(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092698
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】表示装置、表示装置用パネル、及び表示装置用筐体
(51)【国際特許分類】
G09F 13/04 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
G09F13/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208812
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】武田 忠
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 響平
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA01
5C096BA01
5C096BB23
5C096CB07
5C096CC06
5C096CC07
5C096FA01
5C096FA08
(57)【要約】
【課題】表示装置用パネルとディスプレイ機器とを備える表示装置であって、ディスプレイ機器が画像を表示していないときは、表示装置用パネルの絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有し、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる表示装置を提供する。
【解決手段】印刷層を有する化粧シート、透明基材及び隠蔽層を外側から内側に向けてこの順序で備える表示装置用パネルと、表示装置用パネルの内側に配置されたディスプレイ機器と、を備え、ディスプレイ機器の表面から隠蔽層までの距離が5mm以下である、表示装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷層を有する化粧シート、透明基材及び隠蔽層を外側から内側に向けてこの順序で備える表示装置用パネルと、
前記表示装置用パネルの内側に配置されたディスプレイ機器と、
を備え、
前記ディスプレイ機器の表面から前記隠蔽層までの距離が5mm以下である、表示装置。
【請求項2】
前記印刷層から前記隠蔽層までの距離が5mm以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記隠蔽層がディスプレイ機器の表面に密着している、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置用パネルを支持し且つ開口部を有する支持体を更に備え、
前記開口部に前記ディスプレイ機器が配置されている、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
印刷層を有する化粧シートと、
第一の透明基材と、
隠蔽層と、
をこの順序で備える積層構造を有し、
前記印刷層から前記隠蔽層までの距離が5mm以下である、表示装置用パネル。
【請求項6】
前記化粧シートが第二の透明基材を更に有し、
前記印刷層が前記第二の透明基材上に形成されている、請求項5に記載の表示装置用パネル。
【請求項7】
前記第二の透明基材、前記印刷層、前記第一の透明基材、及び前記隠蔽層をこの順序で備える、請求項6に記載の表示装置用パネル。
【請求項8】
前記印刷層と、前記第一の透明基材との間に第三の透明基材を更に備える、請求項7に記載の表示装置用パネル。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の表示装置用パネルと、
前記表示装置用パネルを支持する支持体と、を備え、
前記隠蔽層が前記印刷層と前記支持体との間に配置されている、表示装置用筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は表示装置、表示装置用パネル、及び表示装置用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面等の装飾用シートとして、基材と、基材の表面に設けられた印刷層とを備え、印刷層が木目柄や抽象柄などの絵柄を有する積層シートが知られている。この積層シートが設けられた壁面においては、常時、上記絵柄が視認される。一方、積層シートの裏面側に光源が設置され、光源の点灯により、印刷層の絵柄とは異なる絵柄を表示可能な積層シートも知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、印刷層の下に光源を備えた印刷物であって、光源が消灯しているとき、RGB干渉顔料で構成された印刷層の反射光による図柄が視認され、他方、光源が点灯しているとき、CMYK印刷層の透過光による図柄が視認される印刷物を開示している(特許文献1の
図11参照)。また、特許文献2は、干渉顔料を使用した二つの図柄を有し、裏面側の画像が表示されていないとき、図柄が視認され、裏面側の画像が表示されているとき、当該画像が視認される加飾シートを開示している(特許文献2の
図1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5725581号公報
【特許文献2】特許第6839319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明者らの検討によると、従来の積層シート等をディスプレイ機器に適用した表示装置において、ディスプレイ機器が表示する画像の視認性は必ずしも十分ではなく、この点において改善の余地があった。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表示装置用パネルとディスプレイ機器とを備える表示装置であって、ディスプレイ機器が画像を表示していないときは、表示装置用パネルの絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有し、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる表示装置を提供する。また、本開示は、表示装置用パネル及び表示装置用筐体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、印刷層を有する化粧シート、透明基材及び隠蔽層を外側から内側に向けてこの順序で備える表示装置用パネルと、上記表示装置用パネルの内側に配置されたディスプレイ機器と、を備え、上記ディスプレイ機器の表面から上記隠蔽層までの距離が5mm以下である、表示装置に関する。
【0008】
上記表示装置は、隠蔽層を印刷層とディスプレイ機器との間に配置することにより、ディスプレイ機器が画像を表示していないときは、表示装置用パネルの絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有する。また、ディスプレイ機器の表面から隠蔽層までの距離を所定の値以下とすることにより、隠蔽層がディスプレイ機器近くに配置されるため、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる。画像の視認性が優れる理由について本発明者らは、ディスプレイ機器の表面から隠蔽層までの距離が所定の値以下であり、隠蔽層がディスプレイ機器近くに配置されることにより、ディスプレイ機器からの光が拡散することを抑制できるため、ディスプレイ機器が表示する画像が鮮明になり、ディスプレイ機器が表示する画像の視認性が優れると推察する。
【0009】
上記表示装置において、上記印刷層から上記隠蔽層までの距離が5mm以下であってもよい。上記印刷層から上記隠蔽層までの距離が5mm以下であることにより、ディスプレイ機器が表示する画像の視認性がより優れる。
【0010】
上記表示装置において、上記隠蔽層は、上記ディスプレイ機器の表面と密着していてもよい。上記隠蔽層が上記ディスプレイ機器の表面と密着していることにより、ディスプレイ機器が表示する画像の視認性がより優れる。
【0011】
上記表示装置は、上記表示装置用パネルを支持し且つ開口部を有する支持体を更に備え、上記開口部に上記ディスプレイ機器が配置されていてもよい。
【0012】
本開示の他の一側面は、印刷層を有する化粧シートと、第一の透明基材と、隠蔽層と、をこの順序で備える積層構造を有し、上記印刷層から上記隠蔽層までの距離が0.5mm以上である、表示装置用パネルに関する。このような表示装置用パネルは、表示装置用パネルの隠蔽層側をディスプレイ機器の表面付近に配置することができるため、このような表示装置用パネルをディスプレイ機器に適用するようことにより、ディスプレイ機器が画像を表示していないときは、表示装置用パネルの絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有し、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる表示装置を提供できる。
【0013】
上記表示装置用パネルにおいて、上記化粧シートが第二の透明基材を更に有し、上記印刷層が上記第二の透明基材上に形成されていてもよい。上記表示装置用パネルは、上記第二の透明基材、上記印刷層、上記第一の透明基材、及び上記隠蔽層をこの順序で備えていてもよい。
【0014】
上記表示装置用パネルは、上記印刷層と、上記第一の透明基材との間に第三の透明基材を更に備えていてもよい。
【0015】
本開示の他の一側面は、上記表示装置用パネルと、上記表示装置用パネルを支持する支持体と、を備え、上記隠蔽層が上記印刷層と上記支持体との間に配置されている、表示装置用筐体に関する。このような表示装置用筐体をディスプレイ機器に適用することにより、ディスプレイ機器が画像を表示していないときは、表示装置用パネルの絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有し、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる表示装置を提供できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、表示装置用パネルとディスプレイ機器とを備える表示装置であって、ディスプレイ機器が画像を表示していないときは、表示装置用パネルの絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有し、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる表示装置が提供される。また、本開示によれば、表示装置用パネル及び表示装置用筐体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は表示装置が壁面に設置された状態を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は
図1に示す表示装置用パネルの構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は
図1に示す表示装置の表面の状態の一例をそれぞれ示す正面図であり、
図3(a)は積層シートの裏面側に配置されている画面が黒色のときの状態を示し、
図3(b)は上記画面に画像が表示されている状態を示す。
【
図4】
図4は表示装置用パネルの構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)はそれぞれ実施例1の表示装置用パネルの正面視及び斜視の観察写真である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)はそれぞれ実施例2の表示装置用パネルの正面視及び斜視の観察写真である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)はそれぞれ比較例1の表示装置用パネルの正面視及び斜視の観察写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、図面は模式的なものであり、例えば、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものではない。
【0019】
図1は本実施形態に係る表示装置100が壁面Wに設置された状態を模式的に示す断面図である。表示装置100は、表示装置用パネル20Aと、ディスプレイ機器30とを備える。ディスプレイ機器30は、例えば、壁面Wに固定されている。ディスプレイ機器30は、その内部には光源35を備え、例えば、液晶モニター、有機ELモニター、LEDモニターである。また、表示装置100は、表示装置用パネル20Aを支持する支持体40を備える。すなわち、表示装置100は、表示装置用パネル20Aと、表示装置用パネル20Aを指示する支持体40とを備える表示装置用筐体50及びディスプレイ機器30を備えるともいえる。支持体40は、強度が確保できる材質(例えば、鉄製)であり、壁面Wに対して治具(不図示)により固定される。支持体40には開口部(窓部)42が設けられている。開口部42には、ディスプレイ機器30が配置されている。ディスプレイ機器30の表面30Sと、支持体40の表面40Sとは、略同一平面上であってもよい。
【0020】
図2は、
図1に示す表示装置用パネル20Aの構成を模式的に示す断面図である。
図2に示されるように、表示装置用パネル20Aは、ディスプレイ機器30が存在する側を内側として、印刷層1を有する化粧シート15と、第一の透明基材11と、隠蔽層5と、を外側から内側に向けてこの順序で備える。化粧シート15は、一例として、
図2に示されるように第二の透明基材12を備えていてもよい。各層の間には、層同士を接着する接着剤層(図示せず)が設けられていてもよい。
【0021】
表示装置用パネル20Aにおいて、印刷層1から隠蔽層5までの距離(印刷層1の隠蔽層5側の表面1Sから隠蔽層5の印刷層1側の表面5Saまでの距離)は、5mm以下であってもよい。印刷層1から隠蔽層5までの距離までの距離が5mm以下であることにより、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる。印刷層1から隠蔽層5までの距離は、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点から、4.5mm以下、4mm以下、又は3.5mm以下であってもよい。印刷層1から隠蔽層5までの距離は、2mm以上、2.5mm以上、又は3mm以上であってもよい。
【0022】
表示装置用パネル20Aは、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有する。他方、画面32に画像が表示されているとき、画像の視認性が優れる。なお、表示装置用パネル20Aが設置されている空間の明るさ(面F1側の明るさ)よりも、画像によって照らされる面F2側の明るさを強くすることにより、ディスプレイ機器30が表示する画像をより鮮明に表示することができる。
【0023】
図3(a)は表示装置100の表面の状態の一例を正面図であり、画面32に画像が表示されていない状態を示す。表示装置100の表面は、例えば、濃い茶色を基調にした木目柄であり、周囲の壁面と調和がとれており、ディスプレイ機器30が存在していないように見える。他方、
図3(b)は表示装置100の表面の状態の一例を正面図であり、画面32の画像が表示装置100の表面(面F1)に投影されている状態を示す。表示装置100の表面には、例えば、
図3に示されるように、日付、時刻、天気予報等の情報が表示される。
【0024】
以下、表示装置用パネル20Aの各層について説明する。
【0025】
(化粧シート)
化粧シート15は、例えば、印刷層1と第二の透明基材12とを有する。
【0026】
(印刷層)
印刷層1は、表示装置用パネル20Aに意匠性を付与する目的で設けられる層である。印刷層1の少なくとも一部の領域は、光透過性を有しており、ディスプレイ機器30が表示する画像を表示装置用パネル20Aの外側から視認できる。印刷層1は、例えば、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法により透明基材(例えば、第一の透明基材11、第二の透明基材12)の表面上に形成することができる。
【0027】
印刷層1の模様は、表示装置の設置場所の環境に応じて決定することができる。印刷層1の模様としては、例えば、木目柄、石目柄、抽象柄が挙げられる。
【0028】
印刷層1の厚さは、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制する観点から、30μm以上であってもよい。印刷層1の厚さは、画面32に画像が表示されているとき、画像の視認性がより優れる観点から、50μm以下であってもよい。
【0029】
(第二の透明基材12)
第二の透明基材12は、印刷層1を形成する基材として用いられる層である。第二の透明基材は、印刷層1を保護し、印刷層1の劣化を抑制する観点から、表示装置用パネル20Aの外側(面F1側)に配置されていてもよい。言い換えると、表示装置用パネル20Aは、
図2に示されるように、ディスプレイ機器30が存在する側を内側として、第二の透明基材12、印刷層1、第一の透明基材11、及び隠蔽層5を外側から内側に向けてこの順序で備えていてもよい。
【0030】
第二の透明基材12は、優れた可視光透過性を有し、例えば、透明性を有する樹脂により形成されている。第二の透明基材12は、ディスプレイ機器30から発生られる熱に耐え得る材料で構成されていてもよい。第二の透明基材12は、第二の透明基材12が優れた透明性及び優れた耐熱性を有する観点から、PET、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンで形成されていてもよい。
【0031】
第二の透明基材12の厚さは、表示装置用パネル20Aが十分な強度を有する観点から、0.1μm以上、10μm以上、又は30μm以上であってもよい。第二の透明基材12の厚さは、表示装置用パネル20Aが過度に厚くなることを抑制する観点から、200μm以下、100μm以下、又は70μm以下であってもよい。
【0032】
(第一の透明基材)
第一の透明基材11は、印刷層1と隠蔽層5との間に配置される層である。第一の透明基材11は、透明性を有する材料で形成され、例えば、アクリル、ガラス、PET、ポリカーボネートで形成される。
【0033】
第一の透明基材11の隠蔽層5側の表面は、平坦であってもよく、ディスプレイ機器30及び/又は支持体40の形状に応じて凹凸が形成されていてもよい。例えば、第一の透明基材11は、支持体40の開口部45にはめ込まれるように、第一の透明基材11の隠蔽層5側の表面の一部に凸部が形成されていてもよい。
【0034】
第一の透明基材11の厚さは、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点及び表示装置用パネル20Aが十分な強度を有する観点から、1.0mm以上であってもよい。第一の透明基材11の厚さは、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点から、100mm以下、50mm以下、又は10mm以下であってもよい。印刷層1と隠蔽層5との間に配置される層が第一の透明基材11のみである場合、第一の透明基材11の厚さが印刷層1から隠蔽層5までの距離に相当するため、このときの第一の透明基材11の厚さは5mm以下である。
【0035】
(隠蔽層)
隠蔽層5は、表示装置用パネル20Aの内側(面F2側)の構成が透けて見えることを抑制する層である。隠蔽層5の印刷層1側の表面5Saの色は、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制する観点から、白色であってよい。隠蔽層5の可視光線透過率は、例えば、10%以上であってもよく、70%以下であってもよい。
【0036】
隠蔽層5は、表示装置用パネル20Aの内側に配置される。隠蔽層5が表示装置用パネル20Aの内側に配置されることにより、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性が優れる。隠蔽層5は、表示装置用パネル20Aの一方の表面上(面F2側の表面上)に形成された層であってもよい。
【0037】
ディスプレイ機器30の表面から隠蔽層5までの距離(ディスプレイ機器30の表面30Sから隠蔽層5の印刷層1とは反対側の表面5Sbまでの距離)は、5mm以下である。ディスプレイ機器30の表面から隠蔽層5までの距離が5mm以下であることにより、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる表示装置を提供できる。ディスプレイ機器30の表面から隠蔽層5までの距離は、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点から、4mm以下、3mm以下、2mm以下、又は1mm以下であってもよい。隠蔽層5はディスプレイ機器30の表面と密着している(ディスプレイ機器30の表面から隠蔽層5までの距離が0mmである)態様であってもよい。
【0038】
隠蔽層5は、例えば、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法により、第一の透明基材11の表面上に形成することができる。隠蔽層5は、例えば、酸化チタンを含有する白色インキを用いて形成される。
【0039】
隠蔽層5の厚さは、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制する観点から、30μm以上であってもよい。隠蔽層5の厚さは、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点から、50μm以下であってもよい。
【0040】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態においては、印刷層1と隠蔽層5との間に、第一の透明基材11のみを備える表示装置用パネル20Aを例示したが、
図4に示されるように、印刷層1と第一の透明基材11との間に第三の透明基材13を更に備えてもよい。
【0041】
図4に示す表示装置用パネル20Bは、ディスプレイ機器30が存在する側を内側として、第二の透明基材12及び印刷層1を有する化粧シート15と、第三の透明基材13と、第一の透明基材11と、隠蔽層5と、を外側から内側に向けてこの順序で備える。表示装置用パネル20Bにおける印刷層1、第二の透明基材12、第一の透明基材11、及び隠蔽層5は、上記の表示装置用パネル20Aと同様のものであってもよい。
【0042】
第三の透明基材13は、印刷層1の内側の表面1S側に配置され、印刷層1を保護するために配置される層である。第三の透明基材13は、透明性を有する材料で形成され、例えば、アクリル、ポリカーボネート、PET、ガラスで形成される。
【0043】
第三の透明基材13の厚さは、印刷層1を十分に保護する観点から、30μm以上であってもよい。第三の透明基材13の厚さは、表示装置用パネル20Bが過度に厚くなることを抑制する観点から、100μm以下であってもよい。
【0044】
印刷層1と隠蔽層5との間に配置される層が、第三の透明基材13及び第一の透明基材11である場合、第三の透明基材13と、第一の透明基材11との合計の厚さが、印刷層1から隠蔽層5までの距離に相当する。そのため、第三の透明基材13と、第一の透明基材11との合計の厚さは、上述した印刷層1から隠蔽層5までの距離の数値範囲を満たす。
【0045】
上記実施形態においては、隠蔽層5が表示装置用パネル20A,20Bの一方の表面上(面F2側の表面上)に形成されたものを例示したが、表示装置用パネル20A,20Bの内側(面F2側)には隠蔽層5以外の層が配置されていてもよい。例えば、上記の第三の透明基材13が印刷層1と隠蔽層5との間に配置され、第一の透明基材11が隠蔽層5の第三の透明基材13とは反対側に配置されていてもよい。
【0046】
本開示は以下の発明に関する。
[1]印刷層を有する化粧シート、透明基材及び隠蔽層を外側から内側に向けてこの順序で備える表示装置用パネルと、
前記表示装置用パネルの内側に配置されたディスプレイ機器と、
を備え、
前記ディスプレイ機器の表面から前記隠蔽層までの距離が5mm以下である、表示装置。
[2]前記印刷層から前記隠蔽層までの距離が5mm以下である、[1]に記載の表示装置。
[3]前記隠蔽層がディスプレイ機器の表面に密着している、[1]又は[2]に記載の表示装置
[4]前記表示装置用パネルを支持し且つ開口部を有する支持体を更に備え、
前記開口部に前記ディスプレイ機器が配置されている、[1]~[3]のいずれか一つに記載の表示装置。
[5]印刷層を有する化粧シートと、
第一の透明基材と、
隠蔽層と、
をこの順序で備える積層構造を有し、
前記印刷層から前記隠蔽層までの距離が5mm以下である、表示装置用パネル。
[6]前記化粧シートが第二の透明基材を更に有し、
前記印刷層が前記第二の透明基材上に形成されている、[5]に記載の表示装置用パネル。
[7]前記第二の透明基材、前記印刷層、前記第一の透明基材、及び前記隠蔽層をこの順序で備える、[6]に記載の表示装置用パネル。
[8]前記印刷層と、前記第一の透明基材との間に第三の透明基材を更に備える、[6]又は[7]に記載の表示装置用パネル。
[9][5]~[8]のいずれか一つに記載の表示装置用パネルと、
前記表示装置用パネルを支持する支持体と、を備え、
前記隠蔽層が前記印刷層と前記支持体との間に配置されている、表示装置用筐体。
【実施例0047】
以下、本開示の実施例及び比較例について説明する。なお、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
第二の透明基材として、厚さ50μmのPETフィルムを準備した。インクジェット装置を使用してPETフィルムの一方の表面に印刷層を形成し、化粧シートを作製した。印刷層の厚さは30~50μmであった。化粧シートの印刷層側の表面に接着剤を介して厚さ50μmのPETフィルムを第三の透明基材として貼り合わせた。
第一の透明基材として厚さ3.0mmのアクリルフィルムを準備した。インクジェット装置を使用してアクリルフィルムの一方の表面に隠蔽層を形成した。隠蔽層は白色であり、隠蔽層の厚さは30~50μmであり、可視光線透過率は10~70%であった。
次いで、第三の透明基材と第一の透明基材とを接着剤を介して貼り合わせることにより、第二の透明基材/印刷層/第三の透明基材/第一の透明基材/隠蔽層がこの順序で配置された表示装置用パネルを得た。印刷層から隠蔽層までの距離は3.05mmであった。ディスプレイ機器の表面から隠蔽層までの距離は0mmとした。
【0049】
(実施例2)
保護層と隠蔽層とを接着剤を介して貼り合わせることにより、第二の透明基材/印刷層/第三の透明基材/隠蔽層/第一の透明基材がこの順序で配置された積層パネル(表示装置用パネル)を得たこと以外は実施例1と同様にして表示装置用パネルを得た。印刷層から隠蔽層までの距離は0.05mmであった。ディスプレイ機器の表面から隠蔽層までの距離は5mmとした。
【0050】
(比較例1)
第二の透明基材として、厚さ50μmのPETフィルムを準備した。インクジェット装置を使用してPETフィルムの一方の表面に印刷層を形成した。次いで、印刷層側の表面にインクジェット装置を使用して隠蔽層を形成し、化粧シートを作製した。隠蔽層は白色であり、隠蔽層の厚さは30~50μmであり、可視光線透過率は10~70%であった。化粧シートの隠蔽層側の表面に接着剤を介して厚さ50μmのPETフィルムを第三の透明基材として貼り合わせた。
次いで、第三の透明基材と第一の透明基材とを接着剤を介して貼り合わせることにより、第二の透明基材/印刷層/隠蔽層/第三の透明基材/第一の透明基材がこの順序で配置された表示装置用パネルを得た。印刷層から隠蔽層までの距離は0mmであった。ディスプレイ機器の表面から隠蔽層までの距離は10mmとした。
【0051】
<評価>
実施例及び比較例の表示装置用パネルの第二の透明基材を外側として、表示装置用パネルの内側にディスプレイ機器を設置した。ディスプレイ機器の電源がオンの状態とオフの状態の視認性を評価した。ディスプレイ機器の電源がオンの状態は、正面視と斜視(45°)とで評価した。評価は4名の被験者が目視で行い、評価基準は以下のとおりとした。表1に評価結果の平均値を示す。また、実施例1、2及び比較例1のディスプレイ機器の電源がオンの状態の正面視及び斜視の観察写真を
図5~7にそれぞれ示す。
【0052】
[ディスプレイ機器の電源がオンのとき]
5点:液晶モニターに表示されている映像及び文字の鮮明に見える。
3点:液晶モニターに表示されている映像及び文字がわずかにぼやけている。
1点:液晶モニターに表示されている映像及び文字がぼやけている。
【0053】
[ディスプレイ機器の電源がオフのとき]
5点:液晶モニターの黒色の影響はなく、周囲と連続した明るさに見える。
3点:液晶モニターの黒色の影響がやや認められ、周囲と比較して少し暗く見える。
1点:液晶モニターの黒色の影響が認められ、周囲と比較してかなり暗く見える。
【0054】
1…印刷層、5…隠蔽層、11…第一の透明基材、12…第二の透明基材、13…第三の透明基材、15…化粧シート、20A,20B…表示装置用パネル、30…ディスプレイ機器、32…画面、35…光源、40…支持体、42…開口部、50…表示装置用筐体、100…表示装置、W…壁面。