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特開2024-92686コンテンツ配信システム、コンテンツ配信方法、及びコンテンツ配信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092686
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】コンテンツ配信システム、コンテンツ配信方法、及びコンテンツ配信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/238 20110101AFI20240701BHJP
   H04N 21/6437 20110101ALI20240701BHJP
   H04H 20/20 20080101ALI20240701BHJP
【FI】
H04N21/238
H04N21/6437
H04H20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208795
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】522502325
【氏名又は名称】株式会社アールスポーツウェブ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】根岸 良多
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164GA03
5C164SA25S
5C164SB21P
5C164SD12S
5C164TB13P
(57)【要約】
【課題】 本発明は、コンテンツ配信システム、コンテンツ配信方法、及びコンテンツ配信プログラムに関する。
【解決手段】 コンテンツ配信システム1は受信部と中継処理部と配信処理部を備える。
受信部は、複数のコンテンツにおける配信用コンテンツと、配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信する。
中継処理部は、コンテンツの確認に利用される確認手段へ確認用コンテンツを送信すると共に、配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を確認手段から受信する。
配信処理部は、中継処理部が指示信号を受信した場合に、指示信号に基づいて配信用コンテンツを配信処理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信システムであって、
コンテンツ配信システムは、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、を備え、
前記受信部は、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツと、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信し、
前記中継処理部は、前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信すると共に、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信し、
前記配信処理部は、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する、
コンテンツ配信システム。
【請求項2】
コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信システムであって、
コンテンツ配信システムは、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、を備え、
前記受信部は、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツを受信し、
前記中継処理部は、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツを作成処理し、
前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信すると共に、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信し、
前記配信処理部は、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する、
コンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記配信処理部は、前記中継処理部からの前記指示信号がない場合に前記配信用コンテンツをそのまま配信処理し、前記中継処理部から前記指示信号を受信した場合には該指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する、
請求項1または請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記配信処理部は、前記中継処理部が新たな指示信号を受信するまで、前の指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する、
請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記配信処理部は、所定の待機期間を経た後に前記配信用コンテンツを配信処理する、
請求項1または請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項6】
前記配信処理部は、通信速度の変動に基づいて、前記中継処理部からの前記指示信号がない場合に前記配信用コンテンツをそのまま配信処理し、または、所定の待機期間を経た後に前記配信用コンテンツを配信処理する、
請求項1または請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項7】
前記受信部は、TCPまたはRUDPの通信方式による前記配信用コンテンツを受信すると共に、UDPの通信方式による前記確認用コンテンツを受信する、
請求項6に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項8】
前記コンテンツ内容は、ライブ配信された動画である、
請求項7に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信システムが実行するコンテンツ配信方法であって、
コンテンツ配信システムは、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、を備え、
前記受信部が、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツと、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信するステップと、
前記中継処理部が、前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信するステップと、
前記中継処理部が、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信するステップと、
前記配信処理部が、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理するステップと、を含む、
コンテンツ配信方法。
【請求項10】
コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信プログラムであって、
コンピュータを、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、として機能させ、
前記受信部は、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツと、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信し、
前記中継処理部は、前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信すると共に、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信し、
前記配信処理部は、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する、
コンテンツ配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ配信システム、コンテンツ配信方法、及びコンテンツ配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ストリーミングを利用して動画などのコンテンツを配信するコンテンツ配信システムが知られている。また昨今では、複数種類の信号を利用することで、安定的に映像や動画を配信する工夫がされている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数の放送信号を受信する受信部と、放送信号に対する処理の結果に基づいて、複数の放送信号の中から対象の放送信号を選択する制御部と、を備える受信装置が開示されている。この受信装置によれば、受信した放送信号の品質が変化した場合に、対象の放送信号を第1の放送信号から第2の放送信号に切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特再表2018-3540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、コンテンツ配信において複数のライブ配信動画の中から配信する動画を適宜切り替えながらオンライン配信するサービスも増えている。この動画配信の切り替え動作は、いわゆるスイッチャー機器(複数台のカメラから出力される映像や動画を切り替える際に使用する機器)で実現できる一方、オンラインによるストリーミング配信で動画の切り替えを行うと、切り替え動作に基づく配信の遅延が生じてしまう。
【0006】
特許文献1の技術を利用することで、受信信号の品質が悪くなったときに対象映像の放送信号を切り替えて安定した放送を維持できるものの、この技術では動画の切り替え動作に基づくストリーミング配信の遅延を抑制することは困難である。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、簡単且つ効果的に各種コンテンツの切り替え等によるストリーミング配信の遅延を抑制できるコンテンツ配信システムを提供することにある。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信システムであって、
コンテンツ配信システムは、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、を備え、
前記受信部は、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツと、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信し、
前記中継処理部は、前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信すると共に、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信し、
前記配信処理部は、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する。
【0009】
また、本発明は、コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信システムであって、
コンテンツ配信システムは、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、を備え、
前記受信部は、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツを受信し、
前記中継処理部は、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツを作成処理し、
前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信すると共に、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信し、
前記配信処理部は、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する。
【0010】
また、本発明は、コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信システムが実行するコンテンツ配信方法であって、
前記コンテンツ配信システムは、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、を備え、
前記受信部が、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツと、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信するステップと、
前記中継処理部が、前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信するステップと、
前記中継処理部が、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信するステップと、
前記配信処理部が、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理するステップと、を含む。
【0011】
また、本発明は、コンテンツをストリーミング配信するコンテンツ配信プログラムであって、
コンピュータを、受信部と、中継処理部と、配信処理部と、として機能させ、
前記受信部は、複数の前記コンテンツにおける配信用コンテンツと、前記配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有し、且つ、該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信し、
前記中継処理部は、前記コンテンツの確認に利用される確認手段へ前記確認用コンテンツを送信すると共に、前記配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または該配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号を前記確認手段から受信し、
前記配信処理部は、前記中継処理部が前記指示信号を受信した場合に、前記指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する。
【0012】
このような構成とすることで、簡単且つ効果的にコンテンツの切り替え等によるストリーミング配信の遅延を抑制できる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記配信処理部は、前記中継処理部からの前記指示信号がない場合に前記配信用コンテンツをそのまま配信処理し、前記中継処理部から前記指示信号を受信した場合には該指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する。
【0014】
このような構成とすることで、より簡単にコンテンツの切り替え等によるストリーミング配信の遅延を抑制できる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記配信処理部は、前記中継処理部が新たな指示信号を受信するまで、前の指示信号に基づいて前記配信用コンテンツを配信処理する。
【0016】
このような構成とすることで、様々な配信要望に対応したストリーミング配信を実現することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記配信処理部は、所定の待機期間を経た後に前記配信用コンテンツを配信処理する。
【0018】
このような構成とすることで、配信用コンテンツの送受信において通信速度が変動した場合にも対応することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記配信処理部は、通信速度の変動に基づいて、前記中継処理部からの前記指示信号がない場合に前記配信用コンテンツをそのまま配信処理し、または、所定の待機期間を経た後に前記配信用コンテンツを配信処理する。
【0020】
このような構成とすることで、様々な通信状態に適宜対応しながらストリーミング配信の遅延を抑制することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記受信部は、TCPまたはRUDPの通信方式による前記配信用コンテンツを受信すると共に、UDPの通信方式による前記確認用コンテンツを受信する。
【0022】
このような構成とすることで、必要に応じた通信方式を選択してストリーミング配信の遅延を抑制することができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記コンテンツ内容は、ライブ配信された動画である。
【0024】
このような構成とすることで、切替処理や合成処理の頻度が高いライブ動画のおけるストリーミング配信の遅延を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、所定の流れによる配信処理等を実行することで、コンテンツ配信システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成のブロック図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び端末のハードウェア構成の一例の概略図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの概略イメージ図を示す。
図4】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの処理手順のフローチャートを示す。
図5】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムの記憶部に格納されるデータ(各情報)の一例を示す。
図6】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける各コンテンツデータの流れの一例を示す。
図7】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける各コンテンツデータの流れの一例を示す。
図8】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける各コンテンツデータの流れの一例を示す。
図9】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システムにおける配信処理結果の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0028】
例えば、本実施形態ではコンテンツ配信システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0029】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0030】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0031】
<システム構成>
図1は、一実施形態のシステム構成を示すブロック図である。図1に示すように、コンテンツ配信システム1は、情報処理装置10及びデータベースDBを備える。コンテンツ配信システム1は、ネットワークNWを介して撮影装置2、スイッチャー装置3、及び複数のユーザ端末4(図1では符号4(a)~4(c))、と通信可能に構成されている。
【0032】
情報処理装置10は、サーバとして動作し、撮影装置2は、動画などのコンテンツを撮影して情報処理装置10へ送信する機器であり、スイッチャー装置3は、動画の切替処理や合成処理の指示信号を情報処理装置10へ送信する機器であり、ユーザ端末4はユーザが配信コンテンツを閲覧等する端末である。
【0033】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0034】
なお、情報処理装置10として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、後述の機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、コンテンツ配信システム1を構成することも可能である。
【0035】
ユーザ端末4として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。ユーザ端末4は、ウェブブラウザアプリケーションを記憶している。本実施形態では、後述するコンテンツ配信システム1の機能をユーザ端末4において実施するために、情報処理装置10においてコンテンツ配信プログラムを起動させ、このウェブブラウザアプリケーションを介して各情報の入力や表示等を行う。
【0036】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0037】
制御部11は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係るコンテンツ配信プログラム、OS、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0038】
記憶部12は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、本発明に係るコンテンツ配信プログラム及び、制御部11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部11が、記憶部12に記憶されているコンテンツ配信プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0039】
通信部13は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0040】
なお、図示を省略しているが本実施形態に係る撮影装置2は、動画などのコンテンツを撮影すると共に撮影された動画などを情報処理装置10へ送信できれば良く、一般的な動画撮影用のカメラやスマートフォン、タブレット端末などを利用することができる。
【0041】
また、スイッチャー装置3も同様に、いわゆるスイッチャーと呼ばれる担当者(スイッチャー担当者、スイッチングエンジニアとも呼ぶ)が動画などの配信コンテンツを確認して切替処理や合成処理などを行えれば良く、一般的なスイッチャー機器やPC、スマートフォン、タブレット端末などを利用することができる。
【0042】
図2(b)は端末90(図1のユーザ端末4)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末90は、ハードウェア構成として、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力部94と、出力部95と、を備える。
【0043】
端末90の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末90の動作処理全体を制御する。端末90の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述のウェブブラウザアプリケーション並びに、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0044】
端末90の通信部93は、ネットワークとの通信を制御する。端末90の入力部94は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を制御部91に入力する。端末90の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0045】
<機能構成>
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、受信部101、中継処理部102、配信処理部103、を備える。これらは、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(制御部11等)によって具体的に実現されたものである。
【0046】
受信部101は、撮影装置2で撮影された動画などのコンテンツや、その他予め用意された各種コンテンツ等を受信する。本実施形態における受信部101は、複数のコンテンツにおける配信用コンテンツと、配信用コンテンツに対応するコンテンツ内容を有すると共に該配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツと、を受信する。
【0047】
中継処理部102は、確認用コンテンツを送信すると共に切替処理や合成処理に関する信号を受信する。本実施形態における中継処理部102は、コンテンツの確認に利用されるスイッチャー装置3(確認手段とも呼ぶ)へ確認用コンテンツを送信すると共に、配信用コンテンツへ付加情報を合成するための合成処理、及び/または配信用コンテンツを他の配信用コンテンツに切り替える切替処理、に関する指示信号をスイッチャー装置3から受信する。
【0048】
配信処理部103は、配信対象となるコンテンツを配信処理する。配信処理部103は、中継処理部102が指示信号を受信した場合に、指示信号に基づいて配信用コンテンツを配信処理する。また、配信処理部103は、中継処理部102からの指示信号がない場合に配信用コンテンツをそのまま配信処理し、中継処理部102から指示信号を受信した場合には指示信号に基づいて配信用コンテンツを配信処理する。さらに配信処理部103は、所定の待機期間を経た後に配信用コンテンツを配信処理することもできる。配信処理部103は、中継処理部102が新たな指示信号を受信するまで、前の指示信号に基づいて配信用コンテンツを配信処理する。
【0049】
<データベースDB>
図1のデータベースDBは、コンテンツIDで管理される動画などのコンテンツに関するコンテンツ情報、配信IDで管理されるコンテンツの配信に関する配信情報、ユーザIDで管理されるユーザに関するユーザ情報、などを格納する。これらの一部又は全部は、記憶部12等に格納されてもよいし、これらの一部が別のデータベース等に格納されてもよい。
【0050】
以下、図3~9を参照して、コンテンツ配信システムの説明及び各機能構成要素による処理内容について説明する。
【0051】
<コンテンツ配信システムの概要>
本実施形態に係るコンテンツ配信システム1は、複数の撮影装置2で撮影された動画などのコンテンツに対し、配信するコンテンツを適宜切り替える切替処理をし、あるいは字幕などのテロップをコンテンツに合成する合成処理(重ねて表示する処理)などを行い、ユーザ端末4に当該コンテンツをストリーミング配信するものである。本実施形態では、動画コンテンツのストリーミング配信の一例について説明する。
【0052】
なお、本実施形態におけるストリーミング配信は、一般的に行われているストリーミングを利用したコンテンツ配信である。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10は、例えば動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割し、分割されたセグメントファイル毎にストリーミング配信を実行する。ストリーミング配信を利用することで、配信先において膨大な記憶スペースがなくても良好なコンテンツ配信を行うことができる。
【0053】
また、本明細書におけるコンテンツは、動画、静止画、音声、文字など、様々な形態の情報を含んだものである。ここでいう動画とは、動きのある映像、アニメーション、及びこれらに類似するデータ等を意味する。例えば配信用動画データ(配信用コンテンツ)及び確認用動画データ(確認用コンテンツ)などの動画データ、ライブ配信される動画や映像のことを単に動画(またはコンテンツ)と表現することもある。
【0054】
図3には本実施形態に係るコンテンツ配信システム1の概略イメージ図を示す。図3では、(1)~(5)の順番で各処理が実行される。同図に示すように、まず(1)において、ストリーミングサーバとしての情報処理装置10は、複数の撮影装置2(2(a)~2(c))で撮影された動画などのコンテンツにおける配信用コンテンツと確認用コンテンツを受信する。
【0055】
配信用コンテンツは、ユーザ端末4に配信されるコンテンツデータであり、例えばTCP(Transmission Control Protocol)などの通信方式で情報処理装置10へ送信される。確認用コンテンツは、スイッチャー装置3へ送信されるコンテンツデータであり、配信用コンテンツの送信に利用されるTCPより通信速度が速いUDP(User Datagram Protocol)などの通信方式で情報処理装置10へ送信される。配信用コンテンツと確認用コンテンツは同一の(または対応する)コンテンツ内容である。確認用コンテンツは、配信用コンテンツと同一のコンテンツ内容に加え、他のコンテンツ情報を含む構成にすることもできる。
【0056】
なお、配信用コンテンツの通信方式としては、コンテンツ配信における信頼性を確保できれば良く、例えばTCPの他にもRUDP(Reliable User Datagram Protocol)などの通信方式を利用することができる。例えば配信用コンテンツの通信方式として、SRT(Secure Reliable Transport)、WebRTC(Web Real-Time Communication)、RTMP(Real Time Messaging Protocol)、HLS(HTTP Live Streaming)、LL-HLS(Low-Latency HLS)などの通信方式を利用することもできる。ここで言う信頼性とは、配信先の端末へ確実に各種コンテンツを配信することや、高品質な動画を配信すること等を包含する意味である。また、配信用コンテンツにおける通信速度は、50ms~30s程度であることが好ましく、より好ましくは100ms~300ms程度であることが好適である。
【0057】
確認用コンテンツの通信方式としては、上記配信用コンテンツにおける通信方式よりも高速通信が可能であればよく、UDP(User Datagram Protocol)などを利用することもできる。例えば確認用コンテンツの通信方式として、RTP(Real-time Transport Protocol)などを利用することができる。確認用コンテンツにおける通信速度は、40ms~20s程度であることが好ましく、より好ましくは10ms~80ms程度であることが好ましい。
【0058】
上記のとおり確認用コンテンツの通信方式は配信用コンテンツにおける通信方式よりも高速通信が可能であれば良いため、例えばTCPやUDP、RUDP、SRT、WebRTC、RTMP、HLS、LL-HLS、RTP、のいずれかを選択して配信用コンテンツ及び確認用コンテンツのそれぞれに利用することもできる。
【0059】
次に図3の(2)において、情報処理装置10(中継処理部102)はスイッチャー装置3へUDPの通信方式を利用して確認用コンテンツを送信する。そして(3)において、スイッチャー担当者がスイッチャー装置3に表示されるコンテンツ(例えばライブ動画など)を視聴、確認し、切替処理や合成処理などに関する指示信号を決定する。(4)において情報処理装置10(中継処理部102)は、スイッチャー装置3から指示信号を受信する。例えば、スイッチャー担当者がスイッチャー装置3のスイッチ(またはボタン)を押すことで指示信号が送信される。
【0060】
図3の(5)において、情報処理装置10(配信処理部103)は、指示信号に基づいて配信用コンテンツを配信処理する。例えば、撮影装置2(a)で撮影された動画コンテンツがユーザ端末4に配信されている場合において、中継処理部102は指示信号として撮影装置2(c)で撮影された動画コンテンツに切り換えるための切換処理を受信したとする。この場合、配信処理部103は切替処理に基づいて撮影装置2(c)で撮影された動画コンテンツをユーザ端末4へ配信処理する。
【0061】
ここで、例えば一般的なコンテンツ配信システムにおいて、動画コンテンツは150msで送信され、指示信号は40msで送信されるとする。この場合、撮影装置2から送信された動画コンテンツがスイッチャー装置3を経由して情報処理装置10に到達するまでに340msの時間を要する。実際にはスイッチャー担当者が確認等する時間もあり得るが、理想的には図3の(1)~(4)までに340msの時間を要することになる。
【0062】
これに対し、本実施形態に係るコンテンツ配信システム1では、配信用コンテンツ(配信用動画データ)が150msで送信され、確認用コンテンツ(確認用動画データ)が40msで送信され、指示信号が40msで送信されるとする。この場合、撮影装置2から送信された確認用コンテンツがスイッチャー装置3を経由して情報処理装置10に到達するまで(図3の(1)~(4)まで)に120msの時間を要する一方、撮影装置2から送信された配信用コンテンツが情報処理装置10へ到達するまでの時間は150msである。
【0063】
つまり、本実施形態では高速通信可能なUDPによる確認用コンテンツを利用することで、配信用コンテンツが情報処理装置10に到達する前に、配信コンテンツの切り替えなどの指示信号を得ることができる。その結果、コンテンツ配信システム1は、コンテンツの切り換え動作などによる遅延を従来よりも大幅に抑制することができる。
【0064】
<各種情報の取得>
次に本実施形態に係るコンテンツ配信システム1におけるコンテンツ配信の流れについて説明する。図4は、一実施形態に係るコンテンツ配信システムの処理手順を示すフローチャートである。
【0065】
S201において、情報処理装置10の受信部101は、撮影装置2からTCPの通信方式を利用した配信用コンテンツと、TCPよりも通信速度の速いUDPの通信方式を利用した確認用コンテンツを受信する。
【0066】
この時、受信部101は配信用コンテンツ及び確認用コンテンツを情報処理装置10の記憶部12へ格納する。また、本実施形態では配信用コンテンツ及び確認用コンテンツを記憶部12へ格納しているが、配信用コンテンツ及び確認用コンテンツを情報処理装置10の記憶部12へ格納せずに後述する配信処理を実行することもできる。
【0067】
例えば、あらかじめ動画データや音声データなどをコンテンツ情報として記憶部12に格納しておき、このコンテンツ情報をオンデマンド配信(オンデマンドによるストリーミング配信)することもできる。図5(a)に示すようにコンテンツ情報は、コンテンツ内容を含んだコンテンツデータや登録日時の情報を含んでコンテンツIDで管理される。
【0068】
また、本実施形態ではS201において受信部101は配信用コンテンツと確認用コンテンツを受信しているが、例えば受信部101が複数のコンテンツにおける配信用コンテンツを受信し、中継処理部102が配信用コンテンツよりも高速通信可能な通信方式で伝送される確認用コンテンツを作成処理することもできる。
【0069】
<コンテンツの確認>
S202において、情報処理装置10の中継処理部102は、確認用コンテンツをスイッチャー装置3へ送信する。本実施形態における確認用コンテンツは、配信用コンテンツと同一のコンテンツ内容を有している。つまり、この確認用コンテンツを利用することで、配信用コンテンツが情報処理装置10に到達する前に、スイッチャー担当者がコンテンツ内容を確認することができる。
【0070】
S203では、スイッチャー担当者がスイッチャー装置3を用いて確認用コンテンツ(コンテンツ内容)を確認する。具体的にはスイッチャー装置3に表示された確認用コンテンツをスイッチャー担当者が視認する。この時、スイッチャー装置3には複数の確認用コンテンツが同時に表示され、それらをスイッチャー担当者が視認するようにしても良い。
【0071】
<コンテンツの配信処理>
S204において、情報処理装置10の中継処理部102は、スイッチャー装置3から指示信号を受信する。指示信号は、切換処理や合成処理などに関する情報を含んだ信号である。切替処理は、例えばライブ配信されているコンテンツを他のコンテンツに切り替える等の処理である。また合成処理は、字幕や静止画などのテロップをライブ配信されているコンテンツに合成する(重ねて表示する)ための処理である。
【0072】
そしてS205において、配信処理部103は、指示信号に基づいて配信用コンテンツをユーザ端末4へ配信処理する。上記のとおり指示信号は、複数のコンテンツの中から選択的に配信されているコンテンツを他のコンテンツに切り替えるための切換処理や、テロップなどの付加情報をコンテンツに合成するための合成処理などに関する情報を含んでいる。配信処理部103は、あらかじめ登録されたユーザに対して配信処理することもできる。
【0073】
図5(b)に示すように配信情報は、コンテンツID、コンテンツデータ、配信日時、その他配信処理に必要な情報などを含んで配信IDで管理される。撮影装置2で撮影された動画コンテンツは当然ながら経時的に変化するものなので、本実施形態ではS201~S205までの一連の処理が連続的に行われることとなる。
【0074】
このように、受信部101、中継処理部102、配信処理部103を利用して所定の流れによる一連の処理を実行することで、簡単且つ効果的に切替処理などによるストリーミング配信の遅延を抑制することができる。
【0075】
なお、本実施形態ではコンテンツが配信されるユーザ(ユーザ端末4)に対してユーザ登録等を求めていないが(配信処理を実行するためにユーザ登録は必ずしも必要なものではないが)、例えば事前にユーザ情報を登録する構成にすることもできる。図5(c)に示すようにユーザ情報は、ユーザの氏名、ユーザ名、メールアドレス、電話番号、登録日時、などのユーザに関する情報を含んでユーザIDで管理することができる。
【0076】
<各コンテンツデータの流れ>
ここで、各コンテンツデータ(ここでは、配信用コンテンツと確認用コンテンツ)の流れについて説明する。上述のとおり本実施形態では、撮影装置2から通信信頼性を有するTCPによる配信用コンテンツと、TCPよりも高速通信可能なUDPによる確認用コンテンツと、を情報処理装置10が受信している。
【0077】
図6には、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システム1における各コンテンツデータの流れの一例を示す。図6は、スイッチャー装置3からの指示信号がない場合の流れである。同図に示すように、はじめに情報処理装置10(受信部101)は、UDPによる確認用コンテンツを受信する。これと同時に(または一定の期間を経て)、情報処理装置10(中継処理部102)がこの確認用コンテンツをスイッチャー装置3へ送信する。
【0078】
スイッチャー装置3ではスイッチャー担当者による視聴、確認が行われる。スイッチャー担当者の確認後、特に切替処理等を行わない場合は、スイッチャー装置3から情報処理装置10へ指示信号は送信されない(信号なし)。図6によれば、このタイミングにおいてTCPによる配信用コンテンツは情報処理装置10に到達していない。
【0079】
その後、配信用コンテンツが情報処理装置10に到達し、図6では指示信号がない状態なので、配信用コンテンツは情報処理装置10に到達したと同時に(または一定の期間を経て)、そのままの状態で(何も加工をされていない状態で)ユーザ端末4への配信処理が行われる。
【0080】
このように、本実施形態では、UDPによる確認用コンテンツを利用し、指示信号がない場合には、配信用コンテンツ(ライブ動画)をそのまま配信処理している。撮影装置2で撮影された動画は経時的に変化するものなので、この一連の処理が連続的に行われることとなる。
【0081】
図7には、コンテンツ配信システム1においてスイッチャー装置3からの指示信号がある場合の各コンテンツデータの流れを示す。同図に示すように、情報処理装置10(受信部101)は、UDPによる確認用コンテンツを受信する。これと同時に(または一定の期間を経て)、情報処理装置10(中継処理部102)がこの確認用コンテンツをスイッチャー装置3へ送信する。
【0082】
スイッチャー装置3ではスイッチャー担当者による視聴、確認が行われる。スイッチャー担当者の確認後、スイッチャー装置3から情報処理装置10へ指示信号が送られる。すなわち、情報処理装置10(中継処理部102)は、スイッチャー装置3から指示信号を受信する。図7によれば、このタイミングにおいてTCPによる配信用コンテンツは情報処理装置10に到達していない。
【0083】
その後、TCPによる配信用コンテンツが情報処理装置10に到達し、この時点において指示信号を受信しているので、配信用コンテンツが情報処理装置10に到達したと同時に(または一定の期間を経て)、当該配信用コンテンツに対して切替処理及び/または合成処理を実行し、すなわち情報処理装置10(配信処理部103)が指示信号に基づいて配信用コンテンツをユーザ端末4へ配信処理する。
【0084】
このように図6及び図7によれば、配信処理部103は、中継処理部102からの指示信号がない場合に配信用コンテンツをそのまま配信処理し、中継処理部102から指示信号を受信した場合には指示信号に基づいて配信用コンテンツを配信処理する。このような構成とすることで、より簡単にコンテンツの切り替え等によるストリーミング配信の遅延を抑制することができる。
【0085】
また、配信処理部103は、すでに指示信号に基づいて配信処理された配信用コンテンツにおいて、中継処理部102が新たな指示信号を受信するまで、前の指示信号に基づいて配信用コンテンツを配信処理することもできる。上述のとおり、撮影装置2で撮影されたコンテンツ(ライブ動画)は経時的に変化するものなので、図6及び図7の一連の処理が連続的に行われることとなる。
【0086】
図8には、コンテンツ配信システム1における各コンテンツデータの別の流れを示す。図8では、TCPによる配信用コンテンツが想定していたよりも速く伝送される場合の一例(またはUDPによる確認用コンテンツが想定していたよりも遅く伝送される場合)、すなわち、本コンテンツ配信システム1において通信状態が不安定な場合について説明する。図8(a)は、スイッチャー装置3からの指示信号がない場合の流れである。
【0087】
図8(a)に示すように、情報処理装置10(受信部101)は、UDPによる確認用コンテンツを受信する。これと同時に(または一定の期間を経て)、情報処理装置10(中継処理部102)がこの確認用コンテンツをスイッチャー装置3へ送信する。
【0088】
その後、配信用コンテンツが情報処理装置10に到達する。図8では、この配信用コンテンツが情報処理装置10に到達するタイミングにおいて、未だスイッチャー装置3からの信号の有無を判断できない状態である。すなわち、情報処理装置10が指示信号を受信するタイミングよりも早く配信用コンテンツを受信している状態である。
【0089】
この場合、図8(a)に示すように、配信用コンテンツを受信した後、所定の待機期間を経た後に配信処理部103が配信処理を行う。具体的に図8(a)では、情報処理装置10(受信部101)が配信用コンテンツを受信した後、10ms~50ms程度の待機期間を設け、待機期間の経過前に指示信号がなければ当該指示信号がないこととする。図8(a)では、指示信号がない状態なので、待機期間を経た後に、配信処理部103は配信用コンテンツをそのまま(加工処理や切替処理等を行わずに)配信処理する。
【0090】
同様に、スイッチャー装置3から指示信号がある場合を示した図8(b)では、所定の待機期間中に指示信号を受信しているので、当該配信用コンテンツに対して切替処理及び/または合成処理を実行して配信用コンテンツをユーザ端末4へ配信処理する。
【0091】
このように図8によれば、配信用コンテンツの送受信において通信速度が不安定な場合にも適切に対応することができる。例えば、あらかじめ確認用コンテンツを受信してから配信用コンテンツを受信するまでのディレイ時間(例えば40ms~200ms等)を定めておき、その時間よりも早いタイミングで受信部101へ配信用コンテンツが到達した場合に待機期間(待機時間)を設けることができる。その他、待機期間等は設けずに、スイッチャー装置3によるスイッチ操作の有無をソケットなどで常時送り続けることで信号の有無を判断することもできる。
【0092】
<配信処理結果の一例>
次に、ユーザ端末4にストリーミング配信されるコンテンツの配信処理結果(ユーザ端末4における表示例)について説明する。図9に本実施形態に係るコンテンツ配信システム1における配信処理結果の一例を示す。図9(a)~(c)は、ユーザ端末4に配信処理される動画などのコンテンツを経時的に表現したイメージ図である。
【0093】
図9(a)において、ユーザ端末4の表示画面W10には動画Aが配信処理されている。この時のユーザ端末4における再生時間は12秒である。本実施形態に係るコンテンツ配信システム1は、この経時的に変化する動画Aに対し、上述した一連の処理を連続的に行っている。
【0094】
図9(b)において、表示画面W10には動画Aと共に、テロップなど(例えば字幕などの静止画情報)の付加情報W20が合成処理された動画Aが配信処理されている。この時のユーザ端末4における再生時間は51秒である。つまり、再生時間12秒~51秒までの間、本コンテンツ配信システム1は経時的に上述した一連の配信処理等を連続的に行っており、51秒のタイミング(または0.1秒~1秒程度の少し前のタイミング)で指示信号によるテロップの合成処理が行われ、合成処理された動画A(動画Aの配信用コンテンツ)がストリーミング配信されている。
【0095】
また図9(c)では、表示画面W10には動画Bが配信処理されている。この時のユーザ端末4における再生時間は2分14秒である。つまり、再生時間51秒~2分14秒までの間、経時的に一連の配信処理等を連続的に行い、2分14秒のタイミング(または0.1秒~1秒程度の少し前のタイミング)で指示信号による動画Aの切替処理が行われ、切換処理された動画Bがストリーミング配信されている。
【0096】
このように本発明によれば、通信信頼性を有するTCPの通信方式による配信用コンテンツと、TCPよりも通信速度の速いUDPの通信方式による確認用コンテンツと、を利用した一連の処理を実行することで、簡単且つ効果的に動画の切り替え動作等によるストリーミング配信の遅延を抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では主に動画の配信処理について説明したが、音声など他のコンテンツを配信する場合でも本発明の効果を得ることができる。さらに、本実施形態ではライブ配信による配信処理について説明したが、例えばオンデマンド配信や他の配信方法等の場合でも本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 コンテンツ配信システム
2 撮影装置
3 スイッチャー装置(確認手段)
4 ユーザ端末
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
90 端末(端末4)
91 制御部
92 記憶部
93 通信部
94 入力部
95 出力部
101 受信部
102 中継処理部
103 配信処理部
NW ネットワーク
W10 表示画面
W20 付加情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9