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特開2024-92878樹脂の分解方法及び樹脂原料の製造方法
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  • 特開-樹脂の分解方法及び樹脂原料の製造方法 図1
  • 特開-樹脂の分解方法及び樹脂原料の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092878
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】樹脂の分解方法及び樹脂原料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/04 20060101AFI20240701BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20240701BHJP
   B09B 3/50 20220101ALI20240701BHJP
【FI】
B29B17/04 ZAB
B09B3/35
B09B3/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209104
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】杉江 信二
(72)【発明者】
【氏名】奥 信介
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
【Fターム(参考)】
4D004AA09
4D004BA06
4D004CA04
4D004CA34
4D004CA43
4D004CB13
4D004CC04
4F401AA27
4F401AB08
4F401AD09
4F401BA06
4F401BA13
4F401CA14
4F401CA53
4F401CA82
4F401CA85
4F401CA88
4F401CB03
(57)【要約】
【課題】樹脂を分解する新たな技術が求められている。
【解決手段】本開示の樹脂の分解方法の一態様は、樹脂の発泡体を含む粉砕物が複数まとめられた集合体に液体を含浸させてから前記集合体が溶媒に投入されてマイクロ波が照射され、前記樹脂が分解される樹脂の分解方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂の発泡体を含む粉砕物が複数まとめられた集合体に液体を含浸させてから前記集合体が溶媒に投入されてマイクロ波が照射され、前記樹脂が分解される樹脂の分解方法。
【請求項2】
粉砕された樹脂の発泡体が溶媒に投入されて分解される樹脂の分解方法であって、
前記発泡体の粉砕物が複数まとめて圧縮されて集合体が形成される圧縮工程と、
前記集合体に液体を含浸させる含浸工程と、
前記液体が含浸した前記集合体が前記溶媒に投入される投入工程と、
前記集合体が投入された前記溶媒にマイクロ波が照射される照射工程と、を有する樹脂の分解方法。
【請求項3】
前記含浸工程では、前記圧縮行程で圧縮されてから膨張するときの前記集合体に液体が付与される請求項2に記載の樹脂の分解方法。
【請求項4】
前記圧縮行程で使用される圧縮機には、前記集合体の通路における排出口に給液路が備えられ、前記給液路から前記集合体に前記液体が付与される請求項3に記載の樹脂の分解方法。
【請求項5】
前記液体は、前記溶媒より誘電率が高い請求項1又は2に記載の樹脂の分解方法。
【請求項6】
前記圧縮行程の前に行われ、前記発泡体が擦り潰されて粉砕される揉砕工程を有する請求項2に記載の樹脂の分解方法。
【請求項7】
樹脂の発泡体を含む粉砕物が複数まとめられた集合体に液体を含浸させてから前記集合体が溶媒に投入されてマイクロ波が照射され、前記樹脂が分解される樹脂原料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂の分解方法と樹脂原料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂製品を分解する様々な技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4282211号(段落[0002]~[0007]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂を分解する新たな技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の一態様は、樹脂の発泡体を含む粉砕物が複数まとめられた集合体に液体を含浸させてから前記集合体が溶媒に投入されてマイクロ波が照射され、前記樹脂が分解される樹脂の分解方法である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】粉砕物がまとめて圧縮されて集合体が形成される圧縮工程を示す図
図2】(A)溶媒に投入された集合体の側面図、(B)集合体が投入された溶媒にマイクロ波が照射される照射工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
本開示の一実施形態に係る樹脂の分解方法及び樹脂原料の製造方法では、樹脂の発泡体を含む粉砕物10(図1参照)が分解される。本実施形態の例では、粉砕物10は、樹脂の発泡体が粉砕されたものである。なお、粉砕物10は、樹脂の発泡体の粉砕物を含んでいればよく、樹脂の発泡体以外のもの(例えば樹脂の非発泡体等)の粉砕物がさらに含まれていてもよい。但し、金属は排除しておく必要がある。
【0008】
粉砕物10を形成するための粉砕は、切断による粉砕(例えば一般的な粉砕機により行われる粉砕)であってもよいし、擦り潰しによる粉砕である揉砕であってもよいし、切断による粉砕の後に揉砕が行われるものであってもよい。なお、揉砕を行う揉砕機は、例えば、筒状のバレル内に、それと同軸に配置されて回転する柱状や棒状等の回転体(例えば押出スクリュー)が備えられ、その回転体の外周面に多数の突起が形成されたものが挙げられる。そして、この揉砕機では、樹脂の発泡体等が、バレル内を、バレルの内周面と回転体の外周面との間で上記突起により擦り潰されながら通過して押し出される。
【0009】
分解される樹脂(本実施形態の例では発泡体を構成する樹脂)としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。また、分解される樹脂の発泡体は、独立気泡構造であってもよいし(例えば、硬質ポリウレタン発泡体等)、連続気泡構造であってもよい(例えば、軟質ポリウレタン発泡体等)。
【0010】
本実施形態の樹脂の分解方法では、樹脂の粉砕物10が溶媒20(図2(A)参照)に投入され、それらに電磁波(本実施形態の例では、マイクロ波)が照射されることで樹脂が分解される。ここで、上述のように、粉砕物10を溶媒20中に配置することで、溶媒20の分子がマイクロ波のエネルギーを吸収して振動、発熱し、それにより溶媒20の温度や圧力を上昇させることができ、粉砕物10の樹脂の分解を促進することが可能となる(より短時間で分解液化させることが可能となる)と考えられる。溶媒20は、分解される樹脂よりも誘電率が高いものであることが好ましい。これは、マイクロ波による分子の振動や発熱作用は、誘電率が高いところの方が優先的に起こると考えられるためである。また、樹脂を粉砕物10とすることで、粉砕しない場合よりも、樹脂の分解の反応速度を促進させることが可能となる。
【0011】
上述の溶媒20(反応促進剤としてのいわゆる分解剤)は、マイクロ波の照射によって活性化されるものであれば限定されない。溶媒20は、例えば、その分子が、OH基、NH基、SH基を化学構造に有する誘電体が好ましい。具体的には、溶媒20としては、例えば、水、アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等)、アミン(一級アミン、二級アミン、ヒドロキシルアミン、ジヒドロキシルアミン、ポリエーテルアミン、ポリアミン等)、ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリオール等が挙げられる。その中でも、溶媒20は、一級アミン、二級アミン、ヒドロキシルアミン、ジヒドロキシルアミン、ポリエーテルアミンであることが好ましい。
【0012】
ここで、樹脂を溶媒20に入れて樹脂の反応速度を効果的に促進するには、分解される樹脂よりも多量の溶媒20が必要となる(例えば倍以上の質量が必要となる)。また、分解物を発泡樹脂原料として再利用する場合、その原料が液状である方が、取り扱い易い。しかしながら、このように溶媒20の量を多くしようとすると、粉砕物10が溶媒20に浮遊し易くなるという問題が生じ、その結果、溶媒20が、粉砕物10に吸収され難くなり、また粉砕物10の全面に行き渡り難くなり、樹脂が分解し難くなるという問題が生じ得る。
【0013】
これに対し、本実施形態の樹脂の分解方法では、粉砕物10が複数まとめられた集合体15が形成されてから、その集合体15が溶媒20中に配置される。このように、溶媒20中に配置されるものを、複数の粉砕物10がまとまった集合体15とすることで、粉砕物10が溶媒20に浮くことを抑制でき、溶媒20中での樹脂の分解を促進することが可能となる。
【0014】
ここで、粉砕物10が発泡体である場合、集合体15が嵩高となる問題が生じ得るが、本実施形態の例では、集合体15が、粉砕物10を複数まとめて圧縮されて形成される。このように、集合体15が、粉砕物10が圧縮されて形成されることで、集合体15が嵩張ることを抑制できる。また、発泡体が独立気泡構造を有する場合でも、この圧縮により気泡を連通させたり潰したりすることが可能となり、集合体15をより嵩張り難くすることが可能となると共に集合体15を溶媒20内でより浮き難くすることが可能となる。さらに、上述のように粉砕物10を揉砕する揉砕工程が行われることで、気泡を連通させたり潰したりすることが可能となり、集合体15をより嵩張り難くすることが可能となると共に集合体15を溶媒20内でより浮き難くすることが可能となる。
【0015】
図1には、粉砕物10が複数まとめて圧縮されて集合体15が形成される圧縮工程の例が示されている。この例では、粉砕物10を圧縮して集合体15として押し出す圧縮機40として、いわゆるブリケッタ(ブリケットマシン)が用いられる。図1に示すように、複数の粉砕物10は、圧縮機40の投入口41から投入され、圧縮されて集合体15になって圧縮機40の排出口42から排出される。集合体15は、例えば、円柱状になって押し出され、自重によって千切れて落下し、下方の回収ボックス43に回収される。
【0016】
ここで、溶媒20に集合体15を投入しても、集合体15内(例えば粉砕物10の間の隙間や気泡等)に溶媒20が十分には吸収されないという問題が生じ得る。これに対し、本実施形態の例では、樹脂の分解を内部から促進するために、集合体15に液体21を含浸させる含浸工程が行われる。
【0017】
液体21は、マイクロ波の照射によって活性化されるものであれば限定されない。液体21は、例えば、その分子が、OH基、NH基、SH基を化学構造に有する誘電体が好ましい。具体的には、液体21としては、例えば、水、アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等)、アミン(一級アミン、二級アミン、ヒドロキシルアミン、ジヒドロキシルアミン、ポリエーテルアミン、ポリアミン等)、ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリオール等が挙げられる。その中でも、液体21は、水、メタノール、エタノールであることが好ましい。液体21は、入手容易性や安全性等の観点から、水であることが特に好ましい。
【0018】
また、上述のように、マイクロ波による分子の振動や発熱作用は、誘電率が高いところの方が優先的に起こると考えられるので、内部からの樹脂の分解を促進するために、液体21は、溶媒20よりも誘電率が高いものであることが好ましい。
【0019】
図1に示す例では、含浸工程において、液体21が集合体15に、集合体15が圧縮機40の排出口42から排出されるところで付与される。ここで、集合体15は、圧縮工程で圧縮されるため排出口42から出てくるときに膨張する。そして、液体21は、この圧縮されてから膨張するときの集合体15に付与される。このように、液体21が、圧縮されてから膨張するときの集合体15に付与されるので、集合体15が既に膨張してその内部の気泡や隙間等に予め空気が満たされている場合に比べて、液体21を集合体15に含浸させ易くすることが可能となる。また、例えば、毛細管現象によって、液体21を集合体15に含浸させ易くすることも可能となる。これらのようにして液体21が集合体15に吸収されることで、液体21を集合体15の内部に保持し易くすることが可能となる。なお、図1に示す例では、液体21が概念的に示されている。
【0020】
なお、例えば、圧縮機40の排出口42に、液体21の供液路45が備えられ、その供液路45から集合体15に液体21が付与されてもよい。図1に示す例では、圧縮機40は、粉砕物10が通過する内部通路の下流側の端部を囲む筒状部46を有し、その筒状部46の末端に上記内部通路の排出口42を備えていて、この筒状部46の外周面に、供液路45が貫通している。例えば、供液路45は、筒状部46の軸方向に延びて排出口42にまでつながるスリット状をなしている。また、例えば、供液路45は、圧縮機40の筒状部46の外周面の複数箇所(例えば、水平方向で対向する2箇所)に設けられていてもよい。さらに、例えば、圧縮機40は、供液路45の開口の大きさ(例えばスリット状の供液路45の幅)を調整可能になっていてもよい。
【0021】
次に、圧縮工程により得られた集合体15が、図2(A)に示す容器30に溜められた溶媒20に投入される投入工程が行われて、集合体15が溶媒20中に配置される。なお、容器30内に集合体15を配置して、その後、溶媒20を容器30に注ぐこともできる。
【0022】
次に、上述のように、集合体15が入れられた溶媒20に、マイクロ波照射装置50内でマイクロ波が照射される照射工程が行われる(図2(B)参照)。これにより、粉砕物10の樹脂が分解されて、一様な分解液22が得られる。そして、分解液22からは、適宜、蒸留等により所望の成分が抽出され、それから樹脂原料が製造される。なお、マイクロ波としては、例えば、波長が300MHz~300GHzのものが照射される。マイクロ波照射装置50は、例えば、電子レンジであってもよい。
【0023】
以上説明した本実施形態の樹脂の分解方法と樹脂原料の製造方法とによれば、樹脂の発泡体を含む粉砕物10が複数まとめられた集合体15に液体21を含浸させてから集合体15が溶媒20に投入されてマイクロ波が照射され、前記樹脂が分解されるという、樹脂を分解する新たな技術が提供される。本実施形態の方法によれば、加熱炉等で加熱して樹脂を分解する方法よりも、時間やエネルギー、コストの低減を図ることが可能となる。また、本実施形態の樹脂原料の製造方法によって、樹脂原料のリサイクルを容易にすることが可能となる。また、圧縮工程で粉砕物10がまとめて圧縮されて集合体15が形成されることで、集合体15の嵩張りを抑制することが可能となると共に、集合体15の見掛け密度を高めることが可能となり集合体15が溶媒20に浮くことを抑制可能となる。さらに、含浸工程において、液体21が、圧縮行程で圧縮されてから膨張するときの集合体15に付与されるので、毛細管現象等により、集合体15内へ液体21をより含浸させ易くすることが可能となる。このように液体21を集合体15に含浸させることで、マイクロ波が照射されたときに、溶媒20中の集合体15を内部から分解させることが可能となる。
【0024】
[確認実験]
上記実施形態の一例としての実施例1,2の樹脂の分解方法と、比較例1の樹脂の分解方法とで、ポリウレタン樹脂の発泡体の粉砕物10を分解し、溶媒20に投入された粉砕物10の分解の速さ(分解液化の速さ)を評価した。分解液化(完全分解による一様な分解液22の形成)が速い程、樹脂の分解が速いことになる。溶媒20として、ポリエーテルアミンを使用した。また、照射工程では、溶媒20に入れた集合体15を、マイクロ波照射装置50としての電子レンジに入れて、マイクロ波を照射した。なお、電子レンジのマイクロ波の波長は、例えば2~4GHzであり、本実験では、一例として例えば2.4GHzの波長のマイクロ波を照射する電子レンジを用いた。
【0025】
1.実施例及び比較例の詳細
<実施例1>
上記実施形態と同様の樹脂の分解方法で、粉砕物10を分解した。即ち、揉砕工程、圧縮機40による圧縮工程、含浸工程、投入工程及び照射工程を行った。含浸工程で粉砕物10の集合体15に含浸させる液体21として、水を使用した。照射工程では、マイクロ波照射装置50として電子レンジを使用した。実施例1,2及び比較例1において、マイクロ波は同一時間、同じ強度で照射された。
【0026】
<実施例2>
実施例1に対して、含浸工程を省略したものが、実施例2の樹脂の分解方法である。
【0027】
<比較例1>
実施例1に対して、圧縮工程と含浸工程を省略したものが、比較例1の樹脂の分解方法である。
【0028】
2.評価結果
実施例1の樹脂の分解方法では、実施例2、比較例1の樹脂の分解方法よりも、一様な分解液22が速く形成された。これは、実施例1では、含浸工程が行われ、集合体15に溶媒20よりも誘電率が高い液体21(水)を含浸させたので、集合体15の内部からも樹脂を分解させ易くなったためと考えられる。また、比較例1の樹脂の分解方法では、一様な分解液22の形成が、最も遅かった。これは、比較例1では、圧縮工程が行われず、粉砕物10を、集合体15の状態にせずにそのまま溶媒20に入れるので、粉砕物10が溶媒20に浮遊し、分解時間がかかったためと考えられる。これに対して、圧縮工程が行われて集合体15が形成された実施例1,2では、粉砕物10が溶媒20に浮くことを抑制でき、一様な分解液22の形成(樹脂の分解)が速くなったと考えられる。
【0029】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、粉砕物10に樹脂の発泡体が含まれていたが、粉砕物10に樹脂の発泡体が含まれていなくてもよく、例えば、この場合、樹脂の非発泡体(例えばゴム等のエラストマー)が含まれていてもよい。
【0030】
(2)上記実施形態において、回収ボックス43に液体21を溜めておいて、圧縮機40から排出された集合体15を(例えば排出された直後の集合体15を)液体21に沈めて、集合体15に液体21を含浸させてもよい。この場合、集合体15への液体21の付与を、圧縮機40の排出口42のところでは行わなくしてもよい。
【0031】
(3)上記実施形態において、照射工程で、マイクロ波以外の電磁波(マイクロ波の波長範囲外の電磁波)が照射されてもよい。
【0032】
[付記]
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0033】
例えば、以下の特徴群は、樹脂の分解方法と樹脂原料の製造方法に関し、「近年、樹脂製品を分解する様々な技術が提供されている(例えば、特許4282211号(段落[0002]~[0007]等)参照)。」という背景技術について、「樹脂を分解する新たな技術が求められている。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。
【0034】
[特徴1]
樹脂の発泡体を含む粉砕物が複数まとめられた集合体に液体を含浸させてから前記集合体が溶媒に投入されてマイクロ波が照射され、前記樹脂が分解される樹脂の分解方法。
【0035】
[特徴2]
粉砕された樹脂の発泡体が溶媒に投入されて分解される樹脂の分解方法であって、
前記発泡体の粉砕物が複数まとめて圧縮されて集合体が形成される圧縮工程と、
前記集合体に液体を含浸させる含浸工程と、
前記液体が含浸した前記集合体が前記溶媒に投入される投入工程と、
前記集合体が投入された前記溶媒にマイクロ波が照射される照射工程と、を有する樹脂の分解方法。
【0036】
[特徴3]
前記含浸工程では、前記圧縮行程で圧縮されてから膨張するときの前記集合体に液体が付与される特徴2に記載の樹脂の分解方法。
【0037】
特徴3では、液体が、圧縮されてから膨張するときの集合体に付与されるので、集合体が既に膨張してその内部の気泡や隙間等に予め空気が満たされている場合に比べて、液体を集合体に含浸させ易くすることが可能となる。また、例えば、毛細管現象により、液体を集合体に含浸させることも可能となる。
【0038】
[特徴4]
前記圧縮行程で使用される圧縮機には、前記集合体の通路における排出口に給液路が備えられ、前記給液路から前記集合体に前記液体が付与される特徴3に記載の樹脂の分解方法。
【0039】
[特徴5]
前記液体は、前記溶媒より誘電率が高い特徴1から4の何れか1の特徴に記載の樹脂の分解方法。
【0040】
[特徴6]
前記圧縮行程の前に行われ、前記発泡体が擦り潰されて粉砕される揉砕工程を有する特徴2から4の何れか1の特徴、又は、特徴2に従属する特徴5に記載の樹脂の分解方法。
【0041】
[特徴7]
樹脂の発泡体を含む粉砕物が複数まとめられた集合体に液体を含浸させてから前記集合体が溶媒に投入されてマイクロ波が照射され、前記樹脂が分解される樹脂原料の製造方法。
【0042】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0043】
10 粉砕物
15 集合体
20 溶媒
21 液体
40 圧縮機
42 排出口
45 供液路
図1
図2