(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092835
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】化粧料塗布中の使用感改善剤、及び化粧料塗布中の使用感改善方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/35 20060101AFI20240701BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240701BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/35
A61Q19/00
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209024
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】東 栄美
(72)【発明者】
【氏名】野田 真紀子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC392
4C083AC792
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD352
4C083BB41
4C083DD27
4C083EE06
4C083KK03
(57)【要約】
【課題】化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善することができる化粧料塗布中の使用感改善剤の提供。
【解決手段】バニリンを有効成分とし、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善する化粧料塗布中の使用感改善剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バニリンを有効成分とし、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善することを特徴とする化粧料塗布中の使用感改善剤。
【請求項2】
バニリンを有効成分とし、化粧料を塗布する際の、みずみずしさ、こく乃至深み感、肌への浸透感、及びしっとり感の少なくともいずれかの使用感を改善することを特徴とする化粧料塗布中の使用感改善剤。
【請求項3】
バニリンの香りを嗅ぎながら化粧料を塗布して、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善することを特徴とする化粧料塗布中の使用感改善方法。
【請求項4】
バニリンの香りを嗅ぎながら化粧料を塗布して、化粧料を塗布する際の、みずみずしさ、こく乃至深み感、肌への浸透感、及びしっとり感の少なくともいずれかの使用感を改善することを特徴とする化粧料塗布中の使用感改善方法。
【請求項5】
前記化粧料が、前記バニリンを含有する請求項3又は4に記載の化粧料塗布中の使用感改善方法。
【請求項6】
前記化粧料が、0.0005質量%~0.005質量%の前記バニリンを含有する請求項5に記載の化粧料塗布中の使用感改善方法。
【請求項7】
前記バニリンの香りがディフューザーにより拡散される請求項3又は4に記載の化粧料塗布中の使用感改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料塗布中の使用感改善剤、及び化粧料塗布中の使用感改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料研究の分野では、香りがヒトの心理に与える効果についての研究が盛んに行われており、香りによって有意な効果を付与することのできる香料を見出すことが期待されている。
【0003】
これまでに、バニリンなどの温度感覚を温かく変化させる香料成分又は香料組成物が、肌の水分量を増加させることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。また、バニリンなどの香料を含む重量感覚調整用香料組成物が、香料組成物の塗布感覚を重くさせたり、こってり感を強く感じさせる、または肌のふっくら感や肌のもっちり感を強く感じさせることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2005-023968号
【特許文献2】特開2004-124079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善することができる化粧料塗布中の使用感改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としての本発明の化粧料塗布中の使用感改善剤は、バニリンを有効成分とし、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善することができる化粧料塗布中の使用感改善剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例における化粧料塗布中のみずみずしさの経時的変化を評価した結果を示すグラフである。
【
図2】
図2は、実施例における化粧料塗布中のこく乃至深み感の経時的変化を評価した結果を示すグラフである。
【
図3】
図3は、実施例における化粧料塗布中の肌への浸透感の経時的変化を評価した結果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施例における化粧料塗布中のしっとり感の経時的変化を評価した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(化粧料塗布中の使用感改善剤)
本発明の一実施形態は、バニリンを有効成分とし、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善する化粧料塗布中の使用感改善剤である。
本発明の他の実施形態は、バニリンを有効成分とし、化粧料を塗布する際の、みずみずしさ、こく乃至深み感、肌への浸透感、及びしっとり感の少なくともいずれかの使用感を改善する化粧料塗布中の使用感改善剤である。
【0010】
(化粧料塗布中の使用感改善方法)
本発明の一実施形態は、バニリンの香りを嗅ぎながら化粧料を塗布して、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善する化粧料塗布中の使用感改善方法である。
本発明の他の実施形態は、バニリンの香りを嗅ぎながら化粧料を塗布して、化粧料を塗布する際の、みずみずしさ、こく乃至深み感、肌への浸透感、及びしっとり感の少なくともいずれかの使用感を改善する化粧料塗布中の使用感改善方法である。
【0011】
<バニリン>
バニリンは、下記構造式で表され、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドとも称する、バニラの香りの主要な成分である。
バニリンは、例えば、バニラ豆等から単離して得られた化合物、又は公知の合成方法によって合成された化合物を用いることができる。
【化1】
【0012】
前記化粧料塗布中の使用感改善剤としてのバニリンは、化粧料に含有させてもよく、化粧料に含有させなくてもよく、いずれの場合も、バニリンの香りを嗅ぎながら化粧料を塗布することができる。
【0013】
一態様として、前記化粧料が、バニリンを含有することが好ましい。
前記バニリンの含有量としては、特に制限はなく、前記化粧料の態様や組成などの目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料の総量に対し、0.0005質量%~0.005質量%が好ましく、0.001質量%~0.005質量%がより好ましい。
【0014】
別の態様として、前記化粧料がバニリンを含有せず、バニリンを併用する態様であってもよく、その場合、前記バニリンの香りがディフューザーにより拡散されることが好ましい。
【0015】
前記ディフューザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、綿、アロマストーン等の基材;リードディフューザー、アロマポット、アロマランプ、超音波アロマディフューザー、噴霧式アロマディフューザーなどが挙げられる。
【0016】
バニリンは、ベースノート又は保留剤に属し、揮発速度の遅い、持続安定的な香りとして知られる。また、バニリンは、重い香りとして認識されるところ、従来とは異なり意外にも、バニリンが、化粧料の塗布開始直後の、みずみずしさ、及びこく乃至深み感の少なくともいずれかの使用感を改善することができることを見出し、本発明を想到するに至った。
バニリンの香りを嗅ぎながら化粧料を塗布すると、化粧料の塗布開始直後に「みずみずしさ」及び「こく乃至深み感」を有意に感じることができ、また、「みずみずしさ」の直後に、「こく乃至深み感」を感じるのは特徴的な現象であった。
【0017】
また、従来の効果に加えて、バニリンが、化粧料を塗布する際の、みずみずしさ、こく乃至深み感、肌への浸透感、及びしっとり感の少なくともいずれかの使用感を改善することができることを見出し、本発明を想到するに至った。
バニリンの香りを嗅ぎながら化粧料を塗布すると、化粧料の塗布開始直後に「みずみずしさ」及び「こく乃至深み感」を有意に感じることができ、化粧料の塗布中に「肌への浸透感」及び「しっとり感」を有意に感じることができ、また、「こく乃至深み感」、「肌への浸透感」及び「しっとり感」を感じていた時間も対照よりも長いことがわかった。
【0018】
[質的経時変化測定法(TDS)]
これらの化粧料の塗布中の使用感、及びその変化については、質的経時変化測定法(Temporal Dominance of Sensations、TDS)という複数の感覚の時系列変化を同時に測定する時系列官能評価手法により評価することができる。TDS法は時系列で最も優位な感覚を回答する手法であり、優位な感覚の変化を把握することができる。
【0019】
具体的には、パネリストが試料を評価するか、評価対象となる行為(例えば、化粧料の塗布)を実施する間に、表示されている複数の感覚属性の評価項目のうち、優位と感じられた感覚を回答する。評価項目はスクリーン上にすべて表示されており、パネリストは各時点で優位と感じられた感覚を評価項目の一覧から自ら選択、もしくは、口頭で回答し、実験監督者が属性ボタンを選択する。感覚属性が変化した場合は順に選択していく。評価時間は感覚がなくなるまで、もしくは、定められた時間まで実施する。
TDSデータの取得、及びデータ解析は、公知の官能評価ソフトウェアを用いて実施することができ、例えば、FIZZ(Biosystemes社製)やJ-SEMS(株式会社メディア・アイ社製)などが挙げられる。
【0020】
化粧料は、皮膚への塗布中に、温度、組成、形態等が変化しており、化粧料塗布中の印象、感覚ごとに、感じやすいタイミングがあると考えられる。塗布後のアンケートでは、塗布後の印象に影響を受けるため、リアルタイムで経時的な官能評価を測定することに意義がある。
【0021】
<化粧料>
前記化粧料は、バニリンを含有してもよく、バニリンを含有しなくてもよい。
前記化粧料は、化粧料に通常用いられる成分、例えば、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、多価アルコール、粉末成分、合成樹脂エマルジョン、アミノ酸、有機アミン、pH調製剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
【0022】
<<油性成分>>
前記油性成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、シリコーン類などが挙げられる。
【0023】
前記油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂;カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂;などが挙げられる。
【0024】
前記ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどが挙げられる。
【0025】
前記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
【0026】
前記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などが挙げられる。
【0027】
前記高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール;などが挙げられる。
【0028】
前記合成エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリー2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-クチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、クロタミトン(C13H17NO)などが挙げられる。
【0029】
前記シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン油;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロポリシロキサン等の環状シリコーン油;カプリルメチコン、カプリルトリメチコン、ステアリルメチコン等の常温液状のアルキル変性シリコーン油;ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチル(パーフルオロアルキル)シロキサン共重合体等のフッ素変性シリコーン油;などが挙げられる。
【0030】
前記シリコーン類としては、例えば、ステアリル変性ジメチコン、ベヘニル変性ジメチコン等のアルキルおよびアルコキシシリコンワックス;3次元網目構造を形成しているシリコ-ン樹脂、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0031】
<<紫外線吸収剤>>
前記紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルメトキシシンナメート、ジ-パラメトキシケイ皮酸-モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸-3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニルベンゾフェノン-2-カルボキシレート等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノンなどが挙げられる。
【0032】
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、親油性非イオン性界面活性剤、親水性非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0033】
前記親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸エステル等のグリセリン又はポリグリセリンのエステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0034】
前記親水性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート、等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン-2-オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル、等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;プルロニック(登録商標)等のプルロニック型界面活性剤;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン-2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、水添ラノリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンエーテル、PPG-13デシルテトラデセス-24等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;テトロニック等のテトラポリオキシエチレン・テトラポリオキシプロピレンエチレンジアミン縮合物類;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸エステル等のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミドのほか、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸などが挙げられる。
【0035】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸;N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム等のN-アシルグルタミン酸;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸、ジトリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸コラーゲン加水分解アルカリ塩などが挙げられる。
【0036】
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N'-ジメチル-3,5,-メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコ-ル脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、カチオンポリマー、アクリル酸β-N-N-ジメチル-N-エチルアンモニオエチル塩化ビニルピロリドン共重合体などが挙げられる。
【0037】
前記両性界面活性剤としては、例えば、2-ウンデシル-N,N,N,-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;などが挙げられる。
【0038】
<<保湿剤>>
前記保湿剤としては、例えば、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、尿素、ジグリセリンエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物;コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等の酸性ムコ多糖類;などが挙げられる。
【0039】
<<増粘剤>>
前記増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、トラガントガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、カゼインナトリウム、デキストリン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライトなどが挙げられる。
【0040】
<<多価アルコール>>
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0041】
<<粉末成分>>
前記粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、金雲母、合成雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ポリメチシルセスキオキサン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、群青、紺青等の無機顔料;酸化チタンコーティッドマイカ、酸化チタンコーティッドオキシ塩化ビスマス、着色酸化チタンコーティッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー等の金属粉末顔料;赤色201号、赤色202号、橙色203号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料、赤色3号、黄色4号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β-カロチン等の天然色素;などが挙げられる。
【0042】
<<合成樹脂エマルジョン>>
前記合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョンなどが挙げられる。
【0043】
<<アミノ酸>>
前記アミノ酸としては、例えば、グリシン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、アルギニン、ヒスチジン、リジン、シスチン、システイン、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸などが挙げられる。
【0044】
<<有機アミン>>
前記有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどが挙げられる。
【0045】
<<pH調製剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤>>
前記pH調製剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類などが挙げられる。
前記防腐剤としては、例えば、フェノキシエタノール、エチルパラベン、ブチルパラベンなどが挙げられる。
前記キレート剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0046】
前記その他、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、火棘の果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤;アルキルサリチル酸、アルブチン等の他の美白剤;グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
【0047】
[粘度]
前記化粧料の粘度としては、特に制限はなく、化粧料の態様などの目的に応じて適宜選択することができる。
前記化粧料の粘度は、例えば、粘度測定装置(DIGITAL VISMETRON VDA、芝浦システム株式会社製)を用いて25℃において測定することができる。
【0048】
[容器]
前記化粧料は、容器に充填されてなることが好ましい。
前記容器としては、密閉性容器が好ましく、前記密閉性容器の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて酸素透過性の低い材料を適宜選択することができ、例えば、金属を蒸着した樹脂、金属を積層した樹脂、金属、及びガラスの少なくともいずれかを用いた容器であることが好ましい。
【0049】
前記化粧料の形態としては、例えば、油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物等の乳化組成物、油性組成物、水性組成物のいずれであってもよく、液体状、固形状、クリーム状、ペースト状、ゲル状など任意に選択することができる。
前記化粧料は、特に制限はなく、常法に従って製造することができる。前記化粧料が乳化化粧料である場合に、乳化の方法は特に限定されるものではない。
【0050】
[用途]
本形態による化粧料の用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アイマスク、フェイスマスク等のマスク組成物;スキンクリーム、アイクリーム、リップクリーム等のクリーム;ファンデーション、ベースメイク等の基礎化粧料;アイシャドウ、チーク、口紅等のメークアップ化粧料;日焼け止め、虫よけ等の日用衛生品などが挙げられる。
【実施例0051】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、本実施例の説明において、割合(%及び部)の値は、特に記載がない限り質量基準とする。
【0052】
バニリンが化粧料を塗布する際の使用感に与える影響について検討するため、6名のパネリストに、モデル化粧料の塗布中に、バニリンの香りを付与した「香りあり」と、付与しない「香りなし」について、時系列官能評価手法であるTDS(Temporal Dominance of Sensations)法により、評価を行った。
なお、パネルは20代~50代の女性6名(20代1名、40代4名、50代1名)で評価を行った。
【0053】
<モデル化粧料の調製>
下記処方に示す配合で、モデル化粧料を調製し、以下の評価方法に従って評価した。
<処方>
質量%
・ジメチコン 2
・エタノール 6
・ステアリルアルコール 0.3
・ベヘニルアルコール 1.1
・グリセリン 7
・DPG 5
・BG 3
・スクワラン 1
・テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1
・ステアロイルメチルタウリンNa 0.2
・フェノキシエタノール 適量
・キサンタンガム 0.1
・イオン交換水: 残余
合計 100
【0054】
<実験方法>
提示試料の種類は2種類であり、「香りなし」として香料用希釈溶剤であるクエン酸トリエチル(CAS No.77-93-0)、「香りあり」としてバニリン(CAS No.121-33-5)をクエン酸トリエチルで0.1%に希釈したものを準備した。次いで、1cm×2cmのサイズに切ったコットンに各試料を5μL滴下して5分静置し、浸み込ませた。
各パネリストの鼻の下に試料を浸み込ませたコットンを貼り付けた状態で、無香料のモデル化粧料を鼻の下は避けて顔全体に塗布してもらった。なお、モデル化粧料はコットンを使用して塗布するよう指示した。思い浮かんだ感覚を直感的に評価してもらうため、パネリストはモデル化粧料を塗布しながら感じた化粧料の使用感をスクリーン上に表示された評価項目の一覧から自ら選択して回答した(TDS法)。TDSデータ取得及びデータ解析は官能評価ソフトフェアであるJ-SEMS、株式会社メディア・アイ社製を使用した。
評価項目は、スキンケア時に感じられると考えられる、「こくや厚みがある」、「みずみずしい」、「なめらか」、「しみ込んでいく」、「満たされた」、「しっとり」、「べたつく」、「ふっくらやわらかい」の8項目であった。
なお、「こくや厚みがある」は肌当たりがよいことを含む。「みずみずしい」はひんやりと感じることを含む。「満たされた」は肌がうるおいで満たされたように感じることを含む。「しっとり」は肌表面の状態がしっとりしていると感じることを含む。「べたつく」はぬるぬるしている、油っぽいことを含む。
【0055】
モデル化粧料塗布中に、各評価項目の内容を実際に感じていた時間(すなわち、評価項目を選択し続けていた時間)を表1に示した。
「香りなし」に対して「香りあり」において顕著な差(1.4倍以上)が表れた項目は、「こくや厚みがある」、「しみ込んでいく」、及び「しっとり」の3項目であった。
【0056】
【0057】
また、モデル化粧料塗布中の化粧料の使用感についてTDS曲線を算出した。なお、パネリストそれぞれが塗布に要した時間が異なることから、解析は相対時間を用いて行った。各評価項目の「香りなし」及び「香りあり」の違いを比較したところ、パターンに違いが表れた評価項目、「こくや厚みがある」、「みずみずしい」、「しみ込んでいく」、及び「しっとり」について、それぞれグラフを
図1~4に示した。
図1~4では、横軸は塗布時間を100とした場合の時間の経過時間の割合(%)、縦軸はその感覚の占有割合(%)を示している。
【0058】
図1の結果から、化粧料の塗布開始直後に「みずみずしさ」(評価項目:みずみずしい)について有意差をもって感じられたことがわかった。
図2及び表1の結果から、化粧料の塗布開始直後に「こく乃至深み感」(評価項目:こくや厚みがある)について有意差をもって感じられ、「こく乃至深み感」を感じていた時間も対照よりも長いことがわかった。
図1の結果と合わせて、「みずみずしさ」の直後に、「こく乃至深み感」を感じるのは特徴的な現象であった。
図3及び表1の結果から、化粧料の塗布中に「肌への浸透感」(評価項目:しみ込んでいく)について有意差を持って感じられ、「肌への浸透感」を感じていた時間も対照よりも長いことがわかった。
図4及び表1の結果から、化粧料の塗布中、特に中盤に、「しっとり感」(評価項目:しっとり)について有意差を持って感じられ、「しっとり感」を感じていた時間も対照よりも長いことがわかった。
【0059】
以上、本発明を具体的な実施形態及び実施例に基づいて説明したが、これらの実施形態及び実施例は例として提示したものにすぎず、本発明は上記実施形態及び実施例によって限定されるものではない。本発明の開示の範囲内において、様々な変更、修正、置換、削除、付加、及び組合せ等が可能である。