(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092714
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】注出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/36 20060101AFI20240701BHJP
B65D 47/12 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65D47/36 210
B65D47/12 200
B65D47/12 BRH
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208837
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB01
3E084EB02
3E084EB04
3E084EC03
3E084EC04
3E084FA09
3E084FB02
3E084FC07
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB01
3E084GB08
3E084HB02
3E084HD04
3E084LA03
3E084LA06
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】容器本体と注出キャップとを分別することなくリサイクルすることが可能な注出容器を提供することである。
【解決手段】容器本体10と注出キャップ20とを有する注出容器1であって、注出キャップ20が、キャップ本体21と、オーバーキャップ22と、ノズル21aの内周面に嵌合する第1嵌合筒部23aと口部11の内周面に嵌合する第2嵌合筒部23bと第1嵌合筒部23aの内周面に一体に連ねて設けられた閉塞壁部23cと閉塞壁部23cの上面に一体に連ねて設けられた摘まみ部23dと閉塞壁部23の摘まみ部23dと第1嵌合筒部23aとの間に設けられた薄肉部23eとを備えた中栓部材23と、を有し、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22が同一の第1の合成樹脂材料により形成され、中栓部材23が第1の合成樹脂材料よりも軟質の第2の合成樹脂材料により形成されていることを特徴とする注出容器1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を備えた容器本体と、前記口部に装着された注出キャップとを有する注出容器であって、
前記注出キャップが、
筒状のノズルを備え、前記口部に装着されたキャップ本体と、
前記キャップ本体に開閉自在に装着され、前記ノズルを覆うオーバーキャップと、
前記ノズルの内周面に全周に亘って嵌合する第1嵌合筒部と、前記第1嵌合筒部に一体に連ねて設けられ、前記口部の内周面に全周に亘って嵌合する第2嵌合筒部と、前記第1嵌合筒部の内周面に全周に亘って一体に連ねて設けられた閉塞壁部と、前記閉塞壁部の上面に一体に連ねて設けられた摘まみ部と、前記閉塞壁部の前記摘まみ部が連なる部分と前記第1嵌合筒部との間に設けられた薄肉部と、を備え、前記ノズルを閉塞するとともに前記摘まみ部を引き上げ操作することで前記薄肉部を破断しつつ前記キャップ本体から取り外し可能に構成された中栓部材と、を有し、
前記容器本体、前記キャップ本体及び前記オーバーキャップが同一の第1の合成樹脂材料により形成され、前記中栓部材が前記第1の合成樹脂材料よりも軟質の第2の合成樹脂材料により形成されていることを特徴とする注出容器。
【請求項2】
前記第1の合成樹脂材料がポリエチレンテレフタレート樹脂である、請求項1に記載の注出容器。
【請求項3】
前記第2の合成樹脂材料がポリエチレン樹脂である、請求項2に記載の注出容器。
【請求項4】
前記オーバーキャップが、前記第1嵌合筒部の上端に対向するストッパー筒部を備えている、請求項1~3の何れか1項に記載の注出容器。
【請求項5】
前記ノズルの内周面に係止突起が一体に設けられ、
前記第2嵌合筒部の外周面に前記係止突起に係止可能な被係止突起が一体に設けられている、請求項1~3の何れか1項に記載の注出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部を備えた容器本体と、口部に装着された注出キャップとを有する注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
食用油、醤油やドレッシング等の液状調味材などの液状の内容物を収納する容器として、口部を備えた容器本体と、口部に装着された注出キャップとを有する注出容器が多く用いられている。
【0003】
従来、このような注出容器として、注出キャップが、ノズルを備えて口部に装着されたキャップ本体と、キャップ本体に開閉自在に装着されてノズルを覆うオーバーキャップとを有するとともに、ノズルの内側に薄肉部を介してノズルを閉塞する閉塞壁部が一体に連ねて設けられることで流通時等の使用前においては未開封状態とされており、使用の際には、閉塞壁部に一体に設けられたプルリングなどの摘まみ部を引上げ操作することで閉塞壁部をノズルから引きちぎって開封することができるとともに、開封後にはオーバーキャップによりノズルを開閉するように構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の注出容器では、容器本体として透明性が高く軽量なポリエチレンテレフタレート製のボトル(所謂PETボトル)が多く用いられている。これに対し、注出キャップは、摘まみ部の引上げ操作によって閉塞壁部がノズルから引きちぎられる構成であるため、例えばポリエチレン樹脂などの比較的軟質の合成樹脂材料で形成される。
【0006】
そのため、従来の注出容器では、容器本体と注出キャップとが異なる合成樹脂材料で形成される場合が多く、リサイクル(再利用)の際に、注出キャップを容器本体の口部から取り外して分別する作業が必要になるという問題点があった。
【0007】
これに対し、容器本体をポリエチレンテレフタレート製としつつ注出キャップもポリエチレンテレフタレート製とすることが考えられるが、この構成では、注出キャップが硬くなって、打栓によって注出キャップを口部に装着することが困難になるという問題が生じることになる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器本体と注出キャップとを分別することなくリサイクルすることが可能な注出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の注出容器は、口部を備えた容器本体と、前記口部に装着された注出キャップとを有する注出容器であって、前記注出キャップが、筒状のノズルを備え、前記口部に装着されたキャップ本体と、前記キャップ本体に開閉自在に装着され、前記ノズルを覆うオーバーキャップと、前記ノズルの内周面に全周に亘って嵌合する第1嵌合筒部と、前記第1嵌合筒部に一体に連ねて設けられ、前記口部の内周面に全周に亘って嵌合する第2嵌合筒部と、前記第1嵌合筒部の内周面に全周に亘って一体に連ねて設けられた閉塞壁部と、前記閉塞壁部の上面に一体に連ねて設けられた摘まみ部と、前記閉塞壁部の前記摘まみ部が連なる部分と前記第1嵌合筒部との間に設けられた薄肉部と、を備え、前記ノズルを閉塞するとともに前記摘まみ部を引き上げ操作することで前記薄肉部を破断しつつ前記キャップ本体から取り外し可能に構成された中栓部材と、を有し、前記容器本体、前記キャップ本体及び前記オーバーキャップが同一の第1の合成樹脂材料により形成され、前記中栓部材が前記第1の合成樹脂材料よりも軟質の第2の合成樹脂材料により形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の注出容器は、上記構成において、前記第1の合成樹脂材料がポリエチレンテレフタレート樹脂であるのが好ましい。
【0011】
本発明の注出容器は、上記構成において、前記第2の合成樹脂材料がポリエチレン樹脂であるのが好ましい。
【0012】
本発明の注出容器は、上記構成において、前記オーバーキャップが、前記第1嵌合筒部の上端に対向するストッパー筒部を備えているのが好ましい。
【0013】
本発明の注出容器は、上記構成において、前記ノズルの内周面に係止突起が一体に設けられ、前記第2嵌合筒部の外周面に前記係止突起に係止可能な被係止突起が一体に設けられている、のが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器本体と注出キャップとを分別することなくリサイクルすることが可能な注出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る注出容器の正面視での断面図である。
【
図2】
図1に示す注出容器の、注出キャップの部分の拡大断面図である。
【
図3】
図2に示す注出容器の、範囲Aの拡大断面図である。
【
図4】
図1に示す注出容器の、オーバーキャップを取り外した状態における平面図である。
【
図5】
図1に示す注出容器の、オーバーキャップ及び中栓部材をキャップ本体から取り外した状態における、注出キャップの部分の拡大断面図である。
【
図6】
図1に示す注出容器の、中栓部材をキャップ本体から取り外した後、オーバーキャップをキャップ本体に装着した状態における、注出キャップの部分の拡大断面図である。
【
図7】変形例に係る注出キャップが装着された注出容器の、注出キャップの部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る注出容器について詳細に例示説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る注出容器1は、容器本体10と注出キャップ20とを有している。容器本体10は口部11を備え、注出キャップ20は口部11に装着されている。注出容器1は、例えば食用油、醤油やドレッシング等の液状調味材などの液状の内容物を収納する容器として使用することができる。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲において、上下方向は、注出容器1を、
図1に示す正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとする。また、径方向は、口部11の軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。さらに、周方向は軸線Oを中心とした周方向を意味するものとする。
【0019】
本実施形態では、容器本体10は、円筒状の口部11の下端に有底筒状の胴部12が一体に連なるボトル形状となっている。
図2に示すように、口部11の上端側部分には、径方向外側に向けて突出するとともに周方向に延びる円環状の係止突起11aが一体に設けられている。また、口部11の係止突起11aの下方側部分には、径方向外側に向けて突出するとともに周方向に延びる円環状のネックリング11bが一体に設けられている。さらに、口部11の係止突起11aが設けられた部分における内周面は、口部11の他の部分における内周面11cよりも大径の拡径内周面11dとなっている。
【0020】
図2に示すように、注出キャップ20は、キャップ本体21、オーバーキャップ22及び中栓部材23を有している。
【0021】
キャップ本体21は筒状のノズル21aを備えており、口部11に装着されている。
【0022】
より具体的には、キャップ本体21は、口部11よりも大径の円筒状の装着筒部21bを備えている。装着筒部21bは、下端側の内周面に、径方向内側に向けて突出する被係止突起21cを一体に備えており、口部11に打栓されることで、被係止突起21cが口部11の係止突起11aにアンダーカット係合した状態となって口部11の外側に嵌合保持されている。
【0023】
ノズル21aは軸線Oを中心とした円筒状となっている。ノズル21aは、装着筒部21bの上端に一体に連なるフランジ部21dを介して装着筒部21bに一体に連結している。ノズル21aは、フランジ部21dよりも下方側からフランジ部21dよりも上方側に向けて軸線Oに沿って延びている。ノズル21aのフランジ部21dよりも下方側の部分は、口部11の拡径内周面11dに全周に亘って液密に嵌合している。一方、ノズル21aのフランジ部21dよりも上方側の部分は、その外周面に雄ねじ21eを一体に備えている。また、ノズル21aの上端には、下方から上方に向けて徐々に拡径するようにカールしたリップ部21fが一体に設けられている。さらに、ノズル21aの下端部における内周面には、径方向内側に向けて突出するとともに周方向に延びる円環状の係止突起21gが一体に設けられている。係止突起21gは、上向きで軸線Oに垂直な係止面を備えた楔形状である。ノズル21aの内径は口部11の拡径内周面11d以外の部分の内周面11cよりも大径であるとともに下方から上方に向けて僅かに拡径するテーパー状となっている。
【0024】
オーバーキャップ22は、キャップ本体21に開閉自在に装着され、ノズル21aを覆っている。
【0025】
より具体的には、オーバーキャップ22は、軸線Oを中心とした円筒状の周壁部22aと、周壁部22aの上端に連なる天壁部22bとを一体に有する有頂円筒状となっている。周壁部22aはノズル21aよりも大径となっており、その内周面には雌ねじ22cが一体に設けられている。また、天壁部22bの下面には、周壁部22aと同軸の円筒状のシール壁部22dが一体に設けられている。シール壁部22dの外径は、ノズル21aの内径と同一または僅かに大径となっている。
【0026】
オーバーキャップ22は、雌ねじ22cをノズル21aの外周面に設けられた雄ねじ21eにねじ結合させることで、ノズル21aの外周面においてキャップ本体21に着脱自在に装着されている。オーバーキャップ22がキャップ本体21に装着されると、ノズル21aの開口部分がオーバーキャップ22に覆われるとともにシール壁部22dがノズル21aの内周面に全周に亘って液密に嵌合する。これにより、ノズル21aはオーバーキャップ22により閉じられた状態となる。一方、オーバーキャップ22は、ノズル21aに対して緩み方向(平面視で半時計回り)に回転させることで、雌ねじ22cの雄ねじ21eに対するねじ結合を解除して、ノズル21aすなわちキャップ本体21から取り外すことができる。後述するように中栓部材23がノズル21aから取り外された後、オーバーキャップ22がキャップ本体21から取り外されると、ノズル21aは内容物を注出可能な開いた状態となる。
【0027】
オーバーキャップ22は、ストッパー筒部22eを備えている。本実施形態では、ストッパー筒部22eは、シール壁部22dと同軸の円筒状であり、シール壁部22dの下端に一体に連ねて設けられている。なお、ストッパー筒部22eの外径はノズル21aの内径よりも小さくなっており、ノズル21aの内周面に当接しない構成とされている。
【0028】
なお、本実施形態では、オーバーキャップ22は、ねじ結合によってキャップ本体21に開閉自在に装着された構成とされているが、これに限らず、打栓(突起を用いたアンダーカット係合)によってキャップ本体21に開閉自在に装着された構成としてもよい。また、オーバーキャップ22は、ヒンジを介してキャップ本体21に一体に連結され、ヒンジを中心とした回動によって開閉される構成(ヒンジキャップ)としてもよい。
【0029】
中栓部材23は、第1嵌合筒部23a、第2嵌合筒部23b、閉塞壁部23c、摘まみ部23d及び薄肉部23eを一体に備えている。
【0030】
第1嵌合筒部23aは、ノズル21aよりも小径の円筒状となっており、
図3に示すように、ノズル21aの係止突起21gの部分の内周面に全周に亘って液密に嵌合している。また、第1嵌合筒部23aすなわち中栓部材23は、その外周面に設けられた円環状の突起部分23fがノズル21aの内周面に設けられた係止突起21gに上方側から係合して係止されることで、ノズル21aに対する下方への移動が規制されている。さらに、第1嵌合筒部23aすなわち中栓部材23は、オーバーキャップ22に設けられたストッパー筒部22eが第1嵌合筒部23aの上端に僅かな間隔で対向することで、ノズル21aに対する上方への移動が規制されている。これにより、中栓部材23は、キャップ本体21に対して所定位置に固定された状態で配置されるとともにキャップ本体21を口部11に打栓する際にノズル21aから離脱することが防止される。
【0031】
図2に示すように、第2嵌合筒部23bは、第1嵌合筒部23aよりも内径が小さい円筒状となっており、その外周面において口部11の内周面11cに全周に亘って液密に嵌合している。
【0032】
本実施形態では、閉塞壁部23cは、第1嵌合筒部23aの上端に全周に亘って一体に連なる平らで円環状の板状部分23gと、板状部分23gの内周に一体に連なるとともに僅かに下方に向けて凸となるように湾曲した円形部分23hとを有している。閉塞壁部23cは、第1嵌合筒部23aの内周面に全周に亘って一体に連なることで、第1嵌合筒部23aの内側を閉塞している。
【0033】
摘まみ部23dは、消費者の指が挿通可能な程度の大きさの円環状となっており、ノズル21aの内側に軸線Oと同軸となる姿勢で配置されている。閉塞壁部23cの上面の軸線Oから偏心した位置には、上方に向けて延びる柱部23iが一体に設けられており、摘まみ部23dは、その周方向の一部において柱部23iに一体に連結されて閉塞壁部23cの上方に間隔を空けて配置されている。すなわち、本実施形態では、摘まみ部23dは、所謂プルリングとなっている。なお、摘まみ部23dは、上記したプルリングの形状に限らず、指などで摘まんで引き上げ操作できる形状であれば、他の形状であってもよい。
【0034】
薄肉部23eは、閉塞壁部23cの摘まみ部23dすなわち柱部23iが連なる部分と第1嵌合筒部23aとの間に設けられている。薄肉部23eは、閉塞壁部23cの他の部分よりも肉厚が薄くなっており、閉塞壁部23cの他の部分よりも容易に破断することができる。
【0035】
図4に示すように、本実施形態では、薄肉部23eは、閉塞壁部23cの柱部23iが連なる部分と第1嵌合筒部23aとの間の板状部分23gに下方に開口する溝状となって設けられており、その形状は、軸線Oを中心とした周方向に所定範囲(柱部23iよりも若干広い範囲)で延びる円弧状の本体部23jと、本体部23jの周方向の中心位置から径方向外側に向けて突出する山形状の突出部23kとを有する形状となっている。なお、薄肉部23eの形状は上記形状に限られない。
【0036】
図2、
図3に示すように、第2嵌合筒部23bの外周面には、被係止突起23mが一体に設けられている。被係止突起23mは下向きで軸線Oに垂直な係止面を備えた楔形状である。被係止突起23mは、後述するように中栓部材23をキャップ本体21から取り外した後、取り外された中栓部材23を再度ノズル21aに挿入したときに、ノズル21aの係止突起21gに係合して中栓部材23が再度口部11を閉塞する位置にまで押し込まれることを阻止することができる。
【0037】
図2に示すように、上記構成の中栓部材23は、ノズル21aを容器本体10の内部空間に対して隔離するように当該ノズル21aを閉塞している。すなわち、注出容器1は、中栓部材23によってノズル21aが閉塞された未開封状態となっている。したがって、流通時等の使用前においては、注出容器1を上記した未開封状態とすることで、内容物の漏れ出しを防止することができるとともに、摘まみ部23dを備えた中栓部材23を有することで消費者に未開封の状態であることを認識させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、オーバーキャップ22が、第1嵌合筒部23aの上端に対向するストッパー筒部22eを備えているので、流通時等の使用前において中栓部材23が不意にキャップ本体21ないしノズル21aから離脱して口部11が開栓されることを防止することができる。
【0039】
一方、オーバーキャップ22をキャップ本体21から取り外した後、摘まみ部23dを引き上げ操作することで、中栓部材23をキャップ本体21から取り外すことができる。すなわち、摘まみ部23dが引き上げ操作されると、柱部23iが設けられた側において、閉塞壁部23cとともに第1嵌合筒部23a及び第2嵌合筒部23bが上方に引き上げられ、中栓部材23はノズル21aから取り外される。中栓部材23がノズル21aから取り外されると、注出キャップ20ないし注出容器1は中栓部材23によるノズル21aないし口部11の密封が解除された開封状態となる。
【0040】
ここで、中栓部材23は、閉塞壁部23cの摘まみ部23dが連なる部分と第1嵌合筒部23aとの間に薄肉部23eが設けられた構成となっているので、摘まみ部23dが引き上げ操作されると、中栓部材23によるノズル21aないし口部11の密封が解除される前に薄肉部23eが破断し、その後、薄肉部23eが破断しつつ中栓部材23がノズル21aから取り外されることになる。したがって、注出キャップ20ないし注出容器1を開封する際には、中栓部材23によるノズル21aないし口部11の密封が解除される前に、容器本体10の内圧が薄肉部23eの破断部分から外気に開放されるので、中栓部材23をノズル21aから取り外す際に、容器本体10の内圧によって容器本体10の内部に収納されている液状の内容物がノズル21aから外部に向けて飛び散ることを防止することができる。
【0041】
特に、本実施形態では、薄肉部23eを、円弧状の本体部23jと、本体部23jの周方向の中心位置から径方向外側に向けて突出する山形状の突出部23kとを有する形状としたので、摘まみ部23dを引き上げ操作する際、山形状の突出部23kに応力を集中させ、軽い力で薄肉部23eを破断させることができ、更に初期段階において突出部23kのみが先に破断されてより小さい破断部分から容器本体10の内圧が外気に開放されるようにして、容器本体10の内部に収納されている液状の内容物がノズル21aから外部に向けて飛び散ることをより効果的に防止することができる。
【0042】
図5に示すように、中栓部材23がノズル21aから取り外されて開封された状態でオーバーキャップ22がキャップ本体21から取り外されると、ノズル21aは口部11を介して容器本体10の内部に連通するとともに容器本体10の外部に開放された状態となる。したがって、この状態で容器本体10を傾けることで、容器本体10の内部に収納されている内容物をノズル21aから外部に注出することができる。
【0043】
また、
図6に示すように、内容物を注出した後には、オーバーキャップ22の雌ねじ22cをノズル21aの雄ねじ21eにねじ結合してキャップ本体21にオーバーキャップ22を装着することで、ノズル21aをオーバーキャップ22で覆うとともにシール壁部22dで閉塞して閉じた状態として、容器本体10に収納されている内容物がノズル21aを通して外部へ漏れ出すことを防止することができる。
【0044】
なお、上記の通り、第2嵌合筒部23bの外周面には、被係止突起23mが一体に設けられているので、中栓部材23をキャップ本体21から取り外した後、取り外された中栓部材23を再度ノズル21aに挿入すると、被係止突起23mがノズル21aの係止突起21gに係合して中栓部材23が再度口部11を密封する位置にまで押し込まれることが阻止される。したがって、中栓部材23がノズル21aから取り外されて注出キャップ20ないし注出容器1が開封された後、中栓部材23がノズル21aに再度取り付けられて未開封状態に戻されることが防止される。
【0045】
ここで、注出容器1は、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22が、それぞれ同一の第1の合成樹脂材料により形成されたものとなっている。すなわち、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22の材質は互いに同一である。これに対し、中栓部材23は、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22を形成する第1の合成樹脂材料よりも軟質の第2の合成樹脂材料で形成されている。
【0046】
本実施形態では、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22を形成する第1の合成樹脂材料はポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)であり、中栓部材23を形成する第2の合成樹脂材料は、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)である。より具体的には、容器本体10は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のブロー成形ボトル容器(PETボトル)であり、キャップ本体21及びオーバーキャップ22は、それぞれポリエチレンテレフタレート樹脂製の射出成形品であり、中栓部材23は、ポリエチレン樹脂製の射出成形品である。
【0047】
このように、注出容器1は、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22が、それぞれ同一の第1の合成樹脂材料により形成されるとともに、中栓部材23は、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22を形成する第1の合成樹脂材料よりも軟質の第2の合成樹脂材料で形成された構成となっている。このように、摘まみ部23dの引上げ操作によってノズル21aから取り外される構成の中栓部材23を、より軟質な合成樹脂材料で形成されたものとすることで、ノズル21aから取り外される際に中栓部材23が容易に弾性変形することができるようにして、中栓部材23を取り除く作業すなわち注出容器1の開封作業を容易に行い得るようにすることができる。
【0048】
中栓部材23が取り除かれて注出容器1が開封されると、
図6に示すように、注出容器1は、互いに同一の材質の容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22のみを有することになる。したがって、容器本体10から注出キャップ20(キャップ本体21とオーバーキャップ22)を取り外して容器本体10と注出キャップ20とを分別することなく、容器本体10にキャップ本体21とオーバーキャップ22とが装着された状態のままリサイクルすることができる。よって、注出容器1のリサイクル性を高めることができる。
【0049】
特に、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22をポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されたものとした場合には、容器本体10を透明で軽量なものとしつつ、注出容器1のリサイクル性を高めることができる。また、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22に加えて中栓部材23をもポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されたものとすると、中栓部材23が硬くなってノズル21aの内側への中栓部材23のセットや中栓部材23のノズル21aからの取り外しが困難になるが、本実施形態の注出容器1では、中栓部材23のみをポリエチレンテレフタレート樹脂よりも軟質の合成樹脂材料で形成されたものとすることで、キャップ本体21及びオーバーキャップ22をポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されたものとしつつ、ノズル21aの内側への中栓部材23のセットや中栓部材23の取り外しを容易に行い得るようにすることができる。
【0050】
図7は、変形例に係る注出キャップ20が装着された注出容器1の、注出キャップ20の部分の拡大断面図である。なお、
図7においては、前述した部材に対応する部材に同一の符号を付してある。以下、変形例に係る注出キャップ20の、
図2に示す注出キャップ20との相違点について説明する。
【0051】
変形例に係る注出キャップ20では、ノズル21aの内径は、口部11の拡径内周面11d以外の部分の内周面11cよりも小径となっており、ノズル21aの下端には下方に向けて徐々に拡径するテーパー状の傾斜面21hとなっている。
【0052】
また、ノズル21aは、その下端すなわち傾斜面21hに開口するとともに上方に向けて延びる空間21iを備えている。本実施形態では、ノズル21aは、周方向に間隔を空けて並ぶ複数の空間21iを備えている。ノズル21aは、空間21iを有することで、下端側から上方に向けた所定範囲において内周面が空間21iを狭めるように径方向外側に向けて弾性変形し易くなっている。
【0053】
一方、中栓部材23は、第1嵌合筒部23aがノズル21a及び第2嵌合筒部23bよりも小径であるとともに第1嵌合筒部23aと第2嵌合筒部23bとが下方に向けて徐々に拡径するテーパー状の連結壁部23nで一体に連結された構成となっている。
【0054】
連結壁部23nは、傾斜角度がノズル21aの下端すなわち傾斜面21hの傾斜角度と一致しており、その外周面においてノズル21aの下端すなわち傾斜面21hに当接している。これにより、連結壁部23nすなわち中栓部材23は、連結壁部23nがノズル21aの傾斜面21hに下方側から当接することで、ノズル21aに対する上方への移動が規制されてノズル21aに固定された状態となっている。
【0055】
上記構成の変形例に係る注出キャップ20においても、オーバーキャップ22をキャップ本体21から取り外した後、摘まみ部23dを引き上げ操作することで、中栓部材23をキャップ本体21から取り外して注出容器1を開封することができる。このとき、摘まみ部23dが引き上げ操作されると、連結壁部23nが径方向内側に向けて弾性変形しつつ傾斜面21hに沿って上方に移動することで、ノズル21aの傾斜面21hによる連結壁部23nの係止が容易に解除されるようにして、中栓部材23を取り外す操作を容易に行うことができる。
【0056】
また、上記構成の変形例に係る注出キャップ20においても、摘まみ部23dが引き上げ操作されると、中栓部材23によるノズル21aないし口部11の密封が解除される前に薄肉部23eが破断し、その後、薄肉部23eが破断しつつ中栓部材23がノズル21aから取り外されることになるので、中栓部材23をノズル21aから取り外す際に、容器本体10の内圧によって容器本体10の内部に収納されている液状の内容物がノズル21aから外部に向けて飛び散ることを防止することができる。
【0057】
さらに、上記構成の変形例に係る注出キャップ20では、中栓部材23は、第2嵌合筒部23bが第1嵌合筒部23aよりも大径であり、第1嵌合筒部23aと第2嵌合筒部23bとの間にノズル21aの下端に当接するテーパー状の連結壁部23nを一体に有するので、一度ノズル21aから取り外されると再度ノズル21aに装着し難い形状となっている。したがって、中栓部材23がノズル21aから取り外されて注出キャップ20ないし注出容器1が開封された後、中栓部材23がノズル21aに再度取り付けられて未開封状態に戻されることを防止することができる。
【0058】
さらに、上記構成の変形例に係る注出キャップ20では、ノズル21aは、その下端に開口するとともに上方に向けて延びる空間21iを有するので、摘まみ部23dが引き上げ操作されたときに、連結壁部23nに当該空間21iが設けられない場合に比べて、連結壁部23nがより容易に径方向内側に弾性変形することができるようにして、中栓部材23を取り外す操作をさらに容易に行い得るようにすることができる。
【0059】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0060】
前記実施形態では、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22を形成する第1の合成樹脂材料をポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)としているが、これに限らず、他の合成樹脂材料としてもよい。例えば、容器本体10、キャップ本体21及びオーバーキャップ22を形成する第1の合成樹脂材料として、生分解性を有する樹脂(ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート系、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシアルカノエート、セルロース、バクテリアセルロース、酢酸セルロース等)を使用すれば、中栓部材23を除いた注出容器1をコンポストなどによる分解をし易いものとすることができる。
【0061】
また、前記実施形態では、中栓部材23を形成する第2の合成樹脂材料をポリエチレン樹脂(PE樹脂)としているが、これに限らず、例えばポリプロピレン樹脂(PP樹脂)などの他の合成樹脂材料としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 注出容器
10 容器本体
11 口部
11a 係止突起
11b ネックリング
11c 内周面
11d 拡径内周面
12 胴部
20 注出キャップ
21 キャップ本体
21a ノズル
21b 装着筒部
21c 被係止突起
21d フランジ部
21e 雄ねじ
21f リップ部
21g 係止突起
21h 傾斜面
21i 空間
22 オーバーキャップ
22a 周壁部
22b 天壁部
22c 雌ねじ
22d シール壁部
22e ストッパー筒部
23 中栓部材
23a 第1嵌合筒部
23b 第2嵌合筒部
23c 閉塞壁部
23d 摘まみ部
23e 薄肉部
23f 突起部分
23g 板状部分
23h 円形部分
23i 柱部
23j 本体部
23k 突出部
23m 被係止突起
23n 連結壁部
O 軸線