(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092742
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】外注進捗管理装置、外注進捗管理方法、及び、外注進捗管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240701BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208878
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄教
(72)【発明者】
【氏名】藤井 佳菜子
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】外注に作業の収支情報を仕入検収月よりも前に確認可能とする。
【解決手段】取得部が、プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の作業に対する指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する。進捗外注金額算出部は、各外注業者の発注金額に、各外注業者の外注進捗率を乗算処理した金額を加算処理して進捗外注金額を算出する。原価進捗率算出部は、作業の実行予算に対する、各外注業者の外注進捗率に対応する進捗外注金額を、外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する。出来高売上金額算出部は、プロジェクトの契約金額に、原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する。進捗外注費データ生成部は、外注進捗率及び進捗外注金額を含む進捗外注費データを生成する。出来高売上データ生成部は、原価進捗率及び出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の前記作業に対する指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する取得部と、
各前記外注業者に対する前記作業の発注金額に、各前記外注業者から提示された前記外注進捗率をそれぞれ乗算処理した金額をそれぞれ加算処理した進捗外注金額を算出する進捗外注金額算出部と、
前記作業の実行予算に対する、各前記外注業者の前記外注進捗率に対応する前記進捗外注金額を、前記外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する原価進捗率算出部と、
前記プロジェクトの契約金額に、前記原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する出来高売上金額算出部と、
前記外注進捗率及び前記進捗外注金額を含む、前記外注業者毎の進捗外注費データを生成する進捗外注費データ生成部と、
前記原価進捗率及び前記出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する出来高売上データ生成部と、
を有する外注進捗管理装置。
【請求項2】
前記進捗外注費データ生成部により生成された順に、前記進捗外注費データを、列方向に並べて表示部に表示し、また、出来高売上データ生成部により生成された順に、前記出来高売上データを、列方向に並べて表示部に表示する表示制御部を、さらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の外注進捗管理装置。
【請求項3】
取得部が、プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の前記作業に対する指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する取得ステップと、
進捗外注金額算出部が、各前記外注業者に対する前記作業の発注金額に、各前記外注業者から提示された前記外注進捗率をそれぞれ乗算処理した金額をそれぞれ加算処理した進捗外注金額を算出する進捗外注金額算出ステップと、
原価進捗率算出部が、前記作業の実行予算に対する、各前記外注業者の前記外注進捗率に対応する前記進捗外注金額を、前記外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する原価進捗率算出ステップと、
出来高売上金額算出部が、前記プロジェクトの契約金額に、前記原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する出来高売上金額算出ステップと、
進捗外注費データ生成部が、前記外注進捗率及び前記進捗外注金額を含む、前記外注業者毎の進捗外注費データを生成する進捗外注費データ生成ステップと、
出来高売上データ生成部が、前記原価進捗率及び前記出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する出来高売上データ生成ステップと、
を有する外注進捗管理方法。
【請求項4】
コンピュータを、
プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の前記作業に対する指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する取得部と、
各前記外注業者に対する前記作業の発注金額に、各前記外注業者から提示された前記外注進捗率をそれぞれ乗算処理した金額をそれぞれ加算処理した進捗外注金額を算出する進捗外注金額算出部と、
前記作業の実行予算に対する、各前記外注業者の前記外注進捗率に対応する前記進捗外注金額を、前記外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する原価進捗率算出部と、
前記プロジェクトの契約金額に、前記原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する出来高売上金額算出部と、
前記外注進捗率及び前記進捗外注金額を含む、前記外注業者毎の進捗外注費データを生成する進捗外注費データ生成部と、
前記原価進捗率及び前記出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する出来高売上データ生成部として機能させること、
を特徴とする外注進捗管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外注進捗管理装置、外注進捗管理方法、及び、外注進捗管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、個別案件型のビジネスを採用している企業(例えば、建設業界又はIT業界:IT:Information Technology)では、請負作業を進めるにあたり、自社社員にて請負作業を実施するケースと、外注先に作業を依頼して請負作業を実施するケースがある。このような企業においては、各プロジェクト担当、部門の業績評価基準として、出来高売上(実行予算に対して発生した原価金額にて計算)を用いている。
【0003】
一方、特許文献1(特開2021-033661号公報)には、グループ企業や連結企業を跨いだプロジェクト単位での決済情報の構造の効率的な把握を可能とした会計管理装置が開示されている。
【0004】
この会計管理装置は、グループを構成する組織群の中の第1組織の会計を管理する会計管理装置であり、プログラムを実行するプロセッサと、プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する。プロセッサは、第1組織のプロジェクトに関する情報と、プロジェクトに関する決済情報と、を含む会計情報にアクセス可能となっている。取得手段は、このプロセッサから、会計情報に基づいて、プロジェクトに関する第1決済情報と、グループのうちプロジェクトの少なくとも一部の業務を担当した第2組織の一部の業務に関する第2決済情報と、を取得する。集計手段は、取得手段で取得された第1決済情報及び第2決済情報を集計し、出力手段は、集計手段による集計結果を出力する。これにより、グループ企業や連結企業を跨いだプロジェクト単位での決済情報の構造の効率的な把握を可能とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、財務会計上の費用計上は、仕入検収タイミングとなる。このため、外注先に対して依頼した作業の工期が長期に及ぶ場合、仕入検収月まで出来高売上として会計計上することは困難となる。このため、従来は、外注に作業を依頼した場合、仕入検収月まで収支情報の確認が困難となる問題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、外注に作業を依頼した場合でも、仕入検収月よりも前のタイミングで収支情報を確認可能とした外注進捗管理装置、外注進捗管理方法、及び、外注進捗管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る外注進捗管理装置は、プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の作業に対する指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する取得部と、各外注業者に対する作業の発注金額に、各外注業者から提示された外注進捗率をそれぞれ乗算処理した金額をそれぞれ加算処理した進捗外注金額を算出する進捗外注金額算出部と、作業の実行予算に対する、各外注業者の外注進捗率に対応する進捗外注金額を、外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する原価進捗率算出部と、プロジェクトの契約金額に、原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する出来高売上金額算出部と、外注進捗率及び進捗外注金額を含む、外注業者毎の進捗外注費データを生成する進捗外注費データ生成部と、原価進捗率及び出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する出来高売上データ生成部と、を有する。
【0009】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る外注進捗管理方法は、取得部が、プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の作業に対する指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する取得ステップと、進捗外注金額算出部が、各外注業者に対する作業の発注金額に、各外注業者から提示された外注進捗率をそれぞれ乗算処理した金額をそれぞれ加算処理した進捗外注金額を算出する進捗外注金額算出ステップと、原価進捗率算出部が、作業の実行予算に対する、各外注業者の外注進捗率に対応する進捗外注金額を、外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する原価進捗率算出ステップと、出来高売上金額算出部が、プロジェクトの契約金額に、原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する出来高売上金額算出ステップと、進捗外注費データ生成部が、外注進捗率及び進捗外注金額を含む、外注業者毎の進捗外注費データを生成する進捗外注費データ生成ステップと、出来高売上データ生成部が、原価進捗率及び出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する出来高売上データ生成ステップと、を有する。
【0010】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る外注進捗管理プログラムは、コンピュータを、プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の作業に対する指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する取得部と、各外注業者に対する作業の発注金額に、各外注業者から提示された外注進捗率をそれぞれ乗算処理した金額をそれぞれ加算処理した進捗外注金額を算出する進捗外注金額算出部と、作業の実行予算に対する、各外注業者の外注進捗率に対応する進捗外注金額を、外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する原価進捗率算出部と、プロジェクトの契約金額に、原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する出来高売上金額算出部と、外注進捗率及び進捗外注金額を含む、外注業者毎の進捗外注費データを生成する進捗外注費データ生成部と、原価進捗率及び出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する出来高売上データ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、外注に作業を依頼した場合でも、仕入検収月よりも前のタイミングで収支情報を確認可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態の外注進捗管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、参考例における外注費の会計処理を説明するための図である。
【
図3】
図3は、参考例における外注費の会計処理を説明するための他の図である。
【
図4】
図4は、参考例における仕入検収月の会計処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、外注進捗率を入力するための外注進捗登録画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の外注進捗管理装置における4月度の外注費の会計処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の外注進捗管理装置における5月度の外注費の会計処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の外注進捗管理装置における仕入検収月の会計処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の外注進捗管理装置で生成された各種データのうち、財務会計システムに仕訳計上されるデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施の形態となる外注進捗管理装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
(ハードウェア構成)
図1に示すように、実施の形態の外注進捗管理装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部、スピーカ装置等が相当する。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。
【0015】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網等のネットワーク50に接続される。ネットワーク50には、外注進捗管理装置1を操作する業務オペレータが所属する企業等が請け負ったプロジェクトの作業のうち、一つ又は複数の作業の外注を依頼した外注業者の端末装置である、一つ又は複数の外注端末装置55が接続されている。
【0016】
後述するように、各外注業者は、例え毎月末等の指定されたタイミングで、作業の進捗状況を示す外注進捗率を、外注先端末装置55を介して外注進捗管理装置1に送信する。なお、この例では、各外注業者は、外注先端末装置55を介して外注進捗率を送信することとして説明を行うが、この他、各外注業者は、電話、郵便、電子メール又は口頭等で、外注進捗率を外注進捗管理装置1の業務オペレータに伝えてもよい。
【0017】
また、ネットワーク50には、外注進捗管理装置1により、仕入検出月に作成された仕訳データが計上される会計サーバ装置60が接続されている。会計サーバ装置60には、全部又は一部がソフトウェアで動作する財務会計システム61が設けられており、この財務会計システム61で、計上された仕訳データに基づく会計処理を行う。なお、財務会計システム61は、
図1に点線のブロックで示すように、外注進捗管理装置1の記憶部2内に設けてもよい。
【0018】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、外注に作業を依頼した場合でも、仕入検収月よりも前のタイミングで収支情報を確認可能とする外注進捗管理プログラムが記憶されている。また、この記憶部2には、請け負ったプロジェクトに対する契約金額を示す契約データ、請け負ったプロジェクトに対する実行予算金額を示す実行予算データが記憶される。
【0019】
また、記憶部2には、請け負ったプロジェクトの一部又は全部の作業を依頼した一つ又は複数の外注業者に対する発注金額を示す外注発注データ、外注業者に対する仕入金額及び仕入年月を示す外注仕入データ、プロジェクトの収支を示す契約別収支照会データが記憶される。
【0020】
また、記憶部2には、外注業者に依頼した全体の作業に対する、例えば毎月末等の指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率、及び、発注金額に対する各外注業者の作業の進捗状況の割合である進捗外注金額(累計)等を含む進捗外注費データが記憶される。また、記憶部2には、各外注業者の進捗外注金額の累計金額である原価金額(累計)、及び、プロジェクトの実行予算金額に対する原価金額(累計)の割合である原価進捗率等を含む出来高売上データが記憶される。
【0021】
(外注進捗管理装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている外注進捗管理プログラムを実行することで、
図1に示すように、取得部21、算出部22、データ生成部23、及び、表示制御部24として機能する。算出部22は、進捗外注金額算出部35、原価進捗率算出部36、及び、出来高売上金額算出部37等として機能する。データ生成部23は、進捗外注費データ生成部40、及び、出来高売上データ生成部41等として機能する。
【0022】
取得部21は、プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者から提示された、全体の作業に対する、毎月末等の指定された時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率を取得する。
【0023】
進捗外注金額算出部35は、各外注業者に対する作業の発注金額に、各外注業者から提示された外注進捗率をそれぞれ乗算処理した金額をそれぞれ加算処理した進捗外注金額を算出する。
【0024】
原価進捗率算出部36は、作業の実行予算に対する、各外注業者の外注進捗率に対応する進捗外注金額を、外注業者毎に加算処理した累計金額の割合である原価進捗率を算出する。
【0025】
出来高売上金額算出部37は、プロジェクトの契約金額に、原価進捗率を乗算処理した出来高売上金額を算出する。
【0026】
進捗外注費データ生成部40は、外注進捗率及び進捗外注金額を含む、外注業者毎の進捗外注費データを生成する。
【0027】
出来高売上データ生成部41は、原価進捗率及び出来高売上金額を含む出来高売上データを生成する。
【0028】
表示制御部24は、進捗外注費データ生成部40により生成された順に、進捗外注費データを、列方向に並べて表示部の一例である出力装置7に表示する。また、表示制御部24は、出来高売上データ生成部41により生成された順に、出来高売上データを、列方向に並べて表示部の一例である出力装置7に表示する。
【0029】
(参考例の外注作業に対する会計処理動作)
次に、実施の形態の外注進捗管理装置1の動作説明の前に、参考例における会計処理動作を説明する。
図2~
図4は、参考例における4月度~6月度の会計処理を示している。このうち、6月度が仕入検収月となっている。
【0030】
すなわち、
図2は、4月度における参考例の会計処理を示しており、
図2(a)は、「K001」とのプロジェクト番号が付されたプロジェクトの契約金額を示す契約データであり、この例の場合、「150万円」となっている。また、
図2(b)は、プロジェクトの実行予算を示す実行予算データであり、この例の場合、「100万円」となっている。また、
図2(c)は、プロジェクトの一部又は全部の作業を「H001」の発注番号の外注業者に発注したことを示す外注発注データであり、この例の場合「100万円」の発注金額で外注業者に作業を依頼したことを示している。
【0031】
また、
図2(d)は、「K001」とのプロジェクト番号が付されたプロジェクトの、4月度における収支を示す契約別収支照会データである。また、
図2(e)は、「K001」とのプロジェクト番号が付されたプロジェクトの、4月度における出来高売上を示す出来高売上データである。参考例の場合、仕入検収月(この例の場合、6月)まで、作業途中の出来高売上を認識困難であるため、
図2に示す4月度においては、出来高売上を会計計上することは困難となる。
【0032】
同様に、
図3は、5月度における参考例の会計処理を示しており、
図3(a)は契約データ、
図3(b)は実行予算データ、
図3(c)は外注発注データ、
図3(d)は契約別収支照会データ、及び、
図3(e)は出来高売上データである。参考例の場合、5月度は、仕入検収月前であり、作業途中の出来高売上の認識が困難であるため、この
図3に示す5月度においても、出来高売上を会計計上することは困難となる。
【0033】
次に、
図4は、仕入検収月である6月度における参考例の会計処理を示しており、
図4(a)は契約データ、
図4(b)は実行予算データ、及び、
図4(c)は外注発注データである。
図4(d)は、仕入検収月に生成される外注仕入データであり、この例の場合、「H001」の発注番号に対する外注仕入金額は「100万円」であり、仕入年月は「2021年6月」であることを示している。
【0034】
図4(e)は、契約別収支照会データであり、仕入検収月である6月度において、「150万円」の売上金額、これに対する外注費となる「100万円」の原価金額、及び、売上金額と原価金額の差額である「50万円」の利益金額が入力される。
【0035】
また、
図4(f)は、仕入検収月である6月度における参考例の出来高売上データを示している。この
図4(f)に示すように、参考例の場合、仕入検収月前となる4月度及び5月度の出来高売上データには、原価金額及び出来高売上金額を反映することは困難であり、仕入検収月の6月に、原価金額及び出来高売上金額を出来高売上データに反映することが可能となる。このため、参考例の場合、仕入検収月前の途中の月次で出来高評価を行うことが困難となっている。
【0036】
(外注進捗管理装置の会計処理動作)
次に、実施の形態の外注進捗管理装置1の会計処理動作を説明する。なお、以下の説明においても、4月~6月の計3か月の作業として外注業者に対する作業に依頼を行い、6月度が仕入検収月であることとして説明を行う。
【0037】
まず、実施の形態の外注進捗管理装置1は、制御部3が記憶部2に記憶されている外注進捗管理プロジェクトに基づいて、下記のステップの処理として示す財務会計用の通常の会計処理を行う。
【0038】
ステップS1→原価計算処理
ステップS1-1→プロジェクト別原価集計処理
ステップS2→進捗率計算処理
ステップS2-1→プロジェクト別進捗率計算処理
ステップS3→進捗売上金額計算処理
ステップS3-1→プロジェクト別進捗売上金額計算処理
【0039】
簡単に説明すると、ステップS1の原価計算処理におけるステップS1-1のプロジェクト別原価集計処理は、取得部21が、各プロジェクトで発生した原価実績を集計する処理である。また、ステップS2の進捗率計算処理におけるステップS2-1のプロジェクト別進捗率計算処理は、プロジェクト別原価集計処理で計算されたプロジェクト別原価実績に基づいて、算出部22が、進捗率を計算する処理である。ステップS3の進捗売上金額計算処理におけるプロジェクト別進捗売上金額計算処理は、プロジェクト別進捗率計算処理で計算されたプロジェクト別進捗率に基づいて、算出部22が、進捗売上金額を計算する処理である。
【0040】
次に、実施の形態の外注進捗管理装置1は、このような財務会計用の通常の会計処理と共に、評価として採用する管理会計としての費用金額及び売上金額の集計及び表示を可能とするために、上述のステップS1~ステップS3において、下記のステップS1-2、ステップS2-2、及び、ステップS3-2の処理を追加して実行する。
【0041】
ステップS1-2→プロジェクト別出来高原価集計処理
ステップS2-2→プロジェクト別出来高進捗率計算処理
ステップS3-2→プロジェクト別出来高売上金額計算処理
【0042】
ステップS1-2のプロジェクト別出来高原価集計処理は、取得部21が、各プロジェクトで発生した原価実績を集計する処理である。ステップS2-2のプロジェクト別出来高進捗率計算処理は、プロジェクト別出来高原価集計処理で計算されたプロジェクト別原価実績に基づいて、算出部22が、出来高進捗率を計算する処理である。ステップS3-2のプロジェクト別出来高売上金額計算処理は、プロジェクト別出来高進捗率計算処理で計算されたプロジェクト別出来高進捗率に基づいて、算出部22が、出来高売上金額を計算する処理である。
【0043】
次に、ステップS1-2におけるプロジェクト別出来高原価集計処理、ステップS2-2におけるプロジェクト別出来高進捗率計算処理、及び、ステップS3-2におけるプロジェクト別出来高売上金額計算処理の動作を詳細に説明する。
【0044】
(4月度における会計処理動作)
(ステップS1-2→プロジェクト別出来高原価集計処理)
まず、実施の形態の外注進捗管理装置1の場合、プロジェクトの作業を依頼した一つ又は複数の外注業者の外注先端末装置55を介して、例えば毎月末等の指定した時点での作業の進捗状況を示す外注進捗率が送信される。取得部21は、外注先端末装置55から送信された外注進捗率を取得する。ここでは、外注業者は、一つであり、この外注業者から例えば「35%」の外注進捗率を取得したものとする。
【0045】
なお、外注業者が外注進捗率を送信するタイミングとしては、毎月以外に、1週間毎、20日毎、2カ月毎等の他のタイミングでもよい。
【0046】
各外注業者からの外注進捗率が取得されると、業務オペレータは、入力装置6を介して、外注進捗登録画面の表示を指定する。これにより、表示制御部24は、
図5に例示する外注進捗登録画面を、出力装置7を介して表示する。この外注進捗登録画面に対して、業務オペレータは、例えば「2021年4月」等の会計年月、及び、「H001」等の外注業者に発注した作業の発注番号を指定する。
【0047】
表示制御部24は、外注進捗登録画面を介して指定された会計年月及び発注番号に基づいて
図6(c)に示す、4月度の会見年月における外注発注データを参照し、契約番号が「K001」のプロジェクトの、「H001」の発注番号で外注業者に発注した作業に対する「100万円」等の発注金額を検出する。そして、表示制御部24は、
図5に示す外注進捗登録画面に対して、外注発注データから検出した「H001」の発注番号、及び、「100万円」の発注金額を自動入力する。業務オペレータは、このような外注進捗登録画面に対して、4月度における「35%」の外注進捗率を入力する。
【0048】
なお、この
図5に示す外注進捗登録画面の例は、4月度及び5月度の外注進捗率が入力された例である。このため、4月度における「35%」の外注進捗率は、「前月外注進捗率」として表示され、以下に説明する5月度における「60%」の外注進捗率は、「当月外注進捗率」として表示されている。
【0049】
また、
図6(a)に示す契約データは、「K001」の契約番号のプロジェクトは、「150万円」の契約金額の契約であることを示しており、
図6(b)に示す実行予算データは、このプロジェクトの実行予算金額は「100万円」であることを示している。また、
図6(c)の外注発注データは、「K001」の契約番号のプロジェクトに対して、「H001」の発注番号の作業が一つの外注業者に依頼され、その発注金額は「100万円」であることを示している。「K001」の契約番号のプロジェクトに対して、例えば2件の外注業者に作業が依頼された場合は、発注番号は「H001」及び「H002」の2つとなり、また、「H001」外注業者に対する発注金額は「30万円」で、「H002」外注業者に対する発注金額は「70万円」等のように、外注発注データに2つのレコードが生成される(=作業を依頼した外注業者の数分のレコードが生成される)。
【0050】
(ステップS2-2→プロジェクト別出来高進捗率計算処理)
このように、業務オペレータにより、4月度における「35%」の外注進捗率が外注進捗登録画面に入力されると、算出部22の進捗外注金額算出部35は、各外注業者の外注進捗率に、各外注業者の発注金額を乗算処理し、各乗算処理金額を加算処理することで、外注業者に依頼した作業の進捗状況に対応する進捗外注金額を算出する。
【0051】
具体的には、
図6に示す例の場合、一つの外注業者にのみ作業を依頼し、発注金額は「100万円」で4月度における外注進捗率は「35%」であるため、算出部22は、「発注金額100万円×外注進捗率35%=35万円」の演算を行い、進捗外注金額を算出する。
【0052】
進捗外注費データ生成部40は、この演算結果に基づいて、
図6(e)に示すように、発注番号を「H001」とし、会計年月を「2021年4月度」とし、発注金額を「100万円」とし、進捗外注率を「35%」とし、進捗外注金額(累計)を「35万円」とし、進捗外注金額(単月)を「35万円」とした進捗外注費データを生成して記憶部2に記憶する。
【0053】
なお、複数の外注業者に対して作業を依頼した場合、進捗外注金額(累計)は、各外注業者の進捗外注率に応じた進捗外注金額をそれぞれ加算処理した金額となる。
【0054】
(ステップS3-2→プロジェクト別出来高売上金額計算処理)
次に、原価進捗率算出部36は、各外注業者の外注進捗率に対応する、
図6(e)に示した進捗外注金額を、外注業者毎に加算処理した累計金額を算出する。
図6(e)の例の場合、外注業者は一つのみであるため、進捗外注金額は上述のように「35万円」となる。また、外注業者が複数存在する場合、原価進捗率算出部36は、各外注業者の進捗外注率に対応する進捗外注金額を加算処理した金額を算出する(進捗外注金額(累計))。
【0055】
また、このように進捗外注金額(累計)を算出すると、原価進捗率算出部36は、プロジェクトの作業の実行予算に対する、進捗外注金額(累計)の割合である原価進捗率を算出する。この例の場合、プロジェクトの作業の実行予算は、
図6(b)に示すように「100万円」であり、進捗外注金額(累計)は「35万円」であるため、算出部22は、「(進捗外注金額(累計)35万円÷実行予算100万円)×100=35%」の演算を行うことで、「35%」の原価進捗率を算出する。
【0056】
なお、複数の外注業者に作業を依頼した場合、進捗外注金額(累計)も異なる金額となるため、原価進捗率も異なる率となる。
【0057】
このように原価進捗率が算出されると、出来高売上金額算出部37は、プロジェクトの契約金額に、算出された原価進捗率を乗算処理することで、出来高売上金額を算出する。この例の場合、
図6(a)に示すように、プロジェクトの契約金額は「150万円」である。また、算出された原価進捗率は「35%」である。このため、出来高売上金額算出部37は、「契約金額150万円×原価進捗率は35%=52万5千円」の演算を行うことで、「52万5千円」の出来高売上金額を算出する。
【0058】
このように原価進捗率及び出来高売上金額が算出されると、出来高売上データ生成部41は、
図6(f)に示すように、プロジェクトの契約番号を「K001」とし、会計年月を「2021年4月度」とし、プロジェクトの実行予算を「100万円」とし、4月度の時点における進捗外注金額の累計である原価金額(累計)を「35万円」とし、原価進捗率を「35%」とし、出来高売上金額(累計)を「52万5千円」とし、出来高売上金額(単月)を「52万5千円」とした出来高売上データを生成して記憶部2に記憶する。
【0059】
また、データ生成部23は、これと共に、
図6(d)に示すように、プロジェクトの契約番号を「K001」とし、4月度の売上金額を上述の出来高売上金額(単月)に相当する「52万5千円」とし、原価金額を上述の原価金額(累計)に相当する「35万円」とし、52万5千円の売上金額から35万円の原価金額を減算処理した「17万5千円」を利益金額とした、4月度における契約別収支照会データを生成する。
【0060】
表示制御部24は、業務オペレータの操作に従って、このような進捗外注費データ(
図6(e))、出来高売上データ(
図6(f))及び契約別収支照会データ(
図6(d))等を、出力装置7を介して表示する。これにより、管理者等は、6月度の仕入検収月前の4月度であっても、外注業者に依頼した作業の進捗状況、進捗状況に応じた売上金額、原価金額及び利益金額等を認識することができ、迅速な外注進捗管理及びプロジェクト収支管理を可能とすることができる。
【0061】
(5月度における会計処理動作)
次に、5月度における会計処理動作を、
図7(a)~
図7(g)を用いて説明する。5月度においても、上述と同様であり、
図7(a)に示すプロジェクトの契約データ、
図7(b)に示すプロジェクトの実行予算データ、
図7(c)に示す、プロジェクトの作業を依頼した外注業者に対応する外注発注データに基づいて、
図7(e)に示す進捗外注費データ、
図7(f)に示す出来高売上データ、及び、
図7(d)に示す契約別収支照会データが生成される。
【0062】
この
図7の例は、外注業者から5月度の進捗外注率として、「60%」の進捗外注率が送信された例である。
図7(e)の2列目のレコードに示すように、この「60%」の進捗外注率に基づいて、2021年5月度の進捗外注金額(累計)及び進捗外注金額(単月)が算出される。この場合、進捗外注費データ生成部40は、「60%」の進捗外注率、「60%」の進捗外注率に基づいて算出された「60万円」の進捗外注金額(累計)及び「5月度の進捗外注金額60万円-4月度の進捗外注金額35万円=25万円」の進捗外注金額(単月)を含む進捗外注費データを生成する。
【0063】
また、出来高売上データ生成部41は、
図7(f)の2列目のレコードに示すように、5月度の進捗外注金額(累計)に相当する「60万円」、プロジェクトの作業の「100万円」の実行予算に対する、「60万円」の進捗外注金額(累計)の割合である「60%」原価進捗率、プロジェクトの「150万円」の契約金額に「60%」原価進捗率を乗算処理して算出した「90万円」の出来高売上金額(累計)、及び、4月度の「52万5千円」の出来高売上金額(累計)と5月度の「90万円」の出来高売上金額(累計)との差額である「37万5千円」を出来高売上金額(単月)を含む出来高売上データを生成する。
【0064】
さらに、データ生成部23は、
図7(d)に示すように、4月度の出来高売上金額(単月)である「52万5千円」と5月度の出来高売上金額(単月)である「37万5千円」を加算処理した「90万円」を5月度の売上金額とし、5月度の「60万円」の原価金額(累計)を原価金額とし、90万円の売上金額から60万円の原価金額を減算処理した「30万円」を利益金額とした、5月度における契約別収支照会データを生成する。
【0065】
表示制御部24は、業務オペレータの操作に従って、このような進捗外注費データ(
図7(e))、出来高売上データ(
図7(f))及び契約別収支照会データ(
図7(d))を、出力装置7に表示する。これにより、仕入検収月前の5月度であっても、管理者等は、外注業者に依頼した作業の進捗状況、進捗状況に応じた売上金額、原価金額及び利益金額等を認識することができ、迅速な外注進捗管理及びプロジェクト収支管理を可能とすることができる。
【0066】
なお、進捗外注費データ及び出来高売上データに複数のレコードが存在する場合、表示制御部24は、生成された順である4月度及び5月度・・・の順に、進捗外注費データ及び出来高売上データを、列方向に並べて出力装置7に表示するが、詳しくは後述する。
【0067】
(仕入検収月の6月度における会計処理動作)
次に、仕入検収月となる6月度における会計処理動作を、
図8(a)~
図8(g)を用いて説明する。仕入検収月となる6月度において、データ生成部23は、
図8(d)に示す外注仕入データを新たに生成する。この外注仕入データは、プロジェクトの「K001」の契約番号、発注金額と同額となる「100万円」の仕入金額、及び、仕入検収月となる「2021年6月」の仕入年月を含んで生成される。
【0068】
また、進捗外注費データ生成部40は、
図8(f)の3列目のレコードに示すように、仕入検収月となる6月度においては、進捗外注率を「100%」とし、進捗外注金額(累計)を発注金額となる「100万円」とし、進捗外注金額(単月)を、「発注金額100万円-(4月度の進捗外注金額35万円+5月度の進捗外注金額25万円)=40万円」とした進捗外注費データを生成する。
【0069】
また、出来高売上データ生成部41は、
図8(g)の3列目のレコードに示すように、原価金額を発注金額である「100万円」とし、原価進捗率を「100%」とし、出来高売上金額(単月)を、「プロジェクトの契約金額150万円-(4月度の出来高売上金額(単月)52万5千円-5月度の出来高売上金額(単月)37万5千円=60万円)」とした出来高売上データを生成する。
【0070】
さらに、データ生成部23は、
図8(e)に示すように、プロジェクトの契約金額である「150万円」を売上金額とし、外注費に相当する「100万円」を原価金額とし、150万円の売上金額から100万円の原価金額を減算処理した「50万円」を利益金額とした、6月度の仕入検収月の契約別収支照会データを生成する。
【0071】
表示制御部24は、業務オペレータの操作に従って、このような進捗外注費データ(
図8(f))、出来高売上データ(
図8(g))及び契約別収支照会データ(
図8(e))等を、出力装置7を介して表示する。
【0072】
(複数の進捗外注費データ及び出来高売上データの表示制御)
ここで、表示制御部24は、複数の進捗外注費データを表示する際、
図8(f)に示すように、進捗外注費データ生成部40により生成された順である、この例の場合、4月→5月→6月の順に各月のレコードを列方向に並べて出力装置7に表示する。これにより、列方向の時系列に沿って、進捗外注費の推移を検証することができる。
【0073】
同様に、表示制御部24は、複数の出来高売上データを表示する際、
図8(g)に示すように、出来高売上データ生成部41により生成された順である、この例の場合、4月→5月→6月の順に各月のレコードを列方向に並べて出力装置7に表示する。これにより、列方向の時系列に沿って、出来高売上の推移を検証することができる。
【0074】
このように、管理者等は、6月度の仕入検収月における、外注業者に依頼した作業の進捗状況、進捗状況に応じた売上金額、原価金額及び利益金額等を認識することができ、迅速な外注進捗管理及びプロジェクト収支管理を可能とすることができる。
【0075】
(進捗外注費、進捗外注費を加味した出来高売上の財務会計システムに対する非計上)
最後に、
図9は、実施の形態の外注進捗管理装置1で生成された各種データのうち、財務会計システム61に仕訳計上されるデータを示す図である。この
図9に示すように、実施の形態の外注進捗管理装置1の場合、
図6(e)、
図7(e)及び
図8(f)に示した進捗外注費データ、及び、
図6(f)、
図7(f)及び
図8(g)に示した出来高売上データは、財務会計システム61には仕訳計上されない。この進捗外注費データ及び出来高売上データは、上述のようにプロジェクトの収支情報の確認に用いられるものである。進捗外注費データ及び出来高売上データを財務会計システム61には仕訳計上しないことで、仕入検収月前の進捗外注費データ及び出来高売上データが財務会計上の金額に悪影響を与える不都合を防止できる。
【0076】
財務会計システム61には、6月度の仕入検収月において、
図8(a)に示す契約データ(売上情報)、
図8(d)に示す外注仕入データ(外注仕入入力)、及び、
図8(e)に示す契約別収支照会データ(進捗売上情報)が仕訳計上される。
【0077】
(実施の形態の効果)
外注先へ作業を依頼した場合、財務会計上の費用計上は仕入検収タイミングとなるため、工期の長い外注依頼の場合、仕入検収月まで出来高売上に反映されない。このため、自社社員が実施した場合は毎月出来高売上として反映されるが、外注依頼した場合は、仕入検収月まで出来高売上が反映されず、出来高売上の反映のタイミングに差を生ずる。
【0078】
このようなことから、実施の形態の外注進捗管理装置1は、外注発注情報に対して、月度で外注進捗率を保持し、外注進捗率に基づいて進捗外注費を算出する。これにより、外注発注金額に対する毎月の外注費用を認識可能とすることができる。
【0079】
また、実施の形態の外注進捗管理装置1は、月度での進捗外注費の計上を可能とすることができるため、長期の作業依頼であっても、毎月の出来高売上に反映させることができ、プロジェクト評価及び部門評価に活用することができる。
【0080】
また、実施の形態の外注進捗管理装置1は、進捗外注費を含めて出来高売上を計算することができる。
【0081】
また、進捗外注費、進捗外注費を加味した出来高売上は、財務会計システム61には計上しない仕様とし、外注進捗管理装置1側で参照可能とすることで、進捗外注費、進捗外注費を加味した出来高売上が仕訳計上に悪影響を与える不都合を防止できる。
【0082】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0083】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0085】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0086】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0087】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0088】
また、外注進捗管理装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0089】
例えば、外注進捗管理装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて外注進捗管理装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0090】
また、この外注進捗管理装置1の外注進捗管理プログラムは、外注進捗管理装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0091】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための外注進捗管理プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0092】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した外注進捗管理装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0093】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0094】
また、外注進捗管理装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0095】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、一例として建設業界、IT業界(個別案件型ビジネス)に適用して好適である。
【符号の説明】
【0097】
1 外注進捗管理装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
21 取得部
22 算出部
23 データ生成部
24 表示制御部
35 進捗外注金額算出部
36 原価進捗率算出部
37 出来高売上金額算出部
40 進捗外注費データ生成部
41 出来高売上データ生成部
42 表示制御部
50 ネットワーク
51 外注先端末装置
60 会計サーバ装置
61 財務会計システム