(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092889
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】養殖魚用飼料および養殖魚の飼育方法
(51)【国際特許分類】
A23K 50/80 20160101AFI20240701BHJP
A01K 61/10 20170101ALI20240701BHJP
A23K 40/00 20160101ALI20240701BHJP
【FI】
A23K50/80
A01K61/10
A23K40/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022212947
(22)【出願日】2022-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】305011787
【氏名又は名称】睦月電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】睦月 邦年
【テーマコード(参考)】
2B005
2B104
2B150
【Fターム(参考)】
2B005GA01
2B005GA02
2B104AA01
2B104CA01
2B150AA08
2B150AB20
2B150AE01
2B150CD15
2B150CE07
(57)【要約】
【課題】本発明は、ウナギ仔魚をはじめ、養殖魚に与える飼料を淡水や海水の飼育水で浮遊させて養殖魚を効率よく飼育して繁殖させる養殖魚用飼料を提供する。
【解決手段】
水溶液31から得た複数個の微細気泡3が魚餌素材2に形成されている養殖魚用飼料1,11であって、養殖魚用飼料1においては水溶液31から得た複数個の微細気泡3が水溶液31中で魚餌素材2の表面に分布しており、養殖魚用飼料11においては魚餌素材2が複数個でその複数個の魚餌素材2と水溶液31から得た複数個の微細気泡3とが大気中で混在して形成されており、この養殖魚用飼料1、11を養殖魚が遊泳する飼育水に投入して、養殖魚に摂餌させて養殖魚を飼育する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚餌素材でできた養殖魚用飼料であって、水溶液から得た複数個の微細気泡が前記魚餌素材に形成されていることを特徴とする養殖魚用飼料。
【請求項2】
前記複数個の微細気泡が前記水溶液中で前記魚餌素材の表面に分布している養殖魚用飼料であることを特徴とする請求項1に記載の養殖魚用飼料。
【請求項3】
前記魚餌素材は複数個で、その複数個の魚餌素材と前記複数個の微細気泡とが大気中で混在して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の養殖魚用飼料。
【請求項4】
前記複数個の微細気泡が径20nm~100μmのマイクロ・ナノバブルであって、前記養殖魚用飼料の外形が100μm以下の略球状であることを特徴とする請求項1から3の何れかひとつに記載の養殖魚用飼料。
【請求項5】
養殖魚が遊泳する飼育水に、請求項1から4の何れかひとつに記載の養殖魚用飼料を投入して養殖魚に摂餌させて養殖魚を飼育することを特徴とする養殖魚の飼育方法。
【請求項6】
酸素含有もしくはオゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水を前記飼育水に供給して養殖魚を飼育することを特徴とする請求項5に記載の養殖魚の飼育方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウナギ仔魚をはじめ、養殖魚を飼育する養殖魚用飼料および養殖魚の飼育方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飼料を淡水や海水の飼育水に投下して養殖魚に飼料を与えて飼育する際、飼育水中で沈降する過程の飼料を摂餌する養殖魚においては、当該養殖魚が摂餌しきれず沈殿した飼料が腐敗して水中の水が汚染して飼育環境を悪化して十分な養殖魚ができないため、微細中空球状体を含有した飼料を水中に浮遊させることが、特許文献1にて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この特許文献1に記載の微細中空球状体は樹脂系、炭素系、無機系等の素材からなる多孔質体の微細粉末を魚餌素材(特許文献1においてはイカ肝油が例示されている)に混合して用いているので、魚餌素材以外の微細粉末の使用により養殖魚の摂餌が進まないことにならないように配慮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の養殖魚用飼料は、魚餌素材でできた養殖魚用飼料であって、水溶液から得た複数個の微細気泡が前記魚餌素材に形成されていることを特徴とする。請求項2に記載の養殖魚用飼料は、請求項1に記載の養殖魚用飼料において、前記複数個の微細気泡が前記水溶液中で前記魚餌素材の表面に分布している養殖魚用飼料であることを特徴とする。請求項3に記載の養殖魚用飼料は、請求項1に記載の養殖魚用飼料において、前記魚餌素材は複数個で、その複数個の魚餌素材と前記複数個の微細気泡とが大気中で混在して形成されていることを特徴とする。請求項4に記載の養殖魚用飼料は、請求項1から3の何れかひとつに記載の養殖魚用飼料において、前記複数個の微細気泡が径20nm~100μmのマイクロ・ナノバブルであって、前記養殖魚用飼料の外形が100μm以下の略球状であることを特徴とする。請求項5に記載の養殖魚の飼育方法は、養殖魚が遊泳する飼育水に、請求項1から4の何れかひとつに記載の養殖魚用飼料を投入して養殖魚に摂餌させて養殖魚を飼育することを特徴とする。請求項6に記載の養殖魚の飼育方法は、請求項5に記載の養殖魚の飼育方法において、酸素含有もしくはオゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水を前記飼育水に供給して養殖魚を飼育することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の養殖魚用飼料は、樹脂系、炭素系、無機系等の素材からなる多孔質体の微細粉末を混合した微細中空球状体とせずに水溶液から得た微細気泡とし、その微細気泡が魚餌素材に形成されている養殖魚用飼料を飼育水中に浮遊させることにより、ウナギ仔魚をはじめ、養殖魚に養殖魚用飼料を効率よく摂餌させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】微細気泡が魚餌素材に形成されている養殖魚用餌料の断面図を示し、同図(a)は実施形態1の養殖魚用餌料であり、同図(b)は実施形態2の養殖魚用餌料である。
【
図2】養殖魚を飼育する養殖魚の飼育方法における作業の概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本発明の養殖魚用飼料の原理)
本発明の養殖魚用飼料は、魚餌素材でできた養殖魚用飼料であって、水溶液から得た複数個の微細気泡がその魚餌素材に形成されている。
【0009】
(実施形態1の養殖魚用餌料)
図1(a)は、水溶液から得た複数個の微細気泡がその魚餌素材に形成されている養殖魚用飼料の実施形態1を示し、養殖魚用飼料1においては水溶液31から得た複数個の微細気泡3がその水溶液31中で魚餌素材2の表面に分布している。このように水溶液31から得た複数個の微細気泡3がその水溶液31中で魚餌素材2の表面に分布しているのは、魚餌素材2の電荷がプラスであり、水溶液31中の微細気泡3の電荷がマイナスであることにより、微細気泡3が存在する水溶液31中に魚餌素材2を投入すると、魚餌素材2のプラス電荷と微細気泡3のマイナス電荷との接触により魚餌素材2と微細気泡3とが静電気作用で結合されることにもとづく。
【0010】
(実施形態2の養殖魚用餌料)
図1(b)は、水溶液から得た複数個の微細気泡がその魚餌素材に形成されている養殖魚用飼料の実施形態2を示し、養殖魚用飼料11においては複数個の魚餌素材21と複数個の微細気泡3とが大気中で混在して形成されており、図示するように、この養殖魚用飼料11においては複数個の微細気泡3の大半が表面に露出しておらず内部に微細気泡3を有する。
【0011】
(魚餌素材)
魚餌素材2、21は、大豆、鶏卵の卵黄、サメ卵、ミジンコ、オキアミ、ワムシ、小魚をそれぞれ単独またはこれらの中から2つ以上混合してすりつぶしペースト状に加工し固化させ、その固化物を粉砕して粒状や粉末状にしてできている。この場合、魚餌素材2においては、粒状であり、さらに球形状に加工し、その魚餌素材2の表面に複数個の微細気泡3が分布した養殖魚用飼料1を球形状に形成することにより、ウナギの仔魚が摂餌しやすくした養殖魚用飼料1が提供できる。また、魚餌素材21においては、微細な粒状であってもよいが、粉末状を採用することにより、複数個の魚餌素材21と複数個の微細気泡3とを混在しやすくして養殖魚用飼料11を得て、その養殖魚用飼料11においても養殖魚用飼料1と同様に球形状にすることにより、ウナギの仔魚が摂餌しやすくした養殖魚用飼料11が提供できる。
【0012】
(微細気泡)
実施形態1の養殖魚用飼料1および実施形態2の養殖魚用飼料11における水溶液31から得た微細気泡3は、例えば、水溶液31に水撃方式のマイクロ・ナノバブルの発生装置(特許第5555892号参照)を適用してマイクロ・ナノバブルとなって得られる。このマイクロ・ナノバブルとなった微細気泡3の径が20nm~100μmとすることにより、養殖魚用飼料1、11の外形を小さくして例えば、100μm以下にしてウナギの仔魚の飼育に適用できる。
【0013】
(養殖魚の飼育方法)
図2は、養殖魚を飼育する作業の概念図を示し、ウナギ仔魚をはじめとする養殖魚Aは淡水、海水の飼育水5のある生け簀や水槽の貯水部4内にて遊泳しており、実施形態1の養殖魚用餌料1または実施形態2の養殖魚用餌料11を摂餌させて養殖魚Aを飼育する。
【0014】
図2において、養殖魚用餌料1、11が貯蔵されている養殖魚用餌料供給部6は開閉バブル71を有する飼料投入ポンプ7に接続されており、詳細な構成は図示しないが、養殖魚用餌料供給部6および飼料投入ポンプ7は移送装置8に設けられている。養殖魚用餌料1、11は開閉バブル71を開くことにより養殖魚用餌料供給部6から貯水部4の飼育水5に投入される。この養殖魚用餌料供給部6は
図2において右端に配置されており、開閉バブル71を開いた状態で移送装置8により養殖魚用餌料供給部6を左端方向に移送させると、養殖魚用餌料1、11が養殖魚用餌料供給部6から順次、貯水部4に投入されて、貯水部4内にて遊泳している養殖魚Aがその養殖魚用餌料1、11を摂餌することができ、しかも、養殖魚用餌料1、11は微細気泡3の存在により飼育水5中で浮遊しているので、養殖魚Aが摂餌しやすくなり、養殖魚Aを効率よく飼育して繁殖させることができる。
【0015】
このように、養殖魚用餌料供給部6から貯水部4の飼育水5に投入された養殖魚用餌料1、11を養殖魚Aが摂餌させるようにして養殖魚Aを飼育する過程で、養殖魚Aの糞などにより飼育水5において酸素が欠乏したり雑菌が発生したりして養殖魚Aの飼育に支障をもたらす。そこで、図示しないが、貯水部4の飼育水5に酸素含有もしくはオゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水を供給することにより、飼育水5の酸素不足や雑菌による汚染を解消して浄化し、飼育水5の交換作業や養殖魚Aの移し替え作業の回数を軽減することができる。この酸素含有の微細気泡水からなる飼育活性水およびオゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水としては、それぞれ、株式会社シグマテクノロジーが提供しているシグマ酸素水(登録商標)およびシグマオゾン水(登録商標)を使用することにより得られる。
【0016】
(動く養殖魚用餌料)
図2において、養殖魚用餌料供給部6から養殖魚用餌料1、11を貯水部4の飼育水5に投入させながら養殖魚用餌料供給部6移送させる操作により養殖魚用餌料1、11を貯水部4の飼育水5順次投入すると、魚餌素材2、21に形成されている複数個の微細気泡3により養殖魚用餌料1、11は飼育水5中で浮遊状態になるとともに、養殖魚用餌料1、11は投入過程で飼育水5の表面から水中に少し入り込もうと動きながら浮遊するので、養殖魚Aはその動いている養殖魚用餌料1、11を進んで摂餌することになる。
【0017】
また、
図2において、養殖魚用餌料供給部6を移送させながらまたは移送を停止した状態で、この貯水部4の飼育水5にマイクロバブル水を供給すると、そのマイクロバブル水のマイクロバブルは時間が経つとナノバブルに比し破裂して消滅しやすいので、養殖魚用餌料供給部6の移送が停止した状態であっても、その破裂により浮遊している養殖魚用餌料1、11が動き、養殖魚Aはその動いている養殖魚用餌料1、11を進んで摂餌することになる。
【0018】
(養殖魚用餌料の選定)
本発明の魚餌素材2、21に水溶液から得た複数個の微細気泡3が形成されている養殖魚用飼料1、11は飼育水5において浮遊状態となり、浮遊状態の養殖魚用飼料1、11を摂餌する養殖魚Aとしてはウナギ、アナゴ、鮭、サンマ、メダカなどを例示できるが、アンコウ、キンメダイ、ヒラメなどの仔魚においても浮遊状態の養殖魚用飼料1、11を摂飼するので、これら養殖魚Aの仔魚の飼育に有用である。
【0019】
本発明の養殖魚用飼料1、11は飼育水5において浮遊状態となるので、ウナギをはじめ、アナゴの養殖魚Aの仔魚に対しては、外形を小さくした養殖魚用飼料1、11を選定し、ウナギの仔魚(レプトセファルズ)からシラスウナギ、そしてウナギの成魚へと成長する過程のように養殖魚Aの仔魚が成魚に成長する過程で、外形を大きくした養殖魚用飼料1、11を選定する。このように、養殖魚用飼料1、11を選定することにより、ウナギ仔魚をはじめ、養殖魚Aを効率よく飼育することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の養殖魚用飼料1、11が飼育水5において浮遊状態となっているので、魚に限らず稚エビにも有用である。
【符号の説明】
【0021】
1、11 養殖魚用飼料
2、21 魚餌素材
3 微細気泡
31 水溶液
4 貯水部
5 飼育水
6 養殖魚用餌料供給部
7 飼料投入ポンプ
8 移送装置
A 養殖魚
【手続補正書】
【提出日】2023-03-10
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
飼料を淡水や海水の飼育水に投下して養殖魚に飼料を与えて飼育する際、飼育水中で沈降する過程の飼料を摂餌する養殖魚においては、当該養殖魚が摂餌しきれず沈殿した飼料が腐敗して水中の水が汚染して飼育環境を悪化して養殖魚に十分に飼料を与えて飼育することができないため、微細中空球状体を含有した飼料を水中に浮遊させることが、特許文献1にて開示されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚餌素材と複数個の微細気泡とからなる養殖魚用飼料であって、前記複数個の微細気泡が得られる水溶液中で前記魚餌素材の表面に前記複数個の微細気泡が静電気作用により結合して分布していることを特徴とする養殖魚用飼料。
【請求項2】
前記微細気泡が径20nm~100μmのマイクロ・ナノバブルであることを特徴とする請求項1に記載の養殖魚用飼料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の養殖魚用飼料を養殖魚が遊泳している飼育水に投入して養殖魚に摂餌させて養殖魚を飼育することを特徴とする養殖魚の飼育方法。
【請求項4】
前記飼育水にマイクロバブル水を供給して養殖魚を飼育することを特徴とする請求項3に記載の養殖魚の飼育方法。
【請求項5】
前記飼育水に酸素含有の微細気泡水からなる飼育活性水を供給して養殖魚を飼育することを特徴とする請求項3に記載の養殖魚の飼育方法。
【請求項6】
前記飼育水にオゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水を供給して養殖魚を飼育することを特徴とする請求項3に記載の養殖魚の飼育方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウナギ仔魚をはじめ、養殖魚を飼育する養殖魚用飼料および養殖魚の飼育方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飼料を淡水や海水の飼育水に投下して養殖魚に飼料を与えて飼育する際、飼育水中で沈降する過程の飼料を摂餌する養殖魚においては、当該養殖魚が摂餌しきれず沈殿した飼料が腐敗して水中の水が汚染して飼育環境を悪化して十分な養殖魚ができないため、微細中空球状体を含有した飼料を水中に浮遊させることが、特許文献1にて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この特許文献1に記載の微細中空球状体は樹脂系、炭素系、無機系等の素材からなる多孔質体の微細粉末を魚餌素材(特許文献1においてはイカ肝油が例示されている)に混合して用いているので、魚餌素材以外の微細粉末の使用により養殖魚の摂餌が進まないことにならないように配慮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の養殖魚用飼料は、魚餌素材と複数個の微細気泡とからなる養殖魚用飼料であって、前記複数個の微細気泡が得られる水溶液中で前記魚餌素材の表面に前記複数個の微細気泡が静電気作用により結合して分布していることを特徴とする。請求項2に記載の養殖魚用飼料は、請求項1に記載の養殖魚用飼料において、前記複数個の微細気泡が径20nm~100μmのマイクロ・ナノバブルであることを特徴とする。請求項3に記載の養殖魚の飼育方法は、請求項1または2に記載の養殖魚用飼料を養殖魚が遊泳している飼育水に投入して養殖魚に摂餌させて養殖魚を飼育することを特徴とする。請求項4に記載の養殖魚の飼育方法は、請求項3に記載の養殖魚の飼育方法において、前記飼育水にマイクロバブル水を供給して養殖魚を飼育することを特徴とする。請求項5に記載の養殖魚の飼育方法は、請求項3に記載の養殖魚の飼育方法において、酸素含有の微細気泡水からなる飼育活性水を前記飼育水に供給して養殖魚を飼育することを特徴とする。請求項6に記載の養殖魚の飼育方法は、請求項3に記載の養殖魚の飼育方法において、オゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水を前記飼育水に供給して養殖魚を飼育することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の養殖魚用飼料は、樹脂系、炭素系、無機系等の素材からなる多孔質体の微細粉末を混合した微細中空球状体とせずに水溶液中で前記魚餌素材の表面に前記複数個の微細気泡が静電気作用により結合して分布している魚餌素材と複数個の微細気泡とからなる養殖魚用飼料であって、その養殖魚用飼料を飼育水中に浮遊させることにより、ウナギ仔魚をはじめ、養殖魚に養殖魚用飼料を効率よく摂餌させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図面の簡単な説明】
【
図1】微細気泡が魚餌素材に形成されている養殖魚用
飼料の断面図を示し、同図(a)は実施形態1の養殖魚用
飼料であり、同図(b)は実施形態2の養殖魚用
飼料である。
【
図2】養殖魚を飼育する養殖魚の飼育方法における作業の概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本発明の養殖魚用飼料の原理)
本発明の養殖魚用飼料は、魚餌素材でできた養殖魚用飼料であって、水溶液から得た複数個の微細気泡がその魚餌素材に形成されている。
【0009】
(実施形態1の養殖魚用
飼料)
図1(a)は、水溶液から得た複数個の微細気泡がその魚餌素材に形成されている養殖魚用飼料の実施形態1を示し、養殖魚用飼料1においては水溶液31から得た複数個の微細気泡3がその水溶液31中で魚餌素材2の表面に分布している。このように水溶液31から得た複数個の微細気泡3がその水溶液31中で魚餌素材2の表面に分布しているのは、魚餌素材2の電荷がプラスであり、水溶液31中の微細気泡3の電荷がマイナスであることにより、微細気泡3が存在する水溶液31中に魚餌素材2を投入すると、魚餌素材2のプラス電荷と微細気泡3のマイナス電荷との接触により魚餌素材2と微細気泡3とが静電気作用で結合されることにもとづく。
【0010】
(実施形態2の養殖魚用
飼料)
図1(b)は、水溶液から得た複数個の微細気泡がその魚餌素材に形成されている養殖魚用飼料の実施形態2を示し、養殖魚用飼料11においては複数個の魚餌素材21と複数個の微細気泡3とが大気中で混在して形成されており、図示するように、この養殖魚用飼料11においては複数個の微細気泡3の大半が表面に露出しておらず内部に微細気泡3を有する。
【0011】
(魚餌素材)
魚餌素材2、21は、大豆、鶏卵の卵黄、サメ卵、ミジンコ、オキアミ、ワムシ、小魚をそれぞれ単独またはこれらの中から2つ以上混合してすりつぶしペースト状に加工し固化させ、その固化物を粉砕して粒状や粉末状にしてできている。この場合、魚餌素材2においては、粒状であり、さらに球形状に加工し、その魚餌素材2の表面に複数個の微細気泡3が分布した養殖魚用飼料1を球形状に形成することにより、ウナギの仔魚が摂餌しやすくした養殖魚用飼料1が提供できる。また、魚餌素材21においては、微細な粒状であってもよいが、粉末状を採用することにより、複数個の魚餌素材21と複数個の微細気泡3とを混在しやすくして養殖魚用飼料11を得て、その養殖魚用飼料11においても養殖魚用飼料1と同様に球形状にすることにより、ウナギの仔魚が摂餌しやすくした養殖魚用飼料11が提供できる。
【0012】
(微細気泡)
実施形態1の養殖魚用飼料1および実施形態2の養殖魚用飼料11における水溶液31から得た微細気泡3は、例えば、水溶液31に水撃方式のマイクロ・ナノバブルの発生装置(特許第5555892号参照)を適用してマイクロ・ナノバブルとなって得られる。このマイクロ・ナノバブルとなった微細気泡3の径が20nm~100μmとすることにより、養殖魚用飼料1、11の外形を小さくして例えば、100μm以下にしてウナギの仔魚の飼育に適用できる。
【0013】
(養殖魚の飼育方法)
図2は、養殖魚を飼育する作業の概念図を示し、ウナギ仔魚をはじめとする養殖魚Aは淡水、海水の飼育水5のある生け簀や水槽の貯水部4内にて遊泳しており、実施形態1の養殖魚用
飼料1または実施形態2の養殖魚用
飼料11を摂餌させて養殖魚Aを飼育する。
【0014】
図2において、養殖魚用
飼料1、11が貯蔵されている養殖魚用
飼料供給部6は開閉バブル71を有する飼料投入ポンプ7に接続されており、詳細な構成は図示しないが、養殖魚用
飼料供給部6および飼料投入ポンプ7は移送装置8に設けられている。養殖魚用
飼料1、11は開閉バブル71を開くことにより養殖魚用
飼料供給部6から貯水部4の飼育水5に投入される。この養殖魚用
飼料供給部6は
図2において右端に配置されており、開閉バブル71を開いた状態で移送装置8により養殖魚用
飼料供給部6を左端方向に移送させると、養殖魚用
飼料1、11が養殖魚用
飼料供給部6から順次、貯水部4に投入されて、貯水部4内にて遊泳している養殖魚Aがその養殖魚用
飼料1、11を摂餌することができ、しかも、養殖魚用
飼料1、11は微細気泡3の存在により飼育水5中で浮遊しているので、養殖魚Aが摂餌しやすくなり、養殖魚Aを効率よく飼育して繁殖させることができる。
【0015】
このように、養殖魚用飼料供給部6から貯水部4の飼育水5に投入された養殖魚用飼料1、11を養殖魚Aが摂餌させるようにして養殖魚Aを飼育する過程で、養殖魚Aの糞などにより飼育水5において酸素が欠乏したり雑菌が発生したりして養殖魚Aの飼育に支障をもたらす。そこで、図示しないが、貯水部4の飼育水5に酸素含有もしくはオゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水を供給することにより、飼育水5の酸素不足や雑菌による汚染を解消して浄化し、飼育水5の交換作業や養殖魚Aの移し替え作業の回数を軽減することができる。この酸素含有の微細気泡水からなる飼育活性水およびオゾン含有の微細気泡水からなる飼育活性水としては、それぞれ、株式会社シグマテクノロジーが提供しているシグマ酸素水(登録商標)およびシグマオゾン水(登録商標)を使用することにより得られる。
【0016】
(動く養殖魚用
飼料)
図2において、養殖魚用
飼料供給部6から養殖魚用
飼料1、11を貯水部4の飼育水5に投入させながら養殖魚用
飼料供給部6移送させる操作により養殖魚用
飼料1、11を貯水部4の飼育水5順次投入すると、魚餌素材2、21に形成されている複数個の微細気泡3により養殖魚用
飼料1、11は飼育水5中で浮遊状態になるとともに、養殖魚用
飼料1、11は投入過程で飼育水5の表面から水中に少し入り込もうと動きながら浮遊するので、養殖魚Aはその動いている養殖魚用
飼料1、11を進んで摂餌することになる。
【0017】
また、
図2において、養殖魚用
飼料供給部6を移送させながらまたは移送を停止した状態で、この貯水部4の飼育水5にマイクロバブル水を供給すると、そのマイクロバブル水のマイクロバブルは時間が経つとナノバブルに比し破裂して消滅しやすいので、養殖魚用
飼料供給部6の移送が停止した状態であっても、その破裂により浮遊している養殖魚用
飼料1、11が動き、養殖魚Aはその動いている養殖魚用
飼料1、11を進んで摂餌することになる。
【0018】
(養殖魚用飼料の選定)
本発明の魚餌素材2、21に水溶液から得た複数個の微細気泡3が形成されている養殖魚用飼料1、11は飼育水5において浮遊状態となり、浮遊状態の養殖魚用飼料1、11を摂餌する養殖魚Aとしてはウナギ、アナゴ、鮭、サンマ、メダカなどを例示できるが、アンコウ、キンメダイ、ヒラメなどの仔魚においても浮遊状態の養殖魚用飼料1、11を摂餌するので、これら養殖魚Aの仔魚の飼育に有用である。
【0019】
本発明の養殖魚用飼料1、11は飼育水5において浮遊状態となるので、ウナギをはじめ、アナゴの養殖魚Aの仔魚に対しては、外形を小さくした養殖魚用飼料1、11を選定し、ウナギの仔魚(レプトセファルズ)からシラスウナギ、そしてウナギの成魚へと成長する過程のように養殖魚Aの仔魚が成魚に成長する過程で、外形を大きくした養殖魚用飼料1、11を選定する。このように、養殖魚用飼料1、11を選定することにより、ウナギ仔魚をはじめ、養殖魚Aを効率よく飼育することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の養殖魚用飼料1、11が飼育水5において浮遊状態となっているので、魚に限らず稚エビにも有用である。
【符号の説明】
【0021】
1、11 養殖魚用飼料
2、21 魚餌素材
3 微細気泡
31 水溶液
4 貯水部
5 飼育水
6 養殖魚用飼料供給部
7 飼料投入ポンプ
8 移送装置
A 養殖魚