(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092720
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】スポットサイズ変換器及びスポットサイズ変換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20240701BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G02B6/122
G02B6/13
G02B6/122 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208848
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】泉二 玲緒奈
(72)【発明者】
【氏名】上村 紘崇
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BB03
2H147BB09
2H147BB10
2H147GA19
(57)【要約】
【課題】モードフィールド径を変換する際の損失を低減し得るスポットサイズ変換器、及びこのようなスポットサイズ変換器の製造方法を提供する。
【解決手段】スポットサイズ変換器は、第1クラッド層と、第1クラッド層上に形成される第1導波路コアと、第1クラッド層上に形成され、第1導波路コアを覆う、第1導波路コアより屈折率が低い第2導波路コアと、第1クラッド層上に形成され、第1導波路コア及び第2導波路コアを覆う、第2導波路コアより屈折率が低い第2クラッド層と、を備える。第2導波路コアは、第1クラッド層に対して積層方向に第1の高さを有する第1部分と、第1クラッド層に対して積層方向に第1の高さより低い第2の高さを有する第2部分と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クラッド層と、
前記第1クラッド層上に形成される第1導波路コアと、
前記第1クラッド層上に形成され、前記第1導波路コアを覆う、前記第1導波路コアより屈折率が低い第2導波路コアと、
前記第1クラッド層上に形成され、前記第1導波路コア及び前記第2導波路コアを覆う、前記第2導波路コアより屈折率が低い第2クラッド層と、
を備え、
前記第2導波路コアは、
前記第1クラッド層に対して積層方向に第1の高さを有する第1部分と、
前記第1クラッド層に対して積層方向に前記第1の高さより低い第2の高さを有する第2部分と、
を有する、スポットサイズ変換器。
【請求項2】
前記第2導波路コアによる光の伝搬方向において、前記第2導波路コアの前記第1部分と前記第2部分との境界は、前記第1導波路コアの終端と前記第2導波路コアの終端との間に位置する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項3】
前記第2導波路コアによる光の伝搬方向において、前記第2導波路コアの前記第1部分と前記第2部分との境界は、前記第1クラッド層に対する積層方向の高さの段差を有する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項4】
前記第2導波路コアによる光の伝搬方向に垂直な方向において、前記第2導波路コアの前記第1部分と前記第2部分との境界は、前記第1クラッド層に対する積層方向の高さの段差を有する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項5】
前記第1クラッド層と前記第2クラッド層との間に形成され、前記第1導波路コア及び前記第2導波路コアを覆う、第3導波路コアを備える、請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項6】
前記第2クラッド層は、
前記第1クラッド層に対して積層方向に第3の高さを有する第3部分と、
前記第1クラッド層に対して積層方向に前記第3の高さより低い第4の高さを有する第4部分と、
を有する、請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項7】
前記第2クラッド層は、前記第1クラッド層に対して積層方向に前記第4の高さより低い第5の高さを有する第5部分を有する、請求項6に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項8】
第1クラッド層を形成するステップと、
前記第1クラッド層上に、第1導波路コアを形成するステップと、
前記第1クラッド層上に、前記第1導波路コアを覆うように、前記第1導波路コアより屈折率が低い第2導波路コアを形成するステップと、
前記第1クラッド層上に、前記第1導波路コア及び前記第2導波路コアを覆うように、前記第2導波路コアより屈折率が低い第2クラッド層を形成するステップと、
を含む、スポットサイズ変換器の製造方法であって、
前記第2導波路コアは、
前記第1クラッド層に対する積層方向に第1の高さを有する第1部分と、
前記第1クラッド層に対する積層方向に前記第1の高さより低い第2の高さを有する第2部分と、
を有するように形成される、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スポットサイズ変換器、及びスポットサイズ変換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術(Information Technology:IT)又は情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT)の進歩に伴い、伝達が望まれる情報の量は著しく増加する傾向にある。このような状況において、近年、光配線技術が注目を集めている。光配線技術では、光ファイバ及び/又は光導波路素子などを伝送媒体とした光デバイスを用いて、情報処理機器における素子間、ボード間、又はチップ間などの情報伝達を、光信号によって行う。
【0003】
光デバイスの光導波路コアと、例えば光ファイバ等の外部素子との間の光学的な接続は、低損失で効率よく行われることが望ましい。そのような接続のために、光導波路コアと光ファイバ等の外部素子との間を光学的に接続する際に、これらの間において光のモードフィールド径(Mode Field Diameter:MFD)を変換することがある。MFDを変換する素子として、例えばスポットサイズ変換器(Spot Size Converter:SSC)が知られている。スポットサイズ変換器によれば、外部素子と光導波路コアとの間で入出力される光のMFDを縮小又は拡大することができる。例えば、特許文献1は、一方の端部がテーパ状の第1光導波路コアと、その下面を被覆する第2光導波路コアとを備えるスポットサイズ変換器を開示している。特許文献1は、第2光導波路コアの屈折率を、クラッド層の屈折率よりも大きく、第1光導波路コアの屈折率よりも小さくすることを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スポットサイズ変換器において、モードフィールド径を変換する際の損失は、可能な限り低減することが望ましい。
【0006】
本開示の目的は、モードフィールド径を変換する際の損失を低減し得るスポットサイズ変換器、及びこのようなスポットサイズ変換器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るスポットサイズ変換器は、
第1クラッド層と、
前記第1クラッド層上に形成される第1導波路コアと、
前記第1クラッド層上に形成され、前記第1導波路コアを覆う、前記第1導波路コアより屈折率が低い第2導波路コアと、
前記第1クラッド層上に形成され、前記第1導波路コア及び前記第2導波路コアを覆う、前記第2導波路コアより屈折率が低い第2クラッド層と、
を備える。
前記第2導波路コアは、
前記第1クラッド層に対して積層方向に第1の高さを有する第1部分と、
前記第1クラッド層に対して積層方向に前記第1の高さより低い第2の高さを有する第2部分と、
を有する。
【0008】
一実施形態に係るスポットサイズ変換器の製造方法は、
第1クラッド層を形成するステップと、
前記第1クラッド層上に、第1導波路コアを形成するステップと、
前記第1クラッド層上に、前記第1導波路コアを覆うように、前記第1導波路コアより屈折率が低い第2導波路コアを形成するステップと、
前記第1クラッド層上に、前記第1導波路コア及び前記第2導波路コアを覆うように、前記第2導波路コアより屈折率が低い第2クラッド層を形成するステップと、
を含む。
前記製造方法において、前記第2導波路コアは、
前記第1クラッド層に対する積層方向に第1の高さを有する第1部分と、
前記第1クラッド層に対する積層方向に前記第1の高さより低い第2の高さを有する第2部分と、
を有するように形成される。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、モードフィールド径を変換する際の損失を低減し得るスポットサイズ変換器、及びこのようなスポットサイズ変換器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の断面を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の断面を示す図である。
【
図4】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の断面を示す図である。
【
図5A】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の製造方法を説明する図である。
【
図5B】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の製造方法を説明する図である。
【
図6A】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の製造方法を説明する図である。
【
図6B】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の製造方法を説明する図である。
【
図7A】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の製造方法を説明する図である。
【
図7B】一実施形態に係るスポットサイズ変換器の製造方法を説明する図である。
【
図8】他の実施形態に係るスポットサイズ変換器の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下説明する実施形態において、「光導波路」とは、光デバイスの光導波路コアと、例えば光ファイバ等の外部素子との間を、光学的に接続する素子としてよい。また、以下説明する実施形態において、「光導波路」とは、上述したスポットサイズ変換器(SSC)の機能を備えるものとしてよい。以下、いくつかの実施形態に係るスポットサイズ変換器について、図面を参照して説明する。ここで、本開示において各実施形態を示す図面は、説明のために適宜簡略化などを施して概略を示すものである。したがって、本開示において各実施形態を示す図面は、必ずしも、各部材などの実際のサイズ、各部材など同士の実際のサイズの比率、又は、各部材などにおける各方向の実際のサイズの比率などを示すものではない。
【0012】
例えばシリコンフォトニクスなどの分野において、低損失な基板実装を実現するために、接続損失を低減することは重要である。特に、Si導波路から光ファイバに低損失で光結合する構造においては、コアの径が著しく変わる。したがって、このような構造においては、効率の良い基板実装が望ましい。基板の端面で光ファイバと突き合わせて結合させるバットカップリング(Butt Coupling)を行うと、Si導波路及び光ファイバをそれぞれ通るビームの大きさ(MFD)が大きく異なる。したがって、このような結合時の光のロスを抑えるために、スポットサイズ変換器(SSC)が用いられる。また、直交偏波(TE波(transverse electric wave))成分のMFDを変換する際の損失を低減するのみならず、平行偏波(transverse magnetic wave(TM波))成分のMFDを変換する際の損失も低減することが望ましい。
【0013】
スポットサイズ変換器において、TE偏波及びTM偏波の両方についてSi導波路内のMFDを大きくするためには、一般的に、作製工程に平坦化プロセスを用いることになる。例えば、上述した特許文献1に開示のスポットサイズ変換器も、作製工程に平坦化プロセスを用いるものと想定される。このように平坦化プロセスを用いる作製工程は、煩雑になるとともに、作製コストを増大させる。しかしながら、このような製作工程を経なければ、結合効率を高めることは困難になる。また、このような製作工程は、メタル配線を施した後に行うことはできないなどの制約を生じさせる。一実施形態に係るスポットサイズ変換器は、作製時に平坦化プロセスを行うことなく、TE偏波及びTM偏波の両方について、損失の低減を実現させる。
【0014】
まず、一実施形態に係るスポットサイズ変換器について説明する。
【0015】
図1乃至
図3は、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1の概略構成を示す図である。
図1は、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1の平面図である。すなわち、
図1は、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1を上から見た様子を示す図である。
図2及び
図3は、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1の断面図である。すなわち、
図2は、
図1に示すスポットサイズ変換器1のII-II線の断面を示す図である。
図3は、
図1に示すスポットサイズ変換器1のIII-III線の断面を示す図である。
【0016】
図1乃至
図3に示すように、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1は、第1クラッド層11と、第2クラッド層12と、第1導波路コア21と、第2導波路コア22と、を備えてよい。
【0017】
図1に示すスポットサイズ変換器1において、矢印A1によって示される向きに、一方の端部から光が入力される。また、スポットサイズ変換器1において、他方の端部から矢印A2によって示される向きに、光が出力される。すなわち、
図1乃至
図3に示すスポットサイズ変換器1は、Z軸正方向に光を伝搬する。以下、本明細書では、スポットサイズ変換器1において、矢印A1によって示される側の端部を、スポットサイズ変換器1の「第1端部」とも記す。また、スポットサイズ変換器1において、矢印A2によって示される側の端部を、スポットサイズ変換器1の「第2端部」とも記す。第1端部から光を入力し、第2端部から光を出力する場合、第1端部は入力端として機能し、第2端部は出力端として機能する。第2端部から光を入力し、第1端部から光を出力する場合、第2端部は入力端として機能し、第1端部は出力端として機能する。ここで、スポットサイズ変換器1の光の第1端部及び第2端部は、それぞれ、仮想的な端部としてもよいし、実質的(物理的)な端部としてもよい。スポットサイズ変換器1の入力端は、例えば光デバイスなどに、光学的に接続される端部としてよいまた、スポットサイズ変換器1の出力端は、例えば半導体レーザ又は光ファイバなど外部素子に、光学的に接続される端部としてよい。
【0018】
以下の説明において、
図1乃至
図3に示すZ軸の方向は、スポットサイズ変換器1において光が導波(伝搬)される方向に平行な方向としてよい。スポットサイズ変換器1は、第1端部(矢印A1によって示される側)に入力される光のMFDを変換(拡大)して、第2端部(矢印A2によって示される側)から出力することができる。この場合、スポットサイズ変換器1において、光はZ軸正方向に導波(伝搬)される。逆に、スポットサイズ変換器1は、第2端部(矢印A2によって示される側)に入力される光のMFDを変換(縮小)して、第1端部(矢印A1によって示される側)から出力することができる。この場合、スポットサイズ変換器1において、光はZ軸負方向に導波(伝搬)される。以下、
図1乃至
図3に示すZ軸の方向は、スポットサイズ変換器1、並びに、第1導波路コア21及び第2導波路コア22などの軸の方向(軸方向)を示すものとする。ここで、スポットサイズ変換器1、並びに、第1導波路コア21及び第2導波路コア22などの軸の方向(軸方向)とは、これらの部材において光が導波(伝搬)される方向、例えば光軸の方向としてよい。
【0019】
また、
図1乃至
図3に示すY軸の方向は、スポットサイズ変換器1の厚さの方向に平行な方向としてよい。以下、
図1乃至
図3に示すY軸の方向は、スポットサイズ変換器1及びスポットサイズ変換器1における各部材の厚さの方向(厚さ方向)を示すものとする。
図1乃至
図3に示すY軸正方向は、例えば鉛直上向きとしてよい。また、
図1乃至
図3に示すY軸負方向は、例えば鉛直下向きとしてよい。
【0020】
また、
図1乃至
図3に示すX軸の方向は、スポットサイズ変換器1の幅の方向に平行な方向としてよい。ここで、スポットサイズ変換器1の幅とは、XZ平面に平行な平面おいて、スポットサイズ変換器1の軸(Z軸方向)に垂直な方向の長さとしてよい。以下、
図1乃至
図3に示すX軸の方向は、スポットサイズ変換器1及びスポットサイズ変換器1における各部材の幅の方向(幅方向)を示すものとする。
【0021】
図2及び
図3に示すように、第1クラッド層11は、スポットサイズ変換器1における下部クラッド又はアンダークラッドとしてよい。第1クラッド層11は、第1導波路コア21及び第2導波路コア22よりも屈折率が低くなるように設計されてよい。第1クラッド層11の屈折率は、特に限定されないが、例えば1.45~1.46程度としてもよい。
【0022】
図2及び
図3に示すように、第1導波路コア21は、第1クラッド層11上に形成される。第1導波路コア21は、第1クラッド層11の上面において部分的に形成されてよい。第1導波路コア21は、第1クラッド層11よりも屈折率が高くなるように設計されてよい。第1導波路コア21の屈折率は、特に限定されないが、例えば1.463~1.467程度としてもよい。
【0023】
図2及び
図3に示すように、第2導波路コア22は、第1クラッド層11上に形成される。第2導波路コア22は、第1導波路コア21を覆うように形成される。
図1及び
図3に示すように、第2導波路コア22は、スポットサイズ変換器1の第1端部の部分を除いて、第1導波路コア21の周囲を覆うように形成されてよい。第2導波路コア22は、第1クラッド層11よりも屈折率が高くなるように設計されてよい。第1導波路コア21の屈折率は、特に限定されないが、例えば1.463~1.467程度としてもよい。また、第2導波路コア22は、第1導波路コア21よりも屈折率が低くなるように設計されてよい。
【0024】
図1乃至
図3に示すように、第2クラッド層12は、スポットサイズ変換器1における上部クラッド又はオーバクラッドとしてよい。第2クラッド層12は、第1クラッド層11上に形成される。第2クラッド層12は、第1導波路コア21及び第2導波路コア22を覆うように形成される。
図1及び
図3に示すように、第2クラッド層12は、スポットサイズ変換器1の第1端部の部分を除いて、第1導波路コア21及び第2導波路コア22の周囲を覆うように形成されてよい。より詳細には、上述のように、第2導波路コア22は、スポットサイズ変換器1の第1端部の部分を除いて、第1導波路コア21の周囲を覆うように形成されてよい。第2クラッド層12は、スポットサイズ変換器1の第1端部の部分を除いて、(第1導波路コア21の周囲を覆う)第2導波路コア22の周囲を覆うように形成されてよい。第2クラッド層12は、第2導波路コア22より屈折率が低くなるように設計されてよい。第2クラッド層12は、第1導波路コア21及び第2導波路コア22よりも屈折率が低くなるように設計されてもよい。第2クラッド層12の屈折率は、特に限定されないが、例えば1.45~1.46程度としてもよい。
【0025】
図3に示すように、第2導波路コア22は、第1部分221と、第2部分222と、を有する。第1部分221は、第1クラッド層11に対して積層方向(Y軸方向)に第1の高さh1を有する。第2部分222は、第1クラッド層11に対して積層方向(Y軸方向)に第2の高さh2を有する。一実施形態に係るスポットサイズ変換器1において、第2の高さh2は、第1の高さh1より低くなるようにしてよい。
【0026】
第2導波路コア22において、第1部分221と、第2部分222とは、物理的に分離しておらず、一体形成されるものとしてよい。すなわち、第2導波路コア22において、第1部分221と、第2部分222との区分は、仮想的であってよい。
図3において、第1部分221と第2部分222と仮想的な境界を、境界Bとして示してある。
【0027】
また、
図3に示すように、第2導波路コア22による光の伝搬方向(Z軸方向)において、第1部分221と第2部分222との境界Bは、第1導波路コア21の終端T1と第2導波路コア22の終端T2との間に位置するように設計されてもよい。また、第2導波路コア22の第1部分221と第2部分222との境界Bは、第1クラッド層11に対する積層方向の高さの段差(高さh1-高さh2の段差)を有するようにしてもよい。このような第2導波路コア22の段差により、スポットサイズ変換器1は、TM波成分のMFDを変換する際の損失を低減することができる。
【0028】
ここで、第1部分221と第2部分222とを有するように第2導波路コア22を形成する際、第1導波路コア21及び/又は第2導波路コア22の上面を平坦化するプロセスを行う必要はない。例えば、第1クラッド層11上に第1導波路コア21が形成された後、これらの上に第2導波路コア22を成膜させることにより、第1クラッド層11及び第1導波路コア21上にある程度均一の厚さの膜が形成される。その結果、第1導波路コア21及び/又は第2導波路コア22の上面を平坦化させなくても、第1部分221と第2部分222との境界Bの位置に段差が形成される。
【0029】
したがって、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1によれば、平坦化プロセスを行わずに、MFDを変換する際の損失を低減することができる。また、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1は、平坦化プロセスを行わないことにより、メタル配線後でもプロセス可能となる。
【0030】
図4は、
図1に示すスポットサイズ変換器1のIII-III線の断面を示す図である。
図4は、
図3に示したのと同じスポットサイズ変換器1を示している。
図3においては、第2導波路コア22について重点的に説明した。
図4においては、第2クラッド層12について重点的に説明する。
【0031】
図4に示すように、第2クラッド層12は、第3部分123と、第4部分124とを有してもよい。また、第2クラッド層12は、第5部分125を有してもよい。
【0032】
第3部分123は、第1クラッド層11に対して積層方向(Y軸方向)に第3の高さh3を有してもよい。第4部分124は、第1クラッド層11に対して積層方向(Y軸方向)に第4の高さh4を有してもよい。一実施形態に係るスポットサイズ変換器1において、第4の高さh4は、第3の高さh3より低くなるようにしてもよい。第5部分125は、第1クラッド層11に対して積層方向(Y軸方向)に第5の高さh5を有してもよい。一実施形態に係るスポットサイズ変換器1において、第5の高さh5は、第4の高さh4より低くなるようにしてもよい。
【0033】
第2クラッド層12において、第3部分123と、第4部分124とは、物理的に分離しておらず、一体形成されるものとしてよい。すなわち、第2クラッド層12において、第3部分123と、第4部分124との区分は、仮想的であってよい。また、第2クラッド層12において、第4部分124と、第5部分125とは、物理的に分離しておらず、一体形成されるものとしてよい。すなわち、第2クラッド層12において、第4部分124と、第5部分125との区分は、仮想的であってよい。
【0034】
図4に示すように、第2クラッド層12において、第3部分123と第4部分124との境界は、第2導波路コア22の第1部分221と第2部分222との境界と、第2導波路コア22の終端との間に位置するように設計されてもよい。また、第2クラッド層12の第3部分123と第4部分124との境界は、第1クラッド層11に対する積層方向の高さの段差(高さh3-高さh4の段差)を有するようにしてもよい。また、第2クラッド層12において、第4部分124と第5部分125との境界は、第2導波路コア22の終端と、第2クラッド層12の終端との間に位置するように設計されてもよい。また、第2クラッド層12の第4部分124と第5部分125との境界は、第1クラッド層11に対する積層方向の高さの段差(高さh4-高さh5の段差)を有するようにしてもよい。
【0035】
ここで、第3部分123と第4部分124と(さらに第5部分125と)を有するように第2クラッド層12を形成する際、第2導波路コア22の上面を平坦化するプロセスを行う必要はない。例えば、第1導波路コア21上に第2導波路コア22が形成された後、これらの上に第2クラッド層12を成膜させることにより、第1導波路コア21及び第2導波路コア22上にある程度均一の厚さの膜が形成される。その結果、第1導波路コア21及び第2導波路コア22の上面を平坦化させなくても、第3部分123と第4部分124と(さらに第5部分125と)の境界の位置に段差が形成される。
【0036】
したがって、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1は、平坦化プロセスを行わないことにより、製造工程を簡略化することができる。
【0037】
次に、一実施形態に係るスポットサイズ変換器1の製造方法について説明する。
【0038】
一実施形態に係るスポットサイズ変換器1は、上述のように、平坦化プロセスを行わずに製造することができる。一実施形態に係るスポットサイズ変換器1は、平坦化プロセスを行わずに製造する以外の観点においては、既知のスポットサイズ変換器のクラッド及び/又は導波路コアと同一又は類似の方法により製造することができる。したがって、既知のスポットサイズ変換器のクラッド及び/又は導波路コアと同一又は類似となる説明は、適宜、簡略化又は省略する。
【0039】
一実施形態に係るスポットサイズ変換器1を製造する際は、まず、第1クラッド層11を形成する。
図5A及び
図5Bは、第1クラッド層11が形成された様子を示す図である。
図5Aは、スポットサイズ変換器1の製造工程を、
図2と同じ観点から示す図である。
図5Bは、スポットサイズ変換器1の製造工程を、
図3と同じ観点から示す図である。
【0040】
次に、第1クラッド層11上に、第1導波路コア21を形成する。
図6A及び
図6Bは、第1クラッド層11上に第1導波路コア21が形成された様子を示す図である。
図6Aは、
図5Aに示した第1クラッド層11上に、第1導波路コア21が形成された様子を示す図である。
図6Bは、
図5Bに示した第1クラッド層11上に、第1導波路コア21が形成された様子を示す図である。
【0041】
次に、第1クラッド層11上に、第2導波路コア22を形成する。
図7A及び
図7Bは、第1クラッド層11上に第2導波路コア22が形成された様子を示す図である。
図7Aは、
図6Aに示した第1クラッド層11及び第1導波路コア21上に、第2導波路コア22が形成された様子を示す図である。
図7Bは、
図6Bに示した第1クラッド層11及び第1導波路コア21上に、第2導波路コア22が形成された様子を示す図である。上述のように、第2導波路コア22の形成は、第1導波路コア21の上面を平坦化するプロセスを経ずに行うことができる。
【0042】
図7A及び
図7Bに示すように、第2導波路コア22は、第1クラッド層11上に、第1導波路コア21を覆うように形成される。また、上述のように、第2導波路コア22は、第1導波路コア21より屈折率が低くなるようにしてよい。
【0043】
図7Bにおいて、第2導波路コア22の第1部分221と第2部分222と仮想的な境界を、境界Bとして示してある。また、
図7Aにおいて、第2導波路コア22の第1部分221と第2部分222と仮想的な境界を、境界Cとして示してある。
【0044】
また、
図7Aに示すX軸方向)において、第1部分221と第2部分222との境界Cは、第1導波路コア21の幅方向の終端S1と、第2導波路コア22の幅方向の終端S2との間に位置するように設計されてもよい。また、第2導波路コア22の第1部分221と第2部分222との境界Cは、第1クラッド層11に対する積層方向の高さの段差(高さh1-高さh2の段差)を有するようにしてもよい。このような第2導波路コア22の段差により、スポットサイズ変換器1は、TE波成分のMFDを変換する際の損失を低減することができる。
【0045】
このように、
図7Aに示すX軸方向において、第2導波路コア22の第1部分221と第2部分222との境界Cは、第1クラッド層11に対する積層方向の高さの段差(高さh1-h2の段差)を有するようにしてもよい。ここで、
図7Aに示すX軸方向とは、
図7Aに示す第2導波路コア22による光の伝搬方向に垂直な方向としてよい。
【0046】
一実施形態に係るスポットサイズ変換器1の製造方法において、次に、第1クラッド層11上に、第2クラッド層12を形成する。
図7Aに示した第1クラッド層11、第1導波路コア21、及び第2導波路コア22上に、第2クラッド層12が形成された様子は、
図2に示したようになる。
図7Bに示した第1クラッド層11、第1導波路コア21、及び第2導波路コア22上に、第2クラッド層12が形成された様子は、
図3に示したようになる。
図2及び
図3に示したように、第2クラッド層12は、第1クラッド層11上に、第1導波路コア21及び第2導波路コア22を覆うように形成されてよい。また、上述のように、第2クラッド層12は、第2導波路コア22より屈折率が低くなるようにしてよい。上述のように、第2クラッド層12の形成は、第1導波路コア21及び/又は第2導波路コア22の上面を平坦化するプロセスを経ずに行ってもよい。
【0047】
以上のような製造方法により、第2導波路コア22は、第1部分221と、第2部分222と、を有するように形成される。第1部分221は、第1クラッド層11に対する積層方向に第1の高さh1を有する。第2部分222は、第1クラッド層11に対する積層方向に第1の高さh1より低い第2の高さh2を有する。
【0048】
(他の実施形態)
上述した一実施形態に係るスポットサイズ変換器1は、第1導波路コア21及び第2導波路コア22のように、2つの導波路コアを備えるものとして説明した。しかしながら、他の実施形態においては、導波路コアは2つに限定されず、3つ以上の導波路コアを備えてもよい。
【0049】
図8は、他の実施形態に係るスポットサイズ変換器2の断面を示す図である。
図8は、他の実施形態に係るスポットサイズ変換器2を、
図3と同じ観点から示す図である。
図8に示すように、スポットサイズ変換器2において、第1導波路コア21及び第2導波路コア22を覆うように、第3導波路コア23が形成されてもよい。第3導波路コア23は、第1クラッド層11と第2クラッド層12との間に形成されてよい。
【0050】
このように、一実施形態の変形例に係るスポットサイズ変換器2は、第1クラッド層11と第2クラッド層12との間に形成され、第1導波路コア21及び第2導波路コア22を覆う、第3導波路コア23を備えてもよい。
【0051】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について光導波路を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は光導波路の製造方法としても実現し得る。
【符号の説明】
【0052】
1,2 スポットサイズ変換器
11 第1クラッド層
12 第2クラッド層
123 第3部分
124 第4部分
125 第5部分
21 第1導波路コア
22 第2導波路コア
23 第3導波路コア
221 第1部分
222 第2部分