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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092750
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】撮影システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20240701BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240701BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240701BHJP
   H04N 5/272 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H04N5/222
G03B15/00 Q
G03B15/00 P
G03B17/56 A
H04N5/272
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208888
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川村 正太郎
【テーマコード(参考)】
2H105
5C023
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA06
5C023AA17
5C023AA21
5C023BA04
5C023CA03
5C122DA02
5C122DA36
5C122EA61
5C122EA65
5C122EA66
5C122FH11
5C122FH14
5C122FH18
5C122HA82
5C122HA86
(57)【要約】
【課題】容易に魅力的な映像コンテンツの撮影を可能にする。
【解決手段】撮影システム(1)は、画像処理されるプレゼンテータPを抽出するためのクロマキー背景部(101)と、クロマキー背景部(101)が設置される特定撮影領域(100)と、特定撮影領域(100)に隣接しクロマキー背景部が設置されない通常撮影領域(200)とを切り替えて撮影するカメラ(10)とを備え、カメラ(10)は、特定撮影領域(100)と通常撮影領域(200)とを往来するプレゼンテータPを認識して自動追尾撮影する撮影領域切替ユニット(12)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレゼンテータとデジタル画像とを重ね合わせる画像処理を実行する撮影システムであって、
前記画像処理されるプレゼンテータを抽出するためのクロマキー背景部と、
前記クロマキー背景部が設置される特定撮影領域と、前記特定撮影領域に隣接しており前記クロマキー背景部が設置されないか、または一部のみに前記クロマキー背景部が設置される通常撮影領域と、を切り替えて撮影するカメラと、
を備え、
前記カメラは、前記特定撮影領域と前記通常撮影領域とを往来するプレゼンテータを認識して自動追尾撮影する撮影領域切替ユニットを有する、撮影システム。
【請求項2】
前記特定撮影領域と前記通常撮影領域との境界を明示する領域規定部をさらに備える請求項1に記載の撮影システム。
【請求項3】
前記特定撮影領域と前記通常撮影領域とは、平面視で、前記特定撮影領域が前記カメラに向かう方向と前記通常撮影領域が前記カメラに向かう方向とが交差するように、円弧状に隣接する、請求項1に記載の撮影システム。
【請求項4】
平面視で、前記特定撮影領域および前記通常撮影領域のそれぞれが前記カメラを基点としてなす角度は鋭角である、請求項1に記載の撮影システム。
【請求項5】
前記撮影領域切替ユニットは、前記カメラを鉛直軸に対して回転させることで、前記特定撮影領域と前記通常撮影領域の間で撮影領域を切り替える、請求項1に記載の撮影システム。
【請求項6】
前記通常撮影領域は、前記特定撮影領域の撮影方向の右側において前記特定撮影領域と隣接する第1通常撮影領域と、前記特定撮影領域の撮影方向の左側において前記特定撮影領域に隣接する第2通常撮影領域と、を含む請求項1に記載の撮影システム。
【請求項7】
前記カメラによって撮影された前記特定撮影領域に存在するプレゼンテータを抽出して、前記プレゼンテータと前記デジタル画像とを重ね合わせる画像処理を実行する画像処理装置をさらに備える、請求項1に記載の撮影システム。
【請求項8】
前記プレゼンテータに対して前記画像処理が実行された画面および/またはプレゼンテーション用の情報を表示するディスプレイをさらに備える請求項1に記載の撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を伴う撮影を行う撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレゼンテーション等の映像を配信することが行われている。このような映像は、撮影を行う撮影者、プレゼンテーションを行うプレゼンテータ、撮影画像の編集等を行う編集者等の複数によって行われることが通常である。また、効果的なプレゼンテーションにするために凝った映像とすることも多く、この場合、撮影場所も大掛かりな撮影スタジオとなることがあった。
【0003】
また、魅力的な映像コンテンツを作成するためには、様々な画像処理が必要となることも多い。例えば、特許文献1には、背景画像の奥行き情報と、合成対象画像の配置位置と、合成対象画像の眼数とを用いて立体画像を生成する立体画像生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-059113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映像コンテンツの撮影や作成を行う場合、魅力的な映像コンテンツとするためには、単にプレゼンテータを撮影するだけでは不十分であり、例えば、クロマキー背景で撮影されたプレゼンテータとデジタル画像との合成画像と、プレゼンテータによる実写画像とを組み合わせた映像コンテンツ等が必要となる場合も多い。このような凝った映像コンテンツの撮影を簡易に行うのは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に魅力的な映像コンテンツを撮影可能な撮影システム等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る撮影システムは、プレゼンテータとデジタル画像とを重ね合わせる画像処理を実行する撮影システムであって、前記画像処理されるプレゼンテータを抽出するためのクロマキー背景部と、前記クロマキー背景部が設置される特定撮影領域と、前記特定撮影領域に隣接しており前記クロマキー背景部が設置されないか、または一部のみに前記クロマキー背景部が設置される通常撮影領域と、を切り替えて撮影するカメラと、を備え、前記カメラは、前記特定撮影領域と前記通常撮影領域とを往来するプレゼンテータを認識して自動追尾撮影する撮影領域切替ユニットを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、撮影を行う場合に、特定撮影領域における撮影と通常撮影領域における撮影とを負担なく行うことができる。よって、撮影者は、異なる撮影領域で撮影される映像を含むような映像コンテンツであっても容易に作成することができ、魅力的な映像コンテンツを容易に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る撮影システムの全体概要図である。
図2】撮影システムに含まれるカメラの要部構成を示す機能ブロック図である。
図3】平面視で、撮影システムを示す図である。
図4】領域規定部として、フロアテープを設けた例を示す図である。
図5】領域規定部として、フロアマットを設けた例を示す図である。
図6】平面視で、撮影システムを示す見た図である。
図7】通常撮影領域の別の例を示す図である。
図8】特定撮影領域と通常撮影領域との隣接関係の別の例を示す図である。
図9】ディスプレイの配置例を示す図である。
図10】ディスプレイの別の配置例を示す図である
図11】ディスプレイの別の配置例を示す図である
図12】映像コンテンツの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る撮影システム1は、本実施形態において特定撮影領域と呼ぶクロマキー背景部を備えた撮影領域と、通常撮影領域と呼ぶクロマキー背景部を備えない撮影領域との複数種類の撮影領域における撮影を容易に行うことができるものである。まず、図1図3を参照して撮影システム1の全体概要について説明する。
【0011】
図1は、撮影システム1の全体概要を示す図である。図1に示すように、撮影システム1は、クロマキー背景部101が設置されている特定撮影領域100と、クロマキー背景部101が設置されていない通常撮影領域200とを、切り替えて撮影するカメラ10、カメラ10によって撮影された画像の処理を行う画像処理装置20、および、プレゼンテータPに対し情報を提示するディスプレイ30を含む。
【0012】
撮影システム1は、プレゼンテータPが特定撮影領域100および通常撮影領域200を行き来しながらカメラ10により撮影を行うことができるものである。これにより、特定撮影領域100で撮影した画像と通常撮影領域200で撮影した画像とを用いた映像コンテンツを作成することが可能となる。
【0013】
特定撮影領域100にはクロマキー背景部101が設置されているので、特定撮影領域100で撮影を行う場合、背景に別画像を合成した映像コンテンツを生成することが可能となる。
【0014】
また、通常撮影領域200には、クロマキー背景部101は設置されておらず、通常の背景なので、通常撮影領域200で撮影を行う場合、実写を用いた映像コンテンツを生成することができる。なお、図1に示す例では、通常撮影領域200にホワイトボード210が配置されている。この場合、プレゼンテータPがホワイトボード210を用いて行ったプレゼンテーションをそのまま映像コンテンツとすることができる。なお、通常撮影領域200の一部にクロマキー背景部101が設置されている構成であってもよい。
【0015】
図2は、カメラ10の機能ブロック図である。図2に示すように、カメラ10は、撮像部11および撮影領域切替ユニット12を含む。なお、撮影領域切替ユニット12を、カメラ10に含めるのはなく、カメラ10の外部に配置してもよい。
【0016】
撮像部11は、レンズおよび撮像素子から構成され、特定撮影領域100または通常撮影領域200を撮影する。
【0017】
撮影領域切替ユニット12は、プレゼンテータPを認識し、自動追尾してプレゼンテータPの方向に撮像部11の撮像方向を調整する。プレゼンテータPを自動追尾して撮像することにより、プレゼンテータPが特定撮影領域100に存在しても、通常撮影領域200に存在しても、自動的にプレゼンテータPの存在する撮影領域を撮影することができる。なお、プレゼンテータPを自動追尾する機能は公知の技術を用いて可能であるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
【0018】
また、撮影領域切替ユニット12をカメラ10の外部に設ける場合、例えば、三脚の上にカメラ10を設置し、三脚とカメラ10との間に設けた雲台に撮影領域切替ユニット12を備える構成であってもよい。この場合、撮影領域切替ユニット12は、カメラ10がプレゼンテータPを認識したときに、雲台の軸を回転させてプレゼンテータPを追尾するものであってよい。
【0019】
また、雲台自体に撮影領域切替ユニット12を備えるのではなく、雲台に、「50°右回転」「30°左回転」等の回転命令を送信する撮影領域切替ユニット12を外部接続する構成であってもよい。
【0020】
画像処理装置20は、カメラ10によって撮影された画像を処理する。例えば、画像処理装置20は、カメラ10によって撮影された特定撮影領域100に存在するプレゼンテータPを抽出して、プレゼンテータPと所定のデジタル画像とを重ね合わせる画像処理を実行する。
【0021】
ディスプレイ30は、各種情報を表示する表示装置である。例えば、ディスプレイ30は、プレゼンテータPに対して画像処理装置20により画像処理が実行された画面を表示してもよい。また、プレゼンテーション用の情報を表示してもよい。さらには、これらの両方を表示してもよい。また、ディスプレイ30は1台に限られるものではなく、2台以上あってもよい。また、撮影システム1において、ディスプレイ30は必須ではなく、含まれていなくてもよい。
【0022】
図3は、撮影システム1を平面視、すなわち、鉛直方向の真上から見た図である。平面視で明らかなように、撮影システム1では、特定撮影領域100と通常撮影領域200とは隣接しており、プレゼンテータPは2つの撮影領域を容易に行き来することができる。
【0023】
また、撮影領域切替ユニット12は、カメラ10を鉛直軸AXに対して回転させて、撮影方向を切り替えることにより、特定撮影領域100と通常撮影領域200との間で撮影領域を切り替える。
【0024】
以上のように、本実施形態に係る撮影システム1は、プレゼンテータPとデジタル画像とを重ね合わせる画像処理を実行する撮影システム1である。そして、撮影システム1は、画像処理されるプレゼンテータPを抽出するためのクロマキー背景部101と、クロマキー背景部101が設置される特定撮影領域100と、特定撮影領域100に隣接しておりクロマキー背景部101が設置されないか、または一部のみに前記クロマキー背景部が設置される通常撮影領域200とを切り替えて撮影するカメラ10とを備える。カメラ10は、特定撮影領域100と通常撮影領域200とを往来するプレゼンテータPを認識して自動追尾撮影する撮影領域切替ユニット12を有する。
【0025】
これにより、カメラ10は、プレゼンテータPを自動追尾するので、プレゼンテータPが特定撮影領域100に存在する場合、特定撮影領域100を撮影し、プレゼンテータPが通常撮影領域200に存在する場合、通常撮影領域200を撮影する。そして、この撮影領域の切り替えを自動的に行う。これにより、撮影を行う場合に、特定撮影領域100における撮影と通常撮影領域200における撮影とを負担なく行うことができる。
【0026】
例えば、クロマキー背景で撮影されたプレゼンテータPとデジタル画像との合成画像と、プレゼンテータPによる実写画像とを組み合わせた映像コンテンツを撮影する場合、プレゼンテータPは特定撮影領域100と通常撮影領域200とを行き来する必要がある。この行き来のたびにカメラの撮影方向の設定等、様々な調整を行うのは容易ではない。
特に、プレゼンテータPが演者と撮影者とを兼ねて一人で全てを行う場合、これらの調整は困難である。
【0027】
特に、昨今のコロナ禍においては、複数人による外部での撮影が難しくなることも多くなってきている。しかも、一人で魅力的な映像コンテンツを作成することは容易ではない。
【0028】
本実施形態によれば、特定撮影領域100と通常撮影領域200との切り替えをプレゼンテータPに追従して自動的に行うので、一人であっても、プレゼンテータPが、特定撮影領域100と通常撮影領域200とを行き来しながら、これら2つの撮影領域における撮影を負担なく行うことができる。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、異なる撮影領域で撮影される映像を含むような映像コンテンツであっても一人で容易に作成することができ、魅力的な映像コンテンツを容易に撮影することができる。
【0030】
〔領域規定部300〕
また、撮影システム1には、特定撮影領域100と通常撮影領域200との境界を明示する領域規定部300が含まれていてもよい。領域規定部300の例を、図4および図5に示す。
【0031】
図4は、領域規定部300として、フロアテープ301を設けた例を示す。図4に示す例では、特定撮影領域100と通常撮影領域200との境界、特定撮影領域100の通常撮影領域200とは反対側の境界、通常撮影領域200の特定撮影領域100とは反対側の境界にフロアテープ301が貼付されている。これにより、プレゼンテータPは、特定撮影領域100および通常撮影領域200の領域を明確に認識することができ、自身が特定撮影領域100にいるのか、または通常撮影領域200にいるのかを容易に認識することができる。なお、フロアテープ301は、特定撮影領域100と通常撮影領域200との境界のみに貼付されるものであってもよい。
【0032】
図5は、領域規定部300として、フロアマット302を設けた例を示す。図5に示す例では、特定撮影領域100および通常撮影領域200のそれぞれにフロアマット302が敷かれている。それぞれの撮影領域にフロアマット302を敷くことにより、プレゼンテータPは、特定撮影領域100および通常撮影領域200の領域を明確に認識することができ、自身が特定撮影領域100にいるのか、または通常撮影領域200にいるのかを容易に認識することができる。
【0033】
図6は、図4と同様に、平面視で、撮影システム1を示した図である。図6に示すように、特定撮影領域100と通常撮影領域200とは、平面視で、特定撮影領域100がカメラ10に向かう方向DSと通常撮影領域200がカメラ10に向かう方向DNとが交差するように、円弧状に隣接している。ここで、特定撮影領域100がカメラ10に向かう方向DSとは、特定撮影領域100の略中央の位置からカメラ10に向かう方向である。また、通常撮影領域200がカメラ10に向かう方向DNとは通常撮影領域200の略中央の位置からカメラ10に向かう方向である。
【0034】
特定撮影領域100と通常撮影領域200とが円弧状に隣接することにより、カメラ10を鉛直方向の軸を中心として回転させるのみで、特定撮影領域100の撮影と通常撮影領域200の撮影とを切り替えることができる。また、特定撮影領域100と通常撮影領域200とを円弧状で隣接させることにより、直線状に隣接させる場合と比較して、撮影領域全体のスペースをコンパクトにすることができる。
【0035】
また、図6に示すように、平面視で、特定撮影領域100および通常撮影領域200のそれぞれがカメラ10カメラを基点としてなす角度θは鋭角である。ここで、特定撮影領域100および通常撮影領域200のそれぞれがカメラ10を基点としてなす角度とは、特定撮影領域100がカメラ10に向かう方向DSと通常撮影領域200がカメラ10に向かう方向DNとがなす角度である。
【0036】
〔変形例1〕
上述した実施形態では、特定撮影領域100と通常撮影領域200とが円弧状に隣接している例を挙げて説明した。本実施形態はこれに限られるものではない。例えば、図7に示すように、特定撮影領域100の両側に通常撮影領域200が設けられるものであってもよい。
【0037】
すなわち、通常撮影領域200は、特定撮影領域100の撮影方向の右側において特定撮影領域100と隣接する第1通常撮影領域201と、特定撮影領域100の撮影方向の左側において特定撮影領域100に隣接する第2通常撮影領域202とを含んでよい。通常撮影領域200を特定撮影領域100の両隣とすることにより、通常撮影領域200における撮影のバリエーションを増やすことができる。図7に示す例では、第1通常撮影領域201にホワイトボード210が配置され、第2通常撮影領域202にテーブル220が配置されている。そして、テーブル220には商品230が載置されている。これにより、商品230の実物を説明するときは第2通常撮影領域202で撮影し、ホワイトボード210を用いたプレゼンテーションを行うときは第1通常撮影領域201で撮影することにより、様々なプレゼンテーションの映像コンテンツを生成することができる。
【0038】
〔変形例2〕
また、特定撮影領域100と通常撮影領域200とは直線状に隣接するものであってもよい。図8に、特定撮影領域100と通常撮影領域200とが直線状に隣接する例を示す。
【0039】
特定撮影領域100と通常撮影領域200とが直線状に隣接している場合、例えば、2つの撮影領域に跨るレールRを設け、カメラ10を、レールR上を移動させることにより、特定撮影領域100と通常撮影領域200とを切り替えることができる。
【0040】
〔ディスプレイ30の配置例〕
図9は、ディスプレイ30の配置例を示す。図9の901に示すように、ディスプレイ30は1台、配置されるものであってもよいし、図9の902に示すように、ディスプレイ30が2台、配置されるものであってもよい。2台、配置される場合、一方のディスプレイ30に画像処理装置20により画像処理が実行された画面を表示し、他方のディスプレイ30にプレゼンテーション用の情報を表示するものであってもよい。
【0041】
なお、ディスプレイ30の配置は上記に限られるものではない。例えば、図10の1001に示すように、プレゼンテータPとカメラ10との間にハーフミラーMを配置し、ディスプレイ30を側面に配置して、ディスプレイ30の画面をハーフミラーMに映し、これをプレゼンテータPが確認できる構成であってもよい。図10の1002に、1001に示すようにハーフミラーMを設置した場合に、プレゼンテータPからカメラ10を見た状態を示す。図10の1002に示すように、プレゼンテータPはカメラ目線でハーフミラーMを確認することができる。よって、ハーフミラーMには、ディスプレイ30の表示内容が映されているので、プレゼンテータPはカメラ目線のまま、ディスプレイ30の表示内容を認識することができる。
【0042】
また、図11に示すように、カメラ取付金具により、カメラ10をディスプレイ30の前面、換言すれば、ディスプレイ30にカメラ10がかぶるように、ディスプレイ30が配置されるものであってもよい。この場合、ディスプレイ30の画面は、カメラ10によって若干、塞がれることにはなるが、プレゼンテータPは、カメラ目線でディスプレイ30の表示内容を確認することができる。
【0043】
〔映像コンテンツ例〕
図12に、本実施形態に係る撮影システム1により撮影された映像コンテンツの例を示す。上述したように、撮影システム1では、クロマキー背景部101が配置された特定撮影領域100と、クロマキー背景部101が配置されていない通常撮影領域200とを切り替えて撮影を行うことができる。これにより、特定撮影領域100で撮影された画像については、画像処理装置20により、図12の1201に示すようにプレゼンテータPの背景にデジタル画像が合成された映像コンテンツを生成することができる。一方、通常撮影領域200で撮影された画像については、図12の1202に示すように実際の背景とプレゼンテータPとの映像コンテンツを生成することができる。
【0044】
そして、撮影システム1によれば、この映像コンテンツ1201、1202を組み合わせた映像コンテンツを容易に生成することができる。
【0045】
〔SDGsへの貢献〕
本実施形態に係る撮影システム1によれば、一人で容易に魅力的な映像コンテンツを生成することができる。これは、コロナ禍においても、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、経済の発展に寄与するものであり、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標8「経済成長と雇用」等の達成にも貢献するものである。
【0046】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る撮影システムは、プレゼンテータとデジタル画像とを重ね合わせる画像処理を実行する撮影システムであって、前記画像処理されるプレゼンテータを抽出するためのクロマキー背景部と、前記クロマキー背景部が設置される特定撮影領域と、前記特定撮影領域に隣接しており前記クロマキー背景部が設置されないか、または一部のみに前記クロマキー背景部が設置される通常撮影領域と、を切り替えて撮影するカメラと、を備え、前記カメラは、前記特定撮影領域と前記通常撮影領域とを往来するプレゼンテータを認識して自動追尾撮影する撮影領域切替ユニットを有する。
【0047】
前記の構成によれば、カメラは、プレゼンテータを自動追尾するので、プレゼンテータが特定撮影領域に存在する場合、特定撮影領域を撮影し、プレゼンターが通常撮影領域に存在する場合、通常撮影領域を撮影する。そして、この撮影領域の切り替えを自動的に行う。これにより、撮影を行う場合に、特定撮影領域における撮影と通常撮影領域における撮影とを負担なく行うことができる。
【0048】
例えば、クロマキー背景で撮影されたプレゼンテータとデジタル画像との合成画像と、プレゼンテータによる実写画像とを組み合わせた映像コンテンツを撮影する場合、プレゼンテータは特定撮影領域と通常撮影領域とを行き来する必要がある。この行き来のたびにカメラの撮影方向の設定等、様々な調整を行うのは容易ではない。前記の構成によれば、特定撮影領域と通常撮影領域との切り替えをプレゼンテータに追従して自動的に行うので、プレゼンテータが、特定撮影領域と通常撮影領域とを行き来しながら、これら2つの撮影領域における撮影を負担なく行うことができる。
【0049】
よって、撮影者は、異なる撮影領域で撮影される映像を含むような映像コンテンツであっても容易に作成することができ、魅力的な映像コンテンツを容易に撮影することができる。
【0050】
本発明の態様2に係る撮影システムは、前記態様1において、前記特定撮影領域と前記通常撮影領域との境界を明示する領域規定部をさらに備える。
【0051】
撮影時にプレゼンテータが、自身の位置について不明確になる可能性がある。前記の構成によれば、プレゼンテータは、自身の位置が特定撮影領域であるのか、または通常撮影領域であるのかを明確に認識することができる。領域規定部としては、例えば、フロアテープ、フロアマット等を挙げることができる。
【0052】
本発明の態様3に係る撮影システムは、前記態様1または2において、前記特定撮影領域と前記通常撮影領域とは、平面視で、前記特定撮影領域が前記カメラに向かう方向と前記通常撮影領域が前記カメラに向かう方向とが交差するように、円弧状に隣接する。
【0053】
前記の構成によれば、特定撮影領域と通常撮影領域とが円弧状で隣接しているので、カメラを鉛直方向の軸を中心として回転させるのみで、特定撮影領域の撮影と通常撮影領域の撮影とを切り替えることができる。
【0054】
また、特定撮影領域と通常撮影領域とが円弧状で隣接させることにより、直線状に隣接させる場合と比較して、撮影領域全体のスペースをコンパクトにすることができる。
【0055】
本発明の態様4に係る撮影システムは、前記態様1~3の何れかにおいて、平面視で、前記特定撮影領域および前記通常撮影領域のそれぞれが前記カメラを基点としてなす角度は鋭角である。
【0056】
前記の構成によれば、特定撮影領域と通常撮影領域との移動を容易に行うことができる。
【0057】
本発明の態様5に係る撮影システムは、前記態様1~4の何れかにおいて、前記撮影領域切替ユニットは、前記カメラを鉛直軸に対して回転させることで、前記特定撮影領域と前記通常撮影領域の間で撮影領域を切り替える。
【0058】
前記の構成によれば、簡易な構成でカメラの撮影方向を切り替えることができる。
【0059】
本発明の態様6に係る撮影システムは、前記態様1~5の何れかにおいて、前記通常撮影領域は、前記特定撮影領域の撮影方向の右側において前記特定撮影領域と隣接する第1通常撮影領域と、前記特定撮影領域の撮影方向の左側において前記特定撮影領域に隣接する第2通常撮影領域と、を含む。
【0060】
前記の構成によれば、特定撮影領域の両隣に通常撮影領域を設けることができる。
【0061】
本発明の態様7に係る撮影システムは、前記態様1~6の何れかにおいて、前記カメラによって撮影された前記特定撮影領域に存在するプレゼンテータを抽出して、前記プレゼンテータと前記デジタル画像とを重ね合わせる画像処理を実行する画像処理装置をさらに備える。
【0062】
前記の構成によれば、特定撮影領域で撮影した画像をデジタル画像と重ね合わせた画像とすることができる。
【0063】
本発明の態様8に係る撮影システムは、前記態様1~7の何れかにおいて、前記プレゼンテータに対して前記画像処理が実行された画面および/またはプレゼンテーション用の情報を表示するディスプレイをさらに備える。
【0064】
前記の構成によれば、プレゼンテータに対し、画像処理が実行された撮影画像および/またはプレゼンテーションに必要な情報を、撮影中にプレゼンテータに認識させることができる。
【0065】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 撮影システム
10 カメラ
11 撮像部
12 撮影領域切替ユニット
20 画像処理装置
30 ディスプレイ
100 特定撮影領域
101 クロマキー背景部
200 通常撮影領域
201 第1通常撮影領域
202 第2通常撮影領域
300 領域規定部
P プレゼンテータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12