IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディーアンドエムホールディングスの特許一覧

特開2024-92870オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法
<>
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図1
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図2
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図3
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図4
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図5
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図6
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図7
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図8
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図9
  • 特開-オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092870
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】オーディオシステム、オーディオ装置、ワイヤレス端末、解決策提供サーバ、プログラム、およびオーディオ装置のエラーの解決策提案方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240701BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G06F11/07 193
H04R3/00 310
G06F11/07 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209085
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】馬上 優生
【テーマコード(参考)】
5B042
5D220
【Fターム(参考)】
5B042GA12
5B042GB09
5B042JJ03
5B042KK03
5B042KK11
5B042KK17
5B042KK20
5D220AA50
(57)【要約】
【課題】オーディオ装置の強制シャットダウンを伴うエラーに対して適切な解決策を提案することができる技術を提供する。
【解決手段】ワイヤレススピーカ1-1~1-nは、強制シャットダウンの原因となるエラーを検出すると、電源供給元を主電源から予備電源に切り替え、検出したエラーのエラー内容、機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告をワイヤレス端末2に送信し、シャットダウンする。ワイヤレス端末2は、ワイヤレススピーカ1-1~1-nから受信したエラー報告を解決策提供サーバ4に転送し、解決策提供サーバ4から解決策を受信して提示する。解決策提供サーバ4は、ワイヤレス端末2から受信したエラー報告に含まれている機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けたテーブルのなかから、エラー報告に含まれているエラー内容に対する解決策を検出し、検出した解決策をワイヤレス端末2に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ装置と、前記オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末と、前記オーディオ装置のエラーに対して解決策を提供する解決策提供サーバと、を備えて構成されたオーディオシステムであって、
前記オーディオ装置は、
主電源と、
予備電源と、
当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーを監視するエラー監視手段と、
前記エラー監視手段により前記エラーが検出され場合に、当該エラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を前記ワイヤレス端末に送信するエラー報告手段と、を有し、
前記エラー監視手段は、
前記エラーを検出した場合に、当該オーディオ装置の電源供給元を前記主電源から前記予備電源に切り替えて、前記エラー報告手段に当該エラーのエラー内容を通知し、当該エラー報告手段による前記エラー報告の送信が完了してから当該オーディオ装置をシャットダウンし、
前記ワイヤレス端末は、
前記オーディオ装置から前記エラー報告を受信した場合に、当該エラー報告を前記解決策提供サーバに転送するエラー報告転送手段と、
前記解決策提供サーバから解決策を受信した場合に、当該解決策を提示する解決策提示手段と、を有し、
前記解決策提供サーバは、
前記オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン毎に、想定されるエラー内容各々に対する解決策が記憶されたテーブルを記憶する解決策記憶手段と、
前記ワイヤレス端末から前記エラー報告を受信した場合に、当該エラー報告に含まれている機種名および搭載ソフトウエアのバージョンに紐付けられて前記解決策記憶手段に記憶されている前記テーブルのなかから、当該エラー報告に含まれているエラー内容に対する前記解決策を検出する解決策検出手段と、
前記解決策検出手段により検出された前記解決策を前記ワイヤレス端末に送信する解決策送信手段と、を有する
ことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のオーディオシステムであって、
前記ワイヤレス端末は、
前記解決策提示手段により提示された前記解決策の実施結果をユーザより受け付けて、当該実施結果を含む実施結果報告を前記解決策提供サーバに送信する実施結果報告手段をさらに有し、
前記解決策提供サーバは、
前記ワイヤレス端末より受信した前記実施結果報告を記憶する実施結果報告記憶手段をさらに有する
ことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のオーディオシステムであって、
前記テーブルには、想定されるエラー内容各々に対する1以上の解決策がその優先度とともに記憶されており、
前記解決策検出手段は、
前記ワイヤレス端末から受信した前記実施結果報告に含まれている前記解決策に対する実施結果が「解決しない」である場合に、前記エラー報告に含まれている前記機種名および搭載ソフトウエアのバージョンに紐付けられて前記解決策記憶手段に記憶されている前記テーブルのなかから、当該実施結果の対象となる前記解決策のつぎに優先度の高い前記解決策が存在するならば、当該解決策を検出する
ことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項4】
オーディオ装置であって、
主電源と、
予備電源と、
当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーを監視するエラー監視手段と、
前記エラー監視手段により前記エラーが検出され場合に、当該エラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を、自オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末に送信するエラー報告手段と、を有し、
前記エラー監視手段は、
前記エラーを検出した場合に、当該オーディオ装置の電源供給元を前記主電源から前記予備電源に切り替えて、前記エラー報告手段に当該エラーのエラー内容を通知し、当該エラー報告手段によるエラー報告が完了してから当該オーディオ装置をシャットダウンする
ことを特徴とするオーディオ装置。
【請求項5】
オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末であって、
前記オーディオ装置から、当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を受信した場合に、当該エラー報告を、前記オーディオ装置のエラーに対する解決策を提供する解決策提供サーバに転送するエラー報告転送手段と、
前記解決策提供サーバから前記解決策を受信した場合に、当該解決策を提示する解決策提示手段と、を有する
ことを特徴とするワイヤレス端末。
【請求項6】
オーディオ装置のエラーに対して解決策を提供する解決策提供サーバであって、
前記オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報毎に、想定されるエラー内容各々に対する解決策が記憶されたテーブルを記憶する解決策記憶手段と、
前記オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末から、当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を受信した場合に、当該エラー報告に含まれている機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられて前記解決策記憶手段に記憶されている前記テーブルのなかから、当該エラー報告に含まれているエラー内容に対する前記解決策を検出する解決策検出手段と、
前記解決策検出手段により検出された前記解決策を前記ワイヤレス端末に送信する解決策送信手段と、を有する
ことを特徴とする解決策提供サーバ。
【請求項7】
コンピュータをオーディオ装置として機能させるプログラムであって、
前記オーディオ装置は、
主電源および予備電源を備え、
前記プログラムは、
当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーを監視するエラー監視手段、および
前記エラー監視手段により前記エラーが検出され場合に、当該エラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を、自オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末に送信するエラー報告手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記エラー監視手段は、
前記エラーを検出した場合に、当該オーディオ装置の電源供給元を前記主電源から前記予備電源に切り替えて、前記エラー報告手段に当該エラーのエラー内容を通知し、当該エラー報告手段による前記エラー報告の送信が完了してから当該オーディオ装置をシャットダウンする
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータをオーディオ装置用のリモートコントローラとして機能させるプログラムであって、
前記オーディオ装置から、当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を受信した場合に、当該エラー報告を、前記オーディオ装置のエラーに対する解決策を提供する解決策提供サーバに転送するエラー報告転送手段、および
前記解決策提供サーバから前記解決策を受信した場合に、当該解決策を提示する解決策提示手段として、前記コンピュータを機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータをオーディオ装置のエラーに対する解決策を提供する解決策提供サーバとして機能させるプログラムであって、
前記オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報毎に、想定されるエラー内容各々に対する解決策が記憶されたテーブルを記憶する解決策記憶手段、
前記オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末から、当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を受信した場合に、当該エラー報告に含まれている前記機種名および搭載ソフトウエアのバージョンに紐付けられて前記解決策記憶手段に記憶されている前記テーブルのなかから、当該エラー報告に含まれているエラー内容に対する前記解決策を検出する解決策検出手段、および
前記解決策検出手段により検出された前記解決策を前記ワイヤレス端末に送信する解決策送信手段として、前記コンピュータを機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
オーディオ装置のエラーの解決策提案方法であって、
前記オーディオ装置は、
当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーを監視し、
前記エラーが検出された場合に、当該オーディオ装置の電源供給元を主電源から予備電源に切り替えて、当該エラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を、前記オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末に送信し、その後、当該オーディオ装置をシャットダウンし、
前記ワイヤレス端末は、
前記オーディオ装置から前記エラー報告を受信した場合に、当該エラー報告を、前記オーディオ装置のエラーに対する解決策を提供する解決策提供サーバに転送して、前記解決策提供サーバから前記解決策を受信し、受信した当該解決策を提示し、
前記解決策提供サーバは、
前記オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報毎に、想定されるエラー内容各々に対する解決策が記憶されたテーブルを記憶しており、
前記ワイヤレス端末から前記エラー報告を受信した場合に、当該エラー報告に含まれている機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられて記憶されている前記テーブルのなかから、当該エラー報告に含まれているエラー内容に対する前記解決策を検出し、前記検出した前記解決策を前記ワイヤレス端末に送信する
ことを特徴とするオーディオ装置のエラーの解決策提案方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレススピーカ等のオーディオ装置の強制シャットダウンを伴うエラーの解決策を提案する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二台以上のワイヤレススピーカでオーディオデータを再生するワイヤレススピーカシステムが開示されている。このワイヤレススピーカシステムでは、同じグループに属する複数のワイヤレススピーカのうちの一台がマスタ(グループリーダ)となって、メディアサーバからオーディオデータをダウンロードして再生し出力するとともに、その再生データを、同じグループに属する他のワイヤレススピーカ(スレーブ)に送信して、これらのスピーカからも出力させる。これにより、同じグループに属する複数のワイヤレススピーカから同じオーディオデータを再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7987294号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤレススピーカ等のオーディオ装置は、致命的なエラーにより強制シャットダウンする場合がある。この場合、ユーザは、そのエラー原因を知ることができない。エラー原因が分からず、強制シャットダウンという症状だけで、取扱説明書やインターネットでの検索により適切な解決策を特定することは困難である。例えば、オーディオ装置の機種やオーディオ装置に搭載されているソフトウエアのバージョンが異なると、強制シャットダウンのエラー原因が異なり、その解決策も異なる場合がある。このため、ユーザが自力で解決策を特定する作業は、とても煩雑である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オーディオ装置の強制シャットダウンを伴うエラーに対して適切な解決策を提案することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のオーディオシステムは、ワイヤレススピーカ等のオーディオ装置と、このオーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末と、このオーディオ装置のエラーに対して解決策を提供する解決策提供サーバと、を備えて構成される。
【0007】
オーディオ装置は、エラーの発生を監視しており、強制シャットダウンの原因となるエラーを検出すると、電源供給元を主電源(例えば外部電源)から予備電源に切り替え、検出したエラーのエラー内容、オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を、ワイヤレス端末に送信し、その後、シャットダウンする。
【0008】
ワイヤレス端末は、オーディオ装置からエラー報告を受信すると、受信したエラー報告を解決策提供サーバに転送する。そして、解決策提供サーバから解決策を受信して、受信した解決策をユーザに提示する。
【0009】
そして、解決策提供サーバは、ワイヤレス端末からエラー報告を受け取ると、このエラー報告に含まれている機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられたテーブルのなかから、エラー報告に含まれているエラー内容に対する解決策を検出する。そして、検出した解決策をワイヤレス端末に送信する。
【0010】
例えば、本発明は、
オーディオ装置と、前記オーディオ装置用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末と、前記オーディオ装置のエラーに対して解決策を提供する解決策提供サーバと、を備えて構成されたオーディオシステムであって、
前記オーディオ装置は、
主電源と、
予備電源と、
当該オーディオ装置の強制シャットダウンの原因となるエラーを監視するエラー監視手段と、
前記エラー監視手段により前記エラーが検出され場合に、当該エラーのエラー内容、当該オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告を前記ワイヤレス端末に送信するエラー報告手段と、を有し、
前記エラー監視手段は、
前記エラーを検出した場合に、当該オーディオ装置の電源供給元を前記主電源から前記予備電源に切り替えて、前記エラー報告手段に当該エラーのエラー内容を通知し、当該エラー報告手段による前記エラー報告の送信が完了してから当該オーディオ装置をシャットダウンし、
前記ワイヤレス端末は、
前記オーディオ装置から前記エラー報告を受信した場合に、当該エラー報告を前記解決策提供サーバに転送するエラー報告転送手段と、
前記解決策提供サーバから解決策を受信した場合に、当該解決策を提示する解決策提示手段と、を有し、
前記解決策提供サーバは、
前記オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報毎に、想定されるエラー内容各々に対する解決策が記憶されたテーブルを記憶する解決策記憶手段と、
前記ワイヤレス端末から前記エラー報告を受信した場合に、当該エラー報告に含まれている機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられて前記解決策記憶手段に記憶されている前記テーブルのなかから、当該エラー報告に含まれているエラー内容に対する前記解決策を検出する解決策検出手段と、
前記解決策検出手段により検出された前記解決策を前記ワイヤレス端末に送信する解決策送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、オーディオ装置は、強制シャットダウンの原因となるエラーを検出した場合に、電源供給元を主電源から予備電源に切り替え、検出したエラーのエラー内容、オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告をワイヤレス端末に送信し、それからシャットダウンする。ワイヤレス端末は、オーディオ装置からエラー報告を受信すると、これを解決策提供サーバに転送し、解決策提供サーバから解決策を受信して、ユーザに提示する。そして、解決策提供サーバは、ワイヤレス端末からエラー報告を受信すると、このエラー報告に含まれている機種および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられたテーブルのなかから、このエラー報告に含まれているエラー内容に対する解決策を検出し、ワイヤレス端末に送信する。したがって、本発明によれば、オーディオ装置の強制シャットダウンを伴うエラーに対して、オーディオ装置の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を考慮して、適切な解決策をユーザに提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るオーディオシステムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係るオーディオシステムのワイヤレススピーカ1の強制シャットダウンを伴うエラー発生時における動作を説明するためのシーケンス図である。
図3図3は、ワイヤレススピーカ1の概略機能構成図である。
図4図4は、ワイヤレススピーカ1の強制シャットダウン動作を説明するためのフロー図である。
図5図5は、ワイヤレス端末2の概略機能構成図である。
図6図6は、ワイヤレス端末2の解決策提案動作を説明するためのフロー図である。
図7図7は、解決策提供サーバ4の概略機能構成図である。
図8図8は、解決策記憶部401の登録内容例を模式的に表した図である。
図9図9は、実施結果報告記憶部402の登録内容例を模式的に表した図である。
図10図10は、解決策提供サーバ4の解決策提供動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るオーディオシステムの概略構成図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係るオーディオシステムは、複数のワイヤレススピーカ1-1~1-n(以下、単にワイヤレススピーカ1とも呼ぶ)と、ワイヤレススピーカ1-1~1-n用のリモートコントローラとして機能するワイヤレス端末2と、オーディオデータを配信するメディアサーバ3と、ワイヤレススピーカ1のエラーに対して解決策を提供する解決策提供サーバ4と、解決策の更新を含む、解決策提供サーバ4の保守・管理を行う保守端末5と、を備えて構成されている。
【0016】
ワイヤレススピーカ1-1~1-nおよびワイヤレス端末2は、ワイヤレスネットワーク8に属しており、ワイヤレスネットワーク8は、アクセスポイント6を介してインターネット7に接続されている。また、メディアサーバ3、解決策提供サーバ4、および保守端末5は、インターネット7に接続されている。
【0017】
ワイヤレススピーカ1は、メディアサーバ3から配信されたオーディオデータをワイヤレス端末2経由で受信して再生し出力する。また、ワイヤレススピーカ1は、エラーの発生を監視しており、強制シャットダウンの原因となるエラーを検出すると、電源供給元を主電源から予備電源に切り替えるとともに、検出したエラーのエラー内容、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告をワイヤレス端末2に送信して、その後、シャットダウンする。
【0018】
ワイヤレス端末2は、メディアサーバ3からオーディオデータをダウンロードして、ワイヤレススピーカ1-1~1-nに同時配信する。これにより、ワイヤレススピーカ1-1~1-nにオーディオデータをグループ再生させる。また、ワイヤレス端末2は、ワイヤレススピーカ1からエラー報告を受信すると、受信したエラー報告を解決策提供サーバ4に転送する。また、ワイヤレス端末2は、解決策提供サーバ4から解決策を受信すると、これを表示する。そして、表示中の解決策の実施結果(「解決した」あるいは「解決しない」)をユーザから受け付けると、この解決策の実施結果を含む実施結果報告を解決策提供サーバ4に送信する。
【0019】
解決策提供サーバ4は、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報毎に、想定されるエラー内容各々に対する1以上の解決策がその適用順位(以下、優先度)とともに登録されたテーブルを記憶しており、ワイヤレス端末2からエラー報告を受け取ると、エラー報告に含まれるワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられているテーブルのなかから、エラー報告に含まれるエラー内容に対する解決策をその優先度に従って検出し、検出した解決策をワイヤレス端末2に送信する。そして、この解決策の実施結果をワイヤレス端末2から受信すると、この解決策の実施結果を、エラー報告に含まれているエラー内容、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けて登録するとともに、この解決策の実施結果が「解決しない」である場合、この解決策のつぎに優先度の高い解決策が、エラー内容に対する解決策として上述のテーブルに登録されているならば、この解決策のつぎに優先度の高い解決策をワイヤレス端末2に送信する。
【0020】
図2は、本実施の形態に係るオーディオシステムのワイヤレススピーカ1の強制シャットダウンを伴うエラー発生時における動作を説明するためのシーケンス図である。
【0021】
ワイヤレススピーカ1は、動作中、エラーを監視している。ここで、内部回路の故障、熱暴走、搭載ソフトウエア(ファームウエア、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)のバグによるフリーズ、ワイヤレス端末2経由でメディアサーバ3から受信するオーディオデータのオーバフロー等、強制シャットダウンを伴うエラー(以下、致命的エラーと呼ぶ)が発生し、ワイヤレススピーカ1が、このエラーの発生を検知したものとする(S100)。
【0022】
ワイヤレススピーカ1は、電源供給元を主電源から予備電源に切り替える(S101)。それから、発生した致命的エラーのエラー内容、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告をワイヤレス端末2に送信し(S102)、その後、ワイヤレススピーカ1をシャットダウンする(S103)。
【0023】
ワイヤレス端末2は、ワイヤレススピーカ1からエラー報告を受信すると、これを解決策提供サーバ4に転送する(S104)。
【0024】
解決策提供サーバ4は、ワイヤレス端末2からエラー報告を受信すると、このエラー報告に含まれるワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられて記憶されているテーブルのなかから、エラー報告に含まれるエラー内容に対する1以上の解決策を特定し、特定した解決策のなかから最も優先度の高い解決策(優先度1)を検索する(S105)。そして、検索した解決策(優先度1)をワイヤレス端末2に送信する(S106)。
【0025】
これを受けて、ワイヤレス端末2は、解決策提供サーバ4から受信した解決策(優先度1)を表示して(S107)、ユーザに、強制シャットダウンしたワイヤレススピーカ1に対する表示中の解決策(優先度1)の実施を促す。そして、ユーザから解決策(優先度1)の実施結果(「解決した」あるいは「解決しない」)が入力されるのを待つ。
【0026】
つぎに、ワイヤレス端末2は、解決策(優先度1)の実施結果の入力操作を受け付けると(S108)、この解決策(優先度1)の実施結果を含む実施結果報告を解決策提供サーバ4に送信する(S109)。ここでは、解決策(優先度1)の実施結果「解決しない」がユーザにより入力され、この実施結果「解決しない」を含む実施結果報告が解決策提供サーバ4に送信されたこととする。
【0027】
つぎに、解決策提供サーバ4は、ワイヤレス端末2から実施結果報告を受信すると、この実施結果報告に含まれる解決策(優先度1)の実施結果を、ワイヤレス端末2から受信したエラー報告に含まれる情報(ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報と、エラー内容)と、ワイヤレス端末2に送信した解決策(優先度1)とに紐付けて登録する(S110)。
【0028】
解決策提供サーバ4は、S105で特定した1以上の解決策のなかから、S106でワイヤレス端末2に送信した解決策(優先度1)のつぎに優先度の高い解決策(優先度2)を検索する(S111)。そして、該当する解決策(優先度2)を検索できたならば、この解決策(優先度2)をワイヤレス端末2に送信する(S112)。
【0029】
これを受けて、ワイヤレス端末2は、解決策提供サーバ4から受信した解決策(優先度2)を表示して(S113)、ユーザに、強制シャットダウンしたワイヤレススピーカ1に対する表示中の解決策(優先度2)の実施を促す。そして、ユーザから解決策(優先度2)の実施結果(「解決した」あるいは「解決しない」)が入力されるのを待つ。
【0030】
ワイヤレス端末2は、解決策(優先度2)の実施結果の入力操作を受け付けると(S114)、この解決策(優先度2)の実施結果を含む実施結果報告を解決策提供サーバ4に送信する(S115)。ここでは、解決策(優先度2)の実施結果「解決した」がユーザにより入力され、この実施結果「解決した」を含む実施結果報告が解決策提供サーバ4に送信されたこととする。
【0031】
解決策提供サーバ4は、ワイヤレス端末2から実施結果報告を受信すると、この実施結果報告に含まれる解決策(優先度2)の実施結果を、ワイヤレス端末2から受信したエラー報告に含まれる情報(ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報と、エラー内容)と、ワイヤレス端末2に送信した解決策(優先度2)とに紐付けて、登録する(S116)。その後、解決策提供サーバ4は、処理を終了する。
【0032】
つぎに、本実施の形態に係るオーディオシステムを構成するワイヤレススピーカ1、ワイヤレス端末2、および、解決策提供サーバ4の詳細を説明する。
【0033】
なお、メディアサーバ3には、受信した配信要求で指定されたオーディオデータをこの配信要求の送信元に配信する既存のメディアサーバを利用できるので、その詳細な説明を省略する。また、保守端末5にも、解決策提供サーバ4にアクセスして、解決策提供サーバ4に登録された各種情報を閲覧・登録・更新可能な既存の保守端末(ネットワーク端末)を利用できるのでその詳細な説明を省略する。
【0034】
まず、ワイヤレススピーカ1について説明する。
【0035】
図3は、ワイヤレススピーカ1の概略機能構成図である。
【0036】
図示するように、ワイヤレススピーカ1は、主電源部100と、予備電源部101と、無線インターフェース部102と、オーディオ受信部103と、再生出力部104と、スピーカ部105と、エラー監視部106と、エラー報告部107と、を備えている。
【0037】
主電源部100は、外部電源から供給される電力を、各部101~106に供給する。
【0038】
予備電源部101は、例えば蓄電池であり、主電源部100による電源供給が遮断された場合に、少なくとも、無線インターフェース部102、エラー監視部106、およびエラー報告部107に電力を供給する。
【0039】
無線インターフェース部102は、アクセスポイント6に接続するためのインターフェースである。
【0040】
オーディオ受信部103は、ワイヤレス端末2を介してメディアサーバ3から配信されたオーディオデータを受信する。
【0041】
再生出力部104は、オーディオ受信部103により受信されたオーディオデータを再生し出力する。
【0042】
スピーカ部105は、再生出力部104より出力された再生データを音声出力する。
【0043】
エラー監視部106は、ワイヤレススピーカ1の致命的エラーを監視する。そして、致命的エラーを検出した場合に、ワイヤレススピーカ1の電源供給元を主電源部100から予備電源部101に切り替えるとともに、検出した致命的エラーのエラーコードをエラー報告部107に通知し、エラー報告部107による後述のエラー報告が完了してからワイヤレススピーカ1をシャットダウンする。
【0044】
エラー報告部107は、エラー監視部106から致命的エラーのエラーコードが通知された場合に、このエラーコードと、自ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報と、を含むエラー報告をワイヤレス端末2に送信する。
【0045】
なお、図3に示すワイヤレススピーカ1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の無線通信装置と、を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することによりプロセスとして実現されるものでもよい。
【0046】
図4は、ワイヤレススピーカ1の強制シャットダウン動作を説明するためのフロー図である。
【0047】
このフローは、ワイヤレススピーカ1に致命的エラーが発生し、エラー監視部106がこれを検出することにより開始される。
【0048】
まず、エラー監視部106は、ワイヤレススピーカ1の電源供給元を主電源部100から予備電源部101に切り替える(S200)。これにより、少なくとも、無線インターフェース部102、エラー監視部106、およびエラー報告部107は、停止することなく、継続して動作する。
【0049】
つぎに、エラー監視部106は、検出した致命的エラーの内容(内部回路の故障、熱暴走、搭載ソフトウエアのバグによるフリーズ、ワイヤレス端末2経由でメディアサーバ3から受信するオーディオデータのオーバフロー等)に応じたエラーコードを特定し(S201)、特定したエラーコードをエラー報告部107に通知する。
【0050】
これを受けて、エラー報告部107は、無線インターフェース部102を介してワイヤレス端末2に、エラー監視部106から受け取ったエラーコードと、自ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報と、を含むエラー報告を送信する(S202)。
【0051】
つぎに、エラー監視部106は、エラー報告部107によるワイヤレス端末2へのエラー報告が完了すると、自ワイヤレススピーカ1をシャットダウンして、予備電源部101による電源供給を停止する(S203)。
【0052】
つぎに、ワイヤレス端末2について説明する。
【0053】
図5は、ワイヤレス端末2の概略機能構成図である。
【0054】
図示するように、ワイヤレス端末2は、無線インターフェース部200と、マンマシンインターフェース部201と、再生要求部202と、オーディオデータ転送部203と、エラー報告転送部204と、解決策提示部205と、実施結果報告部206と、を備えている。
【0055】
無線インターフェース部200は、アクセスポイント6に接続するためのインターフェースである。
【0056】
マンマシンインターフェース部201は、ユーザに情報を表示したり、ユーザから各種操作を受け付けたりするためのインターフェースであり、例えばタッチセンサ付きディスプレイ等の入出力装置を有している。
【0057】
再生要求部202は、マンマシンインターフェース部201を介してユーザから受け付けた選曲操作に従い、この選曲操作で受け付けた楽曲の指定を伴う再生要求を、無線インターフェース部200を介してメディアサーバ3に送信する。
【0058】
オーディオデータ転送部203は、無線インターフェース部200を介してメディアサーバ3から受信した楽曲のオーディオデータを、ワイヤレススピーカ1―1~1-nに同時転送する。
【0059】
エラー報告転送部204は、無線インターフェース部200を介してワイヤレススピーカ1からエラー報告を受信した場合に、このエラー報告を、無線インターフェース部200を介して解決策提供サーバ4に転送する。
【0060】
解決策提示部205は、無線インターフェース部200を介して解決策提供サーバ4から解決策を受信した場合に、この解決策をマンマシンインターフェース部201に表示する。
【0061】
実施結果報告部206は、マンマシンインターフェース部201が表示中の解決策についてユーザからその実施結果を受け付けた場合に、その実施結果を含む実施結果報告を、無線インターフェース部200を介して解決策提供サーバ4に送信する。
【0062】
なお、図5に示すワイヤレス端末2の機能構成は、図3に示すワイヤレススピーカ1の機能構成と同様、ASIC、FPGA等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の無線通信装置と、を備えたスマートホン、タブレットPC等の携帯用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することによりプロセスとして実現されるものでもよい。
【0063】
図6は、ワイヤレス端末2の解決策提案動作を説明するためのフロー図である。
【0064】
このフローは、エラー報告転送部204が無線インターフェース部200を介してワイヤレススピーカ1からエラー報告を受信することにより開始される。
【0065】
まず、エラー報告転送部204は、無線インターフェース部200を介して解決策提供サーバ4に、ワイヤレススピーカ1から受信したエラー報告を転送する(S300)。それから、解決策提示部205は、無線インターフェース部200を介して解決策提供サーバ4から解決策が送られてくるのを待つ(S301)。
【0066】
解決策提示部205は、無線インターフェース部200を介して解決策提供サーバ4から解決策を受信すると(S301でYES)、この解決策をマンマシンインターフェース部201に表示して(S302)、ユーザに解決策の実施を促す。ここで、解決策提示部205は、受信した解決策に実施結果要求が付加されているか否かを判断する(S303でNO)。そして、実施結果要求が付加されていないならば(S303でNO)、このフローを終了する。
【0067】
一方、実施結果要求が付加されている場合(S303でYES)、解決策提示部205は、表示中の解決策とともに、実施結果選択画面(「解決した」、「解決しない」の選択ダイアログボックス)をマンマシンインターフェース部201に表示する(S304)。そして、解決策提示部205は、マンマシンインターフェース部201に表示中の実施結果選択画面を介してユーザから実施結果の入力操作を受け付けたならば(S305でYES)、この入力操作により受け付けた実施結果(「解決した」および「解決しない」のいずれか)を実施結果報告部206に通知する。これを受けて、実施結果報告部206は、無線インターフェース部200を介して解決策提供サーバ4に、実施結果を含む実施結果報告を送信する(S306)。
【0068】
つぎに、解決策提示部205は、入力操作により受け付けた実施結果が「解決しない」ならば(S307でNO)、S301に戻って、解決策提供サーバ4から新たな解決策が送られてくるのを待ち、実施結果が「解決した」ならば(S307でYES)、このフローを終了する。
【0069】
つぎに、解決策提供サーバ4について説明する。
【0070】
図7は、解決策提供サーバ4の概略機能構成図である。
【0071】
図示するように、解決策提供サーバ4は、ネットワークインターフェース部400と、解決策記憶部401と、実施結果報告記憶部402と、解決策検出部403と、解決策送信部404と、実施結果報告受信部405と、保守端末接続部406と、を備えている。
【0072】
ネットワークインターフェース部400は、インターネット7に接続するためのインターフェースである。
【0073】
解決策記憶部401には、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン毎に、想定されるエラー内容各々に対する1以上の解決策が記憶されている。
【0074】
図8は、解決策記憶部401の登録内容例を模式的に表した図である。
【0075】
図示するように、解決策記憶部401には、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン毎に、想定されるエラー内容各々に対する1以上の解決策が登録されたテーブル4010が記憶されている。テーブル4010には、想定されるエラー内容毎に、解決策のレコード4011が記憶されている。解決策のレコード4011は、エラー内容の識別情報であるエラーコードが登録されたフィールド4012と、優先度1の解決策が登録されたフィールド4013と、優先度1に続く優先度2の解決策がある場合にその解決策が登録されたフィールド4014と、優先度2に続く優先度3の解決策がある場合にその解決策が登録されたフィールド4015と、優先度3に続く優先度4の解決策がある場合にその解決策が登録されたフィールド4016と、を有する。なお、ここでは、エラー内容に対する解決策として優先度4までの解決策を想定しているが、優先度5以上の解決策を登録できるように、解決策のレコード4011にフィールドを追加してもよい。
【0076】
実施結果報告記憶部402には、ワイヤレススピーカ1から報告された解決策の実施結果報告が記憶される。
【0077】
図9は、実施結果報告記憶部402の登録内容例を模式的に表した図である。
【0078】
図示するように、実施結果報告記憶部402には、ワイヤレススピーカ1から報告された実施結果報告毎に、解決策に対する実施結果報告のレコード4020が登録される。実施結果報告のレコード4020には、報告日時を登録するためのフィールド4021と、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を登録するためのフィールド4022と、エラーコードを登録するためのフィールド4023と、解決策の優先度を登録するためのフィールド4024と、解決策の実施結果を登録するためのフィールド4025と、を有する。
【0079】
解決策検出部403は、ネットワークインターフェース部400を介してワイヤレス端末2からエラー報告を受信した場合に、このエラー報告に含まれているワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられて解決策記憶部401に記憶されているテーブル4010のなかから、このエラー報告に含まれているエラーコードを含むレコード4011に含まれる解決策を優先度に従って検出する。また、検出した解決策が、最後の解決策(レコード4011内で最も優先度が低い解決策)か否かを判断する。そして、最後の解決策でないならば、検出した解決策に実施結果要求を付加してから、この解決策を解決策送信部404に通知する。一方、最後の解決策ならば、実施結果要求を付加することなく、検出した解決策を解決策送信部404に通知する。
【0080】
また、解決策検出部403は、解決策送信部404に通知した実施結果要求付き解決策について、ワイヤレス端末2から、実施結果「解決しない」を含む実施結果報告を受信した場合に、この解決策を含むレコード4011から、この解決策のつぎに優先度の高い解決策を検出する。また、検出した解決策が最後の解決策(レコード4011内で最も優先度が低い解決策)か否かを判断する。そして、最後の解決策でないならば、検出した解決策に実施結果要求を付加してから、この解決策を解決策送信部404に通知する。一方、最後の解決策ならば、実施結果要求を付加することなく、検出した解決策を解決策送信部404に通知する。
【0081】
解決策送信部404は、解決策検出部403より通知された解決策あるいは実施結果要求付き解決策を、ネットワークインターフェース部400を介してワイヤレス端末2に送信する。
【0082】
実施結果報告受信部405は、解決策送信部404がワイヤレス端末2に送信した実施結果要求付き解決策の実施結果を受信する。そして、実施結果報告記憶部402に実施結果報告のレコード4020を追加し、このレコード4020に、受信した実施結果を、その受信日時、実施された解決策の優先度、および、解決策検出部403がワイヤレス端末2から受信したエラー報告に含まれている情報(ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバーション情報、エラーコード)とともに登録する。
【0083】
保守端末接続部406は、ネットワークインターフェース部400を介して保守端末5と接続する。そして、保守端末5の要求に従い、解決策記憶部401および実施結果報告記憶部402の登録内容を保守端末5に閲覧させたり、登録・更新したりする。
【0084】
なお、図7に示す解決策提供サーバ4の機能構成は、図3に示すワイヤレススピーカ1の機能構成と同様、ASIC、FPGA等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、NIC(Network Interface Card)等の通信装置と、を備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することによりプロセスとして実現されるものでもよい。
【0085】
図10は、解決策提供サーバ4の解決策提供動作を説明するためのフロー図である。
【0086】
このフローは、解決策検出部403は、ネットワークインターフェース部400を介してワイヤレス端末2からエラー報告を受信することにより開始される。
【0087】
まず、解決策検出部403は、解決策記憶部401を参照し、ワイヤレス端末2から受信したエラー報告に含まれるワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられているテーブル4010を特定する(S400)。つぎに、解決策検出部403は、特定したテーブル4010から、ワイヤレス端末2から受信したエラー報告に含まれるエラーコードが登録されている解決策のレコード4011を特定する(S401)。
【0088】
つぎに、解決策検出部403は、カウンタ値Nを「1」にセットする(S402)。
【0089】
それから、解決策検出部403は、特定したレコード4011から優先度Nの解決策を検索する(S403)。つぎに、解決策検出部403は、特定したレコード4011に優先度N+1の解決策が登録されているか否かを調べる(S404)。優先度N+1の解決策が登録されていない場合(S404でNO)、つまり、優先度Nの解決策が最後の解決策(特定したレコード4011に登録されている解決策のうち、最も優先度が低い解決策)「サービスセンタへ連絡してください」である場合、この優先度Nの解決策を解決策送信部404に通知する。これを受けて、解決策送信部404は、ネットワークインターフェース部400を介してワイヤレス端末2に優先度Nの解決策を送信し(S411)、このフローを終了する。
【0090】
一方、優先度N+1の解決策が登録されている場合(S404でYES)、つまり、優先度Nの解決策が最後の解決策「サービスセンタへ連絡してください」でない場合、解決策検出部403は、この優先度Nの解決策に実施結果要求を付加する(S405)。そして、実施結果要求が付加された優先度Nの解決策を解決策送信部404に通知する。これを受けて、解決策送信部404は、ネットワークインターフェース部400を介してワイヤレス端末2に、実施結果要求付きの優先度Nの解決策を送信する(S406)。その後、実施結果報告受信部405は、ネットワークインターフェース部400を介してワイヤレス端末2から実施結果報告が送られてくるのを待つ(S407)。
【0091】
その後、実施結果報告受信部405は、ネットワークインターフェース部400を介してワイヤレス端末2から実施結果報告を受信すると(S407でYES)、実施結果報告記憶部402に、実施結果報告のレコード4020を新規登録する。そして、この実施結果報告のレコード4020に、実施結果報告の報告日時(受信日時)と、この実施結果報告に含まれている実施結果(「解決した」または「解決しない」)と、S400で特定したテーブル4010に紐付けられているワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報と、S401で特定したレコード4011に登録されているエラーコードと、S406でワイヤレス端末2に送信した解決策の優先度Nと、を登録する(S408)。
【0092】
つぎに、実施結果報告受信部405は、実施結果報告に含まれる実施結果を解決策検出部403に通知する。これを受けて、解決策検出部403は、この実施結果報告に含まれている実施結果が「解決した」である場合(S409でYES)、このフローを終了する。一方、実施結果報告に含まれている実施結果が「解決しない」である場合(S409でNO)、カウンタ値Nを1つインクリメント(N=N+1)して(S410)、S403に戻る。
【0093】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0094】
本実施の形態において、ワイヤレススピーカ1は、強制シャットダウンの原因となる致命的エラーを検出した場合に、電源供給元を主電源部100から予備電源部101に切り替え、検出したエラーのエラーコード、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報を含むエラー報告をワイヤレス端末2に送信し、それからシャットダウンする。ワイヤレス端末2は、ワイヤレススピーカ1からエラー報告を受信すると、これを解決策提供サーバ4に転送し、解決策提供サーバ4から解決策を受信して表示する。そして、解決策提供サーバ4は、ワイヤレス端末2からエラー報告を受信すると、このエラー報告に含まれているワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられて解決策記憶部401に記憶されているテーブル4010のなかから、このエラー報告に含まれているエラーコードが登録されたレコード4011を検索し、このレコード4011に登録されている解決策をワイヤレス端末2に送信する。したがって、本実施の形態によれば、ワイヤレススピーカ1の強制シャットダウンを伴う致命的エラーに対して、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョンを考慮して、適切な解決策をユーザに提案することができる。
【0095】
また、本実施の形態において、ワイヤレス端末2は、解決策提供サーバ4から受信した解決策に実施結果要求が付加されている場合、実施結果選択画面を解決策とともに表示する。そして、この実施結果選択画面を介してユーザより、表示中の解決策の実施結果を受け付けたならば、この実施結果を含む実施結果報告を解決策提供サーバ4に送信する。そして、解決策提供サーバ4は、ワイヤレス端末2より受信した実施結果報告に含まれている実施結果を、この実施結果に対応する解決策、エラーコード、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報とともに実施結果報告記憶部402に記憶する。したがって、本実施の形態によれば、解決策提供サーバ4の保守・管理者は、保守端末5を用いて、解決策提供サーバ4の実施結果報告記憶部402を参照することにより、エラーに対する解決策の効果を確認することができる。
【0096】
また、本実施の形態において、解決策提供サーバ4は、ワイヤレススピーカ1の機種名および搭載ソフトウエアのバージョン情報に紐付けられて解決策記憶部401に記憶されているテーブル4010毎に、想定されるエラー各々に対して、1以上の解決策をその優先度とともに登録されたレコード4011を記憶している。また、解決策提供サーバ4は、ワイヤレス端末2から受信した実施結果報告に含まれている解決策の実施結果が「解決しない」である場合に、この解決策が検索されたレコード4011に、この解決策のつぎに優先度の高い解決策が存在するならば、このつぎに優先度の高い解決策をワイヤレス端末2に送信する。したがって、本実施の形態によれば、適切な1以上の解決策を、実施結果が「解決した」となるまで、あるいは、解決策が尽きるまで、その優先順位に従ってユーザに提案することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0097】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0098】
例えば、上記の実施の形態において、ワイヤレス端末2は、解決策提供サーバ4から解決策を受信してマンマシンインターフェース部201に表示しているが、本発明はこれに限定されない。解決策提供サーバ4から受信した解決策を音声データに変換し、あるいは、解決策提供サーバ4から解決策の音声データを受信し、これをマンマシンインターフェース部201から音声出力するようにしてもよい。あるいは、解決策の音声データをエラー報告元以外のワイヤレススピーカ1に同時配信し、または、エラー報告元以外のいずれか一つのワイヤレススピーカ1に配信し、配信先のワイヤレススピーカ1から解決策を音声出力するようにしてもよい。
【0099】
また、上記の実施の形態において、解決策提供サーバ4は、メディアサーバ3と一体化されていてもよい。
【0100】
また、上記の実施の形態では、強制シャットダウンの原因となる致命的エラーを検出した場合にエラー報告をワイヤレス端末2に送信するワイヤレススピーカ1を例にとり説明したが、本発明は、強制シャットダウンの原因となる致命的エラーを検出した場合にエラー報告をワイヤレス端末2に送信するオーディオ装置に広く適用可能である。
【0101】
また、上記の実施の形態では、強制シャットダウンの原因となる致命的エラーを検出した場合にエラー報告をワイヤレス端末2に送信するオーディオ装置として、アクセスポイント6を介してインターネット7と接続するワイヤレススピーカ1を例にとり説明した。しかし、本発明は、これに限定されない。オーディオ装置は、ワイヤレス端末2と無線接続されたものであればよい。
【符号の説明】
【0102】
1-1~1-n、1:ワイヤレススピーカ 2:ワイヤレス端末
3:メディアサーバ 4:解決策提供サーバ 5:保守端末
6:アクセスポイント 7:インターネット
8:ワイヤレスネットワーク 100:主電源部
101:予備電源部 102:無線インターフェース部
103:オーディオ受信部 104:再生出力部
105:スピーカ部 106:エラー監視部
107:エラー報告部 200:無線インターフェース部
201:マンマシンインターフェース部 202:再生要求部
203:オーディオデータ転送部 204:エラー報告転送部
205:解決策提示部 206:実施結果報告部
400:ネットワークインターフェース部
401:解決策記憶部 402:実施結果報告記憶部
403:解決策検出部 404:解決策送信部
405:実施結果報告受信部 406:保守端末接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10