(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092879
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】相撲用まわし
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20240701BHJP
A63B 71/12 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A63B69/00 513A
A63B71/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209105
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】522476646
【氏名又は名称】大越 弘光
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】大越 弘光
(57)【要約】
【課題】 装着が簡易でありながらも、相撲の基本的な技を仕掛けることができる構成でありながらも、更に相撲の技を仕掛ける上での障害とる部位が存在しない相撲用まわしを提供する。
【解決手段】 相撲の競技または練習に使用される相撲用まわしであって、厚さ方向へのクッション性を備えて帯状に形成された横褌部と、当該横褌部の長さ方向中央または中央付近に設けられる前立褌部とからなり、前記前立褌部の基端部は、前記横褌部の内側面であって、幅方向の下端側から1cm以上離れた部分よりも上方に一体化されている相撲用まわしとする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相撲の競技または練習に使用される相撲用まわしであって、
厚さ方向へのクッション性を備えて帯状に形成された横褌部と、
当該横褌部の長さ方向中央または中央付近に設けられる前立褌部とからなり、
前記前立褌部の基端部は、前記横褌部の内側面であって、幅方向の下端側から1cm以上離れた部分よりも上方に一体化されていることを特徴とする相撲用まわし。
【請求項2】
前記帯状に形成された横褌部の両端部は、装着者の背面側で連結されると共に、
前記横褌部の内側面に一体化されている前立褌部の先端側は、前記横褌部の両端部の連結部に一体化されている、請求項1に記載の相撲用まわし。
【請求項3】
前記横褌部と前記前立褌部との間には、手指を挿入可能な隙間が存在し、
前記横褌部と前立褌部は、内側に発泡樹脂または布帛が充填された樹脂製であって、5mm以上の厚さを有し、
横褌部の両端部と前立褌部の先端側とは面ファスナーによって着脱自在に一体化されている、請求項1または2に記載の相撲用まわし。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相撲用まわしに関し、特に簡易に装着できる構造でありながらも、競技や練習に際して前褌を取ることができるようにした相撲用まわしに関する。
【背景技術】
【0002】
相撲は我国古来のスポーツであって、成人から児童までの幅広い愛好者がおり、小学校、中学校の体育の正規授業にも採り入れられている。かかる相撲の競技や練習に際しては、まわしの装着が必要となるが、当該まわしの装着の仕方が難しいという課題も存在する。そこで従前においては、簡易に装着できるまわしも幾つか提案されている。
【0003】
例えば特許文献1(実用新案登録第3124123号)では、初心者にも簡単に相撲のまわしが巻けるように工夫した相撲用のまわしとして、一体となったまわしをバンド形式でマジックテープを利用して身に着けるまわしを提案している。
【0004】
また特許文献2(実用新案登録第3125613号)でも、初心者であっても着脱が簡単な相撲用まわしとして、横褌と立褌とに分かれた部分をボタンで留めて一体化したまわしを腹部と背中でマジックテープ(登録商標)で留めて、腹部はまわしを対戦相手が掴んだ時にマジックテープ(登録商標)がはずれる可能性があるためにさらに横褌はずれ止め補強バンドで補強して従来の相撲用まわしの機能をもたせたまわしを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3124123号公報
【特許文献2】実用新案登録第3125613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、従前においても装着が簡易なまわしは提案されている。しかしながら、前記特許文献1で提案されている相撲用のまわしは、まわし部を腰に巻きマジックテープ(登録商標)で固定し、股の下から尻の後ろに金隠しの下の帯を持っていき腰の帯を通してマジックテープ(登録商標)で固定するものであることから、競技中に前褌を取ることができないという課題があった。この点、前記特許文献2で提案されているまわしは、横褌と立褌とに分かれた部分をボタンで留めて一体化していることから、前褌を取ることができるものとなっている。しかしながら、横褌は、ずれ止め補強バンドでの補強が必要となっており、この補強バンドの存在自体が、相撲の基本と正しい技を習得するのに適切とはいえない。
【0007】
そこで本発明では、装着が簡易でありながらも、相撲の基本的な技を仕掛けることができる構成であり、更に相撲の技を仕掛ける上での障害とる部位が存在しない相撲用まわしを提供することを第1の課題とする。
【0008】
また、小学校や中学校における体育の授業で相撲競技を行う場合には、相撲本来のまわし自体に抵抗を示す生徒も存在する。この為、まわし本来のイメージを払拭できる外観とすることも望ましく、さらに競技時の安全性を高めることも望ましい。そこで本発明では、装着が簡易でありながらも、相撲の基本的な技を仕掛けることができ、そして伝統的なまわしのイメージを払拭しながらも、競技時の安全性を高めた相撲用まわしを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の少なくとも何れかの課題を解決するべく、本発明ではクッション性を有する材料を用いて形成した相撲用まわしを提供する。
【0010】
即ち本発明では、相撲の競技または練習に使用される相撲用まわしであって、厚さ方向へのクッション性を備えて帯状に形成された横褌部と、当該横褌部の長さ方向中央または中央付近に設けられる前立褌部とからなり、前記前立褌部の基端部は、前記横褌部の内側面であって、幅方向の下端側から1cm以上離れた部分よりも上方、望ましくは幅方向の中央部付近に一体化されている相撲用まわしを提供する。
【0011】
かかる本発明の相撲用まわしにおいて、前記帯状に形成された横褌部の両端は、装着者の背面側で連結されると共に、当該横褌部の両端部の連結部に、前記横褌部の内側面に一体化されている前立褌部の先端側を一体化することができる。また帯状に形成された横褌部の何れかの端部と前立褌部の先端側とを一体化して形成し、横褌部の他方の端部を、当該前立褌部の先端側に一体化することもできる。
【0012】
そして本発明の相撲用まわしでは、前記横褌部と前記前立褌部との間には、手指を挿入可能に隙間が形成されている。また前記横褌部と前立褌部は、内側に発泡樹脂または布帛が充填された樹脂製であって、5mm以上、特に10mm以上の厚さで形成するのが望ましい。かかる横褌部の幅は、装着者の体格や年齢に応じて調整することができ、例えば8cm以上、望ましくは10cm以上に形成することができる。また、前記横褌部の両端部と前立褌部の先端側とは、ボタン、ホック、紐、バックルなどの各種連結具を用いて一体化することができ、特に、より簡易な構成でありながらも、競技時の安全性を確保できる連結具、例えば面ファスナーを用いて一体化する事が望ましい。更に、当該横褌部には体形に応じて任意に伸縮する伸縮部を設けることもできる。かかる伸縮部は、ゴムなどの伸縮部材を用いて形成することができ、前記面ファスナーなどの連結部に設けることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る相撲用まわしにおいて、横褌部の長さ方向中央または中央付近に設けられる前立褌部は、その基端部が前記横褌部の内側面であって、幅方向の下端側から1cm以上離れた部分よりも上方に一体化されていることから、横褌部の下方と前立褌部との間には、競技者の手指を差し入れることができる。その結果、前褌を取る技を仕掛ける事のできる相撲用まわしが実現する。特に、前記横褌部は、厚さ方向へのクッション性を備えていることから、伝統的なまわしと同じように、競技者の技術次第で前褌を取ることができる様になっている。
【0014】
そして、前記帯状に形成された横褌部の両端部は、装着者の背面側で連結していることから、当該連結部が競技者の正面に存在することは無くなり、従前におけるまわしと同様に技を仕掛けることが可能となる。そして前記横褌部の内側面に基端側を一体化している前立褌部の先端側を、前記横褌部の両端部の連結部に一体化することにより、装着時の複雑さを無くして、初心者でも簡易に装着できる相撲用まわしが実現する。
【0015】
そして前記横褌部と前立褌部を、内側に発泡樹脂または布帛が充填された樹脂製とすることにより、競技に際して倒れた時のクッションとなると共に、ボクシングや空手などで利用されているファールカップと同様のデザインとなり、まわしに対する装着者の抵抗を減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態にかかる相撲用まわしの(A)部分省略正面図、(B)部分省略背面図である。
【
図2】本実施の形態にかかる相撲用まわしの装着時における(A)X-X方向矢視断面図、(B)前褌を取った時のX-X方向矢視断面図である。
【
図3】本実施の形態にかかる相撲用まわしの(A)部分透視斜正面視図、(B)背面斜視図である。
【
図4】本実施の形態にかかる相撲用まわしの六面図であり、(A)正面図、(B)背面図、(C)平面図、(D)底面図、(E)左側面図、(F)右側面図、(G)G-G矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる相撲用まわし30を具体的に説明する。特に本実施の形態にかかる相撲用まわし30は、相撲競技の練習や試合で使用できるように構成したものであり、小学校や中学校における体育授業の他、相撲の国内大会や国際大会でも装着でき、更に年齢や性別を問わずに装着できるように構成したものである。
【0018】
図1及び
図4に示す様に、この実施の形態にかかる相撲用まわし30は、帯状に形成された横褌部10と、この横褌部10の長さ方向の中央または中央付近に、基端部22aを一体化させた前立褌部20とで構成されている。この前立褌部20は装着者の正面部分を覆う幅広な前袋部分21と、当該前袋部分21から、先窄み状に細くなって延伸する立褌部分22とで構成されており、当該立褌部分22は、装着時において股間を通って背面(臀部)に向かって装着されることになる。
【0019】
特に前記立褌部分22において、装着時に正面側に存在する基端部22aは、前記横褌部10の内側面であって、当該横褌部10の幅方向における下端側から1cm以上離れた部分よりも上方、望ましくは幅方向(装着時の上下幅方向)の中央近傍に一体化する。その結果、装着時において横褌部10と前立褌部20との間に手指を差し込むことができ、これによって前褌10aを取ることができる。この点、仮に横褌部10と前立褌部20との間に隙間Sが存在しなければ、競技者において前褌10aを取ることができず、本来の相撲技をかけることが難しくなってしまう。即ち本実施の形態にかかる相撲用まわし30は、従前における帯状のまわしと同じように相撲技をかける事のできる相撲用まわし30となっている。
【0020】
そして前記横褌部10の長さ方向両端部には、両者を連結する為の横褌端部接合部15を設けており、前記立褌部分22の先端にも、前記横褌部10の背面部分に一体化する為の立褌端部接合部25を設けている。この横褌端部接合部15と立褌端部接合部25とは、本実施の形態では面ファスナーを用いて形成しているが、当該横褌端部接合部15と立褌端部接合部25は、必ずしも同じ連結部材である必要はなく、相互に異なる連結部材を用いることもできる。例えば、横褌端部接合部15または立褌端部接合部25の一方を面ファスナとし、他方を連結紐で形成することもできる。かかる当該連結部材としては面ファスナー、連結紐、ボタン、ホック、バックル等を用いることができる。但し、相撲競技は格闘技であることから、競技者における怪我を生じさせることなく、且つ競技中に脱落する事の無い強固な連結を実現できる連結部材であることが望ましい。また、横褌端部接合部15にはゴムなどの伸縮部材を設け、装着者の体形に沿うように構成することもできる。
【0021】
図2は前記
図1に示した相撲用まわし30の装着時における(A)X-X方向矢視断面図、(B)前褌10aを取った時のX-X方向矢視断面図である。この
図2(A)に示す様に、装着時においては、横褌部10を装着者の腰部に回し、当該横褌部10に固定されている前立褌部20の先端側(即ち立褌部分22)を横褌部10分の背面側(即ち連結部分)に一体化している。そして当該装着状態においては
図2(B)に示す様に、横褌部10と前立褌部20との間には、競技の相手側が手指を差し込むことができる隙間Sを形成することができ、これによって協議の相手側は前褌10aを取ることができる。
【0022】
特に本実施の形態にかかる相撲用まわし30では、横褌部10の厚さを5mm以上、望ましくは7~20mm程度の厚さに形成している。これにより帯状のまわしを装着したのと同じ厚さとなっており、競技者においても特段の違和感を生じることなく前褌10aや横褌を取って、相撲の技をかけることができる。その為に、本実施の形態にかかる相撲用まわし30では、表面が樹脂シートであって、内部に布帛または発泡樹脂を充填して形成している。この様に形成した相撲用まわし30では、相撲競技における技の練習に最適であるばかりか、ボクシングや空手で装着されるファールカップの如き外観となる事から、意匠性も優れた相撲用まわし30とすることができる。更に当該布帛や発泡樹脂を内挿した相撲用まわし30は、十分なクッション性を有していることから、格闘技である相撲競技に際しても、患部を保護することができ、競技者(即ち装着者)の安全を確保することができる。
【0023】
図3は前記した相撲用まわし30の(A)部分透視斜正面視図、(B)背面斜視図である。この済示す様に装着時においては、前記横褌部10の長さ方向両端部と、前記立褌部分22の先端部とは、競技者の背面部分(特に腰部)において一体化されている。本実施の形態では、前記横褌端部接合部15と立褌端部接合部25とを一体化しており、横褌端部接合部15間に立褌端部接合部25を挟み込んで一体化している。但し、これらを異なる位置で一体化することもできる。例えば、横褌部10の先端部同士を一体化した後に、その連結部に前記立褌部分22の端部を一体化することもできる。更に、横褌部10の何れか一方の端部に立褌部分22の端部を一体化した後に、横褌部10の他方の端部を一体化することもできる。
【0024】
但し相撲競技では、寄り切り、上手投げ、小手投げ、下手投げ、あびせ倒し、きめ回し等のように前褌10aや横褌10を取って掛ける技も多数存在し、一方で立褌22を取って掛ける技は少ない。この為、前記横褌端部接合部15、即ち横褌10の長さ方向端部同士の連結部分が確実に連結できるように構成する必要がある。よって、当該横褌端部接合部15を面ファスナーで形成する場合には、面ファスナーにおけるフック側またはループ側を折り返して、他方を挟み込むように固定する事が望ましい。
【0025】
そして前記横褌端部接合部15と立褌端部接合部25とには、その長さを調整できる長さ調整部(即ち、アジャスター)を設けることもできる。装着者における体形は様々であることから、多くの装着者において適正に装着できるようにするためである。特に、小学校や中学校などの体育の授業で使用する場合には、多くの児童(又は生徒)において共用できることから望ましいものとなる。かかる長さ調整部(即ち、アジャスター)は、前記各接合部における接合位置を任意に調整できるように形成する他、連結紐によって形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の相撲用まわし30は、小学生や中学生における体育の授業で実施する相撲において利用できる他、国内競技や国際競技での正式ユニフォームとしても利用することができ、更にはスパッツ等を履いた上から装着することにより、老若男女を問わず装着できる相撲用まわし30として利用可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 横褌部(横褌)
10a 前褌
15 横褌端部接合部
20 前立褌部
21 前袋部分
22 立褌部分(立褌)
22a 基端部
25 立褌端部接合部
S 隙間