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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092773
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
E02F9/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208923
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 尚志
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 芳憲
(72)【発明者】
【氏名】河波 寛史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 純一
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA02
(57)【要約】
【課題】ボンネットの内部に、冷却器の冷却性能を損なわずに制御装置の配置場所を確保することができる作業機を提供する。
【解決手段】作業機1は、機体2と、機体2に搭載された原動機91と、原動機91を覆うボンネット14と、ボンネット14の上方に配置された操縦装置17Rと、操縦装置17Rの下方且つボンネット14の内部に配置された制御装置291と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に搭載された原動機と、
前記原動機を覆うボンネットと、
前記ボンネットの上方に配置された操縦装置と、
前記操縦装置の下方且つ前記ボンネットの内部に配置された制御装置と、
を備えている作業機。
【請求項2】
前記制御装置の上方を覆うカバー部材を備えている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記制御装置の上方に配置され前記操縦装置と前記ボンネットとの間から侵入する侵入物を受ける請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記制御装置から水平方向に外れた位置に向けて下り傾斜するように配置されている請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
前記カバー部材が取り付けられる取付部と、
前記取付部に前記カバー部材を取り付ける取付具と、
を備え、
前記取付部は当接部を有し、
前記カバー部材は被当接部を有し、
前記被当接部は、前記当接部に当接することで、前記カバー部材の前記取付具回りの回動を規制して前記カバー部材を下り傾斜するように保持する請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記原動機を冷却する冷却風を発生させる冷却ファンと、
前記原動機に対して前記冷却風の流れ方向の上流側に配置された冷却器と、
を備え、
前記制御装置は、前記原動機に対して前記冷却風の流れ方向の下流側に配置されている請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
前記原動機によって駆動される油圧ポンプを備え、
前記制御装置は、前記油圧ポンプの上方に配置されている請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記原動機からの排気ガスが導かれるマフラを備え、
前記制御装置は、前記マフラの上方に配置されている請求項6に記載の作業機。
【請求項9】
前記原動機側からの熱が前記制御装置に伝わらないように遮蔽する熱遮蔽体を備えている請求項1に記載の作業機。
【請求項10】
前記制御装置が取り付けられる取付ブラケットを備え、
前記取付ブラケットは、前記熱遮蔽体から間隔を有して配置されている請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記ボンネットの内部で前記機体に立設されていて前記ボンネットを支持する支持フレームを備え、
前記取付ブラケットは、前記支持フレームに取り付けられている請求項10に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された作業機は、機体に搭載された原動機及び該原動機を覆うボンネットを備えている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-183768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業機には、当該作業機に装備された電気機器を制御するのに制御装置が搭載されるが、この制御装置をボンネットの内部に配置する場合がある。制御装置をボンネットの内部に配置する場合、ボンネット内部に配置されるラジエータ、オイルクーラ等の冷却器の冷却性能を損なわない位置に配置するのが望ましい。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑み、ボンネットの内部に、冷却器の冷却性能を損なわずに制御装置の配置場所を確保することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された原動機と、前記原動機を覆うボンネットと、前記ボンネットの上方に配置された操縦装置と、前記操縦装置の下方且つ前記ボンネットの内部に配置された制御装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
上記の作業機によれば、ボンネットの内部における操縦装置の下方に制御装置を配置することで、ボンネットの内部に、冷却器の冷却性能を損なわずに制御装置の配置場所を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業機の全体側面図である。
図2】機体及び運転部の左斜視図である。
図3】機体の平面図である。
図4】機体及び運転部の右斜視図である。
図5】カバー装置を後方から見た斜視図である。
図6】原動機ルームの内部を示す一部断面背面図である。
図7】制御装置の設置場所を示す背面斜視図である。
図8】旋回基板及び支持フレーム等を示す斜視図である。
図9】制御装置の設置場所を示す右側面図である。
図10】制御装置の設置場所を示す背面図である。
図11】制御装置の配置場所の拡大斜視図である。
図12】制御装置の配置場所の拡大平面図である。
図13】制御装置及び取付ブラケットの分解斜視図である。
図14】操縦装置のフレームを示す背面斜視図である。
図15】操縦装置のフレームを示す右側面図である。
図16】操縦装置のフレームの後部を示す斜視図である。
図17】操縦装置のフレームを示す斜視図である。
図18】操縦装置のフレームを示す一部分解斜視図である。
図19】熱遮蔽体を示す斜視図である。
図20】熱遮蔽体を下方側から見た斜視図である。
図21】熱遮蔽体の分解斜視図である。
図22】熱遮蔽体と作動油タンクを後方側から見た斜視図である。
図23】熱遮蔽体と作動油タンクを前方側から見た斜視図である。
図24】熱遮蔽体と作動油タンクを左側方から見た斜視図である。
図25】一部分の拡大図を含む熱遮蔽体の側面断面図である。
図26】熱遮蔽体と第4カバー体とのシール部分を示す斜視図である。
図27】制御装置及び熱遮蔽体の側面断面図である。
図28】熱遮蔽体と第1カバー体及び第4カバー体とのシール部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
【0012】
図1に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2には、オペレータ(運転者)が着座する運転席6と、4柱式のロプス15とが搭載されている。運転席6は、座部6Aと背もたれ部6Bとを有する。座部6Aは、オペレータが着座する(臀部及び太股部を載せる)部位である。背もたれ部6Bは、着座したオペレータが背中をもたれかける部位であって、座部6Aの後部に上方に延びるように設けられている。ロプス15は、ルーフ19を有するキャノピ仕様である。
【0013】
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座したオペレータの前側に向かう方向(図1の矢印A1方向)を前方(機体前方)、オペレータの後側に向かう方向(図1の矢印A2方向)を後方(機体後方)、図1の矢印A3方向を前後方向(機体前後方向)として説明する。また、オペレータの左側に向かう方向(図1の手前側)を左方、オペレータの右側に向かう方向(図1の奥側)を右方として説明する。
【0014】
また、前後方向A3に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体幅方向外方として説明する。つまり、機体幅方向外方は、機体2の幅方向の中心から機体幅方向に離れる方向である。機体幅方向外方とは反対の方向を、機体幅方向内方として説明する。つまり、機体幅方向内方は、機体幅方向において機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0015】
図1に示すように、走行装置3は、機体2を走行可能に支持するクローラ式の走行装置であって、走行フレーム3Aと、走行フレーム3Aの左側に設けられた第1走行装置3Lと、走行フレーム3Aの右側に設けられた第2走行装置3Rとを有する。第1走行装置3L及び第2走行装置3Rは、油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成された走行モータM1によって駆動される。本実施形態ではクローラ式の走行装置3を用いているが、これに限らず、ホイール式等の走行装置を用いてもよい。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されるドーザシリンダによって駆動可能である。
【0016】
図1に示すように、機体2は、当該機体2の底部を構成する厚板材で形成された旋回基板5を有している。旋回基板5は、走行装置3の走行フレーム3A上に旋回ベアリング8を介して上下方向に延伸する軸心である旋回軸心X1回りに旋回可能に支持されている。旋回基板5は、旋回モータ99(図3参照)によって旋回軸心X1回りに旋回駆動される。また、機体2は、前部に、作業装置4を支持する支持ブラケット9及びスイングブラケット10を有している。支持ブラケット9は、機体2から前方に突出状に設けられている。詳しくは、支持ブラケット9は、旋回基板5の前部に固定され、旋回基板5から前方に突出している。スイングブラケット10は、支持ブラケット9の前部に、縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに揺動可能に取り付けられている。
【0017】
図1に示すように、作業装置4は、ブーム11、アーム12及びバケット13を有している。ブーム11の基部は、スイングブラケット10の上部に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回動可能に枢着されている。アーム12は、ブーム11の先端側に横軸回りに回動可能に枢着されている。バケット13は、アーム12の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。スクイ動作とは、バケット13をブーム11に近づける方向に揺動させる動作であり、例えば、土砂等を掬う場合の動作である。また、ダンプ
動作とは、バケット13をブーム11から遠ざける方向に揺動させる動作であり、例えば、掬った土砂等を落下(排出)させる場合の動作である。
【0018】
スイングブラケット10は、図示しないスイングシリンダの伸縮によって揺動可能とされている。ブーム11は、ブームシリンダC2の伸縮によって揺動可能とされている。アーム12は、アームシリンダC3の伸縮によって揺動可能とされている。バケット13は、バケットシリンダC4の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作可能とされている。スイングシリンダ、ブームシリンダC2、アームシリンダC3、バケットシリンダC4は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0019】
図2に示すように、機体2には、運転席6、運転席6の前方に配置された走行レバー16(図1参照)、運転席6の左側方に配置された操縦装置(左操縦装置)17L及び運転席6の右側方に配置された操縦装置(右操縦装置)17R等、を含む運転部18が搭載されている。走行レバー16は、走行装置3を操作する操作部材である。操縦装置17L,17Rは、作業装置4及び機体2等を操作する装置である、具体的には、ブーム11の揺動操作、アーム12の揺動操作、バケット13のスクイ動作及びダンプ動作の操作、機体2の旋回操作等を行う装置である。機体2の上面側且つ運転席6の前方側には、オペレータが足を置く部分である床部21が設けられている。床部21は、例えば、旋回基板5の上方に間隔を隔てて配置されて該旋回基板5に支持されたステップ板上にフロアマットを敷設して構成される。機体2の後部には、作業装置4との重量バランスを図るウエイト25が配置されている。本実施形態の作業機1は、小型のバックホーであって、図1に示すように、原動機91(原動機91を収容する原動機ルーム)の上方に運転席6が配置されている。
【0020】
左操縦装置17Lは、コンソールカバー22、操縦レバー(左操縦レバー)23L、リモコン弁(図示省略)、アームレスト26L及び操作ロックレバー(アンロードレバー)30を有している。
【0021】
コンソールカバー22は、リモコン弁及び左操縦装置17Lのフレーム機構等を覆う部材である。左操縦レバー23Lは、左操縦装置17Lの前部且つ上部に配置され、前方及び後方と左方及び右方に傾動操作可能である。リモコン弁は、左操縦レバー23Lで操作されるパイロット弁であり、左操縦レバー23Lの下方に配置されている。リモコン弁は、コンソールカバー22内に収容されている。アームレスト26Lは、オペレータの肘等を置く部材であり、左操縦レバー23Lの後方に配置されている。操作ロックレバー30は、作業機1に搭載された油圧アクチュエータを操作可能状態と操作不能状態とに切り替えるレバーである。
【0022】
図2に示すように、右操縦装置17Rは、コンソールカバー34、操縦レバー(右操縦レバー)23R、リモコン弁309(図18参照)、アームレスト26R、ドーザレバー35及び複数のスイッチ36を有している。
【0023】
コンソールカバー34は、右操縦装置17Rのフレームを覆うカバーである。右操縦装置17Rのフレームは、機体2側に取り付けられている。右操縦レバー23Rは、右操縦装置17Rの前部且つ上部に配置され、前方及び後方と左方及び右方に傾動操作可能である。リモコン弁309は、右操縦レバー23Rで操作されるパイロット弁であり、右操縦レバー23Rの下方に配置され、コンソールカバー34で覆われている。アームレスト26Rは、オペレータの肘等を置く部材であり、右操縦レバー23Rの後方に配置されている。ドーザレバー35は、ドーザ装置7を操作するレバーである。複数のスイッチ36は、コンソールカバー34の上面側に配置され、作業機1に装備された各種機器を操作するスイッチである。
【0024】
図3に示すように、機体2には、原動機91、ラジエータ92、オイルクーラ93、バッテリ94、油圧ポンプ95、燃料タンク96、作動油タンク97、コントロールバルブ98及び旋回モータ99等の搭載物が搭載されている。原動機91は、例えば、ディーゼルエンジンである。原動機91は、ガソリンエンジン又は電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
【0025】
原動機91の機体幅方向の一側(左部)には、冷却ファン100が取り付けられている
。冷却ファン100は、原動機91によって駆動され、左から右に向けて流れる冷却風F1を発生させる。言い換えると、冷却ファン100は、機体幅方向に延伸する軸心(回転軸心100a)回りに回動して機体2の左側方から空気(外気)を吸い込んで原動機91側へと流す吸い込み式のファンである。詳しくは、冷却ファン100は、後述するボンネット14の外部から内部へ外気を吸引して原動機91へ流し、該原動機91等を冷却する。さらに、言い換えると、冷却ファン100は、原動機91、ラジエータ92及びオイルクーラ93等を冷却する冷却風F1を発生させる。原動機91は、冷却ファン100に対して冷却風F1の流れ方向(冷却風F1が流れる方向)の下流側に配置されている。
【0026】
ラジエータ92は、原動機91を冷却する冷却液を冷却する冷却器である。オイルクーラ93は、油圧シリンダ、油圧モータ等の油圧アクチュエータから戻る戻りの作動油を冷却する冷却器である。
【0027】
図3に示すように、ラジエータ92とオイルクーラ93とは、冷却ファン100に対して冷却風F1の流れ方向の上流側(冷却ファン100の左方)に配置されている。また、ラジエータ92とオイルクーラ93とは、機体幅方向(冷却風F1が流れる方向)に並べて配置されていて、冷却風F1によって冷却される。
【0028】
バッテリ94は、作業機1に装備された電装品に電力を供給する蓄電池である。油圧ポンプ95は、原動機91の動力によって駆動され、作業機1に装備された油圧モータ、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータを駆動させる作動油(圧油)を吐出する。また、油圧ポンプ95は、油圧バルブを作動させるパイロット圧や、信号用の圧油を吐出する。燃料タンク96は、原動機91用の燃料を貯留するタンクである。作動油タンク97は、作動油を貯留するタンクである。コントロールバルブ98は、油圧ポンプ95から吐出された作動油により駆動される油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を制御する。旋回モータ99は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成され、機体2を旋回軸心X1回りに旋回させる(回転駆動する)モータである。
【0029】
図3に示すように、原動機91は、機体2の後部であって機体2の幅方向中途部に配置されている。また、原動機91は、運転席6の下方に配置されている。ラジエータ92は、原動機91及び冷却ファン100の左方に配置されている。オイルクーラ93は、ラジエータ92の左方に配置されている。バッテリ94は、オイルクーラ93の左方側であってオイルクーラ93よりも下方に配置されている。油圧ポンプ95は、原動機91の機体幅方向の他側(右部)に取り付けられている。燃料タンク96は、機体2の右部であって機体2の前部に配置されている。言い換えると、燃料タンク96は、運転席6の右の側方且つ前方に配置されている。作動油タンク97は、燃料タンク96の後方で且つ油圧ポンプ95の前方に配置されている。言い換えると、作動油タンク97は、機体2の右部であって、前後方向の中途部に配置されている。コントロールバルブ98は、機体2の左部の前部に配置されている。旋回モータ99は、機体2の前後方向の中途部であって機体2の幅方向の中途部に配置されている。また、旋回モータ99は、運転席6の前方且つ運転席6より下方に配置されている。
【0030】
機体2の上方には、図1に示すように、機体2に搭載された、原動機91等の搭載機器やタンク等の搭載部材等の搭載物を覆うカバー装置101が設けられている。図3に示すように、カバー装置101は、原動機91、ラジエータ92、オイルクーラ93、バッテリ94、油圧ポンプ95、燃料タンク96及び作動油タンク97を覆う。コントロールバルブ98及び旋回モータ99は、機体2の内部(床部21の下方)に配置されている。
【0031】
カバー装置101は、複数のカバー体101A~101Dを含む。該複数のカバー体101A~101Dは、運転席6の下方に配置されたカバー体(第1カバー体という)101Aを有している。第1カバー体101Aは、機体2に対して固定状に設けられている。また、第1カバー体101Aは、原動機91の前方及び上方を覆う。詳しくは、第1カバー体101Aは、原動機91の前方に位置する前壁101Aa(図2図4参照)と、原動機91の上方に位置する上壁101Ab(図5図6参照)とを有する。また、図5に示すように、上壁101Abは、後述する支持フレーム142のリヤアッパフレーム147に載置されて固定される後側壁部101Ab1を有している。
【0032】
また、複数のカバー体101A~101Dは、第1カバー体101A及び原動機91の後方に配置されたカバー体(第2カバー体という)101Bを有している。第2カバー体101Bは、原動機91の後方を開閉自在に覆う。図5に2点鎖線で示すように、第2カバー体101Bは、機体2に対して右端側が上下方向に延伸する軸心回りに回動自在に支持されて開閉自在とされている。また、複数のカバー体101A~101Dは、原動機91、冷却ファン100、ラジエータ92、オイルクーラ93及び後述のシュラウド141の左側方に配置されたカバー体(第3カバー体という)101Cを有している。第3カバー体101Cは、原動機91、冷却ファン100、ラジエータ92、オイルクーラ93及びシュラウド141等の機体幅方向外方(左側方)を開閉自在に覆う。
【0033】
図3図6に示すように、第3カバー体101Cは、ラジエータ92、オイルクーラ93等を左側方から覆う。図1図2に示すように、第3カバー体101Cには、外気を内側(ボンネット14の内部)に取り入れるための(冷却風F1を取り入れるための)外気取入れ口89が設けられている。外気取入れ口89は、例えば、パンチングメタル等の通風性のある覆い部材で覆われる。図5に2点鎖線で示すように、第3カバー体101Cは、機体2に対して前端側が上下方向に延伸する軸心回りに回動自在に支持されて開閉自在とされている。
【0034】
また、複数のカバー体101A~101Dは、機体2の右部に配置されたカバー体(第4カバー体という)101Dを有している。
【0035】
第1カバー体101Aと、第2カバー体101Bと、第3カバー体101Cと、第4カバー体101Dの後部とは、原動機91を収容する原動機ルーム91A(図6参照)を形成する。言い換えると、第1カバー体101Aと、第2カバー体101Bと、第3カバー体101Cと、第4カバー体101Dの後部とは、原動機ルーム91Aを形成するボンネット14を構成している(図6参照)。ボンネット14は開閉自在に形成されている。詳しくは、ボンネット14は、開閉自在なカバー体(第2カバー体101B、第3カバー体101C)を備えており、これにより、ボンネット14は開閉自在に形成されている。図6に示すように、原動機ルーム91Aには、原動機91のほか、ラジエータ92、オイルクーラ93、バッテリ94及び油圧ポンプ95等が収容される。
【0036】
なお、原動機ルーム91Aの後面下部はウエイト25によって形成される。原動機ルーム91Aの左及び右の側面下部は、ウエイト25の左部及び右部と、機体カバー107とによって構成される(図1図2図4参照)。機体カバー107は、機体2の前面、左側面及び右側面の外郭を形成するカバーである。また、原動機ルーム91Aの前面下部は、後述する仕切り壁体150によって構成される。
【0037】
第4カバー体101Dの前部は、燃料タンク96及び作動油タンク97を収容するタンクルームを形成する。言い換えると、第4カバー体101Dの前部は、タンクルームを形成するタンクカバー部103を構成している(図3参照)。つまり、カバー装置101は、ボンネット14と、タンクカバー部103とを有して構成されているとも言える。タンクルームは、原動機ルーム91Aに連通している。第4カバー体101Dは、運転席6の右側の側方に運転席6より前方に延出するように設けられている。即ち、第4カバー体101Dの前部(タンクカバー部103)は、運転席6の側方から運転席6より前方に延出している。
【0038】
図4に示すように、第4カバー体101Dは、メインカバー104と、側面カバー(側壁部)105とを有している。メインカバー104及び側面カバー105は、金属製の板材(板金)によって形成されている。メインカバー104及び側面カバー105は、樹脂板等の板材で形成されていてもよい。メインカバー104は、上壁104aと、側壁104bと、前壁104cとを有している。
【0039】
図3図4に示すように、側壁104bは、第4カバー体101Dの右側面を形成する。詳しくは、側壁104bは、機体2の前部から後部にかけて設けられていて、タンクルームの右側面と原動機ルーム91Aの右側面を形成する。
【0040】
図5図6に示すように、第4カバー体101Dの上面の前後方向の中途部及び後部は、該中途部から後部にかけて切り欠かれた切欠き部106とされている。この切欠き部106の上方に右操縦装置17Rが配置される(図4図6参照)。側壁104bの後部には、ボンネット14内に取り入れられた空気を排出する排出口88が形成されている(図4参照)。排出口88は、例えば、パンチングメタル等の通風性のある覆い部材で覆われる。
【0041】
図4に示すように、第4カバー体101D(タンクカバー部103)には、燃料タンク96の給油口及び作動油タンク97の給油口を露出させるべく形成された開口部108を開閉自在に閉鎖する給油口カバー113が設けられている。
【0042】
図4に示すように、側面カバー105は、タンクルームの左側面の上部を構成する。言い換えると、側面カバー105は、第4カバー体101Dの前部における運転席6側の側壁部を構成している。
【0043】
図7図8に示すように、作業機1は、機体2に立設された支持フレーム142を有している。図6に示すように、支持フレーム142は、原動機91、冷却ファン100、ラジエータ92及びオイルクーラ93等と共にボンネット14の内部(原動機ルーム91A)に配置されている。また、支持フレーム142は、ボンネット14の内部で機体2に立設されている(図7図8参照)。支持フレーム142は、ボンネット14等を支持する。
【0044】
図8に示すように、支持フレーム142は、一対の前支柱部143と、一対の後支柱部144と、一対のアッパサイドフレーム部145と、フロントアッパフレーム146と、リヤアッパフレーム147と、前取付板148と、一対の後取付板149とを有している。なお、支持フレーム142の構成は種々変更可能であり、支持フレーム142を構成する構成要素の本数又は個数は、実施形態のものに限定されるものではない。
【0045】
一対の前支柱部143は、原動機91の前方側に機体幅方向に間隔をあけて配置される。この一対の前支柱部143は、機体2(旋回基板5)の左部側に配置された左の前支柱部(第1前支柱部という)143Lと、機体2(旋回基板5)の右部側に配置された右の前支柱部(第2前支柱部という)143Rとを含む。一対の後支柱部144は、原動機91の後方側に機体幅方向に間隔をあけて配置される。この一対の後支柱部144は、第1前支柱部143Lの後方に配置された左の後支柱部(第1後支柱部という)144Lと、第2前支柱部143Rの後方に配置された右の後支柱部(第2後支柱部という)144Rとを含む。
【0046】
一対のアッパサイドフレーム部145は、第1前支柱部143Lの上部から一体的に後方に延出された左のアッパサイドフレーム部(第1アッパサイドフレーム部という)145Lと、第2前支柱部143Rの上部から一体的に後方に延出された右のアッパサイドフレーム部(第2アッパサイドフレーム部という)145Rとを含む。第1アッパサイドフレーム部145Lの後部は、第1後支柱部144Lの上部に当接し且つ該上部に固定されている。第2アッパサイドフレームの後部は、第2後支柱部144Rの上部の左方に位置し且つ該上部に固定されている。
【0047】
フロントアッパフレーム146は、第1前支柱部143Lの上部及び第1アッパサイドフレーム部145Lの前部と、第2前支柱部143Rの上部及び第2アッパサイドフレーム部145Rの前部とを連結している。リヤアッパフレーム147は、第1後支柱部144Lの上部及び第1アッパサイドフレーム部145Lの後部と、第2後支柱部144Rの上部及び第2アッパサイドフレーム部145Rの後部とを連結している。
【0048】
前取付板148は、第1前支柱部143Lの下端部と第2前支柱部143Rの下端部とにわたって設けられ、これら下端部同士を連結している。前取付板148は、旋回基板5に立設された仕切り壁体150の上部にボルト等によって固定されている。仕切り壁体150は、旋回基板5と共に機体2を構成する構成要素であって、原動機ルーム91Aの前面の下部を仕切る。つまり、仕切り壁体150は、原動機ルーム91Aと、該原動機ルーム91Aの下部前方とを隔てる隔壁部材である。本実施形態では、第1前支柱部143L及び第2前支柱部143Rは、機体2を構成する仕切り壁体150に立設されている。
【0049】
一対の後取付板149は、第1後支柱部144Lの下端部に固定された第1後取付板149Lと、第2後支柱部144Rの下端部に固定された第2後取付板149Rとを含む。
【0050】
第1後取付板149Lは、旋回基板5に立設された第1ブラケット部材151Lの上部に取り付けられている。第2後取付板149Rは、旋回基板5に立設された第2ブラケット部材151Rの上部に取り付けられている。第1ブラケット部材151L及び第2ブラケット部材151Rは、旋回基板5と共に機体2を構成する構成要素である。本実施形態では、第1後支柱部144L及び第2後支柱部144Rは、機体2を構成する第1ブラケット部材151L及び第2ブラケット部材151Rに立設されている。
【0051】
図8に示すように、旋回基板5上には、支持ブラケット9から後方に延びる一対の縦リブ224L、224Rが設けられている。左の縦リブ224Lの後部は、接続プレート225を介して第1ブラケット部材151Lに接続されている。右の縦リブ224Rの後部は、第2ブラケット部材151Rに接続されている。
【0052】
図8に示すように、支持フレーム142の前部の右側には、仕切り部材292及び支持部材293が設けられている。仕切り部材292及び支持部材293は、板材によって形成されている。仕切り部材292は、支持フレーム142と作動油タンク97との間を仕切る部材である。仕切り部材292は、第2アッパサイドフレーム部145Rの前部の下面から仕切り壁体150の上部にわたって設けられている。仕切り部材292は、第2アッパサイドフレーム部145Rの前部下面、仕切り壁体150の上部及び第2前支柱部143Rの後面に当接し且つ溶接固定されている。仕切り部材292は、支持フレーム142から右方に突出状に設けられており、仕切り部材292における該支持フレーム142から右方に突出する部分の上部には、シール部材294が取り付けられている。シール部材294は、第2アッパサイドフレーム部145Rの前部の右側方に位置している(図11参照)。
【0053】
支持部材293は、仕切り部材292の上部の後方に配置されている。支持部材293は、前端が仕切り部材292に溶接等によって固定されている。また、支持部材293は、支持フレーム142の第2アッパサイドフレーム部145Rの下面側から右方に突出状とされている。なお、支持部材293は、第2アッパサイドフレーム部145Rにも固定されていてもよい。
【0054】
図8に示すように、第2アッパサイドフレーム部145Rにおける、リヤアッパフレーム147より前方且つ支持部材293より後方には、取付部材295が設けられている。取付部材295は、第2アッパサイドフレーム部145Rの下面に溶接等によって固定されている。
【0055】
図6に示すように、ラジエータ92の右方には、冷却ファン100を覆うシュラウド141が配置されている。シュラウド141は、冷却ファン100によって起風された冷却風F1が機体幅方向外方(ラジエータ92及びオイルクーラ93配置側)から機体幅方向内方(原動機91配置側)に効率よく流れるように風の流れを形成すべく冷却ファン100を覆うカバーである。シュラウド141には、冷却ファン100の効率を高めるために、冷却ファン100の外周円に対応する送風開口141aが形成されていて、冷却ファン100によって発生した冷却風F1は、送風開口141aを介して原動機91側へ向けて送風される。
【0056】
また、原動機91は、複数のシリンダを有し且つクランクシャフトが収められたシリンダブロック192を備えている。シリンダブロック192の右には、フライホイールハウジング199が組み付けられている。フライホイールハウジング199には油圧ポンプ95が組み付けられている。フライホイールハウジング199の上方には、原動機91からの排気ガスが導かれるマフラ200が配置されている。マフラ200は、原動機91から排出される排気ガスの浄化や音量・音質の調整等の役割を持つ機器である。
【0057】
図6に示すように、ボンネット14の内部には、制御装置(ECU:Electronic Control Unit)291が配置されている。制御装置291は、作業機1に装備された電気機器を制御する装置であって、例えば、原動機91の回転を制御したり、作業機1に装備された制御バルブを作動させる電磁弁を制御したり等する。また、制御装置291は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えたマイクロコンピュータを利用して構成される。図11図12に示すように、制御装置291は、ハーネスを接続する接続部296が右方を向くように設置されている。
【0058】
図6図10に示すように、制御装置291は、右操縦装置(操縦装置)17Rの下方に配置されている。また、制御装置291は、支持フレーム142の第2アッパサイドフレーム部145Rの側方(右側方)に配置されている。
【0059】
図6に示すように、制御装置291は、原動機91に対して冷却風F1の流れ方向の下流側に配置されている。言い換えると、制御装置291は、原動機91に対して冷却器(ラジエータ92、オイルクーラ93)とは反対側に配置されている。制御装置291を、原動機91に対して冷却風F1の流れ方向の下流側、つまり、ラジエータ92及びオイルクーラ93等の冷却器の配置側とは反対側に配置することにより、ボンネット14の内部に、冷却器の冷却性能を損なわずに制御装置291の配置場所を確保することができる。また、制御装置291は、マフラ200、フライホイールハウジング199、油圧ポンプ95の上方に配置されている。
【0060】
図9に示すように、制御装置291は、右操縦装置17Rの後部の下方に配置されている。図7に示すように、右操縦装置17Rの前部の下方には作動油タンク97が配置されている。つまり、制御装置291は、作動油タンク97の後方に配置されている。詳しくは、制御装置291は、作動油タンク97の上部の後方に配置されている。
【0061】
図9図12に示すように、制御装置291は、取付ブラケット297を介して支持フレーム142に支持されている。詳しくは、図13に示すように、取付ブラケット297は、板材によって形成されており、載置壁297aと、取付壁297bと、補強壁297cを有している。載置壁297aは、板面が上下方向を向くように配置される。取付壁297bは、載置壁297aの左端から上方に延びる。補強壁297cは、載置壁297aの後端側の左部から上方に延びる。
【0062】
制御装置291は、載置壁297aに載置され且つボルト298及びナット(図示省略)によって載置壁297aに取り付けられる。取付壁297bは、取付部材295の右面に重ね合わされてボルト299及び取付部材295の左面に固定されるナット300によって取付部材295に取り付けられている(図27参照)。つまり、取付ブラケット297は、取付部材295を介して支持フレーム142に取り付けられている。
【0063】
図9、10及び図12に示すように、制御装置291の上方には、カバー部材301が配置されている。カバー部材301は、制御装置291の上方を覆い、右操縦装置17Rとボンネット14との間から侵入する雨水、洗車水等の水やゴミ等の侵入物(異物)を受ける。カバー部材301は、板材によって形成されている。また、図12に示すように、カバー部材301は、制御装置291の接続部296の上方を覆う。したがって、カバー部材301は、接続部296に接続されるハーネスの接続端子部も覆う。
【0064】
図14図15に示すように、カバー部材301は、カバー本体301aと、カバー本体301aの左端から上方に延びる延設壁301bを有している。カバー部材301は、カバー本体301aの板面が上方を向くように制御装置291の上方に配置される。カバー本体301aは、制御装置291の上方に位置して侵入物を受ける。カバー本体301aの上面は侵入物を受ける受け面とされている。また、カバー部材301は、カバー本体301aが制御装置291から水平方向に外れた位置に向けて下り傾斜するように制御装置291の上方に配置される。本実施形態では、図9に示すように、カバー部材301は、カバー本体301aが前方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状になるように配置され、且つカバー本体301aの前端が制御装置291の前方に外れた位置に位置している。したがって、カバー部材301は、受けた侵入物を制御装置291の前方に移動させると共に制御装置291の前方に落とすことが可能である。
【0065】
なお、カバー部材301を、前下がり傾斜状とすることに限定されることはない。例えば、後下がり傾斜状であってもよく、右下がり傾斜状或いは左下がり傾斜状であってもよい。要は、カバー部材301は、受け面が制御装置291から水平方向に外れた位置に向けて下り傾斜するように配置されていればよい。
【0066】
図14図15に示すように、延設壁301bの後部には、被取付部302と被当接部
303が設けられている。被当接部303は、被取付部302の後方に設けられている。被当接部303は、カバー部材301を形成する板材の一部を切起こすことで形成されている。また、被当接部303は、板面が前後方向を向くように左方に向けて折曲することで形成されている。
【0067】
図14図15に示すように、カバー部材301(延設壁301b)は、右操縦装置17Rのフレーム304に取り付けられている。
【0068】
ここで、右操縦装置17Rのフレーム304について先に説明する。
【0069】
図14図18に示すように、右操縦装置17Rのフレーム304は、第1側板305Lと、第2側板305Rと、取付台306と、連結板307と、取付板308とを有している。第1側板305Lと、第2側板305Rとは、機体幅方向に間隔をあけて配置されている。第1側板305Lの右方に第2側板305Rが配置されている。取付台306は、第1側板305Lと第2側板305Rとの間の前部に配置されて第1側板305Lと第2側板305Rとを連結している。連結板307は、第1側板305Lと第2側板305Rとの間の後部に配置されて第1側板305Lと第2側板305Rとを連結している。取付板308は、前後方向が長い板材によって形成され、板面が上下方向に向くように第1側板305Lの下方に配置され且つ右部が第1側板305Lの下端に固定されている。
【0070】
図16に示すように、取付板308は、第2アッパサイドフレーム部145Rの上面に重ね合わされ且つ第2アッパサイドフレーム部145Rにボルト等によって取り付けられる。即ち、フレーム304は、支持フレーム142に取り付けられる。
【0071】
図18に示すように、取付台306は、上壁306aと、前壁306bと、後壁306cとを有している。上壁306aは、第1側板305L及び第2側板305Rより上方に配置され、前下がり傾斜状に配置されている。該上壁306aには、右操縦レバー23Rで操作されるリモコン弁309が取り付けられる。前壁306bは、上壁306aの傾斜方向の前端から下方に延出され、第1側板305Lと第2側板305Rとを連結している。後壁306cは、上壁306aの傾斜方向の後端から後下がり傾斜状に延出され、第1側板305Lと第2側板305Rとを連結している。後壁306cの下端側には、シール当接部306dが設けられている。シール当接部306dは、取付板308の前端側右面と第2側板305Rの前後方向中途部に設けられた下方に延出状の延出部305Raとの間に設けられている。
【0072】
図14に示すように、第2側板305Rの前部左面には、ドーザレバー35を支持する支持筒310が支軸311を介して機体幅方向に延伸する軸心回りに回動自在に支持されている。支持筒310に固定されたアーム312に操作ケーブル313の一端側が連結されている。操作ケーブル313の他端側は、ドーザ装置7を駆動する油圧シリンダを制御する制御バルブに連動機構を介して連結されている。
【0073】
図9図14に示すように、カバー部材301は、フレーム304の第2側板305Rの機体幅方向外方に配置されている。詳しくは、カバー部材301は、第2側板305Rの後部且つ下部の右方に配置されている。
【0074】
図15に示すように、カバー部材301の被取付部302は、第2側板305Rに1本のボルト(取付具)314によって取り付けられている。フレーム304の第2側板305Rが、カバー部材301を取り付ける取付部とされている。
【0075】
図16に示すように、被当接部303は、第2側板305Rの後端下部に当接している。したがって、第2側板305Rの後端下部が、被当接部303を当接させる当接部315とされている。被当接部303が当接部315に当接することで、カバー部材301のボルト(取付具)314回りの下方回動が規制される。これにより、カバー部材301(カバー本体301a)が下り傾斜するように保持される。カバー部材301を1本のボルトで取り付け、被当接部303をフレーム304の当接部315に当てて回り止めすることにより、カバー部材301を所定の傾斜姿勢に簡単に取り付けることができる。
【0076】
図9図10及び図11に示すように、作業機1は、原動機91側(原動機91、マフラ200、油圧ポンプ95等)からの熱が制御装置291に伝わらないように遮蔽する熱遮蔽体316を備えている。熱遮蔽体316は、制御装置291を下方側から覆い、原動
機91側から冷却風F1(熱風)、対流熱、輻射熱等の熱が制御装置291に伝わらないように遮蔽する。
【0077】
図12図19図20及び図21に示すように、熱遮蔽体316は、第1構成体317と、第2構成体318とを有している。第1構成体317及び第2構成体318は板材によって形成されている。
【0078】
図21に示すように、第1構成体317は、第1部材319、第2部材320、第3部材321を有している。第1部材319は、第1部位319aと、第2部位319bとを有している。
【0079】
図27に示すように、第1部位319aは、板面が上下方向を向くようにして制御装置291の下方に配置されている。第2部位319bは、第1部位319aの左端から左方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に延出している。第2部位319bの傾斜方向の上端は、第2アッパサイドフレーム部145Rの下面の左端部に位置している。第2部位319bにより、熱遮蔽体316の左方から制御装置291側への熱(熱風)の流通が遮断される。なお、第2部位319bの傾斜方向の上部と第2アッパサイドフレーム部145Rの下面との間には、シール部材322が介在される。また、第2アッパサイドフレーム部145Rと第1カバー体101Aの上壁101Abとの間には、図示省略のシール部材が介在されており、原動機91側の熱(熱風)が第2アッパサイドフレーム部145Rを越えて制御装置291の配置側へ流通するのを遮断するように構成されている。
【0080】
図19図20及び図21に示すように、第1部材319は、ゴム等の弾性部材から形成される弾性板材323を有している。図27に示すように、弾性板材323は外周部に周溝を有しており、第1部材319の本体を構成する板材に形成された開口324の開口縁部に、弾性板材323の周溝を嵌めることにより、第1部位319aに弾性板材323が設けられている。なお、弾性板材323は省略することができる。
【0081】
図21に示すように、第1部材319の前部には、切欠き部325が形成されている。切欠き部325は、第2部位319bの上端から第1部位319aの右部にわたって形成されている。また、第1部材319には、係合片(第1係合片と言う)326が設けられている。本実施形態では、第1係合片326は、第1部位319aの前部と第2部位319bの前部とに設けられている。つまり、第1係合片326は、一対設けられている。なお、第1係合片326は、1つ又は3つ以上設けられていてもよい。つまり、第1係合片326は、少なくとも1つ設けられていればよい。第1係合片326は、第1部材319の上面側に溶接等により固定されていると共に、切欠き部325の縁部から前方に突出している。
【0082】
図20図21に示すように、第2部材320は、第1部材319の前部の下面側に重ね合わされて溶接等により固定されている。図21に示すように、第2部材320は、切欠き部325の縁部からはみ出している。言い換えると、第2部材320は、第1部材319の前部から前方に突出する突出部(第1突出部と言う)320aを有している。また、第2部材320は、第1部材319の前部から右方に突出した突出部(第2突出部と言う)320bを有している。
【0083】
図19に示すように、第1部材319は、支持部材293の後方に配置され、前部が支持部材293に支持される。詳しくは、図25に示すように、第1突出部320aと第1係合片326との間に支持部材293の後部を嵌めることで、第1部材319の前部が支持部材293に支持される。
【0084】
図21に示すように、第3部材321は、第1部材319の後端部に第1部位319aから第2部位319bにわたって設けられている。また、第3部材321は、第1部材319の後端部に立設されている。図12に示すように、第3部材321は、左部の板面が前後方向を向き、右部の板面が右斜め前方を向くように折曲されて形成されている。図19に示すように、第3部材321の左部の前面には、ステー部材327が固定されている。該ステー部材327は、図11に示すように、取付片327aを有し、該取付片327aは、取付ブラケット297の後方において、ボルト328等によって取付部材295に取り付けられる。
【0085】
以上のように、第1構成体317は、前部が支持部材293に取り付けられ、後部がステー部材327を介して取付部材295に取り付けられる。これにより、第1構成体317(熱遮蔽体316)は、支持フレーム142に取付けられる。なお、第1構成体317は、上記した取付け箇所以外に、取付け箇所を有していてもよい。例えば、第2部位319bの傾斜方向の上部を、第2アッパサイドフレーム部145Rに固定したステー部材に取り付けるようにしてもよい。
【0086】
図19に示すように、第3部材321の右部には、グロメット329が設けられている。該グロメット329は、制御装置291の接続部296に接続されるハーネスを通すためのものである。グロメット329は、第3部材321に形成される切欠き部330(図28参照)に嵌められる。
【0087】
図21に示すように、第3部材321の上部には、シール部材331が取り付けられている。シール部材331は、ステー部材327の取付片327aより右方の部分(第1部分と言う)321aに設けられている。第3部材321における取付片327aより左方の部分(第2部分と言う)321bは、第1部分321aよりも低く形成されている。図20に示すように、第2部分321bは、第2アッパサイドフレーム部145Rの下方に配置され且つ第2アッパサイドフレーム部145Rの下面に当接する。図19に示すように、第1部分321aの左端は、第2アッパサイドフレーム部145Rの右面に当接する。
【0088】
図25図28に示すように、シール部材331の左部は、第1カバー体101Aの上壁101Abの後側壁部101Ab1の下面に当接する。また、図25に示すように、シール部材331は、後側壁部101Ab1の下面から第4カバー体101Dの内面にわたって当接する。
【0089】
図21に示すように、第2構成体318は、第1部材332と、第2部材333と、第3部材334とを有している。図27に示すように、第1部材332は、板面が上下方向を向くようにして、制御装置291の下方且つ第1構成体317の第1部位319aの右方に配置されている。
【0090】
図19図21に示すように、第1部材332には、係合片(第2係合片と言う)335が設けられている。本実施形態では、第2係合片335は、第1部材332の左部の前部及び後部に設けられている。つまり、第2係合片335は、一対設けられている。なお、第2係合片335は、1つ又は3つ以上設けられていてもよい。つまり、第2係合片335は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0091】
第2係合片335は、第1部材332の上面に溶接等によって固定されている。また、第2係合片335は、第1部材332の左端縁部から左方に突出している。第1部材332は、第1構成体317の第2突出部320b上に載置され、第2係合片335は、第1構成体317の第1部位319a上に載置される。
【0092】
図20図27に示すように、第2構成体318の第1部材332は、第1構成体317の第1部材319に接合具336によって接合される。接合具336は、前後一対設けられている。接合具336は、第1接合具336Aと、第2接合具336Bと、締結具336Cとを有している。第1接合具336Aは、第1構成体317の第1部位319aの下面に固定されている。第2接合具336Bは、第2構成体318の第1部材332の下面に固定されている。第1接合具336Aと第2接合具336Bとは機体幅方向で重ね合わされ、ボルト及びナットからなる締結具336Cによって締結される。
【0093】
第1構成体317の第1部位319a及び第2構成体318の第1部材332によって熱遮蔽体316の下方から制御装置291側への熱(熱風)の流通が遮断される。
【0094】
図27に示すように、第1構成体317の第1部位319a及び第2構成体318の第1部材332は、取付ブラケット297の下方に、上下方向に間隔をあけて配置されている。言い換えると、取付ブラケット297は、熱遮蔽体316から間隔を有して配置されている。これにより、熱遮蔽体316から熱伝導によって取付ブラケット297に熱が伝わるのを防止でき、延いては制御装置291に熱が伝わるのを防止できる。
【0095】
図19に示すように、第2構成体318の第1部材332の前部の左部には、グロメッ
ト337が設けられている。グロメット337は、ドーザレバー35側から配設される操作ケーブル313を熱遮蔽体316の下方に通すためのものである。
【0096】
図21図26に示すように、第2構成体318の第1部材332は、後端側の左部に、上方に延出された延出部332aを有している。延出部332aによってグロメット329が抜け止めされる。また、延出部332aの上部には、シール部材338が取り付けられている。
【0097】
図12図21に示すように、第2部材333は、第1部材332の左端側の前部から延出部332aにかけて設けられ、且つ第1部材332に立設されている。第2部材333は、第4カバー体101Dの後部且つ上部の内面形状に沿うように形成されている。第2部材333の上部には、シール部材339が取り付けられている。
【0098】
図26図27に示すように、第1部材332の延出部332aに取り付けられたシール部材338及び第2部材333の上部に取り付けられたシール部材339は、第4カバー体101Dの内面に当接している。
【0099】
第2部材333及びシール部材339によって、熱遮蔽体316の右方から制御装置291側への熱(熱風)の流通が遮断される。
【0100】
また、第2部材333の後部、シール部材339、延出部332a、シール部材338、第3部材321及びシール部材331により、熱遮蔽体316の後方から制御装置291側への熱(熱風)の流通が遮断される。
【0101】
図19図21に示すように、第3部材334は、機体幅方向に長い板材によって形成され、第1部材332の前端に立設されている。第3部材334の右端部は第2部材333の前端部に当接され且つ該第2部材333に溶接等によって固定されている。
【0102】
図7図22及び図23に示すように、第3部材334は、作動油タンク97の後面の上部に対応する位置に配置される。作動油タンク97の後面上部には、矩形板状のシール部材340が設けられている。このシール部材340に、第3部材334が後方から面接触して当接する。これにより、原動機91側からの熱が第2構成体318の前方側から制御装置291側へ流通するのが防止される。また、作動油タンク97の右側面には、第4カバー体101Dの内面との間に介在するシール部材341が設けられている。シール部材341によって、原動機91側からの熱(熱風)が作動油タンク97の右側面と第4カバー体101Dの内面との間を通って作動油タンク97の上方に流通するのが防止される。
【0103】
図24に示すように、作動油タンク97の左側面の前部には、シール構造体342が設けられている。シール構造体342は、複数のシール部材342A、342B、342C、342Dを有して構成されている。シール部材342Aは、仕切り部材292の右端側に当接する。シール部材342B及びシール部材342Cは、仕切り壁体150の右端側の上部に当接する。また、シール部材342Cは、仕切り部材292に取り付けられたホースクランプ343の上部に位置し、シール部材342Dは、ホースクランプ343の前部に当接する。
【0104】
図11に示すように、仕切り部材292の上部に取り付けられたシール部材294は、第2アッパサイドフレーム部145Rの前部の右側方に位置しており、且つシール部材294は、図18に示すように、フレーム304の第2側板305Rの延出部305Raの左面及び取付台306のシール当接部306dの下面に当接している。したがって、シール部材294は、第2アッパサイドフレーム部145Rと第2側板305Rの延出部305Raとの間で、取付台306のシール当接部306dの下面に当接している。
【0105】
作動油タンク97、シール構造体342、仕切り部材292、シール部材294及びフレーム304等によって、熱遮蔽体316の前方から制御装置291側への熱(熱風)の流通が遮断される。
【0106】
以上のように、熱遮蔽体316の周囲から原動機91側の熱(熱風)が制御装置291側に流通するのを遮断することができる。
【0107】
なお、熱遮蔽体316の下面、後面及び左面等の原動機91側の面には、断熱材(図示省略)が張られている。
【0108】
上述した本実施形態の作業機1は、機体2と、機体2に搭載された原動機91と、原動機91を覆うボンネット14と、ボンネット14の上方に配置された操縦装置17Rと、操縦装置17Rの下方且つボンネット14の内部に配置された制御装置291と、を備えている。
【0109】
この構成によれば、ボンネット14の内部における操縦装置17Rの下方に制御装置291を配置することで、ボンネット14の内部に、冷却器の冷却性能を損なわずに制御装置291の配置場所を確保することができる。
【0110】
また、作業機1は、制御装置291の上方を覆うカバー部材301を備えていている。
【0111】
この構成によれば、上方からの外的要因から制御装置291を保護することができる。
【0112】
また、カバー部材301は、制御装置291の上方に配置され操縦装置17Rとボンネット14との間から侵入する侵入物を受ける。
【0113】
この構成によれば、操縦装置17Rとボンネット14との間から侵入する侵入物から制御装置291を保護することができる。
【0114】
また、カバー部材301は、制御装置291から水平方向に外れた位置に向けて下り傾斜するように配置されている。
【0115】
この構成によれば、カバー部材301上の異物を制御装置291から外れた位置に排除することができる。
【0116】
また、作業機1は、カバー部材301が取り付けられる取付部(第2側板305R)と、取付部305Rにカバー部材301を取り付ける取付具(ボルト314)と、を備え、取付部305Rは当接部315を有し、カバー部材301は被当接部303を有し、被当接部303は、当接部315に当接することで、カバー部材301の取付具314回りの回動を規制してカバー部材301を下り傾斜するように保持する。
【0117】
この構成によれば、カバー部材301を下り傾斜状に容易に取り付けることができる。
【0118】
また、作業機1は、原動機91を冷却する冷却風F1を発生させる冷却ファン100と、原動機91に対して冷却風F1の流れ方向の上流側に配置された冷却器(ラジエータ92、オイルクーラ93)と、を備え、制御装置291は、原動機91に対して冷却風F1の流れ方向の下流側に配置されている。
【0119】
この構成によれば、制御装置291が冷却器の冷却性能を妨げるのを防止することができる。
【0120】
また、作業機1は、原動機91によって駆動される油圧ポンプ95を備え、制御装置291は、油圧ポンプ95の上方に配置されている。
【0121】
この構成によれば、制御装置291が冷却器の冷却性能を妨げるのを防止することができる。
【0122】
また、作業機1は、原動機91からの排気ガスが導かれるマフラ200を備え、制御装置291は、マフラ200の上方に配置されている。
【0123】
この構成によれば、制御装置291が冷却器の冷却性能を妨げるのを防止することができる。
【0124】
また、作業機1は、原動機91側からの熱が制御装置291に伝わらないように遮蔽する熱遮蔽体316を備えている。
【0125】
この構成によれば、原動機91側からの熱が制御装置291に影響を与えるのを抑制することができる。
【0126】
また、作業機1は、制御装置291が取り付けられる取付ブラケット297を備え、取付ブラケット297は、熱遮蔽体316から間隔を有して配置されている。
【0127】
この構成によれば、熱遮蔽体316から熱伝導によって取付ブラケット297に熱が伝わるのを防止でき、延いては制御装置291に熱が伝わるのを防止できる。
【0128】
また、作業機1は、ボンネット14の内部で機体2に立設されていてボンネット14を支持する支持フレーム142を備え、取付ブラケット297は、支持フレーム142に取り付けられている。
【0129】
この構成によれば、制御装置291を確りと支持することができる。
【0130】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての
点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
1 作業機
2 機体
14 ボンネット
17R 操縦装置
91 原動機
92 冷却器(ラジエータ)
93 冷却器(オイルクーラ)
100 冷却ファン
142 支持フレーム
291 制御装置
297 取付ブラケット
301 カバー部材
303 被当接部
305R 取付部(第2側板)
314 取付具(ボルト)
315 当接部
316 熱遮蔽体
F1 冷却風
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