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特開2024-92747半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092747
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240701BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240701BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240701BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L21/28 301B
H01L21/88 J
H01L21/28 301R
H01L29/50 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208885
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘晃
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104BB05
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD28
4M104DD34
4M104DD68
4M104FF02
4M104FF31
4M104GG12
4M104HH15
5F033GG02
5F033HH07
5F033HH13
5F033KK13
5F033MM30
5F033PP19
5F033QQ09
5F033QQ13
5F033QQ23
5F033RR06
5F033SS15
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR07
5F102GS09
5F102GT01
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC02
5F102HC11
5F102HC16
5F102HC19
(57)【要約】
【課題】小型化できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有し、前記第4面に凹部が形成された第1窒化物半導体層と、前記凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、前記第2窒化物半導体層の上に設けられた第1金属層と、を有し、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層に、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を貫通し、前記第1金属層が露出する貫通孔が形成されており、前記第1金属層に接するともに、前記第1面および前記貫通孔の内壁面を覆う第2金属層を有し、前記第2窒化物半導体層は、1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、
前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有し、前記第4面に凹部が形成された第1窒化物半導体層と、
前記凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、
前記第2窒化物半導体層の上に設けられた第1金属層と、
を有し、
前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層に、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を貫通し、前記第1金属層が露出する貫通孔が形成されており、
前記第1金属層に接するともに、前記第1面および前記貫通孔の内壁面を覆う第2金属層を有し、
前記第2窒化物半導体層は、1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する、半導体装置。
【請求項2】
前記第2窒化物半導体層は、窒化ガリウム層である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1金属層は、前記第2窒化物半導体層に接し、前記貫通孔に露出するニッケル層を含み、
前記第2金属層は、前記ニッケル層に接する金層を含む、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2窒化物半導体層において、フェルミ準位が伝導帯の下端のエネルギよりも高い、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2窒化物半導体層におけるキャリアの密度は、前記第1窒化物半導体層におけるキャリアの密度よりも高い、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板の上に、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有する第1窒化物半導体層を形成する工程と、
前記第4面に凹部を形成する工程と、
前記凹部に第2窒化物半導体層を形成する工程と、
前記第2窒化物半導体層の上に第1金属層を形成する工程と、
前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層に、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を貫通し、前記第1金属層が露出する貫通孔を形成する工程と、
前記第1金属層に接するともに、前記第1面および前記貫通孔の内壁面を覆う第2金属層を形成する工程と、
を有し、
前記第2窒化物半導体層は、1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上に半導体層が形成され、半導体層の上に金属層がエッチングストッパとして形成され、基板および半導体層にエッチングストッパに達する貫通孔が形成され、基板の下面に貫通孔を通じてエッチングストッパに接続された裏面電極が形成された半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-145546号公報
【特許文献2】特開2020-17647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置においては、エッチングストッパとして形成される金属層と半導体層とをオーミック接触させることができないため、オーミック接触を確保するための金属層が設けられている。このため、貫通孔が多いほど、半導体装置の小型化がより困難になっている。
【0005】
本開示は、小型化できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有し、前記第4面に凹部が形成された第1窒化物半導体層と、前記凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、前記第2窒化物半導体層の上に設けられた第1金属層と、を有し、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層に、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を貫通し、前記第1金属層が露出する貫通孔が形成されており、前記第1金属層に接するともに、前記第1面および前記貫通孔の内壁面を覆う第2金属層を有し、前記第2窒化物半導体層は、1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半導体装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置におけるゲート電極、ソース配線およびドレイン配線のレイアウトを示す図である。
図2図2は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図3図3は、半導体層(再成長層)のバンド構造を示す図である。
図4図4は、参考例に係る半導体装置におけるゲート電極、ソース配線およびドレイン配線のレイアウトを示す図である。
図5図5は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。
図6図6は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その1)である。
図7図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その2)である。
図8図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その3)である。
図9図9は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その4)である。
図10図10は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その5)である。
図11図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その6)である。
図12図12は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その7)である。
図13図13は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その8)である。
図14図14は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図(その9)である。
図15図15は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図(その1)である。
図16図16は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板と、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有し、前記第4面に凹部が形成された第1窒化物半導体層と、前記凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、前記第2窒化物半導体層の上に設けられた第1金属層と、を有し、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層に、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を貫通し、前記第1金属層が露出する貫通孔が形成されており、前記第1金属層に接するともに、前記第1面および前記貫通孔の内壁面を覆う第2金属層を有し、前記第2窒化物半導体層は、1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する。
【0011】
第1窒化物半導体層の第4面に形成された凹部に第2窒化物半導体層が形成され、第2窒化物半導体層が1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する。このため、第2窒化物半導体層と第1金属層との間にオーミック接触が得られ、第1金属層の材料の選択の幅を広げられる。第1金属層として、第2金属層との反応性が低いものを用いても第2窒化物半導体層との間にオーミック接触が得られる。つまり、第1金属層により、第2窒化物半導体層との間のオーミック接触と、第2金属層との間の低電気抵抗での金属結合とが得られる。このため、オーミック接触のための金属層と、第2金属層との間の低電気抵抗での金属結合のための金属層とが用いられる場合と比較して、小型化できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第2窒化物半導体層は、窒化ガリウム層であってもよい。この場合、第2窒化物半導体層に低い電気抵抗を得やすい。
【0013】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、前記第1金属層は、前記第2窒化物半導体層に接し、前記貫通孔に露出するニッケル層を含み、前記第2金属層は、前記ニッケル層に接する金層を含んでもよい。この場合、金層により第2金属層に低い電気抵抗が得られる。また、ニッケル層と金層とは反応しにくいため、これらの界面に合金層が形成されにくく、合金層の形成に伴う電気抵抗の上昇を抑制できる。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれにおいて、前記第2窒化物半導体層において、フェルミ準位が伝導帯の下端のエネルギよりも高くてもよい。この場合、第2窒化物半導体層と第1金属層との間にオーミック接触を得やすい。
【0015】
〔5〕 前記第2窒化物半導体層におけるキャリアの密度は、前記第1窒化物半導体層におけるキャリアの密度よりも高くてもよい。この場合、第2窒化物半導体層の電気抵抗を低減しやすい。
【0016】
本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1面と、前記第1面とは反対の第2面とを有する基板の上に、前記第2面に接する第3面と、前記第3面とは反対の第4面とを有する第1窒化物半導体層を形成する工程と、前記第4面に凹部を形成する工程と、前記凹部に第2窒化物半導体層を形成する工程と、前記第2窒化物半導体層の上に第1金属層を形成する工程と、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層に、前記基板、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を貫通し、前記第1金属層が露出する貫通孔を形成する工程と、前記第1金属層に接するともに、前記第1面および前記貫通孔の内壁面を覆う第2金属層を形成する工程と、を有し、前記第2窒化物半導体層は、1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する。
【0017】
第1窒化物半導体層の第4面に凹部が形成され、凹部に第2窒化物半導体層が形成され、第2窒化物半導体層が1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する。このため、第2窒化物半導体層と第1金属層との間にオーミック接触が得られ、第1金属層の材料の選択の幅を広げられる。このため、オーミック接触のための金属層と、第2金属層との間の低電気抵抗での金属結合のための金属層とが用いられる場合と比較して、小型化できる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、半導体装置の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。
【0019】
(半導体装置の構成)
実施形態はGaN系高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。図1は、実施形態に係る半導体装置におけるゲート電極、ソース配線およびドレイン配線のレイアウトを示す図である。図2は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図2は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当する。
【0020】
図1および図2に示すように、実施形態に係る半導体装置100は、主として、基板11と、半導体層12と、半導体層21Sと、半導体層21Dと、ゲート電極22と、ソース電極30Sと、ドレイン電極30Dと、ソース配線52Sと、ドレイン配線52Dと、裏面電極51とを有する。
【0021】
基板11は、例えば炭化珪素(SiC)基板である。基板11は、第1面11Aと、第1面11Aとは反対の第2面11Bとを有する。第2面11Bは第1面11Aの上方(+Z側)にある。
【0022】
半導体層12は基板11の上に設けられている。半導体層12は、第2面11Bに接する第3面12Cと、第3面12Cとは反対の第4面12Dとを有する。第4面12Dは第3面12Cの上方(+Z側)にある。半導体層12は、例えばガリウム(Ga)を含む窒化物半導体層である。窒化物半導体層は、電子走行層(チャネル層)および電子供給層(バリア層)等の高電子移動度トランジスタの一部を構成する。半導体層12は第1窒化物半導体層の一例である。
【0023】
第4面12Dに複数の凹部13Sおよび複数の凹部13Dが形成されている。凹部13Sおよび13DはY軸方向に平行に延び、X軸方向に交互に設けられている。例えば、凹部13Sおよび13Dは電子走行層(チャネル層)に達する。凹部13Sおよび13Dの底面が電子走行層にあってもよい。
【0024】
半導体装置100は絶縁膜61を有する。絶縁膜61は半導体層12の第4面12Dを覆う。例えば、絶縁膜61は窒化シリコン(SiN)膜等の窒化膜である。絶縁膜61に、複数の開口部61Sと、複数の開口部61Dと、複数の開口部61Gとが形成されている。開口部61S、61Dおよび61GはY軸方向に平行に延びる。開口部61Sは凹部13Sに連なり、開口部61Dは凹部13Dに連なる。開口部61Gは、X軸方向で隣り合う開口部61Sと開口部61Dとの間に設けられている。
【0025】
半導体層21Sは凹部13Sに設けられ、半導体層21Dは凹部13Dに設けられている。半導体層21Sの一部が開口部61Sの内側にあってもよく、半導体層21Dの一部が開口部61Dの内側にあってもよい。例えば、半導体層21Sおよび21Dは、導電型がn型の窒化ガリウム(GaN)層である。半導体層21Sおよび21Dは再成長層である。半導体層21Sおよび21Dにおけるキャリアの密度は、半導体層12におけるキャリアの密度よりも高い。半導体層21Sおよび21Dは、1.0×1018cm-3以上の濃度でn型の不純物原子を含有する。半導体層21Sおよび半導体層21Dは、例えば縮退半導体層である。n型の不純物は、例えばシリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)である。半導体層21Sは第2窒化物半導体層の一例である。
【0026】
ゲート電極22はY軸方向に平行に延びる。ゲート電極22は、絶縁膜61の開口部61Gを覆い、開口部61Gを通じて半導体層12にショットキー接触している。ゲート電極22は、例えば、上方に向かって順に積層されたニッケル(Ni)層および金(Au)層を有する。図1に示すように、複数のゲート電極22がゲート共通接続部15に接続されている。
【0027】
ソース電極30Sおよびドレイン電極30DはY軸方向に平行に延びる。ソース電極30Sは、平面視で開口部61Sの内側に、Ni層31Sと、Au層32Sとを有する。Ni層31Sは半導体層21Sの上に設けられており、Au層32SはNi層31Sの上に設けられている。Ni層31Sは半導体層21Sに直接接触する。ドレイン電極30Dは、平面視で開口部61Dの内側に、Ni層31Dと、Au層32Dとを有する。Ni層31Dは半導体層21Dの上に設けられており、Au層32DはNi層31Dの上に設けられている。Ni層31Dは半導体層21Dに直接接触する。ソース電極30Sは第1金属層の一例である。
【0028】
半導体装置100は絶縁膜62を有する。絶縁膜62は、ソース電極30S、ドレイン電極30D、ゲート電極22、絶縁膜61、半導体層21Sおよび半導体層21Dを覆う。例えば、絶縁膜62はSiN膜等の窒化膜である。絶縁膜62に、複数の開口部62Sと、複数の開口部62Dとが形成されている。開口部62Sおよび62DはY軸方向に平行に延びる。開口部62Sはソース電極30Sに達し、開口部62Dはドレイン電極30Dに達する。
【0029】
ソース配線52Sはソース電極30Sの上方にある。ソース配線52Sは絶縁膜62の上に設けられている。ソース配線52Sは開口部62Sを通じてソース電極30Sに接している。ドレイン配線52Dはドレイン電極30Dの上方にある。ドレイン配線52Dは絶縁膜62の上に設けられている。ドレイン配線52Dは開口部62Dを通じてドレイン電極30Dに接している。ソース配線52Sおよびドレイン配線52Dは、例えば、シード層と、シード層の上のめっき層とを有する。例えば、シード層はチタン(Ti)層を含み、めっき層はAu層を含む。図1に示すように、複数のドレイン配線52Dがドレインパッド55に接続されており、複数のソース配線52Sが互いに接続されていてもよく、
【0030】
半導体装置100は絶縁膜63を有する。絶縁膜63は、ソース配線52S、ドレイン配線52Dおよび絶縁膜62を覆う。例えば、絶縁膜63はSiN膜等の窒化膜である。
【0031】
図示を省略するが、ゲート共通接続部15に達する開口部が絶縁膜62に形成され、絶縁膜62の上に、この開口部を通じてゲート共通接続部15に接するゲートパッドが形成されている。また、絶縁膜63に、ゲートパッドに達する開口部と、ドレインパッド55に達する開口部とが形成されている。
【0032】
基板11、半導体層12および半導体層21Sに、基板11、半導体層12および半導体層21Sを貫通する貫通孔50が形成されている。貫通孔50はソース電極30Sに達する。ソース電極30Sの各々に対して、少なくとも一つの貫通孔50が形成されている。ソース電極30Sの各々に対して、複数の貫通孔50が形成されていてもよい。
【0033】
裏面電極51は、ソース電極30Sの下面と、貫通孔50の内壁面と、基板11の下面(第1面11A)とに形成されている。裏面電極51は、ソース電極30Sに接するともに、第1面11Aおよび貫通孔50の内壁面を覆う。例えば、裏面電極51はAu層から構成される。裏面電極51は、例えば、シード層およびめっき層を有する。裏面電極51は第2金属層の一例である。
【0034】
実施形態に係る半導体装置100においては、半導体層12の凹部13Sに半導体層21Sが形成され、半導体層21Sが1.0×1018cm-3以上の濃度で不純物原子を含有する。このような半導体層21Sでは、不純物原子の間の距離が短く、図3に示すように、不純物レベル(E)同士が相互作用する結束バンドが形成され、伝導帯26と繋がる。この時、フェルミ準位(E)は伝導帯の中に存在するため、つまりフェルミ準位(E)は伝導帯の下端のエネルギ(E)よりも高いため、半導体層21Sは金属と類似の特性を示す。つまり、半導体層21Sは縮退半導体の層として機能する。従って、半導体層21Sとソース電極30Sとの間にオーミック接触が得られる。図3は、半導体層21Sのバンド構造を示す図である。図3中のEは価電子帯27の上端のエネルギを示す。
【0035】
半導体層21Sが金属と類似の特性を示すため、ソース電極30Sの材料の選択の幅を広げられる。例えば、ソース電極30Sの材料として、裏面電極51の材料との間で合金化しにくい材料を使用できる。より具体的には、裏面電極51の材料がAuである場合に、ソース電極30Sが、裏面電極51に接触するNi層31Sを含んでよい。Ni層31Sは半導体層21Sとオーミック接触できるため、ソース電極30Sにより、半導体層21Sとの間のオーミック接触と、裏面電極51との間の低電気抵抗での金属結合とが得られる。そして、裏面電極51から各ソース電極30Sに安定した電位を供給できる。例えば、裏面電極51から各ソース電極30Sに安定した接地電位を供給し、利得を向上させたり、動作の安定性を向上させたりすることができる。
【0036】
半導体層21SがGaN層であることで、半導体層21Sに低い電気抵抗を得やすい。
【0037】
ソース電極30SがNi層31Sを含み、裏面電極51がAu層を含んでいることで、Au層により裏面電極51に低い電気抵抗が得られるとともに、Ni層31SとAu層との界面に合金層が形成されにくく、合金層の形成に伴う電気抵抗の上昇を抑制しやすい。
【0038】
半導体層21Sおよび21Dにおけるキャリアの密度が半導体層12におけるキャリアの密度よりも高いことで、半導体装置100の電気抵抗を低減しやすい。具体的には、ソース配線52Sとドレイン配線52Dとの間の電気抵抗を低減しやすい。
【0039】
半導体層21Sは、1.0×1019cm-3以上の濃度でn型の不純物原子を含有してもよく、1.0×1020cm-3以上の濃度でn型の不純物原子を含有してもよい。半導体層21Sに含まれるn型の不純物原子の濃度が高いほど、ソース電極30Sとの間にオーミック接触を得やすい。同じく、半導体層21Dは、1.0×1019cm-3以上の濃度でn型の不純物原子を含有してもよく、1.0×1020cm-3以上の濃度でn型の不純物原子を含有してもよい。半導体層21Dに含まれるn型の不純物原子の濃度が高いほど、ドレイン電極30Dとの間にオーミック接触を得やすい。不純物原子の濃度は、二次イオン質量分析(secondary ion mass spectrometry:SIMS)により測定できる。
【0040】
ここで、実施形態の効果の一つである小型化について、参考例と比較しながら説明する。図4は、参考例に係る半導体装置におけるゲート電極、ソース配線およびドレイン配線のレイアウトを示す図である。図5は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。図5は、図4中のV-V線に沿った断面図に相当する。
【0041】
図4および図5に示すように、参考例に係る半導体装置100Xでは、半導体層12に凹部13Sおよび13Dが形成されていない。ソース電極30Sに代えてソース電極39Sが設けられ、ドレイン電極30Dに代えてドレイン電極39Dが設けられている。ソース電極39Sおよびドレイン電極39Dは、アルミニウム(Al)電極である。Al電極は半導体層12とオーミック接触する。X軸方向で、ゲート電極22とソース電極39Sとの間の距離は、実施形態におけるゲート電極22とソース電極30Sとの間の距離と等しい。
【0042】
ソース電極39Sに開口部235Sが形成されている。開口部235Sから半導体層12が露出する。平面視で開口部235Sの内側に、エッチングストッパ230Sが形成されている。エッチングストッパ230Sは第4面12Dに接する。エッチングストッパ230Sは、Ni層231Sと、Au層232Sとを有する。ソース配線52Sは、ソース電極39Sおよびエッチングストッパ230Sに接する。ソース電極39Sとエッチングストッパ230Sとがソース配線52Sを通じて電気的に接続されている。
【0043】
基板11および半導体層12に、基板11および半導体層12を貫通する貫通孔250が形成されている。貫通孔250はエッチングストッパ230Sに達する。エッチングストッパ230Sの各々に対して、複数の貫通孔250が形成されている。
【0044】
裏面電極51は、エッチングストッパ230Sの下面と、貫通孔250の内壁面と、基板11の下面(第1面11A)とに形成されている。裏面電極51は、エッチングストッパ230Sに接するともに、第1面11Aおよび貫通孔250の内壁面を覆う。
【0045】
他の構成は実施形態と同じである。
【0046】
参考例では、半導体層21Sが設けられておらず、半導体層12との間のオーミック接触を得るためにAl電極がソース電極39Sとして設けられている。Alは、裏面電極51の材料であるAuと反応して合金化しやすく、合金化に伴い電気抵抗が高い合金層が形成される。このため、貫通孔250はソース電極39Sから離れて設けられたエッチングストッパ230Sに達するように形成されている。
【0047】
従って、図4に示すように、ソース配線52Sの幅(X軸方向の寸法)が実施形態よりも大きい。逆の見方をすると、実施形態によれば、参考例よりもソース配線52Sの幅を小さくできる。従って、実施形態によれば、半導体装置100を小型化できる。この効果は、貫通孔50の数が多いほど顕著となる。
【0048】
(半導体装置の製造方法の第1例)
次に、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第1例について説明する。図6から図14は、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第1例を示す断面図である。
【0049】
第1例では、まず、図6に示すように、例えば有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により、基板11の上に半導体層12を形成する。基板11は、第1面11Aと、第1面11Aとは反対の第2面11Bとを有する。半導体層12は、第2面11Bに接する第3面12Cと、第3面12Cとは反対の第4面12Dとを有する。次に、半導体層12の上に絶縁膜61を形成する。絶縁膜61は、例えばプラズマCVD法により形成できる。絶縁膜61は半導体層12の第4面12Dを覆う。
【0050】
次に、図7に示すように、絶縁膜61に開口部61Sおよび61Dを形成し、半導体層12に凹部13Sおよび13Dを形成する。開口部61Sおよび61Dの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁膜61の反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)を行う。絶縁膜61のRIEの際には、例えばフッ素(F)を含む反応性ガスが用いられる。凹部13Sおよび13Dの形成では、開口部61Sおよび61Dの形成に用いたレジストパターンをマスクとして用いた半導体層12のRIEを行う。半導体層12のRIEの際には、例えば塩素(Cl)を含む反応性ガスが用いられる。
【0051】
次に、図8に示すように、凹部13Sに半導体層21Sを形成し、凹部13Dに半導体層21Dを形成する。半導体層21Sおよび21Dの形成では、例えば、成長マスクを用いたMOCVD法、分子線エピタキシ(molecular beam epitaxy:MBE)法またはスパッタ法による半導体層の結晶成長を行い、その後に成長マスクを除去する。半導体層21Sおよび21Dは、いわゆる再成長層である。
【0052】
次に、図9に示すように、半導体層21Sの上にソース電極30Sを形成し、半導体層21Dの上にドレイン電極30Dを形成する。ソース電極30Sおよびドレイン電極30Dの形成では、成長マスクを用いた蒸着法によるNi層およびAu層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ソース電極30Sおよびドレイン電極30Dは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。
【0053】
次に、図10に示すように、絶縁膜61に開口部61Gを形成する。開口部61Gの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いたRIEを行う。絶縁膜61のエッチングには、例えばFを含む反応性ガスが用いられる。次に、絶縁膜61の上にゲート電極22を形成する。ゲート電極22の形成では、成長マスクを用いた蒸着法によるNi層およびAu層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。つまり、ゲート電極22は、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。ゲート電極22は、開口部61Gを通じて半導体層12にショットキー接触する。
【0054】
次に、図11に示すように、絶縁膜61の上に絶縁膜62を形成する。絶縁膜62は、例えばプラズマCVD法により形成できる。絶縁膜62は、ソース電極30S、ドレイン電極30D、ゲート電極22、絶縁膜61、半導体層21Sおよび半導体層21Dを覆う。
【0055】
次に、図12に示すように、絶縁膜62に開口部62Sおよび62Dを形成する。開口部62Sおよび62Dの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁膜62のRIEを行う。絶縁膜62のRIEの際には、例えばFを含む反応性ガスが用いられる。次に、開口部62Sを通じてソース電極30Sに接するソース配線52Sと、開口部62Dを通じてドレイン電極30Dに接するドレイン配線52Dとを絶縁膜62の上に形成する。
【0056】
次に、図13に示すように、絶縁膜62の上に絶縁膜63を形成する。絶縁膜63は、例えばプラズマCVD法により形成できる。絶縁膜63は、ソース配線52S、ドレイン配線52Dおよび絶縁膜62を覆う。
【0057】
次に、図14に示すように、基板11、半導体層12および半導体層21Sに、基板11、半導体層12および半導体層21Sを貫通する貫通孔50を形成する。貫通孔50はソース電極30Sに達するように形成する。ソース電極30Sの下面が貫通孔50に露出する。貫通孔50の形成では、基板11のエッチングを行った後、半導体層12のエッチングを行う。半導体層12のエッチングの際には、例えばFを含む反応性ガスが用いられる。ソース電極30Sに含まれるNi層31Sは、Fを含む反応性ガスを用いたエッチングに対して高い耐性を有する。従って、Ni層31Sはエッチングストッパとして機能する。貫通孔50の形成の後、裏面電極51を形成する。裏面電極51は、ソース電極30Sに接するともに、第1面11Aおよび貫通孔50の内壁面を覆う。
【0058】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置100を製造することができる。
【0059】
(半導体装置の製造方法の第2例)
次に、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第2例について説明する。図15から図16は、実施形態に係る半導体装置100の製造方法の第2例を示す断面図である。
【0060】
第2例では、まず、第1例と同じ手順で半導体層21Sおよび21Dの形成までの処理を行う(図3から図8参照)。次に、図15に示すように、絶縁膜61に開口部61Gを形成する。
【0061】
次に、図16に示すように、半導体層21Sの上にソース電極30Sを形成し、半導体層21Dの上にドレイン電極30Dを形成し、絶縁膜61の上にゲート電極22を形成する。ソース電極30S、ドレイン電極30Dおよびゲート電極22の形成では、成長マスクを用いた蒸着法によるNi層およびAu層の成長を行い、その後に成長マスクを除去する。
【0062】
その後、第1例と同じ手順で絶縁膜62の形成以降の処理を行う(図11から図14参照)。
【0063】
このようにして、実施形態に係る半導体装置100を製造できる。
【0064】
半導体層12の構成は特に限定されない。例えば、電子供給層が電子走行層の上方にあってもよく、電子走行層が電子供給層の上方にあってもよい。
【0065】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
11:基板
11A:第1面
11B:第2面
12:半導体層
12C:第3面
12D:第4面
13D、13S:凹部
15:ゲート共通接続部
21D、21S:半導体層
22:ゲート電極
26:伝導帯
27:価電子帯
30D、39D:ドレイン電極
30S、39S:ソース電極
31D、31S、231S:Ni層
32D、32S、232S:Au層
50、250:貫通孔
51:裏面電極
52D:ドレイン配線
52S:ソース配線
55:ドレインパッド
61、62、63:絶縁膜
61D、61G、61S、62D、62S、235S:開口部
100、100X:半導体装置
230S:エッチングストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16