(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092852
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】機器固定具
(51)【国際特許分類】
F16B 1/02 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
F16B1/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209047
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】501178363
【氏名又は名称】株式会社サカエ
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中畑 淳也
(57)【要約】
【課題】台板に設置する機器を確実にかつ適切に固定することのできる機器固定具を提供すること。
【解決手段】フレーム本体10及びアタッチメント30又は40を含む。フレーム本体10は、所定の幅を有する金属部材が直線状に延びて長手形状をしたスライドフレーム20と、スライドフレームの一端及び他端に備えられた固定部12,13とを含む。スライドフレーム20には、長手方向に沿って上面から下面へ貫通する長溝が形成されている。長溝は、長手方向に直交する断面形状において、下面側の幅が広く、上面側の幅が狭くされた2段幅の溝とされている。アタッチメント30又は40は、取付部及び機器を固定するための機能部を有し、取付部をスライドフレーム20の所望の位置に固定できる。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台板に配置する機器を固定するための固定具であって、
フレーム本体及びアタッチメントを含み、
前記フレーム本体は、所定の幅を有する部材が直線状に延びて長手形状をしたスライドフレームと、前記スライドフレームの一端及び他端に備えられた固定部とを含み、
前記スライドフレームには、長手方向に沿って上面から下面へ貫通する長溝が形成されていて、当該長溝は、長手方向に直交する断面形状において、下面側の幅が広く、上面側の幅が狭くされた2段幅の溝とされており、
前記2段幅の溝には、ボルト頭が下面側の幅広溝に納まり、ボルト軸が上面側の幅狭溝から上方へ突出するように装着され、前記長溝内を長手方向に移動可能な複数の取付ボルトを有しており、
前記アタッチメントは、取付部及び機器を固定するための機能部を有し、前記取付部は前記スライドフレームの所望の位置に前記取付ボルトによって固定できるものであることを特徴とする、機器固定具。
【請求項2】
前記アタッチメントの前記取付部には、前記取付ボルトのボルト軸が挿通される一対の固定孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の機器固定具。
【請求項3】
前記アタッチメントは、アジャスターアタッチメントを含み、
前記アジャスターアタッチメントは、前記取付部に立設された支軸を中心に水平方向に回動し得る一対のアジャスター押え部材を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の機器固定具。
【請求項4】
前記取付部に立設された支軸はねじ軸を含み、
前記ねじ軸には、前記一対のアジャスター押え部材を上下から挟む高さ調整用ナットが備えられていることを特徴とする、請求項3に記載の機器固定具。
【請求項5】
前記アタッチメントは、アンカーアタッチメントを含み、
前記アンカーアタッチメントは、前記取付部及び機能部が水平方向に繋がっており、
前記機能部は、アンカーとなるボルトを上方へ突出させて保持・固定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の機器固定具。
【請求項6】
前記アンカーアタッチメントの前記取付部には、側縁から凹むように切り欠かれた平面視U字形状の固定孔が形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の機器固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業台やテーブル等の台板に設置する機器を固定するための機器固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
作業台やテーブル等の台板に測定器などの機器を設置して使用するケースが多くある。そのような使用態様では、地震等による振動の発生といった自然災害による機器の落下が懸念される。
【0003】
機器の落下や転倒を防止するための従来技術の一例としては、特許文献1に記載された固定具や、特許文献2に記載された固定具がある。
【0004】
特許文献1に記載された固定具も、特許文献2に記載された固定具も、共に、機器を設置する設置面に固定具を両面接着テープで固定する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5808950号公報
【特許文献2】特許第6047001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載された固定具は、固定具自身を両面テープによる貼着で固定して使用するものである。そのため、取り付け面の状態によっては粘着力が低下する場合がある。また、粘着力が低下しないとしても、機器の位置をずらして設置する場合には、固定した固定具を取り外し、ずらして設置した機器を固定するために、適切な位置に固定具を再固定し直さなければならない。
【0007】
このように、特許文献1及び2に記載された固定具は、使用に際して、柔軟な対処が難しい場合があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した背景の下になされたもので、台板に設置する機器を確実にかつ適切に固定することのできる機器固定具を提供することを主たる目的とする。
【0009】
本発明の一実施形態に係る機器固定具は、フレーム本体と、フレーム本体に取り付けられるアタッチメントとを備えている。
【0010】
フレーム本体は、直線状に延びる長手の金属部材で形成されたスライドフレームを含み、その両端には、スライドフレームを台板に固定するための固定部が備えられている。
【0011】
スライドフレームには、長手方向に摺動移動し得る取付ボルトが設けられている。取付ボルトをスライドフレームの長手方向所望の位置にセットし、取付ボルトによってアタッチメントを取り付けることができる。
【0012】
アタッチメントは、取付ボルトによって固定される取付部と台板に配置する機器を固定するための機能部とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
フレーム本体を、機器を設置する台板に固定し、かつ、スライドフレームの長手方向の所望の位置にアタッチメントを取り付けることにより、アタッチメントの機能部を台板に設置される機器の固定すべき部位(例えばアジャスターや、アンカー孔)と対応する位置に位置決めして固定できる。
【0014】
台板に固定するフレーム本体の固定位置、及びフレーム本体に取り付けるアタッチメントの取り付け位置を調整することにより、台板に設置する種々の機器を適切に固定できる機器固定具を提供できる。
【0015】
また、アタッチメントを取り換えることにより、種々のタイプの機器固定方法を採用することができる。一例として、台板に設置する機器がアジャスターを有する機器の場合には、アジャスター固定方法を用いることができる。又、台板に設置する機器がアンカー孔を有する機器の場合には、アンカー固定方法を用いることができる。さらに、固定ベルトを有するアタッチメントを使用することもできる。このように、種々の機器を台板に適切に固定できる機器固定具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフレーム本体10の平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るフレーム本体10の側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るフレーム本体10の底面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るフレーム本体10の正面図である。
【
図5】
図1の矢視V-Vに沿うスライドフレーム20の縦断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るアンカーアタッチメント30の平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るアンカーアタッチメント30の側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るアンカーアタッチメント30の底面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40の平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40の側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40の平面図で、一対のアジャスター押え部材42,43が開いた状態を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(上)42の平面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(上)42の側面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(上)42の正面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(下)43の平面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(下)43の側面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(下)43の正面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係るフレーム本体10を作業台の天板に取り付ける手順を示す図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係るアジャスタータイプの機器固定具を作業台の天板に装着した状態を示す斜視図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る機器固定具において、アジャスターアタッチメントの高さを、機器のアジャスターに合わせて調整する仕方を説明するための図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係るアンカータイプの機器固定具を作業台の天板に装着した状態を示す斜視図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係るアンカータイプの機器固定具により、機器を固定する手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明をする。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るフレーム本体10の平面図である。また、
図2は、フレーム本体10の側面図であり、
図3は、フレーム本体10の底面図であり、
図4は、フレーム本体10の正面図である。
【0019】
図1~4を参照して、フレーム本体10は、金属材、木材、樹脂材、複合材等の各種の材料で形成することができる。本実施例では、一例として、鋼板で形成されるものについて説明する。
【0020】
フレーム本体10は、所定の幅W0を有し、直線状に延びる長手板状のスライドフレーム20を備える。スライドフレーム20(フレーム本体10)の幅Wは、一例として、W0=70mmとされ、スライドフレーム20(フレーム本体10)の長さLは、フレーム本体10を固定する作業台の天板(台板)の奥行き寸法に適合するように、L=600+αmm、750+αmm、800+αmm、900+αmm(但し、αは、例えば14mm)等の長さにされている。
【0021】
フレーム本体10には、スライドフレーム20の長手方向の両端に、両端が折り曲げられて形成された固定部12,13が設けられている。固定部12,13は、スライドフレーム20の長手方向に対して、左右対称な構成をしている。固定部12,13は、それぞれ、スライドフレーム20の端縁から直角に折り曲げられて下方へ延びる垂直板部14と、垂直板部14の下端が直角に折り曲げられてスライドフレーム20に平行にスライドフレーム20の長手中心方向へ向いた支持板部15とを含んでいる。そして、支持板部15には、支持板部15の突出方向の中央部に、支持板部15の幅方向に一定の間隔を空けて、一対のネジ孔16,16が形成されている。一対のネジ孔16,16には、下面側からそれぞれボルト17が螺合されていて、ボルト17の上端には、支持板部15の幅方向に長手の押え板18が取り付けられている。さらに、各ボルト17には、支持板部15の下方へ突出しているネジ軸にナット19が螺合されていてもよい。ナット19を追加すると、ボルト17の緩み止めを図れる。
【0022】
固定部12,13は、スライドフレーム20の下面端部と押え板18との間で台板の端縁部を挟むことによって、フレーム本体10を台板に固定する。つまり、固定部12,13は、いわゆるクランプを構成している。
【0023】
スライドフレーム20には、長手方向に沿って延びる長溝21,22が形成されている。長溝21,22は、スライドフレーム20の上面から下面へ貫通する溝である。スライドフレーム20の平面図(
図1を参照)において、長溝21は、スライドフレーム20の長手方向中央部から一端側である左側へ延びる領域に形成されている。長溝22は、スライドフレーム20の長手方向中央部から他端側である右側へ延びる領域に形成されている。長溝21,22は、スライドフレーム20の幅W0方向の中央に形成されている。長溝21と長溝22とは、等しい形状をしている。長溝21,22の溝幅W1は、一例として、13mm幅である。長溝21,22には、それぞれ、長手方向の両端に、溝幅が拡げられた挿入孔部23が形成されている。各挿入孔部23において、孔幅W2は、一例として、18mm幅とされ、また孔長は、一例として、18mm長とされている。
【0024】
つまり、長溝21,22は、後述する取付ボルト(例えば、超低頭六角ボルト)29のボルト軸が通る幅を有しているが、ボルト頭は通ることができない幅とされている。そして、長溝21,22に取付ボルト(超低頭六角ボルト)29を嵌める場合は、長溝21,22の長手方向の両端に形成された挿入孔部23の上方から、取付ボルト(超低頭六角ボルト)29のボルト頭を下に向けて長溝21,22に嵌められる構成にされている。
【0025】
スライドフレーム20には、その下面に、ガイドプレート25が積層されている。ガイドプレート25は、平面視及び底面視において、スライドフレーム20と等しい幅及び長さを有する長手板状の鋼板で形成されている。ガイドプレート25には、長手方向に沿って延びる長溝26,27が形成されている。長溝26,27は、ガイドプレート25の上面から下面へ貫通する溝である。長溝26はスライドフレーム20の長溝21に対応する位置に形成されており、長溝27はスライドフレーム20の長溝22に対応する位置に形成されている。そして、長溝26,27の溝幅W3は、一例として、18mmとされ、溝の長さは、スライドフレーム20の長溝21,22の長さ(挿入孔部23を含めた長さ)と等しくされている。
【0026】
ガイドプレート25は、スライドフレーム20の下面に積層されるように、換言すればスライドフレーム20の下面全体に重なるように接合されている。接合は、一例として溶接によって行われてもよい。溶接による接合では、ガイドプレート25に複数の孔28を散在させ、当該孔28を利用して溶接が行われてもよい。
【0027】
なお、本実施形態では、ガイドプレート25が鋼板製である旨説明したが、ガイドプレート25を例えば木製、樹脂製、複合材製等の他の材料で形成することもできる。
【0028】
図5は、
図1の矢視V-Vに沿うスライドフレーム20の拡大縦断面図である。
図5に示すように、スライドフレーム20の長手方向に直交する断面形状において、スライドフレーム20に形成された長溝21(22)の幅W1と、ガイドプレート25に形成された長溝26(27)の幅W3とは、W1<W3の関係であり、長溝21及び26(長溝22及び27)の断面を全体として見ると、下面側の溝幅W3が広く、上面側の溝幅W1が狭い、2段幅の溝となっている。
【0029】
よって、
図5において、1点鎖線で示すように、長溝21,26には、取付ボルト(超低頭六角ボルト)29を嵌合させることができる。そして、嵌合させた取付ボルト(超低頭六角ボルト)29を長溝21,26の所望の位置へスライド移動させることができる。
【0030】
なお、取付ボルト29として、超低頭六角ボルトに代えて普通の六角ボルトや四角ボルト等を使用する場合には、ガイドプレート25の板厚を、当該取付ボルトのボルト頭に対応した厚みのものとすればよい。
【0031】
また、スライドフレーム20の変形例として、スライドフレーム20の下面にガイドプレート25を接合するという構成に替えて、板厚の厚いスライドフレーム20を加工し、断面形状において、下面側の溝幅W3が広く、上面側の溝幅W1が狭い、2段溝幅の長溝を備えたスライドフレーム20としてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、スライドフレーム20に形成した長溝は、長溝21,22に分けられている例を示した。しかし、スライドフレーム20に形成する長溝は、スライドフレーム20の長手方向に沿って延びる1つの長溝であってもよい。そして、その場合は、ガイドプレート25に形成する長溝も、長溝26,27に分けられていないガイドプレート25の長手方向に沿って延びる1つの長溝としてもよい。
【0033】
上述の実施形態では、フレーム本体10は、スライドフレーム20の長手方向の両端に一体的に形成された固定部12,13を有する構成とした。しかし、固定部12,13の少なくとも一方を、スライドフレーム20と別体で形成されたクランプとすることもできる。そして、その場合は、フレーム本体10を台板に取り付ける取付作業が便利になる。
【0034】
図6は、本発明の一実施形態に係るアンカーアタッチメント30の平面図である。
図7は、アンカーアタッチメント30の側面図であり、
図8は、アンカーアタッチメント30の底面図である。
【0035】
アンカーアタッチメント30は、アンカーボルトの替わりとなる代替ボルト70を立設して保持するアタッチメントである。アンカーアタッチメント30は、取付ボルト29によってスライドフレーム20に取り付けられることにより、台板の所望の位置に、アンカーボルトの替わりとなる代替ボルト70を立設する。そして当該代替ボルト70に、設置する機器に設けられたアンカー固定用の孔を嵌合することにより、機器を安定して強固に設置できるものである。
【0036】
図6~
図8を参照して、アンカーアタッチメント30は、本体板31及びベース部材32を有している。本体板31は、一例として、平面視が長方形状をし、長方形の四隅は丸められている。本体板31は、左側約3分の1の領域が取付部33とされ、残りの右側約3分の2の領域は機能部34とされている。
【0037】
取付部33は、アンカーアタッチメント30をスライドフレーム20に固定するための部位である。取付部33には、本体板31の左右の長辺31L,31Rから本体板31の内方に向かって、平面視U字状に切り欠かれた一対の固定孔35L,35Rが形成されている。後述するように、一対の固定孔35L,35Rに、それぞれ、スライドフレーム20に装着された取付ボルト(超低頭六角ボルト)29のボルト軸を嵌合し、上からナットを締めつけることにより、取付部33をフレーム本体10の長手方向の所望の位置に強固に固定することができる。
【0038】
機能部34は、機器を固定するための機能を発現するための部位であり、本アンカーアタッチメント30では、アンカーボルトの替わりとなる代替ボルト70を立設して保持する部位である。
【0039】
機能部34には、本体板31の下面に積層状態に重ねられて接合されたベース部材32が備えられている。ベース部材32は、平面視において、本体板31と等しい幅で、本体板31の機能部34の長さと等しい長さをした、平面視が角が丸められた長方形状をした厚板部材である。ベース部材32の厚みは、一例として、アンカーボルトの替わりとなる代替ボルト70のボルト頭の厚みと等しくされている。
【0040】
機能部34には、例えばその幅方向及び長さ方向の中央部に、本体板31を上面から下面へと貫通するボルト挿通孔36が形成されている。また、本体板31に形成されたボルト挿通孔36に対応して、ベース部材32には、底面視が正六角形のボルト頭嵌め込み孔37が形成されている。
【0041】
なお、機能部34に形成されたボルト挿通孔36の内径やボルト頭嵌め込み孔37の形状は、機能部34に保持される(アンカーボルトの替わりとなる)代替ボルト70のサイズや形状(例えば、六角ボルト、四角ボルト等)に応じて、適宜調整されたものが準備される。なお、本実施形態では、代替ボルト70として、六角ボルトを用いる場合の構成が示されている。
【0042】
アンカーアタッチメント30において、本体板31とベース部材32との接合は、本実施形態では、溶接により行われている。
図8のアンカーアタッチメント30の底面図に示すように、ベース部材32には、ベース部材32の長手方向の両側に、ボルト頭嵌め込み孔37から一定寸法離れた位置に、溶接用孔38が形成されている。そして、溶接用孔38を利用して、ベース部材32は本体板31の下面に溶接によって接合されている。
【0043】
なお、アンカーアタッチメント30を、本体板31とベース部材32とを含む構成とした場合に、本体板31とベース部材32との接合は、溶接以外の接合方法で行われてもよい。
【0044】
また、アンカーアタッチメント30は、本体板31とベース部材32とを接合するものに替えて、本体板31とベース部材32とが一体に成形された構成であってもよい。
【0045】
図9は、本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40の閉じた状態の平面図である。
図10は、アジャスターアタッチメント40の側面図である。また、
図11は、アジャスターアタッチメント40の開いた状態の平面図である。
【0046】
アジャスターアタッチメント40は、台板に設置する機器がアジャスターを有するものである場合に、当該アジャスターを2枚の押え部材で挟み込んで押え、機器を固定するためのものである。
【0047】
図9~
図11を参照して、アジャスターアタッチメント40は、ベース部材41と、一対のアジャスター押え部材42,43とを含んでいる。
【0048】
ベース部材41は、スライドフレーム20に取り付けられる取付板44と、取付板44の中央に立設されたねじ軸45とを含んでいる。取付板44は、平面視において、縦長の長方形状で、4隅が丸められている。寸法は、一例として、長辺110mm、短辺70mmであり、長辺がスライドフレーム20の長手方向に沿って、スライドフレーム20上に取り付けられる。取付板44には、短辺方向中央部で、かつ、長辺方向の一端寄り及び他端寄りの位置に、それぞれ、固定孔46R,46Lが形成されている。固定孔46R,46Lにスライドフレーム20に装着された取付ボルト(超低頭六角ボルト)29をそれぞれ下方から挿通し、当該取付ボルト(超低頭六角ボルト29)にナット74を螺合させ、取付板44をスライドフレーム20の長さ方向の所望の位置にして、ナット74を締め付けることによって、取付板44をスライドフレーム20に固定することができる。
【0049】
取付板44に立設されたねじ軸45は、一例として、六角ボルトにより作成されている。
【0050】
詳しくは、取付板44の平面視で中心位置に、正六角形の孔が形成され、その孔に六角ボルトのボルト頭が嵌合されて溶接されている。これにより、六角ボルトのボルト軸が、ねじ軸45として、取付板44から垂直に上方へ立設している。
【0051】
図12,13及び14は、本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(上)42の平面図、側面図及び正面図である。また、
図15,16及び17は、本発明の一実施形態に係るアジャスターアタッチメント40に含まれるアジャスター押え部材(下)43の平面図、側面図及び正面図である。
【0052】
図12~14を参照して、アジャスター押え部材(上)42は、支持部48及び挟持押圧部49を有し、これら支持部48及び挟持押圧部49は、1枚の金属板片により一体的に形成されている。支持部48の根元には、取付板44のねじ軸45が挿通される丸孔50が形成されている。また、支持部48には、丸孔50を中心とする、例えば半径30mmの円弧上に、挟持調整用の長孔51が形成されている。
【0053】
挟持押圧部49は、段差側壁52、底壁53及び側壁54を有している。底壁53には、側壁54と反対側の一方側辺から切り欠かれて形成された挟持孔55が形成されている。
【0054】
図15~17を参照して、アジャスター押え部材(下)43は、支持部56及び挟持押圧部57を有し、これら支持部56及び挟持押圧部57は、1枚の金属板片により一体的に形成されている。支持部56の根元には、取付板44のねじ軸45が挿通される丸孔58が形成されている。また、支持部56には、丸孔58から、例えば30mm離れた位置に、挟持調整用の丸孔59が形成されている。そして、支持部56の下面には、丸孔59に臨むように、例えば四角ナット60が溶接されている。
【0055】
挟持押圧部57は、段差側壁61、底壁62及び側壁63を有している。底壁62には、側壁63と反対側の他方側辺から切り欠かれて形成された挟持孔64が形成されている。
【0056】
図9~
図11を再び参照して、ベース部材41のねじ軸45には、下ナット65が螺合され、その上にアジャスター押え部材(下)43の丸孔58が嵌められ、さらにアジャスター押え部材(上)42の丸孔50が嵌められている。そして、ねじ軸45には、上ナット66が螺合されている。下ナット65及び上ナット66のねじ軸45に対する螺合位置を調整することにより、一対のアジャスター押え部材42,43の高さ位置を調整することができる。
【0057】
一対のアジャスター押え部材42,43は、ねじ軸45を中心に回動可能であり、
図9に示すように、挟持押圧部49,57が閉じた状態と、
図11に示すように、挟持押圧部49,57が開いた状態とに変位し得る。
【0058】
また、アジャスター押え部材(上)42の支持部48に形成された長孔51を介して上からボルト、一例として座金が組み込まれたセムスボルト67をアジャスター押え部材(下)43の支持部56に形成された丸孔59に挿入し、ボルト67を丸孔59の下に溶接された四角ナット60に螺合することにより、一対のアジャスター押え部材42,43の開度を固定することができる。
【0059】
そして、一対のアジャスター押え部材42,43の開度を調整することにより、
図9に示すように、挟持押圧部49,57が閉じた状態において、挟持孔55及び挟持孔64で形成される孔の大きさを、アジャスターの軸径に適合するように調整することができる。
【0060】
図18は、本発明の一実施形態に係るフレーム本体10を2つ用い、それを作業台の天板SBに取り付ける手順を示す図である。
【0061】
図18(A)に示すように、作業台の天板SBに対し、天板SBの左右両側から、それぞれ、フレーム本体10が装着される。そして、
図18(B)に示すように、天板SBの左側寄りの位置に、左方のフレーム本体10が固定され、天板SBの右側寄りの位置に、右方のフレーム本体10が固定される。天板SBの中央領域には、機器を設置するスペースが空けられる。フレーム本体10の天板SBへの固定は、フレーム本体10に備えられた固定部12,13によるクランプによって行われる。そして、固定されたフレーム本体10に対し、
図18(B)の拡大図に示すように、超低頭六角ボルト29が、必要個数セットされる。超低頭六角ボルト29のセットは、ボルト頭が挿入孔部23から挿入され、スライドフレーム20の長溝21,22内を所定の位置までスライドさせることにより行われる。
【0062】
図19は、本発明の一実施形態に係るアジャスタータイプの機器固定具を作業台の天板SBに装着した状態を示す斜視図である。
図19に示すように、天板SBの左方のフレーム本体10に、2つのアジャスターアタッチメント40が取り付けられ、天板SBの右方のフレーム本体10に、2つのアジャスターアタッチメント40が取り付けられる。そして、天板SBの中央領域に、機器が設置されると、機器に設けられた4つのアジャスターが、4つのアジャスターアタッチメント40によってそれぞれ挟持されて、押さえられる。
【0063】
なお、フレーム本体10に対するアジャスターアタッチメント40の取り付けは、先に説明したように、フレーム本体10に装着された取付ボルト29がアジャスターアタッチメント40の固定孔46R,46Lに下方から挿通され、取付ボルト29にナット74を螺合させて締め付けることによって行われる。
【0064】
図20は、アジャスターアタッチメント40によって機器に設けられたアジャスター80が挟持されて押さえられた状態を図解的に示す図である。
図20に示すように、アジャスター80における軸81を、一対のアジャスター押え部材42,43の挟持孔55,64(
図9を参照)を調整して挟む。さらに、下ナット65及び上ナット66を調整することにより、一対のアジャスター押え部材42,43の高さを、アジャスター80の台座82を上から押圧する高さにする。
【0065】
係る調整を行うことにより、天板に設置された機器は、4つのアジャスター80が4つのアジャスターアタッチメント40によって、確実に、かつ、強固に固定される。
【0066】
図21は、本発明の一実施形態に係るアンカータイプの機器固定具を作業台の天板SBに装着した状態を示す斜視図である。
図21に示すように、天板SBの左方のフレーム本体10に、2つのアンカーアタッチメント30が取り付けられ、天板SBの右方のフレーム本体10に、2つのアンカーアタッチメント30が取り付けられる。そして、天板SBの中央領域に、機器が設置される。その際に、機器に形成されたアンカー孔に、アンカーアタッチメント30に保持されたアンカーボルトの替わりとなる六角ボルト70が挿入されて、ナットで固定される。
【0067】
図22は、本発明の一実施形態に係るアンカータイプの機器固定具により、機器を固定する手順の一例を説明する図である。
【0068】
図22(A)に示すように、まず、アンカーアタッチメント30に、アンカーボルトの替わりとなる六角ボルト70を装着する。
【0069】
次いで、
図22(B)に示すように、天板SB上に設置する機器Mのベースに形成された4つのアンカー孔に、アンカーアタッチメント30の六角ボルト70をそれぞれ挿入し、六角ボルト70の上部にナット73を螺合する。
【0070】
そして、
図22(C)に示すように、4つのアンカーアタッチメント30を取り付けた機器Mを、天板SBの設置位置に配置する。
【0071】
そして、アンカーアタッチメント30を取り付けた機器Mに対し、左右のフレーム本体10を移動させて、フレーム本体10とアンカーアタッチメント30の位置を合わせ、フレーム本体10を天板SBに固定する。
【0072】
次いで、
図22(D)に示すように、フレーム本体10のスライドフレーム20の長溝21,22と、アンカーアタッチメント30の取付部33の固定孔35L,35Rとに、超低頭六角ボルト29を嵌め、
図22(E)に示すように、超低頭六角ボルト29とナット74によって、アンカーアタッチメント30の取付部33をスライドフレーム20に固定する。
【0073】
アンカーアタッチメント30の取付部33に形成した一対の固定孔35L,35Rを、U字状の孔としたことにより、上述のような固定手順を実現できるものである。
【0074】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0075】
本発明の一実施形態に係る構成を、特許請求の範囲の記載を参照して記載すると、次の通りである。
【0076】
本発明は、台板に配置する機器を固定するための固定具であって、フレーム本体10を含む。フレーム本体10は、所定の幅を有する部材が直線状に延びて長手形状をしたスライドフレーム20と、スライドフレームの一端及び他端に備えられた固定部12,13とを含む。スライドフレーム20には、長手方向に沿って上面から下面へ貫通する長溝が形成されている。長溝は、長手方向に直交する断面形状において、下面側の幅が広く、上面側の幅が狭くされた2段幅の溝とされている。前記2段幅の溝には、ボルト頭が下面側の幅広溝に納まり、ボルト軸が上面側の幅狭溝から上方へ突出するように装着され、前記長溝内を長手方向に移動可能な複数の取付ボルト29を有している。
【0077】
本発明のアタッチメントは、取付部及び機器を固定するための機能部を有し、取付部を前記スライドフレーム20に固定できる。
【0078】
本発明のアタッチメントは、取付ボルト29によって、スライドフレーム20の所望の位置に固定できる。
【0079】
本発明のアタッチメントの取付部には、取付ボルト29のボルト軸が挿通される一対の固定孔が形成されている。
【0080】
本発明のアタッチメントは、アジャスターアタッチメント40を含んでいてもよい。アジャスターアタッチメント40は、前記取付部に立設された支軸を中心に水平方向に回動し得る一対のアジャスター押え部材42,43を有する。
【0081】
本発明のアタッチメントは、前記取付部に立設された支軸はねじ軸45を含み、前記ねじ軸には、前記一対のアジャスター押え部材42,43を上下から挟む高さ調整用ナット65,66が備えられていて、前記ねじ軸における前記高さ調整用ナット65,66の位置を調整することにより、前記一対のアジャスター押え部材42,43の高さを所望の高さにできる。
【0082】
本発明のアタッチメントは、また、アンカーアタッチメント30を含んでいてもよい。アンカーアタッチメント30は、前記取付部及び機能部が水平方向に繋がっている。前記機能部は、アンカーとなるボルトを上方へ突出させて保持・固定する。
【0083】
本発明のアンカーアタッチメントの前記取付部には、側縁から凹むように切り欠かれた平面視U字形状の固定孔35L,35Rが形成されている。
【0084】
また、本発明のアタッチメントは、機能部として、固定ベルトの一端が取り付けられたものでもよい。係るアタッチメントを一対用いることで、固定ベルトによって機器を固定できる固定具となる。
【0085】
その他、本発明のアタッチメントは、取付部及び機能部を有し、機能部が種々の固定機能を発揮するものを使用できる。
【符号の説明】
【0086】
10 フレーム本体
12、13 固定部
18 押え板
20 スライドフレーム
21、22、26、27 長溝
23 挿入孔部
25 ガイドプレート
28 孔
29 取付ボルト(超低頭六角ボルト)
30 アンカーアタッチメント
31 本体板
31L、31R 長辺
32、41 ベース部材
33 取付部
34 機能部
35L、35R 固定孔
36 ボルト挿通孔
37 ボルト頭嵌め込み孔
40 アジャスターアタッチメント
42、43 アジャスター押え部材
44 取付板
45 ねじ軸
46L,46R 固定孔
48、56 支持部
49、57 挟持押圧部