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特開2024-9270車両の環境質管理のためのセンサおよびデータプラットフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009270
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】車両の環境質管理のためのセンサおよびデータプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20240112BHJP
   B60H 3/06 20060101ALI20240112BHJP
   B60H 1/24 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01M17/007 P
B60H3/06 B
B60H1/24 661A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023200280
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2021541209の分割
【原出願日】2020-01-27
(31)【優先権主張番号】62/798,395
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515243752
【氏名又は名称】アクリマ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ACLIMA INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サーロウ・メーガン・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ランデン・メリッサ・エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツル・ダビダ
(72)【発明者】
【氏名】ヒル・マシュー
(57)【要約】
【解決手段】環境データを利用するための方法およびシステムが開示されている。方法は、外部環境データを受信し、キャビン内環境データを受信すること、を備える。車両のキャビン内環境のための軽減措置が提供される。軽減措置は、外部環境データおよびキャビン内環境データに基づく。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
外部環境データを受信し、
キャビン内環境データを受信し、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データに基づいて、車両のキャビン内環境に対する軽減措置を提供すること、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記外部環境データを受信することは、さらに、
前記車両とは別個の外部ソースと、前記車両のセンサとの少なくとも一方から、前記外部環境データを受信することを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記外部ソースは、前記車両から特定の距離内の複数の車両上の複数のセンサデータプラットフォームを含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記提供は、さらに、
前記車両の外部環境質を決定することを含み、前記決定は、前記外部環境データを重み付けすることを含み、前記重み付けは、前記外部ソースの位置、前記外部環境データに対応するセンサの使用年数、前記センサの耐用年数、前記センサの最後の較正からの期間、車速、データ収集時刻、および、前記外部環境データの少なくとも一部を提供する前記特定の距離内の車両の数、の内の少なくとも1つに基づく、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記キャビン内環境データを受信することは、さらに、
前記車両とは別個の外部ソースと、前記車両のキャビン内センサとの少なくとも一方から、前記キャビン内環境データを受信することを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記外部ソースは、前記車両から特定の距離内の複数の車両上の複数のセンサを含み、前記方法は、さらに、
前記車両のキャビン内環境質を決定することを含み、前記決定は、前記外部ソースから受信された前記キャビン内環境データの少なくとも一部を少なくとも1つの特異性について補正すること、および前記キャビン内環境データを重み付けすることと、の少なくとも一方を含み、前記重み付けは、前記外部ソースの位置、前記キャビン内環境データに対応するセンサの使用年数、前記センサの耐用年数、前記センサの最後の較正からの期間、車速、データ収集時刻、および、前記キャビン内環境データの少なくとも一部を提供する前記特定の距離内の車両の数、の内の少なくとも1つに基づく、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記提供は、さらに、
前記キャビン内センサデータおよび前記外部センサデータとは異なるさらなる所定のデータに基づいて、前記軽減措置を提供することを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記さらなる所定のデータに基づいて、前記軽減措置を提供することは、さらに、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データの少なくとも一方が利用不可能である場合に、前記所定のデータを利用することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記軽減措置を提供することは、さらに、
前記車両の換気システム内の環境質軽減機能に基づいて、前記軽減措置を決定することを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データの少なくとも一方に対応するセンサを較正することを備え、前記較正は、前記センサの使用年数、前記センサの耐用年数、および、前記センサの前記使用年数以下の少なくとも1つの使用年数を有する少なくとも1つのセンサからの較正データ、の内の少なくとも1つに基づく、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記軽減措置は、前記車両を換気すること、前記車両を密閉すること、空気再循環システムを作動させること、前記車両の換気システムに空気濾過システムを組み込むこと、および、代替ルート、を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データをマッピングすることを備える、方法。
【請求項13】
システムであって、
プロセッサであって、
外部環境データを受信し、
キャビン内環境データを受信し、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データに基づいて、車両のキャビン内環境に対する軽減措置を提供するよう構成されているプロセッサと、
前記プロセッサに接続され、前記プロセッサに命令を提供するよう構成されているメモリと、
を備える、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記外部環境データを受信するために、前記プロセッサは、さらに、
前記車両とは別個の外部ソースと、前記車両のセンサとの少なくとも一方から、前記外部環境データを受信するよう構成され、前記外部ソースは、前記車両から特定の距離内の複数の車両上の複数のセンサデータプラットフォームを含み、前記プロセッサは、さらに、
前記車両の外部環境質を決定するよう構成され、前記決定することは、前記外部環境データを重み付けすることを含み、前記重み付けすることは、前記外部ソースの位置、前記外部環境データに対応するセンサの使用年数、前記センサの耐用年数、前記センサの最後の較正からの期間、車速、および、前記外部環境データの少なくとも一部を提供する前記特定の距離内の車両の数、の内の少なくとも1つに基づく、システム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、前記キャビン内環境データを受信するために、前記プロセッサは、さらに、
前記車両とは別個の外部ソースと、前記車両のキャビン内センサとの少なくとも一方から、前記キャビン内環境データを受信するよう構成され、前記外部ソースは、前記車両から特定の距離内の複数の車両上の複数のセンサを含み、前記プロセッサは、さらに、
前記車両のキャビン内環境質を決定するよう構成され、前記決定することは、前記外部ソースから受信された前記キャビン内環境データの少なくとも一部を少なくとも1つの特異性について補正することと、前記キャビン内環境データを重み付けすることと、の少なくとも一方を含み、前記重み付けすることは、前記外部ソースの位置、前記キャビン内環境データに対応するセンサの使用年数、前記センサの耐用年数、前記センサの最後の較正からの期間、車速、および、前記キャビン内環境データの少なくとも一部を提供する前記特定の距離内の車両の数、の内の少なくとも1つに基づく、システム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、前記軽減措置を提供するために、前記プロセッサは、さらに、
前記外部センサデータ、前記キャビン内センサデータ、ならびに、前記キャビン内センサデータおよび前記外部センサデータとは異なるさらなる所定のデータセットに基づいて、前記軽減措置を提供するよう構成され、前記所定のデータは、前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データの少なくとも一方が利用不可能である場合に利用される、システム。
【請求項17】
請求項13に記載のシステムであって、前記プロセッサは、さらに、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データの少なくとも一方に対応するセンサを較正するよう構成され、前記較正は、前記センサの使用年数、前記センサの耐用年数、および、前記センサの前記使用年数以下の少なくとも1つの使用年数を有する少なくとも1つのセンサからの較正データ、の内の少なくとも1つに基づく、システム。
【請求項18】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、有形のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体内に具現化され、
外部環境データを受信するためのコンピュータ命令と、
キャビン内環境データを受信するためのコンピュータ命令と、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データに基づいて、車両のキャビン内環境に対する軽減措置を提供するためのコンピュータ命令と、
を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記外部環境データの少なくとも1つは、前記車両とは異なる外部ソースから受信され、前記キャビン内環境データは、前記外部ソースから受信され、前記外部ソースは、前記車両から特定の距離内の複数の車両上の複数のセンサデータプラットフォームを含み、前記コンピュータ命令は、さらに、
前記車両の外部環境質を決定することと、前記車両のキャビン内環境質を決定することと、の内の少なくとも一方を実行するためのコンピュータ命令を含み、前記外部環境質を決定することは、前記外部環境データを重み付けすることを含み、前記重み付けすることは、前記外部ソースの位置、前記外部環境データに対応するセンサの使用年数、前記センサの耐用年数、前記センサの最後の較正からの期間、車速、および、前記外部環境データの少なくとも一部を提供する前記特定の距離内の車両の数、の内の少なくとも1つに基づき、前記車両の前記キャビン内環境質を決定することは、前記外部ソースから受信された前記キャビン内環境データの少なくとも一部を少なくとも1つの特異性について補正することと、前記キャビン内環境データを重み付けすることと、の少なくとも一方を含み、前記重み付けすることは、前記外部ソースの位置、前記キャビン内環境データに対応するセンサの使用年数、前記センサの耐用年数、前記センサの最後の較正からの期間、車速、および、前記キャビン内環境データの少なくとも一部を提供する前記特定の距離内の車両の数、の内の少なくとも1つに基づく、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
請求項18に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記軽減措置を提供するためのコンピュータ命令は、さらに、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データの少なくとも一方が利用不可能である場合に、前記キャビン内センサデータおよび前記外部センサデータとは異なるさらなる所定のデータに基づいて、前記軽減措置を提供するための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項21】
請求項18に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ命令は、さらに、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データの少なくとも一方に対応するセンサを較正するためのコンピュータ命令を含み、前記較正は、前記センサの使用年数、前記センサの耐用年数、および、前記センサの前記使用年数以下の少なくとも1つの使用年数を有する少なくとも1つのセンサからの較正データ、の内の少なくとも1つに基づく、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
他の出願の相互参照
本願は、2019年1月29日出願の米国仮特許出願第62/798,395号「SENSOR AND DATA PLATFORM FOR VEHICLE ENVIRONMENTAL QUALITY MANAGEMENT」に基づく優先権を主張し、その出願は、すべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
通勤者は、しばしば、仕事への行き帰りにかなりの時間を費やす。多くの通勤者は、乗用車、トラック、バン、または、バスで移動し、もしくは、これら車両が走る道路を共用する。これら道路は、しばしば、深刻な局所的大気汚染の起きている場所である。例えば、二酸化窒素(NO)、酸化炭素(CO)、酸化窒素(NO)、オゾン(O)、二酸化硫黄(SO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、揮発性有機化合物(VOC)、放射線、および、粒子状物質などの公害物質または汚染物質に、道路上で遭遇する可能性がある。かかる大気汚染への暴露は、通勤者だけでなく、道路の周りのコミュニティに対しても、短期的および長期的な健康への影響を与えうる。また、空気質が悪いと、運転手の認知に影響を与えることで、交通安全を損なう可能性がある。これらおよび他の公害物質を感知し、道路を移動する個人がかかる公害物質の影響を理解および/または軽減するためのメカニズムを提供することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の詳細な説明と添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0004】
図1】環境データを収集および処理するためのシステムの一実施形態を示す図。
【0005】
図2】環境データを収集および処理するためのシステムを備えた車両の一実施形態を示す図。
【0006】
図3】車両内に配備された環境データを収集および利用するためのシステムの実施形態例を示す図。
【0007】
図4】環境データを収集および処理するための方法の実施形態例を示すフローチャート。
【0008】
図5】環境データを利用するための方法の実施形態例を示すフローチャート。
【0009】
図6】外部環境データを利用するための方法の実施形態例を示すフローチャート。
【0010】
図7】キャビン内環境データを利用するための方法の実施形態例を示すフローチャート。
【0011】
図8】軽減措置を提供するための方法の実施形態例を示すフローチャート。
【0012】
図9】環境センサを較正するための方法の実施形態例を示すフローチャート。
【0013】
図10】換気通知を提供するためのシステムの実施形態例を示す図。
【0014】
図11】ナビゲーション通知を提供するためのシステムの実施形態例を示す図。
【0015】
図12】通勤情報を提供するためのシステムの実施形態例を示す図。
図13】通勤情報を提供するためのシステムの実施形態例を示す図。
図14】通勤情報を提供するためのシステムの実施形態例を示す図。
図15】通勤情報を提供するためのシステムの実施形態例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(有形および/または持続的なコンピュータ読み取り可能媒体など)上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されているプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、或る時間にタスクを実行するよう一時的に構成されている一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書では、「プロセッサ」という用語は、1または複数のデバイス、回路、および/または、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成されている処理コアを指すものとする。
【0017】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。簡単のために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0018】
環境データは、公害物質、汚染物質、および/または、環境のその他の要素を含む。環境質は、この環境データに基づいて評価可能であり、人間に対する環境の適合性の尺度である。環境質の重要な側面は、空気質である。したがって、環境データは、空気質(例えば、空気中の様々な公害物質の有無)および環境の他の特徴に関連する測定値を含むが、これらに限定されない。環境データは、移動センサプラットフォームおよび/または固定センサプラットフォームを用いて収集されてよく、公害物質、汚染物質、および/または、その他の条件の測定値を含んでよい。例えば、環境データは、二酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NO)、オゾン(O)、二酸化硫黄(SO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、揮発性有機化合物(VOC)、粒子状物質(PM)、放射線、雑音、温度、その他の病原体、および/または、人間に影響を与える可能性のあるその他の条件、に関して集められてよい。
【0019】
人々は、頻繁に、通勤を含むがこれに限定されない様々な目的で道路を通って移動する。道路での移動は、通勤およびその他の目的で、しばしば、様々な量の大気汚染物質を放出する車両でなされる。結果的に、道路は、しばしば、大気汚染の場所および発生源になっている。多くの人が毎日直面する最も深刻な大気汚染は、道路上、そして、多くの場合、車両のキャビン内にある。さらに、道路上の車両は、周囲のエリアに影響を与える汚染物質の供給源になりうる。したがって、道路上および道路周辺で収集された環境データが、環境質に関する情報を周辺のコミュニティへ提供するため、および、公害物質への暴露を評価するために、利用されることが望まれている。
【0020】
環境データを取得および/または利用するための方法およびシステムについて説明する。環境データは、外部環境データおよび/またはキャビン内環境データを含む。外部環境データは、車両キャビンの外側の環境の公害物質、汚染物質、および/または、その他の要素を測定した処理済みおよび/または未処理のセンサデータを含む。例えば、外部環境データは、車両の外側から取られたサンプル内にあるNO、CO、NO、O、SO、CO、CH、VOC、PM、放射線、雑音、温度、その他の病原体、および/または、その他の条件、の測定値を含んでよい。キャビン内環境データは、車両キャビン内の環境のかかる公害物質、汚染物質、および/または、その他の要素を測定した処理済みおよび/または未処理のセンサデータを含む。例えば、キャビン内環境データは、車両キャビンの内部から取られたサンプル内にあるNO、CO、NO、O、SO、CO、CH、VOC、PM、放射線、雑音、温度、その他の病原体、および/または、その他の条件、の測定値を含んでよい。キャビン内環境データは、車両の周囲の空気が、例えば窓または換気システムを介して、車両キャビンに入る可能性があるため、外部環境データに関係がありうる。
【0021】
いくつかの実施形態において、外部環境センサおよびキャビン内環境センサが、様々な車両に配備されてよい。例えば、フリート車両(例えば、単一のエンティティによって所有または稼働される複数のバスおよび複数のタクシー)および個人の私用車が、組み込まれたセンサプラットフォームを有してよい。外部環境センサは、車両に取り付けられても車両に組み込まれてもよいセンサプラットフォームの一部であってよい。キャビン内センサは、車両に(例えば、換気システム内に)組み込まれてもよいし、車両に取り付けられてもよい。外部環境センサおよび/またはキャビン内環境センサからのデータは、車両で処理および利用されてよく、および/または、1以上の集中システムに送信されてよい。1以上の集中システムは、固定センサプラットフォーム、ならびに、外部環境センサおよび/またはキャビン内環境センサを有する車両など、様々なソースからデータを受信してよい。1以上の集中システムは、環境データのさらなる処理を提供してよい。処理済みの環境データは、例えばサブスクリプションサービスで、車両、コミュニティ、および/または、その他のユーザへ提供されてよい。いくつかの実施形態において、システムの一部である車両の一部または全部が、システムの一部である1または複数の他の車両に直接データを送信してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、方法は、外部環境データを受信し、キャビン内環境データを受信すること、を備える。外部環境データは、車両の外部の公害物質または汚染物質(二酸化窒素、一酸化炭素、酸化窒素、オゾン、二酸化硫黄、二酸化炭素、メタン、VOC、放射線、および、PMなど)の検出および測定値を含んでよい。キャビン内環境データは、外部環境データと同じ成分の一部または全部および/またはさらなる公害物質または汚染物質についての車両のキャビン内での検出および測定値を含んでよい。かかるキャビン内汚染物質のソースは、乗員(例えば、呼気からのCO、喫煙由来の炭化水素)、車両(例えば、車両の表面(ダッシュボードなど)から放出する化合物)、ならびに、外部公害物質(例えば、車両の換気システムを通して入る公害物質)を含みうる。
【0023】
環境データは、データソースの内の1または複数から受信されてよい。いくつかの実施形態において、外部環境データは、車両上のセンサからのセンサデータを含む。例えば、車両の外部の大気の成分を受け入れて感知するセンサプラットフォームが、車両の構造に取り付けられるかまたは組み込まれてよい。いくつかの実施形態において、外部環境データは、車両から離れた1または複数の外部ソースから受信される。例えば、外部環境データの外部ソースは、固定データプラットフォームおよび/または他の車両(例えば、車両から特定の距離範囲内の他の車両、および、同じ地域を以前に通過した車両)上のセンサデータプラットフォームを含みうる。かかるデータは、処理済みであってもよいし、生センサデータであってもよい。いくつかの実施形態において、外部ソースは、環境データセットまたはモデル化データのサービスまたはその他の供給者も含みうる。同様に、キャビン内環境データは、車両上のキャビン内センサからのセンサデータ、その地域内の他の同様の車両上のキャビン内センサからのセンサデータ、その他のデータセット、および、例えば車両のキャビンのシミュレーションからのモデル化データ、を含みうる。このように、外部環境データおよびキャビン内環境データは、様々なデータソースから受信されてよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、外部環境質および/またはキャビン内環境質が決定される。例えば、車両について外部環境質の決定は、外部環境データに重み付けすることなどを含んでよい。この重み付けは、センサデータの外部ソースの位置(対応する車両または固定センサプラットフォームまでの距離)、外部環境データに対応するセンサの使用年数、センサの耐用年数、センサの最後の較正からの期間、車速、データが収集された時刻、外部環境データを提供する特定の距離内の車両の数、および/または、その他の要因、の内の1または複数に基づく。重み付けされた処理済み外部環境データは、外部環境質を決定するために、1または複数の基準と比較されてよい。
【0025】
同様に、車両のキャビン内環境質の決定は、外部ソースから受信された任意のキャビン内環境データを特異性(例えば、他の車両内での喫煙、他の車両の乗員数)について補正すること、および/または、キャビン内環境データに重み付けすること、を含んでよい。重みは、センサデータの外部ソースの位置(対応する車両または固定センサプラットフォームまでの距離)、キャビン内環境データに対応するセンサの使用年数、センサの耐用年数、センサの最後の較正からの期間、車速、データが収集された時刻、キャビン内環境データを提供する他の車両の数、および/または、その他の要因、の内の1または複数に基づいてよい。重み付けされた処理済みキャビン内環境データは、キャビン内環境質を決定するために、1または複数の基準と比較されてよい。
【0026】
時間の経過後に外部環境データおよびキャビン内環境データの信頼性を改善するために、外部および/またはキャビン内環境センサは較正されてよい。いくつかの実施形態において、これは、センサの通常の較正を含んでよい。しかしながら、いくつかの例において、車両内のセンサは、すぐに対応できない場合がある。例えば、車両に対するサービスの合間の時間(センサが較正または交換に対応可能でありうる時間)が、センサの耐用年数よりも長い場合がある。いくつかのかかる実施形態において、較正は、他の同様のセンサからのデータを利用する。他のセンサからのデータを利用することは、新たに較正されたセンサが、ごく接近している場合、または、推定の信頼性を高くするかなり類似した条件下にある場合、特に有用でありうる。例えば、センサの使用年数として、より新しいセンサ(特に、近くにあるセンサ、または、類似した条件化のセンサ)からのデータが、より古いセンサからのデータを補正するため、または、それに置き換わるために用いられてよい。したがって、較正の特性および頻度は、センサの使用年数、センサの耐用年数、交換品の入手可能性、および、センサを交換する能力、の内の1または複数などの要因に依存しうる。いくつかの実施形態において、センサは、定期的に交換されてもよい。
【0027】
方法は、さらに、外部環境データおよびキャビン内環境データに基づいて車両のキャビン内環境に対する軽減措置(緩和措置)を提供することを備えてもよい。軽減措置は、車両を換気する動作、車両を密閉する動作、空気再循環システムを作動させる動作、車両の換気システムに空気濾過システムを組み込む動作、環境質に関する情報を提供する動作、代替ルートを提供する動作、および/または、乗員が暴露されているキャビン内環境に対処するための別のメカニズムを提供する動作、の内の1または複数を含んでよい。軽減措置を提供するために、外部環境質および/またはキャビン内環境質は、環境質と、軽減措置が必要とされるか否か、とを決定するために、規準と比較されてよい。さらに、外部環境質が、キャビン内環境質と比較されてよい。いくつかの実施形態において、軽減措置の提供は、軽減措置が望まれることを車両の乗員に通知することを含む。いくつかの実施形態において、軽減措置の提供は、軽減措置を実行することを含む。いくつかの実施形態において、軽減措置は、キャビン内センサデータおよび外部センサデータとは異なるさらなる所定のデータに基づいてもよい。外部環境データおよび/またはキャビン内環境データが利用できない場合、所定のデータが、センサデータの代わりに用いられてよい。例えば、外部環境質は、外部環境データが利用できない場合、所定のデータを用いて決定されてよい。したがって、環境質および軽減措置は、現在のデータまたはデータ処理が利用できない地域に車両がある場合でも、決定されうる。いくつかの実施形態において、軽減措置は、車両の換気システム内のフィルタの有無など、車両において利用可能な特定の軽減機能に基づいて決定されてもよい。
【0028】
外部環境データおよびキャビン内環境データは、マッピングされてもよい。このマッピングは、上述の軽減措置に追加されてもよいし、その一部であってもよい。例えば、車両が通過した特定の領域または通過する特定のエリアにおいて環境質が悪いことが、地図上に示されてよい。結果として、個人が、自身の走行に関する決定をなすことができる。
【0029】
図1は、環境データを収集、処理、および、利用するためのシステム100の一実施形態を示す。簡単のために、一部の構成要素のみが図示されている。システム100は、複数の移動センサプラットフォーム102A、102B、102C(まとめて、移動センサプラットフォーム102)と、サーバ150と、を備える。3つの移動センサプラットフォーム102が図示されているが、他の数の移動センサプラットフォームが用いられてもよい。移動センサプラットフォーム102は、車両に取り付けられている。例えば、移動センサプラットフォーム102は、システム100の所有者によって所有されている車両、フリート車両、個人の車両、または、その他の輸送メカニズムに取り付けられてよい。同様に、サーバ150は、移動センサプラットフォーム102、および/または、移動センサプラットフォーム102が収容されている車両、と同じエンティティまたは異なるエンティティによって所有されてよい。いくつかの実施形態において、システム100は、さらに、1または複数の固定センサプラットフォーム103を備えてよく、その内の1つが図示されている。固定センサプラットフォーム103は、固定位置で環境データを収集するために用いられてよい。固定センサプラットフォーム103によって収集された環境データは、移動センサプラットフォーム102によって収集されたデータを補いうる。したがって、固定センサプラットフォーム103は、移動センサプラットフォーム102と同じまたは類似したセンサを有してよい。別の実施形態において、固定センサプラットフォーム103は、省略されてもよい。また、データ受信者104も示されている。1つのデータ受信者104が図示されているが、複数が存在してもよい。データ受信者104は、サーバ150、移動センサプラットフォーム102、および/または、固定センサプラットフォーム102からデータを受信しうる車両に対応する。しかしながら、データ受信者104は、環境データをシステム100に提供しない。1つのサーバ150が図示されているが、複数のサーバが存在してもよい。複数のサーバは、異なる位置に存在してよい。移動センサプラットフォーム102、固定センサプラットフォーム103、および、データ受信者105は、データネットワーク108を介してサーバ150と通信してよい。通信は、無線で行われてよい。
【0030】
移動センサプラットフォーム102は、車両(自動車、バス、バン、および/または、ドローンなど)に取り付けられ、または、組み込まれてよい。いくつかの実施形態において、移動センサプラットフォーム102は、人間が体験するものと類似した条件をより良好に感知できるように、地面に近接していることが望まれる。移動センサプラットフォーム102Aは、バス106と、センサ110、120、および、130と、を備える。3つのセンサが図示されているが、別の数のセンサが、移動センサプラットフォーム102A上に存在してもよい。さらに、別の構成の構成要素が、センサ110、120、および、130と共に用いられてもよい。各センサ110、120、および、130は、環境データを感知するために用いられ、システム100のユーザにとって主に関心のあるものであってよい。例えば、センサ110、120、および、130は、ガスセンサ、揮発性有機化合物(VOC)センサ、粒子状物質センサ、放射線センサ、騒音センサ、光センサ、温度センサ、騒音センサ、または、環境中の変動を捕らえるその他の同様のセンサ、であってよい。例えば、センサ110、120、および、130は、NO、CO、NO、O、SO、CO、VOC、CH、粒子状物質、雑音、光、温度、放射線、および、その他の化合物、の内の1または複数を感知するために用いられてよい。いくつかの実施形態において、センサ110、120、および/または、130は、マルチモダリティセンサであってもよい。マルチモダリティガスセンサは、複数のガスまたは化合物を感知する。例えば、センサ110がマルチモダリティNO/Oセンサである場合、センサ110は、NOおよびOの両方を同時に感知できる。
【0031】
同様に、1または複数のキャビン内センサ160が示されている。移動センサプラットフォーム102Aの一部として図示されているが、キャビン内センサ160は、移動センサプラットフォーム102Aを収容する同じ車両に単に取り付けられても組み込まれてもよい。例えば、キャビン内センサ160は、対応する車両の換気システムの一部であってもよい。キャビン内センサ160は、NO、CO、NO、O、SO、CO、VOC、CH、粒子状物質、雑音、光、温度、放射線、および、その他の化合物、の内の1または複数を感知してよい。例えば、キャビン内センサ160は、乗員からの呼気(例えば、CO)、乗員の煙草からの煙の成分、車両の構成要素(ダッシュボードなど)からのガス放出、および、車両のキャビン内に存在しうるその他の汚染物質を感知しうる。外部センサ110、120、および、130とば別個に図示されているが、キャビン内センサ160の内の一部または全部が、外部センサ110、120、および、130と同じであってもよい。換言すると、センサ110、120、および、130は、いくつかの実施形態において、外部環境およびキャビン内環境の両方を感知してよい。例えば、2つの異なる吸気位置(キャビン内および車外)から或るデューティサイクルで動作するバルブシステムがある場合、キャビン内および外部のサンプルが、同じセットのセンサを用いて収集および測定されてよい。したがって、別個のキャビン内センサおよび外部センサの文脈で説明されているが、いくつかの実施形態において、単一セットのセンサが、両方の環境に用いられてもよい。
【0032】
図1には図示されていないが、センサ110、120、130、および、160と同位置に配置された他のセンサが、周囲環境の特性(いくつかの例において、他のガスおよび/または物質など)を感知するために用いられてもよい。これらさらなるセンサは、センサ110、120、130、および、160と同じ環境に暴露される。いくつかの実施形態において、これらさらなるセンサは、センサ110、120、および、130のすぐ近くにある(例えば、10ミリメートル以下の範囲内)。いくつかの実施形態において、さらなるセンサは、閉システム(閉管のシステムなど)の内部の同じ空間内の空気をサンプリングする場合には、センサ110、120、130、および、160から離れていてもよい。いくつかの実施形態において、温度および/または圧力が、これらのさらなるセンサによって感知される。例えば、センサ110と同位置に配置されたさらなるセンサが、温度、圧力、および、相対湿度(T/P/RH)のセンサであってよい。これらのさらなる同位置に配置されたセンサは、 センサ110、120、130、および/または、160を較正するために用いられてもよい。図示されていないが、センサプラットフォーム102Aは、さらに、検査に向けて空気を吸い込んでセンサ110、120、および、130へ運ぶためのマニホルドを備えてもよい。
【0033】
センサ110、120、および、130は、バス106において、または、別のメカニズムを介して、センサデータを提供する。いくつかの実施形態において、センサ110、120、および、130からのデータは、時刻を含む。この時刻は、マスタクロック(図示せず)によって提供されてよく、タイムスタンプの形態を取ってよい。マスタクロックは、センサプラットフォーム102A上に存在してもよいし、処理ユニット140の一部であってもよいし、サーバ150から提供されてもよい。結果として、センサ110、120、および、130は、タイムスタンプ付きのセンサデータをサーバ150へ提供しうる。別の実施形態において、センサデータに関連付けられる時刻は、別の方法で提供されてもよい。センサ110、120、および、130は、一般に、特定の頻度でデータを取得するので、センサデータが、特定の時間間隔(例えば、頻度に関連する期間)に関連付けられているものとして議論されているが、センサデータは、特定の値でタイムスタンプが付されてよい。例えば、センサ110、120、および/または、130は、1秒ごと、2秒ごと、10秒ごと、または、30秒ごとにセンサデータを取得してよい。時間間隔は、1秒、2秒、10秒、または、30秒であってよい。時間間隔は、すべてのセンサ110、120、および、130にとって同じであってもよいし、異なるセンサ110、120、および、130で異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、センサデータ点の時間間隔は、タイムスタンプを中心とする。ただし、時間間隔を規定するための別のメカニズムが利用されてもよい。
【0034】
図の実施形態において、キャビン内センサ160も、バス106で、または、別のメカニズムを介して、センサデータを提供する。いくつかの実施形態において、キャビン内センサ160からのデータは、時刻を含む。この時刻は、センサ110、120、および、130に関して上述したように、マスタクロックによって提供されてよい。キャビン内センサ160は、一般に、特定の頻度でデータを取得するので、センサデータが、特定の時間間隔(例えば、頻度に関連する期間)に関連付けられているものとして議論されているが、センサデータは、特定の値でタイムスタンプが付されてよい。いくつかの実施形態において、センサデータ点の時間間隔は、タイムスタンプを中心とする。時間間隔を規定するための別のメカニズムが利用されてもよい。いくつかの実施形態において、センサプラットフォーム102、キャビン内センサ160、および/または、固定プラットフォーム103のためのセンサは、徹底的な配備前の較正手順を受ける。いくつかの実施形態において、配備前の較正は、環境保護庁によって指定された規制グレードの計器または適切なクラス最高の技術で完了されてよい。また、配備前の較正は、不備のある個々のセンサを特定して交換することを可能にする。上述のように、プラットフォーム102用のセンサおよびキャビン内センサ160は、利用中に較正されてもよい。
【0035】
センサプラットフォーム102Aは、さらに、位置データを提供する位置ユニット145を備える。いくつかの実施形態において、位置ユニット145は、グローバルポジショニングサテライト(GPS)ユニットである。したがって、GPSユニット145の文脈で、システム100について説明する。位置データは、センサデータと同様の方法でタイムスタンプを付されてよい。位置データは、センサデータに関連付けられるので、上述のように、時間間隔とも関連付けられると見なされてよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、位置データ(例えば、GPSデータ)は、センサデータよりも多いまたは少ない頻度で取得されうる。したがって、位置データのための複数のデータ点が、単一の30秒の時間間隔に関連付けられてよい。位置データは、後述のように処理されてよい。任意選択的な処理ユニット140が、センサプラットフォーム102からのデータに対していくつかの処理および機能を実行してもよいし、単にデータをセンサプラットフォーム102からサーバへ受け渡してもよいし、省略されてもよい。さらに、処理ユニット140は、移動センサプラットフォーム102Aによって受信されたデータに対して処理を実行してよい。例えば、処理ユニット140は、サーバ150もしくは近くのプラットフォーム102Bおよび/または102Cから移動センサプラットフォーム102Aによって受信された外部環境データまたはキャビン内環境データを組み込んだモデルを利用してよい。かかるモデルを利用して、処理ユニット140は、センサプラットフォーム102Aに対応する車両の外部環境またはキャビン内環境の質に関する決定を行ってよい。処理ユニット140、または、関連付けられたメモリ(図1では図示せず)は、モデル化データおよび/またはその他のデータセットを備えてもよい。かかるモデル化データは、利用中にセンサプラットフォーム102Aによって受信されてもよいし、例えば、移動センサプラットフォーム102Aまたは対応する車両の製造時に、予めロードされてもよい。さらに、センサプラットフォーム102Aによって提供されたデータが、モデル化に利用されてもよい。いくつかの実施形態において、かかるデータセットは、サーバ150に配置される。
【0036】
移動センサプラットフォーム102Bおよび102Cは、移動センサプラットフォーム102Aと同様である。いくつかの実施形態において、移動センサプラットフォーム102Bおよび102Cは、移動センサプラットフォーム102Aと同じ構成要素を有する。ただし、別の実施形態において、構成要素は異なっていてもよい。例えば、移動センサプラットフォーム102Bおよび/または102Cは、キャビン内センサ160を省略してもよいし、キャビン内センサのみを備え、車両の外部のデータを感知するための残りのセンサ110、120、および、130を備えていなくてもよい。ただし、移動センサプラットフォーム102A、102B、および、102Cは、同様に機能する。移動センサプラットフォーム102は、例えば、さらなる処理に向けて、データをサーバ150へ送信する。いくつかの実施形態において、移動センサプラットフォーム102は、データをやり取りする。例えば、移動センサプラットフォーム102Bが、外部環境質を決定する際の移動センサプラットフォーム102Aによる利用に向けて、移動センサプラットフォーム102Aへ直接的に外部環境データを送信してよい。
【0037】
サーバ150は、センサデータ用データベース152と、1または複数のプロセッサ154と、メモリ156と、位置データ用データベース158と、を備える。いくつかの実施形態において、サーバ150は、クラウドサービスを提供すると考えられてよい。集中サーバの文脈で議論されているが、様々なサービスを提供する複数の位置の複数のサーバが利用されてもよい。1または複数のプロセッサ154は、複数のコアを備えてよい。1または複数のプロセッサ154は、1または複数の中央処理装置(CPU)1または複数のグラフィック処理装置(GPU)、ならびに/もしくは、1または複数のその他の処理装置、を備えてよい。メモリ156は、第1プライマリストレージ(典型的には、ランダムアクセスメモリ(RAM))と、第2プライマリストレージエリア(典型的には、ソリッドステートドライブ(SSD)またはハードディスクドライブ(HDD)などの不揮発性ストレージ)と、を含みうる。メモリ156は、プロセッサ154上で動作するプロセスのためのプログラミング命令およびデータを格納する。プライマリストレージは、典型的に、プロセッサ154によってそれらの機能を実行するために利用される基本動作命令、プログラムコード、データ、および、オブジェクトを備える。プライマリストレージ(例えば、メモリ156)は、例えば、データアクセスが双方向である必要があるか、単方向である必要があるかに応じて、後述する任意の適切なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含みうる。
【0038】
センサデータ用データベース152は、移動センサプラットフォーム102から受信したデータを含む。センサデータ用データベース152は、キャビン内センサ160からの環境データも含んでよい。移動センサプラットフォーム102による取得後に、センサデータ用データベース152に格納されているセンサ110、120、および、130によって取得された外部データおよびキャビン内センサ160によって取得されたキャビン内環境データは、様々な解析を施されてよい。位置データ用データベース158は、移動センサプラットフォーム102から受信した位置データを格納する。いくつかの実施形態において、センサデータ用データベース152が、位置データおよびセンサデータを格納する。かかる実施形態では、位置データ用データベース158は、省略されてもよい。サーバ150は、他のデータベースを備え、および/または、他のデータを格納および利用してもよい。例えば、サーバ150は、センサ110、120、および、130の較正に利用される較正データ(図示せず)を含んでもよい。サーバ150は、さらに、他のソースからのデータ(他の固定センサプラットフォーム(図1では図示せず)によって取得された環境保護庁からの外部環境データなど)、他のソース(車両の製造業者など)からのキャビン内環境データ、および/または、モデル化データ(例えば、車両排気の代わりになりうる空気質データモデルおよび交通パターンモデル)を含んでもよい。サーバ150は、さらに、機械学習またはその他のツールによって提供されて、環境データに関する推奨の提供または決定の実行に用いられるモデルを含んでもよい。
【0039】
システム100は、環境データに関する情報を取得、解析、および、提供するために用いられてよい。また、システム100は、車両の中および/または周囲の環境質を評価し、環境質に関する情報を提供し、環境質に関する問題を軽減するために取ることのできる軽減措置を提供するために用いられてもよい。移動センサプラットフォーム102は、ルートを辿って外部(車両外部)データおよびキャビン内データを取得する専用の車両に取り付けられてよい。また、移動センサプラットフォーム102は、他の車両(フリートまたは個人の車両など)に取り付けられてもよい。かかる場合、移動センサプラットフォーム102は、車両のユーザが自身の日常活動を実行する際に、データを収集する。その結果として、道路上の比較的少ない車両が、環境質に関する情報の豊かなソースになりうる。また、データは、さらなる処理に向けて頻繁に送信されてよい。いくつかの実施形態において、センサ110、120、130、および/または、160による測定値は、1Hzのレートで収集されてよく、1分に1回、データが、組織化、圧縮されて、バッチでサーバ150へ送信される。サーバ150は、センサデータおよび位置データを処理し、補正を提供し、センサの較正に役立ちうる。いくつかの実施形態において、サーバ150は、センサプラットフォーム102および固定センサプラットフォーム103から外部環境データおよびキャビン内環境データを受信し、データを処理し、キャビン内および外部の環境質を決定し、もしあれば、軽減措置を提供する。いくつかの実施形態において、取り込まれたデータの一部または全部が、センサおよびシステムのレベルで異常データを特定する質保証方法および/または質管理方法を用いて評価されてよい。別の実施形態において、これらのタスクの一部または全部が、車両で、例えば処理ユニット140によって、実行されてもよい。いくつかの実施形態において、これらの処理の一部または全部が、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで実行される。また、環境データに関する情報が、ユーザに提示されてもよい。配備中、データは、頻繁に、または、実質的に連続的に、ネットワークの適切な動作を保証するために評価され、再較正されてよい。誤ったデータのリアルタイムの警告、フィルタリングと、移動センサプラットフォーム102および/またはキャビン内センサ160の再較正が、自動化されてよい。さらに、システム100は、例えば、オンザフライのデータ品質スポットチェックによって、関心のある領域内の任意の政府の監視位置との比較を行ってよい。いくつかの実施形態において、システム100は、物理的手段および経験的手段の両方を用いて、空気質データをGPS位置と同期させる。デバイス(センサプラットフォーム102の一部または全部など)は、現場ベースの較正の効果のデータ品質インジケータを用いて、必要に応じて、新たに較正されたノードと効率的に交換されうる。したがって、システム100を用いれば、移動センサプラットフォーム102の疎なネットワークに基づいて、環境データを収集および利用することができる。
【0040】
図2は、環境データを収集および処理するためのシステムを備えた車両200の一実施形態を示す。簡単のために、一部の構成要素のみが図示されており、図中のいくつかの構成要素は、いくつかの実施形態において省略されてもよい。車両200は、外部センサプラットフォーム202と、環境マネージャ210と、ディスプレイ220と、ナビゲーションシステム230と、車両オペレーションシステム(OS)240と、換気システム250と、1または複数のキャビン内センサ260と、を備える。車両200は、システム100の一部であり、システム100を利用してよい。いくつかの実施形態において、車両200は、低またはゼロエミッション車両であってよい。
【0041】
外部センサプラットフォーム202は、センサプラットフォーム102と同様のセンサプラットフォームを含む。したがって、外部センサプラットフォーム202は、外部環境データを検出して、それに対して少なくとも何らかの処理を提供しうる。外部センサプラットフォーム202は、さらに、マニホルドまたはその他の吸気メカニズムを備えてよい。その結果として、外部センサプラットフォーム202は、内部空間(トランクなど)の中に取り付けられてよいが、それでも、車両200の外側の環境にアクセスできる。また、外部センサプラットフォーム202は、キャビン内センサを省略してもよい。キャビン内センサ260は、キャビン内センサ160と同様である。したがって、キャビン内センサ260は、いくつかの実施形態において、外部センサプラットフォーム202の一部であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、キャビン内センサ260は、車両に組み込まれてもよい。例えば、かかるキャビン内センサ260は、車両の製造業者によって車両の換気システム250内に組み込まれてよい。いくつかの実施形態において、外部センサプラットフォーム202は、キャビン内センサ260とは別個のさらなるキャビン内センサを備えてもよい。いくつかの実施形態において、サンプル(例えば、空気サンプル)が、キャビンおよび車外から別個に取られて、別個にセンサへ供給される場合、単一セットのセンサが、キャビン内センサ260の少なくとも一部および外部センサプラットフォーム202上のセンサの少なくとも一部に用いられてよい。いくつかの実施形態において、キャビン内センサは省略される。外部環境データおよび/またはキャビン内環境データは、外部センサプラットフォーム202および/または環境マネージャ210を介してサーバ(サーバ150など)またはその他のエンティティへ送信されてよい。
【0042】
環境マネージャ210は、車両200のキャビン内環境の側面について、測定、データ送信、データ受信、および/または、制御を行うために用いられてよい。例えば、環境マネージャ210は、サブスクリプションサービスを含み、または、管理してよい。したがって、サブスクリプションサービスを提供する単一のエンティティが、データ格納、合成、アクセス/セキュリティ、および、解析の一部または全部の側面を管理してよい。サブスクリプションは、車両所有者およびフリート所有者によって直接購入されてよく、新しい車両内に自動車製造業者によって提供され、または、別の方法で提供されうる。かかるサブスクリプションサービスは、他の自動車コンピューティングおよびネットワーキングサービスにリンクされてよい。また、かかるサービスは、環境データを車両200から、例えば、サーバ(サーバ150など)、または、サブスクリプションサービスを有する別の車両へ送信するために用いられてもよい。車両200からのデータは、匿名化されてストリーミングされてよい。かかるデータは、局所的な条件の高解像度マッピングへの統合および/またはその他の目的のために用いられてよい。サブスクリプションサービスは、車両200とは別個の他のソースから外部環境データおよび/またはキャビン内環境データを受信するために用いられてよい。さらに、外部センサプラットフォーム202によって用いられる較正データおよび/または情報が、環境マネージャ210を介して提供されてよい。また、環境マネージャ210は、外部センサプラットフォーム202のための処理ユニット(図2では図示せず)および/または車両オペレーティングシステム240を実行するプロセッサを用いて、本明細書に記載の様々な機能を実行してよい。例えば、環境マネージャ210は、キャビン内センサ260および外部センサプラットフォーム202からのキャビン内環境データおよび/または外部環境データの処理の一部または全部を処理してよく、サーバ150と同様の1または複数のサーバに対するデータ送信またはデータ受信を行ってよく、他の承認車両に対してデータ送信またはデータ受信を行ってよく、車両200の中および周囲のキャビン内環境質および/または外部環境質を決定するためにデータを評価してよく、ならびに/もしくは、ディスプレイ220および/または換気システム250を用いて軽減措置を提供してよい。
【0043】
換気システム250は、車両200のキャビンの環境を制御するために用いられる任意のマニホルドまたは物理的メカニズムを備える。例えば、換気システム250は、換気口、フィルタ、空気再循環システム、空調システム、加熱システム、および、窓を備えてよい。換気システム250は、さらに、1または複数の制御メカニズムを備える。例えば、換気システム250は、換気口を開閉するため、空気再循環システムを作動させるため、および/または、窓を開閉するために、電子機器またはその他のメカニズムを備えてよい。したがって、いくつかの実施形態において、環境マネージャ210は、換気システム250を用いて、車両200のキャビンを換気するために1または複数の窓と換気口とを開くなどの措置を実行してよい。
【0044】
ディスプレイ220は、視覚情報と、いくつかの実施形態において聴覚情報とを、車両200の1または複数のユーザに提供する。例えば、ディスプレイ220は、ナビゲーションシステム230と連携して、車両200が走っている地域の地図を表示してよい。また、環境マネージャ210は、ディスプレイ220を用いて、車両200のユーザに情報を提供してよい。例えば、環境マネージャ210は、高いキャビン内COレベルに関する警告と、キャビンを換気する旨の指示とを、ディスプレイ220上に表示してよい。同様に、環境マネージャ210は、高レベルの汚染(NOまたはPMなど)を有する地域および/または道路をディスプレイ220に表示された地図上で示してよい。いくつかの実施形態において、車両220が換気されるべきであることを示唆するために、簡単なディスプレイ(LEDなど)が通電されてもよい。例えば、緑色LEDによって、COレベルが許容可能であることを示してよく、一方、赤色LEDによって、COレベルが特定の閾値よりも高く、キャビンを換気すべきであることを示してよい。ナビゲーションシステム230と連携して、環境マネージャ210は、高レベルの汚染を回避または軽減するための代替ルートをディスプレイ220上に示してよい。
【0045】
ナビゲーションシステム230は、車両210の位置を決定し、ルート情報を提供し、方向を提供し、道順の案内を提供し、いくつかの実施形態では、車両200を操作してよい。ナビゲーションシステム230は、ディスプレイ220を用いて、車両200の1または複数のユーザに情報を提供してよい。また、ナビゲーションシステム230は、車両200による自動運転を可能にしてもよい。さらに、ナビゲーションシステム230は、環境マネージャ210と連携して動作してよい。例えば、ナビゲーションシステム230は、高汚染の地域を回避するように、車両200の自動運転を実行してよい。
【0046】
したがって、車両200は、外部環境データおよび/またはキャビン内環境データを提供および利用することが可能でありうる。車両200は、車両200の中および周囲の環境条件に関する情報を提供して、かかる環境条件の軽減を可能にしてよい。車両200は、外部センサプラットフォーム202を用いて、同じ道路上の他の車両および/または不動の汚染源(例えば、大規模な産業施設)に起因する条件のマッピングに寄与してよい。外部センサプラットフォーム202および/またはキャビン内センサ260によって感知されたデータは、他の車両の乗員のためにキャビン内環境を管理するのに利用するために他の車両にも提供されてよい。また、車両200は、外部センサプラットフォーム202および/またはキャビン内センサ260によって収集されたデータと、環境マネージャ210を介して提供された外部ソースからのデータとに基づいて、その乗員のために軽減措置(例えば、車両の換気または空気再循環の作動)を提供してよい。いくつかの実施形態において、車両200は、外部センサプラットフォーム202および/またはキャビン内センサ260を省略してもよい。かかる実施形態でも、車両200は、環境マネージャ210を介して外部ソースから外部環境データおよびキャビン内環境データを受信できる。したがって、車両200は、それでも、車両200の乗員のために軽減措置を提供することが可能でありうる。例えば、車両200は、ディスプレイ220を用いて、環境マネージャ210を介して外部ソース(例えば、地域内の他の車両、その地域を以前に通った他の車両、または、固定センサプラットフォーム)から受信された外部環境データに基づいて公害物質の高い地域に近づいていることを乗員に通知してよい。同様に、車両200は、換気システム250を用いて、環境マネージャ210を介して外部ソース(例えば、同様にガス放出する構成要素を有する同様の車両)から受信されたキャビン内環境データに基づいて定期的にキャビンを換気してよい。また、車両200は、環境マネージャを介して提供されたデータを用いて、センサプラットフォーム202上のセンサと、キャビン内センサとを較正してよい。これは、車両200によって提供および利用されるデータの信頼度を高めうる。したがって、人々は、自身の汚染への暴露をより良く理解および管理できうる。さらに、車両200は、外部環境データおよび/またはキャビン内環境データを提供できる複数の同様な車両の内の1つであってよい。かかる複数の車両は、環境データを取得する専用であってもよいし、車両のユーザが日常活動を行う時に環境データを取得してもよい。結果として、利用可能な環境データの量および信頼性が、大きく向上されうる。環境データを提供できる車両の割合は、道路上の車両の数に比べると小さい場合があるが、提供される情報は、広く利用され、高い信頼性を有しうる。
【0047】
図3は、車両内に配備された環境データを収集および利用するためのシステムの実施形態例を示す図300である。図300は、例示のためのものにすぎず、実際のシステムを描写する意図はない。図300は、4つの車線を有する道路302を含む。車両311、312、314、および、316が、第1車線を走行している。車両320、322、324、326、および、328が、第2車線を走行している。車両330、332、334、および、336が、第3車線を走行している。車両340、342、344、346、348、および、349が、第4車線を走行している。さらに、矢印が、各車両からのキャビン内環境データおよび外部環境データの伝達方向を示している。左側の矢印は、外部環境データの伝達を示し、右側の矢印は、キャビン内環境データの伝達を示している。矢印のない車両は、環境データを受信も送信もしていない。したがって、車両、318、322、326、328、336、340、348、および、349は、データを送受信していない。車両310は、(例えば、プラットフォーム102および202などの外部センサプラットフォームから)外部環境データを感知して送信しているが、キャビン内データについては受信するのみである。したがって、車両310は、キャビン内センサを全く備えていない可能性があるが、それでも、その環境の管理にキャビン内環境データを利用できる。車両314は、外部環境データを送受信しているが、キャビン内環境データについては全く送信も受信もしていない。したがって、車両314は、他のソースからのキャビン内環境データを提供するデータサービスに契約していない可能性がある。また、車両314は、キャビン内センサを持っていない可能性がある。逆に、車両324は、外部環境データおよびキャビン内環境データの両方を送受信している。車両324は、センサプラットフォーム102/202およびキャビン内センサ160/260の両方を備える。車両342は、外部環境データおよびキャビン内環境データを受信するのみである。車両342は、外部センサもキャビン内センサも全く備えていない可能性がある。このように、様々な構成のセンサおよびサブスクリプションが可能である。さらに、図300内の車両の特定の一部が、外部環境データおよび/またはキャビン内環境データを感知し、したがって送信しているが、別の実施形態において、車両の別の一部が、そうしてもよい。
【0048】
また、道路302は、部分304および306に分割されている様子が示されている。図の実施形態において、部分304および306は、異なる長さを有するように図示されている。別の実施形態において、道路が分割される一部または全部が、同じ長さを有してもよい。道路302のみが部分に分割されているのが図示されているが、いくつかの実施形態において、街区、個々の住所、または、その他の地理的区域などの領域が、同様に特定されてもよい。部分304および306は、環境データ(道路302を現在走行している/以前に走行した車両によって提供されたデータなど)に基づいて特定されてよい。いくつかの実施形態において、部分304および306は、特定の汚染または環境質の値を割り当てられる。道路部分304および306の環境質値、長さ、および、その他の特徴は、道路302を現在走行しているかまたは以前に走行した車両から収集された外部環境データ、道路302を現在走行しているかまたは以前に走行した車両からの位置データ(GPSデータなど)、エリア交通データ内の固定センサプラットフォーム(図示せず)、ならびに/もしくは、その他の情報、に基づいてよい。部分304および306に関連する情報が、上述のサブスクリプションサービスによって車両に提供されてよい。例えば、車両332は、外部環境データをサービスまたは他の車両に提供しないにもかかわらず、サブスクリプションを通して道路部分304および306の環境質情報を取得してよい。道路部分306が、低い環境質を割り当てられている一方で、道路部分304が、許容可能な外部環境質を有する場合、車両332が部分306へ移行する時に、車両332は、適切な軽減措置(換気システムの空気再循環を作動させるなど)を提供されてよい。
【0049】
図300に示すように、ごく一部の車両から受信されたデータが、より多数の車両の環境を監視するために利用されうる。さらに、これらの車両からの情報は、より多数の車両に軽減措置を提供するために利用されうる。すべての車両が監視システムを備える必要はない。その代わりに、比較的少ない数の車両上の比較的少ない数の測定プラットフォームが、多数の近くの車両に情報提供するために受信および利用される。用いられる車両は、自家用車(例えば、乗用車)、単一のエンティティによって所有されている車両(例えば、車両のフリート)、もしくは、センサプラットフォーム102/202および/またはキャビン内センサ160/260を運ぶことのできるその他の輸送メカニズム、であってよい。キャビン内空気質に対する環境条件(車両の外部および内部の両方)の影響が決定されてよい。外部環境データのマッピングは、さらに広くて深い範囲の道路上の空気質を提供してもよい。複数の車両(道路302上に示されている車両など)のセンサプラットフォーム102および/または202から受信されたデータが、分散測定を提供してもよい。さらに、環境データを車両に提供するシステムのコストが、より多数のユーザの間に分散されうる。
【0050】
図4は、環境データを収集および処理するための方法400の実施形態例を示すフローチャートである。方法400は、移動センサプラットフォーム(移動センサプラットフォーム102など)と、車両200とを利用してよい。例えば、方法400の一部が、図4では、車両200および/または複数の車両で実行されてよく、方法の一部が、サーバ150で実行されてよい。同様に、方法400のすべてが車両200で実行されてもよいし、方法400のすべてがサーバ150によって実行されてもよい。方法400は、システム100および車両200の文脈で説明されているが、他のシステムを用いて実行されてもよい。簡単のために、方法400のいくつかの部分のみが図示されている。順に示されているが、いくつかの実施形態において、処理は、並列で実行されてもよく、および/または、異なる順序で実行されてもよい。
【0051】
外部環境データが、工程402で受信される。受信される外部環境データは、1または複数の車両、移動センサプラットフォーム、および/または、固定センサプラットフォームからのセンサデータを含んでよい。例えば、移動センサプラットフォーム102または外部センサプラットフォーム202からのセンサデータが、サーバ150、処理ユニット140、または、環境マネージャ210で受信されてよい。キャビン内環境データが、工程404で受信される。キャビン内環境データは、1または複数の車両から受信されるセンサデータを含んでよい。このキャビン内環境データは、処理ユニット140、サーバ150、または、環境マネージャ210で受信されてよい。
【0052】
環境データ(例えば、キャビン内環境データおよび外部環境データ)は、工程406で、処理および解析される。いくつかの実施形態において、機械学習、計算知能、および/または、その他の処理ツールが利用されてよい。処理の一部として、センサデータが、工程406で、センサのドリフトまたは温度を考慮するように較正されてもよい。また、特定の公害物質または汚染物質の具体的なレベルも、工程406で決定される。例えば、特定のサイズのPMの百万分率(ppm)が、工程406で決定されてよい。いくつかの実施形態において、対応する環境質も、工程406で決定される。例えば、特定の公害物質または汚染物質のレベルは、そのレベルが閾値を満たしまたは超えるか否かを判定するために、1または複数の基準と比較されてよい。いくつかの実施形態において、環境の特性評価も決定される。例えば、NOレベルが、特定の閾値を超えている場合、環境質は、「悪い」と見なされてよい。NOレベルが、閾値と閾値との間にある場合、環境質は、「中間」と見なされてよい。NOレベルが、或る閾値を下回っている場合、環境質は、「良い」と見なされてよい。環境データは、工程408で提供される。例えば、環境データ内の特定の汚染物質のレベルが表示されてよく、環境質が表示されてよく、および/または、地域のレベルまたは質がマッピングされてよい。また、環境データは、軽減措置を決定する際に用いるために、車両(車両200など)に提供されてよい。いくつかの実施形態において、軽減措置は、サーバ150で決定され、利用に向けて車両(車両200など)に提供されてよい。いくつかの実施形態において、この情報の一部または全部が、リアルタイムまたは最小遅延で提供されうる。
【0053】
方法400を用いて、比較的少ない数の車両上の少ない数の測定プラットフォームから受信されるデータが、工程402で受信され、多数の近くの車両に情報提供するために受信および利用されうる。キャビン内空気質に対する環境条件(車両の外部および内部の両方)の影響が決定されてよい。外部環境データのマッピングは、さらに広くて深い範囲の道路上の空気質を提供してもよい。ほぼリアルタイムの予測および/または情報が提供されうる。したがって、軽減措置(例えば、空気の再循環および濾過をオンにする)も、ほぼリアルタイムで提供されうる。
【0054】
図5は、環境データを利用するための方法500の実施形態例を示すフローチャートである。方法500は、移動センサプラットフォーム(移動センサプラットフォーム102/202など)と、車両200とを利用してよい。例えば、方法500の一部が、車両200で実行されてよく、方法の一部が、サーバ150で実行されてよい。同様に、方法500のすべてが車両200で実行されてもよいし、方法500のすべてがサーバ150によって実行されてもよい。方法500は、システム100および車両200の文脈で説明されているが、他のシステムを用いて実行されてもよい。簡単のために、方法500のいくつかの部分のみが図示されている。順に示されているが、いくつかの実施形態において、処理は、並列で実行されてもよく、および/または、異なる順序で実行されてもよい。方法500も、或る特定の車両の文脈で説明されているが、複数の車両に一般化されることが可能である。
【0055】
外部環境データが、工程502で受信される。外部環境データは、車両の外の環境に関係する。外部環境データは、車両の外の公害物質または汚染物質(NO、CO、NO、O、SO、CO、CH、VOC、放射線、および、粒子状物質、など)の検出および測定値を含んでよい。外部環境データは、処理済みであってもよいし、生センサデータであってもよい。外部環境データは、車両上(例えば、センサプラットフォーム102/202上)のセンサから、または、その他の外部ソースから、受信されてよい。例えば、同じエリア内の他の車両が、外部ソースであってよい。いくつかの実施形態において、外部ソースであるためには、他の車両は、実質的に同じ時間に、例えば、100フィート(30.48メートル)といった特定の距離内に存在する必要がある。別の実施形態において、その他の距離が用いられてもよい。また、用いられる距離は、車両の速度に応じて変化してもよい。例えば、車両が速く走るほど、用いられる距離が長くなってよい。データが信頼できると見なされている場合、他の時間が用いられてもよい。例えば、前日の別の車両からの外部環境データが、工程502で受信されてもよい。他の外部ソースは、近くの固定センサプラットフォームおよび/または他のデータセットを含みうる。例えば、モデル化された空気質データ、環境保護庁からのデータ、または、その他のデータモデルが、工程502で受信される外部環境データのソースになってもよい。いくつかの実施形態において、外部環境データを受信する工程502は、工程502で、他のセンサからのデータおよび/またはその他の情報を受信し、その情報および/またはデータを用いて外部環境データの側面を推測する工程を含んでよい。
【0056】
キャビン内環境データが、工程504で受信される。キャビン内環境データは、車両の乗員室の中の環境に関係する。キャビン内環境データは、車両のキャビン内で測定された同じおよび/またはさらなる公害物質または汚染物質を含みうる。かかる汚染物質のソースは、運転手および乗員(例えば、呼気からのCO、喫煙由来の炭化水素)、車両(例えば、車両の表面(ダッシュボードなど)から放出する化合物)、ならびに、外部公害物質(例えば、車両の換気システムを通して入る公害物質)を含みうる。特に関心を持たれるのは、COおよびVOCでありうる。キャビン内環境データは、処理済みであってもよいし、生センサデータであってもよい。キャビン内環境データは、車両上(例えば、キャビン内センサ160/260上)のセンサから、または、その他の外部ソースから、受信されてよい。例えば、同じエリア内の他の車両が、外部ソースであってよい。いくつかの実施形態において、外部ソースは、方法500が実行されている車両と同様のメーカーおよび/またはモデルを有する車両に限定されてもよい。同様の距離およびタイミングの制限が、外部環境データに関して適用されてよい。キャビン内環境データの他の外部ソースは、ガス放出および/またはキャビン内環境へのその他の寄与因子についてその車両(または同様な車両)の車内を試験した車両の製造業者またはその他のエンティティを含みうる。キャビン内環境データは、車両のキャビン内の条件に関係しているが、車両の周囲の外部環境が、例えば、開いた換気システムを通して、キャビン内環境に影響を与える。いくつかの実施形態において、キャビン内データを受信する工程504は、他の情報を受信して、キャビン内環境データを推測する工程を含んでよい。かかるデータは、外部環境データ、および/または、車両内のさらなるセンサからのデータを含んでよい。例えば、シート利用情報および換気履歴(例えば、どれだけの期間、車両が換気していないか)が、キャビン内COおよびTVOC(総揮発性有機化合物)の推測レベルを決定するために利用されてよい。乗員の数は、利用中のシートベルトの数に関して受信された情報から、または、シート内の乗員の存在を示すエアバッグセンサの数から、決定されてよい。個人が単位時間あたりに吐くCOの平均量に、乗員の数と、車両の換気後に経過した時間とを掛けたものが、推測COレベルを算出するために利用可能である。同様に、キャビンに対する単位時間あたりのTVOCレベルに、車両の換気後に経過した時間を掛けたものが、推測TVOCレベルを算出するために利用可能である。かかる推測は、キャビン内センサがない場合に、または、工程502で受信された他の情報と併せて、利用されてよい。
【0057】
1または複数の軽減措置が、工程506で、キャビン内環境データおよび外部環境データに基づいて提供される。軽減措置は、キャビン内環境に関する問題に対処するために用いられる。軽減措置を提供する工程は、情報を提供する(例えば、高汚染のエリアを強調する地図を提供する)工程、軽減措置の推奨を提供する(例えば、車両の換気を要求し、1または複数の別のルートを表示し、および/または、新たなルートへの道順を提供する)工程、および/または、軽減措置を実行する(空気再循環を自動的にオンにし、フィルタを自動的に利用し、窓を自動的に開け、または、新たなルートへ自動的に向かう)工程を含んでよい。軽減措置は、即時であってもよいし、予測的であってもよい。例えば、即時軽減措置は、窓を開けて車両を換気することであってよい。予測的軽減措置は、エアフィルタの交換の推奨、または、車両で出かける前に取られるその他の措置を含んでよい。軽減措置が工程506の一部として自動的に実行される場合、キャビン内環境を調整し続けるために、フィードバックループが利用されてよい。例えば、車両が自動的に換気された場合に、フィードバックループが、汚染物質の量の変化およびそれに伴う環境質の変化に基づいて換気を制御するために、感知された様々な汚染物質の導関数を取ってよい。
【0058】
工程506で軽減措置を提供するために、環境データ(例えば、キャビン内環境データおよび外部環境データ)が、処理および解析される。いくつかの実施形態において、この処理の一部または全部が、移動センサプラットフォーム上の処理ユニットまたは車両に組み込まれた処理ユニットを用いて、車両で実行される。いくつかの実施形態において、処理の一部または全部が、サーバまたはその他のクラウドサービスを用いて、他の場所で実行されてもよい。いくつかの実施形態において、外部環境質および/またはキャビン内環境質が、工程506で決定される。また、工程506で、外部環境質および/またはキャビン内環境質は、基準と比較されてよい。いくつかの実施形態において、外部環境質およびキャビン内環境質は、工程506で軽減措置を提供するために比較される。例えば、キャビン内のCOレベルが決定され、運転手の認知を低下させることが知られているCOレベルの基準と比較されてよい。キャビン内のCOレベルが、これらのレベルを超えた場合、キャビンの換気がキャビン内環境質を改善するか否かを判定するために、キャビン内およびキャビン外のCOレベルが比較されてよい。外部のCOレベルがキャビン内のCOレベルよりも低い場合、キャビンを換気する軽減措置が提供される。いくつかの実施形態では、基準が利用されず、外部環境質とキャビン内環境質とを単に比較することで、提供される軽減措置を決定する。いくつかの実施形態において、他の条件(PMまたはVOCのレベルなど)が用いられてもよい。例えば、COレベルは、キャビンを換気することが望ましいことを示唆しうるが、外部環境データのPMレベルは、そうすることが安全ではないことを示唆しうる。かかる場合、提供される軽減措置は、空気再循環システムを作動し続けること、または、別のルートを選択すること、であってよい。いくつかの実施形態において、キャビン内環境質および外部環境質の決定は、異なるソースからのデータ(例えば、車両上に配置されたセンサ、および、外部ソースからのデータ)を処理し、データに重み付けすることを含んでよい。例えば、車両上のセンサからの環境データが、他の車両からのデータまたはその他のデータセットよりも高い重みを与えられてよい。いくつかの実施形態において、軽減措置は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで提供される。
【0059】
例えば、車両200は、工程502で、外部センサプラットフォーム202から外部環境データ(感知されたCOなど)を受信してよい。また、工程502で、車両200は、環境マネージャ210を介して、1または複数の周りの車両または固定センサプラットフォームからデータを受信してよい。工程504で、車両200は、キャビン内センサ260からキャビン内環境データ(感知されたCOなど)を受信してよい。また、工程504で、車両200は、環境マネージャ210を介して、車両200のメーカーおよびモデルに基づいた予測COレベルを受信してよい。いくつかの実施形態において、車両200は、車両200の外および中の測定COレベルを決定するために、センサプラットフォーム202およびキャビン内センサ260からの環境データを処理する。いくつかの実施形態において、車両200は、センサプラットフォーム202およびキャビン内センサ260からの環境データを別のサービス(サーバ150など)へ提供する。このサービスは、車両200の外および中の測定COレベルを決定してよい。また、サービスは、これらの測定COレレベルを車両200へ送り返してよい。工程506で、軽減措置が提供される。例えば、車両200のキャビン内の測定COレベルが特定の基準と比べて高く、車両200の外の測定COレベルが基準またはキャビン内のレベルと比べて低いと仮定する。これらの測定値は、外部環境データソース(例えば、他の車両、および、車両200の予測COレベルを示すデータセット)を用いて裏づけられたものであってよい。工程506で、車両200が換気されるべきであると判定される。いくつかの実施形態において、この判定は、処理ユニット140または車両200のプロセッサによってなされる。いくつかの実施形態において、この判定は、サーバ150など他の場所でなされ、環境マネージャ250を介して車両200へ提供される。工程506で、この換気命令は、ディスプレイ220を介してユーザへ提供されてもよいし、換気システム250を用いて自動的に実行されてもよい。
【0060】
別の例において、外部センサを持たない車両でも、キャビン内の空気質を管理可能でありうる。工程502で、例えば、外部環境データは受信されなくてよい。工程504で、高COレベルを示すキャビン内環境データが、受信(または、他の情報から推測)されうる。工程506で、軽減措置(車両の換気など)が提供されてよい。このように、介入(手動または自動)が提供されうる。後のデータが(COおよび/または別の公害物質による)空気質の悪化を示した場合、介入は、取り消されることができる。例えば、フィードバックループが利用され、軽減が自動的に実行されている場合に、COレベルを下げるために再循環を自動的に停止し(キャビンを換気し)、その後、別の公害物質の増加に応じて再開することができる。COレベルを下げるためにいくらかの汚染された空気を中に入れた後に、すみやかに再循環を再開することが有益である場合がある。車両のセンサペイロードに応じて、この手順は、外部環境についての情報なしになされうる。
【0061】
いくつかの実施形態において、キャビン内センサを持たない車両でも、キャビン内の空気質を管理可能でありうる。工程502で、高PMレベルを示す外部環境データが、受信(または、他の情報から推測)されうる。工程504で、キャビン内環境データは受信されなくてよい。工程506で、軽減措置(車両内での再循環をオンにするおよび/または窓を閉める、など)が提供されてよい。このように、介入(手動または自動)が提供されうる。後のデータが空気質の改善(例えば、車両の外のPMの減少)を示した場合、介入は、完全または分的に取り消されうる。例えば、フィードバックループが利用され、軽減が自動的に実行されている場合に、PMレベルを下げるために再循環を自動的にオンにし、その後、公害物質の減少に応じて停止する(キャビンを換気する)ことができる。これは、外部環境センサなしに達成されうる。
【0062】
別の例において、工程502で、車両200は、高COレベルを検出するセンサプラットフォーム202から外部環境データを受信してもよい。工程504で、高COレベルを示すキャビン内環境データが、キャビン内センサ260から受信されうる。走行している場合、工程506で提供される軽減措置は、車両200の乗員に通知するためのキャビン内警報であってよい。車両200が停車している場合、工程506で提供される軽減措置は、自動的にまたはユーザの指示に応じて起きるエンジン停止であってよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、方法500は、固定構造物(例えば、建物)の文脈で利用されてもよい。かかる実施形態では、キャビン内環境データが、構造物内の1または複数の区域から受信されてよい。次いで、軽減措置が、構造物の特定の区域に提供されてよい。さらに、建物の異なる区域に対して、異なる軽減措置が提供されてもよい。例えば、多人数の滞在者の居る閉じた無換気の部屋が高レベルのCOを有する場合があり、一方で、建物の第2部屋が高レベルのPMを有する場合がある。方法500を用いると、工程502で、車両、建物上の固定外部環境センサ、サブスクリプションサービス、他の固定センサプラットフォーム、データセット、モデル、または、その他のソースから受信された外部データが、建物の外のCOの低レベルとPMの高または中間レベルとを示しうる。工程504で受信されたキャビン内データが、第1部屋における高COレベルと、第2部屋における高PMレベルとを示す。工程506で、軽減措置が提供されてよい。いくつかの実施形態では、近くの構造物または車両からの外部データのみが利用される。ただし、構造物の内部のデータセットまたはモデルが利用されてもよい。工程506で提供される軽減措置は、第1部屋の換気(例えば、窓を開ける、または、空気再循環をオフにする)と、第2部屋の密閉(例えば、窓を閉める、または、空気再循環をオンにする)とを含んでよい。いくつかの実施形態において、第1部屋は、第1部屋における過度のPMレベルを防止するために、短期間のみ換気されてよい。このように、車両および/またはサブスクリプションサービスからのデータが、固定構造物のために方法500で利用されてよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のメカニズムの他の態様が、固定構造物の文脈で利用されてもよい。
【0064】
方法500を用いると、悪い環境質および/または環境危険因子に車両の乗員が暴露されることを軽減できる。さらに、方法500を用いると、サーバ(サーバ150など)に、車両からの測定データが提供されうる。したがって、特定の車両によって測定されたデータが、他の車両によって利用されうる。
【0065】
図6は、外部環境データを利用するための方法600の実施形態例を示すフローチャートである。方法600は、移動センサプラットフォーム(移動センサプラットフォーム102/202など)と、車両200とを利用してよい。例えば、方法600の一部が、車両200で実行されてよく、方法の一部が、サーバ150で実行されてよい。同様に、方法600のすべてが車両200で実行されてもよいし、方法600のすべてがサーバ150によって実行されてもよい。方法600は、システム100および車両200の文脈で説明されているが、他のシステムを用いて実行されてもよい。簡単のために、方法600のいくつかの部分のみが図示されている。順に示されているが、いくつかの実施形態において、処理は、並列で実行されてもよく、および/または、異なる順序で実行されてもよい。方法600も、或る特定の車両の文脈で説明されているが、複数の車両に一般化されることが可能である。
【0066】
外部環境データが、工程602で、車両上の1または複数のセンサから受信される。したがって、工程602は、センサ(センサプラットフォーム102および202上のセンサなど)が存在する車両に対して実行される。いくつかの実施形態において、工程602は、例えば、外部環境データセンサが車両上に存在しない場合、省略されてよい。
【0067】
外部環境データが、工程604で、外部ソースから受信される。例えば、他の車両上のセンサプラットフォーム(プラットフォーム102/202など)、固定センサステーション(ステーション103など)、または、外部環境データのためのその他の監視システムからの外部環境データが受信される。外部ソースからのデータが利用されないいくつかの実施形態において、工程604は省略されてよい。
【0068】
モデル化外部環境データが、工程606で受信される。いくつかの実施形態において、工程606は省略されてもよい。例えば、空気質モデルからのデータ、環境保護庁からのデータセット、車両排気データの代わりに用いられる交通データ、または、その他のデータセット。いくつかの実施形態において、工程606は、異なる時に実行されてもよい。例えば、データセットが、サーバ用のメモリ、もしくは、車両またはセンサプラットフォームにロードされた時。このように、工程602、604、および/または、606で、外部環境データが、様々な形態で受信されてよい。いくつかの実施形態において、工程602、604、および/または、606は、方法400または500の工程402または502と同様である。
【0069】
工程602、604、および/または、606で受信された外部環境データは、工程608で処理される。いくつかの実施形態において、工程608は、センサからの信号を較正し、格納し、その他に、利用可能な環境データに変換する工程を含んでよい。いくつかの実施形態において、工程608の少なくとも一部は、移動センサプラットフォーム上の処理ユニットおよび/または車両の一部であるプロセッサによって実行される。いくつかの実施形態において、工程608の少なくとも一部は、サーバまたはその他の同様なシステムによって実行される。例えば、限られた信号処理、これらの信号と所定の閾値との比較、および、モデルへのデータ入力が、移動センサプラットフォーム(プラットフォーム102および202など)で実行されてよい。さらなる処理、意思決定、および/または、その他の動作が、サーバ(サーバ102/202など)で実行されてよい。例えば、データは、センサデータの外部ソースの位置(対応する車両または固定センサプラットフォームまでの距離)、外部環境データに対応するセンサの使用年数、センサの耐用年数、センサの最後の較正からの期間、車速、外部環境データを提供する特定の距離内の車両の数、モデル化データの信頼性、および/または、その他の要因、に基づいて、重み付けされてよい。
【0070】
外部データに基づいて、対応する車両の外部環境質が、工程610で決定される。例えば、センサおよび/またはモデルからの外部環境データが、基準、モデル化データ、および/または、他の車両またはセンサプラットフォームによって取られた測定値と比較されてよい。いくつかの実施形態において、モデル化データまたはその他のデータセットが、センサデータに加えてまたは代わりに用いられてもよい。例えば、車両が、データの処理のためにサーバと通信できない場合、または、処理が、何らかの理由で十分に遅延する場合、車両は、その地域について格納されている外部環境データのデータセットを用いて、外部環境質を評価してもよい。この外部環境質は、軽減措置を提供するか否かを決定するため、情報をユーザまたはその他の個人へ提供するため、および/または、その他の目的のために、利用されてよい。このように、危険(大気汚染など)の監視および軽減が改善されうる。
【0071】
図7は、キャビン内環境データを利用するための方法の実施形態例を示すフローチャートである。方法700は、移動センサプラットフォーム102上のキャビン内センサ(キャビン内センサ160など)、その他のキャビン内センサ260、および/または、車両のキャビン内の環境についてのデータを取得するためのその他のメカニズムを用いてよい。方法700の一部が、車両200で実行されてよく、方法の一部が、サーバ150で実行されてよい。同様に、方法700のすべてが車両200で実行されてもよいし、方法700のすべてがサーバ150によって実行されてもよい。方法700は、システム100および車両200の文脈で説明されているが、他のシステムを用いて実行されてもよい。簡単のために、方法700のいくつかの部分のみが図示されている。順に示されているが、いくつかの実施形態において、処理は、並列で実行されてもよく、および/または、異なる順序で実行されてもよい。方法700も、或る特定の車両の文脈で説明されているが、複数の車両に一般化されることが可能である。
【0072】
キャビン内環境データが、工程702で、車両上の1または複数のセンサから受信される。したがって、工程702は、センサ(キャビン内センサ160および/または260など)が存在する車両に対して実行される。いくつかの実施形態において、工程702は、例えば、外部環境データセンサが車両上に存在しない場合、省略されてよい。
【0073】
キャビン内環境データが、工程704で、外部ソースから受信される。例えば、他の車両上のキャビン内センサ(例えば、センサ160/260)またはキャビン内環境データを監視するためのその他のシステムからのキャビン内環境データが受信される。外部ソースからのキャビン内環境データが利用されないいくつかの実施形態において、工程704は省略されてよい。
【0074】
モデル化キャビン内環境データが、工程706で受信される。いくつかの実施形態において、工程706は省略されてもよい。例えば、キャビン構成要素のガス放出のシミュレーションおよび/またはキャビン内環境のモデルからのデータが受信されてよい。いくつかの実施形態において、工程706は、異なる時に実行されてもよい。例えば、データセットが、サーバ用のメモリ、もしくは、車両またはセンサプラットフォームにロードされた時。このように、工程702、704、および/または、706で、キャビン内環境データが、様々な形態で受信されてよい。いくつかの実施形態において、工程702、704、および/または、706は、方法400または500の工程404または504と同様である。
【0075】
工程702、704、および/または、706で受信されたキャビン内環境データは、工程708で処理される。いくつかの実施形態において、工程708は、センサからの信号を較正し、格納し、その他に、利用可能な環境データに変換する工程を含んでよい。いくつかの実施形態において、工程708の少なくとも一部は、移動センサプラットフォーム上の処理ユニットおよび/または車両の一部であるプロセッサによって実行される。いくつかの実施形態において、工程708の少なくとも一部は、サーバまたはその他の同様なシステムによって実行される。例えば、限られた信号処理、これらの信号と所定の閾値との比較、および、モデルへのデータ入力が、移動センサプラットフォーム(プラットフォーム102および202など)で実行されてよい。さらなる処理、意思決定、および/または、その他の動作が、サーバ(サーバ102/202など)で実行されてよい。例えば、外部ソースからのデータは、特異性(例えば、他の車両内での喫煙、および/または、他の車両の多人数の乗員)について補正されてよく、データは、センサデータの外部ソースの位置(対応する車両または固定センサプラットフォームまでの距離)、外部環境データに対応するセンサの使用年数、センサの耐用年数、センサの最後の較正からの期間、車速、外部環境データを提供する特定の距離内の車両の数、モデル化データの信頼性、および/または、その他の要因、に基づいて、重み付けされてよい。
【0076】
キャビン内データに基づいて、対応する車両のキャビン内環境質が、工程710で決定される。いくつかの実施形態において、センサおよび/またはモデルからのキャビン内環境データは、工程708または710の一部として特異性を補正されてよい。例えば、外部ソースである車両内で誰かが喫煙していることが、外部ソースで検出された煙草の煙の中の公害物質のタイプに基づいて決定されてよい。これらの公害物質のレベルは、工程708または710で外部ソースからのキャビン内環境データを処理または利用する時に、下方調整されてよい。他の特異性が、外部ソースにおける他のセンサに基づいて考慮されてもよい。例えば、他の車両/他のソースにおける乗員の数、もしくは、他の特徴が、外部ソースで検出されたCOを処理または利用する際に考慮されることを望まれてもよい。外部ソースにおいて利用されているシートベルトまたは作動されているエアバッグセンサの数が、乗員の数の代わりに用いられてよい。空気循環が車両/外部ソースで行われた時間が利用されてもよい。この情報は、工程710でキャビン内環境質を決定する際、または、工程708でキャビン内環境データを処理する際に、外部ソースからのCOレベルを調整するために用いられてよい。また、キャビン内環境データは、基準、モデル化データ、および/または、他の車両またはセンサプラットフォームによって取られた測定値と比較されてもよい。いくつかの実施形態において、モデル化データまたはその他のデータセットが、センサデータに加えてまたは代わりに用いられてもよい。例えば、車両が、データの処理のためにサーバと通信できない場合、または、処理が、何らかの理由で十分に遅延する場合、車両は、その地域について格納されている外部環境データのデータセットを用いて、外部環境質を評価してもよい。この外部環境質は、例えば、軽減措置を提供するか否かを決定するため、情報をユーザまたはその他の個人へ提供するため、および/または、その他の目的のために、利用されてよい。このように、危険(大気汚染など)の監視および軽減が改善されうる。
【0077】
図8は、軽減措置を提供するための方法800の実施形態例を示すフローチャートである。方法800は、方法500、600、および/または、700と共に用いられてよい。方法800の一部が、車両200で実行されてよく、方法の一部が、サーバ150で実行されてよい。同様に、方法800のすべてが車両200で実行されてもよいし、方法800のすべてがサーバ150によって実行されてもよい。方法800は、システム100および車両200の文脈で説明されているが、他のシステムを用いて実行されてもよい。簡単のために、方法800のいくつかの部分のみが図示されている。順に示されているが、いくつかの実施形態において、処理は、並列で実行されてもよく、および/または、異なる順序で実行されてもよい。方法800も、或る特定の車両の文脈で説明されているが、複数の車両に一般化されることが可能である。いくつかの実施形態において、方法800は、方法500の工程506で用いられてよい。特定の状況に対して決定される軽減措置(車両の換気または車両内の空気の再循環、など)は、すでに決定されている。
【0078】
1または複数の軽減措置が、工程802で、ユーザに対して表示されてよい。例えば、ユーザは、聴覚的に、視覚的に、または、それら両方の方法で、措置を通知されてよい。また、ユーザは、工程804で、軽減措置を選択することを許されてよい。単一の軽減措置が工程802で表示された場合、ユーザは、工程804で、単に、その軽減措置を承認または否認することを許されてよい。複数の軽減措置が工程802で表示された場合、ユーザは、これらの軽減措置から選択してもよいし、措置を取らなくてもよい。次いで、軽減措置は、工程806で実行されてよい。軽減措置が自動的に実行される場合、いくつかの実施形態において、工程802および/または804は省略されてよい。したがって、軽減措置は、自動的に実行されてよい。ユーザは、措置が取られたことを通知されてよい。いくつかの実施形態において、工程806は、フィードバックループを用いて、キャビン環境の変化に適応する工程を含む。例えば、キャビン内環境が変化するにつれて、軽減措置が更新されてよい。
【0079】
例えば、キャビン内のCOレベルが高すぎると判定されうる。工程802で、オプション(窓を開ける、空気再循環をオフにする、および/または、換気システムにフィルタを導入する、など)が、ディスプレイ220上でユーザへ表示されてよい。ユーザは、工程806で、空気再循環をオフにし、車両200の窓を開けることを選択してよい。これらの軽減措置は、工程806で、環境マネージャ210および換気システム250を用いて自動的に実行されてもよい。いくつかの実施形態において、車両の1または複数の乗員が、軽減措置を実施する。いくつかの実施形態において、フィードバックループが、COレベルの導関数を取る。導関数の値は、COレベルの変化が所望の通りであるか否かを示す。COレベルの変化に基づいて、他の措置が取られてもよい。例えば、COレベルが下がるまで、窓が部分的または完全に閉じられてよく、および/または、空気再循環が定期的に実施されてよい。
【0080】
このように、方法800を用いると、キャビン内の空気質を改善するために決定された軽減措置が、ユーザに提供され、利用に向けて選択され、実施されうる。したがって、キャビン内の環境質が改善されうる。したがって、ユーザの健康への悪影響が少なくなりうる。
【0081】
図9は、環境センサを較正するための方法900の実施形態例を示すフローチャートである。方法900は、方法500、600、700、および/または、800と共に用いられてよい。方法900の一部が、車両200で実行されてよく、方法の一部が、サーバ150で実行されてよい。同様に、方法900のすべてが車両200で実行されてもよいし、方法800のすべてがサーバ150によって実行されてもよい。方法900は、システム100および車両200の文脈で説明されているが、他のシステムを用いて実行されてもよい。簡単のために、方法900のいくつかの部分のみが図示されている。順に示されているが、いくつかの実施形態において、処理は、並列で実行されてもよく、および/または、異なる順序で実行されてもよい。方法900も、或る特定の車両の文脈で説明されているが、複数の車両に一般化されることが可能である。いくつかの実施形態において、方法900は、キャビン内環境センサおよび/または外部環境センサのために利用されてよい。
【0082】
車両センサが古くなるにつれて、センサからのデータの信頼性が低くなりうる。例えば、特定のセンサによって出力される値がドリフトし、および/または、センサの温度依存性が顕著になる場合がある。センサの従来の較正が利用されてよいが、データ品質を保証するためのさらなるメカニズムの利用が望まれうる。したがって、他のセンサまたは他の車両からの環境データが、方法900を用いて車両上のセンサからのデータを調整すなわち「較正」するために用いられてよい。
【0083】
環境センサデータが、工程902で受信される。いくつかの実施形態において、工程902は、方法700または800のそれぞれの工程702または802と同様である。したがって、車両で測定された外部データまたはキャビン内データが受信される。他のソース(例えば、外部ソース、または、同じ車両における別のセンサ)からの環境データも、工程904で受信されてよい。したがって、工程904は、工程604または704と同様であってよい。
【0084】
車両上の1または複数のセンサが、工程906で較正される。いくつかの実施形態において、工程906は、他の(例えば、外部の)ソースからのデータを用いて、車両センサからのデータを更新する工程を含む。したがって、キャビン内センサ、他の車両上の他の外部センサプラットフォーム、および/または、固定センサプラットフォームからの環境データが、工程906でセンサからのデータを調整するために用いられてよい。いくつかの実施形態において、特定のセンサのための較正データも用いられてよい。センサが古くなった時、工程906で、より新しいセンサからのデータが、より古いセンサからのデータを補正するために用いられてよい。したがって、較正の特性および頻度は、センサの使用年数、センサの耐用年数、交換品の入手可能性、および、センサを交換する能力、などの要因に依存しうる。例えば、近くの車両のより新しい同様のセンサからのデータが、車両のセンサからの環境データと比較されてよい。車両のセンサからの信号は、1または複数の他の車両内の他のより新しいまたはより最近に較正された1または複数のセンサの信号に近くなるように調整されてよい。一部の例では、より新しい近くの1または複数のセンサからのデータが、車両のセンサからのデータと置き換わってもよい。いくつかの実施形態において、センサは、定期的に交換されてもよい。
【0085】
例えば、車両200内のキャビン内センサ260がCOセンサを含むと仮定する。このCOセンサは、アクセスが困難でありえ、時間と共にドリフトしうる。さらに、COセンサは、長期間(5年間以上など)にわたって車両200内にあり続けると予想されうる。かかるCOセンサは、配備された際にそれに関連付けられた既知の較正係数を有しうるが、これらの較正係数は、時間と共に変化しうる。したがって、方法900を用いると、COセンサからのセンサデータが、工程902で受信される。その地域における他の車両の他のCOセンサからのデータも、工程904で受信される。これらの他のCOセンサは、同等のものであるが、様々な理由で、より信頼性が高い可能性がある。例えば、COセンサは、より最近に較正されていてよく、および/または、より新しいセンサである。さらに、かかるCOセンサは、車両200のCOセンサと同じタイプであることを知られているか、または、そうでなくても同等のものである。したがって、これらのCOセンサからのデータが、工程906で、センサからのCOデータを調整するために用いられる。例えば、COセンサが、より高いCOレベルに対応する信号にドリフトする傾向を持ち、他の車両上の他のCOセンサからのデータが、より低いCOレベルに対応する場合、車両200上のCOセンサからのデータは、工程906で下方調整される。このように、車両が、同様の状態で作動しているCOセンサを備えた別の車両の近くにある場合、COの値は、同様であるはずであり、方法900で用いられてよい。しかしながら、キャビン内のCOレベルは、車両が互いに近くにあっても、異なる車両では異なりうる。例えば、車両は、異なる数の乗員および/または異なる換気戦略を有しうる。かかる状況では、予測される値が非常に異なるため、他のセンサからのデータは、利用されなくてよい。したがって、方法900は、別の時に実行されてよい。別の実施形態において、データは、最初に、後述のように特異性について補正され、その後、方法900で利用されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、方法900の較正は、近くのセンサが同じものであることを信じる理由がある場合に実行される。例えば、車両が、積極的に換気され、または、最近オンにされたばかりである場合、車両のキャビン内COセンサが、車両(または、近くの別の車両)の外部COセンサと同様の値を有すると予測できる。したがって、工程902で、キャビン内COセンサからのデータが受信される。工程904で、外部COセンサからのデータが受信される。工程906で、外部COセンサからのデータは、キャビン内COセンサを較正するために用いられてよい。別の実施形態において、方法900を用いて、或る期間(例えば、1週間)にキャビン内センサによって観察された最小値が、同様の時間枠に他の同様の車両(より新しいセンサを備える)の最小値と比較される。かかる実施形態において、例えば、その期間中のキャビン内センサの最小CO値が、工程902で受信される。1または複数の他の同様な車両の1または複数のキャビン内センサの1または複数の最小値が、工程904で受信される。工程906で、これらの最小値は比較され、差が考慮され、キャビン内センサが較正される。
【0087】
方法900を用いると、通常の較正手順に利用できない可能性のある車両内のセンサのデータが、変動(センサの使用年数によるドリフトなど)を考慮するために較正されうる。方法900は、キャビン内環境データセンサにも外部環境データセンサにも実行されてよい。したがって、より古いセンサからの環境データの信用性および信頼性が維持されうる。
【0088】
図10図11は、通知を提供するためのシステム1000および1100の実施形態例を示す図である。図10は、リアルタムまたはほぼリアルタイムで換気通知を提供するためのシステムを示している。システム1000は、ダッシュボード1002上に取り付けられており、ディスプレイ1005を備える。また、図の実施形態において、ディスプレイ1005は、地図と、車両の位置および方向を示すポインタ(矢形の四角形)と、を含む。情報が、ディスプレイ1005上に提供されている。さらに、換気通知1010が提供されている。換気通知1010は、推奨または実行されている軽減を示す。例えば、換気通知1010は、キャビン内環境データに基づいて、車両の窓が自動的に開かれる場合、または、車両キャビンの換気が推奨される場合に、表示されてよい。
【0089】
図11は、リアルタムまたはほぼリアルタイムでナビゲーション通知を提供するためのシステムを示している。システム1100は、ダッシュボード1102上に取り付けられており、ディスプレイ1005を備える。また、図の実施形態において、ディスプレイ1105は、地図と、車両の位置および方向を示すポインタ(矢形の四角形)と、を含む。情報が、ディスプレイ1105上に提供されている。さらに、ナビゲーション通知1110が提供されている。ナビゲーション通知1110は、ルートに関連する軽減が推奨または実行されていることを示す。例えば、ナビゲーション通知1110は、車両がルートを変更すべき場合に表示されてよい。例えば、 図11に示す実施形態において、ルートの部分が、実線1120および1150、破線1130、ならびに、点線1140で示されている。実線1120は、低レベルまたは許容可能なレベルの特定の公害物質を持つルートを示す。破線1130は、より高いレベルを示す。点線1140は、最も高いレベルを示す。これらの地域の一部は、1または複数の道路部分(図3に関して論じた道路部分304および306など)に対応する。したがって、ナビゲーション通知1110は、地域1130および1140を通る現在のルートから、ルート1150への変更を提案してよい。ユーザが、このルートへの変更に従うように車両を運転してもよいし、車両が、自動的にルートを変更してもよい。このように、ユーザは、軽減措置を通知され、かかる措置を取りうる。さらに、現在の走行のための情報が、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで車両のユーザに提供されてよい。
【0090】
図12図15は、通勤情報を提供するためのシステムの実施形態例を示す図である。図12図15は、単に例示を目的とした図である。図12は、車両およびその乗員が進む通勤ルートが表示され、汚染のレベルが視覚的に示されている地図1200を示す。例えば、ルートの異なる部分が、様々なPMレベルを示す実線、点線、および、破線で強調される。いくつかの実施形態において、異なるPMレベルを強調するために、異なる色またはその他のメカニズムを用いてよい。このように、ホットスポットが特定されうる。かかるホットスポットは、比較的高い濃度の対象成分を有し、例えば、ブラックカーボンなどの汚染または高COなどの条件を有する。その地域のホットスポット(例えば、サイズ、形状、位置、数)およびその他の特徴に基づいて、移動センサシステムおよび固定センサシステムを組み合わせて配備してよい。ホットスポットは、地図1200内に円で示されている。テキストの例も提供されている。
【0091】
図13は、通勤の2方向が示されている地図1300を示す。通勤の方向は、矢印で示されている。いくつかの実施形態において、ルートの一部が、ルートの特定の部分にユーザの注意を引くために強調されてよい。例えば、高レベルの公害物質を有するルートの部分が、赤で、より太い線で、および/または、異なる線の形態で、描かれてよい。テキストの例も提供されている。図14図15は、車外の(外部の)PMレベルおよび車内の(キャビン内の)PMレベルを2つの異なる日でそれぞれ比較している地図1400および1500をそれぞれ示す。ルートが示されている。いくつかの実施形態において、ルートの一部が、比較的高いレベルの特定の公害物質にユーザの注意を引くために強調されてよい。テキストの例も提供されている。地図1200、1300、1400、および、1500に基づいて、ユーザは、通勤中に様々な公害物質への暴露をより良く理解できる。次いで、十分に高いレベルの公害物質に関する問題に対処するための措置が取られてよい。このように、ユーザの健康および認知が、維持または改善されうる。
【0092】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示されている実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
外部環境データを受信し、
キャビン内環境データを受信し、
前記外部環境データおよび前記キャビン内環境データに基づいて、車両のキャビン内環境に対する軽減措置を提供すること、
を備える、方法。
【外国語明細書】