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特開2024-92780界磁、電動機、発電機および界磁の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092780
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】界磁、電動機、発電機および界磁の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20240701BHJP
   H02K 1/2793 20220101ALI20240701BHJP
   H02K 1/2792 20220101ALI20240701BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H02K1/2793
H02K1/2792
H02K15/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208932
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】山村 光宏
(72)【発明者】
【氏名】朝内 昇
(72)【発明者】
【氏名】山田 岳史
(72)【発明者】
【氏名】草瀬 新
【テーマコード(参考)】
5H622
5H641
【Fターム(参考)】
5H622AA02
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622DD02
5H622DD03
5H622DD04
5H641BB06
5H641BB19
5H641GG03
5H641HH02
5H641HH05
5H641HH07
5H641HH16
(57)【要約】
【課題】形成する磁束密度が高く、かつ、組み立て作業が容易な界磁、かかる界磁を備える電動機および発電機、ならびに、形成する磁束密度が高い界磁を容易に組み立てることができる界磁の製造方法を提供すること。
【解決手段】配列軸に沿って並ぶ複数の磁石を含む極対を複数備え、前記配列軸に直交する磁界発生方向に磁界を発生させる界磁であって、前記極対は、前記磁界発生方向と同じ第1磁化方向に磁化している前記磁石である第1主磁石と、前記磁界発生方向と逆の第2磁化方向に磁化している前記磁石である第2主磁石と、前記第1主磁石と前記第2主磁石との間に配置され、前記配列軸と平行な第3磁化方向に磁化している前記磁石である副磁石と、で構成され、隣り合う前記極対同士で、前記第3磁化方向が互いに同じであることを特徴とする界磁。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列軸に沿って並ぶ複数の磁石を含む極対を複数備え、前記配列軸に直交する磁界発生方向に磁界を発生させる界磁であって、
前記極対は、
前記磁界発生方向と同じ第1磁化方向に磁化している前記磁石である第1主磁石と、
前記磁界発生方向と逆の第2磁化方向に磁化している前記磁石である第2主磁石と、
前記第1主磁石と前記第2主磁石との間に配置され、前記配列軸と平行な第3磁化方向に磁化している前記磁石である副磁石と、
で構成され、
隣り合う前記極対同士で、前記第3磁化方向が互いに同じであることを特徴とする界磁。
【請求項2】
前記極対を囲う枠体を備える請求項1に記載の界磁。
【請求項3】
前記枠体は、前記極対同士を隔てる隔壁を有する請求項2に記載の界磁。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の界磁と、
前記界磁の前記磁界発生方向に配置されている電機子と、
を備えることを特徴とする電動機。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の界磁と、
前記界磁の前記磁界発生方向に配置されている電機子と、
を備えることを特徴とする発電機。
【請求項6】
配列軸に沿って並ぶ複数の磁石を含む極対を複数備え、前記配列軸に直交する磁界発生方向に磁界を発生させる界磁を製造する方法であって、
前記磁界発生方向と同じ第1磁化方向に磁化している前記磁石である第1主磁石、
前記磁界発生方向と逆の第2磁化方向に磁化している前記磁石である第2主磁石、および、
前記第1主磁石と前記第2主磁石との間に前記配列軸と平行な第3磁化方向に磁化している前記磁石である副磁石を、
前記極対ごとに配置するとき、
隣り合う前記極対同士で、前記第3磁化方向が互いに同じになるように前記副磁石を配置することを特徴とする界磁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界磁、電動機、発電機および界磁の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コイルを有する可動子と、複数の永久磁石を直線に沿って配置した固定子と、を備えるリニア同期モーターが開示されている。このうち、固定子では、隣接する永久磁石の磁化方向を、可動子の移動方向および直交方向に90°ずつ異ならせている。このようなリニア同期モーターでは、磁石列の上方に形成される磁束密度が高くなるとともに、磁束密度の分布を正弦波にすることができ、可動子推力のリップルを減少させることができる。また、特許文献1に記載の磁石列は、接着剤や薄い非磁性体を介在させ、複数の永久磁石を接続することによって形成されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-70226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の磁石列(磁極列)は、ハルバッハ配列(ハルバッハ磁石配列)とも呼ばれる。ハルバッハ配列は、可動子の移動方向に直角の磁場を発生させる主磁石と、可動子の移動方向に並行する磁場を発生させる副磁石と、で構成される。主磁石を挟んで隣り合う2つの副磁石では、磁化方向が向かい合っているため、大きな磁気的反発力が発生する。ハルバッハ配列の磁極列の組み立ては、この磁気的反発力に抗いながら行う必要があるため、作業効率が低いという課題がある。
【0005】
そこで、形成する磁束密度が高く、かつ、組み立て作業が容易な界磁の実現が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の適用例に係る界磁は、
配列軸に沿って並ぶ複数の磁石を含む極対を複数備え、前記配列軸に直交する磁界発生方向に磁界を発生させる界磁であって、
前記極対は、
前記磁界発生方向と同じ第1磁化方向に磁化している前記磁石である第1主磁石と、
前記磁界発生方向と逆の第2磁化方向に磁化している前記磁石である第2主磁石と、
前記第1主磁石と前記第2主磁石との間に配置され、前記配列軸と平行な第3磁化方向に磁化している前記磁石である副磁石と、
で構成され、
隣り合う前記極対同士で、前記第3磁化方向が互いに同じである。
【0007】
本発明の適用例に係る電動機は、
本発明の適用例に係る界磁と、
前記界磁の前記磁界発生方向に配置されている電機子と、
を備える。
【0008】
本発明の適用例に係る発電機は、
本発明の適用例に係る界磁と、
前記界磁の前記磁界発生方向に配置されている電機子と、
を備える。
【0009】
本発明の適用例に係る界磁の製造方法は、
配列軸に沿って並ぶ複数の磁石を含む極対を複数備え、前記配列軸に直交する磁界発生方向に磁界を発生させる界磁を製造する方法であって、
前記磁界発生方向と同じ第1磁化方向に磁化している前記磁石である第1主磁石、
前記磁界発生方向と逆の第2磁化方向に磁化している前記磁石である第2主磁石、および、
前記第1主磁石と前記第2主磁石との間に前記配列軸と平行な第3磁化方向に磁化している前記磁石である副磁石を、
前記極対ごとに配置するとき、
隣り合う前記極対同士で、前記第3磁化方向が互いに同じになるように前記副磁石を配置する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る電動機としてリニアモーターの概略構成を示す断面図である。
図2図1のリニアモーターが備える界磁と、従来技術の界磁と、を比較した模式図である。
図3図2に示す3つのモデルについて、2次元電磁界解析を行い、界磁から発生する磁束線の分布を示したシミュレーション結果である。
図4図2に示す3つのモデルについて、2次元電磁界解析を行い、界磁が形成する磁束密度の分布を示したシミュレーション結果である。
図5図2に示す新規配列の界磁と図1に示す電機子とを組み合わせた電動機のモデルを示す模式図である。
図6図5に示すモデルについて、2次元電磁界解析を行い、電機子が有するコイルに鎖交する磁束の時間変化を示したシミュレーション結果である。
図7】界磁の変形例を示す斜視図である。
図8】第2実施形態に係るモーターとしてのアキシャルギャップモーターの概略構成を示す断面図である。
図9図8のアキシャルギャップモーターが備える界磁を示す斜視図である。
図10】第3実施形態に係るモーターとしてのラジアルギャップモーターの概略構成を示す断面図である。
図11図10に示すラジアルギャップモーターが備える界磁を示す斜視図である。
図12】第4実施形態に係る界磁の製造方法の構成を示すフローチャートである。
図13図12に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図14図12に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図15図12に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図16図12に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図17図12に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図18】第1変形例に係る界磁の製造方法の構成を示すフローチャートである。
図19図18に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図20図18に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図21図18に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
図22】第2変形例に係る界磁の製造方法の構成を示すフローチャートである。
図23図22に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の界磁、電動機、発電機および界磁の製造方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係る電動機としてのリニアモーターについて説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態に係る電動機としてリニアモーター1Aの概略構成を示す断面図である。図2は、図1のリニアモーター1Aが備える界磁3と、従来技術の界磁3a、3bと、を比較した模式図である。
【0014】
なお、本明細書の各図では、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸およびz軸を設定している。各軸は、矢印で表され、先端側を「プラス側」、基端側を「マイナス側」とする。また、x軸と平行な両方向をx軸方向、z軸と平行な両方向をz軸方向という。さらに、z軸プラス側を「上」、z軸マイナス側を「下」という。
【0015】
図1に示すように、第1実施形態に係るリニアモーター1Aは、固定子2と可動子5とを備えている。
【0016】
固定子2は、図1に示すように、界磁3と、バックヨーク38と、を備える。界磁3は、x軸方向に設定されている配列軸AX1に沿って並ぶ複数の磁極32を有する。図1に示すリニアモーター1Aでは、固定子2に沿って可動子5がリニア駆動されるので、固定子2の長さが駆動範囲を決定する。したがって、界磁3が有する磁極32の個数は、駆動範囲や磁極32の個体の長さに応じて適宜設定される。
【0017】
可動子5は、図1に示すように、電機子6を備える。電機子6は、z軸方向に設定されている対向軸AX2に沿って、界磁3と対向して配置されている。電機子6は、ティース63を含むコア62およびコイル64を有する。
【0018】
固定子2と可動子5との間には、所定の隙間が設けられており、可動子5は電磁力により、固定子2に沿ってx軸方向にリニア駆動される。なお、固定子と界磁、および、可動子と電機子という組み合わせは、逆であってもよい。つまり、固定子が電機子を備え、可動子が界磁を備えていてもよい。
【0019】
また、以下の説明では、界磁3の上方を「磁界発生方向」ともいう。磁界発生方向とは、界磁3から発生した磁束を作用させる対象物が配置されている方向であって、界磁3を基準にしたときの方向である。図1の場合、電機子6がこの対象物となる。
【0020】
また、リニアモーター1Aは、電動機であり、入力される電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。一方、リニアモーター1Aは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有しているので、発電機に転用することもできる。実施形態に係る発電機も、リニアモーター1Aと同様、界磁3と、界磁3の磁界発生方向に配置されている電機子6と、を備える。
【0021】
1.1.界磁
界磁3は、配列軸AX1に沿って並ぶ複数の磁極32を有する。以下の説明では、列をなす複数の磁極32を磁極列ともいう。磁極32は、永久磁石である。複数の磁極32の磁化方向は、配列軸AX1に沿って周期的に変化するように設定されている。
【0022】
永久磁石としては、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0023】
図2には、図1に示す磁極列のうち、一部の磁極32を抜き出して図示している。図2は、配列軸AX1および対向軸AX2を含むように設定されている面(平面)で磁極列を切断したときの断面図である。
【0024】
また、図2では、各磁極32,32a,32bの磁化方向Mを、各磁極32,32a,32bの内側に矢印で図示している。図2では、磁極32,32a,32bの磁化方向が配列軸AX1に沿って周期的に変化するとき、その変化のパターンが異なる3つの例を比較している。図2の界磁3a、3bは、それぞれ従来技術に相当し、図2の界磁3は、本実施形態に係る界磁である。図2に示す磁化方向Mの変化は、2周期分に相当する。
【0025】
界磁3aでは、4個の磁極32aの磁化方向Mが、NS配列と呼ばれるパターンで周期的に変化している。NS配列とは、隣り合う2つの磁極32aの磁化方向Mが、それぞれ対向軸AX2と平行であり、かつ、互いに逆方向になるように設定された磁極列のことをいう。
【0026】
界磁3bでは、8個の磁極32a,32bの磁化方向Mが、ハルバッハ配列と呼ばれるパターンで周期的に変化している。本明細書におけるハルバッハ配列とは、NS配列の磁極32aをそれぞれ主磁極としたとき、主磁極同士の間に副磁極である磁極32bを挟むことにより、例えばx軸プラス側に向かって順に、磁化方向が90°ずつ回転するように設定された磁極列のことをいう。したがって、副磁極である磁極32bの磁化方向Mは、配列軸AX1と平行であり、また、1つの繰り返し単位に2種類の磁極32bが含まれる。
【0027】
界磁3では、磁化方向Mがx軸プラス側を向いている磁極32bが除去されたこと以外、前述したハルバッハ配列と同様のパターンで磁極32の磁化方向Mが変化している。本明細書では、磁化方向Mがこのように変化している磁極列を「新規配列」という。この新規配列は、ハルバッハ配列の主磁極に相当する第1主磁石321および第2主磁石322と、ハルバッハ配列のうち、磁化方向Mがx軸マイナス側を向いている副磁極に相当する副磁石323とが、繰り返し配列した磁極列である。これらの各磁石が、前述した磁極32に相当する。
【0028】
本明細書では、新規配列の繰り返し単位を「極対33」という。つまり、極対33は、第1主磁石321、副磁石323および第2主磁石322がこの順で並んだ磁石セットを有する繰り返し単位である。そして、隣り合う極対33同士で、副磁石323の磁化方向Mが互いに同じに設定されている。
【0029】
従来のハルバッハ配列では、副磁極として磁化方向Mが互いに異なる2種類の磁極32bが存在していた。このため、ハルバッハ配列の磁極列を形成するとき、副磁極の磁化方向Mが互いに向かい合っていることから、大きな磁気的反発力が発生する。磁極列の組み立て作業においては、この磁気的反発力に抗いながら作業を行う必要があったため、作業効率が低いという課題があった。
【0030】
これに対し、新規配列では、隣り合う極対33同士で、含まれる副磁石323の磁化方向Mが、いずれも一方向(x軸マイナス側)に揃っている。このため、副磁石323同士で磁気的反発力が発生することはなく、したがって、磁極列の組み立て作業を容易に行うことができる。その結果、新規配列の磁極列は、組み立ての作業効率が高いという利点を有する。
【0031】
また、図2に示すように、x軸方向における繰り返し単位の長さを揃えたとき、新規配列における副磁石323同士の距離は、ハルバッハ配列における磁極32b(副磁極)同士の距離よりも長くなっている。これは、新規配列における副磁石323同士の間に、2つの磁極32(第1主磁石321および第2主磁石322)が挟まれていることに起因する。このように副磁石323同士の距離を長くすることができれば、組み立て時に、副磁石323が意図せず反転したとしても、互いに吸着してしまう確率を下げることができる。このため、かかる観点でも、組み立ての作業効率を高めることができる。
【0032】
ここで、第1主磁石321の磁化方向Mを「第1磁化方向M1」とするとき、第1磁化方向M1は、磁界発生方向(z軸プラス側)と同じ方向に設定されている。なお、第1磁化方向M1と対向軸AX2とのなす角度は、0°であるのが好ましいが、製造誤差を踏まえて3°以下であってもよい。この範囲であれば、「同じ方向」とみなすことができる。
【0033】
また、第2主磁石322の磁化方向Mを「第2磁化方向M2」とするとき、第2磁化方向M2は、磁界発生方向と逆の方向(z軸マイナス側)に設定されている。なお、第2磁化方向M2と対向軸AX2とのなす角度は、0°であるのが好ましいが、製造誤差を踏まえて3°以下であってもよい。この範囲であれば、「逆の方向」とみなすことができる。
【0034】
さらに、副磁石323の磁化方向Mを「第3磁化方向M3」とするとき、第3磁化方向M3は、配列軸AX1と平行な方向であって、x軸マイナス側に設定されている。なお、第3磁化方向M3と配列軸AX1とのなす角度は、0°であるのが好ましいが、製造誤差を踏まえて3°以下であってもよい。この範囲であれば、「配列軸AX1と平行」とみなすことができる。
【0035】
第1主磁石321、第2主磁石322および副磁石323は、例えば図示しない接着剤を介して互いに固定されている。また、これらの磁石とバックヨーク38との間も、例えば接着剤を介して固定されている。
【0036】
一方、新規配列では、ハルバッハ配列と同様、電機子6側に磁束線を集中させることができる。以下、新規配列によって向上する磁束線分布、磁束密度分布および鎖交磁束について説明する。
【0037】
1.1.1.磁束線分布
図3は、図2に示す3つのモデルについて、2次元電磁界解析を行い、界磁3a、3b、3から発生する磁束線の分布を示したシミュレーション結果である。図3に示す3つのモデルは、図2に示すNS配列の界磁3a、ハルバッハ配列の界磁3b、および、新規配列の界磁3に対応したモデルである。なお、図3の横軸は、配列軸AX1に沿う位置であり、縦軸は、対向軸AX2に沿う位置である。
【0038】
図3に示すように、NS配列の界磁3aでは、発生した磁束線が界磁3aの上下で均等に分布している。これに対し、ハルバッハ配列の界磁3bでは、発生した磁束線が界磁3bの上方に偏って分布している。このため、界磁3bの上方に電機子6を配置した場合、界磁3aに比べて、電機子6のコイル64に鎖交する磁束数を増やすことができる。
【0039】
これに対し、新規配列の界磁3では、ハルバッハ配列と同様の磁束線分布と、NS配列と同様の磁束線分布と、が混在している。具体的には、極対33の上方では、ハルバッハ配列と同様、発生した磁束線が上方に偏って分布している。一方、極対33同士の間隙の上下では、発生した磁束線が上下でほぼ均等に分布している。このため、全体としては、界磁3の上方に磁束線を偏らせることができている。したがって、界磁3の上方に電機子6を配置した場合、界磁3aに比べて、電機子6のコイル64に鎖交する磁束数を増やすことができる。
【0040】
1.1.2.磁束密度分布
図4は、図2に示す3つのモデルについて、2次元電磁界解析を行い、界磁3a、3b、3が形成する磁束密度の分布を示したシミュレーション結果である。図4に示す3つのモデルは、図2に示すNS配列の界磁3a、ハルバッハ配列の界磁3b、および、新規配列の界磁3に対応したモデルである。なお、図4に示す磁束密度は、界磁3a、3b、3の上面における値である。なお、図4の横軸は、配列軸AX1に沿う位置であり、縦軸は、対向軸AX2に沿う位置である。
【0041】
図4に示すように、NS配列の界磁3aの上面に形成される磁束密度の2次元分布は、矩形波に近い波形で周期的に変化する分布となっている。また、ハルバッハ配列の界磁3bの上面に形成される磁束密度の2次元分布は、磁束密度の変化の振幅が、NS配列よりも大きくなるように分布している。特に、ハルバッハ配列における磁束密度の分布では、極対33ごとに2つの鋭いピークが認められる。
【0042】
これに対し、新規配列の界磁3の上面に形成される磁束密度の2次元分布は、最大振幅が、ハルバッハ配列の場合とほぼ同程度になっている。このため、新規配列でも、ハルバッハ配列と同様、NS配列よりも、形成する磁束密度の向上が図られているといえる。
【0043】
一方、ハルバッハ配列における磁束密度の分布では、極対33ごとに2つの鋭いピークが認められているのに対し、新規配列における磁束密度の分布では、極対33ごとに認められる鋭いピークは1つである。したがって、新規配列における磁束密度は、NS配列における磁束密度より高いものの、ハルバッハ配列における磁束密度よりはやや低いといえる。
【0044】
以上を踏まえると、新規配列は、ハルバッハ配列の磁極列が抱えていた組み立て作業に関する課題を解決しつつ、NS配列よりも、磁界発生方向における磁束密度の向上を図ることができる。また、磁束密度の向上は、リニアモーター1Aの高トルク化またはトルクを維持しながらの小型化に寄与できる。同様に、磁束密度の向上は、発電機の高効率化または効率を維持しながらの小型化に寄与できる。
【0045】
1.1.3.鎖交磁束
図5は、図2に示す新規配列の界磁3と図1に示す電機子6とを組み合わせた電動機のモデルを示す模式図である。図5に示すモデルでは、第1主磁石321が1つのティース63と向かい合っているとき、第2主磁石322も別のティース63と向かい合っている。また、図6は、図5に示すモデルについて、2次元電磁界解析を行い、電機子6が有するコイル64に鎖交する磁束の時間変化を示したシミュレーション結果である。
【0046】
新規配列の界磁3から発生した磁束がコイル64に鎖交するとき、その鎖交磁束の時間変化の振幅は、図6に示すように、NS配列よりも大きく、ハルバッハ配列よりも小さい。この結果から、新規配列の界磁3を用いた電動機では、NS配列の界磁3aを用いた電動機よりも、高トルク化またはトルクを維持しながら小型化を図ることができると認められる。また、発電機の高効率化または効率を維持しながらの小型化に寄与できる。
【0047】
また、鎖交磁束の時間変化の波形は、図6に示すように、正弦波に近い波形となっている。これにより、電動機や発電機におけるエネルギー変換効率を高めることができ、かつ、電動機におけるトルクリップル等の発生も少なく抑えられると認められる。
【0048】
1.2.バックヨーク
図1に示すバックヨーク38は、界磁3を支持する板状部材であり、必要に応じて設けられる。バックヨーク38を設けることにより、界磁3が発生させる磁界を強めることができる。
【0049】
バックヨーク38の構成材料としては、軟磁性材料が好ましく用いられる。軟磁性材料としては、例えば、純鉄、炭素鋼、鋳鉄等のバルク体、電磁鋼板の積層体、磁性粉末の圧粉体、電磁鋼板と磁性粉末とを組み合わせたハイブリッド体等が挙げられる。
【0050】
1.3.電機子
電機子6は、前述したように、配列軸AX1に沿って並ぶコア62および複数のコイル64を有する。コア62は、複数のティース63を備え、コイル64は、各ティース63に巻回されている。なお、ティース63の数およびコイル64の数は、特に限定されない。また、コイル64は、ティース63に直接巻回されていてもよいし、あらかじめボビン等に巻回され、これをティース63に被せたものであってもよい。
【0051】
1.4.界磁の変形例
図7は、界磁3の変形例を示す斜視図である。
【0052】
図7に示す界磁3は、極対33と、極対33を囲う枠体35と、を備える。枠体35は、x-y面に沿って広がる上板352および下板354と、y-z面に沿って広がり、上板352と下板354とを接続する隔壁356と、を有する。隔壁356は、隣り合う極対33同士の間に配置されている。このような枠体35を設けることにより、極対33を安定して固定することができる。これにより、組み立て後の界磁3の安定性を図るとともに、界磁3の組み立てが容易になるため、組み立ての作業効率を高めることができる。特に、隣り合う極対33同士を隔離する隔壁356は、組み立て作業において、副磁石323同士の吸着を効果的に抑制できる。
【0053】
また、枠体35を設けたことにより、界磁3の上面の平坦性を高めることができる。このため、図1に示す、固定子2と可動子5との距離をより近づけることができ、リニアモーター1Aの高トルク化または小型化を図ることができる。
【0054】
枠体35の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金のような金属材料の他、樹脂材料等が挙げられる。
【0055】
また、枠体35は、磁性材料であってもよいが、非磁性材料であるのが好ましい。非磁性材料であれば、界磁3を通る磁気回路において、枠体35が磁気抵抗になりにくい。このため、非磁性材料を用いることにより、界磁3が形成する磁束密度の低下を抑制しつつ、上記の効果を奏する枠体35を実現することができる。
【0056】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る電動機としてのアキシャルギャップモーターについて説明する。
【0057】
図8は、第2実施形態に係るモーターとしてのアキシャルギャップモーター1Cの概略構成を示す断面図である。図9は、図8のアキシャルギャップモーター1Cが備える界磁3Cを示す斜視図である。
【0058】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、以下の各図において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0059】
図8に示すように、アキシャルギャップモーター1Cは、回転軸AX3に沿って延在するシャフト10と、シャフト10に沿って配置されている固定子2Cおよび回転子5Cと、を備えている。
【0060】
固定子2Cは、電機子6Cを備える。電機子6Cは、コア62およびコイル64を有する。コイル64の数は、コイル64に流される電流の相数や界磁3C、その他の条件に応じて適宜設定される。
【0061】
回転子5Cは、界磁3Cと、バックヨーク38と、を備える。界磁3Cは、図9に示すように、配列軸AX1に沿って並ぶ複数の磁極32Cを有する。配列軸AX1は、回転軸AX3まわりに設定されている。界磁3Cが有する磁極32Cの個数は、コイル64の数やその他の条件に応じて適宜設定される。
【0062】
図8に示すアキシャルギャップモーター1Cでは、回転軸AX3まわりに回転子5Cが回転駆動される。また、回転子5Cは、シャフト10に接続されている。回転子5Cが回転駆動されると、それに伴ってシャフト10が回転する。
【0063】
なお、固定子と電機子、および、回転子と界磁という組み合わせは、逆であってもよい。つまり、固定子が界磁を備え、回転子が電機子を備えていてもよい。
【0064】
界磁3Cは、配列軸AX1に沿って並ぶ複数の磁極32Cを有する。配列軸AX1および対向軸AX2を含むように設定されている面(曲面)で、図9に示す界磁3Cを切断すると、図2に示す界磁3と同様の断面図が得られる。界磁3Cは、適用されるモーターの種類が異なる以外、前述した界磁3と同様である。
【0065】
界磁3Cも、新規配列の磁極列を有しているので、組み立て作業を容易に行うことができる。また、界磁3Cは、高トルク化が図られたアキシャルギャップモーター1Cまたはトルクを損なうことなく小型化が図られたアキシャルギャップモーター1Cの実現に寄与する。
【0066】
また、アキシャルギャップモーター1Cは、電動機であり、入力される電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。一方、アキシャルギャップモーター1Cは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有しているので、発電機に転用することもできる。実施形態に係る発電機も、アキシャルギャップモーター1Cと同様、界磁3Cと、界磁3Cの磁界発生方向に配置されている電機子6Cと、を備える。界磁3Cは、発電機の高効率化または効率を維持しながらの小型化に寄与できる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るモーターとしてのラジアルギャップモーターについて説明する。
【0068】
図10は、第3実施形態に係るモーターとしてのラジアルギャップモーター1Fの概略構成を示す断面図である。図11は、図10に示すラジアルギャップモーター1Fが備える界磁3Fを示す斜視図である。
【0069】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、以下の各図において、第1、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0070】
図10に示すように、ラジアルギャップモーター1Fは、回転軸AX3に沿って延在するシャフト10と、シャフト10の半径方向において互いに対向するように配置されている固定子2Fおよび回転子5Fと、を備えている。
【0071】
固定子2Fは、界磁3Fと、バックヨーク38と、を備える。界磁3Fは、図11に示すように、配列軸AX1に沿って並ぶ複数の磁極32Fを有する。界磁3Fが有する磁極32Fの個数は、コイル64の数やその他の条件に応じて適宜設定される。
【0072】
回転子5Fは、電機子6Fを備える。電機子6Fは、コア62およびコイル64を有する。
【0073】
図10に示すラジアルギャップモーター1Fでは、回転軸AX3まわりに回転子5Fが回転駆動される。また、回転子5Fは、シャフト10に接続されている。回転子5Fが回転駆動されると、それに伴ってシャフト10が回転する。
【0074】
なお、固定子と界磁、および、回転子と電機子という組み合わせは、逆であってもよい。つまり、固定子が電機子を備え、回転子が界磁を備えていてもよい。
【0075】
界磁3Fは、配列軸AX1に沿って並ぶ複数の磁極32Fを有する。配列軸AX1および対向軸AX2を含むように設定されている面(z軸に直交する平面)で、図11に示す磁極32Fを切断すると、図2に示す界磁3と同様の断面図が得られる。界磁3Fは、適用されるモーターの種類が異なる以外、前述した界磁3と同様である。
【0076】
界磁3Fも、新規配列の磁極列を有しているので、組み立て作業を容易に行うことができる。また、界磁3Fは、高トルク化が図られたラジアルギャップモーター1Fまたはトルクを損なうことなく小型化が図られたラジアルギャップモーター1Fの実現に寄与する。
【0077】
また、ラジアルギャップモーター1Fは、電動機であり、入力される電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。一方、ラジアルギャップモーター1Fは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有しているので、発電機に転用することもできる。実施形態に係る発電機も、ラジアルギャップモーター1Fと同様、界磁3Fと、界磁3Fの磁界発生方向に配置されている電機子6Fと、を備える。界磁3Fは、発電機の高効率化または効率を維持しながらの小型化に寄与できる。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0078】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る界磁の製造方法について説明する。
【0079】
図12は、第4実施形態に係る界磁の製造方法の構成を示すフローチャートである。図13ないし図17は、図12に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。なお、以下の説明では、図2に示す界磁3の製造方法を例にして説明する。
【0080】
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0081】
図12に示す界磁3の製造方法は、第1主磁石321を配置する工程S102と、副磁石323を配置する工程S104と、第2主磁石322を配置する工程S106と、全ての磁石を配置したか否かを判断する工程S108と、を有する。
【0082】
工程S102では、図13に示すように、バックヨーク38を用意し、その上面に第1主磁石321を配置する。バックヨーク38に対する第1主磁石321の固定には、例えば接着剤を用いることができる。また、バックヨーク38には、必要に応じて、第1主磁石321を係合させるための被係合部が設けられていてもよい。これにより、位置決め精度を高めることができる。なお、これらの事項は、副磁石323や第2主磁石322についても同様である。
【0083】
工程S104では、図14に示すように、第1主磁石321に隣接して副磁石323を配置する。隣り合う極対33同士で、副磁石323の第3磁化方向M3は互いに同じ方向であり、かつ、副磁石323同士が互いに十分に離れている。このため、工程S104で副磁石323を配置するとき、副磁石323同士で磁気的反発力が発生することなく容易に配置することができる。
【0084】
工程S106では、図15に示すように、副磁石323に隣接して第2主磁石322を配置する。
【0085】
工程S108では、全ての磁石を配置したか否かを判断する。全ての磁石を配置し終えた場合は、フローを終了する。一方、配置していない磁石が残っている場合には、工程S102に戻す。そして、全ての磁石を配置し終えるまで、工程S102から工程S106までを繰り返す。
【0086】
例えば、2回目以降の工程S102では、図16に示すように、既存の第2主磁石322に隣接して第1主磁石321を配置する。
【0087】
また、2回目以降の工程S104では、図17に示すように、第1主磁石321に隣接して副磁石323を配置する。
以上のようにして、配列軸AX1に沿って複数の極対33を備える界磁3が得られる。
【0088】
4.1.製造方法の第1変形例
次に、第1変形例に係る界磁の製造方法について説明する。
【0089】
図18は、第1変形例に係る界磁の製造方法の構成を示すフローチャートである。図19ないし図21は、図18に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。なお、以下の説明では、図7に示す界磁3の製造方法を例にして説明する。
【0090】
以下、第1変形例について説明するが、以下の説明では、第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において、図7に示す構成と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0091】
図18に示す界磁3の製造方法は、枠体35を準備する工程S202と、第1主磁石321を配置する工程S204と、第2主磁石322を配置する工程S206と、副磁石323を配置する工程S208と、を有する。
【0092】
工程S202では、図19に示すように、枠体35を準備する。枠体35は、界磁3全体で1つであってもよいし、極対33ごとに分割されたものであってもよいし、複数の極対33ごとに分割されたものであってもよい。
【0093】
工程S204では、図20に示すように、枠体35の内側に第1主磁石321を配置する。第1主磁石321は、図20に示すように、隔壁356に沿って配置する。枠体35に対する第1主磁石321の固定には、例えば接着剤を用いることができる。また、枠体35には、必要に応じて、第1主磁石321を係合させるための被係合部が設けられていてもよい。これにより、位置決めの精度を高めることができる。なお、これらの事項は、副磁石323や第2主磁石322についても同様である。
【0094】
工程S206では、図20に示すように、枠体35の内側に第2主磁石322を配置する。第2主磁石322は、図20に示すように、隔壁356を介して第1主磁石321の反対側に配置する。このとき、第2主磁石322には、隔壁356を介して第1主磁石321との間に磁気的吸引力が生じる。このため、第1主磁石321および第2主磁石322が互いに引き合って固定され、双方の位置精度が高められるとともに、作業効率も高められる。
【0095】
工程S208では、図21に示すように、枠体35の内側に副磁石323を配置する。隣り合う極対33同士で、副磁石323の第3磁化方向M3は互いに同じ方向であり、かつ、副磁石323同士が互いに十分に離れている。また、極対33同士の間には、隔壁356も存在している。このため、工程S104で副磁石323を配置するとき、副磁石323同士が吸着してしまう確率を下げることができる。以上のようにして、複数の極対33と、枠体35と、を備える界磁3が得られる。なお、副磁石323は、まず、1つ飛ばしの極対33に配置し、その後残りの極対33に配置するという順序で配置することができる。この場合、配置する際に副磁石323同士がさらに離れているため、副磁石323同士が吸着してしまう確率をより下げることができる。
【0096】
4.2.製造方法の第2変形例
次に、第2変形例に係る界磁の製造方法について説明する。
【0097】
図22は、第2変形例に係る界磁の製造方法の構成を示すフローチャートである。図23は、図22に示す界磁の製造方法を説明するための断面図である。なお、以下の説明では、図2に示す界磁3の製造方法を例にして説明する。
【0098】
以下、第2変形例について説明するが、以下の説明では、第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、各図において、図2に示す構成と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0099】
図22に示す界磁3の製造方法は、極対33を組み立てる工程S302と、組み立てた極対33を配置する工程S304と、を有する。
【0100】
工程S302では、図23に示す極対33を組み立てる。極対33は、図23に示すように、配列軸AX1に沿って、第1主磁石321、副磁石323および第2主磁石322がこの順で並べられてなる磁石セットである。磁石同士の固定には、例えば接着剤が用いられる。また、磁石セット全体を樹脂でモールドしてもよい。さらに、前述した枠体35が極対33ごとに分割可能である場合、分割された枠体35の内側に磁石セットを挿入しておいてもよい。そして、工程S302では、界磁3に必要な個数分の極対33を組み立てる。
【0101】
工程S304では、組み立てた極対33をバックヨーク38の上面に配置する。極対33では、磁石同士がすでに固定されているため、極対33を効率よく配置することができる。なお、各極対33を配置するときは、副磁石323の第3磁化方向M3が互いに同じ方向になるように配置することになるため、効率よく行うことができる。
なお、以上のような第2変形例は、図7に示す界磁3の製造にも適用可能である。
【0102】
以上、本発明の界磁、電動機、発電機および界磁の製造方法を図示の実施形態またはその変形例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の界磁、電動機および発電機は、それぞれ、前記実施形態またはその変形例の各部が同様の機能を有する任意の構成物に置換されたものであってもよく、前記実施形態またはその変形例に任意の構成物が付加されたものであってもよい。また、本発明の界磁の製造方法は、前記実施形態またはその変形例に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。さらに、本発明は、前記実施形態およびその変形例のうちの2つ以上が組み合わされた構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1A…リニアモーター、1C…アキシャルギャップモーター、1F…ラジアルギャップモーター、2…固定子、2C…固定子、2F…固定子、3…界磁、3C…界磁、3F…界磁、3a…界磁、3b…界磁、5…可動子、5C…回転子、5F…回転子、6…電機子、6C…電機子、6F…電機子、10…シャフト、32…磁極、32C…磁極、32F…磁極、32a…磁極、32b…磁極、33…極対、35…枠体、38…バックヨーク、62…コア、63…ティース、64…コイル、321…第1主磁石、322…第2主磁石、323…副磁石、352…上板、354…下板、356…隔壁、AX1…配列軸、AX2…対向軸、AX3…回転軸、M…磁化方向、M1…第1磁化方向、M2…第2磁化方向、M3…第3磁化方向、S102…工程、S104…工程、S106…工程、S108…工程、S202…工程、S204…工程、S206…工程、S208…工程、S302…工程、S304…工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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