(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092729
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】波形測定器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 13/20 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
G01R13/20 S
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208863
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】小柴 大雅
(72)【発明者】
【氏名】川田 成典
(57)【要約】
【課題】シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データの範囲を拡張する。
【解決手段】本開示に係る波形測定器10は、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能である。波形測定器10は、シリアルバス設定処理を自動で実行する制御部107を備える。制御部107は、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能な波形測定器であって、
前記シリアルバス設定処理を自動で実行する制御部を備え、
前記制御部は、以前に取得した波形データに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能である、波形測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の波形測定器において、
アナログ波形の入力信号をデジタル値の波形データに変換するAD変換器と、
前記AD変換器によって変換された波形データを格納する第1のメモリと、
前記波形データをファイル形式で格納可能な第2のメモリと、
前記波形データを表示可能な表示部と、
をさらに備え、
前記制御部は、以前に取得した前記波形データとして、前記表示部に現在表示されている第1の波形データと、前記第1のメモリに格納されている第2の波形データとのいずれかに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行する、波形測定器。
【請求項3】
請求項1に記載の波形測定器において、
アナログ波形の入力信号をデジタル値の波形データに変換するAD変換器と、
前記AD変換器によって変換された波形データを格納する第1のメモリと、
前記波形データをファイル形式で格納可能な第2のメモリと、
前記波形データを表示可能な表示部と、
をさらに備え、
前記制御部は、以前に取得した前記波形データとして、前記表示部に現在表示されている第1の波形データと、前記第1のメモリに格納されている第2の波形データと、前記第2のメモリにファイル形式で格納されている第3の波形データとのいずれかに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行する、波形測定器。
【請求項4】
請求項1に記載の波形測定器において、
アナログ波形の入力信号をデジタル値の波形データに変換するAD変換器と、
前記AD変換器によって変換された波形データを格納する第1のメモリと、
前記波形データをファイル形式で格納可能な第2のメモリと、
前記波形データを表示可能な表示部と、
をさらに備え、
前記制御部は、以前に取得した前記波形データとして、前記表示部に現在表示されている第1の波形データと、前記第1のメモリに格納されている第2の波形データと、前記第2のメモリにファイル形式で格納されている第3の波形データと、前記第1の波形データ、前記第2の波形データ及び前記第3の波形データの少なくともいずれかを用いて演算された第4の波形データとのいずれかに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行する、波形測定器。
【請求項5】
請求項4に記載の波形測定器において、
ユーザからの入力を受け付け可能な操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部への前記ユーザからの入力に基づいて、前記第1の波形データ、前記第2の波形データ、前記第3の波形データ及び前記第4の波形データのうちのいずれの波形データに基づいて前記シリアルバス設定処理を自動で実行するかを決定する、波形測定器。
【請求項6】
請求項2から4のいずれか一項に記載の波形測定器において、
前記表示部に現在表示されている前記第1の波形データは、前記第1のメモリに格納されている波形データのうちの最新の波形データである、波形測定器。
【請求項7】
請求項1に記載の波形測定器において、
前記制御部が自動で実行する前記シリアルバス設定処理は、
前記制御部が、
以前に取得した前記波形データの電圧のヒストグラムに基づいて電圧閾値を算出する処理と、
前記電圧閾値に基づいて立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出し、前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジに基づいてビットレートを算出する処理と、を含む、波形測定器。
【請求項8】
請求項1に記載の波形測定器において、
前記制御部が前記シリアルバス設定処理を実行するシリアルバスは、CAN、CAN FD、CXPI、FlexRay、I2C、LIN、PSI5、SENT、SPI、CAN XL及びEthernetのいずれかである、波形測定器。
【請求項9】
請求項1に記載の波形測定器において、
前記制御部は、
現在入力中の信号に基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能であり、
前記以前に取得した波形データと、前記現在入力中の信号とのいずれか一方を選択して、選択したいずれか一方に基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行する、波形測定器。
【請求項10】
コンピュータに、
シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能な波形測定器が以前に取得した波形データを取得するステップと、
取得した前記波形データに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行するステップと、を含む動作を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波形測定器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリアルバスを解析する際に必要な設定処理を自動で実行することができる波形測定器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、シリアルバスを介して伝送されるデータのビットレートを検出するビットレート検出手段と、ビットレート検出手段の検出結果に基づいてシリアルバスの種類を判定する判定手段とを備える波形測定器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている波形測定器は、入力中の信号に基づいて、シリアルバス設定を自動で実行するものであり、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データが限定されていた。
【0006】
そこで、本開示は、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データの範囲を拡張することが可能な波形測定器及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る波形測定器は、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能な波形測定器であって、前記シリアルバス設定処理を自動で実行する制御部を備え、前記制御部は、以前に取得した波形データに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能である。このような波形測定器によれば、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データの範囲を拡張することが可能である。
【0008】
一実施形態に係る波形測定器において、アナログ波形の入力信号をデジタル値の波形データに変換するAD変換器と、前記AD変換器によって変換された波形データを格納する第1のメモリと、前記波形データをファイル形式で格納可能な第2のメモリと、前記波形データを表示可能な表示部と、をさらに備え、前記制御部は、以前に取得した前記波形データとして、前記表示部に現在表示されている第1の波形データと、前記第1のメモリに格納されている第2の波形データとのいずれかに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行してもよい。これにより、以前に取得した波形データとして、表示部に現在表示されている第1の波形データと、第1のメモリに格納されている第2の波形データとのいずれかに基づいてシリアルバス設定処理を自動で実行することができる。
【0009】
一実施形態に係る波形測定器において、アナログ波形の入力信号をデジタル値の波形データに変換するAD変換器と、前記AD変換器によって変換された波形データを格納する第1のメモリと、前記波形データをファイル形式で格納可能な第2のメモリと、前記波形データを表示可能な表示部と、をさらに備え、前記制御部は、以前に取得した前記波形データとして、前記表示部に現在表示されている第1の波形データと、前記第1のメモリに格納されている第2の波形データと、前記第2のメモリにファイル形式で格納されている第3の波形データとのいずれかに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行してもよい。これにより、以前に取得した波形データとして、表示部に現在表示されている第1の波形データと、第1のメモリに格納されている第2の波形データと、第2のメモリにファイル形式で格納されている第3の波形データとのいずれかに基づいてシリアルバス設定処理を自動で実行することができる。
【0010】
一実施形態に係る波形測定器において、アナログ波形の入力信号をデジタル値の波形データに変換するAD変換器と、前記AD変換器によって変換された波形データを格納する第1のメモリと、前記波形データをファイル形式で格納可能な第2のメモリと、前記波形データを表示可能な表示部と、をさらに備え、前記制御部は、以前に取得した前記波形データとして、前記表示部に現在表示されている第1の波形データと、前記第1のメモリに格納されている第2の波形データと、前記第2のメモリにファイル形式で格納されている第3の波形データと、前記第1の波形データ、前記第2の波形データ及び前記第3の波形データの少なくともいずれかを用いて演算された第4の波形データとのいずれかに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行してもよい。これにより、以前に取得した波形データとして、表示部に現在表示されている第1の波形データと、第1のメモリに格納されている第2の波形データと、第2のメモリにファイル形式で格納されている第3の波形データと、第2の波形データ及び第3の波形データの少なくともいずれかを用いて演算された第4の波形データとのいずれかに基づいてシリアルバス設定処理を自動で実行することができる。
【0011】
一実施形態に係る波形測定器において、ユーザからの入力を受け付け可能な操作部をさらに備え、前記制御部は、前記操作部への前記ユーザからの入力に基づいて、前記第1の波形データ、前記第2の波形データ、前記第3の波形データ及び前記第4の波形データのうちのいずれの波形データに基づいて前記シリアルバス設定処理を自動で実行するかを決定してもよい。これにより、ユーザの選択に応じて、どの波形データに基づいてシリアルバス設定処理を自動で実行するかを選択することができる。
【0012】
一実施形態に係る波形測定器において、前記表示部に現在表示されている前記第1の波形データは、前記第1のメモリに格納されている波形データのうちの最新の波形データであってよい。
【0013】
一実施形態に係る波形測定器において、前記制御部が自動で実行する前記シリアルバス設定処理は、前記制御部が、以前に取得した前記波形データの電圧のヒストグラムに基づいて電圧閾値を算出する処理と、前記電圧閾値に基づいて立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出し、前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジに基づいてビットレートを算出する処理と、を含んでもよい。これにより、電圧閾値及びビットレートを算出し、算出した電圧閾値及びビットレートを用いて、シリアルバス設定処理を自動で実行することができる。
【0014】
一実施形態に係る波形測定器において、前記制御部が前記シリアルバス設定処理を実行するシリアルバスは、CAN、CAN FD、CXPI、FlexRay、I2C、LIN、PSI5、SENT、SPI、CAN XL及びEthernetのいずれかであってよい。
【0015】
一実施形態に係る波形測定器において、前記制御部は、現在入力中の信号に基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能であり、前記以前に取得した波形データと、前記現在入力中の信号とのいずれか一方を選択して、選択したいずれか一方に基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行してもよい。これにより、以前に取得した波形データと、現在入力中の信号とのいずれか一方を選択して、シリアルバス設定処理を自動で実行することができる。
【0016】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能な波形測定器が以前に取得した波形データを取得するステップと、取得した前記波形データに基づいて、前記シリアルバス設定処理を自動で実行するステップと、を含む動作を実行させる。このようなプログラムによれば、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データの範囲を拡張することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データの範囲を拡張することが可能な波形測定器及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態に係る波形測定器の概略構成を示す図である。
【
図2】電圧閾値の算出について説明するための概念図である。
【
図3】CANのデータフレーム構造を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る波形測定器の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のフローチャートにおける設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】比較例に係る波形測定器の動作を示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る波形測定器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る波形測定器10の概略構成を示す図である。波形測定器10は、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能な波形測定器である。
図1を参照して、一実施形態に係る波形測定器10の構成及び機能について説明する。
【0021】
波形測定器10は、プリアンプ101と、AD変換器102と、波形データメモリ103と、データ処理部104と、表示処理部105と、表示部106と、制御部107と、メモリ108と、操作部109とを備える。
【0022】
プリアンプ101は、波形測定器10へ入力されるアナログ波形の入力信号を所定の倍率で増幅する。
【0023】
AD変換器102は、プリアンプ101が出力するアナログ波形の入力信号を、デジタル値の波形データに変換する。
【0024】
なお、
図1においては、波形測定器10が1つのプリアンプ101及び1つのAD変換器102を備える構成を示しているが、波形測定器10は、複数のプリアンプ101及び複数のAD変換器102を備えていてよい。
【0025】
波形データメモリ103は、データ処理部104によって書き込まれた波形データを格納する。波形データメモリ103は、複数の波形データを格納することができる。波形データメモリ103が格納する波形データは、AD変換器102によってデジタル値に変換された波形データである。波形データメモリ103は、特許請求の範囲における「第1のメモリ」に対応する。
【0026】
波形データメモリ103は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。
【0027】
データ処理部104は、AD変換器102によってデジタル値に変換された波形データを、波形データメモリ103に書き込む。データ処理部104は、波形データを波形データメモリ103に書き込むと同時に、トリガの検出を行う。
【0028】
データ処理部104は、波形データメモリ103に格納されている波形データを読み出すことができる。データ処理部104は、波形データの立ち上がりエッジの位置及び立ち下がりエッジの位置を検出する。
【0029】
データ処理部104は、波形データに基づいて、表示部106に表示させる表示データを生成する。
【0030】
表示処理部105は、表示部106に表示させる表示データを、表示部106に出力する。表示処理部105は、データ処理部104及び制御部107から取得した情報に基づいて、表示部106に表示させる表示データを生成する。表示処理部105は、データ処理部104及び制御部107から取得した情報を合成して、表示部106に表示させる表示データを生成してよい。
【0031】
表示部106は、表示処理部105から取得した表示データを表示する。表示部106は、表示データに含まれる波形データを表示することができる。
【0032】
表示部106は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイなどを含んでいてよい。
【0033】
制御部107は、波形測定器10全体及び波形測定器10の各ブロックを制御する。制御部107は、操作部109を介して、ユーザからの入力を取得することができる。制御部107は、データ処理部104から波形データを取得する。制御部107は、表示処理部105に表示情報を出力する。制御部107は、波形データをファイル形式でメモリ108に格納する。制御部107は、メモリ108からファイル形式の波形データを読み込む。
【0034】
制御部107は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0035】
制御部107は、シリアルバス設定処理を自動で実行することができる。制御部107は、現在入力中の信号ではなく、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能である。制御部107の動作の詳細については後述する。
【0036】
メモリ108は、波形データをファイル形式で格納可能なメモリである。メモリ108は、特許請求の範囲における「第2のメモリ」に対応する。
【0037】
メモリ108は、シリアルバスに特有な情報の各種データを保持することができる。また、メモリ108は、後述する、縦軸スケール、電圧閾値、ビットレート、横軸スケールなどを保持することができる。
【0038】
メモリ108は、波形測定器10の動作に用いられる任意の情報を記憶していてよい。例えば、メモリ108は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、各種データなどを記憶していてよい。
【0039】
メモリ108は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。
【0040】
なお、メモリ108は、複数に分かれて構成されていてもよい。例えば、波形データをファイル形式で格納するメモリと、シリアルバスに特有な情報の各種データを保持するメモリとが別のメモリとして構成されていてもよい。
【0041】
操作部109は、ユーザからの入力を受け付け可能なインタフェースを含む。操作部109は、例えば、ボタン、ロータリーノブなどを含んでいてよい。
【0042】
続いて、波形測定器10が実行するシリアルバス設定処理について説明する。
【0043】
制御部107は、現在入力中の信号ではなく、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能である。
【0044】
以前に取得した波形データは、表示部106に現在表示されている波形データ、波形データメモリ103に格納されている波形データ、メモリ108にファイル形式で格納されている波形データ、演算された波形データのいずれかであってよい。
【0045】
表示部106に現在表示されている波形データは、以前に取得した波形データのうちの最新の波形データである。すなわち、表示部106に現在表示されている波形データは、現在入力中の信号に基づく波形データではない。以前に取得した波形データのうちの最新の波形データは、波形データメモリ103に格納されている。波形データメモリ103は、複数の波形データを格納しているが、そのうちの最新の波形データのことを、本実施形態においては、「表示部106に現在表示されている波形データ」と称する。以後、「表示部106に現在表示されている波形データ」について、「表示中の波形データ」と称する場合がある。表示中の波形データは、特許請求の範囲における「第1の波形データ」に対応する。
【0046】
波形データメモリ103に格納されている波形データは、データ処理部104が波形データメモリ103に書き込んだ波形データである。以後、「波形データメモリ103に格納されている波形データ」について、「ヒストリ波形データ」と称する場合がある。ヒストリ波形データは、特許請求の範囲における「第2の波形データ」に対応する。
【0047】
メモリ108にファイル形式で格納されている波形データは、制御部107が読み出すことが可能なファイル形式で、メモリ108に格納されている波形データである。以後、「メモリ108にファイル形式で格納されている波形データ」について、「ファイル形式波形データ」と称する場合がある。ファイル形式波形データは、特許請求の範囲における「第3の波形データ」に対応する。
【0048】
演算された波形データは、表示中の波形データ、ヒストリ波形データ及びファイル形式波形データの少なくともいずれかを用いて演算された波形データである。演算された波形データは、例えば、ヒストリ波形データのうちの2つの波形データに対して、加算、減算、乗算、除算などが実行された波形データであってよい。演算された波形データは、2つの波形に対して演算された波形データに限らず、3つ以上の波形データに対して演算された波形データであってもよい。また、演算された波形データは、加減乗除に限らず、任意の演算がされた波形データであってよい。以後、「演算された波形データ」について、「演算波形データ」と称する場合がある。演算波形データは、特許請求の範囲における「第4の波形データ」に対応する。
【0049】
操作部109は、表示中の波形データ、ヒストリ波形データ、ファイル形式波形データ及び演算波形データのうちのいずれの波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を実行するかの選択をユーザから受け付けることができる。
【0050】
制御部107は、操作部109へのユーザからの入力に基づいて、表示中の波形データ、ヒストリ波形データ、ファイル形式波形データ及び演算波形データのうちのいずれの波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行するかを決定する。
【0051】
制御部107は、表示中の波形データ、ヒストリ波形データ、ファイル形式波形データ及び演算波形データのうちのいずれの波形データに基づいてシリアルバス設定処理を自動で実行するかを決定すると、決定した波形データに基づいてシリアルバス設定処理を実行する。
【0052】
以後、シリアルバス設定処理について、シリアルバスがCAN(Controller Area Network)である場合を例に挙げて説明する。ただし、シリアルバスがCANであるのは一例であり、シリアルバスは、CAN以外の種類であってもよい。
【0053】
制御部107は、シリアルバス設定処理を実行する対象とした波形データに対して、電圧閾値を算出する。
図2を参照して、制御部107による電圧閾値の算出について説明する。
【0054】
制御部107は、波形データについて縦軸のヒストグラムを算出する。ヒストグラムは、電圧の最大値付近に分布するヒストグラムと、電圧の最小値付近に分布するヒストグラムとに分かれる。
【0055】
制御部107は、電圧の最大値付近に分布するヒストグラムのうち頻度が最大の電圧を、High電圧と決定する。制御部107は、電圧の最小値付近に分布するヒストグラムのうち頻度が最大の電圧を、Low電圧と決定する。
【0056】
制御部107は、High電圧とLow電圧の中間の電圧を、電圧閾値と算出する。
【0057】
制御部107は、シリアルバス設定処理を実行する対象とした波形データに対して、ビットレートを算出する。
【0058】
制御部107は、算出した電圧閾値に基づいて、波形データの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出する。制御部107は、検出した立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに基づいて、エッジ間隔が最短であるパルスを抽出する。制御部107は、エッジ間隔が最短であるパルスがCANの1ビット長に対応するとして、ビットレートを算出する。制御部107は、最短であるパルス幅の時間の逆数をビットレートとして算出する。
【0059】
制御部107は、算出したビットレートが、波形測定器10が設定可能なビットレートの範囲に該当するか否かを判定してよい。
【0060】
制御部107は、算出したビットレートが、波形測定器10が設定可能なビットレートの範囲に該当すると判定した場合、算出したビットレートを保持する。制御部107は、算出したビットレートが、波形測定器10が設定可能なビットレートの範囲に該当しないと判定した場合、ビットレートを、設定可能な最小値又は設定可能な最大値の近い方の値に丸めて保持する。
【0061】
制御部107は、シリアルバス設定処理を実行する対象とした波形データに対して、リセッシブ電位を検出する。
【0062】
図3に示すCANのデータフレーム構造を参照して、リセッシブ電位について説明する。シリアルバスの一種であるCANにおいては、バスアイドル状態を判定するためにバス電位の検出を行う必要がある。CANにおいては、0と1の2値が、規格で指定された電圧に変換されている。CANにおいては、「0」を「ドミナント」、「1」を「リセッシブ」と表す。CANの規格においは、バスアイドル状態のバス電位が「リセッシブ電位」と規定されている。
【0063】
制御部107は、ビットレートを算出する際に検出した立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに基づいて、最長パルスを抽出する。CANの規格においては、最長パルスとなる区間はアイドル区間である。制御部107は、抽出した最長パルスの極性に基づいて、リセッシブ電位をHighとして認識するかLowとして認識するかを検出する。このように、リセッシブ電位をHighとして認識するかLowとして認識するかを検出することにより、入力信号の極性を逆に取り込んでもシリアルバスデコードを可能とすることができる。
【0064】
制御部107は、算出した電圧閾値、算出したビットレート及び検出したリセッシブ電位に基づいて、シリアルバス設定処理を実行する。
【0065】
図4に示すフローチャートを参照して、波形測定器10の動作について説明する。
【0066】
ステップS101:制御部107は、操作部109へのユーザからの入力に基づいて、表示中の波形データ、ヒストリ波形データ、ファイル形式波形データ及び演算波形データのうちのいずれの波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行するかを決定する。
【0067】
この際、制御部107は、ヒストリ波形データに決定する場合は、波形データメモリ103に格納されているヒストリ波形データのうち、どのヒストリ波形データを対象とするかを特定する情報も取得する。どのヒストリ波形データを対象とするかを特定する情報は、操作部109へのユーザからの入力に基づいて取得してよい。
【0068】
また、この際、制御部107は、ファイル形式波形データに決定する場合は、メモリ108に格納されているファイル形式波形データのうち、どのファイル形式波形データを対象とするかを特定する情報も取得する。どのファイル形式波形データを対象とするかを特定する情報は、操作部109へのユーザからの入力に基づいて取得してよい。
【0069】
ステップS102:制御部107は、後述する設定処理(ステップS112)においてトリガ設定を実行するか否かを選択する。ステップS101において、演算波形データに決定していた場合は、制御部107は、トリガ設定を実行しないことを選択する。ステップS101において、演算波形データ以外の波形データに決定していた場合は、制御部107は、ユーザの選択に基づいて、トリガ設定を実行するか否かを選択する。制御部107は、ユーザの選択を、操作部109へのユーザからの入力に基づいて取得してよい。
【0070】
ステップS103:制御部107は、ステップS101において決定した波形データがファイル形式波形データであるか否かを判定する。ファイル形式波形データである場合(ステップS103のYes)、制御部107は、ステップS104に進む。ファイル形式波形データではない場合(ステップS103のNo)、制御部107は、ステップS105に進む。
【0071】
ステップS104:制御部107は、メモリ108内においてユーザが指定したファイルを検索し、ユーザが指定したファイルを開く。制御部107は、開いたファイルに含まれるファイル形式波形データを読み込む。この際、ファイルには、トリガ設定情報などの付加的な情報が含まれていてもよい。制御部107は、付加的な情報を、波形データメモリ103に書き込んでもよい。制御部107は、ファイル形式波形データを読み込むと、開いたファイルを閉じる。
【0072】
ステップS105:制御部107は、ステップS101において決定した波形データがヒストリ波形データであるか否かを判定する。ヒストリ波形データである場合(ステップS105のYes)、制御部107は、ステップS106に進む。ヒストリ波形データではない場合(ステップS105のNo)、制御部107は、ステップS107に進む。
【0073】
ステップS106:制御部107は、ステップS101において取得した、どのヒストリ波形データを対象とするかを特定する情報に基づいて、波形データメモリ103において対象となるヒストリ波形データが格納されているアドレスを算出する。制御部107は、算出したアドレスを参照して対象となるヒストリ波形データを取得することができる。
【0074】
ステップS107:制御部107は、ステップS101において決定した波形データが演算波形データであるか否かを判定する。演算波形データである場合(ステップS107のYes)、制御部107は、ステップS108に進む。演算波形データではない場合(ステップS107のNo)、制御部107は、ステップS101において決定した波形データが、表示中の波形データであると判定する。
【0075】
ステップS108:制御部107は、演算に必要な波形データを読み込む。制御部107は、波形データメモリ103に格納されている複数のヒストリ波形データ及びメモリ108に格納されている複数のファイル形式波形データから演算に必要な波形データを読み込む。制御部107は、読み込んだ波形データを用いて、ユーザに指定された演算を行い、演算波形データを生成する。制御部107は、生成した演算波形データを波形データメモリ103に書き込んでもよい。
【0076】
ステップS109:制御部107は、シリアルバス設定処理を実行する対象として決定した波形データに対して、電圧閾値を算出する。
【0077】
ステップS110:制御部107は、シリアルバス設定処理を実行する対象として決定した波形データに対して、ビットレートを算出する。制御部107は、算出したビットレートが、波形測定器10が設定可能なビットレートの範囲に該当するか否かを判定してよい。制御部107は、算出したビットレートが、波形測定器10が設定可能なビットレートの範囲に該当すると判定した場合、算出したビットレートを保持する。制御部107は、算出したビットレートが、波形測定器10が設定可能なビットレートの範囲に該当しないと判定した場合、ビットレートを、設定可能な最小値又は設定可能な最大値の近い方の値に丸めて保持する。
【0078】
ステップS111:制御部107は、シリアルバス設定処理を実行する対象として決定した波形データに対して、リセッシブ電位の極性を検出する。
【0079】
ステップS112:制御部107は、ステップS109で算出した電圧閾値、ステップS110で算出したビットレート及びステップS111で検出したリセッシブ電位の極性に基づいて、設定処理を実行する。ステップS112として示した設定処理の詳細については、
図5を参照して説明する。
【0080】
図5に示すフローチャートを参照して、
図4にステップS112として示した設定処理の詳細について説明する。
【0081】
ステップS201:制御部107は、シリアルバスの種別に応じた解析を行うための設定として、ステップS109で算出した電圧閾値を設定する。
【0082】
ステップS202:制御部107は、シリアルバスの種別に応じた解析を行うための設定として、ステップS110で算出したビットレートを設定する。
【0083】
ステップS203:制御部107は、シリアルバスの種別に応じた解析を行うための設定として、ステップS111で検出したリセッシブ電位の極性を設定する。
【0084】
ステップS204:制御部107は、ステップS102において選択したトリガ設定の実行の有無を判定する。トリガ設定を実行する場合(ステップS204のYes)、制御部107は、ステップS205に進む。トリガ設定を実行しない場合(ステップS204のNo)、制御部107は、処理を終了する。
【0085】
ステップS205:制御部107は、データ処理部104に対するトリガ設定のシリアルバストリガタイプとして、トリガ種別を設定する。
【0086】
ステップS206:制御部107は、データ処理部104に対するトリガ設定のトリガレベルとして、ステップS109で算出した電圧閾値を設定する。
【0087】
ステップS207:制御部107は、データ処理部104に対するトリガ設定のビットレートとして、ステップS110で算出したビットレートを設定する。
【0088】
ステップS208:制御部107は、データ処理部104に対するトリガ設定のリセッシブ電位として、ステップS111で算出したリセッシブ電位の極性を設定する。
【0089】
以上のような一実施形態に係る波形測定器10によれば、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データの範囲を拡張することができる。より具体的には、波形測定器10は、シリアルバス設定処理を自動で実行する制御部107を備え、制御部107は、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行することが可能である。このように、一実施形態に係る波形測定器10は、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データとして、以前に取得した波形データを用いることができる。これにより、一実施形態に係る波形測定器10は、シリアルバス設定を自動で実行する際に参照する波形データの範囲を、以前に取得した波形データまで拡張することができる。
【0090】
(比較例)
続いて、比較例に係る波形測定器について説明する。比較例に係る波形測定器の構成は、
図1に示した波形測定器10の構成と同様である。
【0091】
比較例に係る波形測定器は、以前に取得した波形データではなく、現在入力中の信号に基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行するという点で、一実施形態に係る波形測定器10と相違する。
【0092】
図6に示すフローチャートを参照して、比較例に係る波形測定器の動作について説明する。
【0093】
ステップS301:比較例に係る波形測定器は、データ処理部及び制御部について初期設定を行う。比較例に係る波形測定器は、全ての入力チャネルについて、横軸スケール、取り込み点数(レコード長)、トリガ条件及び波形取り込みモードを初期設定する。
【0094】
ステップS302:比較例に係る波形測定器は、データ処理部において、入力信号における最大値及び最小値を一定時間間隔で検出する。比較例に係る波形測定器は、最大値及び最小値を表示することが可能な縦軸スケールを算出する。比較例に係る波形測定器は、算出した縦軸スケールを、データ処理部に設定する。比較例に係る波形測定器は、最大値と最小値との差が所定の値以上である場合、入力信号があると判定する。
【0095】
比較例に係る波形測定器は、入力信号があると判定したチャネルは表示し、入力信号がないと判定したチャネルは非表示とする。比較例に係る波形測定器は、この処理を全てのチャネルに対し実行する。
【0096】
ステップS303:比較例に係る波形測定器は、初期設定の横軸スケールに基づいて、波形データの取り込みを開始する。比較例に係る波形測定器は、初期設定で指定した点数分のデータを取り込む。
【0097】
ステップS304:比較例に係る波形測定器は、ステップS302において入力信号があると判定されたチャネルの波形データに対して、電圧閾値を算出する。
【0098】
ステップS305:比較例に係る波形測定器は、ステップS302において入力信号があると判定されたチャネルの波形データに対して、ビットレートを算出する。
【0099】
ステップS306:比較例に係る波形測定器は、ステップS302において入力信号があると判定されたチャネルの波形データに対して、リセッシブ電位の極性を検出する。
【0100】
ステップS307:比較例に係る波形測定器は、横軸スケールを設定する。比較例に係る波形測定器は、最初は、初期設定で設定された横軸スケールを設定する。比較例に係る波形測定器は、後述するステップS310においてNoと判定されて横軸スケールを再度設定する場合は、1段小さい値に横軸スケールを設定する。
【0101】
ステップS308:比較例に係る波形測定器は、設定した横軸スケールで、波形データの取り込みを実行する。
【0102】
ステップS309:比較例に係る波形測定器は、波形データメモリに保持された波形データから、CAN信号のフレーム数を検索する。
【0103】
ステップS310:比較例に係る波形測定器は、ステップS309において検索されたフレーム数が所定の範囲内であるか否かを判定する。フレーム数が所定の範囲内である場合(ステップS310のYes)、比較例に係る波形測定器は、ステップS311に進む。フレーム数が所定の範囲内ではない場合(ステップS310のNo)、比較例に係る波形測定器は、ステップS307に戻る。
【0104】
ステップS311:比較例に係る波形測定器は、ステップS310においてフレーム数が所定の範囲内であると判定されたときの横軸スケールを保持する。
【0105】
ステップS312:比較例に係る波形測定器は、ステップS302~ステップS311において算出又は検出した全ての情報を、シリアルバスの種別に応じた解析を行うための設定として、又は、データ処理部に対するトリガ設定として設定する設定処理を実行する。
【0106】
上述のように、比較例に係る波形測定器は、現在入力中の信号に基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行するものであり、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行することはできない。
【0107】
また、比較例に係る波形測定器は、
図6に示すステップS303において、波形データの取り込みを実行する際、波形データメモリ内の波形データを更新する。そのため、表示中の波形データ、すなわち、波形データメモリが格納している最新の波形データメモリも更新されてしまうため、表示中の波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行することはできない。
【0108】
また、比較例に係る波形測定器は、現在入力中の信号に基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行するため、入力中の信号において、有効信号の間隔が長い場合又は有効信号が入力されていない場合などは、シリアルバス設定処理を自動で実行することができない。これに対し、一実施形態に係る波形測定器10は、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を実行するため、入力中の信号において、有効信号の間隔が長い場合又は有効信号が入力されていない場合などにおいても、シリアルバス設定処理を自動で実行することができる。
【0109】
また、比較例に係る波形測定器は、現在入力中の信号に基づいて、シリアルバス設定処理を実行するため、縦軸スケール及び横軸スケールを設定する必要がある。これに対し、一実施形態に係る波形測定器10は、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を実行するため、縦軸スケール及び横軸スケールを設定することが不要である。
【0110】
また、比較例に係る波形測定器は、現在入力中の信号に基づいて、シリアルバス設定処理を実行するため、
図6のステップS303に示したように波形データの取り込みを実行する必要がある。そのため、トリガ設定が必要である。これに対し、一実施形態に係る波形測定器10は、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を実行するため、トリガ設定が必須ではない。
【0111】
(変形例)
続いて、変形例に係る波形測定器20について説明する。変形例に係る波形測定器20の構成は、
図1に示した波形測定器10の構成と同様であるため図示を省略する。
【0112】
変形例に係る波形測定器20は、以前に取得した波形データと、現在入力中の信号とのいずれか一方を選択して、選択したいずれか一方に基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行するという点で、一実施形態に係る波形測定器10と相違する。
【0113】
図7に示すフローチャートを参照して、変形例に係る波形測定器20の動作について説明する。
【0114】
ステップS401:変形例に係る波形測定器20の制御部107は、シリアルバス設定処理の対象となる波形データを選択する。変形例に係る波形測定器20の制御部107は、ユーザの選択に基づいて、シリアルバス設定処理の対象となる波形データを選択する。変形例に係る波形測定器20の制御部107は、ユーザによる選択を、変形例に係る波形測定器20の操作部109へのユーザからの入力に基づいて取得してよい。
【0115】
ステップS402:変形例に係る波形測定器20の制御部107は、シリアルバス設定処理の対象となる波形データが、以前に取得した波形データであるか否かを判定する。シリアルバス設定処理の対象となる波形データが、以前に取得した波形データである場合(ステップS402のYes)、変形例に係る波形測定器20の制御部107は、ステップS403に進む。シリアルバス設定処理の対象となる波形データが、以前に取得した波形データではない場合、すなわち、シリアルバス設定処理の対象となる波形データが、入力中の信号である場合(ステップS402のNo)、変形例に係る波形測定器20の制御部107は、ステップS404に進む。
【0116】
ステップS403:変形例に係る波形測定器20の制御部107は、以前に取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を実行する。この処理は、
図4に示したステップS101~ステップS112の処理と同様の処理である。
【0117】
ステップS404:変形例に係る波形測定器20の制御部107は、入力中の信号に基づいて、シリアルバス設定処理を実行する。この処理は、
図6に示したステップS301~ステップS312の処理と同様の処理である。
【0118】
このように、変形例に係る波形測定器20は、ユーザの選択に応じて、以前に取得した波形データ又は現在入力中の信号のいずれかに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行することができる。
【0119】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0120】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0121】
例えば、上述した実施形態において、波形測定器10が、波形データメモリ103及びメモリ108に格納されている波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を実行する場合を説明したが、波形測定器10は、波形データメモリ103及びメモリ108以外のメモリに格納されている波形データに基づいても、シリアルバス設定処理を実行することができる。
【0122】
例えば、上述した実施形態において、波形測定器10が、CANについてシリアルバス設定処理を実行する場合を例に挙げて説明したが、波形測定器10が、シリアルバス設定処理を実行するシリアルバスは、CANに限定されない。波形測定器10は、例えば、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)、FlexRay、I2C、LIN(Local Interconnect Network)、PSI5(Peripheral Sensor Interface 5)、SENT(Single Edge Nibble Transmission)、SPI(Serial Peripheral Interface)、CAN XL、Ethernetなどのシリアルバスについても、シリアルバス設定処理を実行することが可能である。
【0123】
例えば、上述した実施形態において、波形測定器10が、シリアルバス設定処理を実行する場合を例に挙げて説明したが、汎用のPC(Personal Computer)のようなコンピュータのアプリケーションが、波形測定器10によって以前に取得された波形データに基づいてシリアルバス設定処理を実行することも可能である。この場合、汎用のPCのようなコンピュータは、波形測定器10が以前に取得した波形データを、波形測定器10から取得する。そして、汎用のPCのようなコンピュータは、取得した波形データに基づいて、シリアルバス設定処理を自動で実行する。
【符号の説明】
【0124】
10 波形測定器
101 プリアンプ
102 AD変換器
103 波形データメモリ(第1のメモリ)
104 データ処理部
105 表示処理部
106 表示部
107 制御部
108 メモリ(第2のメモリ)
109 操作部