(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092784
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20240701BHJP
F21S 43/237 20180101ALI20240701BHJP
F21S 43/239 20180101ALI20240701BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20240701BHJP
F21S 43/247 20180101ALI20240701BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20240701BHJP
F21S 43/40 20180101ALI20240701BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20240701BHJP
F21S 43/33 20180101ALI20240701BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240701BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240701BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240701BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240701BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240701BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240701BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240701BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/237
F21S43/239
F21S43/245
F21S43/247
F21S43/27
F21S43/40
F21S43/50
F21S43/33
F21V8/00 330
F21V8/00 340
F21S43/14
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208936
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅川 陽一
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA09
3K244BA27
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244EA04
3K244EA08
3K244EA12
3K244EA24
3K244EC02
3K244EC12
3K244EC13
3K244EC14
3K244ED02
3K244ED12
3K244ED13
3K244ED14
3K244FA07
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑えつつ、発光状態におけるデザイン性に優れた車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、光源と、車両搭載状態における左右方向に延び、光源からの光を導光して側面から出射する導光体と、導光体の側面に沿って配置され、導光体から出射される光を導光して正面側に出射するインナーレンズと、インナーレンズの少なくとも背面側を覆うインナーハウジングと、インナーレンズの正面側に配置されるアウターレンズと、を備え、インナーレンズ、インナーハウジング及びアウターレンズのうちの少なくとも2つの部材には、発光パターンを形成するための偏向部が設けられ、少なくとも2つの部材の偏向部は、それぞれの発光パターンが正面視で重なるように配置される。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
車両搭載状態における左右方向に延び、前記光源からの光を導光して側面から出射する導光体と、
前記導光体の前記側面に沿って配置され、前記導光体から出射される前記光を導光して正面側に出射するインナーレンズと、
前記インナーレンズの少なくとも背面側を覆うインナーハウジングと、
前記インナーレンズの正面側に配置されるアウターレンズと、
を備え、
前記インナーレンズ、前記インナーハウジング及び前記アウターレンズのうちの少なくとも2つの部材には、発光パターンを形成するための偏向部が設けられ、
前記少なくとも2つの部材の前記偏向部は、それぞれの前記発光パターンが正面視で重なるように配置される
車両用灯具。
【請求項2】
前記2つの部材は、前記インナーレンズ及び前記インナーハウジングであり、
前記インナーレンズの前記偏向部は、縞状の発光パターンを形成するための縞形成部を有し、
前記インナーレンズの前記縞形成部は、正面視で水平方向に沿って前記発光パターンを形成する縞状のインナープリズム部を有し、
前記インナーハウジングの前記偏向部は、縞状の発光パターンを形成するための縞形成部を有し、
前記インナーハウジングの前記縞形成部は、正面視で水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って前記発光パターンを形成する縞状の光反射部を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記2つの部材は、前記インナーレンズ及び前記アウターレンズであり、
前記インナーレンズの前記偏向部は、縞状の発光パターンを形成するための縞形成部を有し、
前記インナーレンズの前記縞形成部は、正面視で水平方向に沿って前記発光パターンを形成するインナープリズム部を有し、
前記アウターレンズの前記偏向部は、縞状の発光パターンを形成するための縞形成部を有し、
前記アウターレンズの前記縞形成部は、正面視で水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って発光パターンを形成する縞状のアウタープリズム部を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記2つの部材は、前記インナーハウジング及び前記アウターレンズであり、
前記インナーハウジングの前記偏向部は、縞状の発光パターンを形成するための縞形成部を有し、
前記インナーハウジングの前記縞形成部は、正面視で直線方向に沿って前記発光パターンを形成する縞状の光反射部を有し、
前記アウターレンズの前記偏向部は、縞状の発光パターンを形成するための縞形成部を有し、
前記アウターレンズの前記縞形成部は、正面視で前記直線方向に対して傾いた方向に沿って前記発光パターンを形成する縞状のアウタープリズム部を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源からの光を板状のインナーレンズに入射させて、インナーレンズから車両正面に出射する構成の車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用灯具では、発光状態で正面から見たときにパターンを表示しようとする場合、パターンを形成するための部品を追加で設ける必要がある。このため部品点数が多くなってしまう。
【0005】
本開示は、部品点数を抑えつつ、発光状態におけるデザイン性に優れた車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両用灯具は、光源と、車両搭載状態における左右方向に延び、前記光源からの光を導光して側面から出射する導光体と、前記導光体の前記側面に沿って配置され、前記導光体から出射される前記光を導光して正面側に出射するインナーレンズと、前記インナーレンズの少なくとも背面側を覆うインナーハウジングと、前記インナーレンズの正面側に配置されるアウターレンズと、を備え、前記インナーレンズ、前記インナーハウジング及び前記アウターレンズのうちの少なくとも2つの部材には、発光パターンを形成するための偏向部が設けられ、前記少なくとも2つの部材の前記偏向部は、それぞれの前記発光パターンが正面視で重なるように配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、部品点数を抑えつつ、発光状態におけるデザイン性に優れた車両用灯具を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両の後部の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、車両用灯具を組み立てた状態の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るインナーレンズの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、アウターレンズを内部から見た状態を示す図である。
【
図11】
図11は、車両用灯具の左右方向の中央部における縦断面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、車両用灯具の左右方向の中央部における縦断面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、車両用灯具の左右方向の中央部における縦断面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、発光状態におけるインナーレンズを正面から見た状態の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、発光状態におけるインナーハウジングを正面から見た状態の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、発光状態におけるアウターレンズを正面から見た状態の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、2つの縞状パターンによりモアレが形成される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
本実施形態において、正面側及び背面側の各方向は、例えば車両に搭載された状態(車両搭載状態)における方向であるとする。例えば、車両の前部(フロント)に搭載された状態では、前方が正面方向(正面側)であり、後方が背面方向(背面側)である。また、車両の後部(リア)に搭載された状態では、後方が正面方向(正面側)であり、前方が背面方向(背面側)である。また、車両の側部(サイド)に搭載された状態では、車両外側が正面方向(正面側)であり、車両内側が背面方向(背面側)である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る車両1の後部の一例を示す図である。
図1に示すように、車両1は、車体2と、走行装置3と、車両用灯具100とを備える。車体2は、運転者が搭乗する運転室を有する。車体2は、走行装置3に支持される。走行装置3は、タイヤ4が装着されるホイールと、車両1の進行方向を変えるための操舵装置と、走行装置3を減速又は停止させるためのブレーキ装置とを有する。車両1は、車体2の側部に設けられる乗降用ドアと、車体2の後部に設けられるバックドア7とを備える。乗降用ドア及びバックドア7はそれぞれ、ヒンジ機構を介して車体2に移動可能に支持される。
【0012】
本実施形態において、車両用灯具100は、車体2の後部の左側及び右側のそれぞれに設けられる。本実施形態では、車両用灯具100が車体2の後部に設けられる。そのため、前後方向の後方側を車両用灯具100の正面側とし、前後方向の前方側を車両用灯具100の背面側として説明する。
【0013】
車両用灯具100は、機能ランプを含む。機能ランプとして、車体2の後部に設けられヘッドランプの点灯と連動して点灯するテールランプ、車体2の後部に設けられブレーキ装置の作動と連動して点灯するストップランプ、車体2の後部に設けられ車両1の進行方向を周囲に示すために点灯するリアターンシグナルランプなどが挙げられる。
【0014】
車両用灯具100は、例えばそれぞれ車体2側に配置される。本実施形態において、車体2は、固定部である。また、バックドア7は、可動部である。車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100の構造と車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100の構造とは、左右方向について対称であり、実質的に同一の構造である。以下、車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100について主に説明し、車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100についての説明は簡略又は省略する。
【0015】
図2から
図5は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を模式的に示す図である。
図2は、車両用灯具100の一例を示す分解斜視図である。
図3は、車両用灯具100を組み立てた状態の一例を示す斜視図である。
図3の上段は、アウターレンズ15が取り外された状態を示しており、下段はアウターレンズ15が装着された状態を示している。
図4及び
図5は、車両用灯具100の内部を右方から見た状態を示している。
【0016】
車両用灯具100は、光源10と、導光体20と、インナーレンズ30と、アウターレンズ40と、ハウジング50とを備える。
【0017】
光源10は、例えばLED等の半導体型光源、レーザ光源等が用いられる。光源10は、光を出射する発光面11を有する。
【0018】
導光体20は、棒状である。導光体20は、車両用灯具100のスラント形状に沿うように、例えば車両内側から車両外側にかけて、背面側に湾曲するように延びている。本実施形態において、導光体20は、光源10に対して正面側に配置される。
【0019】
導光体20は、端面21と、側面22とを有する。端面21は、光源10の発光面11と対向する。端面21は、光源10の発光面11と対向した状態で配置される。端面21は、光源10からの光を導光体20の内部に入射させる。導光体20において、端面21は、例えば車両外側かつ背面側の端部に配置される。この形状により、スラント形状を有する車両用灯具100の内部において光源10からの光を適切に導光することができる。
【0020】
側面22は、内部に入射した光を出射する。側面22は、車両搭載状態における下端側にプリズム部22a(
図4等参照)が形成される。プリズム部22aは、端面21から入射して側面22で内面反射される光を所定方向、つまり車両搭載状態における上方に反射する。プリズム部22aで反射された光が、導光体20の側面22から上方に出射される。
【0021】
インナーレンズ30は、導光体20から出射された光を導光して、車両搭載状態における少なくとも正面方向に出射する。インナーレンズ30は、棒状部31と、板状部32と、リブ部33とを有する。インナーレンズ30は、棒状部31、板状部32及びリブ部33が例えば一部材として設けられる。
【0022】
棒状部31は、棒状である。棒状部31は、例えば上下方向に沿って直線状に延びている。棒状部31は、端面31aと、側面31bとを有する。端面31aは、導光体20の側面22と対向する。棒状部31は、端面31aが導光体20の側面22との間に所定方向(上方)に隙間Dを空けた状態で対向するように配置される。端面31aは、導光体20の側面22から出射される光を内部に入射させる。
【0023】
側面31bは、内部に入射した光を出射する。側面31bは、車両搭載状態における背面側にプリズム部31cが形成される。プリズム部31cは、端面31aから入射して側面31bで内面反射される光を車両搭載状態における正面側に反射する。プリズム部31cで反射された光が、棒状部31の側面31bから正面方向に出射される。本実施形態において、プリズム部31cで反射された光は、例えば側面31bから車両後方に出射される。
【0024】
板状部32は、棒状部31と一体で形成される。板状部32は、隣り合う棒状部31の間を接続する。板状部32は、例えば平板状であり、棒状部31に対応するように上下方向に沿って配置される。板状部32は、入射面32aと、反射面32bと、出射面32cとを有する。
【0025】
入射面32aは、導光体20の側面22と対向する。入射面32aは、導光体20の端面21と対向して配置される。入射面32aは、端面21から出射される光を棒状部31の内部に入射させる。
【0026】
反射面32bは、車両搭載状態における背面側にプリズム部32dが形成される。プリズム部32dは、入射面32aから入射して板状部32の各面で内面反射される光を出射面32c側に反射する。
【0027】
出射面32cは、プリズム部32dで反射された光を出射する。本実施形態において、出射面32cは、後述するように、プリズム部32dで反射された光を当該出射面32cの法線方向、つまり車両斜め後方又は車両側方に出射する。
【0028】
リブ部33は、インナーレンズ30のうち左右方向の少なくとも一方の端部30eから正面側に突出する。端部30eは、車両内側の端部である。リブ部33は、例えば板状であり、第1面33a及び第2面33bを有する。第1面33aは、車両内側に配置される面である。第2面33bは、車両外側に配置される面である。リブ部33は、第2面33bから光を出射する。リブ部33は、第1面33aにプリズム部33cを有する。プリズム部33cは、リブ部33の内部を進行する光を内面反射する。プリズム部33cにより、リブ部33の内部を進行する光が内面反射されて第2面33bから出射される。
【0029】
アウターレンズ40は、インナーレンズ30から出射された光を車両用灯具100の外部に出射する。アウターレンズ40は、板状である。アウターレンズ40は、車両内側から車両外側にかけて背面側に湾曲した形状を有する。アウターレンズ40は、ハウジング50と共に車両用灯具100の各部を収容する。アウターレンズ40は、例えば透明又は点灯色と同系色の樹脂材料を用いて形成される。
【0030】
アウターレンズ40は、正面部41と、脚部42とを有する。正面部41は、インナーレンズ30の正面側に配置される。正面部41は、内側の面に不図示の光拡散部が設けられてもよい。脚部42は、導光体20のバックドア7側の側方(左方)に配置される。脚部42は、正面部41の隙間側の端部から背面側に向けて斜め方向に延びた部分である。
【0031】
脚部42は、プリズム部42aを有する。プリズム部42aは、脚部42の内側の面に形成される。プリズム部42aは、バックドア7側からアウターレンズ40に入射する光をバックドア7側に反射する。
【0032】
ハウジング50は、光源10、導光体20、インナーレンズ30及びアウターレンズ40を保持する。ハウジング50は、インナーレンズ30を保持するインナーハウジング51と、アウターレンズ40を保持するレンズハウジング52とを有する。インナーハウジング51は、インナーレンズ30の背面側の全面を覆うように配置される。
【0033】
図6は、本実施形態に係るインナーレンズ30の一例を示す図である。
図7及び
図8は、
図6の一部(リブ部33)を拡大して示す図である。
図7は斜視図、
図8は平面図である。
図6から
図8に示すように、インナーレンズ30は、棒状部31及び板状部32のそれぞれに、正面側に上下方向に沿った帯状のプリズム部30aが形成される。プリズム部30aは、インナーレンズ30の延びる方向の全体に亘って設けられる。
【0034】
また、リブ部33は、プリズム部33c、33dを有する。プリズム部33cは、車両内側の第1面33aに設けられる。プリズム部33cは、上下方向に沿った帯状の形状である。プリズム部33cは、リブ部33の内部を進行する光を拡散させて内面反射する。プリズム部33dは、車両外側の第2面33bに設けられる。プリズム部33dは、上下方向に沿った帯状である。プリズム部33dは、プリズム部33cで拡散された光を車両外側に向けて出射する。プリズム部33cは、プリズム部33dに比べて、ピッチが大きくなっている。換言すると、プリズム部33dは、プリズム部33cに比べて、細かく形成されている。
【0035】
図9は、アウターレンズ40を内部から見た状態を示す図である。
図9に示すように、アウターレンズ40は、脚部42の内面側(車両外側)にプリズム部42aが形成される。プリズム部42aは、上下方向に沿った帯状である。当該プリズム部42aは、バックドア7側からアウターレンズ40に入射する光をバックドア7側に内面反射する。
【0036】
次に、上記のように構成された車両用灯具100を点灯させた場合の一例を説明する。
図10は、車両用灯具100を模式的に示す図である。
図10では、一部の構成を簡略化又は省略して示している。運転者によって方向指示器の操作又はハザードスイッチの操作等、ターンランプを点灯させる所定の操作が行われた場合、車両用灯具100は、操作装置からの操作信号を取得する。光源10の基板等に設けられる制御回路は、取得された信号に応じて、光源10の発光制御を行う。
【0037】
光源10の発光面11から光が出射される。この光は、導光体20の端面21から内部に入射し、プリズム部22aで内面反射されて、側面22の出射部22bから出射される。
【0038】
出射部22bから出射された光のうち、棒状部31の端面31aから内部に入射する光L1は、
図10に示すように、プリズム部31cで内面反射されて、側面31bから出射される。側面31bから出射された光L1は、例えば
図10に示すように、アウターレンズ40を透過して車両用灯具100の正面側から車両外側にかけての所定の範囲に出射される。この場合、例えばプリズム部31cの反射方向を棒状部31ごとに予め設定しておくことにより、棒状部31ごとに光L1の出射方向を設定することが可能である。これにより、車両用灯具100の正面側から車両外側にかけて広い範囲に光L1を出射することができる。
【0039】
また、出射部22bから出射された光のうち、板状部32の入射面32aから内部に入射する光L2は、
図10に示すように、反射面32bのプリズム部32dで内面反射されて、出射面32cから当該出射面32cの法線方向に出射される。出射面32cは、全体的に車両用灯具100の正面方向に対して車両外側に傾いている。このため、板状部32においては、出射面32cから正面方向対して斜め方向又は側方に光L2が出射される。出射面32cから出射された光L2は、アウターレンズ40を透過して車両斜め後方又は車両側方に出射される。
【0040】
また、出射部22bから出射された光のうち、例えば最も車両内側の端部30eに配置される棒状部31に入射した光L1(以下、光L3と表記する)は、プリズム部31cで内面反射されて、リブ部33に進入する。リブ部33に進入した光L3は、プリズム部33cにより車両外側に内面反射されて拡散される。拡散された光L3は、第2面33bのプリズム部33dから正面に対して車両外側に傾いた方向(正面に対して斜め右側)に出射される。このため、車両用灯具100を右斜め後方から見た観察者は、プリズム部33dから出射された光が見えることになる。したがって、当該観察者には、車両用灯具100が左右方向の左側の端部まで点灯しているように見えることになる。
【0041】
図11から
図13は、車両用灯具100の左右方向の中央部における縦断面の一例を示す図である。
図11から
図13に示すように、本実施形態に係る車両用灯具100は、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうち2つの部材には、発光パターンを形成するための偏向部として縞形成部60が設けられる。
【0042】
図11に示す車両用灯具100Aは、インナーレンズ30及びインナーハウジング51に縞形成部60が設けられる。インナーレンズ30の縞形成部60は、上記したプリズム部(インナープリズム部)31cである。プリズム部31cは、正面視で水平方向に沿って発光パターンP1(
図14参照)を形成する。
【0043】
インナーハウジング51の縞形成部60は、光反射部51cを有する。光反射部51cは、正面視で水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って発光パターンP2(
図15参照)を形成する。光反射部51cは、インナーハウジング51のうちインナーレンズ30の背面に対向する対向面51aに設けられる。光反射部51cは、例えばアルミニウム等の金属膜等で形成される。光反射部51cは、水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って帯状に形成される。光反射部51cは、縞状となるように上下に複数、互いに間隔を空けて並んだ状態で配置される。
【0044】
図12に示す車両用灯具100Bは、インナーレンズ30及びアウターレンズ40に縞形成部60が設けられる。インナーレンズ30の縞形成部60は、上記したプリズム部31cである。プリズム部31cは、正面視で水平方向に沿って発光パターンP1(
図14参照)を形成する。
【0045】
アウターレンズ40の縞形成部60は、プリズム部(アウタープリズム部)41cを有する。プリズム部41cは、正面視で水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って発光パターンP3(
図16参照)を形成する。プリズム部41cは、アウターレンズ40の正面部41の入射面41aに設けられる。プリズム部41cは、入射面41aに対して凹状又は凸状に形成される。プリズム部41cは、水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って帯状に形成される。プリズム部41cは、縞状となるように上下に複数、互いに間隔を空けて並んだ状態で配置される。
【0046】
図13に示す車両用灯具100Cは、インナーハウジング51及びアウターレンズ40に縞形成部60が設けられる。この場合、インナーレンズ30のプリズム部31cは設けられなくてもよい。
【0047】
インナーハウジング51の縞形成部60は、光反射部51cを有する。光反射部51cは、正面視で直線方向に沿って発光パターンP2(
図15参照)を形成する。当該直線方向については、正面視で水平方向に限定されない。例えば、正面視で上下方向であってもよい。光反射部51cは、インナーハウジング51の対向面51aに設けられる。光反射部51cは、例えばアルミニウム等の金属膜等で形成される。光反射部51cは、発光パターンP2に対応する直線方向に沿って帯状に形成される。光反射部51cは、縞状となるように延伸方向に直交する方向に複数、互いに間隔を空けて並んだ状態で配置される。
【0048】
アウターレンズ40の縞形成部60は、プリズム部41cを有する。プリズム部41cは、正面視で直線方向に対して傾いた方向に沿って発光パターンP3(
図16参照)を形成する。プリズム部41cは、アウターレンズ40の正面部41の入射面41aに設けられる。プリズム部41cは、入射面41aに対して凹状又は凸状に形成される。プリズム部41cは、直線方向に対して傾いた方向に沿って帯状に形成される。プリズム部41cは、縞状となるように延伸方向に直交する方向に複数、互いに間隔を空けて並んだ状態で配置される。
【0049】
図14は、発光状態におけるインナーレンズ30を正面から見た状態の一例を示す図である。
図14(A)から
図14(C)に示すように、発光状態におけるインナーレンズ30(30A~30C)には、それぞれプリズム部31c(縞形成部60)により水平方向に沿って縞状の発光パターンP1(P1A~P1C)が形成される。
【0050】
図14(A)に示すインナーレンズ30Aは、プリズム部31cが上下方向及び水平方向にマトリクス状に配置された構成である。
図14(B)に示すインナーレンズ30Bは、上下方向及び水平方向の一部(右側中央部)の領域にプリズム部31cが設けられない構成である。
図14(C)に示すインナーレンズ30Cは、上下方向の一部分(中央部)であって水平方向に沿った領域にプリズム部31cが設けられない構成である。このように、プリズム部31cが設けられない領域を一部に形成することで、インナーレンズ30による発光パターンP1を変化させることができる。
【0051】
図15は、発光状態におけるインナーハウジング51を正面から見た状態の一例を示す図である。
図15(A)に示すインナーハウジング51Aは、縞形成部60である光反射部51cが水平方向に沿って形成されている。この構成では、発光状態のインナーハウジング51Aを正面から見た場合、光反射部51c(縞形成部60)により水平方向に沿って縞状の発光パターンP2(P2A)が形成される。
【0052】
図15(B)に示すインナーハウジング51Bは、縞形成部60である光反射部51cが水平方向に対して傾いた方向沿って形成されている。この構成では、発光状態のインナーハウジング51Bを正面から見た場合、光反射部51c(縞形成部60)により水平方向に沿って縞状の発光パターンP2(P2B)が形成される。
【0053】
図16は、発光状態におけるアウターレンズ40を正面から見た状態の一例を示す図である。
図16(A)に示すアウターレンズ40Aは、縞形成部60であるプリズム部41cが水平方向に沿って形成されている。この構成では、発光状態のアウターレンズ40Aを正面から見た場合、プリズム部41c(縞形成部60)により水平方向に沿って縞状の発光パターンP3(P3A)が形成される。
【0054】
図16(B)に示すアウターレンズ40Bは、縞形成部60であるプリズム部41cが水平方向に対して傾いた方向沿って形成されている。この構成では、発光状態のアウターレンズ40Bを正面から見た場合、プリズム部41c(縞形成部60)により水平方向に沿って縞状の発光パターンP3(P3B)が形成される。
【0055】
本実施形態のように、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうちの2つの部材の縞形成部60が形成された構成では、発光状態の車両用灯具100を正面から見た場合、発光パターンP1、P2、P3のうち縞形成部60に対応する2つの発光パターンが重なった状態で視認される。
【0056】
上記したように、
図11に示す車両用灯具100Aは、インナーレンズ30及びインナーハウジング51に縞形成部60が設けられる。この場合、インナーレンズ30の縞形成部60(プリズム部31c)と、インナーハウジング51の縞形成部60(光反射部51c)とは、それぞれの発光パターンP1、P2が正面視でモアレを形成するように配置される。
【0057】
また、
図12に示す車両用灯具100Bは、インナーレンズ30及びアウターレンズ40に縞形成部60が設けられる。この場合、インナーレンズ30の縞形成部60(プリズム部31c)と、アウターレンズ40の縞形成部60(プリズム部41c)とは、それぞれの発光パターンP1、P3が正面視でモアレを形成するように配置される。
【0058】
また、
図13に示す車両用灯具100Cは、インナーハウジング51及びアウターレンズ40に縞形成部60が設けられる。この場合、インナーハウジング51の縞形成部60(光反射部51c)と、アウターレンズ40の縞形成部60(プリズム部41c)とは、それぞれの発光パターンP2、P3が正面視でモアレを形成するように配置される。
【0059】
図17は、2つの縞状パターンによりモアレが形成される例を示す図である。
図17(A)及び(B)に示すように、縞の延伸方向が同一でピッチが異なる2つの縞状パターンS1、S2を重ね合わせることにより、
図17(C)に示すような、いわゆる平行モアレと呼ばれる干渉縞S3が形成される。
【0060】
したがって、本実施形態では、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうちの2つの部材の縞形成部60は、縞の延伸方向が同一であり、かつ延伸方向に直交する方向の間隔(ピッチ)が異なる2つの発光パターンを形成するように設けることができる。この構成により、発光状態の車両用灯具100を正面から見た場合、発光パターンP1、P2、P3のうち縞形成部60に対応する2つの発光パターンが重なって形成される平行モアレを視認することができる。
【0061】
また、
図17(D)及び(E)に示すように、縞の延伸方向が互いに傾いた2つの縞状パターンS4、S5を重ね合わせることにより、
図17(F)に示すような、いわゆる回転モアレと呼ばれる干渉縞S6が形成される。
【0062】
したがって、本実施形態では、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうちの2つの部材の縞形成部60は、縞の延伸方向が正面視で傾いた2つの発光パターンを形成するように設けられる。この構成により、発光状態の車両用灯具100を正面から見た場合、発光パターンP1、P2、P3のうち縞形成部60に対応する2つの発光パターンが重なって形成される回転モアレを視認することができる。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、光源10と、車両搭載状態における左右方向に延び、光源10からの光を導光して側面から出射する導光体20と、導光体20の側面に沿って配置され、導光体20から出射される光を導光して正面側に出射するインナーレンズ30と、インナーレンズ30の少なくとも背面側を覆うインナーハウジング51と、インナーレンズ30の正面側に配置されるアウターレンズ40と、を備え、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうちの少なくとも2つの部材には、正面視で縞状の発光パターンP1、P2、P3を形成するための縞形成部60が設けられ、少なくとも2つの部材の縞形成部60は、それぞれの発光パターンP1、P2、P3が正面視で重なるように配置される。
【0064】
この構成によれば、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうちの2つの部材に縞形成部60が設けられ、2つの部材の縞形成部60のそれぞれは、発光パターンP1、P2、P3が正面視で重なるように配置されるため、正面視で重なる発光パターンによりモアレを形成することができる。発光パターンであるモアレを形成するための部品を別途追加することなく、発光状態におけるデザイン性を向上させることができる。
【0065】
本実施形態に係る車両用灯具100において、2つの部材は、インナーレンズ30及びインナーハウジング51であり、インナーレンズ30の偏向部は、縞状の発光パターンP1を形成するための縞形成部60を有し、インナーレンズ30の縞形成部60は、正面視で水平方向に沿って発光パターンP1を形成する縞状のプリズム部31cを有し、インナーハウジング51の偏向部は、縞状の発光パターンP2を形成するための縞形成部60を有し、インナーハウジング51の縞形成部60は、正面視で水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って発光パターンP2を形成する縞状の光反射部51cを有する。この構成によれば、インナーレンズ30により形成される水平方向に沿った発光パターンP1を利用しつつモアレを形成することができる。
【0066】
本実施形態に係る車両用灯具100において、2つの部材は、インナーレンズ30及びアウターレンズ40であり、インナーレンズ30の偏向部は、縞状の発光パターンP1を形成するための縞形成部60を有し、インナーレンズ30の縞形成部60は、正面視で水平方向に沿って発光パターンP1を形成するプリズム部31cを有し、アウターレンズ40の偏向部は、縞状の発光パターンP1を形成するための縞形成部60を有し、アウターレンズ40の縞形成部60は、正面視で水平方向又は水平方向に対して傾いた方向に沿って発光パターンP3を形成する縞状のプリズム部41cを有する。この構成によれば、インナーレンズ30により形成される水平方向に沿った発光パターンP1を利用しつつモアレを形成することができる。
【0067】
本実施形態に係る車両用灯具100において、2つの部材は、インナーハウジング51及びアウターレンズ40であり、インナーハウジング51の偏向部は、縞状の発光パターンP1を形成するための縞形成部60を有し、インナーハウジング51の縞形成部60は、正面視で直線方向に沿って発光パターンP2を形成する縞状の光反射部51cを有し、アウターレンズ40の偏向部は、縞状の発光パターンP1を形成するための縞形成部60を有し、アウターレンズ40の縞形成部60は、正面視で前記直線方向に対して傾いた方向に沿って発光パターンP3を形成する縞状のプリズム部41cを有する。この構成によれば、インナーレンズ30を用いることなくモアレを形成することができる。
【0068】
本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、インナーレンズ30がリブ部33を有する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。リブ部33は、設けられなくてもよい。
【0069】
上記実施形態では、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうちの2つの部材に縞形成部60が設けられた構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、インナーレンズ30、インナーハウジング51及びアウターレンズ40のうち3つの部材に偏向部(縞形成部60)が設けられた構成としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、偏向部として縞形成部60が設けられた構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。偏向部として、縞状とは異なるパターンの発光パターンを形成する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
D…隙間、L1,L2,L3…光、P1,P2,P3…発光パターン、S1,S2,S4,S5…縞状パターン、S3,S6…干渉縞、1…車両、2…車体、3…走行装置、4…タイヤ、7…バックドア、10…光源、11…発光面、15,40,40A,40B…アウターレンズ、20…導光体、21,31a…端面、22,31b…側面、22a,30a,31c,32d,33c,33d,41c,42a…プリズム部、22b…出射部、30,30A,30B,30C…インナーレンズ、30e…端部、31…棒状部、32…板状部、32a,41a…入射面、32b…反射面、32c…出射面、33…リブ部、33a…第1面、33b…第2面、41…正面部、42…脚部、50…ハウジング、51,51A,51B…インナーハウジング、51a…対向面、51c…光反射部、52…レンズハウジング、60…縞形成部、100,100A,100B,100C…車両用灯具