(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092794
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
E02D27/01 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208954
(22)【出願日】2022-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】506391657
【氏名又は名称】菊川 清
(72)【発明者】
【氏名】菊川 清
(72)【発明者】
【氏名】菊川 康介
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA12
(57)【要約】
【課題】建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠
【解決手段】建物基礎の立ち上がり基礎工事に使用され、コンクリートを打設した後はベース基礎、鉄筋ユニットと一体となる
図1の型枠で、該型枠は、両サイドのパネルを支持する対の側壁面と、該側壁面の天面と底面から成る4面体のジョイントで、該4面体のジョイントの解放された空間に並行して前記底面の中央部にベース基礎上に立設した縦筋および鉄筋ユニットを通す3~5センチメートルの隙間が設けられ、ジョイントの外側壁両サイドに取り付けられるコンクリートや合成樹脂製のパネルから成り、
施工時には、前記4面体のジョイントの底面隙間を前記ベース基礎上に設けられたアンカーボルトおよび鉄筋ユニットに通して下ろして固定し、外側面両サイドにパネルを取り付けることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物基礎の立ち上がり基礎工事に使用され、コンクリートを打設した後はベース基礎、鉄筋ユニットと一体となる
図1の型枠で、
該型枠は、両サイドのパネルを支持する対の側壁面と、該側壁面の天面と底面から成る4面体のジョイントで、前記4面体のジョイントの解放された空間に並行して前記底面の中央部にベース基礎上に立設した縦筋および鉄筋ユニットを通す3~5センチメートルの隙間が設けられ、ジョイントの外側壁両サイドに取り付けられるコンクリートや合成樹脂製のパネルから成り、
施工時には、前記4面体のジョイントの底面隙間を前記ベース基礎上に設けられたアンカーボルトおよび鉄筋ユニットに通して下ろして固定し、外側壁両サイドに前記パネルを取り付けることを特徴とする建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠。
【請求項2】
前記ベース基礎に前記4面体のジョイントを固定するとき、前記ジョイント底面の隙間を前記天面の巾と同一となる巾止め具を使用して固定することを特徴とする請求項1に記載の建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠。
【請求項3】
前記パネル式捨て型枠に於いて、前記パネルの前記4面体ジョイントへの取り
付けは、該4面体ジョイントの内側から前記パネルに組み込まれているボルト固定部に接続用固定ボルトで締めて固定することを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠。
【請求項4】
前記4面体ジョイントが前記ベース基礎に配設されるとき、鉄筋ユニットの下部の縦筋、または上部のアンカーボルトの設けられている位置が、前記4面体ジョイントの天面・底面と重なる場合があり、この場合、前記4面体ジョイントの前後を反転させて回避できるように、前記天面・底面の両面の左右いずれかの半面の中央部にかけてその一部を切除したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建物の立ち上がり基礎の捨て型枠として、本出願人の提案に係るU
字形捨て型枠が公知である(特許文献1)。そこでは、立ち上がり基礎工事で使用した後は打設したコンクリートと一体となるU字形の型枠で、前記型枠は工場にて前記型枠を製造する型枠を使用してU字形の底部はメッシュ状態に置き、両側壁はコンクリートを打設して製造される。
建設現場へ搬入し前記U字形の型枠をベース基礎上に配設して、鉄筋ユニットを組み立て、前記U字形捨て型枠内へコンクリートを打設し、ベース基礎、U字形の捨て型枠および鉄筋メッシュ材が一体となって結着・硬化するU字形の捨て型枠が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のU字形捨て型枠は、ベース基礎上にメッシュ部を下にしてU字形状
で配設されるため、先に鉄筋ユニットを組むことが出来ず、一部の縦筋のみを立ち上げたところで配設せざるを得なかった、その後に前記縦筋に横筋・アンカーボルトを取り付けして鉄筋ユニットを組み立てるが、該作業が型枠の両サイドとの間が10センチメートル前後と狭く、作業精度・効率が悪く問題が多かった。
【0005】
また、前記捨て型枠はコンクリート製で縦長で枠幅が10センチメートル前後と狭く、且つ重量物で重心が高く、工場で製作~現地への移設・搬送は逆U字形の状態で行えるが、現地でベース基礎上に配設するときは、前記型枠を上下に逆転させる必要があった。
そのため、型枠の転倒や破損等で作業者の安全確保に問題があった。
【0006】
本願発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、鉄筋ユニット組み立て作
業の効率を高め、また、型枠の工場~現地へ搬入~ベース基礎上への配設を安全
に行うことで、作業の簡素化を進め、作業効率を高め、作業者の安全の確保、更
に作業期間の短縮を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、建物基礎の
立ち上がり基礎工事に使用され、コンクリートを打設した後はベース基礎、鉄筋ユニットと一体となる
図1の型枠で、
該型枠は、両サイドのパネルを支持する対の側壁面と、該側壁面の天面と底
面から成る4面体のジョイントで、前記4面体のジョイントの解放された空間に並行して底面の中央部にベース基礎上に立設した縦筋および鉄筋ユニットを通す3~5センチメートルの隙間が設けられており、ジョイントの外側壁両サイドに取り付けられるコンクリートや合成樹脂製のパネルから成り、
施工時には、前記4面体のジョイントの底面隙間を前記ベース基礎上に設け
られたアンカーボルトおよび鉄筋ユニットに通して下ろして前記ベース基礎上に固定し、外側壁両サイドに前記パネルを取り付けることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記ベース基礎に前記4面体のジョイントを固定するとき、前記底面の隙間を前記天面の巾と同一となる巾止め具を使用して固定することを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、前記パネル式捨て型枠に於いて、前記パネルの前記
4面体のジョイントへの取り付けは、該4面体ジョイントの内側から前記パネルに組み込まれているボルト固定部に接続用固定ボルトで締めて固定することを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の態様は、前記4面体ジョイントが前記ベース基礎に配設されるとき、鉄筋ユニットの下部の縦筋、または上部のアンカーボルトの設けられている位置が、前記4面体ジョイントの天面・底面と重なる場合があり、この場合、前記4面体ジョイントの前後を反転させて回避できるように、前記天面・底面の両面の左右いずれかの半面の中央部にかけてその一部を切除したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の建物用立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠は、従来は、建物等の立
ち上がり基礎のベース基礎上には鉄筋ユニットの縦筋だけが立設した状態でU字形捨て型枠を配設し、その後鉄筋ユニット等を組み立てていたものを、型枠を配設する前に鉄筋ユニットおよびアンカーボルトの組み立てを可能とした。
【0012】
また、従来のU字形捨て型は特殊な形状で重量物であったことから、型枠の転倒・破損や搬送等に於いて問題があったが、パネル式捨て型枠は、型枠を構成する4面体のジョイントおよびコンクリートまたは合成樹脂製のパネルに分解され、製造・保管・搬送が容易となり、作業者の安全・効率化・迅速化を可能とした。
更にまた、パネル式捨て型枠のパネルは、工場生産に於いても特別な製造用
の型枠を必要とせず生産効率が高く、コスト低減や工期短縮を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】パネル式捨て型枠の4面体のジョイントの斜視図
【
図2】パネル式捨て型枠に取り付けするパネルの斜視図
【
図3】鉄筋ユニット等が組み立てられているベース基礎にパネル式捨て型枠を配設したときの立ち上がり基礎の正面図
【
図4】コンクリートを打設したパネル式捨て型枠による立ち上がり基礎の正面図
【
図5】コンクリートを打設したパネル式捨て型枠による立ち上がり基礎の側面図
【
図6】コンクリートを打設したパネル式捨て型枠による立ち上がり基礎の平面図
【
図7】4面体のジョイントの天面32・底面33の両面の片側半面の中央部にかけて一部を半円形に切除された平面図
【
図8】パネル式捨て型枠をT字形に配設したときの立ち上がり基礎の平面図
【
図9】
図9-1は、先行文献で、立ち上がり基礎の縦筋のみが立ち上げられたベース基礎にU字形捨て型枠が配設された正面図
図9-2は、先行文献でU字形捨て型枠配設後に、鉄筋ユニット・アンカーボルトが取り付けられ、型枠にコンクリートが打設される前の正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施
形態は本発明の技術思想を具体化するための建物の立ち上がり基礎10のパネル式捨て型枠20を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0015】
第8図は、従来のU字形捨て型枠60を例示しており、その概要は、
図8-
1にあるように、ベース基礎上に縦筋の立設後にU字形捨て型枠60を配設している。
図8-2は型枠を配設後に該型枠の狭い側壁面の間で鉄筋ユニットやアンカーボルトの組み立てを行った後の図で、この方法では著しく作業精度・効率が悪い。
また、ベース基礎上にU字形捨て型枠60を配設するとき、それまで製造~搬入まで逆U字状であったものを反転させてU字状にするが、型枠は転倒しやすく作業者の安全や破損等にも問題があった。
本願発明はこの欠点を改善するものである。
【実施例0016】
パネル式捨て型枠20は、4面体のジョイント30およびパネル40で構成
されており、
図1の前記4面体のジョイント30は、両サイドのパネル40を支持する対
の側壁面31と、該側壁面31の天面32と底面33から成る4面体で、該4面体の解放された空間に並行して前記底面33の中央部にベース基礎上11に立設されている縦筋12、鉄筋ユニット14およびアンカーボルト15を上から通す3~5センチメートル巾の隙間34が設けられている。
前記4面体のジョイント30の高さは、コンクリート50の打設時に立ち上
がり基礎10の天端16に支障の無いよう1~5センチメートル低く設定する。
【0017】
前記4面体のジョイント20の外側両側壁面31には重量物のコンクリート等のパネル40が取り付けられるから、前記4面体のジョイント30は取り付け後に変形しない強度が必要で、その対策として
図6,7に示されているように4面全て、又はその一部の平面部に溝(又はリブ)36を設け補強した方が良い。
また、図示していないが、前記ベース基礎11に前記4面体のジョイント30を取り付け固定するとき、前記底面33の隙間を前記天面32の巾と同一となる巾止め具37を用いることで前記4面体のジョイント20は強固な長方形を成す。
【0018】
また、
図7は、前記4面体ジョイント30が前記ベース基礎11に配設され
るとき、鉄筋ユニットの下部の縦筋12、および上部のアンカーボルト15の設けられている位置が、前記天面32・底面33と重なる場合がある。
この場合、前記4面体ジョイントの前記天面32・底面33の両面の左右いずれかの半面を中央部にかけてその一部を切除35しておけば、該事態が生じてもジョイント30を左右反転させることで回避できる。
【0019】
次に
図2は、前記4面体のジョイント20の外側両側壁面31に取り付けら
れるコンクリートや合成樹脂製のパネル40である。
前記パネル40は前記4面体のジョイント20の外側両側壁面31に取り
付けられた後、コンクリート50が打設され捨てパネルとなることで特定の規制は無い。該パネル40の製造~現地搬入の移動等から極力軽量(薄く)が良いが、一方、パネルの反り等の変形を起こさない対策が必要で、パネル内に太さが3~10ミリメートルで網目が10~20センチメートルの鉄筋等のメッシュ材41を骨格として補強すると良い。
【0020】
また、パネル式捨て型枠20に使用するパネル40の形状は平坦であることから、コンクリート二次製品として一般的な生コン製造会社で製造可能である。
最近は断熱基礎を要望されることもあり、パネルを合成樹脂等の断熱材とすることも可能である、但し、パネル40が変形しないだけの強度が必要となる。
【0021】
前記パネル40を前記4面体のジョイント30への取り付けは、該4面体のジョ
イント30の内側から接続用固定ボルトで、前記パネル40に組み込まれているボルト固定部38にボルトで締めて固定する。
前記パネル40は前記4面体のジョイント30に決められた位置に取り付けるためのボルト固定部38が設けられており、固定ボルトは前記4面体のジョイント30からパネル40に締め付けを行うが、パネル40側から行うことも可能としても良い。
【0022】
次に
図3は、縦筋12、鉄筋ユニット14およびアンカーボルト15が組み
立てられた前記ベース基礎11に前記4面体のジョイント30を配設・固定し、外側壁面31両サイドに前記パネル40を取り付けた正面図である。
図8-1の先行事例ではメッシュ部を通せるのは縦筋12だけで、U字形型枠を配設後に鉄筋ユニット14とアンカーボルト15が取り付けられ(
図8-2)、作業効率を悪くしていたが、パネル式捨て型枠20により作業効率・迅速化やコスト低減を図ることが可能となった。
【0023】
次に
図4、5、6は、パネル式捨て型枠20にコンクリート50を打設した
後を表した正面図、側面図、平面図で、この後養生期間が過ぎれば完成である。
【0024】
図6は、前記4面体のジョイント30と取り付けられたパネル40の平面図で、前記4面体のジョイント30のパネル40接続箇所に溝36が設けられており、該溝36へコンクリート50や合成樹脂等を注入、また、パネル40の接続部には合成樹脂等の目地材を詰め込む方法があるが、他の部材も適宜工作を施すと良い。
【0025】
図8は、立ち上がり基礎10の形状が直線部と異なる事例として、T字形の
パネル式捨て型枠20の平面図であり、パネルを接続する側は内側に90度に折曲げられたジョイントで接続されている。
他にコーナー形や十字形等があるが、基本T字形のパネル式捨て型枠20で可能であるが、形状に即したジョイントを設けても良い。
前記ベース基礎に前記4面体のジョイントを固定するとき、前記ジョイント底面の隙間を前記天面の巾と同一となる巾止め具を使用して固定することを特徴とする請求項1に記載の建物の立ち上がり基礎のパネル式捨て型枠。
本願発明は上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、建物基礎の立ち上がり基礎工事に使用され、コンクリートを打設した後はベース基礎、鉄筋ユニットと一体となる型枠で、該型枠は、4面体のジョイントと該ジョイントの両側壁面に支持される対のパネルで構成され、前記4面体のジョイントは、前記パネルを支持する対の側壁面、天面および底面から成り、該底面の中央部に前記ベース基礎上に立設した前記鉄筋ユニットを通す3~5センチメートルの隙間が設けられており、前記パネルはコンクリートや合成樹脂製のパネルから成り、施工時には、前記4面体のジョイントの底面隙間を、前記ベース基礎上に設けられたアンカーボルトおよび前記鉄筋ユニットに通して下ろして固定し、両外側壁面に前記パネルを取り付けることを特徴とする。