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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092783
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】搭乗者の眠気情報サービス提供装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 28/06 20060101AFI20240701BHJP
   A61B 5/18 20060101ALI20240701BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240701BHJP
   G08B 21/06 20060101ALI20240701BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B60K28/06 A
A61B5/18
A61B5/0245 C
G08B21/06
G08B21/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208935
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】村山 勝
【テーマコード(参考)】
3D037
4C017
4C038
5C086
【Fターム(参考)】
3D037FA05
3D037FB09
4C017AA02
4C017AB04
4C017AB10
4C017AC20
4C017BC11
4C017BC16
4C017BC21
4C017BD06
4C017DD14
4C017DD17
4C038PP05
4C038PQ04
4C038PS00
5C086AA23
5C086BA22
5C086CA30
5C086DA08
5C086FA02
5C086FA06
(57)【要約】
【課題】搭乗者の眠気の変化を推定する精度が向上した、搭乗者の眠気情報サービス提供装置を提供する。
【解決手段】モビリティ2に搭乗した搭乗者の、搭乗時における生体信号BSを取得する取得装置と、生体信号BSに基づいて、搭乗者の心拍信号HSを推定する推定部12と、心拍信号HSに基づいて、搭乗者の眠気予兆に関する眠気予兆データDDを算出する算出部13と、モビリティ2に現在搭乗している状態における搭乗者の今回眠気予兆データDDAと過去に搭乗者がモビリティ2に搭乗したときに検知された過去眠気予兆データDDBとに基づいて、搭乗者の眠気が増加したか否かを推定する状態推定部16と、搭乗者に対して特定のサービスを提供するための提供機器の制御を実行するサービス提供部17と、を備えた、搭乗者の眠気情報サービス提供装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティに搭乗した搭乗者の、搭乗時における生体信号を取得する取得装置と、
前記生体信号に基づいて、前記搭乗者の心拍に関する心拍信号を推定する推定部と、
前記心拍信号に基づいて、前記搭乗者の眠気予兆に関するデータであって、所定の計測時間内に計測される単位時間当たりの眠気予兆の検知回数または前記検知回数の相関値である眠気予兆データを算出する算出部と、
前記モビリティに現在搭乗している状態における前記搭乗者の前記眠気予兆データである今回眠気予兆データを取得する今回眠気予兆データ取得部と、
過去に前記搭乗者が前記モビリティに搭乗したときに検知された前記眠気予兆データである過去眠気予兆データを取得する過去眠気予兆データ取得部と、
前記今回眠気予兆データと前記過去眠気予兆データとが所定の比較条件を満たすか否かに基づいて、前記搭乗者の眠気が増加したか否かを推定する状態推定部と、
前記搭乗者の前記眠気が増加したと推定されたことに基づいて、前記搭乗者に対して特定のサービスを提供するための提供機器の制御を実行するサービス提供部と、
を備えた、搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項2】
前記状態推定部は、
前記今回眠気予兆データが眠気判定基準以上である場合に、前記搭乗者の眠気が増加したと推定し、
さらに、前記今回眠気予兆データが前記眠気判定基準未満であり、前記今回眠気予兆データと前記過去眠気予兆データとが前記比較条件を満たす場合に、前記搭乗者の眠気が増加したと推定する、請求項1に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項3】
前記状態推定部は、
前記今回眠気予兆データが眠気判定基準以上である場合に、前記搭乗者の眠気が増加したと推定し、
さらに、前記今回眠気予兆データが前記眠気判定基準未満であり、前記今回眠気予兆データと前記過去眠気予兆データとが前記比較条件を満たす場合であり、前記今回眠気予兆データが前記眠気判定基準よりも小さな第二眠気判定基準以上である場合に、前記搭乗者の眠気が増加したと推定する、請求項1に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項4】
前記今回眠気予兆データは、前記搭乗者が前記モビリティに現在搭乗しているときの前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データであり、
前記過去眠気予兆データは、
前記搭乗者が前記モビリティに前回搭乗したときの前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データである前回眠気予兆データと、
前記搭乗者が前記モビリティに前々回搭乗したときの前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データである前々回眠気予兆データと、を含み、
前記比較条件は、前記今回眠気予兆データが前記前回眠気予兆データよりも大きく、且つ、前記前回眠気予兆データが前記前々回眠気予兆データよりも大きいことである、請求項2または3に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項5】
前記今回眠気予兆データは、前記モビリティに現在搭乗しているときの前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データであり、
前記過去眠気予兆データは、
前記搭乗者が前記モビリティに前回搭乗したときの前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データである前回眠気予兆データと、
前記搭乗者が過去に前記モビリティに複数回搭乗したときの前記心拍信号に基づいて算出された前記単位時間当たりの前記眠気予兆データである長期眠気予兆データと、を含み、
前記比較条件は、前記今回眠気予兆データが前記前回眠気予兆データよりも大きく、且つ、前記前回眠気予兆データが前記長期眠気予兆データよりも大きいことである、請求項2または3に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項6】
前記過去眠気予兆データは、前記今回眠気予兆データが測定された時刻を含む過去の時間帯において前記搭乗者が前記モビリティに搭乗したときの前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データである、請求項1~3のいずれか1項に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項7】
前記今回眠気予兆データは、現在を含む所定の比較期間における前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データであり、
前記過去眠気予兆データは、現在よりも前の前記比較期間における前記心拍信号に基づいて算出された前記眠気予兆データである、請求項1~3のいずれか1項に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項8】
前記サービス提供部は、前記搭乗者の眠気が増加したと推定された場合、前記搭乗者に対して前記サービスを提供する時期を早めるように前記提供機器の制御を実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項9】
前記過去眠気予兆データは、前記今回眠気予兆データの算出に用いられる前記心拍信号の期間よりも長時間である所定期間における前記心拍信号に基づいて算出された前記単位時間当たりの前記眠気予兆の検知回数または前記検知回数の相関値である、請求項1~3のいずれか1項に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項10】
前記サービス提供部は、前記提供機器としての、前記搭乗者の視覚、聴覚、触覚、嗅覚の少なくとも1つに対して注意喚起を付与する装置の制御を実行する、請求項1~3に記載のいずれか1項に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【請求項11】
前記サービス提供部は、前記提供機器としての、モビリティの安全性に関連するモビリティ安全機器の制御を実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の搭乗者の眠気情報サービス提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗者の眠気情報サービス提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に例示されるモビリティの搭乗者の眠気に関して、搭乗者の心拍動間隔の時間変化と、予め定められた心拍動間隔の時間変化の判定基準に基づいて、比較的短時間で搭乗者の眠気を検知する技術が開示されている(特許文献1参照)。上記の技術においては、モビリティの搭乗者に、画像または音声によって、搭乗者に眠気に対応するメッセージが報知されるサービスが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-192128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搭乗者の眠気が増加する場合、搭乗者の過去の生活状態に影響を受ける場合がある。例えば、過去数日間にわたって、睡眠不足状態が続いていたり、肉体疲労が蓄積されていたりする場合が想定される。このような場合には、眠気が検知されていない状態であっても、搭乗者の眠気が増加する可能性が高いと考えられる。このため、眠気に関する搭乗者の過去のデータに基づいて、搭乗者の眠気が増加する傾向にあるか否かを判断する精度を向上させることが望まれる。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、搭乗者の眠気の変化を推定する精度が向上した、搭乗者の眠気情報サービス提供装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
モビリティに搭乗した搭乗者の、搭乗時における生体信号を取得する取得装置と、
前記生体信号に基づいて、前記搭乗者の心拍に関する心拍信号を推定する推定部と、
前記心拍信号に基づいて、前記搭乗者の眠気予兆に関するデータであって、所定の計測時間内に計測される単位時間当たりの眠気予兆の検知回数または前記検知回数の相関値である眠気予兆データを算出する算出部と、
前記モビリティに現在搭乗している状態における前記搭乗者の前記眠気予兆データである今回眠気予兆データを取得する今回眠気予兆データ取得部と、
過去に前記搭乗者が前記モビリティに搭乗したときに検知された前記眠気予兆データである過去眠気予兆データを取得する過去眠気予兆データ取得部と、
前記今回眠気予兆データと前記過去眠気予兆データとが所定の比較条件を満たすか否かに基づいて、前記搭乗者の眠気が増加したか否かを推定する状態推定部と、
前記搭乗者の前記眠気が増加したと推定されたことに基づいて、前記搭乗者に対して特定のサービスを提供するための提供機器の制御を実行するサービス提供部と、
を備えた、搭乗者の眠気情報サービス提供装置にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、今回眠気予兆データと、過去眠気予兆データとが比較条件を満たすか否かに基づいて、搭乗者の眠気が増加したか否かを推定するので、搭乗者の眠気の経時変化を観測することができる。これにより、搭乗者の現在の情報である今回眠気予兆データのみから判断する場合に比べて、搭乗者の眠気の変化を推定する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図2】実施形態1のセンサが取付けられるシートを示す断面図。
図3】実施形態1の眠気予兆データに係る、心拍動間隔の経時変化を示すグラフ。
図4】実施形態1の眠気情報サービス提供装置のメインルーチンのフローチャート。
図5】実施形態1の状態推定処理1を示すフローチャート。
図6】実施形態2の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図7】実施形態2の状態推定処理2を示すフローチャート。
図8】実施形態3の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図9】実施形態3の状態推定処理3を示すフローチャート。
図10】実施形態4の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図11】実施形態4の状態推定処理4を示すフローチャート。
図12】実施形態5の状態推定処理5を示すフローチャート。
図13】実施形態6の状態推定処理6を示すフローチャート。
図14】実施形態7の状態推定処理7を示すフローチャート。
図15】他の態様(2)の眠気情報サービス提供装置に係るシートを示す断面図。
図16】他の態様(3)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図17】他の態様(4)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図18】他の態様(5)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図19】他の態様(6)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図20】他の態様(7)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図21】他の態様(8)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図22】他の態様(9)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
図23】他の態様(10)の眠気情報サービス提供装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
1.眠気情報サービス提供装置1の概要
図1を参照して、実施形態1に係る眠気情報サービス提供装置1の概要について説明する。本形態の眠気情報サービス提供装置1は、モビリティ2に搭乗した搭乗者の眠気に関する眠気情報に係るサービスを、搭乗者に提供する。
【0010】
本形態のモビリティ2とは、乗用自動車、貨物用自動車、作業用自動車等の車両、電車、船舶、飛行機、ヘリコプター、乗用ドローン等、人が搭乗する移動手段をいう。
【0011】
図1に示すように、本形態の眠気情報サービス提供装置1は、センサ10と、制御回路11と、推定部12と、算出部13と、今回眠気予兆データ取得部14と、過去眠気予兆データ取得部15と、状態推定部16と、サービス提供部17と、ユーザーインターフェース18(提供機器の一例)と、モビリティ安全機器19(提供機器の一例)と、を備える。
【0012】
モビリティ2は、搭乗者が座るシート21を備える。シート21にはセンサ10が取付けられている。シート21が運転座席に適用される場合には、シート21は、運転時における運転者による着座状態や運転者の生体信号BSを検出するために用いられる。シート21が運転座席と異なる座席に適用される場合には、シート21は、運転者と異なるモビリティ2の搭乗者による着座状態や生体信号BSを検出するために用いられる。
【0013】
シート21は、図2に示すように、フレーム部28と、クッション部29と、センサ10とを備える。本形態のシート21は、ヘッドレスト22cを備える。ただし、ヘッドレスト22cは省略してもよい。
【0014】
フレーム部28は、座面シートフレーム31と、背面シートフレーム41と、を備える。クッション部29は、座面シートフレーム31に取り付けられる座面シートクッション30と、背面シートフレーム41に取り付けられる背面シートクッション42と、を備える。座面シートクッション30は、第一座面シートクッション32および第二座面シートクッション35と、を備える。
【0015】
座面シートフレーム31は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されており、モビリティ2に取り付けられる。座面シートフレーム31は、板状をなす板状部を有する。板状部は、板面が上下方向を向くようにモビリティ2に取り付けられている。板状部の上面は、第一座面シートクッション32が取り付けられる取り付け座面31aとされる。座面シートフレーム31のうち板状部と異なる部分は棒状、柱状等、任意の形状に形成される。
【0016】
第一座面シートクッション32は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。第一座面シートクッション32は、座面シートフレーム31の上面に形成された取り付け座面31aに載置された状態で取り付けられる。第一座面シートクッション32の上面が、搭乗者の臀部により圧力を受ける受圧面32aとなる。第一座面シートクッション32の下面、すなわち受圧面32aの裏側の面である反受圧面32bは、座面シートフレーム31の取り付け座面31aに対向する。
【0017】
第一座面シートクッション32は、反受圧面32bにおいて座面シートフレーム31側に向けて、下方に開口する収容凹部50を有する。収容凹部50の断面形状は、多角形状、円形状、長円形状等、任意の形状とすることができる。本形態の収容凹部50の断面形状は四角形状とされる。収容凹部50のうち、収容凹部50の開口する方向と反対側に位置する部分は収容凹部50の底部52とされる。
【0018】
収容凹部50内には、第二座面シートクッション35が収容されている。第二座面シートクッション35は、座面シートフレーム31の取り付け座面31aに取り付けられている。第二座面シートクッション35のうち、座面シートフレーム31の取り付け座面31aと対向する面は取り付け面35bとされる。第一座面シートクッション32と、第二座面シートクッション35とが座面シートフレーム31に取り付けられた状態で、第一座面シートクッション32の反受圧面32bと、第二座面シートクッション35の取り付け面35bとは、面一になっている。また、第一座面シートクッション32と、第二座面シートクッション35とが座面シートフレーム31に取り付けられた状態で、収容凹部50の内側面と、第二座面シートクッション35の外側面との間には隙間が形成されている。第二座面シートクッション35の上面(座面シートフレーム31と反対側に位置する面)は、センサ10を下方から押圧する第二押圧面35aとされる。ただし、第一座面シートクッション32の収容凹部50は上方に開口し、この収容凹部50内に第二座面シートクッション35が収容される構成としても良い。
【0019】
第一座面シートクッション32の表面には、座面表皮部材33が積層されている。座面表皮部材33は、第一座面シートクッション32の少なくとも受圧面32aを被覆する。座面表皮部材33は、布、革など、第一座面シートクッション32よりも伸縮しにくい材料により形成されている。
【0020】
背面シートフレーム41は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されている。背面シートフレーム41は、板状、棒状などに形成される。例えば、シート本体22にリクライニング機能を設ける場合には、背面シートフレーム41は、座面シートフレーム31に揺動可能に支持される。もちろん、背面シートフレーム41は、座面シートフレーム31に一体的に固定されるようにしても良い。
【0021】
背面シートクッション42は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。背面シートクッション42は、背面シートフレーム41に積層して取り付けられる。背面シートクッション42のうち背面シートフレーム41と反対側の面が、搭乗者の背部により圧力を受ける受圧面42aとなる。また、背面シートクッション42のうち背面シートフレーム41に対向する面が、背面シートクッション42の反受圧面42bとなる。
【0022】
背面シートクッション42の表面には、背面表皮部材43が被覆されている。背面表皮部材43は、背面シートクッション42の少なくとも受圧面42aを被覆する。背面表皮部材43は、布、革などの材料により形成されている。
【0023】
ヘッドレスト22cは、シート背面部22bの上端に配置される。ヘッドレスト22cは、クッション45および表皮部材46を備える。ここで、図2においては、第一座面シートクッション32と背面シートクッション42とを別体としたが、一体としても良い。また、背面シートクッション42とヘッドレスト22cとを別体としたが、一体としても良い。
【0024】
センサ10は、第一座面シートクッション32の収容凹部50内に形成された第一押圧面52bと、第二座面シートクッション35の第二押圧面35aと、の間に配置される。第一押圧面52bは、下方に突出する凸部52aに設けられている。ここで、搭乗者がシート本体22に着座することにより、搭乗者の臀部から第一座面シートクッション32の受圧面32aに圧力が付与され、当該圧力が第一座面シートクッション32を介して第一座面シートクッション32の第一押圧面52bに伝達される。そして、第一座面シートクッション32の第一押圧面52bからセンサ10が圧力を受ける。つまり、センサ10は、搭乗者による着座状態において、第一座面シートクッション32の受圧面32aから第一座面シートクッション32を介して伝達される圧力に応じた物理量を検出する。
【0025】
ここで、センサ10は、シート座面部22aに配置したが、シート背面部22bに配置しても良い。この場合、センサ10は、背面シートフレーム41と背面シートクッション42との間に配置される。そして、センサ10は、搭乗者による着座状態において、背面シートクッション42の受圧面32aから背面シートクッション42を介して伝達される圧力に応じた物理量を検出する。
【0026】
図1に戻って、センサ10は、センサ10を制御するための制御回路11と接続されている。制御回路11は、センサ10の動作を制御するとともに、センサ10が検出した物理量をセンサ10から取得する。制御回路11は、センサ10から取得した物理量について、搭乗者の生体信号BSを検出する。制御回路11は、生体信号BSについて、増幅や、ノイズキャンセル等の加工を施しても良い。
【0027】
センサ10と、制御回路11により、搭乗者の生体信号BSをモニターするモニタリングシステム56(取得装置の一例)が構成される。
【0028】
制御回路11は、生体信号BSをECU57(Electrical Control Unit)に送信する。ECU57は、推定部12と、算出部13と、を備える。
【0029】
推定部12は、モニタリングシステム56の制御回路11から取得した生体信号BSを取得する。生体信号BSは、搭乗者の心拍、脈拍、体動、呼吸などの上位概念であり、また、心拍、脈拍、体動、呼吸などの信号が混在したものも含む。脈拍は、動脈に生じる拍動を意味する。一方、心拍は、心臓が全身に血液を送り出す拍動を意味する。健常者であれば、通常、心拍と脈拍とは一致するので、以下、心拍と脈拍をまとめて、心拍に関する心拍信号HSと呼称する。推定部12は、生体信号BSから、搭乗者の心拍に関する心拍信号HSを推定する。
【0030】
算出部13は、心拍信号HSに基づいて、搭乗者の眠気予兆に関する眠気予兆データDDを算出する。眠気予兆データDDは、所定の計測時間内に計測される単位時間当たりの眠気予兆の検知回数または検知回数の相関値である。本形態においては、心拍信号HSに基づいて算出される、搭乗者の心拍の時間間隔の変化に基づいて搭乗者に眠気が生じているか否かを判定する。なお、以下の説明において、搭乗者の心拍の時間間隔を単に心拍動間隔とも記載する。
【0031】
図3を参照して、眠気予兆データDDについて説明する。図3に示すグラフは、心拍動間隔の経時変化を示す。心拍動間隔が大きくなるということは、搭乗者の心拍がゆっくりと脈打つことを意味する。心拍動間隔が小さくなるということは、搭乗者の心拍が早く脈打つことを意味する。
【0032】
図3に示すグラフの波形は、搭乗者の眠気を判定する基準である波形を示す。図3のグラフのうち、領域Dで示される波形が、搭乗者の眠気を判定する基準の一例を示す波形である。領域Dに係る波形は、領域A~領域Cに係る波形を含む。領域Aは心拍動間隔が小さくなる領域であり、グラフが下降する第1期間とされる。領域Bは、第1期間の後に生じるものであって、心拍動間隔が増加する第2期間とされる。領域Cは、第2期間の後に生じるものであって、心拍動間隔は減少した後に増加する。すなわち、第3期間において、心拍動間隔は脈動する。なお、測定時間に対する心拍動間隔のグラフにおける、搭乗者の眠気の判定基準については、特開2018-192128号公報に記載されている。
【0033】
領域Aにおいて、心拍動間隔は減少している。これは、瞼が閉じるのを我慢しようとして搭乗者が瞼に力を入れるなど、搭乗者が眠気に耐えようとするために心拍数が増加する状態に対応している。心拍数が増加すると、鼓動が早くなって心拍動間隔は減少する。
【0034】
領域Bにおいて、心拍動間隔は増加している。これは、眠気を紛らせた後に再び眠気が生じ、心拍動間隔が長くなる期間に相当する。搭乗者に眠気が生じると、心拍動間隔が増加する(心拍数が減少する)からである。
【0035】
領域Cは、眠気が継続する期間に相当する。
【0036】
上記のように、搭乗者が意識的または無意識的に眠気に抵抗しようとする領域(領域Aに相当)と、再び眠気が生じる領域(領域Bおよび領域C)と、が連続する波形(領域D)の有無により、搭乗者の眠気を判定することができる。
【0037】
眠気予兆データDDは、所定の計測時間における領域Dに相当する波形の検知回数、または、所定の計測時間における領域Dに相当する波形から算出された演算値の積算値である。
【0038】
図1に戻って、算出部13は、眠気予兆データDDをユーザーインターフェース18(提供装置の一例)に送信する。ユーザーインターフェース18としては、カーナビゲーションシステム、スマートフォン、スマートウォッチ、センサ10専用の端末装置等が例示される。本形態では、モビリティ2に取付けられたカーナビゲーションシステムが採用される。
【0039】
ユーザーインターフェース18は、搭乗者に特定のサービスを提供するための画面表示装置(図示せず)およびスピーカ(図示せず)の、双方または一方を備える。ユーザーインターフェース18は、画像または音声によって、搭乗者に特定のサービスを提供する。
【0040】
ユーザーインターフェース18は、図示しない通信装置を備えており、この通信装置によってインターネット等のネットワーク58と接続されている。ユーザーインターフェース18は、ネットワーク58を介してクラウド59とデータの送信または受信を行う。
【0041】
クラウド59は、今回眠気予兆データ取得部14と、過去眠気予兆データ取得部15と、状態推定部16と、記憶部60と、を備える。
【0042】
今回眠気予兆データ取得部14は、ユーザーインターフェース18からネットワーク58を介して今回眠気予兆データDDAを取得する。今回眠気予兆データDDAは、モビリティ2に現在搭乗している状態における搭乗者の眠気予兆データDDと定義される。
【0043】
ユーザーインターフェース18からネットワーク58を介してクラウド59に送信された眠気予兆データDDは、今回眠気予兆データ取得部14に取得されるとともに、順次、記憶部60に格納される。
【0044】
過去眠気予兆データ取得部15は、記憶部60に格納された過去眠気予兆データDDBを取得する。過去眠気予兆データDDBは、過去に搭乗者がモビリティ2に搭乗したときに検知された眠気予兆データDDである。
【0045】
状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとの違いに基づいて、搭乗者の健康状態の変化を推定する。
【0046】
記憶部60は、ユーザーインターフェース18からネットワーク58を介して送信された過去眠気予兆データDDBを格納する。また、記憶部60は、眠気予兆データDDと、眠気判定基準DCAと、比較条件CCと、を格納する。
【0047】
状態推定部16によって推定された搭乗者の眠気に関する推定結果は、ネットワーク58を介してユーザーインターフェース18に送信される。ユーザーインターフェース18に送信された、搭乗者の眠気に関する推定結果は、サービス提供部17に送信される。サービス提供部17は、当業者の眠気が増加したと推定された結果に基づいて、ナビゲーションシステムの動作を制御する。
【0048】
また、サービス提供部17は、当業者の眠気が増加したと推定された結果に基づいて、モビリティ安全機器19の制御を実行する。モビリティ安全機器19は特に限定されないが、モビリティ2が安全に移動するためにモビリティ2に取付けられた装置である。モビリティ安全機器19としては、自動ブレーキシステム、アクセル制御システム、ステアリングホイールの接触検知装置、車載カメラによる眠気予兆検知システム等が例示される。
【0049】
2.実施形態の動作
2-1.メインルーチン
次に、図4を参照して、本形態の眠気情報サービス提供装置1の動作について説明する。図4に、本形態の眠気情報サービス提供装置1の動作のフローチャートを示す。眠気情報サービス提供装置1が起動すると、生体信号取得処理S1が実行される。生体信号取得処理S1においては、センサ10が、モビリティ2のシート21に座った搭乗者から物理量を検出する。センサ10が検出した物理量は制御回路11に伝達され、制御回路11は物理量に基づいて搭乗者の生体信号BSを算出する。
【0050】
次に、心拍信号推定処理S2が実行される。心拍信号推定処理S2においては、推定部12が、制御回路11から取得した生体信号BSに基づいて、搭乗者の心拍に関する心拍信号HSを推定する。
【0051】
次に、眠気予兆データ算出処理S3が実行される。眠気予兆データ算出処理S3においては、算出部13が、推定部12から取得した心拍信号HSに基づいて、眠気予兆データDDを算出する。算出された眠気予兆データDDは、ユーザーインターフェース18からネットワーク58を介してクラウド59に送信される。
【0052】
次に、状態推定処理S4が実行される。状態推定処理S4においては、状態推定部16が、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たすか否かに基づいて、搭乗者の眠気が増加したか否かを推定する。
【0053】
次に、サービス提供処理S5が実行される。サービス提供処理S5においては、サービス提供部17が、状態推定部16から取得した搭乗者の眠気が増加したと推定されたことに基づいて、搭乗者に特定のサービスを提供するための提供機器の制御を実行する。以下に具体的に説明する。
【0054】
サービス提供部17は、搭乗者の視覚、聴覚、触覚、嗅覚の少なくとも1つに対して注意喚起を付与するユーザーインターフェース18の制御を実行する構成としても良い。
【0055】
ユーザーインターフェース18としてカーナビゲーションシステムが適用された場合には、例えば、以下のようなサービスを提供できる。ユーザーインターフェース18は、例えば、搭乗者に、搭乗者の眠気が増加したことを端的に伝えるメッセージを音声で伝えたり、画面に表示したりしてもよい。メッセージは特に限定されず、例えば、「眠気が増加しています。」、「休憩してはいかがですか?」等、任意のメッセージを採用できる。
【0056】
また、ユーザーインターフェース18は、搭乗者を覚醒させるために、警告音を発しても良い。
【0057】
また、ユーザーインターフェース18として、例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチが適用された場合には、サービス提供部17は、ユーザーインターフェース18を振動させることにより、搭乗者の触覚を通じて振動によって覚醒させる構成としても良い。
【0058】
サービス提供部17は、モビリティ安全機器19を制御する構成としても良い。例えば、モビリティ安全機器19として自動ブレーキシステムが適用された場合、自動ブレーキの感度を上げて、早めに軽減ブレーキが発動するように制御する構成としても良い。
【0059】
また、モビリティ安全機器19として、アクセル制御システムが適用された場合、サービス提供部17は、アクセル開度に上限を設定し、搭乗者がアクセルを急に踏み込んでも、モビリティ2が急加速することを抑制する構成としても良い。
【0060】
また、モビリティ安全機器19として、ステアリングホイールの接触検知装置が適用された場合、搭乗者の接触検知をするための時間間隔を短くする構成としても良い。これにより、搭乗者のステアリングホイールへの接触状態を頻繁に検知し、搭乗者に対してステアリングホイールへの接触を頻繁に警告する。警告を受けても搭乗者がステアリングホイールに接触しない場合、サービス提供部17は、自動ブレーキシステムおよびアクセル制御システムを制御することにより速やかに自動停車モードに移行し、モビリティ2を安全に停車させる構成としても良い。
【0061】
また、サービス提供装置は、ステアリングホイールを振動させて、振動により搭乗者の覚醒を促す構成としても良い。
【0062】
また、モビリティ安全機器19として車載カメラによる眠気予兆検知システムが適用された場合、サービス提供部17は、カメラシステムの感度を上げて、搭乗者に対する警告が発せられやすくする構成としても良い。
【0063】
サービス提供処理S5が終了すると、眠気情報サービス提供装置1の動作は終了する。
【0064】
2-2.状態推定処理
次に、図5を参照して、状態推定処理S4について詳細に説明する。本形態においては、図5に示すように、状態推定処理S4として、状態推定処理1(S10)が実行される。図5に、状態推定処理1(S10)のフローチャートを示す。本形態の状態推定処理1は、後に詳述するように、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上である場合に、搭乗者の眠気が増加したと推定する。さらに、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であり、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たす場合に、搭乗者の眠気が増加したと推定する。
【0065】
今回眠気予兆データ取得部14は、今回眠気予兆データDDAを取得する(S11)。
【0066】
次に、過去眠気予兆データ取得部15は、過去眠気予兆データDDBを記憶部60から取得する(S12)。
【0067】
次に、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが、眠気判定基準DCA以上であるかについて判断する(S13)。
【0068】
今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるとき(S13:Y)、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより状態推定処理1(S10)が終了する。
【0069】
一方、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であるとき(S13:N)、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たすかについて判断する(S15)。
【0070】
今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たすとき(S15:Y)、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより状態推定処理1(S10)が終了する。
【0071】
一方、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たさないとき(S15:N)、状態推定処理1(S10)が終了する。
【0072】
3.本形態の作用効果
本形態によれば、今回眠気予兆データDDAと、過去眠気予兆データDDBとが所定の比較条件CCを満たすか否かに基づいて、搭乗者の眠気が増加したか否かを推定するので、搭乗者の眠気の経時変化を推定することができる。これにより、搭乗者の現在の情報である今回眠気予兆データDDAのみから判断する場合に比べて、搭乗者の眠気の変化を推定する精度を向上させることができる。
【0073】
例えば、今回眠気予兆データDDAにおいて、10分間に3回の眠気予兆データDDが観測されたと仮定する。一方、過去眠気予兆データDDBにおいては、10分間に2回の眠気予兆データDDが観測された仮定する。この場合、過去眠気予兆データDDBと今回眠気予兆データDDAとを比較すると、単位時間当たりの眠気予兆データDDの頻度が増加している。上記に例示したような、今回眠気予兆データDDAと、過去眠気予兆データDDBとの間における頻度の増加が、所定の比較条件CCを満たす場合には、搭乗者の眠気が増加したと推定することができる。
【0074】
また、本形態においては、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上である場合に、搭乗者の眠気が増加したと推定し、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であったときであり、且つ、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たすときに、搭乗者の眠気が増加したと推定する。これにより、本形態では、2つの異なる基準に基づいたサービスを、搭乗者に提供することができる。これにより、搭乗者に対して、より緻密なサービスと提供することができる。
【0075】
まず、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上である場合には、搭乗者に眠気が増加したことに基づくサービスを提供する。例えば、警告音を発したり、「眠気が増加しています。休憩してください。」と画面表示したり、音声を発したり、する。または、自動ブレーキの感度を上げて、早めに軽減ブレーキが発動するように制御したり、アクセル開度に上限を設定し、搭乗者がアクセルを急に踏み込んでも、モビリティ2が急加速することを抑制したりしてもよい。また、搭乗者のステアリングホイールへの接触状態を頻繁に検知し、搭乗者に対してステアリングホイールへの接触を頻繁に警告する。警告を受けても搭乗者がステアリングホイールに接触しない場合、サービス提供部17は、自動ブレーキシステムおよびアクセル制御システムを制御することにより速やかに自動停車モードに移行し、モビリティ2を安全に停車させる構成としても良い。
【0076】
一方、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であったときには、搭乗者に強度の眠気は発生していないと推定される。しかし、本形態においては、上記の場合であっても、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たすときに、搭乗者の眠気が増加したと推定する。これにより、搭乗者に、強度の眠気が発生する前の段階で、眠気が増加したことに基づくサービスを提供することができる。例えば、「休憩してはいかがですか?」と画面表示したり音声を発したりすることができる。また、カメラシステムの感度を上げて、搭乗者に対する警告が発せられやすくする構成としても良い。また、ステアリングホイールを振動させて、振動により搭乗者の覚醒を促す構成としても良い。
【0077】
(実施形態2)
次に、図6図7を参照して実施形態2について説明する。図6に示すように、本形態は、記憶部60が第二眠気判定基準DCBを格納する点で、実施形態1と異なる。
【0078】
また、状態推定処理1(S10)に代えて、状態推定処理2(S20)が実行される点で、実施形態1と異なる(図7参照)。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0079】
次に、図7を参照して、状態推定処理2(S20)について説明する。本形態の状態推定処理2(S20)は、今回眠気予兆データDDAが第二眠気判定基準DCB以上であるかを判定するステップ(S21)が実行される点で、図5の状態推定処理1(S10)と異なる。状態推定処理1(S10)と同じ処理については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
図7に示すように、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たすとき(S15:N)、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが、記憶部60に格納された第二眠気判定基準DCB以上であるかを判定する(S21)。
【0081】
今回眠気予兆データDDAが第二眠気判定基準DCB以上であるとき(S21:Y)、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加した推定する(S14)。これにより状態推定処理2(S20)が終了する。
【0082】
今回眠気予兆データDDAが第二眠気判定基準DCB未満であるとき(S21:N)、状態推定処理2(S20)が終了する。
【0083】
本形態によれば、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であって、且つ、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとが比較条件CCを満たす場合には、今回眠気予兆データDDAと第二眠気判定基準DCBとを比較する。第二眠気判定基準DCBは眠気判定基準DCAよりも小さいので、搭乗者の眠気が増加したと推定されやすくなっている。これにより、眠気判定基準DCAによっては搭乗者の眠気が増加していないと推定された場合でも、今回眠気予兆データDDAと過去眠気予兆データDDBとを相対的に比較して比較条件CCが満たされる場合には、眠気判定基準DCAよりも低いレベルにおける搭乗者の眠気の変化を推定し、搭乗者の眠気が増加したと推定されやすくすることができる。この結果、搭乗者のモビリティ2運転時における安全性を向上させることができる。
【0084】
(実施形態3)
次に、図8図9を参照して、実施形態3について説明する。図8に示すように、本形態は、過去眠気予兆データDDBが、前回眠気予兆データDDCと、前々回眠気予兆データDDDと、を備える点で、実施形態1と異なる。
【0085】
また、状態推定処理1(S10)に代えて、状態推定処理3(S30)が実行される点で、実施形態1と異なる(図9参照)。
【0086】
次に、図9を参照して、状態推定処理3(S30)について説明する。状態推定処理3(S30)が実行されると、今回眠気予兆データ取得部14が今回眠気予兆データDDAを取得する(S11)。
【0087】
次に、過去眠気予兆データ取得部15は、前回眠気予兆データDDCを記憶部60から取得する(S31)。前回眠気予兆データDDCは、搭乗者がモビリティ2に前回搭乗したときの心拍信号HSに基づいて算出された眠気予兆データDDである。
【0088】
次に、過去眠気予兆データ取得部15は前々回眠気予兆データDDDを記憶部60から取得する(S32)。前々回眠気予兆データDDDは、搭乗者がモビリティ2に前々回搭乗したときの心拍信号HSに基づいて算出された眠気予兆データDDである。
【0089】
次に、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるかを判定する(S13)。
【0090】
今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるとき(S13:Y)、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理3(S30)は終了する。
【0091】
一方、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であるとき(S13:N)、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCより大きいかについて判断する(S33)。
【0092】
今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCより大きいとき(S33:Y)、状態推定部16は、前回眠気予兆データDDCが前々回眠気予兆データDDDより大きいかについて判断する(S34)。
【0093】
前回眠気予兆データDDCが前々回眠気予兆データDDDより大きいとき(S34:Y)、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理3(S30)は終了する。このように、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCよりも大きく、且つ、前回眠気予兆データDDCが前々回眠気予兆データDDDよりも大きいとき、搭乗者の眠気が増加したと推定する。すなわち、本形態の比較条件CCは、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCよりも大きく、且つ、前回眠気予兆データDDCが前々回眠気予兆データDDDよりも大きいことである。
【0094】
一方、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDC以下であるとき(S33:N)、状態推定処理3(S30)は終了する。
【0095】
また、前記眠気予兆データが前々回眠気予兆データDDD以下であるとき(S34:N)、状態推定処理3(S30)は終了する。
【0096】
本形態によれば、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であり、今回眠気予兆データDDAと、前回眠気予兆データDDCと、前々回眠気予兆データDDDとが、比較条件CCを満たす場合に、搭乗者の眠気が増加したと推定する。上記したように本形態の比較条件CCは、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCよりも大きく、且つ、前回眠気予兆データDDCが前々回眠気予兆データDDDよりも大きいことである。このように、前回眠気予兆データDDCおよび前々回眠気予兆データDDDを用いることにより、搭乗者の眠気判定をより精密に行うことができる。
【0097】
(実施形態4)
次に、図10図11を参照して、実施形態4について説明する。図10に示すように、本形態においては、過去眠気予兆データDDBが、前々回眠気予兆データDDDに代えて、長期眠気予兆データDDEを備える点で、実施形態3と異なる。
【0098】
また、本形態は、状態推定処理3(S30)に代えて、状態推定処理4(S40)が実行される点で、実施形態3と異なる(図11)。
【0099】
図11に、状態推定処理4(S40)のフローチャートを示す。状態推定処理4(S40)は、過去眠気予兆データ取得部15が長期眠気予兆データDDEを取得する処理を実行する点(S41)と、状態推定部16が、前回眠気予兆データDDCが長期眠気予兆データDDEより大きいかを判断する点(S42)で、実施形態3と異なる。
【0100】
図11に示すように、状態推定処理4(S40)が実行されると、S11とS31が実行される。S11およびS31については実施形態3と同じ処理なので、重複する説明を省略する。
【0101】
過去眠気予兆データ取得部15は、長期眠気予兆データDDEを取得する(S41)。長期眠気予兆データDDEは、搭乗者が過去にモビリティ2に複数回搭乗したときの心拍信号HSに基づいて算出された単位時間当たりの眠気予兆データDDである。
【0102】
続いて、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが、眠気判定基準DCA以上であるかを判定する(S13)。
【0103】
今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるとき(S13:Y)、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理4(S40)は終了する。
【0104】
一方、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCAより小さいとき(S13:N)、状態推定部は、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCより大きいか否かについて判定する(S33)。
【0105】
今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCより大きいとき(S33:Y)、状態推定部16は、前回眠気予兆データDDCが長期眠気予兆データDDEより大きいかについて判断する(S42)。
【0106】
前記眠気予兆データが長期眠気予兆データDDEより大きいとき(S42:Y)、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理4(S40)は終了する。このように、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCよりも大きく、且つ、前回眠気予兆データDDCが長期眠気予兆データDDEよりも大きいとき、搭乗者の眠気が増加したと推定する。すなわち、本形態の比較条件CCは、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCよりも大きく、且つ、前回眠気予兆データDDCが長期眠気予兆データDDEよりも大きいことである。
【0107】
一方、今回眠気予兆データが前回眠気予兆データDDC以下であるとき(S33:N)、状態推定処理4(S40)が終了する。
【0108】
また、前回眠気予兆データDDCが長期眠気予兆データDDE以下であるとき(S42:N)、状態推定処理4(S40)が終了する。
【0109】
本形態によれば、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA未満であり、今回眠気予兆データDDAと、前回眠気予兆データDDCと、長期眠気予兆データDDEとが、比較条件CCを満たす場合に、搭乗者の眠気が増加したと推定する。上記したように本形態の比較条件CCは、今回眠気予兆データDDAが前回眠気予兆データDDCよりも大きく、且つ、前回眠気予兆データDDCが長期眠気予兆データDDEよりも大きいことである。このように、搭乗者の眠気が増加したかを推定する際に、長期眠気予兆データDDEを用いることにより、比較的に長期にわたる搭乗者の健康状態を考慮して、搭乗者の眠気を推定することができる。以下に詳細に説明する。
【0110】
例えば、眠気判定基準DCAにおいては、10分間に5回の眠気予兆データDDが観測された場合に、搭乗者の眠気が増加したと推定する設定になっていたと仮定する。このとき、例えば、今回眠気予兆データDDAにおいては、10分間に3回の眠気予兆データDDが観測される状態が継続していたと仮定する。この場合、眠気判定基準DCAに基づいて場合、搭乗者の眠気が増加したとは推定されない。
【0111】
しかし、例えば、1週間前の過去眠気予兆データDDBにおいては、10分間に2回の眠気予兆データDDが観測されていたと仮定する。そうすると、先週から今週にかけて、10分間における眠気予兆データDDの観測回数は、2回から3回に増加している。本形態によれば、状態推定部16は、搭乗者の眠気が増加したと推定することができる。これにより、眠気判定基準DCAによっては推定されない搭乗者の眠気を、精度よく推定することが可能となる。ただし、眠気判定基準DCAは上記の値に限定されない。
【0112】
(実施形態5)
次に、図12を参照して、実施形態5について説明する。本形態は、状態推定処理1(S10)に代えて、状態推定処理5(S50)が実行される点で実施形態1と異なる。
【0113】
状態推定処理5(S50)においては、図5のS12に代えて、S51が実行される点、および、S15に代えて、S52が実行される点で、状態推定処理1(S10)と異なる。図5の状態推定処理1(S10)と同じ処理については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0114】
過去眠気予兆データ取得部15は、記憶部60から、同時間帯過去眠気予兆データDDFを取得する(S51)。同時間帯過去眠気予兆データDDFは、今回眠気予兆データDDAが測定された時刻を含む過去の時間帯において搭乗者がモビリティ2に搭乗したときの心拍信号HSに基づいて算出された眠気予兆データDDである。
【0115】
同時間帯過去眠気予兆データDDFについて説明する。例えば、モビリティ2を利用する搭乗者が、月曜日から金曜日の平日において、毎日、7:30~8:30に、モビリティ2に乗って通勤する場合を想定する。例えば、金曜日の朝8:00における搭乗時に、今回眠気予兆データDDAを取得した場合に、前日の木曜日の7:30~8:30における過去眠気予兆データDDBが、同時間帯過去眠気予兆データDDFとして例示される。上記した例においては、前日の木曜日に限られず、今回眠気予兆データDDAが測定された金曜日より前の朝8:00を含む時間帯におけるモビリティ2搭乗時に測定された眠気予兆データDDが、同時間帯過去眠気予兆データDDFとすることができる。ただし、今回眠気予兆データDDAの測定時は任意であり、上記の時間帯に限定されない。
【0116】
本形態においては、S52において、状態推定部16が、今回眠気予兆データDDAと、同時間帯過去眠気予兆データDDFとが比較条件CCを満たすか否かについて判定する。同時間帯過去眠気予兆データDDFは、今回眠気予兆データDDAが測定された時刻を含む過去の時間帯において算出されている。このため、同時間帯過去眠気予兆データDDFの測定条件は、今回眠気予兆データDDAの測定時刻と異なる時間帯に測定された過去眠気予兆データDDBと比べて、比較的に類似している。比較的に類似した条件で測定された同時間帯過去眠気予兆データDDFと今回眠気予兆データDDAとを相対的に比較することにより、過去から現在に至る搭乗者の眠気の経時的な変化を精度よく推定することができる。
【0117】
(実施形態6)
次に、図13を参照して、実施形態6について説明する。本形態は、図5の状態推定処理1(S10)に代えて、状態推定処理6(S60)が実行される点で実施形態1と異なる。
【0118】
図13に、状態推定処理6(S60)のフローチャートを示す。状態推定処理6(S60)が実行されると、今回眠気予兆データ取得部14は、今回眠気予兆データDDAを取得する(S11)。
【0119】
次に、今回眠気予兆データ取得部14は、長期間今回眠気予兆データDDGを取得する(S61)。長期間今回眠気予兆データDDGは、現在を含む所定の比較期間における心拍信号HSに基づいて算出された眠気予兆データDDである。比較期間は、今回眠気予兆データDDAを取得する際の最短時間よりも長い期間である。比較期間としては、例えば、1回の搭乗時間、1日間、1週間、1か月等、任意の期間を適宜に選択することができる。期間は、搭乗者が選択しても良いし、予め設定されていても良い。
【0120】
次に、過去眠気予兆データ取得部15は、長期間過去眠気予兆データDDHを記憶部60から取得する(S62)。長期間過去眠気予兆データDDHは、現在よりも前の比較期間における心拍信号HSに基づいて算出された眠気予兆データDDである。比較期間については、長期間今回眠気予兆データDDGと同様であるので重複する説明を省略する。本形態においては、長期間今回眠気予兆データDDGに係る比較期間と、長期間過去眠気予兆データDDHに係る比較期間とは、同じである。
【0121】
次に、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるかを判定する(S13)。
【0122】
今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるとき(S13:Y)、状態推定部16は搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理6(S60)は終了する。
【0123】
一方、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCAより小さいとき(S13:N)、状態推定部16は、長期間今回眠気予兆データDDGと、長期間過去眠気予兆データDDHと、が比較条件CCを満たすか判定する(S63)。
【0124】
長期間今回眠気予兆データDDGと、長期間過去眠気予兆データDDHと、が比較条件CCを満たすとき(S63:Y)、状態推定部16は搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理6(S60)は終了する。
【0125】
一方、長期間今回眠気予兆データDDGと、長期間過去眠気予兆データDDHと、が比較条件CCを満たさないとき(S63:N)、状態推定処理6(S60)は終了する。
【0126】
本形態によれば、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCAより小さく、搭乗者の眠気が増加したと推定されない場合に、長期間今回眠気予兆データDDGと、長期間過去眠気予兆データDDHと、を相対比較し、比較条件CCを満たすか否かに基づいて、当業者の眠気が増加したか否かを推定する。長期間今回眠気予兆データDDGと、長期間過去眠気予兆データDDHとを比較することにより、比較的長い期間における今回眠気予兆データDDAと、過去眠気予兆データDDBとを比較することができるので、長期的な視野から、搭乗者の眠気の経時変化を推定することができる。
【0127】
例えば、比較期間を1回の搭乗時間とすると、1回の搭乗時間ごとの眠気の変化を推定できる。同様に、1日ごと、1週間ごと、1か月ごとの搭乗期間における搭乗者の眠気の変化を推定できる。また、任意の期間を設定することにより、例えば、運送業務に携わる搭乗者について、勤務のシフト期間ごとの眠気の変化を推定することができる。このように長期的な視野から、搭乗者の眠気の変化を推定できる。
【0128】
(実施形態7)
次に、図14を参照して、実施形態6について説明する。本形態は、図5の状態推定処理1(S10)に代えて、状態推定処理7(S70)が実行される点で実施形態1と異なる。
【0129】
図14に、状態推定処理7(S70)のフローチャートを示す。状態推定処理6(S70)が実行されると、今回眠気予兆データ取得部14は、今回眠気予兆データDDAを取得する(S11)。
【0130】
次に、過去眠気予兆データ取得部15が、長時間過去眠気予兆データDDIを記憶部60から取得する(S71)。長時間過去眠気予兆データDDIは、今回眠気予兆データDDAの算出に用いられる心拍信号HSの期間よりも長時間である所定期間における心拍信号HSに基づいて算出された単位時間当たりの眠気予兆の検知回数または検知回数の相関値である。所定期間としては、1回の搭乗時間、1日間、1週間、1か月等、任意の期間を選択できる。
【0131】
次に、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるかを判定する(S13)。
【0132】
今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCA以上であるとき(S13:Y)、状態推定部16は搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理7(S70)は終了する。
【0133】
一方、今回眠気予兆データDDAが眠気判定基準DCAより小さいとき(S13:N)、状態推定部16は、今回眠気予兆データDDAと長時間過去眠気予兆データDDIとが比較条件CCを満たすか判定する(S72)。
【0134】
今回眠気予兆データDDAと、長時間過去眠気予兆データDDIと、が比較条件CCを満たすとき(S72:Y)、状態推定部16は搭乗者の眠気が増加したと推定する(S14)。これにより、状態推定処理7(S70)は終了する。
【0135】
一方、今回眠気予兆データDDAと、長時間過去眠気予兆データDDIと、が比較条件CCを満たさないとき(S72:N)、状態推定処理7(S70)は終了する。
【0136】
本形態によれば、今回眠気予兆データDDAと、当該今回眠気予兆データDDAよりも長時間である所定期間に計測された長時間眠気予兆データと、が比較条件CCを満たすか否かに基づいて、搭乗者の眠気が増加したか否かが推定される。例えば、所定期間を1週間に設定したとする。この場合において、例えば、搭乗者の今回眠気予兆データDDAにおいては10分間に3回、眠気予兆データDDが観測されたとする。一方、長時間過去眠気予兆データDDIにおいて、単位時間を10分間としたときに、眠気予兆データDDが10分間に2回、観測されたとする。そうすると、先週と比べて、搭乗者の眠気が増加する方向に変化したことが分かる。これにより、長時間にわたる搭乗者の眠気の経時的な変化に基づいて、搭乗者の眠気の変化を推定することができる。
【0137】
(実施形態8)
次に、実施形態8について説明する。本形態のサービス提供部17は、搭乗者の眠気が増加したと推定された場合、搭乗者に対してサービスを提供する時期を早めるように提供機器の制御を実行する。これにより、搭乗者の眠気の変化に即応したサービスを提供することができる。上記以外は実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下に、図5を参照して説明する。
【0138】
例えば、眠気判定基準DCAにおいては、10分間に5回の眠気予兆データDDが観測された場合に、搭乗者の眠気が増加したと推定する設定になっていたと仮定する。このとき、例えば、今回眠気予兆データDDAにおいては、10分間に3回の眠気予兆データDDが観測される状態が継続していたと仮定する。この場合、眠気判定基準DCAに基づいて場合、搭乗者の眠気が増加したとは推定されない(S13:N)。
【0139】
しかし、今回眠気予兆データDDAと、過去眠気予兆データDDBとが、比較条件CCを満たす場合には(S15:Y)、搭乗者の眠気が増加したと推定される(S14)。
【0140】
すると、サービス提供部17は、例えば、眠気判定基準DCAの値を小さくする。これにより、状態推定部16が搭乗者の眠気を推定しやすくなる。この結果、眠気判定基準DCAが小さくなる前の状態に比べて、提供装置が搭乗者にサービスを提供する時期が早くなる。そうすると、例えば、搭乗者に対して、画面表示や音声によって眠気が増加した旨のメッセージを迅速に提供することができるので、モビリティ2の安全性を向上させることができる。ただし、眠気判定基準DCAは上記の値に限定されない。
【0141】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば下記の態様に適用することが可能である。
【0142】
(1)実施形態1においては、センサ10はシート21に取付けられて、シート21に着座した搭乗者の体動の変化から生体信号BSを取得する構成としたが、これに限られず、センサ10は、光(赤外線、紫外線、レーザー光、可視光等)や、音などを搭乗者に発射し、搭乗者からの反射を検出するものであってもよい。また、マイクロ波を搭乗者に発射し、発射した周波数と受信した周波数の差から搭乗者の体動の変化を検出するドップラーセンサでもよく、任意のセンサ10を適宜に選択することができる。
【0143】
(2)実施形態1においては、センサ10はシート座面部22aの内部に取付ける構成としたが、これに限られず、図15に示すように、センサ10は、シート21とは別体の部品を、シート座面部22aの上面に載置し、ゴムバンド、ベルト等の公知の取付手段によって、シート座面部22aに取付ける構成としても良い。また、センサ10は、シート背面部22bにゴムバンド、ベルト等の公知の取付手段によって取付ける構成としても良い。
【0144】
(3)実施形態1においては、ユーザーインターフェース18は、モビリティ2に組付けられたカーナビゲーションシステムとしたが、これに限られず、図16に示すように、モビリティ2とは別体の、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、専用端末等としても良い。なお、図16図23においては、記憶部60に格納されたデータについては省略した。本形態によれば、搭乗者は、モビリティ2の車室内に取付けられたホルダ(図示せず)に固定されたユーザーインターフェース18から、特定のサービスの提供を受けることができる。例えば、搭乗者に対して、画像または音声で、搭乗者の健康状態についてのメッセージを伝達したり、スポーツ施設等の案内や道のりを表示したりしてもよい。
【0145】
(4)実施形態1においては、ユーザーインターフェース18が、ネットワーク58を介してクラウド59との間で情報を送信または受信したが、これに限られず、図17に示すように、実施形態1のクラウド59に配置された構成を、モビリティ2に制御装置62として組付ける構成としても良い。
【0146】
(5)実施形態1においては、ユーザーインターフェース18が、ネットワーク58を介してクラウド59との間で情報を送信または受信したが、これに限られず、図18に示すように、ECU57がネットワーク58を介してクラウド59に眠気予兆データDDを送信し、モビリティ2に組付けられたユーザーインターフェース18(例えば、カーナビゲーションシステム)が搭乗者に情報を提供する構成としても良い。
【0147】
(6)実施形態1においては、ユーザーインターフェース18が、ネットワーク58を介してクラウド59との間で情報を送信または受信したが、これに限られず、図19に示すように、ECU57がネットワーク58を介してクラウド59に眠気予兆データDDを送信し、モビリティ2と別体のユーザーインターフェース18(例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ)が搭乗者に情報を提供する構成としても良い。
【0148】
(7)実施形態1のECU57は算出部13を備える構成としたが、これに限られず、図20に示すように、クラウド59が算出部13を備える構成としても良い。このとき、モビリティ2に組付けられたユーザーインターフェース18(例えば、カーナビゲーションシステム)が、ネットワーク58を介してクラウド59と情報を送信または受信する構成としても良い。
【0149】
(8)実施形態1のECU57は算出部13を備える構成としたが、これに限られず、図21に示すように、クラウド59が算出部13を備える構成としても良い。このとき、モビリティ2と別体のユーザーインターフェース18(例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、専用端末)が、ネットワーク58を介してクラウド59と情報を送信または受信する構成としても良い。
【0150】
(9)実施形態1のモビリティ2は、推定部12および算出部13を備える構成としたが、これに限られず、図22に示すように、クラウド59が推定部12および算出部13を備える構成としても良い。このとき、モビリティ2に組付けられたユーザーインターフェース18(例えば、カーナビゲーションシステム)が、ネットワーク58を介してクラウド59と情報を送信または受信する構成としても良い。
【0151】
(10)実施形態1のモビリティ2は、推定部12および算出部13を備える構成としたが、これに限られず、図23に示すように、クラウド59が推定部12および算出部13を備え、モビリティ2と別体のユーザーインターフェース18(例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、専用端末)が、ネットワーク58を介してクラウド59と情報を送信または受信する構成としても良い。
【符号の説明】
【0152】
1:眠気情報サービス提供装置、2:モビリティ、10:センサ、11:制御回路、12:推定部、13:算出部、14:今回眠気予兆データ取得部、15:過去眠気予兆データ取得部、16:状態推定部、17:サービス提供部、18:ユーザーインターフェース
19:モビリティ安全機器、21:シート、56:モニタリングシステム、58:ネットワーク、59:クラウド、60:記憶部、62:制御装置、BS:生体信号、CC:比較条件、DCA:眠気判定基準、DCB:第二眠気判定基準、DD:眠気予兆データ、DDA:今回眠気予兆データ、DDB:過去眠気予兆データ、DDC:前回眠気予兆データ、DDD:回眠気予兆データ、DDE:長期眠気予兆データ、DDF:同時間帯過去眠気予兆データ、DDG:長期間今回眠気予兆データ、DDH:長期間過去眠気予兆データ、DDI:長時間過去眠気予兆データ、HS:心拍信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図23