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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092719
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】R-T-B系永久磁石
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20240701BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01F1/057
C22C38/00 303D
H01F1/057 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208847
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古田 敦
【テーマコード(参考)】
5E040
【Fターム(参考)】
5E040AA04
5E040AA19
5E040CA01
5E040NN01
(57)【要約】
【課題】室温でのBrと室温でのHcJとが向上し、かつ、Hk/HcJが高いR-T-B系永久磁石を提供する。
【解決手段】希土類元素、遷移金属元素、ホウ素およびMを含むR-T-B系永久磁石である。希土類元素として少なくともNdおよびPrを含む。MがAl、Cu、GaおよびZrから選択される1種以上である。希土類元素の含有量をTREとし、Prの含有量をTREで割った値をPr/TREとして、TREが29.00質量%以上31.00質量%以下、重希土類元素の含有量が0質量%以上0.20質量%以下、Pr/TREが0.30以上0.50以下、ホウ素の含有量が0.90質量%以上1.00質量%以下、炭素の含有量が0質量%以上0.10質量%以下、酸素の含有量が0質量%以上0.15質量%以下、窒素の含有量が0質量%以上0.15質量%以下、Mの含有量が0.30質量%以上1.50質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素、遷移金属元素、ホウ素およびMを含むR-T-B系永久磁石であって、
前記希土類元素として少なくともNdおよびPrを含み、
前記遷移金属元素として少なくともFe、または、FeおよびCoを含み、
MがAl、Cu、GaおよびZrから選択される1種以上であり、
質量基準での前記希土類元素の含有量をTREとし、質量基準でのPrの含有量をTREで割った値をPr/TREとして、
TREが29.00質量%以上31.00質量%以下、
重希土類元素の含有量が0質量%以上0.20質量%以下、
Pr/TREが0.30以上0.50以下、
ホウ素の含有量が0.90質量%以上1.00質量%以下、
炭素の含有量が0質量%以上0.10質量%以下、
酸素の含有量が0質量%以上0.15質量%以下、
窒素の含有量が0質量%以上0.15質量%以下、
Mの含有量が0.30質量%以上1.50質量%以下であるR-T-B系永久磁石。
【請求項2】
質量基準でのPrの含有量を質量基準での炭素の含有量で割った値をPr/Cとして、Pr/Cが100以上である請求項1に記載のR-T-B系永久磁石。
【請求項3】
Cuの含有量が0質量%以上0.20質量%以下である請求項1または2に記載のR-T-B系永久磁石。
【請求項4】
ホウ素と炭素との合計の含有量が0.93質量%以上1.07質量%以下である請求項1または2に記載のR-T-B系永久磁石。
【請求項5】
Mの含有量が0.50質量%以上1.00質量%以下である請求項1または2に記載のR-T-B系永久磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R-T-B系永久磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはR-T-B系焼結磁石の製造方法に関する発明が記載されている。特にR-T-B系焼結磁石素材に対して重希土類元素RHを拡散させる方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には希土類磁石に関する発明が記載されている。特に二粒子粒界相が強磁性体とは異なる磁性を有する相、例えばR613M相からなる希土類磁石が記載されている。
【0004】
特許文献3には異方性希土類磁石の製造方法に関する発明が記載されている。特に非晶質組織の急冷薄帯を焼結、次いで熱間加工時の加熱により結晶化するとともに異方化する製造方法が記載されている。
【0005】
特許文献4にはR-T-B系焼結磁石の製造方法に関する発明が記載されている。特に、Prの含有量をR全体の75質量%以上とし、かつ、焼結時間をRに対するPrの割合に応じて長くすることを特徴とする磁石の製造方法が記載されている。当該製造方法により得られる磁石は、低温で高いBrを有するとともに、室温で高いHk/HcJを有する。なお、特許文献4での低温は-180℃±20℃である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/121790号
【特許文献2】特開2014-209546号公報
【特許文献3】特開2012-23190号公報
【特許文献4】特開2021-155782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の例示的な実施形態の目的は、室温での残留磁束密度(Br)と室温での保磁力(HcJ)とがバランスよく向上し、かつ、角形比(Hk/HcJ)が高いR-T-B系永久磁石を提供することである。
【0008】
以下、特に記載がなければ磁気特性は室温(23.0℃±1.0℃)での磁気特性とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な実施形態のR-T-B系永久磁石は、希土類元素、遷移金属元素、ホウ素およびMを含むR-T-B系永久磁石であって、
前記希土類元素として少なくともNdおよびPrを含み、
前記遷移金属元素として少なくともFe、または、FeおよびCoを含み、
MがAl、Cu、GaおよびZrから選択される1種以上であり、
質量基準での前記希土類元素の含有量をTREとし、質量基準でのPrの含有量をTREで割った値をPr/TREとして、
TREが29.00質量%以上31.00質量%以下、
重希土類元素の含有量が0質量%以上0.20質量%以下、
Pr/TREが0.30以上0.50以下、
ホウ素の含有量が0.90質量%以上1.00質量%以下、
炭素の含有量が0質量%以上0.10質量%以下、
酸素の含有量が0質量%以上0.15質量%以下、
窒素の含有量が0質量%以上0.15質量%以下、
Mの含有量が0.30質量%以上1.50質量%以下である。
【0010】
質量基準でのPrの含有量を質量基準での炭素の含有量で割った値をPr/Cとして、Pr/Cが100以上であってもよい。
【0011】
Cuの含有量が0質量%以上0.20質量%以下であってもよい。
【0012】
ホウ素と炭素との合計の含有量が0.93質量%以上1.07質量%以下であってもよい。
【0013】
Mの含有量が0.50質量%以上1.00質量%以下であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
R-T-B系永久磁石のRは希土類元素、Tは遷移金属元素、Bはホウ素を表す。希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)およびランタノイドを表す。Tは鉄族元素を表してもよい。すなわち、Tは鉄(Fe)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)から選択される1種以上を表してもよい。R-T-B系永久磁石はR214B型の結晶構造を有する主相粒子を含む。R214B型の結晶構造に含まれるホウ素の一部が炭素に置換されていてもよい。なお、「R-T-B系永久磁石」、「R214B型の結晶構造」という場合において遷移金属元素Tに希土類元素Rは含まれない。
【0016】
本実施形態に係るR-T-B系永久磁石は、少なくとも希土類元素、遷移金属元素、ホウ素およびMを含有する。本実施形態に係るR-T-B系永久磁石は、希土類元素として少なくともネオジム(Nd)およびプラセオジム(Pr)を含む。本実施形態に係るR-T-B系永久磁石は、遷移金属元素として少なくともFe、または、FeおよびCoを含む。Mがアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)およびジルコニウム(Zr)から選択される1種以上である。
【0017】
以下、R-T-B系永久磁石に含まれる各成分の含有量について記載するが、特に記載がなければR-T-B系永久磁石を100質量%とする場合の含有量である。R-T-B系永久磁石を100質量%とするとは、全ての元素の含有量の合計を100質量%とするという意味である。
【0018】
質量基準でのR-T-B系永久磁石における希土類元素の含有量をTREとして、TREが29.00質量%以上31.00質量%以下である。30.00質量%31.00質量%以下であってもよい。TREが小さすぎる場合にはHcJが低下する。TREが大きすぎる場合にはBrが低下する。
【0019】
希土類元素のうち、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)を重希土類元素(RH)とし、その他の希土類元素を軽希土類元素(RL)とする。
【0020】
R-T-B系永久磁石に含まれるRLの種類に関しては、少なくともNdおよびPrが含まれる点以外は特に制限はない。NdおよびPrの含有量の合計には特に制限はない。例えば、29.00質量%以上31.00質量%以下であってもよい。R-T-B系永久磁石の磁気特性を大きく損なわない範囲でその他のRLを含んでもよい。具体的には、NdおよびPr以外のRLの含有量が合計で0質量%以上0.20質量%以下であってもよい。
【0021】
R-T-B系永久磁石におけるRHの含有量が合計で0質量%以上0.20質量%以下である。すなわち、R-T-B系永久磁石がRHを含まなくてもよい。R-T-B系永久磁石に含まれるRHの種類には特に制限はない。例えば、Gd、Tb、DyおよびHoから選択される1種以上であってもよく、Tb、DyおよびHoから選択される1種以上であってもよい。RHの含有量が多すぎる場合にはBrが低下する。
【0022】
質量基準でのPrの含有量をTREで割った値をPr/TREとして、R-T-B系永久磁石におけるPr/TREが0.30以上0.50以下である。すなわち、R-T-B系永久磁石に含まれる希土類元素におけるPrの割合が質量基準で30%以上50%以下である。Pr/TREが0.40以上0.50以下であってもよい。Pr/TREが小さすぎる場合にはHcJが低下する。Pr/TREが大きすぎる場合にはHk/HcJが低下しやすい。
【0023】
R-T-B系永久磁石は少なくともFe、またはFeおよびCoを含む。R-T-B系磁石におけるCoの含有量には特に制限はない。例えば0質量%以上2.00質量%以下であってもよく、1.10質量%以上1.50質量%以下であってもよい。Coの含有量が2.00質量%より大きい場合には原料コストが増加しやすくなる。特に、高い特性を維持したままコストを低下させる観点からはCoの含有量が0質量%以上0.50質量%以下であってよい。
【0024】
R-T-B系永久磁石におけるホウ素の含有量(以下、ホウ素のことを単にBと記載する場合がある)は0.90質量%以上1.00質量%以下である。0.90質量%以上0.95質量%以下であってもよい。Bの含有量が少なすぎる場合にはHk/HcJが低下しやすい。Bの含有量が多すぎる場合にはHcJが低下しやすい。
【0025】
R-T-B系永久磁石における炭素の含有量(以下、炭素のことを単にCと記載する場合がある)は0質量%以上0.10質量%以下である。すなわち、R-T-B系永久磁石がCを含まなくてもよい。Cの含有量が0.02質量%以上0.09質量%以下であってもよい。Cの含有量が0.02質量%より少ないR-T-B系永久磁石を作製する場合には微粉砕の効率が低下する。Cの含有量が多すぎる場合にはHcJが低下する。
【0026】
R-T-B系永久磁石におけるBとCとの合計の含有量(以下、単にB+Cと記載する場合がある)は0.93質量%以上1.07質量%以下であってもよく、0.93質量%以上1.02質量%以下であってもよい。B+Cが上記の範囲内であることにより、BrおよびHcJがさらに向上しやすくなる。
【0027】
質量基準でのPrの含有量を質量基準でのCの含有量で割った値をPr/Cとして、Pr/Cが100以上であってもよく、150以上であってもよい。Pr/Cに上限は特にない。例えばPr/Cが600以下であってもよく、400以下であってもよい。Pr/Cが100以上であることによりHcJがさらに向上しやすくなる。
【0028】
R-T-B系永久磁石における酸素の含有量(以下、酸素のことを単にOと記載する場合がある)は0質量%以上0.15質量%以下である。すなわち、R-T-B系永久磁石がOを含まなくてもよい。Oの含有量が0.04質量%以上0.15質量%以下であってもよく、0.04質量%以上0.10質量%以下であってもよい。Oの含有量が0.04質量%より少ないR-T-B系永久磁石を作製する場合には製造コストが増加する。Oの含有量が多すぎる場合にはHcJが低下する。
【0029】
R-T-B系永久磁石における窒素の含有量(以下、窒素のことを単にNと記載する場合がある)は0質量%以上0.15質量%以下である。すなわち、R-T-B系永久磁石がNを含まなくてもよい。Nの含有量が0.03質量%以上0.10質量%以下であってもよく、0.05質量%以上0.07質量%以下であってもよい。Nの含有量が0.03質量%より少ないR-T-B系永久磁石を作製する場合には製造コストが増加する。Nの含有量が多すぎる場合にはHcJが低下する。
【0030】
R-T-B系永久磁石におけるMの含有量、すなわち、Al、Cu、GaおよびZrの含有量の合計は0.30質量%以上1.50質量%以下である。0.50質量%以上1.00質量%以下であってもよく、0.65質量%以上1.00質量%以下であってもよい。Mの含有量が少なすぎる場合にはHcJが低下する。
【0031】
R-T-B系永久磁石におけるCuの含有量が0質量%以上0.40質量%以下であってもよく、0質量%以上0.20質量%以下であってもよく、0.05質量%以上0.20質量%以下であってもよく、0.05質量%以上0.19質量%以下であってもよい。Cuの含有量が0.20質量%以下であることにより、HcJが向上しやすくなり、0.19質量%以下であることによりHcJがさらに向上しやすくなる。
【0032】
R-T-B系永久磁石におけるAlの含有量が0.02質量%以上0.35質量%以下であってもよく、0.05質量%以上0.20質量%以下であってもよい。
【0033】
R-T-B系永久磁石におけるZrの含有量が0質量%以上0.35質量%以下であってもよく、0.15質量%以上0.35質量%以下であってもよく、0.20質量%以上0.35質量%以下であってもよい。
【0034】
Gaの含有量が0質量%以上0.50質量%以下であってもよく、0.20質量%以上0.40質量%以下であってもよく、0.25質量%以上0.40質量%以下であってもよい。
【0035】
R-T-B系永久磁石におけるFeの含有量には特に制限はない。R-T-B系永久磁石におけるFeの含有量は、R-T-B系永久磁石における実質的な残部であってもよい。具体的には、希土類元素、Fe、Co、B、C、O、NおよびM以外の元素(例えば、Nb、Si、Mg、Mn、Zn等)の含有量がそれぞれ0質量%以上0.05質量%以下であってもよい。
【0036】
R-T-B系永久磁石における希土類元素、Fe、Co、B、C、O、NおよびM以外の元素(例えば、Nb、Si、Mg、Mn、Zn等)の含有量がそれぞれ0質量%以上0.01質量%以下であってもよい。
【0037】
R-T-B系永久磁石における希土類元素、Fe、Co、B、C、O、NおよびM以外の元素の含有量が合計で0質量%以上0.50質量%以下であってもよい。
【0038】
R-T-B系永久磁石における希土類元素、Fe、Co、BおよびM以外の元素(例えば、C、O、N、Nb、Si、Mg、Mn、Zn等)は、後述するR-T-B系永久磁石の製造時に意図的に添加されてもよく、R-T-B系永久磁石の原料由来の不純物として含まれてもよい。
【0039】
R-T-B系永久磁石が上記の組成を有することにより、室温でのBrと室温でのHcJとがバランスよく向上し、かつ、Hk/HcJが高いR-T-B系永久磁石とすることができる。
【0040】
一般的に、R-T-B系永久磁石におけるPr/TREが小さいほどR-T-B系永久磁石の温度特性が良好であり昇温時における保磁力の低下が小さい傾向にある。また、実質的にNdおよびPrのみからなりPr/TREが0.20~0.25程度であるジジム合金を軽希土類元素の原料として用いる場合にR-T-B系永久磁石の製造における原料コストが最も小さくなりやすい。R-T-B系永久磁石におけるPr/TREがジジム合金におけるPr/TREよりも大きくても小さくても原料コストが増大しやすい。
【0041】
本発明者らは、R-T-B系永久磁石におけるPr/TREを0.30以上0.50以下とし、かつ、他の元素の含有量を所定の範囲内とすることにより、室温での残留磁束密度(Br)と室温での保磁力(HcJ)とがバランスよく向上し、かつ、角形比(Hk/HcJ)が高いR-T-B系永久磁石が得られることを見出した。
【0042】
<R-T-B系永久磁石の製造方法>
以下、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石を製造する方法の一例について説明する。本実施形態に係るR-T-B系永久磁石(R-T-B系焼結磁石)を製造する方法は、以下の工程を有する。なお、以下に示す(g)~(i)の各工程は省略してもよい。
【0043】
(a)原料合金を作製する合金準備工程
(b)原料合金を粉砕する粉砕工程
(c)得られた合金粉末を成形する成形工程
(d)成形体を焼結し、R-T-B系永久磁石を得る焼結工程
(e)R-T-B系永久磁石を時効処理する時効処理工程
(f)R-T-B系永久磁石を冷却する冷却工程
(g)R-T-B系永久磁石を加工する加工工程
(h)R-T-B系永久磁石の粒界に重希土類元素を拡散させる粒界拡散工程
(i)R-T-B系永久磁石に表面処理する表面処理工程
【0044】
[合金準備工程]
まず、原料合金を準備する(合金準備工程)。以下、合金準備方法の一例としてストリップキャスティング法について説明するが、合金準備方法はストリップキャスティング法に限定されない。
【0045】
まず、原料合金の組成に対応する原料金属を準備し、真空またはArガスなどの不活性ガス雰囲気中で準備した原料金属を溶解する。その後、溶解した原料金属を金属製の回転ロールに注いで急冷したのちに破砕することによって薄片状の原料合金を作製する。なお、本実施形態では、1合金法について説明するが、第1合金と第2合金との2合金を混合して原料合金を作製する2合金法でもよい。
【0046】
原料金属の種類には特に制限はない。例えば、希土類金属、純鉄、純コバルト等の金属希土類合金等の合金、および/または、フェロボロン等の化合物等を使用することができる。原料金属を鋳造する鋳造方法には特に制限はない。例えばインゴット鋳造法やストリップキャスト法やブックモールド法や遠心鋳造法などが挙げられる。得られた原料合金は、凝固偏析がある場合は必要に応じて均質化処理(溶体化処理)を行ってもよい。
【0047】
[粉砕工程]
原料合金を作製した後、原料合金を粉砕する(粉砕工程)。粉砕工程は、粒径が数百μm~数mm程度になるまで粉砕する粗粉砕工程と、粒径が数μm程度になるまで微粉砕する微粉砕工程との2段階で行ってもよいが、微粉砕工程のみの1段階で行ってもよい。
【0048】
(粗粉砕工程)
原料合金を粒径が数百μm~数mm程度になるまで粗粉砕する(粗粉砕工程)。これにより、原料合金の粗粉砕粉末を得る。粗粉砕は、例えば水素吸蔵粉砕により行ってもよい。一般的に、原料合金に水素を吸蔵させると原料合金を構成する各相が膨張する場合がある。水素吸蔵粉砕は、原料合金に水素を吸蔵させた際の異なる相間の体積膨張率の差による自己崩壊的な粉砕を生じさせることによって行うことができる。
【0049】
水素吸蔵粉砕により得られた粗粉砕粉末に対して脱水素を行ってもよい。脱水素の方法には特に制限はない。例えば、粗粉砕粉末を加熱して水素を放出させてもよい。粗粉砕粉末を加熱して水素を放出させる場合における加熱条件には特に制限はない。例えば300~650℃、アルゴンフロー中または真空中で加熱する。
【0050】
なお、粗粉砕の方法は、上記の水素吸蔵粉砕に限定されない。例えば、不活性ガス雰囲気中にて、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等の粗粉砕機を用いて粗粉砕を行ってもよい。これらの方法で粗粉砕を行う場合には脱水素は不要である。
【0051】
また、高い磁気特性を有するR-T-B系永久磁石を得るために、粗粉砕工程から後述する焼結工程までの各工程の雰囲気は、低酸素濃度の雰囲気とすることが好ましい。酸素濃度は、各製造工程における雰囲気の制御等により調節される。
【0052】
一般的に、希土類元素、T元素、M元素が粒界に析出することにより希土類リッチ相が形成される。希土類リッチ相が主相粒子を磁気的に分断することによりR-T-B系永久磁石のHcJが向上する。
【0053】
各製造工程の酸素濃度が高いと原料合金を粉砕して得られる合金粉末中の希土類元素が酸化して希土類元素の酸化物が生成されてしまう。希土類元素の酸化物は、焼結中に還元されず、希土類元素の酸化物の形でそのまま粒界に析出する。すなわち、各製造工程で酸化されない希土類元素の割合が減少し、希土類リッチ相の体積割合が減少する。主相粒子を磁気的に分断する希土類リッチ相の体積割合が減少してしまうため、得られるR-T-B系永久磁石のHcJが低下する。そのため、例えば、各工程(微粉砕工程、成形工程)は酸素濃度を100ppm以下の雰囲気で実施することが好ましい。
【0054】
(微粉砕工程)
原料合金を粗粉砕した後、得られた原料合金の粗粉砕粉末を平均粒子径が数μm程度になるまで微粉砕する(微粉砕工程)。これにより、原料合金の微粉砕粉末を得る。粗粉砕した粉末を更に微粉砕することで、微粉砕粉末を得ることができる。微粉砕粉末に含まれる粒子のD50には特に制限はない。例えば、D50が2.0μm以上4.5μm以下であってもよく、2.5μm以上3.5μm以下であってもよい。D50が小さいほど本実施形態に係るR-T-B系永久磁石のHcJが向上しやすくなる。しかし、焼結工程で異常粒成長が発生しやすくなり、Hk/HcJが低下しやすくなる。D50が大きいほど焼結工程で異常粒成長が発生しにくくなり、Hk/HcJが低下しにくくなる。しかし、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石のHcJが低下しやすくなる。
【0055】
微粉砕は、粉砕時間等の条件を適宜調整しながら、例えばジェットミル、ボールミル、振動ミル、湿式アトライター等の微粉砕機を用いて粗粉砕した粉末の更なる粉砕を行なうことで実施される。以下、ジェットミルについて説明する。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(たとえば、Heガス、N2ガス、Arガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により原料合金の粗粉砕粉末を加速して原料合金の粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットまたは容器壁との衝突を発生させて粉砕する微粉砕機である。ジェットミルには分級機が付属している場合がある。分級機の使用条件を調整することで微粉末の粒度を制御してもよい。
【0056】
原料合金の粗粉砕粉末を微粉砕する際には粉砕助剤を添加してもよい。粉砕助剤の種類には特に制限はない。例えば、有機物潤滑剤や固体潤滑剤を用いてもよい。有機物潤滑剤としては、例えばオレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。固体潤滑剤としては、例えばグラファイトなどが挙げられる。粉砕助剤を添加することで、成形工程において磁場を印加した際に配向が生じやすい微粉砕粉末を得ることができる。有機物潤滑剤および固体潤滑剤は、いずれか一方のみを使用してもよいが、両方を混合して使用してもよい。特に固体潤滑剤のみを使用する場合には、配向度が低下する場合があるためである。
【0057】
[成形工程]
微粉砕粉末を目的の形状に成形する(成形工程)。成形工程では、微粉砕粉末を、電磁石中に配置された金型内に充填して加圧することによって、微粉砕粉末を成形し、成形体を得る。このとき、磁場を印加しながら成形することで微粉砕粉末を磁化容易軸方向に配向させた状態で成形することができる。その結果、微粉砕粉末が磁化容易軸方向に配向された成形体が得られる。当該成形体を用いることで、より高い磁気異方性を有するR-T-B系永久磁石が得られる。また、成形助剤を添加してもよい。成形助剤の種類には特に制限はない。粉砕助剤と同一の潤滑剤を用いてもよい。また、粉砕助剤が成形助剤を兼ねてもよい。成形工程は金型離型剤等を用いて行ってもよい。
【0058】
加圧時の圧力は、例えば30MPa以上300MPa以下としてもよい。印加する磁場は、例えば1000kA/m以上1600kA/m以下としてもよい。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場とを併用することもできる。
【0059】
なお、成形方法としては、上記のように微粉砕粉末をそのまま成形する乾式成形のほか、微粉砕粉末を油等の溶媒に分散させたスラリーを成形する湿式成形を適用することもできる。
【0060】
微粉砕粉末を成形して得られる成形体の形状は特に限定されるものではなく、例えば直方体、平板状、柱状、リング状等、所望とするR-T-B系永久磁石の形状に応じた形状とすることができる。
【0061】
[焼結工程]
目的の形状に成形して得られた成形体を真空または不活性ガス雰囲気中で焼結し、R-T-B系永久磁石を得る(焼結工程)。焼結時の保持温度および保持時間は、組成(主に希土類元素やBの含有量)、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要がある。保持温度は、例えば、1000℃以上1100℃以下としてもよく、1020℃以上1070℃以下としてもよい。保持時間には特に制限はないが、例えば2時間以上50時間以下としてもよく、4時間以上40時間以下としてもよい。保持時間が短いほど生産効率が向上する。保持時の雰囲気には特に制限はない。例えば、不活性ガス雰囲気としてもよく、100Pa未満の真空雰囲気としてもよく、10Pa未満の真空雰囲気としてもよい。保持温度までの加熱速度には特に制限はない。成形体が加熱されることにより、成形体に含まれる微粉砕粉末が液相焼結されて、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石が得られる。成形体を焼結して焼結体を得た後の冷却速度には特に制限はないが、生産効率を向上させるために焼結体を急冷してもよい。30℃/分以上の速度で急冷してもよい。
【0062】
[時効処理工程]
成形体を焼結した後、R-T-B系永久磁石を時効処理する(時効処理工程)。焼結後、得られたR-T-B系永久磁石を、焼結工程における保持温度よりも低い温度で保持することなどによって、R-T-B系永久磁石に時効処理を施す。以下、時効処理を第1時効処理と第2時効処理との2段階に分ける場合について説明するが、いずれか一つの時効処理のみを行ってもよく、3段階以上の時効処理を行ってもよい。
【0063】
各時効処理における保持温度および保持時間には特に制限はない。例えば、第1時効処理は、800℃以上900℃以下の保持温度で30分以上4時間以下、行ってもよい。保持温度までの昇温速度は5℃/分以上50℃/分以下としてもよい。第1時効処理時の雰囲気は大気圧以上の圧力の不活性ガス雰囲気(例えば、Heガス、Arガス)としてもよい。第2時効処理は、保持温度を450℃以上550℃以下としてもよい点以外は第1時効処理と同条件で実施してもよい。時効処理によって、R-T-B系永久磁石の磁気特性を向上させることができる。また、時効処理工程は後述する加工工程の後に行ってもよい。
【0064】
[冷却工程]
R-T-B系永久磁石に時効処理(第1時効処理または第2時効処理)を施した後、R-T-B系永久磁石は不活性ガス雰囲気中で冷却される(冷却工程)。これにより、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石を得ることができる。冷却速度は、特に限定されるものではない。30℃/分以上としてもよい。
【0065】
[加工工程]
得られたR-T-B系永久磁石は、必要に応じて所望の形状に加工してもよい(加工工程)。加工方法は、例えば切断、研削などの形状加工や、バレル研磨などの面取り加工などが挙げられる。
【0066】
[粒界拡散工程]
加工されたR-T-B系永久磁石に対して、さらに重希土類元素を拡散させてもよい(粒界拡散工程)。粒界拡散の方法には特に制限はない。例えば、重希土類元素の化合物を含む塗料をR-T-B系永久磁石の表面に塗布した後に熱処理を行うことで実施してもよく、蒸着等により重希土類元素を含む化合物をR-T-B系永久磁石の表面に付着させた後に熱処理を行うことで実施してもよい。粒界拡散により、R-T-B系永久磁石のHcJをさらに向上させることができる。
【0067】
[表面処理工程]
以上の工程により得られたR-T-B系永久磁石は、めっきや樹脂被膜や酸化処理、化成処理などの表面処理を施してもよい(表面処理工程)。これにより、耐食性をさらに向上させることができる。
【0068】
以上のようにして得られるR-T-B系永久磁石は、BrとHcJとがバランスよく向上し、かつHk/HcJが高いR-T-B系永久磁石となる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。例えば、R-T-B系永久磁石の製造方法に関して、焼結の代わりに熱間成型および熱間加工を行ってもよい。
【0070】
本発明のR-T-B系永久磁石の用途には特に制限はない。特に室温付近で使用されるモータおよび発電機、例えば、ボイスコイルモータおよび風力発電機等に好適に用いられる。なお、当該用途に用いる場合には、Hk/HcJが高いことにより、モータの動作点における磁石の磁束密度を高くしやすい。
【実施例0071】
以下、実施例により発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実験例1)
(合金準備工程)
合金準備工程では、最終的に表1~表5に示す組成を有するR-T-B系永久磁石が得られる原料合金を準備した。表1~表5に記載されていない元素であってFe以外の元素の含有量は全て0.01質量%未満である。
【0073】
まず、所定の元素を有する原料金属を準備した。原料金属としては、例えば、表1~表5に記載した元素の単体、表1~表5に記載した元素を含む合金、および/または、表1~表5に記載した元素を含む化合物などを適宜選択して準備した。
【0074】
次に、これらの原料金属を秤量し、ストリップキャスティング法により原料合金を準備した。その際に、最終的に表1~表5に示す組成を有する磁石が得られる原料合金を準備した。
【0075】
(粉砕工程)
粉砕工程では調製工程により得られた原料合金を粉砕し、合金粉末を得た。粗粉砕と微粉砕との2段階で粉砕を行った。粗粉砕は、水素吸蔵粉砕により行った。原料合金に対して水素を吸蔵させた後、アルゴンフロー中または真空中、300~600℃で脱水素を行った。粗粉砕により、数百μm~数mm程度の粒径の合金粉末を得た。
【0076】
微粉砕は、粗粉砕で得られた合金粉末100質量部に対して粉砕助剤としてオレイン酸アミドを添加し、混合した後にジェットミルを用いて行った。最終的に表1~表5に示す組成を有する磁石が得られるようにオレイン酸アミドの添加量を制御した。ジェットミルでは窒素ガスを用いた。微粉砕は、合金粉末のD50が3.6μm程度となるまで行った。
【0077】
酸素量を他の実験例から大きく変化させた試料番号24では、窒素ガスに対して酸素ガスを500ppm混入させた。酸素量を他の実験例から大きく変化させた試料番号25では、窒素ガスに対して酸素ガスを2000ppm混入させた。
【0078】
(成形工程)
成形工程では粉砕工程により得られた合金粉末を磁場中で成形して成形体を得た。合金粉末を電磁石中に配置された金型内に充填した後に、電磁石により磁場を印加しながら加圧して成形した。印加する磁場の大きさは1200kA/mとした。成形時の圧力は40MPaとした。
【0079】
(焼結工程)
焼結工程では、得られた成形体を焼結して焼結体を得た。焼結時の保持温度は1070℃、保持時間は4時間とした。とした。焼結時の雰囲気は真空雰囲気または不活性ガス雰囲気化とした。
【0080】
(時効工程)
時効工程では、得られた焼結体に時効処理を行いR-T-B系永久磁石を得た。第1時効処理と第2時効処理との2段階で時効処理を行った。
【0081】
第1時効処理では保持温度は850℃、保持時間は1.0時間とした。第1時効処理時の雰囲気はAr雰囲気とした。
【0082】
第2時効処理では保持温度は480℃、保持時間は1.5時間とした。第2時効処理時の雰囲気はAr雰囲気とした。
【0083】
各実施例および比較例において最終的に得られたR-T-B系永久磁石の組成が表1~表5に示す組成となっていることは、蛍光X線分析法、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP法)、およびガス成分分析により組成分析することで確認した。特にCの含有量は、酸素気流中燃焼-赤外線吸収法により測定した。また、Bの含有量は、ICP法により測定した。
【0084】
(評価)
各実施例および比較例の原料合金から作成されたR-T-B系永久磁石の磁気特性をB-Hトレーサーを用いて測定した。磁気特性としてBr、HcJおよびHk/HcJを測定した。結果を表1~表5に示す。
【0085】
本実施例のR-T-B系永久磁石では、Brが1450mT以上、HcJが1200kA/m以上、Hk/HcJが95%以上の全てを満たす場合を良好とした。Brに関しては、Brが1460mT以上である場合をさらに良好とした。HcJに関しては、HcJが1320kA/m以上である場合をさらに良好とし、1350kA/mである場合を特に良好とした。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
表1にはTREまたはPr/TREを主に変化させた実施例および比較例を示した。TREが29.00質量%以上31.00質量%以下であり、かつ、Pr/TREが0.30以上0.50以下である各実施例は磁気特性が良好であった。TREが30.00質量%以上31.00質量%以下であり、かつ、Pr/TREが0.40以上0.50以下である各実施例は磁気特性、特にHcJが良好であった。これに対し、TREが小さすぎる比較例およびPr/TREが小さすぎる比較例はHcJが低下した。TREが大きすぎる比較例はBrが低下した。Pr/TREが大きすぎる比較例はHk/HcJが低下した。
【0092】
表2にはBの含有量、Cの含有量またはOの含有量を主に変化させた実施例および比較例を示した。全ての元素の含有量が所定の範囲内である各実施例は磁気特性が良好であった。Bの含有量が0.95質量%以下であり、Cの含有量が0.09質量%以下であり、Oの含有量が0.04質量%以上0.10質量%以下である各実施例は磁気特性、特にHcJが良好であった。これに対し、Bの含有量が小さすぎる比較例はHk/HcJが低下した。Bの含有量が大きすぎる比較例はHcJが低下した。Cの含有量が大きすぎる比較例はHcJが低下した。Oの含有量が大きすぎる比較例はHcJが低下した。
【0093】
表3にはMの含有量およびCuの含有量を主に変化させた実施例及び比較例を示した。全ての元素の含有量が所定の範囲内である各実施例は磁気特性が良好であった。これに対し、Mの含有量が小さすぎる比較例はHcJが低下した。Mの含有量が大きすぎる比較例はBrが低下した。
【0094】
また、Mの含有量が0.50質量%以上1.00質量%以下である実施例はMの含有量が0.50質量%未満である実施例と比較してHcJが向上した。Mの含有量が0.50質量%以上1.00質量%以下である実施例はMの含有量が1.00質量%を上回る実施例と比較してBrが向上した。
【0095】
Mの含有量が0.50質量%以上1.00質量%以下であり、かつ、Cuの含有量が0質量%以上0.19質量%以下である実施例は、Mの含有量が0.50質量%以上1.00質量%以下であり、かつ、Cuの含有量が0.19質量%を上回る実施例と比較してHcJが特に向上した。
【0096】
さらに、Mの含有量が0.65質量%以上1.00質量%以下であり、かつ、Cu含有量が0.05質量%以上0.20質量%以下である各実施例は他の実施例と比較してHcJが特に向上した。
【0097】
Mの含有量が1.00質量%を上回り、かつ、Cuの含有量が0質量%以上0.20質量%以下である実施例は、Mの含有量が1.00質量%を上回り、かつ、Cuの含有量が0.20質量%を上回る実施例と比較してHcJが特に向上した。
【0098】
表4にはCoの含有量、Pr/CまたはB+Cを主に変化させた実施例を示した。全ての元素の含有量が所定の範囲内である各実施例は磁気特性が良好であった。特に、Coの含有量が1.10質量%以上1.50質量%以下、Pr/Cが100以上400以下、B+Cが0.93以上1.07以下である場合に磁気特性がさらに良好になった。
【0099】
表5にはRHの種類および含有量を主に変化させた実施例および比較例を示した。全ての元素の含有量が所定の範囲内である各実施例は磁気特性が良好であった。これに対し、RHの含有量が多すぎる比較例はBrが低下した。