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特開2024-92754製造工程管理装置、製造工程管理方法、制御プログラム、および記録媒体
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  • 特開-製造工程管理装置、製造工程管理方法、制御プログラム、および記録媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092754
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】製造工程管理装置、製造工程管理方法、制御プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240701BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240701BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208893
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】倉林 宣彰
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA32
3C100AA38
3C100AA56
3C100AA62
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB31
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】仕掛在庫量、稼働率といった個別の要素ごとのみではなく、それぞれの関係も加味して改善の要否を検討できる情報を提示する。
【解決手段】製造工程管理装置(10)は、製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得部(20)と、仕掛在庫量と稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示部(30)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製造工程を含む製造ラインの前記製造工程ごとの仕掛在庫量および稼働率を取得するか、または同じ製造工程を含む複数の製造ラインにおいて、製造ラインごとの当該同じ当該製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得部と、
前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するか、または前記製造ラインごとの前記同じ製造工程の前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示部と、を備える製造工程管理装置。
【請求項2】
前記グラフ表示部は、前記グラフに前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係の時間的変化を表示する、請求項1に記載の製造工程管理装置。
【請求項3】
前記グラフ表示部は、前記グラフに、前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係が理想的であることを示す理想領域を表示する、請求項1に記載の製造工程管理装置。
【請求項4】
前記グラフ表示部は、前記グラフに、前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係が改善対象となっていることを示す改善領域を表示する、請求項1に記載の製造工程管理装置。
【請求項5】
前記複数の製造工程はそれぞれ、複数の製造装置により処理が行われており、
前記グラフ表示部は、前記製造装置ごとの前記仕掛在庫量を表示する、請求項1に記載の製造工程管理装置。
【請求項6】
前記グラフ表示部は、前記製造工程における前記稼働率の時間的変化を表示する、請求項5に記載の製造工程管理装置。
【請求項7】
前記グラフ表示部は、前記複数の製造工程における製造工程順に、前記複数の製造装置ごとの前記仕掛在庫量、および前記製造工程における前記稼働率の時間的変化を表示する、請求項6に記載の製造工程管理装置。
【請求項8】
前記グラフ表示部は、指定された製造工程についてのみ前記稼働率の時間的変化を表示する、請求項7に記載の製造工程管理装置。
【請求項9】
複数の製造工程を含む製造ラインの前記製造工程ごとの仕掛在庫量および稼働率を取得するか、または同じ製造工程を含む複数の製造ラインにおいて、製造ラインごとの当該同じ当該製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得ステップと、
前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するか、または前記製造ラインごとの前記同じ製造工程の前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示ステップと、を含む製造工程管理方法。
【請求項10】
請求項1に記載の製造工程管理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記取得部、および上記グラフ表示部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載した制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造ラインに含まれる製造工程を管理する製造工程管理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を複数の製造工程を経て製造することが行われている。これらの製造工程における在庫管理のため、例えば、特許文献1には、工程ごとの仕掛在庫量を表示する仕掛表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-94770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造ラインにおける複数の製造工程のそれぞれ、または複数の製造ラインにおける同じ製造工程のそれぞれに関し、仕掛在庫量、稼働率といった個別の要素ごとのみではなく、それぞれの関係も加味して改善の要否を検討できる情報を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る製造工程管理装置は、複数の製造工程を含む製造ラインの前記製造工程ごとの仕掛在庫量および稼働率を取得するか、または同じ製造工程を含む複数の製造ラインにおいて、製造ラインごとの当該同じ当該製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得部と、前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するか、または前記製造ラインごとの前記同じ製造工程の前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示部と、を備える。
【0006】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る製造工程管理方法は、複数の製造工程を含む製造ラインの前記製造工程ごとの仕掛在庫量および稼働率を取得するか、または同じ製造工程を含む複数の製造ラインにおいて、製造ラインごとの当該同じ当該製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得ステップと、前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するか、または前記製造ラインごとの前記同じ製造工程の前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、個別の要素のみではなく、全体の傾向から改善の要否を検討できる情報を提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1に係る製造工程管理装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
図2】製造工程ごとの稼働率と仕掛在庫数との関係を示す図である。
図3】製造工程ごとの稼働率と仕掛在庫数との関係を、時間経過とともに示す図である。
図4】製造工程における製造装置ごとの在庫数と、製造工程における稼働率の時間変化とを示す図である。
図5】本開示の実施形態2に係る製造工程管理装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
図6】ある製造工程における製造ラインごとの稼働率と仕掛在庫数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る製造工程管理装置10は、製造工程ごとの仕掛在庫量と稼働率との関係をグラフに一覧表示するものである。これにより、管理者は、仕掛在庫量と稼働率との何れかに偏ることなく、両方を加味して改善の要否を検討することができる。つまり、個別の要素のみではなく、全体の傾向から改善の要否を検討できる。
【0010】
図1は、製造工程管理装置10の要部構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、製造工程管理装置10は取得部20およびグラフ表示部30を含む。
【0011】
取得部20は、製造ラインLに含まれる製造工程A~製造工程Dのそれぞれの処理を行う製造装置からそれぞれの製造工程における仕掛在庫量および稼働率を取得する。稼働率とは、例えば、当該製造工程において最大製造能力で製造したときの製造数に対する当該時点での製造数の割合である。
【0012】
グラフ表示部30は、製造工程ごとの仕掛在庫量と稼働率との関係をグラフとして表示装置40に一覧表示する。
【0013】
図2を参照して、グラフ表示部30が表示する一覧表示の例を示す。図2は、製造工程ごとの稼働率と仕掛在庫数との関係を示す図である。図2に示す例では、縦軸を稼働率、横軸を仕掛在庫数として、或る時点での各製造工程における稼働率および仕掛在庫数が示されている。
【0014】
このように、製造工程ごとに、稼働率と仕掛在庫数との関係を示すことにより、製造工程ごとに順調な工程、改善が必要な工程を容易に認識することができる。例えば、図2に示す例では、製造工程Aは、稼働率が高く、仕掛在庫数も少ないため、順調であることが分かる。一方、製造工程Dは、仕掛在庫数が多く、製造ラインにおけるボトルネックとなっている可能性があり、改善が必要と判断することができる。また、製造工程Bおよび製造工程Cについては、この時点では可もなく不可もなく、このまま様子を見るという判断を行うことができる。
【0015】
また、グラフ表示部30は、表示するグラフ内に領域201を示す。領域201は、稼働率と仕掛在庫数とが理想の状態である領域を示す。図2に示す例では、製造工程Aの稼働率および仕掛在庫数が理想領域にある。領域201を示すことにより、管理者は、仕掛在庫量と稼働率との関係が理想的な状態であるか否かを容易に認識することができる。理想領域とは、例えば、稼働率が予め設定された基準以上で、かつ仕掛在庫量が予め設定された基準以下である領域である。
【0016】
また、グラフ表示部30は、表示するグラフ内に線202を示す。線202は、仕掛在庫数の改善ラインを示す。仕掛在庫数が線202を超える場合、改善が必要と判断される。図2に示す例では、製造工程Dの仕掛在庫数が線202を超えており改善が必要とされる。
【0017】
グラフ表示部30は、改善の要否を判断する指標を、線202で示すのではなく、領域で示してもよい。例えば、仕掛在庫数が第1所定値以上、かつ、稼働率が第2所定値以下の領域を改善領域として表示してもよい。これにより、管理者は、仕掛在庫数のみではなく、稼働率も含めて改善が必要か否かを容易に認識することができる。
【0018】
また、グラフ表示部30は、稼働率と仕掛在庫数との関係が時間経過とともにどのように変化しているかを一覧表示してもよい。図3は、製造工程ごとの稼働率と仕掛在庫数との関係を、時間経過とともに示す図である。
【0019】
図3に示す例では、製造工程Aについては、時間が経過しても領域201内に留まっていることが分かる。製造工程Bについては、時間の経過とともに稼働率が改善していることが分かる。製造工程Cについては、時間の経過とともに稼働率は改善しているが、仕掛在庫数が増えていることが分かる。製造工程Dについては、時間が経過しても仕掛在庫数が、改善が必要とされる状態から変わっていないことが分かる。
【0020】
このように、時間の経過とともに稼働率と仕掛在庫数との関係の変化を示すことで、製造工程ごとの仕掛在庫量と稼働率との関係の時間的変化を認識することができる。これにより、管理者は、製造工程ごとに、当該製造工程が改善する方向に向かっているのか、同じ状態で留まっているのか、または逆方向に向かっているのかを認識することができる。
【0021】
また、製造工程のそれぞれが複数の製造装置により処理されているときに、グラフ表示部30は、製造装置ごとの仕掛在庫量を表示してもよい。
【0022】
さらに、グラフ表示部30は、各製造工程における稼働率の時間的変化を表示してもよい。図4を参照して説明する。図4は、製造工程における製造装置ごとの在庫数と、製造工程における稼働率の時間変化とを示す図である。
【0023】
図4に示す例では、縦軸を仕掛在庫数、横軸を製造工程としたグラフ400および各製造工程における所定期間の稼働率の変化を示すグラフ411~グラフ414を示す。
【0024】
グラフ400は、製造工程ごとに、或る時点における、当該製造工程に含まれる製造装置ごとの仕掛在庫数を示している。グラフ400において、各製造装置は、401で示している。よって、グラフ400に示す例では、製造工程Aには5台の製造装置が含まれ、製造工程Bには9台の製造装置が含まれ、製造工程Cには8台の製造装置が含まれ、製造工程Dには13台の製造装置が含まれている。そして、製造工程Aでは、左から3台の製造装置において仕掛在庫が発生し、製造工程Bでは、左から1、3、5、8台目の製造装置に仕掛在庫が発生し、製造工程Cでは、左から1、3台目の製造装置に仕掛在庫が発生し、製造工程Dでは、3、7、11、13台目の製造装置に仕掛在庫が発生している。
【0025】
また、グラフ表示部30は、1つの製造ラインにおける製造工程順に、製造工程における稼働率の時間的変化を表示する。図2に示す例では、製造工程Aの稼働率の変化を示すグラフ411、製造工程Bの稼働率の変化を示すグラフ412、製造工程Cの稼働率の変化を示すグラフ413、製造工程Dの稼働率の変化を示すグラフ414がこの順で並んで表示されている。
【0026】
グラフ411~グラフ414は、グラフ400で仕掛在庫数を示している時点を含む所定期間における製造工程ごとの稼働率を示す。グラフ411~グラフ414で示す稼働率は、それぞれの製造工程に含まれる複数の製造装置の稼働率の平均である。
【0027】
グラフ411から製造工程Aの稼働率は、略横ばいであることが分かる。また、グラフ412から製造工程Bの稼働率は、低い値で略横ばいであることが分かる。また、グラフ413から製造工程Cの稼働率は上昇していることが分かる。また、グラフ414から製造工程Dの稼働率は、一旦上がり、その後下がった後、再度上がって横ばいとなっていることが分かる。
【0028】
このように、製造工程における製造装置ごとの在庫数と、製造工程における稼働率の時間変化とを示すことにより、管理者は、製造工程に含まれる製造装置それぞれの仕掛在庫量、および、製造工程における稼働率の時間的変化を認識することができる。さらに、管理者は、製造工程順に、製造装置それぞれの仕掛在庫量、および製造工程における稼働率の時間的変化を一覧で認識することができる。
【0029】
グラフ表示部30は、製造ラインに含まれる全ての製造工程の稼働率の時間的変化ではなく、指定された一部の製造工程についてのみ稼働率の時間的変化を表示するものであってもよい。製造ラインに含まれる製造工程が少ない場合は、全ての製造工程の稼働率を表示することも可能であるが、製造工程が増えると、表示領域を圧迫する可能性がある。指定された一部の製造工程についてのみ稼働率を表示すれば、表示装置の表示領域を効率的に利用することができる。
【0030】
表示装置40は、情報を表示するディスプレイである。表示装置40は、製造工程管理装置10に含まれていてもよいし、製造工程管理装置10の外部に別装置として備えられていてもよい。
【0031】
以上のように、製造工程管理装置10は、複数の製造工程(製造工程A、製造工程B、製造工程C、製造工程D)を含む製造ラインLの製造工程ごとの仕掛在庫量および稼働率を取得する取得部20と、製造工程ごとの仕掛在庫量と稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示部30とを備える。
【0032】
これにより、製造工程ごとの仕掛在庫量と稼働率との関係が一覧で認識できるので、管理者は、仕掛在庫量と稼働率との何れかに偏ることなく、両方を加味して改善の要否を検討することができる。つまり、個別の要素のみではなく、全体の傾向から改善の要否を検討できる。
【0033】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0034】
上述した実施形態1では、製造工程管理装置10は、1つの製造ラインに含まれる複数の製造工程それぞれの仕掛在庫数と稼働率との関係を一覧表示していた。本実施形態に係る製造工程管理装置10は、複数の製造ラインL1~L4に含まれる同じ製造工程の製造ラインごとの仕掛在庫数と稼働率の関係を一覧表示するものである。これにより、管理者は同じ製造工程における仕掛在庫数と稼働率の関係の違いを容易に認識することができる。
【0035】
以下では、製造工程Aの仕掛在庫数および稼働率を取得し、一覧表示するものとして説明するが、製造工程B、製造工程C、製造工程Dについても仕掛在庫数および稼働率を取得し、一覧表示するものであってもよい。
【0036】
図5に、本実施形態に係る製造工程管理装置10の要部構成を示す機能ブロック図を示す。図5に示すように、製造工程管理装置10の構成自体は、上述した実施形態1における製造工程管理装置10と同じである。本実施形態では、取得部20は、複数の製造ラインL1~L4のそれぞれに含まれる製造工程Aの処理を行う製造装置から仕掛在庫量および稼働率を取得する。
【0037】
グラフ表示部30は、製造ラインごとの仕掛在庫量と稼働率との関係をグラフとして表示装置40に一覧表示する。
【0038】
図6を参照して、グラフ表示部30が表示する一覧表示の例を示す。図6は、製造ラインごとの稼働率と仕掛在庫数との関係を示す図である。図6に示す例では、縦軸を稼働率、横軸を仕掛在庫数として、或る時点での各製造ライン(製造ラインL1、製造ラインL2、製造ラインL3、製造ラインL4)における製造工程Aの稼働率および仕掛在庫数が示されている。
【0039】
また、上述した図2と同様に領域201および線202が示されている。図6に示す例では、製造ラインL1の仕掛在庫数および稼働率が理想領域にあり、製造ラインL4の仕掛在庫数が、改善が必要とされる領域にある。
【0040】
また、グラフ表示部30は、上述した実施形態1と同様に、仕掛在庫数および稼働率の時間的変化を表示するようにしてもよい。
【0041】
以上のように、製造工程管理装置10は、同じ製造工程を含む複数の製造ライン(製造ラインL1、製造ラインL2、製造ラインL3、製造ラインL4)において、製造ラインごとの当該同じ当該製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得部20と、製造ラインごとの同じ製造工程の仕掛在庫量と稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示部30とを備える。
【0042】
これにより、同じ製造工程における製造ラインごとの仕掛在庫量と稼働率との関係が一覧で認識できるので、管理者は、仕掛在庫量と稼働率との何れかに偏ることなく、両方を加味して改善の要否を検討することができる。つまり、個別の要素のみではなく、全体の傾向から改善の要否を検討できる。
【0043】
〔ソフトウェアによる実現例〕
製造工程管理装置10(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特にグラフ表示部30)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0044】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0045】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0046】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0047】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0048】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る製造工程管理装置は、複数の製造工程を含む製造ラインの前記製造工程ごとの仕掛在庫量および稼働率を取得するか、または同じ製造工程を含む複数の製造ラインにおいて、製造ラインごとの当該同じ当該製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得部と、前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するか、または前記製造ラインごとの前記同じ製造工程の前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示部と、を備える。
【0049】
前記の構成によれば、製造工程ごとの仕掛在庫量と稼働率との関係、または同じ製造工程における製造ラインごとの仕掛在庫量と稼働率との関係が一覧で認識できるので、管理者は、仕掛在庫量と稼働率との何れかに偏ることなく、両方を加味して改善の要否を検討することができる。つまり、個別の要素のみではなく、全体の傾向から改善の要否を検討できる。
【0050】
本開示の態様2に係る製造工程管理装置は、前記態様1において、前記グラフ表示部は、前記グラフに前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係の時間的変化を表示する。
【0051】
前記の構成によれば、製造工程ごとの仕掛在庫量と稼働率との関係の時間的変化を認識することができるので、管理者は、製造工程ごとに、当該工程が改善する方向に向かっているのか、または逆方向に向かっているのかを認識することができる。
【0052】
本開示の態様3に係る製造工程管理装置は、前記態様1または2において、前記グラフ表示部は、前記グラフに、前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係が理想的であることを示す理想領域を表示する。
【0053】
前記の構成によれば、仕掛在庫量と稼働率との関係が理想的な状態であるか否かを、管理者は容易に認識することができる。
【0054】
本開示の態様4に係る製造工程管理装置は、前記態様1~3の何れかにおいて、前記グラフ表示部は、前記グラフに、前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係が改善対象となっていることを示す改善領域を表示する。
【0055】
前記の構成によれば、仕掛在庫量と稼働率との関係が改善対象となっているか否かを、管理者は容易に認識することができる。
【0056】
本開示の態様5に係る製造工程管理装置は、前記態様1~4の何れかにおいて、前記複数の製造工程はそれぞれ、複数の製造装置により処理が行われており、前記グラフ表示部は、前記製造装置ごとの前記仕掛在庫量を表示する。
【0057】
前記の構成によれば、管理者は、製造装置それぞれの仕掛在庫量を認識することができる。
【0058】
本開示の態様6に係る製造工程管理装置は、前記態様1~5の何れかにおいて、前記グラフ表示部は、前記製造工程における前記稼働率の時間的変化を表示する。
【0059】
前記の構成によれば、管理者は製造工程における稼働率の時間的変化を認識することができる。
【0060】
本開示の態様7に係る製造工程管理装置は、前記態様1~6の何れかにおいて、前記グラフ表示部は、前記複数の製造工程における製造工程順に、前記複数の製造装置ごとの前記仕掛在庫量、および前記製造工程における前記稼働率の時間的変化を表示する。
【0061】
前記の構成によれば、管理者は、製造工程順に、製造装置それぞれの仕掛在庫量、および製造工程における稼働率の時間的変化を一覧で認識することができる。
【0062】
本開示の態様8に係る製造工程管理装置は、前記態様1~7の何れかにおいて、前記グラフ表示部は、指定された製造工程についてのみ前記稼働率の時間的変化を表示する。
【0063】
前記の構成によれば、指定された製造工程についてのみ稼働率を表示するので、表示部の表示領域を効率的に利用することができる。
【0064】
本開示の態様9に係る製造工程管理方法は、複数の製造工程を含む製造ラインの前記製造工程ごとの仕掛在庫量および稼働率を取得するか、または同じ製造工程を含む複数の製造ラインにおいて、製造ラインごとの当該同じ当該製造工程の仕掛在庫量および稼働率を取得する取得ステップと、前記製造工程ごとの前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するか、または前記製造ラインごとの前記同じ製造工程の前記仕掛在庫量と前記稼働率との関係をグラフに一覧表示するグラフ表示ステップと、を含む。
【0065】
本開示の各態様に係る製造工程管理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記製造工程管理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記製造工程管理装置をコンピュータにて実現させる製造工程管理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【0066】
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0067】
10 製造工程管理装置
20 取得部
30 グラフ表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6