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  • 特開-伸縮性積層体及び伸縮性デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092752
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】伸縮性積層体及び伸縮性デバイス
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/20 20180101AFI20240701BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240701BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
C09J7/20
C09J201/00
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208891
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 亜樹子
(72)【発明者】
【氏名】古田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】水野 瑞穂
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AH06B
4F100AK03C
4F100AK12A
4F100AK15C
4F100AK25C
4F100AK33A
4F100AK41C
4F100AK51A
4F100AK51C
4F100AK52C
4F100AL02A
4F100AN02C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB00B
4F100CB05A
4F100EJ54
4F100EJ55
4F100GB32
4F100GB48
4F100JA04
4F100JK06
4F100JK08C
4F100JL11B
4F100JL13A
4F100YY00A
4J004AB01
4J004CA01
4J004CC03
4J040GA11
4J040GA13
4J040GA20
4J040GA25
4J040GA29
4J040GA31
4J040NA16
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】大きな変形が可能であり、被着体の変形への追従性及び密着性と、被着体の表面形状への追従性及び密着性とを両立した伸縮性積層体及び伸縮性デバイスを提供する。
【解決手段】粘着剤層と、分子接着剤層と、伸縮性基材とをこの順に備えた、伸縮性積層体、及び該伸縮性積層体と、センサとを備える、伸縮性デバイス。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層と、分子接着剤層と、伸縮性基材とをこの順に備えた、伸縮性積層体。
【請求項2】
前記粘着剤層の厚みが150μm以上である、請求項1に記載の伸縮性積層体。
【請求項3】
前記伸縮性積層体を23℃においてせん断方向に100%伸長時に、層間剥離が生じない、請求項1又は2に記載の伸縮性積層体。
【請求項4】
前記伸縮性基材は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びシリコーンゴムから選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項1又は2に記載の伸縮性積層体。
【請求項5】
前記分子接着剤層を形成する分子接着剤は、反応性基Aと、反応性基Bとを有する化合物を含有し、
前記反応性基Aがアミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも1種であり、
前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種である、
請求項1又は2に記載の伸縮性積層体。
【請求項6】
前記反応性基Aがアジド基であり、
前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の伸縮性積層体。
【請求項7】
前記分子接着剤が含有する前記化合物は、トリアジン環をさらに有し、
前記反応性基Aがアジド基であり、前記アジド基は前記トリアジン環に結合している、請求項5に記載の伸縮性積層体。
【請求項8】
前記伸縮性基材が、センサ機能を有する、請求項1又は2に記載の伸縮性積層体。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の伸縮性積層体と、センサとを備える、伸縮性デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性積層体及び伸縮性デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性を有する基材に粘着剤層を設けた積層体は、家電製品から自動車、OA機器等の各種産業分野において、典型的には粘着剤層を含む粘着シートの形態で、部品の接合や表面保護等の目的で広く利用されている。
近年では、分子接着剤を用いた、強固な接合が得られる接着層について、種々の研究がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、粘着性樹脂を含む粘着剤層上に、特定の反応性基を有する分子接着剤を含む分子接着剤層が積層された接着シートであって、粘着性樹脂は分子接着剤の反応性基と化学結合を形成し得る反応性部分構造を有する接着シートが開示されている。
特許文献2には、樹脂層、分子接着剤層、及び保護フィルムを有し、被着体との接着性に優れる接着シート、及びこの接着シートを用いる積層体の製造方法が開示されている。
【0004】
また、伸縮性を有する材料を強接着するために分子接着剤を用いた技術が検討されている。
例えば、特許文献3には、圧縮・伸長し得るシリコーンゴム等のエラストマーから成るシートと、基板とを分子接着剤を用いて接合する技術が記載されている。
特許文献4には、弾性基材と電極との接着力を高め、弾性基材と電極との剥離を抑制するために、弾性基材と電極の間にトリアジン系化合物を含む接着層を用いることが記載されている。
特許文献5には、ベース基板と電極との接着力を高め、ベース基板に電極を固着させるために、ベース基板と電極の間にトリアジン系化合物を含む接着層を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6452919号公報
【特許文献2】特許第6452918号公報
【特許文献3】特開2017-1119号公報
【特許文献4】国際公開第2020/195460号
【特許文献5】国際公開第2021/205748号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
伸縮性を有する基材に粘着剤層を設けた積層体は、用途の多様性を鑑み、従来のものよりも、より大きな変形が可能なものが求められている。
また、従来の技術においては、伸縮性の高い基材に粘着剤層を設けた積層体と、被着体とを接合した場合には、被着体が変形した際に基材と粘着剤層とに剥がれが生じる場合があり、被着体の変形への追従性及び密着性が十分ではなかった。また、被着体の表面に凹凸がある場合には、被着体の表面形状への追従性及び密着性も必要となる。
【0007】
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであり、大きな変形が可能であり、被着体の変形への追従性及び密着性と、被着体の表面形状への追従性及び密着性とを両立した伸縮性積層体及び伸縮性デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、粘着剤層と、分子接着剤層と、伸縮性基材とをこの順に備えた、伸縮性積層体により、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕
粘着剤層と、分子接着剤層と、伸縮性基材とをこの順に備えた、伸縮性積層体。
〔2〕
前記粘着剤層の厚みが150μm以上である、〔1〕に記載の伸縮性積層体。
〔3〕
前記伸縮性積層体を23℃においてせん断方向に100%伸長時に、層間剥離が生じない、〔1〕又は〔2〕に記載の伸縮性積層体。
〔4〕
前記伸縮性基材は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びシリコーンゴムから選択される少なくとも1種の材料を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の伸縮性積層体。
〔5〕
前記分子接着剤層を形成する分子接着剤は、反応性基Aと、反応性基Bとを有する化合物を含有し、
前記反応性基Aがアミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基、及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも1種であり、
前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種である、
〔1〕又は〔2〕に記載の伸縮性積層体。
〔6〕
前記反応性基Aがアジド基であり、
前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種である、〔5〕に記載の伸縮性積層体。
〔7〕
前記分子接着剤が含有する前記化合物は、トリアジン環をさらに有し、
前記反応性基Aがアジド基であり、前記アジド基は前記トリアジン環に結合している、〔5〕に記載の伸縮性積層体。
〔8〕
前記伸縮性基材が、センサ機能を有する、〔1〕又は〔2〕に記載の伸縮性積層体。
〔9〕
〔1〕又は〔2〕に記載の伸縮性積層体と、センサとを備える、伸縮性デバイス。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、大きな変形が可能であり、被着体の変形への追従性及び密着性と、被着体の表面形状への追従性及び密着性とを両立した伸縮性積層体及び伸縮性デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る伸縮性積層体を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の装置等のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
【0014】
この明細書において「スチレン系ブロック共重合体」とは、少なくとも一つのスチレンブロックを有するポリマーを意味する。上記スチレンブロックとは、スチレンを主モノマーとするセグメントを指す。実質的にスチレンのみからなるセグメントは、ここでいうスチレンブロックの典型例である。また、「スチレンイソプレンブロック共重合体」とは、少なくとも一つのスチレンブロックと、少なくとも一つのイソプレンブロック(イソプレンを主モノマーとするセグメント)とを有するポリマーをいう。スチレンイソプレンブロック共重合体の代表例として、イソプレンブロック(ソフトセグメント)の両端にそれぞれスチレンブロック(ハードセグメント)を有するトリブロック構造の共重合体(トリブロック体)、一つのイソプレンブロックと一つのスチレンブロックとからなるジブロック構造の共重合体(ジブロック体)等が挙げられる。「スチレンブタジエンブロック共重合体」とは、少なくとも一つのスチレンブロックと、少なくとも一つのブタジエンブロック(ブタジエンを主モノマーとするセグメント)とを有するポリマーをいう。
【0015】
この明細書において、スチレン系ブロック共重合体の「スチレン含有量」とは、当該ブロック共重合体の全体質量に占めるスチレン成分の質量割合をいう。上記スチレン含有量は、NMR(核磁器共鳴スペクトル法)により測定することができる。
また、スチレン系ブロック共重合体に占めるジブロック体の割合(以下「ジブロック体比率」または「ジブロック比」ということがある。)は、次の方法により求められる。すなわち、スチレン系ブロック共重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、東ソー(株)製GS5000HおよびG4000Hの液体クロマトグラフ用カラムをそれぞれ2段ずつ計4段を直列につなぎ、移動相にTHFを用いて、温度40℃、流量1mL/分の条件下で高速液体クロマトグラフィを行う。得られたチャートからジブロック体に対応するピーク面積を測定する。そして、全体のピーク面積に対する前記ジブロック体に対応するピーク面積の百分率を算出することにより、ジブロック体比率が求められる。
【0016】
この明細書において「アクリル系ポリマー」とは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位をポリマー構造中に含む重合物をいい、典型的にはアクリル系モノマーに由来するモノマー単位を50重量%超の割合で含む重合物をいう。また、この明細書においてアクリル系モノマーとは、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーをいう。ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を包括的に指す意味である。したがって、ここでいうアクリル系モノマーの概念には、アクリロイル基を有するモノマー(アクリル系モノマー)とメタクリロイル基を有するモノマー(メタクリル系モノマー)との両方が包含され得る。同様に、この明細書において「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸およびメタクリル酸を、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、それぞれ包括的に指す意味である。
【0017】
<伸縮性積層体>
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、粘着剤層と、分子接着剤層と、伸縮性基材とをこの順に備える。
【0018】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、基材が伸縮性を有するため、大きな変形が可能である。また、伸縮性基材と粘着剤層とが分子接着剤層を介して接合されているため、被着体の変形への追従性及び密着性と、被着体の表面形状への追従性及び密着性とを両立した伸縮性積層体とすることができる。
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は伸縮性を有する被着体(伸縮性被着体)や、凹凸を有する被着体への適用に好適である。
【0019】
図1に本発明の実施形態に係る伸縮性積層体400を示す。図1に示す伸縮性積層体400は粘着剤層40と、分子接着剤層10と、伸縮性基材30とをこの順に備える。
【0020】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、伸縮性積層体を23℃においてせん断方向に100%伸長時に、層間剥離が生じないことが好ましく、500%伸長時に、層間剥離が生じないことがより好ましい。
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、基材が伸縮性を有し、伸縮性基材と粘着剤層とが分子接着剤層を介して接合されているため、分子接着剤が有する反応性基Aおよび反応性基Bを介意して、伸縮性基材と粘着剤層の両方と強固な共有結合を形成することとなり、上記の条件における伸長時に層間剥離の発生を防ぐことができる。
【0021】
分子接着は、分子による化学結合に起因する接着である。そのため、基材や被着体の大きな変形に対して、分子接着剤層は追従した変形や応力緩和がし難い。これに対して、本発明の伸縮性積層体は、分子接着剤層が伸縮性基材と粘着剤層の間にあるため、例えば、粘着剤層を有さない構成と比べて、基材や被着体の大きな変形に対して、粘着剤層が大きく変形して追従することができる。すなわち、基材や被着体の大きな変形に対して、分子接着剤層にかかる変形量や応力を緩和することができる。
【0022】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体の伸長時における層間剥離の発生の有無は実施例に記載の方法により確認できる。
【0023】
〔伸縮性基材〕
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体が備える伸縮性基材としては、伸縮性を有する基材であれば特に限定はなく、シート状の基材(シート基材)であってもよく、フィルム状であってもよく、発泡体であってもよい。伸縮性基材としては、例えば、フィルム、織布、不織布等を使用することができる。なかでも、フィルムが好ましい。
【0024】
フィルムは、非発泡のフィルムであってもよく、発泡体フィルムであってもよい。
【0025】
本明細書において「フィルム」は、実質的に非多孔質のフィルムであって、いわゆる不織布や織布とは区別される概念(すなわち、不織布や織布を除く概念)である。また、非発泡のフィルムとは、発泡体とするための意図的な処理を行っていない樹脂フィルムを指す。非発泡のフィルムは、具体的には、発泡倍率が凡そ1.1倍未満(例えば1.05倍未満、典型的には1.01倍未満)の樹脂フィルムであり得る。非発泡のフィルムには、例えば、軟質ポリオレフィン、軟質ポリウレタン、軟質ポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル等と称される軟質樹脂フィルムが包含される。
【0026】
フィルムを構成する材料としては、例えば、アクリル系共重合体等のアクリル系樹脂;エーテル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタン等のポリウレタン系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;軟質ポリ塩化ビニル等のポリ塩化ビニル系樹脂(PVC);シリコーンゴム等のゴム類;オレフィン系アイオノマー樹脂等が挙げられる。
【0027】
より具体的には、上記ゴム類は、天然ゴム、1,4-シスブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ポリクロロプレン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリルニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素添加アクリルニトリル・ブタジエン共重合ゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン・プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、エチレンオキサイド-エピクロロヒドリン共重合体、クロロプレンゴム、塩素化アクリルゴム、臭素化アクリルゴム、フッ素ゴム(FKM)、エピクロロヒドリンゴム(CHR)、エピクロルヒドリンとその共重合ゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムテトラフロロエチレン、テフロン(登録商標)、ヘキサフロロプピレン、フッ化ビニリデンなどの二元、三元共重合体、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、シリコーン樹脂、シリコーンゴム(例えば、フッ素化シリコーンゴム、パーオキサイド型シリコーンゴム、付加型シリコーンゴム、縮合型シリコーンゴム)、エポキシゴム、ウレタンゴム及び両末端不飽和基エラストマー等であってもよい。
【0028】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばオレフィン系単量体及びシクロオレフィン系単量体由来の繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、シクロオレフィン(シクロペンテン、シクロオクテン、ノルボルネン系単量体等)α-オレフィン(エチレン、プロピレン等との共重合体)、ノルボルネン、シクロペンテン、シクロオクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
【0029】
アクリル系樹脂としては、例えば(メタ)アクリル系単量体の単独重合体、(メタ)アクリル系単量体の共重合体、(メタ)アクリル系単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な単量体としては、エチレン;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;等が挙げられる。
【0030】
ポリエステル系樹脂としては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合反応により得られるものが挙げられる。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、1、4-シクロヘキサンジカルボン酸、1、4-ナフタレンジカルボン酸、2、6-ナフタレンジカルボン酸、1、8-ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1、2-ヘキサンジオール、1、6-ヘキサンジオール、1、9-ノナンジオール、1、4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
【0031】
上記樹脂材料は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記樹脂材料には一般にゴムや熱可塑性エラストマーと称されるものが包含される。
【0032】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体において、伸縮性基材は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びシリコーンゴムから選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。
上記伸縮性基材を構成する材料のうち、特に、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、又はシリコーンゴムを使用することが好ましく、シリコーンゴムを使用することがより好ましい。
【0033】
伸縮性基材には、必要に応じて、フィラー(例えば、熱伝導性粒子、導電性繊維、補強用繊維等)、酸化防止剤、可塑剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、顔料や染料等の着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、界面活性剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0034】
(フィラー)
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体において、伸縮性基材は、フィラーを含むことが好ましく、フィラーは、熱伝導性および導電性の少なくとも一方の機能を有するフィラーであってもよい。以下、熱伝導性および導電性の少なくとも一方を指す意味で、「熱伝導性/導電性」という用語を用いることがある。熱伝導性/導電性フィラーを含有する基材を用いることにより、伸縮性基材に熱伝導性/導電性を付与し得る。
【0035】
熱伝導性フィラーとしては、伸縮性基材の熱伝導性を向上させ得るものを特に制限なく用いることができる。例えば、粒子状や繊維状のフィラーを用いることができる。フィラー(典型的には粒子状フィラー)の構成材料は、例えば、銅、銀、金、白金、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、ステンレス等の金属;酸化アルミニウム、酸化ケイ素(二酸化ケイ素)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化銅、酸化ニッケル等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、珪酸、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化バリウム、酸化ジルコニウム水和物、酸化スズ水和物、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、ドウソナイト、硼砂、ホウ酸亜鉛等の金属水酸化物および水和金属化合物;炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化窒素、炭化カルシウム等の炭化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ガリウム等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;チタン酸バリウム、チタン酸カリウム等のチタン酸塩;カーボンブラック、カーボンチューブ(カーボンナノチューブ)、カーボンファイバー、ダイヤモンド等の炭素系物質;ガラス;等の無機材料;等であり得る。あるいは、火山シラス、クレイ、砂等の天然原料粒子を用いてもよい。繊維状フィラーとしては、各種合成繊維材料や天然繊維材料を使用することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
導電性フィラーとしては、伸縮性基材の導電性を向上させ得るものを特に制限なく用いることができる。例えば、上述した熱伝導性フィラーのうち導電性を有する材料、例えば金属や炭素系物質を、導電性フィラーとして用いることができる。なかでも、銅、銀、金、白金、ニッケル、アルミニウム等の高導電性金属からなる導電性フィラーが好ましい。また、粒子状の導電性フィラーを好ましく使用し得る。
【0037】
このような熱伝導性/導電性フィラー(以下、単に「フィラー」と表記することもある。)の平均粒径は、取扱い性や分散性等の観点から、例えば0.5μm以上であってよく、1μm以上でもよく、3μm以上でもよく、5μm以上でもよい。また、伸縮性基材の表面平滑性等の観点から、フィラーの平均粒径は、通常は100μm以下であることが適当であり、例えば50μm以下であってよく、30μm以下でもよく、20μm以下でもよい。
基材全体におけるフィラーの配合量は、熱伝導性向上の観点から、重量基準で、例えば5重量%以上とすることができ、10重量%以上としてもよく、20重量%以上としてもよく、30重量%以上としてもよい。また、基材の強度や表面平滑性の観点から、基材全体におけるフィラーの配合量は、例えば60重量%以下であってよく、50重量%以下でもよく、40重量%以下でもよい。
【0038】
熱伝導性/導電性フィラーは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0039】
本発明の実施形態において、伸縮性基材はセンサ機能を有していてもよい。伸縮性基材は、熱伝導性/導電性フィラーを含有している場合に、伸縮性基材の変形による抵抗値の変化や静電容量値の変化を示し、伸縮性を測定し得るセンサー機能を発現することができる。
【0040】
なお、本発明の実施形態において、伸縮性基材の厚さは、所望の変形量を得る観点から、1μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、生産性の低下を抑制するには、5000μm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましく、400μm以下であることがよりさらに好ましく、300μm以下であることが特に好ましい。
すなわち、伸縮性基材の厚さは、1μm~5000μmであることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態において、伸縮性基材は、デュロメーター硬さ(タイプA)が、A1°~A50°であることが好ましく、A5°~A40°であることがより好ましく、A10°~A35°であることがより好ましい。デュロメーター硬さを上記の範囲にすることにより、適度な支持性、変形性、および強度とを備える利点がある。デュロメーター硬さはASTM D 2240に規定された測定方法により測定することができる。
【0042】
また、本実施形態において、伸縮性基材は、センサ機能を有していてもよい。センサ機能としては、例えば、所定の物理量を測定できる機能を挙げることができる。具体的な物理量としては、例えば、加速度、圧力を含む力、振動、熱、光、電気、化学、生化学などが挙げられる。
【0043】
伸縮性基材における分子接着剤層と接する表面は、必要に応じて、表面改質されていてもよい。
表面改質としては、例えば、コロナ処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理等によって水酸基を導入することが挙げられる。
【0044】
〔分子接着剤層〕
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体における分子接着剤層は、伸縮性基材と粘着剤層とを分子接着剤層を介して化学結合により接合する層である。
伸縮性基材と粘着剤層とを分子間力ではなく、分子接着剤層を介して化学結合により接合することにより、伸縮性基材と粘着剤層とが化学的に結合する。このため、伸縮性基材と粘着剤層とが異種の材料であったり、難接着材料であったり、せん断方向に100%あるいは500%伸長時であっても、接合強度に優れ、密着性の高い伸縮性積層体を形成することができる。
【0045】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体において、分子接着剤層は分子接着剤により形成することができる。
本発明の実施形態に係る分子接着剤層を形成する分子接着剤は、分子接着剤層を介して伸縮性基材と粘着剤層とを化学的に結合させるため、伸縮性基材と化学的に結合する反応性基、及び粘着剤層と化学的に結合する反応性基を有する化合物を含有することが好ましい。
すなわち、本発明の実施形態に係る分子接着剤層を形成する分子接着剤は、伸縮性基材と化学的に結合する反応性基、及び粘着剤層と化学的に結合する反応性基を有する化合物を含有することが好ましい。
【0046】
伸縮性基材と化学的に結合する反応性基は、伸縮性基材を構成する材料に応じて適宜選択することができる。また、粘着剤層と化学的に結合する反応性基は、粘着剤層を構成する材料に応じて適宜選択することができる。
【0047】
例えば、本発明の実施形態に係る伸縮性基材が、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーンゴム、およびカーボンから選択される少なくとも1種である場合、分子接着剤が含む化合物における、伸縮性基材と化学的に結合する反応性基としては、例えば、シラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基等が好ましい。伸縮性基材として表面にヒドロキシ基等の反応性基が存在する樹脂材料等を用いる場合は、洗浄処理又は表面処理をすることなく、分子接着剤層の反応性基と反応させることができる。ただし、後述するように基材の表面に対し表面処理等を実施すると、伸縮性基材表面のヒドロキシ基を増加させることができるため、分子接着剤が有する反応性基と反応しやすくなり、接合力をより一層向上させることができる。
【0048】
本発明の実施形態に係る分子接着剤は、例えば、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも1種の反応性基Aと、シラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基からなる群から選択された少なくとも1種の反応性基Bを有する化合物を含有することが好ましい。
すなわち、本発明の実施形態に係る分子接着剤は、反応性基Aと、反応性基Bとを有する化合物を含有し、前記反応性基Aがアミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも1種であり、前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、前記反応性基Aがアジド基であり、前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0049】
粘着剤層を構成する材料に含まれる化合物が、上記反応性基Aと強固に化学結合する部分構造を有していると、分子接着剤層と粘着剤層とが化学結合により強固に分子接合される。
また、伸縮性基材を構成する材料に含まれる化合物が、上記反応性基Bと強固に化学結合する部分構造を有していると、分子接着剤層と伸縮性基材とが化学結合により強固に分子接合される。
そして、積層体における伸縮性基材と粘着剤層とが分子接着剤層を介して化学結合により接合される。
【0050】
反応性基Bは、シラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種であり、例えば、下記一般式(S)で表される基であってもよい。
【0051】
-Si(R1S(OR2S3-n (S)
【0052】
一般式(S)中、R1Sは、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数1~20の炭化水素基を表す。R2Sは、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~10の鎖状の炭化水素基を表す。nは、0~2の整数を表す。
【0053】
一般式(S)中、R1Sで表される炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、アルキニル基、又はアリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基等のアルキニル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;等が挙げられる。
1Sはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表すことが好ましく、エチル基を表すことがより好ましい。
【0054】
一般式(S)中、R2Sで表される炭素数1~10の鎖状の炭化水素基としては、R1Sで表される炭素数1~20の炭化水素基のうち、炭素数が1~10の鎖状炭化水素基が挙げられる。
1Sは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表すことが好ましく、エチル基を表すことがより好ましい。
【0055】
一般式(S)中、nは、0~2の整数を表し、0であることが好ましい。
一般式(S)中にR1S又はR2Sが複数存在する場合、複数のR1S又はR2Sはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0056】
本発明の実施形態に係る接着剤組成物において、分子接着剤が含有する反応性基Aと反応性基Bとを有する化合物は、反応性基A及び反応性基Bをそれぞれ1以上有していればよい。一分子中の反応性基Aの数は1~4が好ましく、1又は2が好ましく、2がより好ましい。反応性基Bの数は、1又は2が好ましい。
【0057】
反応性基Aと反応性基Bとを有する化合物は、芳香環を有することが好ましい。芳香環は、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族ヘテロ環であってもよいが、芳香族ヘテロ環であることが好ましく、トリアジン環であることがより好ましい。
【0058】
上記反応性基Aと反応性基Bとを有する化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0059】
(R-L-(R (1)
【0060】
一般式(1)中、
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基Aを含む基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基Bを含む基を表す。
は、(x+y)価の連結基を表す。
x及びyは1以上の整数を表す。
【0061】
が含む反応性基(反応性基A)は、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、アミノ基及びアジド基からなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
【0062】
は、反応性基Aそのものであってもよく、連結基を介して反応性基Aを有する基であってもよい。
【0063】
例えば、反応性基Aがアミノ基である場合、Rは、下記一般式(a)で表される基であることが好ましい。
【0064】
【化1】
【0065】
一般式(a)中、*は、一般式(1)におけるLとの結合手を表す。
a1は、炭素数1~10の2価の炭化水素基を表す。
mは0又は1の整数を表す。
一般式(a)中にRa1が複数存在する場合、複数のRa1は同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
一般式(a)中、Ra1が表す炭素数1~10の2価の炭化水素基としては、炭素数2~6の2価の炭化水素基が好ましい。Ra1としては、例えば、炭素数1~10のアルキレン基、又はアリーレン基が挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基等のアリーレン基;が挙げられる。
【0067】
なお、本発明の実施形態において、一般式(1)中のRが含む反応性基はアミノ基であって、上述のベースポリマーが有する官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい態様の1つである。
【0068】
また、本発明の実施形態において、一般式(1)中のRが含む反応性基はアジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも一種であって、上述のベースポリマーが有する官能基は、-CH、-CH-、―CH<、及び-CH=CH-からなる群から選択される少なくとも一種であることが別の好ましい態様の1つである。
【0069】
は、上記一般式(a)で表される基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、一般式(a)で表される基及びアジド基からなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
【0070】
一般式(1)中のxが2以上の整数を表す場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0071】
が表す反応性基Bを含む基における反応性基Bは上述のとおりであり、好ましい例も同様である。
は、反応性基Bそのものであってもよく、連結基Lを介して反応性基Bを有する基であってもよい。該連結基Lとしては、後述の一般式(2)におけるLと同様であり、好ましい例も同様である。
【0072】
が表す(x+y)価の連結基としては、炭素数1~20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基が挙げられる。なかでも、芳香環を含む基であることが好ましい。
芳香環は、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族ヘテロ環であってもよいが、芳香族ヘテロ環であることが好ましく、トリアジン環であることがより好ましい。すなわち、Lはトリアジン環を含む基であることが好ましい。
【0073】
トリアジン環を含む基としては、例えば、下記一般式(T1)~(T3)のいずれかで表される基が好ましく挙げられる。
【0074】
【化2】
【0075】
一般式(T1)~(T3)中、*は、一般式(1)中のRとの結合手を表し、**は、一般式(1)中のRとの結合手を表す。
は、単結合、又は、-N(RT2)-で表される2価の基を表す。RT2は、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。
【0076】
T2が表す炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基等のアルキニル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;等が挙げられる。
は、-NH-を表すことが好ましい。
【0077】
一般式(1)中、x及びyは1以上の整数を表す。
xは、1~4が好ましく、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
yは、1又は2が好ましい。
【0078】
一般式(1)中のxが2以上の整数を表す場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(1)中のyが2以上の整数を表す場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0079】
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0080】
(R-L-[L-Si-(R(OR3-n (2)
(一般式(2)中、
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基Aを含む基を表す。
は、(x+y)価の連結基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
nは0~2の整数を表す。
x及びyは1以上の整数を表す。)
【0081】
一般式(2)中のR、L、x及びyは、一般式(1)中のR、L、x及びyと同義であり、好ましい例も同様である。
【0082】
は、2価の連結基又は単結合を表す。
が表す2価の連結基としては、-N(RT2)-、炭化水素基、またはこれらを組み合わせた2価の基を挙げることができる。炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~20の2価の炭化水素基が挙げられ、炭素数が1~12の鎖状の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数が1~10の鎖状の2価の炭化水素基であることがより好ましい。中でも炭素数が1~6の直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられ、プロピレン基が好ましい。
【0083】
及びRが表す炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基を表すことが好ましい。
【0084】
なお、一般式(1)中のRが含む反応性基が、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である場合には、Rは、水素原子を表してもよい。
【0085】
nは0~2の整数を表し、nは0であることが好ましい。
【0086】
x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。
xは、1~4が好ましく、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
yは、1又は2が好ましい。
【0087】
以下に、反応性基Aと反応性基Bを有する化合物を例示するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0088】
【化3】
【0089】
【化4】
【0090】
【化5】
【0091】
【化6】
【0092】
【化7】
【0093】
【化8】
【0094】
【化9】
【0095】
【化10】
【0096】
一般式(1)で表される化合物としては、中でも、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-6-(3-トリヒドロキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又は6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジドの化合物が好ましい。
【0097】
分子接着剤層を形成する分子接着剤において、反応性基Aと反応性基Bとを有する化合物は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0098】
分子接着剤は、分子接合化合物を含有し、分子接合化合物(好ましくは、反応性基Aと、反応性基Bとを有する化合物)を溶媒に溶解することにより調製することができる。次に、塗布した分子接着剤を乾燥させることにより、分子接着剤層を形成することができる。
【0099】
なお、塗布した分子接着剤がアジド基を有する化合物を含有する場合には、紫外線(UV:ultraviolet)を照射することが好ましい。また、分子接着剤がアミノ基を有する化合物を含有する場合には、例えば、40~150℃の温度で加熱することが好ましい。加熱の温度は、シランカップリングの水素結合形成の観点から60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、反応性の失活を抑制する観点から150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましい。
【0100】
さらに、アジド基を有する化合物を含有する分子接着剤、又はアミノ基を有する化合物を含有する分子接着剤を、塗布し、乾燥させる工程を複数回繰り返してもよい。これにより、分子接着剤層における反応性基A及び反応性基Bの濃度を高めることができる。
また、異なる種類の分子接着剤を用いることもできる。例えば、アジド基を有する化合物を含有する分子接着剤を1回又は複数回塗布・乾燥した後、アミノ基を有する化合物を含有する分子接着剤を1回又は複数回塗布・乾燥することもできる。
このように、同一の、又は互いに異なる分子接合化合物を含有する分子接着剤を積層し、反応性基A及び反応性基Bの濃度を高めると、分子接着剤層と伸縮性基材との間、及び分子接着剤層と粘着剤層との間の接着力をより一層向上させることができる。
【0101】
分子接着剤層の厚さは、例えば、接合力の観点から5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。また、接合力の観点から300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
【0102】
〔粘着剤層〕
本発明の実施形態において、粘着剤層を構成する粘着剤の種類は特に限定されない。粘着剤層としては、例えば、スチレン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系、合成ゴム系、これらの混合系等)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤等の公知の各種粘着剤から選択される1種または2種以上の粘着剤を含んで構成された粘着剤層であり得る。ここで、アクリル系粘着剤とは、アクリル系ポリマーをベースポリマー(ポリマー成分のなかの主成分、すなわち50質量%を超えて含まれる成分)とする粘着剤をいう。ゴム系粘着剤その他の粘着剤についても同様の意味である。
【0103】
本発明の実施形態に係る粘着剤層は、粘着剤組成物により形成することができる。粘着剤組成物は、ベースポリマーを含有することが好ましい。
【0104】
(ベースポリマー)
本発明の実施形態においてベースポリマーは、一般的な高分子化合物であれば特に制限されず、たとえば、モノマーの重合物又は部分重合物である。モノマーは、1種のモノマーであっても、2種以上のモノマー混合物であってもよい。なお、部分重合物とは、モノマー又はモノマー混合物のうちの少なくとも一部が部分的に重合している重合物を意味する。
【0105】
本発明の実施形態におけるベースポリマーは、通常粘着剤として使用され、粘着性を有するものであることが好ましく、例えば、スチレン系ブロック共重合体、(メタ)アクリル系重合体、ゴム系重合体、ビニルアルキルエーテル系重合体、シリコーン系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ウレタン系重合体、フッ素系重合体、およびエポキシ系重合体等が挙げられる。中でも、スチレン系ブロック共重合体が好ましい。
上記ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0106】
ベースポリマーは、反応性基Aと反応性基Bとを有する化合物における反応性基Aと化学結合を形成しうる官能基を有することが好ましい。
ここで、化学結合とは、共有結合、配位結合、イオン結合を含み、分子間力は含まない。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
【0107】
(スチレン系ブロック共重合体)
本発明の実施形態においては、上記ベースポリマーがスチレン系ブロック共重合体であってもよい。
例えば、上記ベースポリマーがスチレンイソプレンブロック共重合体およびスチレンブタジエンブロック共重合体の少なくとも一方を含む態様であってもよい。粘着剤に含まれるスチレン系ブロック共重合体のうち、スチレンイソプレンブロック共重合体の割合が70質量%以上であるか、スチレンブタジエンブロック共重合体の割合が70質量%以上であるか、あるいはスチレンイソプレンブロック共重合体とスチレンブタジエンブロック共重合体との合計割合が70質量%以上であることが好ましい。好ましい一態様では、上記スチレン系ブロック共重合体の実質的に全部(例えば95~100質量%)がスチレンイソプレンブロック共重合体である。他の好ましい一態様では、上記スチレン系ブロック共重合体の実質的に全部(例えば95~100質量%)がスチレンブタジエンブロック共重合体である。このような組成によると、ここに開示される技術を適用することの効果がよりよく発揮され得る。
【0108】
上記スチレン系ブロック共重合体は、ジブロック体、トリブロック体、放射状(radial)体、これらの混合物、等の形態であり得る。トリブロック体および放射状体においては、ポリマー鎖の末端にスチレンブロックが配されていることが好ましい。ポリマー鎖の末端に配されたスチレンブロックは、集まってスチレンドメインを形成しやすく、これにより疑似的な架橋構造が形成されて粘着剤の凝集性が向上するためである。ここに開示される技術において用いられるスチレン系ブロック共重合体としては、被着体に対する粘着力(剥離強度)の観点から、ジブロック体比率が30質量%以上(より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、典型的には65質量%以上)のものを好ましく用いることができる。ジブロック体比率が70質量%以上(例えば75質量%以上)のスチレン系ブロック共重合体であってもよい。また、凝集性等の観点から、ジブロック体比率が90質量%以下(より好ましくは85質量%以下、例えば80質量%以下)のスチレン系ブロック共重合体を好ましく用いることができる。ここに開示される技術を適用して高温凝集性と他の特性(例えば剥離強度)とをバランス良く両立させる観点から、ジブロック体比率が60~85質量%のスチレン系ブロック共重合体が好ましく、70~85質量%(例えば70~80質量%)のスチレン系ブロック共重合体がより好ましい。
【0109】
上記スチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は、例えば、5~40質量%であり得る。凝集性の観点から、通常は、スチレン含有量が10質量%以上(より好ましくは10質量%超、例えば12質量%以上)のスチレン系ブロック共重合体が好ましい。また、剥離強度の観点から、スチレン含有量は35質量%以下(典型的には30質量%以下、より好ましくは25質量%以下)が好ましく、20質量%以下(典型的には20質量%未満、例えば18質量%以下)が特に好ましい。ここに開示される技術を適用することの効果(例えば、高温凝集性を向上させる効果)をよりよく発揮させる観点から、スチレン含有量が12質量%以上20質量%未満のスチレン系ブロック共重合体を好ましく採用し得る。
【0110】
(架橋剤)
本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物などの架橋剤が挙げられる。架橋剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせることができる。
【0111】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化などにより一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。
【0112】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどが挙げられる。
【0113】
より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー株式会社製,商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー株式会社製,商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー株式会社製,商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社製,商品名D110N)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社製,商品名D160N);ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどを挙げることができる。
【0114】
イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。イソシアネート系架橋剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、例えば0.01質量部以上、0.02質量部以上、0.05質量部以上または0.1質量部以上であり、かつ、15質量部以下、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下または5質量部以下であり、好ましくは、0.01質量部以上15質量部以下、0.02質量部以上13質量部以下、0.05質量部以上10質量部以下である。凝集力などを考慮して、配合量を適宜調整すればよい。
【0115】
エポキシ系架橋剤はエポキシ基を1分子中に2つ以上有する多官能エポキシ化合物である。エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱瓦斯化学株式会社製、商品名「テトラッドC」、「テトラッドX」などを用いることができる。
【0116】
エポキシ系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。エポキシ系架橋剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、例えば0.01質量部以上、0.02質量部以上、0.05質量部以上または0.1質量部以上であり、かつ、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下または5質量部以下であり、好ましくは、0.01質量部以上10質量部以下、0.02質量部以上9質量部以下、0.05質量部以上8質量部以下である。凝集力などを考慮して、配合量を適宜調整すればよい。
【0117】
過酸化物の架橋剤としては、加熱によりラジカル活性種を発生してベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃以上160℃以下である過酸化物を使用することが好ましく、90℃以上140℃以下である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0118】
過酸化物としては、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ-n-オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t-ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
【0119】
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日油株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
【0120】
過酸化物は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。過酸化物の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、例えば、0.02質量部以上2質量部以下であり、0.05質量部以上1質量部以下が好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜調整される。
【0121】
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘着剤を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
【0122】
また、架橋剤として、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを併用してもよい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物が挙げられる。
【0123】
(粘着付与樹脂)
本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、上記ベースポリマーに加えて粘着付与樹脂を含んでいてもよい。粘着付与樹脂としては、石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、ロジン誘導体樹脂、ケトン系樹脂等の、公知の各種粘着付与樹脂から選択される1種または2種以上を用いることができる。
【0124】
石油樹脂の例としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂、これらの水素添加物(例えば、芳香族系石油樹脂に水素添加して得られる脂環族系石油樹脂)等が挙げられる。
【0125】
スチレン系樹脂の例としては、スチレンの単独重合体を主成分とするもの、α-メチルスチレンの単独重合体を主成分とするもの、ビニルトルエンの単独重合体を主成分とするもの、スチレン、α-メチルスチレンおよびビニルトルエンのうち2種以上をモノマー組成に含む共重合体を主成分とするもの(例えば、α-メチルスチレン/スチレン共重合体を主成分とするα-メチルスチレン/スチレン共重合体樹脂)等が挙げられる。
【0126】
クマロン・インデン樹脂としては、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分としてクマロンおよびインデンを含む樹脂を用いることができる。クマロンおよびインデン以外に樹脂の骨格に含まれ得るモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエン等が例示される。
【0127】
テルペン樹脂の例としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等が挙げられる。変性テルペン樹脂の例としては、上記テルペン樹脂を変性(フェノール変性、スチレン変性、水素添加変性、炭化水素変性等)したものが挙げられる。具体的には、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が例示される。
【0128】
上記「テルペンフェノール樹脂」とは、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーを指し、テルペンとフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)と、テルペンの単独重合体または共重合体(テルペン樹脂、典型的には未変性テルペン樹脂)をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)との双方を包含する概念である。上記テルペンフェノール樹脂を構成するテルペンの好適例としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体およびd/l体(ジペンテン)を包含する。)等のモノテルペンが挙げられる。
【0129】
ロジン系樹脂の具体的としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);等が挙げられる。また、ロジン誘導体樹脂の例としては、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、ロジンのエステル化物)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)をアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、変性ロジンのエステル化物)等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)、不飽和脂肪酸変性ロジン類または不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;等が挙げられる。
【0130】
<その他の成分>
本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、塗布性の観点から、溶媒が好ましく含まれる。用いられる溶媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セルソルブ、カルビトール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、オクタデカン)、エステル(例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フタル酸メチル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、エチルブチルエーテル、アニソール)等である。
【0131】
溶媒は、粘着剤組成物の固形分濃度が、1~100質量%、好ましくは5~60質量%となるように配合されることが好ましい。なお、固形分とは、粘着剤組成物中に含まれる溶媒以外の成分を表すものとする。
【0132】
粘着剤組成物中には、必要に応じて、表面張力の調整の観点から、界面活性剤が添加される。例えば、ノニオン系界面活性剤(例えば、長鎖アルキル鎖とポリエチレングリコールからなるノニオン系界面活性剤)、カチオン系界面活性剤(例えば、第4級アンモニウム塩)、又はアニオン系界面活性剤(例えば、有機カルボン酸塩、スルホン酸塩)が用いられる。
【0133】
粘着剤組成物には、必要に応じて、熱伝導性粒子、導電性繊維、補強用繊維、酸化防止剤、可塑剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、顔料や染料等の着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、界面活性剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0134】
また、粘着剤組成物は、光重合開始剤と共に、活性エネルギー線によりラジカル重合するモノマーを含んでいてもよい。活性エネルギー線によりラジカル重合するモノマーは、活性エネルギー線の照射により重合し、活性エネルギー線硬化性樹脂を形成する。
【0135】
本発明の実施形態に係る粘着剤層においては、ベースポリマーと架橋剤とが架橋構造を形成していてもよい。なお、本明細書において、上記架橋構造は、ベースポリマーと分子接着剤とが化学結合を形成することにより得られる構造とは区別するものとする。
ベースポリマーと架橋剤の架橋構造を有する接着剤層は、接着剤組成物又は接着剤層を、40~160℃で加熱することにより得られる。加熱時間は、加熱温度、用いる架橋剤の種類や量等によって異なるが、例えば、エポキシ系架橋剤の場合、0.5~10min程度加熱すればよい。イソシアネート系架橋剤の場合は、12~120時間程度エージングすることが好ましい。
【0136】
架橋構造の形成(架橋工程)は、粘着剤組成物の溶媒を除去する工程において行ってもよいし、粘着剤組成物の溶媒を除去する工程の後に、粘着剤組成物の溶媒を除去する工程とは別に、架橋させる工程をさらに行ってもよい。
なお、ベースポリマーと架橋剤を架橋させる工程は、後述の伸縮性積層体の作製時に行ってもよいし、伸縮性積層体を被着体と貼り合わせた後に行ってもよい。被着体との接着力向上の観点から、伸縮性積層体を被着体と貼り合わせた後に架橋工程を設けることが好ましい。
【0137】
本発明の実施形態において、粘着剤層の厚さは、所望の粘着力を得る観点から、150μm以上であることが好ましく、175μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましい。また、生産性の低下を抑制するには、2000μm以下であることが好ましく、1000μm以下がより好ましく、750μm以下がさらに好ましい。すなわち、粘着剤層の厚さは、150~2000μmであることが好ましい。
【0138】
〔伸縮性積層体の製造方法〕
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体の製造方法については特に限定しないが、例えば、以下のようにして製造される。
【0139】
例えば、伸縮性積層体は、例えば、はく離ライナー上に粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に分子接着剤層を積層し、さらに伸縮性積層体を積層することより製造することができる。
【0140】
粘着剤層上に分子接着剤層を積層させる方法は、特に限定されず、例えば、はく離ライナー上に粘着剤組成物を塗布し、光硬化を行ってシート状の粘着剤層を作製した後、粘着剤層上に分子接着剤層を形成することにより行うことができる。
粘着剤層を光硬化するための活性線としては紫外線が用いられる。
【0141】
粘着剤層上に分子接着剤層を積層させる他の方法としては、例えば、はく離ライナー上に粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去してシート状の粘着剤層を形成した後、粘着剤層上に分子接着剤層を形成することにより行うことができる。
【0142】
分子接着剤層は、分子接着剤により形成することができる。
例えば、粘着剤層上に、分子接着剤を塗布する。次に、塗布した分子接着剤を乾燥させることにより、分子接着剤層を形成することができる。
分子接着剤は、分子接合化合物を含有し、分子接合化合物(好ましくは、反応性基Aと、反応性基Bとを有する化合物)を溶媒に溶解することにより調製することができる。次に、塗布した分子接着剤を乾燥させることにより、分子接合層を形成することができる。
【0143】
なお、塗布した溶解液(分子接着剤組成物)がアジド基を有する化合物を含有する場合には、紫外線(UV:ultraviolet)を照射することが好ましい。また、溶解液がアミノ基を有する化合物を含有する場合には、例えば、40~150℃の温度で加熱することが好ましい。加熱の温度は、シランカップリングの水素結合形成の観点から60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、反応性の失活を抑制する観点から150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましい。
【0144】
さらに、アジド基を有する化合物を含有する分子接着剤、又はアミノ基を有する化合物を含有する分子接着剤を、塗布し、乾燥させる工程を複数回繰り返してもよい。これにより、分子接着剤層における反応性基A及び反応性基Bの濃度を高めることができる。
また、異なる種類の分子接着剤(分子接合化合物)を用いることもできる。例えば、アジド基を有する化合物を含有する分子接着剤を1回又は複数回塗布・乾燥した後、アミノ基を有する化合物を含有する分子接着剤を1回又は複数回塗布・乾燥することもできる。
このように、同一の、又は互いに異なる分子接合化合物を含有する分子接着剤を積層し、反応性基A及び反応性基Bの濃度を高めると、分子接着剤層と伸縮性基材との間、及び分子接着剤層と被着体との間の接着力をより一層向上させることができる。
【0145】
次に、分子接着剤層上に、伸縮性基材を積層する。
伸縮性基材は、例えば、はく離ライナー上に伸縮性基材を構成する材料を溶媒に溶解した溶液を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去してシート状の伸縮性基材を形成した後、分子接着剤層上に積層することができる。
【0146】
粘着剤層及び分子接着剤層の表面はそれぞれ、積層の前に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、後述の被着体におけるコロナ処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理等と同様の表面処理が挙げられる。
【0147】
また、伸縮性積層体は、伸縮性基材の少なくとも一方の面上に、分子接着剤層を形成し、さらに粘着剤層を積層することより製造することもできる。
【0148】
まず、伸縮性基材を準備し、この少なくとも一方の面に、分子接着剤を塗布する。次に、塗布した分子接着剤を乾燥させることにより、分子接着剤層を形成することができる。
分子接着剤は、分子接合化合物を含有し、分子接合化合物(好ましくは、反応性基Aと、反応性基Bとを有する化合物)を溶媒に溶解することにより調製することができる。次に、塗布した分子接着剤を乾燥させることにより、分子接合層を形成することができる。
【0149】
次に、分子接着剤層上に、粘着剤層を積層する。
分子接着剤層上に粘着剤層を積層させる方法は、特に限定されず、例えば、はく離ライナー上に粘着剤組成物を塗布してシート状に成形し、光硬化を行ってシート状の粘着剤層を作製した後に分子接着剤層上に貼り合わせることにより行うことができる。
また、分子接着剤層上に粘着剤層を積層させる他の方法としては、分子接着剤層の表面に粘着剤組成物を塗布し、シート状に成形した後に表面にはく離ライナーを付設して、紫外線を照射することにより、接着剤層を積層する方法も挙げられる。
【0150】
粘着剤層を光硬化するための活性線としては紫外線が用いられる。第一形態の粘着剤層と同様、紫外線透過性の着色剤が使用される場合、可視光に比べて紫外線の透過率が大きいため、粘着剤層の厚みが大きい場合でも、光硬化の際の硬化阻害を抑制できる。
【0151】
分子接着剤層上に粘着剤層を積層させる他の方法としては、例えば、はく離ライナーに上に粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去して粘着剤層を形成し、分子接着剤層上に貼り付けることにより行うことができる。
【0152】
また、分子接着剤層上に粘着剤層を積層させる他の方法としては、分子接着剤層上に粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去することにより、粘着剤層を形成する方法が挙げられる。
【0153】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体においては、伸縮性基材と、分子接着剤層と、粘着剤層との接着力向上の観点から、分子接着剤層と粘着剤層とを貼り合わせた後に結合形成工程を設けてもよい。
【0154】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、使用時までは粘着剤層にはく離ライナーが設けられていてもよい。
【0155】
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、粘着剤層、分子接着剤層、伸縮性基材を有し、さらにはく離ライナー以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層、例えば、伸縮性基材以外の基材、粘着剤層以外の他の粘着剤層、中間層、下塗り層、分子接着剤層(上述の分子接着剤層に加えて更に有していてもよい)などを、表面又は任意の層間に有していてもよい。
【0156】
[積層体]
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、粘着剤層側の面が被着体と積層した積層体を形成することができる。
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体は、粘着剤層と、分子接着剤層と、伸縮性基材とをこの順に備えるため、適度な変形性を備える伸縮性基材と粘着剤層とを分子接着剤層を介して備えることとなり、伸び変形する(伸縮性を有する)被着体であったり、表面に凹凸がある被着体であっても、変形や表面形状への追従性、および接着強度に優れ、密着性の高い積層体を形成することができる。
【0157】
伸縮性積層体としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
【0158】
被着体は伸縮性を有するものであっても有さないものであってもよい。
被着体を構成する材料に特に限定はなく、樹脂(樹脂材料)、ゴム、金属、ガラス、セラミックス、天然繊維等の材料を含んでいてもよい。
また、被着体は生体であってもよい。
また、被着体は単一の材料からなるものであっても複数の材料からなるものであってもよく、単層からなるものであっても複数層からなるものであってもよい。
被着体は、樹脂を含んでいてもよい。
樹脂(樹脂材料)、ゴム、金属、ガラス、セラミックス、天然繊維の具体例としては、支持体を構成する材料として挙げた、樹脂(樹脂材料)、ゴム、金属、ガラス、セラミックス、天然繊維の具体例が挙げられる。
【0159】
被着体は、必要に応じて、伸縮性積層体における接着剤層と接する表面が洗浄処理又は表面処理等の前処理をされていてもよい。前処理工程により、伸縮性基材と被着体とを粘着剤層と、分子接着剤層とを介してより強固に接合させることができる。
【0160】
洗浄処理としては、アルカリ脱脂処理等が挙げられる。
アルカリ脱脂処理は、アルカリ洗浄液で洗浄した後、表面を蒸留水で洗浄し、乾燥させる処理である。
表面処理としては、例えば、コロナ処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理等が挙げられる。また、表面処理により、被着体に、反応性基Bと反応し得る反応性基Cが導入されていてもよい。なお、反応性基Cとしては、例えば、ヒドロキシ基が挙げられる。
【0161】
コロナ処理としては、例えば、コロナ処理機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。例えば、コロナ処理は、高周波電源のコロナ表面処理装置を用いて、基材の表面に放電照射することにより実施される。放電出力強度は、好ましくは0.05kW以上であり、より好ましくは0.08kW以上であり、さらに好ましくは0.1kW以上である。
【0162】
スパッタエッチング処理は、例えば、ガスに由来するエネルギー粒子を基材の表面に衝突させる。基材における当該粒子が衝突した部分において、基材の表面に存在する原子または分子が放出されて反応性基が形成され、これにより接着性が向上する。
スパッタエッチング処理は、例えば、基材をチャンバーに収容し、次いでチャンバー内を減圧した後、雰囲気ガスを導入しながら高周波電圧を印加することによって実施できる。
【0163】
雰囲気ガスは、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等の希ガス、窒素ガスおよび酸素ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
印加する高周波電圧の周波数は、例えば1~100MHz、好ましくは5~50MHzである。
高周波電圧を印加する際のチャンバー内の圧力は、例えば0.05~200Pa、好ましくは1~100Paである。スパッタエッチングのエネルギー(処理時間と印加した電力との積)は、例えば1~1000J/cm、好ましくは2~200J/cmである。
【0164】
プラズマ処理は、例えば、プラズマ放電機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。基材をプラズマ装置内にセットし、所定のガスでプラズマ照射することにより行われ得る。
プラズマ処理の条件は、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な条件に設定され得る。
上記プラズマ処理は、大気圧下で行われるプラズマ処理であってもよく、減圧下で行われるプラズマ処理であってもよい。プラズマ処理時の圧力(真空度)は、例えば0.05Pa~200Paであり、好ましくは0.5Pa~100Paである。
【0165】
プラズマ処理に用いる高周波電源の周波数は、例えば1MHz~100MHzであり、好ましくは5MHz~50MHzである。
プラズマ処理時のエネルギー量は、好ましくは0.1J/cm~100J/cmであり、より好ましくは1J/cm~20J/cmである。
プラズマ処理時間は、好ましくは1秒~5分であり、より好ましくは5秒~3分である。
プラズマ処理時のガス供給量は、好ましくは1sccm~150sccmであり、より好ましくは10sccm~100sccmである。
【0166】
上記プラズマ処理に用いる反応ガスとしては、例えば、水蒸気、空気、酸素、窒素、水素、アンモニア、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール)等のガスが挙げられる。このような反応ガスを用いれば、接着性に優れる基材を得ることができる。また、反応ガスと併用して、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスが用いられ得る。
【0167】
表面処理の種類は、被着体及び粘着剤層を構成する材料に応じて適宜選択することができる。
【0168】
被着体の形状は、特に限定されず、任意の形状であってもよく、例えば、シート(フィルム)、板状、筐体等であってもよい。また、被着体の表面には凹凸構造を有していてもよい。被着体の表面に凹凸構造を有する場合は被着体の表面の全面に有していてもよく、表面の一部に有していてもよい。例えば、被着体がシートである場合、一方の面に凹凸構造を有していてもよく、両方の面に凹凸構造を有していてもよい。
【0169】
積層体は、例えば、上述の伸縮性積層体における粘着剤層の伸縮性基材側とは反対側の面と、被着体とを貼り合わせることにより得られる。本発明の実施形態に係る伸縮性積層体を用いることにより、常温下でも貼り合わせが可能となる。また、貼り合わせローラー等により容易に被着体への貼り合わせが可能である。
【0170】
常温とは、例えば、50℃未満、好ましくは、40℃以下であり、また、例えば、15℃以上、好ましくは、20℃以上である。
【0171】
本発明の実施形態に係る粘着剤層が伸縮性積層体又は積層体作製時に上述の架橋工程、結合形成工程を経ていない場合には、被着体との貼り合わせ後に架橋工程、結合形成工程を行ってもよい。被着体との接着力向上の観点から、両工程は、被着体との貼り合わせ後に行うことがより好ましい。
【0172】
伸縮性積層体と被着体との積層体は、伸縮性物品であってもよい。伸縮性物品は、伸縮性積層体が被着体に接合した物品であって、前記被着体が伸縮性を有する。
【0173】
〔伸縮性デバイス〕
本発明の実施形態に係る伸縮性デバイスは、上記伸縮性積層体と、センサとを備える。
【0174】
伸縮性積層体としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
【0175】
本発明の実施形態に係る伸縮性デバイスが備え得るセンサとしては、特に制限はなく、歪センサ、温度センサ、応力センサ、圧力センサ、加速度センサ、及びこれらを複合化したセンサを挙げることができる。
【0176】
本発明の実施形態に係る伸縮性デバイスは、さらに配線、電極、回路、電源、電子部品、通信素子、記録素子等を備えていてもよい。
【0177】
〔用途〕
本発明の実施形態に係る伸縮性積層体及び伸縮性デバイスは、特に高い屈曲性、柔軟性や伸縮性が求められる用途に好適に用いることができる。例えば、加飾フィルム、フレキシブルデバイス、ウェアラブルデバイス、生体情報取得デバイス等に用いることができる。
【0178】
また、本発明の実施形態に係る伸縮性積層体及び伸縮性デバイスは、エレクトロニクス製品(トランジスタ、集積回路、コンデンサ、センサ、アクチュエータ等)用部材、オプティカル製品(ディスプレイ、照明、光導波回路等)用部材、オプトエレクトロニクス製品(発光ダイオード、フォトダイオード、太陽電池等)用部材、カーエレクトロニクス製品用部材、家電製品用部材、住宅設備用部材、建材、バンド部材、結束用部材、衛生用品、衣料品の部分等として利用できる。
【0179】
また、本発明の実施形態に係る伸縮性積層体及び伸縮性デバイスは、医療用テーピング用基材、医療用傷被覆用基材、特定形状への追従性(施工性)を必要とする部材などに利用できる。さらに、特定方向への強度を付与できるので、継ぎ目接合用基材(例えば、車、飛行機など)等として利用できる。さらにまた、特定部分に伸びを集中させることができるので、効率よくエキスバンドできるダイシング用テープ等として利用できる。また、薄膜基材のハンドリング性を向上できるので、医療用薄膜基材(フィルムドレッシング)等に利用できる。さらに、被着体を増強できるので、樹脂板や鋼板の補強部材(ガラスクロス代替)等として利用できる。また、難伸長部に形状記憶ポリマーを配合することにより、熱で形状に追従するシュリンクフィルムとして利用できる。
【0180】
さらに、例えば、異方導電シート、オンチップで導通試験可能なダイシングテープ又はそれらの基材等、伸長又は伸縮可能な伝熱シート又はその基材等として使用できる。
【0181】
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
【0182】
〔1〕
粘着剤層と、分子接着剤層と、伸縮性基材とをこの順に備えた、伸縮性積層体。
〔2〕
前記粘着剤層の厚みが150μm以上である、〔1〕に記載の伸縮性積層体。
〔3〕
前記伸縮性積層体を23℃においてせん断方向に100%伸長時に、層間剥離が生じない、〔1〕又は〔2〕に記載の伸縮性積層体。
〔4〕
前記伸縮性基材は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びシリコーンゴムから選択される少なくとも1種の材料を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の伸縮性積層体。
〔5〕
前記分子接着剤層を形成する分子接着剤は、反応性基Aと、反応性基Bとを有する化合物を含有し、
前記反応性基Aがアミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基、及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも1種であり、
前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種である、
〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の伸縮性積層体。
〔6〕
前記反応性基Aがアジド基であり、
前記反応性基Bがシラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基から選択される少なくとも1種である、〔5〕に記載の伸縮性積層体。
〔7〕
前記分子接着剤が含有する前記化合物は、トリアジン環をさらに有し、
前記反応性基Aがアジド基であり、前記アジド基は前記トリアジン環に結合している、〔5〕に記載の伸縮性積層体。
〔8〕
前記伸縮性基材が、センサ機能を有する、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の伸縮性積層体。
〔9〕
〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の伸縮性積層体と、センサとを備える、伸縮性デバイス。
【実施例0183】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
【0184】
〔実施例1〕
(シリコーンゴムシート(伸縮性基材)の作製)
シリコーンゴム原料として、Avantor社製の2液白金付加硬化型シリコーン接着剤(製品名「MED2-4013」)を使用した。A液とB液を1:1の質量比で加え、10分程度手の手撹拌により均一に混合し、次いで、シンキー社製の自転公転真空ミキサーあわとり練太郎を用いて4分間脱泡操作を行い、シリコーンゴム溶液を得た。
【0185】
上記シリコーンゴム溶液を乾燥後の厚みが200μmになるように、テフロン(登録商標)シート上に塗工し、150℃で15分間加熱して乾燥させ、シリコーンゴムシートを得た。シリコーンゴムシートの一方の面に対し、放電量122W・min/mの条件でコロナ処理を行ったものを伸縮性基材として使用した。
【0186】
(粘着剤組成物の調製)
ベースポリマーとしてのスチレンイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン社製、製品名「クインタック(Quintac)3520」、スチレン含有量15質量%、ジブロック体比率78質量%)100質量部と、芳香族系石油樹脂(ENEOS社製、製品名「日石ネオポリマー150」、軟化点154℃、酸価0.1mgKOH/g未満)20質量部と、テルペンフェノール樹脂40質量部と、テルペン樹脂30質量部と、イソシアネート化合物(三井化学社製品、製品名「タケネートD-101A」)を固形分基準で0.75質量部と、老化防止剤3質量部と、溶媒としてのトルエンとを撹拌混合して、固形分濃度50%質量の粘着剤組成物を調製した。
【0187】
ここで、テルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカル社製の商品名「YSポリスターS145」(軟化点145℃、水酸基価100mgKOH/g)と、同社製の商品名「YSポリスターT145」(軟化点145℃、水酸基価60mgKOH/g)との二種類を、1:1の質量比で、それらの合計が40質量部となるように使用した。テルペン樹脂としては、ヤスハラケミカル社製の製品名「YSレジンPX1150N」(軟化点115℃、水酸基価1mgKOH/g以下)を使用した。老化防止剤としては、BASF社製の製品名「IRGAFOS 168」と同社製の製品名「IRGANOX 565」との二種類を、2:1の質量比で使用した。
【0188】
(粘着剤層付き伸縮性基材の作製)
上記粘着剤組成物を乾燥後の厚みが150μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ダイアホイルMRF#38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理面にアプリケーターを用いて塗工し、10分間風乾後、90℃で15分間加熱して乾燥させ、粘着剤層/PETフィルムの積層構造を有する積層体(第1積層体)を得た。
【0189】
次いで、分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジド(株式会社いおう化学研究所製)の0.5質量%エタノール溶液をワイヤーバー#14(ポケット容積37.56cc/m)を用いて、上記粘着剤層の表面に塗工し、室温で120秒風乾した後、紫外線照射し、分子接着剤層/粘着剤層/PETフィルムの積層構造を有する積層体(第2積層体)を作製した。
【0190】
続いて、分子接着剤層表面に紫外線を照射した後、上記シリコーンゴムのコロナ処理面に貼合し、40℃で1日間放置して、PETフィルム/粘着剤層/分子接着剤層/(コロナ処理面)シリコーンゴムの積層構造を有する粘着剤層付き伸縮性基材(実施例1の伸縮性積層体)を作製した。
【0191】
紫外線照射は、LEDランプ(株式会社クォークテクノロジー製、ピーク照度:45mW/cm、積算光量100mJ/cm(ピーク波長265nm))を使用し、紫外線の照度は紫外線積算光量計(本体装置名「UIT-250」、受光器装置名「UVD-S254」、ウシオ電機株式会社製)を使用して測定した。
【0192】
〔比較例1〕
比較例1は、粘着剤層付き伸縮性基材の作製において、分子接着剤層の作製および紫外線照射を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層/PETフィルムの積層構造を有する積層体(第1積層体)およびPETフィルム/粘着剤層/(コロナ処理面)シリコーンゴムの積層構造を有する粘着剤層付き伸縮性基材(比較例1の伸縮性積層体)を作製した。
【0193】
〔比較例2〕
比較例2は、粘着剤層付き伸縮性基材の作製において、粘着剤層の作製を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして作製した。具体的には、分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジド(株式会社いおう化学研究所製)の0.5質量%エタノール溶液をワイヤーバー#14(ポケット容積37.56cc/m)を用いて、シリコーンゴムシートの表面に塗工し、室温で120秒風乾した後、紫外線照射し、分子接着剤層/(コロナ処理)シリコーンゴムの積層構造を有する分子接着剤層付き伸縮性基材(比較例2の伸縮性積層体)を作製した。
【0194】
〔評価〕
<シリコーンゴムに対する接着力>
(試験片の作製)
実施例1で使用したものと同じシリコーンゴム溶液を乾燥後の厚みが200μmになるように、ステンレス鋼板(SUS板)上に塗工し、150℃で15分間加熱して乾燥させ、シリコーンゴム/SUS板の積層構造を有する被着体を得た。
【0195】
(試験片の作製)
実施例1および比較例1で作製したシリコーンゴムシートとの貼り合わせ前の積層体(第1積層体、第2積層体)を幅10mmにカットした。前記被着体(シリコーンゴム/SUS板)のシリコーンゴム側の表面に各積層体の分子接着剤層側の面をそれぞれ貼り合わせて、シリコーンゴムに対する接着力(N/10mm)を測定した。シリコーンゴムとの貼り合せの際の圧着は、2kgのローラーを1往復して行い、40℃で18時間エージング処理後、剥離処理されたPETフィルムを剥離し、試験片とした。
【0196】
(測定)
測定温度条件にて30分静置後に引張圧縮試験機(装置名「AGS-50NX」、株式会社島津製作所製)を用いて、90°ピール接着力(N/10mm)の測定を以下の条件下で行った。
引き剥がし速度:300mm/分
測定条件:温度:23±2℃、湿度:65±5%RH
【0197】
〇:試験片の材料(凝集)破壊であり良好
×:被着体(シリコーンゴム)表面からの界面剥離であり不良
【0198】
<粗面金属板に対する接着力>
(被着体の作製)
粗面金属板(アルミニウム板 A6063)を用意した。表面を酢酸エチルでふき取り洗浄し、乾燥させたものを被着体として使用した。
【0199】
(試験片の作製)
実施例および比較例で得られた各伸縮性積層体を幅10mmにカットし、剥離処理されたPETフィルムを剥離し、露出させた粘着剤層又は分子接着剤層の表面を前記被着体に貼り合わせて、試験片とし、粗面金属板に対する接着力(N/10mm)を測定した。被着体との貼り合せの際の圧着は、2kgのローラーを1往復して行った。
【0200】
(測定)
貼り合わせ30分後に引張圧縮試験機(装置名「AGS-50NX」、株式会社島津製作所製)を用いて、180°ピール粘着力(N/10mm)の測定を以下の条件下で行った。
引き剥がし速度:300mm/分
測定条件:温度:23±2℃、湿度:65±5%RH
【0201】
〇:試験片の材料(凝集)破壊であり良好
×:伸縮性積層体内の層間剥離、あるいは被着体表面からの界面剥離であり不良
比較例1はシリコーンゴムと粘着剤層との界面で層間破壊し、比較例2はサンプルが粗面金属板に密着せず測定不可であった。
【0202】
<伸長時の浮き剥がれ>
(試験片の作製)
実施例および比較例で得られた各伸縮性積層体を幅10mmにカットし、剥離処理されたPETフィルムを剥離し、試験片とした。
【0203】
(測定)
試験片を引張圧縮試験機(装置名「AGS-50NX」、株式会社島津製作所製)にチャック治具で固定し、23℃±2℃、65±5%RH(室温)、チャック間距離10mm、引張速度300mm/分の条件で、500%まで一軸延伸(1サイクル目の延伸)し、延伸終点で10秒保持した後、チャック長さ10mmまで引き戻して10秒間保持し、次いで、500%まで一軸延伸(2サイクル目の延伸)し、延伸終点で10秒保持した後、チャック長さ10mmまで引き戻して10秒間保持し、続いて500%まで一軸延伸(3サイクル目の延伸)し、延伸終点で10秒保持した後、チャック長さ10mmまで引き戻すサイクル試験を行った。サイクル試験中およびサイクル試験後の試験片を目視で確認し、浮き又は剥がれの有無を確認した。
【0204】
〇:伸縮性積層体内で浮き又は剥がれが無く良好
×:伸縮性積層体内で浮き又は剥がれが有り不良
【0205】
実施例及び比較例について下記の表に示す。
【0206】
【表1】
【0207】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0208】
10 分子接着剤層
30 伸縮性基材
40 粘着剤層
図1