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特開2024-92779タイヤ外傷モニタリング装置及びタイヤ外傷モニタリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092779
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】タイヤ外傷モニタリング装置及びタイヤ外傷モニタリング方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20240701BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208930
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】勝野 弘之
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131LA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タイヤの外傷をモニタリングする技術の有用性を向上させることができる、タイヤ外傷モニタリング装置及びタイヤ外傷モニタリング方法を提供することにある。
【解決手段】本開示に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、タイヤを撮像した画像を取得し、前記画像内に写された前記タイヤの外表面上の外傷の程度を定量化し、前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定し、前記外傷の前記程度が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記タイヤの外傷情報を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ外傷モニタリング装置であって、
タイヤを撮像した画像を取得し、
前記画像内に写された前記タイヤの外表面上の外傷の程度を定量化し、
前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定し、
前記外傷の前記程度が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記タイヤの外傷情報を出力するように構成された、制御部を備える、タイヤ外傷モニタリング装置。
【請求項2】
前記外傷の程度を定量化することは、前記画像内に写された前記タイヤの前記外表面上の前記外傷の長さ又は幅の少なくとも一方から、前記外傷の深さを推定することを含む、請求項1に記載のタイヤ外傷モニタリング装置。
【請求項3】
前記画像は、サーモグラフィカメラで撮影されたサーモグラフィ画像を含み、
前記外傷の程度を定量化することは、前記サーモグラフィ画像内に写された前記タイヤの前記外表面上の前記外傷の温度から、前記外傷の深さを推定することを含む、請求項1に記載のタイヤ外傷モニタリング装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記タイヤの内腔温度を取得し、
前記画像内に写された前記タイヤの前記外表面上の前記外傷の前記温度に加えて、前記タイヤの前記内腔温度を用いて、前記外傷の深さを推定するように更に構成されている、請求項3に記載のタイヤ外傷モニタリング装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記タイヤを装着した車両の走行距離又は走行時間を取得し、
前記外傷の前記程度と、前記車両の前記走行距離又は前記走行時間とに基づいて、前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定するように更に構成されており、
前記許容範囲は、前記外傷の前記程度が大きく、且つ、前記車両の前記走行距離又は前記走行時間が少ないほど、前記外傷の前記程度が前記許容範囲を超えやすいように設定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ外傷モニタリング装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記タイヤの熱履歴を取得し、
前記外傷の前記程度と、前記タイヤの前記熱履歴とに基づいて、前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定するように更に構成されており、
前記許容範囲は、前記外傷の前記程度が大きく、且つ、前記熱履歴が大きいほど、前記外傷の前記程度が前記許容範囲を超えやすいように設定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ外傷モニタリング装置。
【請求項7】
前記タイヤを撮像した前記画像は、前記タイヤへの負荷が大きいシビアコンディションで撮像された第1の画像と、前記タイヤへの負荷が小さいマイルドコンディションで撮像された第2の画像とを含み、
前記制御部は、
前記第1の画像に基づいて定量化された第1の外傷の程度と、前記第2の画像に基づいて定量化された第2の外傷の程度とに基づいて、前記タイヤの前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ外傷モニタリング装置。
【請求項8】
1つ以上のコンピュータが実行するタイヤ外傷モニタリング方法であって、
タイヤを撮像した画像を取得することと、
前記画像内に写された前記タイヤの外表面上の外傷の程度を定量化することと、
前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定することと、
前記外傷の前記程度が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記タイヤの外傷情報を出力することと、
を含む、タイヤ外傷モニタリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ外傷モニタリング装置及びタイヤ外傷モニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの外傷をモニタリングする技術が知られている。例えば、特許文献1には、リムホイールに組み付けられたタイヤの画像データに基づいて、リムホイールの径を基準としたタイヤの外傷部分のサイズを検出するタイヤ外傷検出システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-202729
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイヤの外傷をモニタリングする技術の有用性の更なる向上が求められている。例えば、鉱山サイトにおいて利用される鉱山車両では、突発的なタイヤの故障が生じると、鉱山車両の運搬及びタイヤ交換等の作業の発生により、生産性が低下してしまう。また、突発的な故障を予防するために作業員によりタイヤの検品を行うことは、コスト面で負担となっている。そのため、タイヤの外傷のモニタリングを自動化することが求められている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、タイヤの外傷をモニタリングする技術の有用性を向上させる、タイヤ外傷モニタリング装置及びタイヤ外傷モニタリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、タイヤを撮像した画像を取得し、前記画像内に写された前記タイヤの外表面上の外傷の程度を定量化し、前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定し、前記外傷の前記程度が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記タイヤの外傷情報を出力するように構成された、制御部を備える。
本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置によれば、自動により、タイヤの外表面上の外傷をモニタリングし、外傷の程度に応じてタイヤの外傷情報を出力することができる。このため、当該タイヤ外傷モニタリング装置によれば、タイヤの外傷をモニタリングする技術の有用性を向上させることができる。
【0007】
〔2〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、上記〔1〕に記載のタイヤ外傷モニタリング装置であって、前記外傷の程度を定量化することは、前記画像内に写された前記タイヤの前記外表面上の前記外傷の長さ又は幅の少なくとも一方から、前記外傷の深さを推定することを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ外傷モニタリング装置によれば、タイヤの外傷の深さを把握することができる。
【0008】
〔3〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、上記〔1〕又は〔2〕に記載のタイヤ外傷モニタリング装置であって、前記画像は、サーモグラフィカメラで撮影されたサーモグラフィ画像を含み、前記外傷の程度を定量化することは、前記サーモグラフィ画像内に写された前記タイヤの前記外表面上の前記外傷の温度から、前記外傷の深さを推定することを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ外傷モニタリング装置によれば、タイヤの外傷の深さを把握することができる。
【0009】
〔4〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、上記〔3〕に記載のタイヤ外傷モニタリング装置であって、前記制御部は、前記タイヤの内腔温度を取得し、前記画像内に写された前記タイヤの前記外表面上の前記外傷の前記温度に加えて、前記タイヤの前記内腔温度を用いて、前記外傷の深さを推定するように更に構成されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ外傷モニタリング装置によれば、タイヤの外傷の深さを推定する精度を向上させることができる。
【0010】
〔5〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のタイヤ外傷モニタリング装置であって、前記制御部は、前記タイヤを装着した車両の走行距離又は走行時間を取得し、前記外傷の前記程度と、前記車両の前記走行距離又は前記走行時間とに基づいて、前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定するように更に構成されており、前記許容範囲は、前記外傷の前記程度が大きく、且つ、前記車両の前記走行距離又は前記走行時間が少ないほど、前記外傷の前記程度が前記許容範囲を超えやすいように設定されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ外傷モニタリング装置によれば、タイヤの外傷がタイヤの耐久性の許容範囲を超えているか否かの判定精度を向上させることができる。
【0011】
〔6〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のタイヤ外傷モニタリング装置であって、前記制御部は、前記タイヤの熱履歴を取得し、前記外傷の前記程度と、前記タイヤの前記熱履歴とに基づいて、前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定するように更に構成されており、前記許容範囲は、前記外傷の前記程度が大きく、且つ、前記熱履歴が大きいほど、前記外傷の前記程度が前記許容範囲を超えやすいように設定されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ外傷モニタリング装置によれば、タイヤの外傷がタイヤの耐久性の許容範囲を超えているか否かの判定精度を向上させることができる。
【0012】
〔7〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング装置は、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載のタイヤ外傷モニタリング装置であって、前記タイヤを撮像した前記画像は、前記タイヤへの負荷が大きいシビアコンディションで撮像された第1の画像と、前記タイヤへの負荷が小さいマイルドコンディションで撮像された第2の画像とを含み、前記制御部は、前記第1の画像に基づいて定量化された第1の外傷の程度と、前記第2の画像に基づいて定量化された第2の外傷の程度とに基づいて、前記タイヤの前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定するように構成されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ外傷モニタリング装置によれば、タイヤの外傷がタイヤの耐久性の許容範囲を超えているか否かの判定精度を向上させることができる。
【0013】
〔8〕本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング方法は、1つ以上のコンピュータが実行するタイヤ外傷モニタリング方法であって、タイヤを撮像した画像を取得することと、前記画像内に写された前記タイヤの外表面上の外傷の程度を定量化することと、前記外傷の前記程度が前記タイヤの耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定することと、前記外傷の前記程度が前記許容範囲から外れていると判定された場合に、前記タイヤの外傷情報を出力することと、を含む。
本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリング方法によれば、自動により、タイヤの外表面上の外傷をモニタリングし、外傷の程度に応じてタイヤの外傷情報を出力することができる。このため、当該タイヤ外傷モニタリング方法によれば、タイヤの外傷をモニタリングする技術の有用性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、タイヤの外傷をモニタリングする技術の有用性を向上させることができる、タイヤ外傷モニタリング装置及びタイヤ外傷モニタリング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリングシステムの概略構成を示す図である。
図2図1に示されるサーバの構成を示すブロック図である。
図3図1に示されるタイヤ外傷モニタリングシステムの動作を示すフローチャートである。
図4】タイヤを撮像した画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の一実施形態に係るタイヤ外傷モニタリングシステムについて、図面を参照して説明する。各図において共通する部材及び部位には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。
【0017】
(タイヤ外傷モニタリングシステムの構成)
はじめに、図1を参照して、本実施形態に係るタイヤ外傷モニタリングシステム1の概要について説明する。図1は、タイヤ外傷モニタリングシステム1の概略構成を示す図である。図1に示されるように、タイヤ外傷モニタリングシステム1は、サーバ10と、撮像装置20A及び20Bと、計測装置30と、端末装置40とを含む。以降の説明において、撮像装置20A及び20Bを特に区別しない場合、単に撮像装置20と総称する。なお、図1では、それぞれ1つのサーバ10、計測装置30、及び端末装置40と、2つの撮像装置20A及び20Bが示されている。しかしながら、タイヤ外傷モニタリングシステム1は、任意の数のサーバ10、撮像装置20、計測装置30、及び端末装置40を含んでいてもよい。
【0018】
サーバ10は、1つ以上のコンピュータで構成されている。本実施形態では、サーバ10は、1つのコンピュータで構成されているものとして説明する。しかしながら、サーバ10は、クラウドコンピューティングシステム等、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。本開示において、サーバ10は、「タイヤ外傷モニタリング装置」とも称される。
【0019】
撮像装置20は、1つ以上のカメラを含むコンピュータで構成されている。カメラは、例えば、サーモグラフィカメラ、可視光カメラ、赤外線カメラ等、画像を撮像可能な任意のカメラであってもよい。本実施形態では、撮像装置20は、一例として、サーモグラフィカメラと、可視光カメラとを備えているものとする。撮像装置20が撮像する画像は、写真等の静止画であってもよく、動画であってもよい。撮像装置20は、タイヤ2を撮像した画像を生成し、サーバ10に送信する。タイヤ2を撮像した画像には、タイヤ2の少なくとも一部が写されている。なお、タイヤ2を撮像した画像には、タイヤ2の少なくとも一部に加え、タイヤ2を装着した車両3の少なくとも一部が写されていてもよい。
【0020】
撮像装置20は、例えば、鉱山サイトにおける車両3の走行経路に設置された固定式の撮像装置20であってもよい。これにより、撮像装置20は、走行経路を走行中の車両3を撮像することができ、車両3の稼働率及び鉱山における生産性を低下させにくい。本実施形態では、撮像装置20Aは、鉱山サイトにおける車両3の走行経路のうち、車両3に装着されたタイヤ2への負荷が大きいシビアコンディションとなる地点に設置されている。シビアコンディションは、例えば、車両3がフル積載で坂道を登る状態である。一方で、撮像装置20Bは、鉱山サイトにおける車両3の走行経路のうち、車両3に装着されたタイヤ2への負荷が小さいマイルドコンディションとなる地点に設置されている。マイルドコンディションは、例えば、車両3が空積で平坦な道を走行する状態である。ただし、シビアコンディション及びマイルドコンディションの各々は、シビアコンディションが、マイルドコンディションよりも、タイヤ2への負荷が大きくなるように、任意に定められてもよい。また、撮像装置20は、固定式の撮像装置20に限られず、ドローンに搭載された撮像装置20、或いは、人間により携帯可能なタブレット端末等の、移動可能な撮像装置20であってもよい。
【0021】
計測装置30は、1つ以上のセンサを含むコンピュータで構成されている。センサは、デジタルタコグラフ、タイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、ECU(Electronic Control Unit)、又はカーナビゲーション装置等であるが、これらに限られない。
【0022】
例えば、車両3に装着されたタイヤ2に関する計測データは、タイヤ2のタイヤ状態データを含む。タイヤ状態データは、例えば、タイヤ2の内圧(空気圧)、内腔温度、又は熱履歴等を含むが、これらに限られない。タイヤ2の熱履歴は、タイヤ2の使用に伴いタイヤ2に加えられた熱の履歴である。タイヤ2の熱履歴は、タイヤ2の使い始めからのタイヤ2にどのくらいのエネルギーが加えられたかを評価するために用いられる。一般的に、熱履歴が大きくなるほど、タイヤ2の劣化が進む。熱履歴は、例えば、タイヤ2の内腔温度をアレニウスの式に適用することで算出され得る。また、車両3に装着されたタイヤ2に関する計測データは、車両3の走行データを含む。車両3の走行データは、例えば、車両3の走行時間、走行距離、速度、加速度、又はタイヤ2の回転数を含む、これらに限られない。なお、車両3に装着されたタイヤ2に関する計測データは、各計測値とその計測日時等を含む時系列データであってもよい。
【0023】
計測装置30は、車両3に装着されたタイヤ2に関する計測データを計測し、サーバ10に送信する。そのため、計測装置30は、車両3又はタイヤ2に設置されていてもよい。
【0024】
端末装置40は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の、コンピュータである。
【0025】
ネットワーク50は、サーバ10、撮像装置20、計測装置30、及び端末装置40が相互に通信可能な、任意の通信網である。本実施形態におけるネットワーク50は、例えばインターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0026】
タイヤ外傷モニタリングシステム1は、1つ以上のタイヤ2の外傷をモニタリングするために用いられる。タイヤ外傷モニタリングシステム1において、サーバ10は、例えば撮像装置20からタイヤ2を撮像した画像60を取得する。そして、サーバ10は、画像60内に写されたタイヤ2の外表面上の外傷の程度を定量化する。サーバ10は、外傷の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定し、外傷の程度が許容範囲から外れていると判定された場合に、タイヤ2の外傷情報を出力する。例えば、このタイヤ2の外傷情報は、サーバ10から端末装置40に送信され、端末装置40によって表示されてもよい。このように、タイヤ外傷モニタリングシステム1によれば、撮像装置20から取得した画像60に基づいて、サーバ10が、自動により、タイヤ2の外表面上の外傷をモニタリングし、外傷の程度に応じてタイヤ2の外傷情報を出力することができる。
【0027】
本開示において、タイヤ2は、特に限定されないが、鉱山サイト等において利用される運搬車両、建設車両、工事車両又は重機車両等の鉱山車両に装着されるOR(Off The Road)タイヤであってもよい。ただし、タイヤ2は、ORタイヤ以外のタイヤであってもよい。
【0028】
また、本開示において、車両3は、例えば、鉱山サイト等において利用される鉱山車両である。ただし、車両3は、上述した鉱山車両に限られず、例えば、運搬車両、建設車両、工事車両又は重機車両、バス、乗用車、バイク、自転車、又は飛行機等、タイヤ2を装着可能な任意の車両であってもよい。
【0029】
次に、図2を参照して、タイヤ外傷モニタリング装置であるサーバ10の構成について、詳細に説明する。図2は、サーバ10の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、サーバ10は、通信部11と、出力部12と、入力部13と、記憶部14と、制御部15と、を備える。サーバ10において、通信部11、出力部12、入力部13、記憶部14、及び制御部15は、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。
【0030】
通信部11は、ネットワーク50に接続するための通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。通信モジュールは、例えば有線LAN又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールであってもよい。通信モジュールは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は赤外線通信等の近距離無線通信規格に対応した通信モジュールであってもよい。本実施形態において、サーバ10は、通信部11を介してネットワーク50に接続される。これによって、サーバ10は、撮像装置20、計測装置30、端末装置40、又は他のコンピュータ等と通信することができる。
【0031】
出力部12は、1つ以上の出力装置を含む。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ又はランプ等である。これにより、出力部12は、画像、音又は光等を出力する。
【0032】
入力部13は、1つ以上の入力装置を含む。入力装置は、例えばタッチパネル、カメラ又はマイク等である。入力部13は、例えば、サーバ10の利用者による入力操作を受け付ける。
【0033】
記憶部14は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部14は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部14は、サーバ10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部14は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、又はデータベース等を記憶する。記憶部14に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク50から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0034】
例えば、記憶部14は、外傷モニタリングの対象となる1つ以上のタイヤ2のタイヤ識別情報を記憶していてもよい。タイヤ2のタイヤ識別情報は、タイヤ2を一意に識別可能な情報である。タイヤ識別情報は、例えば、サーバ10によって一意に払い出されたタイヤ2のID(Identifier)であるが、これに限られず、タイヤ2の製造番号、或いは、タイヤ2を装着する車両3の車両番号等であってもよい。さらに、記憶部14は、タイヤ2のタイヤ識別情報と関連付けて、タイヤ2に関する情報を記憶していてもよい。
【0035】
タイヤ2に関する情報は、例えば、タイヤ2の外傷情報、タイヤ2に関する計測データ、タイヤ2の構成情報、タイヤ2を装着する車両3の情報、又は車両3におけるタイヤ2が装着されている位置情報の少なくとも1つを含む。タイヤ2の外傷情報は、例えば、タイヤ2が過去に負った外傷の位置、形状、深さ、及び登録日時等を含む時系列データであってもよい。タイヤ2の構成情報は、例えば、タイヤ2の種類、型番、材料物性、トレッドパターン、ベルト角度、サイズ、又は重量等を含む。タイヤ2を装着する車両3の情報は、車両3の識別情報、種類、型番、排気量、装着タイヤ数、又はシャフト数等を含む。
【0036】
制御部15は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部15は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよい。制御部15は、上述した、通信部11、出力部12、入力部13、及び記憶部14等の構成要素の機能を含む、サーバ10の機能を実現させるために、それぞれの構成要素を制御する。
【0037】
(タイヤ外傷モニタリングシステムの動作)
図3及び図4を参照して、タイヤ外傷モニタリングシステム1の動作を説明する。図3は、タイヤ外傷モニタリングシステム1の動作を示すフローチャートである。図4は、タイヤ2を撮像した画像60の一例を示す図である。図3に示されるフローチャートには、タイヤ外傷モニタリングシステム1に含まれる、サーバ10、撮像装置20、計測装置30、及び端末装置40の動作が示されている。そのため、本動作の説明は、タイヤ外傷モニタリングシステム1が実行するタイヤ外傷モニタリング方法に相当するとともに、タイヤ外傷モニタリングシステム1に含まれる、サーバ10、撮像装置20、計測装置30、及び端末装置40のそれぞれが実行するタイヤ外傷モニタリング方法に相当する。
【0038】
本動作の説明にあたり、サーバ10の制御部15は、記憶部14に、タイヤ2のタイヤ識別情報と、タイヤ2のタイヤ識別情報に関連付けられた、タイヤ2に関する情報と、を記憶しているものとする。
【0039】
また、本動作例では、一例として、図4に示される画像60に基づいて、サーバ10が、タイヤ2のサイド部の外表面上の外傷70を検出する動作を説明する。かかる場合、撮像装置20は、車両3の側面を撮像可能な位置に設置されていてもよい。なお、撮像装置20は、タイヤ2への負荷が大きいシビアコンディションとなる地点に設置された撮像装置20Aであってもよく、タイヤ2への負荷が小さいマイルドコンディションとなる地点に設置された撮像装置20Bであってもよい。好ましくは、タイヤ外傷モニタリングシステム1は、撮像装置20として、シビアコンディションとなる地点に設置された撮像装置20Aを含む。より好ましくは、タイヤ外傷モニタリングシステム1は、撮像装置20として、シビアコンディションとなる地点に設置された撮像装置20Aとマイルドコンディションとなる地点に設置された撮像装置20Bとの両方を含む。
【0040】
図3を参照すると、ステップS101において、計測装置30は、センサを用いて計測した、タイヤ2に関する計測データをサーバ10に送信する。
【0041】
具体的には、計測装置30は、センサを用いて、タイヤ2に関する計測データを計測する。計測装置30は、タイヤ2に関する計測データが計測されるたびに、当該タイヤ2に関する計測データをサーバ10に送信してもよく、或いは、所定の期間に計測されたタイヤ2に関する計測データをまとめてサーバ10に送信してもよい。本動作例では、計測装置30は、デジタルタコグラフ及びTPMSを備えている。そのため、タイヤ2に関する計測データは、タイヤ2の内圧(空気圧)、内腔温度、及び熱履歴等のタイヤ2のタイヤ状態データと、車両3の走行時間及び走行距離等の車両3の走行データとを含む。ただし、計測装置30から送信される計測データは、上述したデータ以外のデータを含んでいてもよい。
【0042】
ステップS102において、サーバ10の制御部15は、タイヤ2に関する計測データを取得する。
【0043】
具体的には、サーバ10の制御部15は、通信部11を介して、タイヤ2に関する計測データを計測装置30から受信する。ただし、制御部15は、計測装置30以外のコンピュータを介して、計測装置30によって計測されたタイヤ2に関する計測データを受信してもよい。制御部15は、受信したタイヤ2に関する計測データを、タイヤ2の識別情報と関連付けて記憶部14に記憶してもよい。
【0044】
ステップS103において、撮像装置20は、カメラにより、タイヤ2を撮像した画像60をサーバ10に送信する。
【0045】
具体的には、撮像装置20は、カメラを用いて、タイヤ2を撮像し、タイヤ2を撮像した画像60を生成する。画像60は、連続的に撮像された複数の静止画又は動画であることが好ましい。ただし、画像60は、1枚の静止画であってもよい。本動作例では、撮像装置20は、サーモグラフィカメラ及び可視光カメラを備えている。そのため、画像60として、サーモグラフィカメラで撮影されたサーモグラフィ画像と、可視光カメラで撮影された写真とが送信される。ただし、撮像装置20から送信される画像は、これらに限られない。また、タイヤ2を撮像した画像60には、タイヤ2の少なくとも一部に加え、タイヤ2を装着した車両3の少なくとも一部も写されていてもよい。本動作例では、写真の一例として、図4に示される画像60が撮像装置20からサーバ10に送信される。画像60には、タイヤ2及びタイヤ2を装着した車両3の一部が写されている。
【0046】
再び図3を参照すると、ステップS104において、サーバ10の制御部15は、タイヤ2を撮像した画像60を取得する。
【0047】
具体的には、サーバ10の制御部15は、通信部11を介して、タイヤ2を撮像した画像60を撮像装置20から受信する。ただし、制御部15は、撮像装置20以外のコンピュータを介して、撮像装置20によって撮像された画像60を受信してもよい。制御部15は、受信した画像60を、タイヤ2の識別情報と関連付けて記憶部14に記憶してもよい。
【0048】
ステップS104において、更に、サーバ10の制御部15は、画像60内に写された、タイヤ2又はタイヤ2を装着している車両3に表示されたタイヤ2の識別情報を特定してもよい。これにより、画像60内に写されたタイヤ2が予め特定されていない場合でも、制御部15が画像60からタイヤ2を特定することができる。具体的には、制御部15は、画像処理により、画像60内のタイヤ2の識別情報を示す表示部分61を特定する。図4に示されるように、表示部分61は、例えば、QR(Quick Response)コード(登録商標)またはAR(Augmented Reality)マーカー等の二次元コードであってもよい。かかる場合、制御部15は、二次元コードである表示部分61からタイヤ2の識別情報を読み取ることができる。ただし、表示部分61は、二次元コードに限られず、文字列、記号、図形、色、模様、又は一次元コード等任意の表示とされてもよい。
【0049】
タイヤ2の識別情報を示す表示部分61は、任意の位置に表示されていてもよい。例えば、図4では、表示部分61A及び61Bが示されている。表示部分61Aは、タイヤ2のサイド部2Aに設けられている。かかる場合、タイヤローテーション等により、タイヤ2が他の車両3に装着された場合でも、同じ表示部分61に基づいてタイヤ2の識別情報を特定することができる。表示部分61Bは、タイヤ2を装着した車両3の車体に設けられている。かかる場合、表示部分61が車両3の車体に設けられていることで、タイヤ2の外表面が泥で汚れた場合、或いは傷付いた場合であっても、表示部分61の視認性が低下しにくい。
【0050】
再び図3を参照すると、ステップS105において、サーバ10の制御部15は、画像60における単位ピクセルあたりの実際の長さを判定する。
【0051】
単位ピクセルあたりの実際の長さの判定には、任意の手法が採用可能である。例えば、サーバ10の制御部15は、記憶部14に、画像60内に写された対象物の実際の長さを算出するために、画像60における単位ピクセルあたりの実際の長さを記憶していてもよい。
【0052】
或いは、サーバ10の制御部15は、当該判定に用いられるタイヤ2に関連付けられた基準部材62を、記憶部14に記憶していてもよい。タイヤ2に関連付けられた基準部材62は、タイヤ2の外表面上に設けられた溝、文字、記号、図形、色、又は模様とされてもよい。図4に示される例では、基準部材62は、タイヤ2のサイド部2Aの外表面上に設けられた文字である。制御部15は、タイヤ2に関連付けられた基準部材62の実際の長さと、画像60内に写された基準部材62の長さとに基づいて、画像60における単位ピクセルあたりの実際の長さを判定してもよい。
【0053】
例えば、サーバ10の制御部15は、画像60内に写された基準部材62の輪郭を特定する。制御部15は、特定した基準部材62の輪郭のうち、最も距離が離れている2点間の距離を画像60内に写された基準部材62の長さとして特定する。画像60内に写された基準部材62の長さは、ピクセル数で表わされてもよい。制御部15は、画像60内に写された基準部材62の長さに相当するピクセル数と、タイヤ2に関連付けられた基準部材62の実際の長さとから、画像60における単位ピクセルあたりの実際の長さを判定することができる。これにより、後続の処理におけるタイヤ2の外傷70の大きさ又は深さを推定する精度を向上させることができる。ただし、基準部材62は、タイヤ2のリムであってもよい。かかる場合、基準部材62の長さは、例えばタイヤ2のリム径であってもよい。
【0054】
再び図3を参照すると、ステップS106において、サーバ10の制御部15は、画像60内に写されたタイヤ2の外表面上の外傷70を検出する。
【0055】
外傷70の検出には、任意の手法が採用可能である。例えば、サーバ10の制御部15は、画像60内に写されたタイヤ2の外傷70を特定するための画像解析アルゴリズムを記憶部14に予め記憶していてもよい。
【0056】
例えば、サーバ10の制御部15は、画像60が写真である場合、画像解析アルゴリズムを用いて、画像60内に写されたタイヤ2の外表面上に存在するカット又は亀裂等の外傷70の輪郭を検出してもよい。図4に示される例では、制御部15は、タイヤ2の外表面上にある、3つの外傷70A、70B、及び70Cの輪郭を検出することができる。制御部15は、検出された外傷70A、70B、及び70Cの位置及び数等の情報を、タイヤ2の外傷情報として、タイヤ2の識別情報と関連付けて記憶部14に記憶してもよい。以降の説明において、外傷70A、70B、及び70Cを特に区別しない場合、単に外傷70と総称する。
【0057】
また例えば、サーバ10の制御部15は、画像60がサーモグラフィ画像である場合、画像解析アルゴリズムを用いて、画像60内に写されたタイヤ2の外表面上で他の部分よりも高い温度を示す部分をカット又は亀裂等の外傷70として検出してもよい。例えば、周囲の部分よりも5度以上温度が高い部分が外傷70として検出されてもよい。制御部15は、検出された外傷70の位置及び数等の情報を、タイヤ2の外傷情報として、タイヤ2の識別情報と関連付けて記憶部14に記憶してもよい。一般に、車両3の走行に伴い、タイヤ2の内腔温度が上昇する。そして、タイヤ2の外表面上の外傷70は、他の部分に比べてタイヤ2の内腔に近いため表面温度が高くなる。このため、サーモグラフィ画像を、タイヤ2の外表面上の外傷70の位置及び深さ等の検出に使用することができる。サーモグラフィ画像を用いることで、撮像されたタイヤ2の外表面が泥等で汚れている場合、或いは夜間にタイヤ2が撮影される場合でも、タイヤ2の外傷を検出する精度が低下しにくくなる。
【0058】
本実施形態では、画像解析アルゴリズムは、機械学習又はディープラーニング等の統計的手法により構築されていてもよい。例えば、画像解析アルゴリズムは、タイヤ2を撮像した画像60と、人間等により特定されたタイヤ2における外傷70と、を教師データとして、統計的手法により構築されてもよい。これにより、教師データの蓄積により、タイヤ2の外表面上の外傷70の検出精度を向上させることができる。ただし、画像解析アルゴリズムは、統計的手法によらない、所定の演算処理を含んでいてもよい。
【0059】
再び図3を参照すると、ステップS107において、サーバ10の制御部15は、画像60内に写されたタイヤ2の外表面上の外傷70の程度を定量化する。
【0060】
外傷70の程度の定量化には、任意の手法が採用可能である。例えば、サーバ10の制御部15は、画像60が写真である場合、画像60内に写されたタイヤ2の外傷70の長さ又は幅の少なくとも一方から、外傷70の深さを推定してもよい。制御部15は、タイヤ2の外傷70の長さ又は幅の少なくとも一方から外傷70の深さを推定するための対応付けアルゴリズムを記憶部14に予め記憶していてもよい。制御部15は、ステップS106において特定された外傷70の輪郭のうち、最も距離が離れている2点間の距離を長さとし、長さの方向に直交する方向において最も距離が離れている2点間の距離を幅としてもよい。制御部15は、外傷70の長さ及び幅を算出する際に、ステップS105で算出された画像60における単位ピクセルあたりの実際の長さを用いてもよい。そして、制御部15は、対応付けアルゴリズムを用いて、外傷70の長さ又は幅の少なくとも一方から外傷70の深さを推定する。外傷70の深さは、例えば、タイヤ2の外表面から外傷70の最も深い部分までの距離である。制御部15は、推定された外傷70の深さを、タイヤ2の外傷情報として、タイヤ2の識別情報と関連付けて記憶部14に記憶してもよい。なお、外傷70が複数ある場合、後続の処理において、複数の外傷70の深さのうち最も深いものが、タイヤ2の外傷70の深さとされてもよい。
【0061】
また例えば、サーバ10の制御部15は、画像60がサーモグラフィ画像である場合、画像60内に写されたタイヤ2の外表面上の外傷70の温度から、外傷70の深さを推定してもよい。制御部15は、タイヤ2の外表面上の外傷70の温度から外傷70の深さを推定するための対応付けアルゴリズムを記憶部14に予め記憶していてもよい。制御部15は、対応付けアルゴリズムを用いて、外傷70の温度から外傷70の深さを推定する。外傷70の深さは、例えば、タイヤ2の外傷70の温度のうち最も高温である部分に相当する深さである。このとき、制御部15は、タイヤ2の外表面上の外傷70の温度に加えて、計測装置30から取得したタイヤ2に関する計測データに含まれる、タイヤ2の内腔温度を用いて、外傷70の深さを推定してもよい。上述のとおり、タイヤ2の外表面上の外傷70の温度は、タイヤ2の内腔温度の影響を受けるため、外傷70の温度とタイヤ2の内腔温度との相対的な差異を用いることで、外傷70の深さを推定する精度を向上させることができる。制御部15は、推定された外傷70の深さを、タイヤ2の外傷情報として、タイヤ2の識別情報と関連付けて記憶部14に記憶してもよい。なお、外傷70が複数ある場合、後続の処理において、複数の外傷70の温度のうち最も温度が高いものが、タイヤ2の外傷70の温度とされてもよい。
【0062】
本実施形態では、対応付けアルゴリズムは、機械学習又はディープラーニング等の統計的手法により構築されていてもよい。例えば、対応付けアルゴリズムは、タイヤ2の外傷70の特徴と、人間等により計測された外傷70の深さと、を教師データとして、統計的手法により構築されてもよい。これにより、教師データの蓄積により、タイヤ2の外傷70の深さを推定する精度を向上させることができる。ただし、対応付けアルゴリズムは、統計的手法によらない、所定の演算処理を含んでいてもよい。
【0063】
なお、サーバ10の制御部15は、外傷70の程度の定量化として、タイヤ2の外表面上の外傷70の深さに加えて/代えて、外傷70の数又は大きさ(タイヤ2の外表面上で外傷70の輪郭で囲まれた部分の面積)等を計測してもよい。制御部15は、計測された外傷70の数又は大きさを、タイヤ2の外傷情報として、タイヤ2の識別情報と関連付けて記憶部14に記憶してもよい。
【0064】
ステップS108において、サーバ10の制御部15は、タイヤ2の外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定する。
【0065】
タイヤ2の耐久性の許容範囲は、任意に定められてもよい。例えば、タイヤ2の耐久性の許容範囲は、タイヤ2の外傷70の程度として上述した、外傷70の深さ、数、大きさ、又は温度のいずれかに応じて定められていてもよい。或いは、タイヤ2の耐久性の許容範囲は、外傷70の深さ、数、又は大きさのうち2つ以上に応じて定められていてもよい。サーバ10の制御部15は、例えば、外傷70の深さ、数、大きさ、又は温度が、タイヤ2の耐久性の許容範囲として定められた値よりも大きい場合に、タイヤ2の外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れたと判定することができる。
【0066】
さらに、タイヤ2の耐久性の許容範囲は、タイヤ2の外傷70の程度に加えて、他の要素を用いて複合的に定められていてもよい。他の要素は、例えば、計測装置30から取得したタイヤ2に関する計測データに含まれる情報である。一例として、サーバ10の制御部15は、タイヤ2の外傷70の程度と、タイヤ2を装着した車両3の走行距離又は走行時間とに基づいて、外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定してもよい。具体的には、車両3の走行距離又は走行時間が少ないにも関わらず、タイヤ2の外傷70の程度が大きい場合には、その外傷70の進行は早いと考えられる。そのため、許容範囲は、タイヤ2の外傷70の程度が大きく、且つ、タイヤ2を装着した車両3の走行距離又は走行時間が少ないほど、外傷70の程度が許容範囲を超えやすいように設定されていてもよい。これにより、タイヤ2の外傷70がタイヤ2の耐久性の許容範囲を超えているか否かの判定精度を向上させることができる。
【0067】
他の例として、サーバ10の制御部15は、タイヤ2の外傷70の程度と、タイヤ2の熱履歴とに基づいて、外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定してもよい。具体的には、タイヤ2の熱履歴が大きい場合、既にタイヤ2が劣化しており、タイヤ2の外傷70の進行は早いと考えられる。そのため、許容範囲は、タイヤ2の外傷70の程度が大きく、且つ、タイヤ2の熱履歴が大きいほど、外傷70の程度が許容範囲を超えやすいように設定されていてもよい。これにより、タイヤ2の外傷70がタイヤ2の耐久性の許容範囲を超えているか否かの判定精度を向上させることができる。
【0068】
さらに、ステップS108において、サーバ10の制御部15は、それぞれが異なるコンディションにおいてタイヤ2を撮影した画像60に基づいて定量化された複数のタイヤ2の外傷70の程度に用いて、タイヤ2の外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定してもよい。
【0069】
具体的には、サーバ10の制御部15は、撮像装置20Aによって撮像された、タイヤ2への負荷が大きいシビアコンディションで撮像された画像60(第1の画像)に基づいて、タイヤ2の外傷70(第1の外傷)の程度を定量化する。また、制御部15は、撮像装置20Bによって撮像された、タイヤ2への負荷が小さいマイルドコンディションで撮像された画像60(第2の画像)に基づいて、タイヤ2の外傷70(第2の外傷)の程度を定量化する。制御部15は、これらの2つのタイヤ2の外傷70の程度に基づいて、タイヤ2の外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定してもよい。具体的には、1つの鉱山サイトで、マイルドコンディションに比べて、シビアコンディションにおいて、タイヤ2の外傷70の開き具合が極端に大きくなる場合、或いは、タイヤ2の外傷70の温度が高くなる場合、その鉱山サイトでは、タイヤ2の外傷70の進行は早いと考えられる。かかる場合、鉱山サイトで使用するタイヤ2の種類を変更することも考えられる。このように、上述した判定を行うことで、タイヤ2の外傷70がタイヤ2の耐久性の許容範囲を超えているか否かの判定精度を向上させることができる。
【0070】
なお、タイヤ2の耐久性の許容範囲は、複数段階設定されていてもよい。例えば、タイヤ2の耐久性の許容範囲は、直ちにタイヤ2の交換を行う必要があるレベル、1ヶ月以内にタイヤ2の交換を行う必要があるレベル、2か月以内にタイヤ2の交換を行う必要があるレベル等、段階的に設定されていてもよい。
【0071】
ステップS109において、サーバ10の制御部15は、タイヤ2の外傷70が許容範囲から外れていると判定された場合に、タイヤ2の外傷情報を出力する。
【0072】
タイヤ2の外傷情報の出力には、任意の手法が採用可能である。例えば、サーバ10の制御部15は、ディスプレイ等の出力部12を介して、タイヤ2の外傷情報を表示させてもよい。或いは、制御部15は、通信部11を介して、タイヤ2の外傷情報を表示させる要求を、端末装置40に送信してもよい。かかる場合、端末装置40は、ステップS110において、サーバ10から受信した要求に基づいて、ディスプレイ等を介して、タイヤ2の外傷情報を表示することができる。タイヤ2の外傷情報は、例えば、タイヤ2の外傷70の程度を含む。ただし、タイヤ2の外傷情報は、タイヤ2の外傷70の程度に限られず、外傷70の程度が外れた許容範囲の内容、警告メッセージ等、任意の情報が含まれていてもよい。その結果、タイヤ外傷モニタリングシステム1の利用者は、タイヤ2の外表面上における外傷70の程度を容易に把握することができ、タイヤ2が故障する前に、タイヤ2の検査、補修、交換等を計画することができる。特に、タイヤ2の交換が行われる際には、タイヤ2は、タイヤ2の外傷情報に応じて異なるタイヤ2に交換されてもよい。例えば、タイヤ2は、外傷70の温度がタイヤ2に設定された耐久可能温度よりも高い場合には、より耐熱性の高い別の種類のタイヤ2に交換されてもよい。或いは、タイヤ2は、外傷70の数が所定の数よりも多い場合には、より外傷70が入りにくい他の種類のタイヤ2に交換されてもよい。このようにして、タイヤ外傷モニタリングシステム1の利用者は、タイヤ2の外傷情報に基づいて、鉱山サイトでの利用に適したタイヤ2を採用することができる。
【0073】
以上述べたように、本実施形態において、タイヤ外傷モニタリング装置であるサーバ10は、タイヤ2を撮像した画像60を取得する。そして、サーバ10は、画像60内に写されたタイヤ2の外表面上の外傷の程度を定量化する。サーバ10は、外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定し、外傷70の程度が許容範囲から外れていると判定された場合に、タイヤ2の外傷情報を出力する。
【0074】
かかる構成によれば、サーバ10は、取得した画像60に基づいて、自動により、タイヤ2の外表面上の外傷70をモニタリングし、外傷70の程度に応じてタイヤ2の外傷情報を出力することができる。これにより、鉱山サイトにおけるタイヤ2の突発的な故障による生産性の低下、及び、タイヤ2の検品のための作業員の負担の増加を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、タイヤ2の外傷をモニタリングする技術の有用性を向上させることができる。
【0075】
なお、上述の本動作例では、タイヤ外傷モニタリングシステム1において、タイヤ2のサイド部の外表面上の外傷70を検出する動作を説明したが、この限りではない。タイヤ外傷モニタリングシステム1の処理対象となるタイヤ2の外表面は、タイヤ2のサイド部の外表面又はトレッド部の外表面の少なくとも一方を含んでいてもよい。すなわち、タイヤ外傷モニタリングシステム1は、タイヤ2のサイド部に加えて/代えて、タイヤ2のトレッド部の外表面上の外傷70を検出するために用いられてもよい。かかる場合、撮像装置20は、タイヤ2のトレッド部を撮像するために、車両3の正面又は背面を撮像可能な位置に設置されていてもよい。そして、上述した動作例と同様に、サーバ10は、撮像装置20からタイヤ2のトレッド部を撮像した画像60を取得する。そして、サーバ10は、画像60内に写されたタイヤ2のトレッド部の外表面上の外傷の程度を定量化する。サーバ10は、外傷70の程度がタイヤ2の耐久性の許容範囲から外れているか否かを判定し、外傷70の程度が許容範囲から外れていると判定された場合に、タイヤ2の外傷情報を出力する。これにより、サーバ10は、タイヤ2のサイド部に加えて/代えて、タイヤ2のトレッド部の外表面上の外傷70をモニタリングすることができる。
【0076】
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0077】
また例えば、汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係るサーバ10として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係るサーバ10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ読取可能な媒体としても実現可能である。非一時的なコンピュータ読取可能な媒体には、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリ等が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示によれば、タイヤの外傷をモニタリングする技術の有用性を向上させることができる、タイヤ外傷モニタリング装置及びタイヤ外傷モニタリング方法を提供することができる。
【0079】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.9_産業と技術革新の基盤を作ろう」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0080】
1:タイヤ外傷モニタリングシステム、 2:タイヤ、 3:車両、 10:サーバ(タイヤ外傷モニタリング装置)、 11:通信部、 12:出力部、 13:入力部、 14:記憶部、 15:制御部、 20:撮像装置、 30:計測装置、 40:端末装置、 50:ネットワーク、 60:画像、 61(61A、61B):表示部分、62:基準部材、 70:外傷
図1
図2
図3
図4