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特開2024-92748半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092748
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240701BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/80 H
H01L21/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208886
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 敦也
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 幸則
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB05
4M104BB14
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD09
4M104DD23
4M104DD34
4M104DD37
4M104DD52
4M104DD53
4M104DD68
4M104EE06
4M104EE12
4M104EE17
4M104GG12
4M104HH20
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GK04
5F102GL04
5F102GL07
5F102GM04
5F102GM07
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GQ02
5F102GR01
5F102GR04
5F102GR07
5F102GS02
5F102GS04
5F102GT01
5F102GV03
5F102GV06
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC02
5F102HC11
5F102HC15
5F102HC16
5F102HC30
(57)【要約】
【課題】小型化できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1面を有し、前記第1面に第1凹部が形成された第1窒化物半導体層と、前記第1凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を覆い、前記第2窒化物半導体層の一部が露出する第1開口部が形成された第1絶縁膜と、前記第1開口部を通じて前記第2窒化物半導体層にオーミック接触する配線層と、を有し、前記第2窒化物半導体層は、前記配線層に対向する第2面を有し、前記第2面には、前記第1開口部に連なる第2凹部が形成されており、前記配線層は、前記第2凹部の内面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有し、前記第1面に第1凹部が形成された第1窒化物半導体層と、
前記第1凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、
前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を覆い、前記第2窒化物半導体層の一部が露出する第1開口部が形成された第1絶縁膜と、
前記第1開口部を通じて前記第2窒化物半導体層にオーミック接触する配線層と、
を有し、
前記第2窒化物半導体層は、前記配線層に対向する第2面を有し、
前記第2面には、前記第1開口部に連なる第2凹部が形成されており、
前記配線層は、前記第2凹部の内面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する、半導体装置。
【請求項2】
前記配線層は、
前記第2凹部の側面および底面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する第1金属層と、
前記第1金属層に積層され、前記第1金属層よりも電気抵抗が低い第2金属層と、
を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2金属層は、金層である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線層を覆い、前記配線層の一部が露出する第2開口部が形成されたパッシベーション膜を有し、
前記配線層は、前記第1面に垂直な平面視で前記第2開口部と重なる領域において、前記第1金属層および前記第2金属層を有する、請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1窒化物半導体層と前記第1絶縁膜との間に設けられ、前記第1凹部が露出する第3開口部が形成された第2絶縁膜を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2窒化物半導体層におけるキャリアの密度は、前記第1窒化物半導体層におけるキャリアの密度よりも高い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1窒化物半導体層と前記第1絶縁膜との間に設けられたゲート電極を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2凹部の深さは、5nm以上50nm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1面を有する第1窒化物半導体層の前記第1面に第1凹部を形成する工程と、
前記第1凹部に第2窒化物半導体層を形成する工程と、
前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を覆う第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜に、前記第2窒化物半導体層の一部が露出する第1開口部を形成する工程と、
前記第1開口部を通じて前記第2窒化物半導体層にオーミック接触する配線層を形成する工程と、
を有し、
前記第2窒化物半導体層は、前記配線層に対向する第2面を有し、
前記第1開口部を形成する工程と前記配線層を形成する工程との間に、前記第2面に、前記第1開口部に連なる第2凹部を形成する工程を有し、
前記配線層は、前記第2凹部の側面および底面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2凹部を形成する工程は、
前記第2面の前記第1開口部から露出する部分に酸化層を形成する工程と、
前記酸化層を除去する工程と、
を有する、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バリア層およびチャネル層に開口部が形成され、n型不純物を高濃度で含有する窒化ガリウム(nGaN)層が開口部に設けられた高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を備えた半導体装置が知られている。nGaN層と配線層との間には、オーミック接触の確保のための電極層が設けられている。電極層は、チタン(Ti)層またはタンタル(Ta)層と、アルミニウム(Al)層との積層体を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-033155号公報
【特許文献2】特開2019-041113号公報
【特許文献3】米国特許出願公開2005/0258451号明細書
【特許文献4】特開2021-086852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体装置に対する更なる小型化の要請が高まっている。
【0005】
本開示は、小型化できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1面を有し、前記第1面に第1凹部が形成された第1窒化物半導体層と、前記第1凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を覆い、前記第2窒化物半導体層の一部が露出する第1開口部が形成された第1絶縁膜と、前記第1開口部を通じて前記第2窒化物半導体層にオーミック接触する配線層と、を有し、前記第2窒化物半導体層は、前記配線層に対向する第2面を有し、前記第2面には、前記第1開口部に連なる第2凹部が形成されており、前記配線層は、前記第2凹部の内面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半導体装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置における電極およびパッドのレイアウトを示す図である。
図2図2は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図(その1)である。
図3図3は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図(その2)である。
図4図4は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図(その3)である。
図5図5は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図6図6は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図7図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図8図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図9図9は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図10図10は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図11図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図12図12は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図13図13は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
図14図14は、参考例に係る半導体装置における電極およびパッドのレイアウトを示す図である。
図15図15は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1面を有し、前記第1面に第1凹部が形成された第1窒化物半導体層と、前記第1凹部に設けられた第2窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を覆い、前記第2窒化物半導体層の一部が露出する第1開口部が形成された第1絶縁膜と、前記第1開口部を通じて前記第2窒化物半導体層にオーミック接触する配線層と、を有し、前記第2窒化物半導体層は、前記配線層に対向する第2面を有し、前記第2面には、前記第1開口部に連なる第2凹部が形成されており、前記配線層は、前記第2凹部の内面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する。
【0011】
第1絶縁膜に第1開口部が形成される際に第2窒化物半導体層に局所的にダメージが生じるが、ダメージが生じた部分は第2凹部の形成に伴って除去される。このため、配線層と第2窒化物半導体層との間に良好なオーミック接触が得られる。また、第2窒化物半導体層と配線層との間にオーミック接触の確保のための電極層等は必要とされないため、マージンを低減し、小型化できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記配線層は、前記第2凹部の側面および底面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する第1金属層と、前記第1金属層に積層され、前記第1金属層よりも電気抵抗が低い第2金属層と、を有してもよい。この場合、配線層と第1絶縁膜との間に良好な密着性を得ながら、配線層に良好な導電性を得やすい。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、前記第2金属層は、金層であってもよい。この場合、特に良好な導電性を得やすい。
【0014】
〔4〕 〔2〕または〔3〕において、前記配線層を覆い、前記配線層の一部が露出する第2開口部が形成されたパッシベーション膜を有し、前記配線層は、前記第1面に垂直な平面視で前記第2開口部と重なる領域において、前記第1金属層および前記第2金属層を有してもよい。この場合、マージンを低減しやすい。
【0015】
〔5〕 〔1〕から〔4〕のいずれかにおいて、前記第1窒化物半導体層と前記第1絶縁膜との間に設けられ、前記第1凹部が露出する第3開口部が形成された第2絶縁膜を有してもよい。この場合、第2絶縁膜により第1窒化物半導体層を保護しやすい。
【0016】
〔6〕 〔1〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記第2窒化物半導体層におけるキャリアの密度は、前記第1窒化物半導体層におけるキャリアの密度よりも高くてもよい。この場合、電気抵抗を低減しやすい。
【0017】
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれかにおいて、前記第1窒化物半導体層と前記第1絶縁膜との間に設けられたゲート電極を有してもよい。この場合、第1窒化物半導体層に含まれるチャネル領域の電位をゲート電極により制御できる。
【0018】
〔8〕 〔1〕から〔7〕のいずれかにおいて、前記第2凹部の深さは、5nm以上50nm以下であってもよい。この場合、ダメージが生じた部分を排除しやすく、第2凹部を形成するための処理の時間を短縮しやすい。
【0019】
〔9〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1面を有する第1窒化物半導体層の前記第1面に第1凹部を形成する工程と、前記第1凹部に第2窒化物半導体層を形成する工程と、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層を覆う第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜に、前記第2窒化物半導体層の一部が露出する第1開口部を形成する工程と、前記第1開口部を通じて前記第2窒化物半導体層にオーミック接触する配線層を形成する工程と、を有し、前記第2窒化物半導体層は、前記配線層に対向する第2面を有し、前記第1開口部を形成する工程と前記配線層を形成する工程との間に、前記第2面に、前記第1開口部に連なる第2凹部を形成する工程を有し、前記配線層は、前記第2凹部の側面および底面で前記第2窒化物半導体層に直接接触する。
【0020】
第1絶縁膜に第1開口部が形成される際に第2窒化物半導体層に局所的にダメージが生じるが、ダメージが生じた部分は第2凹部の形成に伴って除去される。このため、配線層と第2窒化物半導体層との間に良好なオーミック接触が得られる。また、第2窒化物半導体層と配線層との間にオーミック接触の確保のための電極層等は必要とされないため、マージンを低減し、小型化できる。
【0021】
〔10〕 〔9〕において、前記第2凹部を形成する工程は、前記第2面の前記第1開口部から露出する部分に酸化層を形成する工程と、前記酸化層を除去する工程と、を有してもよい。この場合、ダメージが生じた部分を除去しやすい。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いるが、当該座標系は、説明のために定めるものであって、半導体装置の姿勢について限定するものではない。また、任意の点からみて、+Z側を上方、上側または上ということがあり、-Z側を下方、下側または下ということがある。
【0023】
実施形態はGaN系高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。図1は、実施形態に係る半導体装置における電極およびパッドのレイアウトを示す図である。図2から図4は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図2は、図1中のII-II線に沿った断面図に相当し、図3は、図1中のIII-III線に沿った断面図に相当し、図4は、図1中のIV-IV線に沿った断面図に相当する。
【0024】
図1から図4に示すように、実施形態に係る半導体装置100は、基板10と、積層構造体21とを有する。基板10は、例えば(0001)面を有する炭化珪素(SiC)基板であり、積層構造体21の積層方向は例えば[0001]方向である。積層構造体21は基板10の上に設けられている。積層構造体21は、核生成層11と、チャネル層12と、バリア層13と、キャップ層14とを含む。積層構造体21は第1窒化物半導体層の一例である。
【0025】
核生成層11は基板10の上に形成されている。例えば、核生成層11は窒化アルミニウム(AlN)層であり、核生成層11の厚さは5nm以上20nm以下である。核生成層11はチャネル層12に対するシード層として機能する。
【0026】
チャネル層12は核生成層11の上にエピタキシャル成長により形成されている。例えば、チャネル層12はアンドープ窒化ガリウム(GaN)層であり、チャネル層12の厚さは500nmである。チャネル層12は電子走行層として機能する。
【0027】
バリア層13はチャネル層12の上にエピタキシャル成長により形成されている。例えば、バリア層13は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)層または窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)層である。バリア層13の厚さは例えば5nm以上30nm以下である。バリア層13のバンドギャップは、チャネル層12のバンドギャップよりも大きい。バリア層13がAlGaN層である場合、バリア層13のAl組成は例えば0.15以上0.35以下である。バリア層13の導電型は、n型またはアンドープである。バリア層13とチャネル層12とは互いに接してもよく、バリア層13とチャネル層12との間に図示しないスペーサ層が介在してもよい。バリア層13とチャネル層12との間には、これらの間の格子定数の違いから歪みが生じる。このため、バリア層13とチャネル層12との界面近傍であってチャネル層12側の領域にピエゾ電荷に由来する二次元電子ガス(2DEG)15が生じ、チャネル領域が形成される。バリア層13は電子供給層として機能する。
【0028】
キャップ層14はバリア層13の上にエピタキシャル成長により形成されている。例えば、キャップ層14はGaN層であり、キャップ層14の厚さは5nmである。例えば、キャップ層14の導電型はn型である。
【0029】
積層構造体21は第1面1を有する。第1面1は積層構造体21の上面である。キャップ層14が第1面1を構成する。第1面1に、複数の凹部41Sと、複数の凹部41Dとが形成されている。凹部41Sおよび41DはY軸方向に平行に延び、X軸方向に交互に設けられている。凹部41Sおよび41Dはキャップ層14およびバリア層13を貫通し、チャネル層12に達する。凹部41Sおよび41Dの底面がチャネル層12にある。凹部41Sおよび41Dの底面は2DEG15より深い位置にある。凹部41Sおよび41Dは第1凹部の一例である。
【0030】
半導体装置100は絶縁膜32を有する。絶縁膜32は積層構造体21を覆う。例えば、絶縁膜32は窒化シリコン(SiN)膜等の窒化膜であり、絶縁膜32の厚さは10nm以上100nm以下である。絶縁膜32に、複数の開口部53Sと、複数の開口部53Dと、複数の開口部53Gとが形成されている。開口部53S、53Dおよび53GはY軸方向に平行に延びる。開口部53Sは凹部41Sに連なり、開口部53Dは凹部41Dに連なる。開口部53Gは、X軸方向で隣り合う開口部53Sと開口部53Dとの間に設けられている。絶縁膜32は第2絶縁膜の一例である。開口部53Sおよび53Dは第3開口部の一例である。
【0031】
半導体装置100は半導体層22Sおよび22Dを有する。半導体層22Sは凹部41Sに設けられ、半導体層22Dは凹部41Dに設けられている。半導体層22Sの一部が開口部53Sの内側にあってもよく、半導体層22Dの一部が開口部53Dの内側にあってもよい。例えば、半導体層22Sおよび22Dは、導電型がn型のGaN層である。半導体層22Sおよび22Dは、n型不純物をバリア層13よりも高濃度で含む。半導体層22Sおよび22Dにおけるキャリアの密度は、積層構造体21におけるキャリアの密度よりも高い。半導体層22Sおよび22Dにおけるキャリアの密度は2×1020cm-3以上であり、キャリアの移動度は20cm/Vs以上である。半導体層22Sおよび22Dは第2窒化物半導体層の一例である。
【0032】
半導体層22Sは第2面2Sを有する。第2面2Sは半導体層22Sの上面である。第2面2Sに凹部42Sが形成されている。凹部42Sは開口部53Sの内側に形成されている。凹部42Sの深さは、例えば5nm以上50nm以下である。半導体層22Dは第2面2Dを有する。第2面2Dは半導体層22Dの上面である。第2面2Dに凹部42Dが形成されている。凹部42Dは開口部53Dの内側に形成されている。凹部42Dの深さは、例えば5nm以上50nm以下である。凹部42Sおよび42Dは第2凹部の一例である。
【0033】
半導体装置100はゲート電極61Gを有する。ゲート電極61Gは、絶縁膜32の開口部53Gを覆い、開口部53Gを通じてキャップ層14にショットキー接触している。ゲート電極61Gは、例えば、上方に向かって順に積層されたニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層および金(Au)層を有する。
【0034】
半導体装置100は絶縁膜31を有する。絶縁膜31はゲート電極61G、絶縁膜32、半導体層22Sおよび半導体層22Dを覆う。絶縁膜31はゲート電極61Gおよび絶縁膜32の上から積層構造体21を覆う。例えば、絶縁膜31はSiN膜等の窒化膜であり、絶縁膜31の厚さは10nm以上50nm以下である。絶縁膜31に、複数の開口部51Sと、複数の開口部51Dとが形成されている。開口部51Sおよび51DはY軸方向に平行に延びる。開口部51Sは半導体層22Sに達し、開口部51Dは半導体層22Dに達する。第1面1に垂直な平面視で、開口部51Sは開口部53Sの内側にあり、開口部51Dは開口部53Dの内側にある。凹部42Sが開口部51Sに連なり、凹部42Dが開口部51Dに連なる。開口部51Sから半導体層22Sの一部が露出し、開口部51Dから半導体層22Dの一部が露出する。絶縁膜31は第1絶縁膜の一例である。開口部51Sおよび51Dは第1開口部の一例である。
【0035】
半導体装置100は、配線層60Sと、配線層60Dと、配線層60Gとを有する。
【0036】
図1に示すように、配線層60Sは、複数のローカル配線領域71Sと、グローバル配線領域72Sと、パッド領域73Sとを有する。ローカル配線領域71SはY軸方向に平行に延びる。ローカル配線領域71Sは開口部51Sを通じて半導体層22Sにオーミック接触する。グローバル配線領域72SはX軸方向に延びる。グローバル配線領域72Sは、各ローカル配線領域71Sの+Y側の端部に接続されている。パッド領域73SはY軸方向に延びる。パッド領域73Sはグローバル配線領域72Sの-X側の端部に接続されている。
【0037】
配線層60Sは、複数のローカル配線領域71S、グローバル配線領域72Sおよびパッド領域73Sのいずれにおいても、シード層61Sと、めっき層62Sとを有する。例えば、シード層61Sはチタン(Ti)層を有し、シード層61Sの厚さは50nm以上300nm以下である。例えば、めっき層62Sは金(Au)層を有し、めっき層62Sの厚さは1000nm以上9000nm以下である。めっき層62Sの電気抵抗はシード層61Sの電気抵抗よりも低い。半導体層22Sの第2面2Sがローカル配線領域71Sに対向する。ローカル配線領域71Sは、凹部42Sの内面、つまり凹部42Sの側面および底面で半導体層22Sに直接接触する。シード層61Sは、凹部42Sの内面と、開口部51Sの内面と、絶縁膜31の上面とに直接接触する。めっき層62Sはシード層61Sの上に設けられている。シード層61Sは第1金属層の一例であり、めっき層62Sは第2金属層の一例である。ローカル配線領域71Sに含まれる金属層の種類、グローバル配線領域72Sに含まれる金属層の種類およびパッド領域73Sに含まれる金属層の種類が同一であってもよい。
【0038】
図1に示すように、配線層60Dは、複数のローカル配線領域71Dと、パッド領域73Dとを有する。ローカル配線領域71DはY軸方向に平行に延びる。ローカル配線領域71Dは開口部51Dを通じて半導体層22Dにオーミック接触する。パッド領域73DはX軸方向に延びる。パッド領域73Dは、各ローカル配線領域71Dの-Y側の端部に接続されている。
【0039】
配線層60Dは、複数のローカル配線領域71Dおよびパッド領域73Dのいずれにおいても、シード層61Dと、めっき層62Dとを有する。例えば、シード層61DはTi層を有し、シード層61Dの厚さは50nm以上300nm以下である。例えば、めっき層62DはAu層を有し、めっき層62Dの厚さは1000nm以上9000nm以下である。めっき層62Dの電気抵抗はシード層61Dの電気抵抗よりも低い。半導体層22Dの第2面2Dがローカル配線領域71Dに対向する。ローカル配線領域71Dは、凹部42Dの内面、つまり凹部42Dの側面および底面で半導体層22Dに直接接触する。シード層61Dは、凹部42Dの内面と、開口部51Dの内面と、絶縁膜31の上面とに直接接触する。めっき層62Dはシード層61Dの上に設けられている。シード層61Dは第1金属層の一例であり、めっき層62Dは第2金属層の一例である。ローカル配線領域71Dに含まれる金属層の種類およびパッド領域73Dに含まれる金属層の種類が同一であってもよい。
【0040】
図1に示すように、配線層60GはX軸方向に延びる。配線層60Gは配線層60Sのグローバル配線領域72Sの+Y側にある。配線層60Gは、配線層60Sおよび60Dと同じく、シード層およびめっき層(図示せず)を有する。ゲート電極61Gの+Y側の端部の上方において絶縁膜31に開口部(図示せず)が形成されており、この開口部を通じて配線層60Gがゲート電極61Gに直接接触する。
【0041】
半導体装置100はパッシベーション膜33を有する。パッシベーション膜33は、配線層60S、60Dおよび60Gと、絶縁膜31とを覆う。図3に示すように、パッシベーション膜33に、配線層60Sのパッド領域73Sの一部を露出する開口部52Sが形成されている。パッド領域73Sの開口部52Sから露出した部分にボンディングワイヤ74Sが接続される。図4に示すように、パッシベーション膜33に、配線層60Dのパッド領域73Dの一部を露出する開口部52Dが形成されている。パッド領域73Dの開口部52Dから露出した部分にボンディングワイヤ74Dが接続される。パッシベーション膜33に、配線層60Gの一部を露出する開口部(図示せず)が形成されている。配線層60Gの開口部から露出した部分にボンディングワイヤ(図示せず)が接続される。配線層60Gはパッド領域として機能し得る。開口部52Sおよび52Dは第2開口部の一例である。
【0042】
配線層60Sは、第1面1に垂直な平面視で開口部52Sと重なる領域において、シード層61Sおよびめっき層62Sを有する。また、配線層60Sは、第1面1に垂直な平面視で凹部42Sと重なる領域においても、シード層61Sおよびめっき層62Sを有する。配線層60Dは、第1面1に垂直な平面視で開口部52Dと重なる領域において、シード層61Dおよびめっき層62Dを有する。また、配線層60Dは、第1面1に垂直な平面視で凹部42Dと重なる領域においても、シード層61Dおよびめっき層62Dを有する。
【0043】
次に、実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。図5から図13は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。図5から図13は、図2に示す断面の変化を示す。
【0044】
まず、図5に示すように、基板10上に、有機金属化学気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法を用いて、複数の窒化物半導体層を含む積層構造体21を形成する。具体的には、まず、核生成層11を基板10上に成長する。核生成層11がAlN層である場合、原料ガスは例えばTMA(トリメチルアルミニウム)およびNH(アンモニア)である。次に、核生成層11上にチャネル層12を成長する。チャネル層12がGaN層である場合、原料ガスは例えばTMG(トリメチルガリウム)およびNHである。続いて、チャネル層12上にバリア層13を成長する。バリア層13がAlGaN層である場合、原料ガスは例えばTMA、TMGおよびNHである。続いて、バリア層13上にキャップ層14を成長する。キャップ層14がGaN層である場合、原料ガスは例えばTMGおよびNHである。
【0045】
次に、積層構造体21の第1面1に接する絶縁膜32を形成する。絶縁膜32は、例えば減圧CVD法またはプラズマCVD法により形成する。
【0046】
次に、図6に示すように、絶縁膜32に開口部53Sおよび53Dを形成し、積層構造体21に凹部41Sおよび41Dを形成する。開口部53Sおよび53Dの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いた絶縁膜32の反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)を行う。絶縁膜32のRIEの際には、例えばフッ素(F)を含む反応性ガスが用いられる。凹部41Sおよび41Dの形成では、開口部53Sおよび53Dの形成に用いたレジストパターンをマスクとして用いた積層構造体21のRIEを行う。積層構造体21のRIEの際には、例えば塩素(Cl)を含む反応性ガスが用いられる。
【0047】
次に、図7に示すように、凹部41Sに半導体層22Sを形成し、凹部41Dに半導体層22Dを形成する。半導体層22Sおよび22Dの形成では、例えば、成長マスクを用いたMOCVD法、分子線エピタキシ(molecular beam epitaxy:MBE)法またはスパッタ法による半導体層の結晶成長を行い、その後に成長マスクを除去する。
【0048】
次に、図8に示すように、絶縁膜32に開口部53Gを形成する。開口部53Gの形成では、例えばレジストパターンをマスクとして用いたRIEを行う。絶縁膜32のエッチングには、例えばFを含む反応性ガスが用いられる。次に、絶縁膜32の上にゲート電極61Gを形成する。ゲート電極61Gは、例えば蒸着およびリフトオフにより形成できる。ゲート電極61Gは、開口部53Gを通じてキャップ層14にショットキー接触する。次に、ゲート電極61G、絶縁膜32、半導体層22Sおよび半導体層22Dを覆う絶縁膜31を形成する。絶縁膜31は、例えばプラズマCVD法により形成できる。
【0049】
次に、図9に示すように、絶縁膜31の上にレジストパターン90を形成する。レジストパターン90には、開口部91Sおよび開口部91Dが形成される。絶縁膜31の開口部51Sを形成する領域が開口部91Sから露出し、絶縁膜31の開口部51Dを形成する領域が開口部91Dから露出する。次に、レジストパターン90をマスクとして用いた絶縁膜31のRIEを行う。絶縁膜31のRIEには、例えば四フッ化炭素(CF)または六フッ化硫黄(SF)等のFを含む反応性ガスが用いられる。この時、不可避的に、半導体層22Sの開口部51Sから露出した部分にRIEによるダメージが生じたダメージ層81Sが形成され、半導体層22Dの開口部51Dから露出した部分にRIEによるダメージが生じたダメージ層81Dが形成される。
【0050】
次に、図10に示すように、レジストパターン90を除去する。次に、半導体層22Sのダメージ層81Sを含む部分を酸化させて酸化層82Sを形成し、半導体層22Dのダメージ層81Dを含む部分を酸化させて酸化層82Dを形成する。酸化層82Sおよび82Dの形成では、例えば出力が1000W程度の酸素プラズマによる強アッシングを行う。ダメージ層81Sおよび81D内では、結晶構造が乱れているため、ダメージ層81Sおよび81Dは、半導体層22Sおよび22Dの残部よりも酸化しやすい。なお、レジストパターン90の除去は、酸化層82Sおよび82Dを形成した後に行ってもよい。
【0051】
次に、図11に示すように、酸化層82Sおよび82Dを除去する。酸化層82Sおよび82Dは、例えばアルカリ性のエッチャントを用いたウェットエッチングにより除去できる。ウェットエッチングの時間は、例えば1分間から5分間である。アルカリ性のエッチャントとしては、例えば水酸化カリウム(KOH)、または、水酸化アンモニウム(アンモニア水、NHOH)を含む溶液を使用できる。酸化層82Sおよび82Dを、酸性のエッチャントを用いたウェットエッチングにより除去してもよい。酸化層82Sおよび82Dの除去後に半導体層22Sおよび22Dが大気暴露されると、半導体層22Sの表面に自然酸化膜83Sが形成され、半導体層22Dの表面に自然酸化膜83Dが形成され得る。自然酸化膜83Sおよび83Dの厚さは、1nmから数nm程度である。自然酸化膜83Sおよび83Dは、例えば酸化ガリウムを含む。
【0052】
次に、図12に示すように、自然酸化膜83Sおよび83Dを除去し、配線層60Sおよび60Dを形成する。自然酸化膜83Sおよび83Dの除去では、例えばアルゴン(Ar)ミリング等のミリングまたは希塩酸等の酸性溶液を用いたウェットエッチングを行う。ミリングおよびウェットエッチングの両方を行ってもよい。配線層60Sおよび60Dは、例えば、下記のようにセミアディティブ法により形成できる。すなわち、半導体層22S、半導体層22Dおよび絶縁膜31の各表面を覆うようにシード層を形成し、めっき層62Sおよび62Dを形成する領域に開口部を有するレジストマスクを形成し、めっき層を形成する。シード層は、例えば蒸着法またはスパッタ法により形成できる。めっき層は、例えば電解めっき法により形成できる。めっき層の形成の後、レジストマスクを除去し、レジストマスクに覆われていたシード層を除去する。このようにして、シード層61Sおよびめっき層62Sを有する配線層60Sと、シード層61Dおよびめっき層62Dを有する配線層60Dとが形成される。
【0053】
なお、開口部51Sおよび51Dと同時にゲート電極61Gを露出する開口部を絶縁膜31に形成してもよく、配線層60Sおよび配線層60Dと同時にゲート電極61Gに接する配線層60G(図1参照)を形成してもよい。
【0054】
次に、図13に示すように、配線層60S、60Dおよび60Gと、絶縁膜31とを覆うパッシベーション膜33を形成する。パッシベーション膜33は、例えばプラズマCVD法により形成できる。次に、パッシベーション膜33に、配線層60Sのパッド領域73Sの一部を露出する開口部52S(図3参照)と、配線層60Dのパッド領域73Dの一部を露出する開口部52D(図4参照)と、配線層60Gの一部を露出する開口部(図示せず)とを形成する。
【0055】
このようにして、実施形態に係る半導体装置100を製造できる。
【0056】
半導体装置100においては、絶縁膜31に開口部51Sが形成される際に半導体層22Sに局所的にダメージ層81Sが形成されるが、ダメージ層81Sが除去され、半導体層22Sに凹部41Sが形成されている。このため、配線層60Sと半導体層22Sとの間に良好なオーミック接触が得られる。また、絶縁膜31に開口部51Dが形成される際に半導体層22Dに局所的にダメージ層81Dが形成されるが、ダメージ層81Dが除去され、半導体層22Dに凹部41Dが形成されている。このため、配線層60Dと半導体層22Dとの間に良好なオーミック接触が得られる。
【0057】
そして、配線層60Sおよび60Dと半導体層22Sおよび22Dとの間に良好なオーミック接触が得られるため、下記の参考例と比較して、半導体層22Sおよび22Dと配線層60Sおよび60Dとの間のマージンを低減できる。
【0058】
ここで、実施形態との比較のための参考例について説明する。図14は、参考例に係る半導体装置における電極およびパッドのレイアウトを示す図である。図15は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。図15は、図14中のXV-XV線に沿った断面図に相当する。なお、図14および図15は、参考例を示す図であって、従来技術を示す図ではない。
【0059】
図14および図15に示すように、参考例に係る半導体装置100Xは、半導体装置100の構成に加えて、電極層66Sおよび66Dと、バリアメタル層67Sおよび67Dとを有する。
【0060】
半導体層22Sの第2面2Sに凹部41Sが形成されておらず、第2面2Sの上に電極層66Sが設けられ、電極層66Sの上にバリアメタル層67Sが設けられている。第1面1に垂直な平面視で、電極層66Sの縁は半導体層22Sの縁の内側にあり、バリアメタル層67Sの縁は電極層66Sの縁の内側にある。半導体層22Dの第2面2Dに凹部41Dが形成されておらず、第2面2Dの上に電極層66Dが設けられ、電極層66Dの上にバリアメタル層67Dが設けられている。第1面1に垂直な平面視で、電極層66Dの縁は半導体層22Dの縁の内側にあり、バリアメタル層67Dの縁は電極層66Dの縁の内側にある。電極層66Sおよび66Dは、チタン(Ti)層またはタンタル(Ta)層と、アルミニウム(Al)層との積層膜を有する。バリアメタル層67Sおよび67Dは、チタン(Ti)層、チタンタングステン(TiW)層、チタンナイトライド(TiN)層またはチタンタングステンナイトライド(TiWN)層を有する。
【0061】
絶縁膜31は、ゲート電極61G、絶縁膜32、半導体層22Sおよび半導体層22Dだけでなく、電極層66S、電極層66D、バリアメタル層67Sおよびバリアメタル層67Dをも覆う。開口部51Sはバリアメタル層67Sに達し、開口部51Dはバリアメタル層67Dに達する。
【0062】
このように、参考例に係る半導体装置100Xでは、半導体層22Sと配線層60Sとの間に電極層66Sおよびバリアメタル層67Sがあり、半導体層22Dと配線層60Dとの間に電極層66Dおよびバリアメタル層67Dがある。このため、半導体層22Sと配線層60Sとの間には、半導体層22Sと電極層66Sとの間のマージンと、電極層66Sとバリアメタル層67Sとの間のマージンと、バリアメタル層67Sと配線層60Sとの間のマージンとが必要とされる。同じく、半導体層22Dと配線層60Dとの間には、半導体層22Dと電極層66Dとの間のマージンと、電極層66Dとバリアメタル層67Dとの間のマージンと、バリアメタル層67Dと配線層60Dとの間のマージンとが必要とされる。
【0063】
実施形態に係る半導体装置100によれば、参考例に係る半導体装置100Xと比較して、半導体層22Sおよび22Dと配線層60Sおよび60Dとの間のマージンを低減できる。このため、X軸方向で隣り合うゲート電極61Gの間隔を低減でき、小型化できる。また、半導体装置100は、電極層66S、電極層66D、バリアメタル層67Sおよびバリアメタル層67Dを含まないため、異種物質間の接触抵抗を低減できる。
【0064】
更に、半導体装置100Xの製造過程では、電極層66Sと半導体層22Sとの間のオーミック接触の確保と、電極層66Dと半導体層22Dとの間のオーミック接触の確保とのために、電極層66Sおよび66Dの形成後に500℃以上800℃以下の熱処理が行われる。この熱処理の際に、ゲート電極61Gのショットキー特性が変化する可能性がある。これに対し、半導体装置100の製造過程では、ゲート電極61Gのショットキー特性が変化する可能性がある熱処理は行われない。従って、半導体装置100によれば、安定した特性を得やすい。
【0065】
配線層60Sがシード層61Sおよびめっき層62Sを有し、配線層60Dがシード層61Dおよびめっき層62Dを有する。シード層61Sおよび61Dにより、配線層60Sおよび60Dと絶縁膜31との間に良好な密着性が得られる。また、めっき層62Sおよび62Dの電気抵抗がシード層61Sおよび61Dの電気抵抗よりも低いため、配線層60Sおよび60Dに良好な導電性を得やすい。めっき層62Sおよび62DがAu層である場合、特に良好な導電性を得やすい。
【0066】
配線層60Sが第1面1に垂直な平面視で開口部52Sと重なる領域において、シード層61Sおよびめっき層62Sを有する。すなわち、ローカル配線領域71Sに含まれる金属層の種類およびパッド領域73Sに含まれる金属層の種類が同一である。また、配線層60Dが第1面1に垂直な平面視で開口部52Dと重なる領域において、シード層61Dおよびめっき層62Dを有する。すなわち、ローカル配線領域71Dに含まれる金属層の種類およびパッド領域73Dに含まれる金属層の種類が同一である。このため、マージンを低減しやすい。
【0067】
絶縁膜31に加えて絶縁膜32が設けられており、絶縁膜32により積層構造体21を保護しやすい。
【0068】
半導体層22Sおよび22Dにおけるキャリアの密度が積層構造体21におけるキャリアの密度よりも高いことで、半導体装置100の電気抵抗を低減しやすい。具体的には、配線層60Sと配線層60Dとの間の電気抵抗を低減しやすい。また、ゲート電極61Gにより積層構造体21に含まれるチャネル領域の電位を制御できる。
【0069】
凹部42Sおよび42Dの深さは、特に限定されない。凹部42Sおよび42Dの深さは、例えば5nm以上50nm以下であり、10nm以上40nm以下であってもよい。凹部42Sおよび42Dの深さが5nm以上であると、ダメージ層81Sおよび81Dを排除しやすい。凹部42Sおよび42Dの深さが10nm以上であると、ダメージ層81Sおよび81Dを更に排除しやすい。凹部42Sおよび42Dの深さが50nm以下であると、凹部42Sおよび42Dを形成するための処理の時間を短縮しやすい。凹部42Sおよび42Dの深さが40nm以下であると、凹部42Sおよび42Dを形成するための処理の時間を更に短縮しやすい。
【0070】
なお、シード層61Sおよび61Dが、最下層のTi層に加えて、Ti層の上に設けられたAu層を含んでいてもよい。また、シード層61Sおよび61Dが、最下層のTi層に加えて、Ti層の上に順に設けられたチタンタングステン(TiW)層、Ti層およびAu層を含んでいてもよい。めっき層62Sおよび62DがAu層に代えて銅(Cu)層を有してもよい。
【0071】
また、第2金属層はめっき層でなくてもよく、第1金属層はシード層でなくてもよい。例えば、第2金属層を蒸着法により形成してもよい。
【0072】
積層構造体21に含まれる半導体層の構成は上記の実施形態のものに限定されない。例えば、バリア層13がチャネル層12と基板10との間にあってもよい。つまり、いわゆる逆HEMT構造が採用されていてもよい。また、例えば、キャップ層14が含まれていなくてもよい。
【0073】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1:第1面
2D、2S:第2面
10:基板
11:核生成層
12:チャネル層
13:バリア層
14:キャップ層
15:二次元電子ガス(2DEG)
21:積層構造体
22D、22S:半導体層
31、32:絶縁膜
33:パッシベーション膜
41D、41S、42D、42S:凹部
51D、51S、52D、52S、53D、53G、53S:開口部
60D、60G、60S:配線層
61D、61S:シード層
61G:ゲート電極
62D、62S:めっき層
66D、66S:電極層
67D、67S:バリアメタル層
71D、71S:ローカル配線領域
72S:グローバル配線領域
73D、73S:パッド領域
74D、74S:ボンディングワイヤ
81D、81S:ダメージ層
82D、82S:酸化層
83D、83S:自然酸化膜
90:レジストパターン
91D、91S:開口部
100、100X:半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15