体的には、本固定プレート21の右側に第2外壁パネルフレーム50Bを建て込むことにより、各本固定プレート21の2つの第1本固定ボルト孔21aの左右には、第1外壁パネルフレーム50Aの縦胴縁51に開設されている2つの第2本固定ボルト孔51aと、第2外壁パネルフレーム50Bの縦胴縁51に開設されている2つの第3本固定ボルト孔51bがそれぞれ位置合わせされる。そして、対応する第1本固定ボルト孔21aと第2本固定ボルト孔51aと第3本固定ボルト孔51bに対して本固定ボルト80を挿通して本固定することにより、柱と外壁パネルフレームの固定構造200が形成される。
【0054】
この本固定においては、仮固定プレート22と第2被仮固定プレート60Aが仮固定ボルト70を介して仮固定された状態を維持したまま、本固定プレート21と第1外壁パネルフレーム50Aの縦胴縁51と第2外壁パネルフレーム50Bの縦胴縁51の本固定を行う。すなわち、本固定に際して仮固定ボルト70を取り外すといった手間のかかる作業を不要にする。
【0055】
また、このように、仮固定ボルト70が残置されている状態であっても、上記するように第2被仮固定プレート60Aと第3被仮固定プレート60Bが、それぞれの取り付けられている縦胴縁51の長手方向において相互にずれた位置に設けられていることから、第2被仮固定プレート60Aから張り出す仮固定ボルト70が第3被仮固定プレート60Bと干渉することが防止される。尚、このことは、第2外壁パネルフレーム50Bを先行して建て付けて柱10に仮固定する場合においても同様である(以上、本固定工程)。
【0056】
図示する固定方法によれば、柱10の屋外側の側面11から本固定プレート21と仮固定プレート22が張り出し、仮固定プレート22において、柱10の左右の2つの外壁パネルフレーム50のそれぞれの仮固定ボルト孔60a,60bが位置合わせされる仮固定ボルト孔22a,22bが開設されていることにより、左右どちらの外壁パネルフレーム50が先に仮固定される場合であっても、対応する第1A仮固定ボルト孔22aもしくは第1B仮固定ボルト孔22bと、外壁パネルフレーム50の第2仮固定ボルト孔60aもしくは第3仮固定ボルト孔60bが位置合わせされ、仮固定ボルト70が挿通されて一方の外壁パネルフレーム50を仮固定することができる。その後、他方の外壁パネルフレーム50を建て付け、相互に位置合わせされている、本固定プレート21の本固定ボルト孔と2つの外壁パネルフレーム50のそれぞれの本固定ボルト孔51a,51bに対して本固定ボルト80を挿通して本固定することにより、外壁パネルフレーム50の取り付けに建方手順が発生することを解消でき、外壁パネルフレーム50を利用することと相俟って、高い施工効率の下で柱10と左右の外壁パネルフレーム50を固定することができる。
【0057】
また、柱10の屋外側の側面11から張り出している本固定プレート21に対して、左右の2つの外壁パネルフレーム50が本固定されることから、図8に示すように、柱10の周囲に耐火被覆91を施工するのに十分なスペースを確保することができるため、耐火性の高い(耐火建築物である)システム建築の施工に好適となる。ここで、図8では、外壁パネルフレーム50の屋外側に窯業系サイディングボード等の外装材92が取り付けられ、外壁90が形成されている状態を示している。
【0058】
また、図示例の構成と異なり、柱の屋内外側に沿う側面12の面内に外壁パネルフレーム50が配置される形態では、柱10の周囲に耐火被覆91を施工するのに十分なスペースを確保し難いことの他に、柱10における鉛直ブレース18の取り付け位置を柱10の屋内外側に沿う側面12の面内の中心位置(図1Bのt1/2の位置)から屋内側へセットバックした位置にずらさざるを得なくなる。そのため、鉛直ブレース18の偏心位置における取り付けに起因して、柱10には偏心による負荷がかかることになり得るが、外壁パネルフレーム50を柱10の屋外側に配置することで、鉛直ブレース18を柱10の屋内外側に沿う側面12の面内の偏心位置に取り付けることを解消でき、偏心による負荷の発生を防止できる。
【0059】
また、図9に示すように、外壁90の下方に腰壁93がある場合に、外壁パネルフレーム50が柱10の屋内外側に沿う側面12の面内に配置される形態では、外壁90を構成する外装材92よりも屋外側へ長さt5張り出した位置に腰壁が配置されることとなり、建物の外観意匠性を低下させる要因となり得る。これに対して、固定構造200によれば、図10に示すように、外壁パネルフレーム50が柱10の屋外側へ張り出した位置に配置されることにより、外装材92と腰壁93のそれぞれの屋外に対向する表面を略面一に設定することが可能となり、建物の外観意匠性を向上させることができて好ましい。
【0060】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0061】
10,10A:柱
11:屋外側の側面
12:屋内外側に沿う側面
15:軒桁
16:柱つなぎ
17:ブラケット
18:鉛直ブレース
21:本固定プレート
21a:第1本固定ボルト孔(仮固定ボルト孔)
22:仮固定プレート
22a:第1A仮固定ボルト孔(仮固定ボルト孔)
22b:第1B仮固定ボルト孔(仮固定ボルト孔)
30:中柱
31:大梁
32:小梁
33:小屋つなぎ梁
34:水平ブレース
40:架構
50:外壁パネルフレーム
50A:第1外壁パネルフレーム(外壁パネルフレーム)
50B:第2外壁パネルフレーム(外壁パネルフレーム)
51,54:縦胴縁
51a:第2本固定ボルト孔(本固定ボルト孔)
51b:第3本固定ボルト孔(本固定ボルト孔)
52,53:横胴縁
60:被仮固定プレート
60A:第2被仮固定プレート
60a:第2仮固定ボルト孔(仮固定ボルト孔)
60B:第3被仮固定プレート
60b:第3仮固定ボルト孔(仮固定ボルト孔)
70:仮固定ボルト
80:本固定ボルト
90:外壁
91:耐火被覆
92:外装材
93:腰壁
100:仮固定構造(柱と外壁パネルフレームの仮固定構造)
200:固定構造(柱と外壁パネルフレームの固定方法)
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10