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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000929
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/4097 20060101AFI20231226BHJP
   G11C 5/02 20060101ALI20231226BHJP
   G11C 7/18 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G11C11/4097
G11C5/02 100
G11C7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099933
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 剛士
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆行
【テーマコード(参考)】
5M024
【Fターム(参考)】
5M024AA63
5M024BB13
5M024CC53
5M024CC63
5M024LL04
5M024LL05
5M024LL11
5M024PP03
5M024PP05
5M024PP07
(57)【要約】
【課題】立体型メモリセルアレイからのデータを正確に検出可能なメモリを提供する。
【解決手段】メモリは第1面内に配列されたメモリセルを含む複数の第1セル層と第2面内に配列されたダミーセルを含む第2セル層とを備える。第1配線は第1面内で第1方向に配列されたメモリセルに接続される。第2配線は第2面内で第1方向に配列されたダミーセルに接続される。第3配線が第1および第2セル層が積層される第2方向に配列されたメモリセルとダミーセルに接続される。第4配線が第1および第2方向に交差する第3方向に配列された第3配線に接続される。データ読出しでは選択セルに接続された選択第1配線に第1電圧を印加して選択セルに接続された選択第4配線に読出し電圧を伝達する。選択第4配線以外の非選択第4配線に参照電圧を伝達する。非選択第4配線との間に第2セルが設けられている選択第2配線に第2電圧を印加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルとして用いられ第1面内に配列された複数の第1セルを含む複数の第1セル層と、
メモリセルとしては用いられず第2面内に配列された複数の第2セルを含み、前記第1セル層に積層された少なくとも1つの第2セル層と、
前記第1面内で第1方向に配列された複数の前記第1セルに接続された複数の第1配線と、
前記第2面内で前記第1方向に配列された複数の前記第2セルに接続された複数の第2配線と、
前記第1および第2セル層が積層される第2方向に配列された前記第1セルと前記第2セルに接続された複数の第3配線と、
前記第1および第2方向に交差する第3方向に配列された複数の前記第3配線に接続された複数の第4配線と、
制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記複数の第1セルから選択された選択セルからデータを読み出すときに、前記複数の第1配線のうち前記選択セルに接続された選択第1配線に第1電圧を印加して、前記複数の第4配線のうち前記選択セルに接続された選択第4配線に前記データに応じた読出し電圧を伝達し、
前記複数の第4配線のうち前記選択第4配線以外の非選択第4配線に前記読出し電圧の検出の基準となる参照電圧を伝達し、
前記複数の第2配線のうち、前記非選択第4配線との間に前記第2セルが設けられている選択第2配線に第2電圧を印加する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2電圧は前記第1電圧と同じ極性である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の第2配線のうち1本の前記選択第2配線に前記第2電圧を印加し、
前記第1電圧および前記第2電圧は略等しい、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数の第2配線のうちn本(nは2以上の整数)の前記選択第2配線に前記第2電圧を印加し、
前記第2電圧は前記第1電圧の略n分の1の電圧である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2セル層内の全ての前記第2配線に前記第2電圧を印加する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
複数の前記第2セル層を備える、請求項1または請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2セル層は、複数の前記第1セル層の間に配置されている、請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2電圧は、前記読出し電圧の検出よりも前に印加される、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記選択第4配線および前記非選択第4配線は、前記第1方向に隣り合っている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記選択第4配線および前記非選択第4配線は、前記第3方向に隣接している、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルを立体的に配列したDRAM(Dynamic Random Access Memory)が開発されている。DRAMでは、メモリセルからのデータに応じた電圧と参照信号とを比較してデータの論理を検出する。
【0003】
立体的なメモリセルアレイにおいて、メモリセルからのデータを検出することが困難になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-046514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立体型メモリセルアレイからのデータを正確に検出することができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の半導体記憶装置は、メモリセルとして用いられ第1面内に配列された複数の第1セルを含む複数の第1セル層と、メモリセルとしては用いられず第2面内に配列された複数の第2セルを含み、第1セル層に積層された少なくとも1つの第2セル層とを備える。複数の第1配線が、第1面内で第1方向に配列された複数の第1セルに接続されている。複数の第2配線が、第2面内で第1方向に配列された複数の第2セルに接続されている。複数の第3配線が、第1および第2セル層が積層される第2方向に配列された第1セルと第2セルに接続されている。複数の第4配線が、第1および第2方向に交差する第3方向に配列された複数の第3配線に接続されている。制御回路は、複数の第1セルから選択された選択セルからデータを読み出すときに、複数の第1配線のうち選択セルに接続された選択第1配線に第1電圧を印加して、複数の第4配線のうち選択セルに接続された選択第4配線にデータに応じた読出し電圧を伝達する。複数の第4配線のうち選択第4配線以外の非選択第4配線に読出し電圧の検出の基準となる参照電圧を伝達する。複数の第2配線のうち非選択第4配線との間に第2セルが設けられている選択第2配線に第2電圧を印加する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による半導体記憶装置の構成例を示す概略斜視図。
図2】1つのビット線とその周囲の構成を示す概略斜視図。
図3】メモリセルアレイの構成例を示す概略平面図。
図4】メモリセルアレイの構成例を示す概略側面図。
図5】メモリセルアレイの構成例を示す概略正面図。
図6】読出し動作における選択ワード線および選択ビット線の電圧を示すグラフ。
図7】選択メモリセルのデータとビット線等の電圧との関係を示す表。
図8】データ読出し動作におけるメモリセルアレイの各層の状態を示す概略平面図。
図9】データ読出し動作におけるメモリセルアレイの各層の状態を示す概略平面図。
図10】データ読出し動作におけるメモリセルアレイの各層の状態を示す概略平面図。
図11】ワード線ドライバの構成例を示す回路図。
図12】選択ワード電圧とダミー電圧との関係を示すグラフ。
図13】第2実施形態によるデータ読出し動作におけるダミーセル層の状態を示す概略平面図。
図14】第3実施形態によるデータ読出し動作におけるダミーセル層の状態を示す概略平面図。
図15】第3実施形態によるデータ読出し動作における選択メモリセル層の状態を示す概略平面図。
図16】第3実施形態によるデータ読出し動作におけるダミーセル層の状態を示す概略平面図。
図17】第3実施形態によるワード線ドライバの構成例を示す回路図。
図18】第4実施形態によるダミーセル層の構成例を示す概略図。
図19】第5実施形態によるメモリセルアレイの構成例を示す図。
図20】第6実施形態によるメモリセルアレイの構成例を示す概略平面図。
図21】第6実施形態によるメモリセルアレイの構成例を示す概略側面図。
図22】第7実施形態による半導体記憶装置の構成例を示す概略斜視図。
図23】第7実施形態によるメモリセルアレイの構成例を示す概略平面図。
図24】第7実施形態によるメモリセルアレイの構成例を示す概略側面図
図25】メモリセルアレイの構成例を示す概略正面図。
図26】複数のメモリセルアレイの構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体記憶装置1の構成例を示す概略斜視図である。本実施形態の半導体記憶装置1は、例えば、メモリセルMCおよびダミーセルDMCが三次元的(立体的)に配列された立体型のメモリセルアレイMCAを備えたDRAMである。メモリセルMCは、1ビットデータまたはマルチビットデータを格納するメモリセルとして用いられる。ダミーセルDMCは、メモリセルMCと同じ構成を有するが、データを格納せずメモリセルとしては用いられない。
【0010】
複数のメモリセルMCは、X-Y面内において平面的に行列状に配列されており、1つのメモリセル層LYRを構成している。また、複数のメモリセル層LYRがZ方向に積層される。メモリセルアレイMCAにおいて、複数のメモリセル層LYRは、互いに略平行に積層されている。これにより、複数のメモリセルMCは、立体的に配列される。
【0011】
複数のダミーセルDMCも、X-Y面内において平面的に行列状に配列されており、1つのダミーセル層DLYRを構成している。ダミーセル層DLYRは、メモリセルアレイMCAにおいて、積層された複数のメモリセル層LYRの上層、下層あるいは中間層に、Z方向に積層されている。ダミーセル層DLYRは、メモリセル層LYRに対して略平行に積層されている。ダミーセル層DLYRは、1つのメモリセルアレイMCAに対して少なくとも1層設けられていればよい。第1実施形態では、1つのダミーセル層DLYRがメモリセルアレイMCAに設けられている。
【0012】
本実施形態による半導体記憶装置1は、メモリセルアレイMCAと、複数のワード線WLと、複数のダミーワード線DWLと、複数のビット線VBLと、複数のグローバルビット線GBLと、複数のビット線選択トランジスタTblsと、複数のメモリセル層選択トランジスタTlys、bTlysと、複数のダミーセル層選択トランジスタDTlys、bDTlysとを備えている。
【0013】
複数のワード線WLは、メモリセル層LYRの面内において、X方向に延伸しており、X方向に配列された複数のメモリセルMCに接続されている。メモリセル層LYR内において、複数のワード線WLは、Y方向に配列されている。複数のワード線WLの一端は、メモリセル層選択トランジスタTlysを介して、図示しないワード線ドライバに接続されている。複数のワード線WLの他端は、メモリセル層選択トランジスタbTlysを介して、ワード線WLの非選択電圧源VUWに接続されている。ワード線WLは、各メモリセル層LYRにおいて同様に構成されている。
【0014】
複数のダミーワード線DWLは、ダミーセル層DLYRの面内において、X方向に延伸しており、X方向に配列された複数のダミーセルDMCに接続されている。ダミーセル層DLYR内において、複数のダミーワード線DWLは、Y方向に配列されている。複数のダミーワード線DWLの一端は、ダミーセル層選択トランジスタDTlysを介して、図示しないダミーワード線ドライバに接続されている。複数のダミーワード線DWLの他端は、ダミーセル層選択トランジスタbDTlysを介して、非選択電圧源VUWに接続されている。
【0015】
層選択ワード線MWLは、メモリセル層選択トランジスタTlysのゲートに接続されており、メモリセル層LYRの選択時にメモリセル層選択トランジスタTlysを導通状態にする。層選択ワード線bMWLは、メモリセル層選択トランジスタbTlysのゲートに接続されており、メモリセル層LYRの選択時にメモリセル層選択トランジスタbTlysを非導通状態にする。層選択ワード線bMWLは、層選択ワード線MWLに対して逆相(逆論理)の信号を伝達する。よって、メモリセル層選択トランジスタTlys、bTlysの一方が導通状態のときには他方は非導通状態となる。
【0016】
ダミー層選択ワード線DMWLは、ダミーセル層選択トランジスタDTlysのゲートに接続されており、ダミーメモリセル層DLYRの選択時にダミーセル層選択トランジスタDTlysを導通状態にする。ダミー層選択ワード線bDMWLは、ダミーセル層選択トランジスタbDTlysのゲートに接続されており、ダミーメモリセル層DLYRの選択時にダミーセル層選択トランジスタbDTlysを非導通状態にする。ダミー層選択ワード線bDMWLは、ダミー層選択ワード線DMWLに対して逆相(逆論理)の信号を伝達する。よって、ダミーセル層選択トランジスタDTlys、bDTlysの一方が導通状態のときには他方は非導通状態となる。尚、本実施形態では、ダミーセル層DLYRが1層のみであるので、ダミーセル層DLYRは、読出し動作において常に選択状態となる。以下、メモリセル層選択トランジスタbTlys、bTlys、ダミーセル層選択トランジスタDTlys、bDTlysは、単に、層選択トランジスタと呼ぶ場合がある。
【0017】
複数のビット線VBLは、複数のメモリセル層LYRおよび少なくとも1つのダミーセル層DLYRの積層方向(Z方向)に延伸しており、Z方向に配列された複数のメモリセルMCおよび少なくとも1つのダミーセルDMCに接続されている。Z方向に配列された複数のメモリセルMCおよび少なくとも1つのダミーセルDMCは、共通のビット線VBLに接続されており、メモリストリングを構成する。複数のビット線VBLは、Z方向から見た平面視において、メモリセル層LYR内のメモリセルMCに対応してX-Y方向に行列状に二次元配列されている。複数のビット線VBLの一端は、ビット線選択トランジスタTblsを介してグローバルビット線GBLに接続されている。
【0018】
複数のグローバルビット線GBLは、X-Y面内において、Y方向に延伸しており、Y方向に配列された複数のビット線VBLの一端にビット線選択トランジスタTblsを介して接続されている。Y方向に配列された複数のビット線VBLは、共通のグローバルビット線GBLに接続されている。複数のグローバルビット線GBLは、X方向に配列されている。複数のグローバルビット線GBLの一端は、センスアンプSAに接続されている。グローバルビット線GBLは、メモリセルアレイMCA内の複数のメモリセル層LYRおよびダミーセル層DLYRに対して共通に設けられている。
【0019】
センスアンプSAは、選択されたグローバルビット線GBLを介して選択メモリセルMCに格納されたデータに応じた読出し電圧を受け取り、非選択のグローバルビット線GBLから参照信号に応じた参照電圧を受け取る。さらに、センスアンプSAは、読出し電圧と参照電圧とを比較してそれらの電圧差を増幅することによって、データの論理を検出する。
【0020】
図2は、1つのビット線VBLとその周囲の構成を示す概略斜視図である。各メモリセルMCは、セルトランジスタTmcと、セルキャパシタCmcとを含む。セルトランジスタTmcのゲートは、いずれかのワード線WLに接続されている。セルトランジスタTmcのソースおよびドレインの一方は、ビット線VBLに接続され、そのソースおよびドレインの他方はセルキャパシタCmcの一端に接続されている。セルキャパシタCmcは、セルトランジスタTmcのソースおよびドレインの他方と基準電圧源(例えば、グランド、または、後述する中間電圧VDD/2)との間に接続されている。
【0021】
ダミーセルDMCは、基本的にメモリセルMCと同じ構成でよい。従って、ダミーセルDMCは、ダミーセルトランジスタDTmcと、ダミーセルキャパシタDCmcとを含む。ダミーセルトランジスタDTmcおよびダミーセルキャパシタDCmcの構成は、それぞれセルトランジスタTmcおよびセルキャパシタCmcと同様でよい。例えば、ダミーセルトランジスタDTmcのケートサイズ(ゲート幅およびゲート長)は、セルトランジスタTmcのそれとほぼ同じでよい。ダミーセルキャパシタDCmcの電極サイズも、セルキャパシタCmcのそれとほぼ同じでよい。ダミーセルトランジスタDTmcのゲートは、いずれかのダミーワード線DWLに接続されている。ダミーセルトランジスタDTmcのソースおよびドレインの一方は、ビット線VBLに接続され、そのソースおよびドレインの他方はダミーセルキャパシタDCmcの一端に接続されている。ダミーセルキャパシタDCmcは、ダミーセルトランジスタDTmcのソースおよびドレインの他方と基準電圧源(例えば、グランド、または、後述する中間電圧VDD/2)との間に接続されている。
【0022】
メモリセルMCは、セルトランジスタTmcを介してセルキャパシタCmcに電荷を蓄積し、あるいは、セルキャパシタCmcから電荷を放出することによって、論理データを記憶することができる。
【0023】
図3は、メモリセルアレイMCAの構成例を示す概略平面図である。図3は、Z方向から見た平面視を示している。本実施形態では、ビット線VBLは、ワード線WLとグローバルビット線GBLとの交差位置に対応して設けられているが、全ての交差位置に設けられてはおらず、間欠的に配置されている。例えば、ビット線VBLは、ワード線WLに沿ってX方向に配列された上記交差位置に1つ置きに配置されている。また、ビット線VBLは、グローバルビット線GBLに沿ってY方向に配列された上記交差位置に2つ置きに2つずつ配置されている。ワード線WLの両端には、メモリセル層選択トランジスタTlys、bTlysが接続されている。
【0024】
ビット線VBLは、積層された複数のメモリセル層LYRおよびダミーセル層DLYRをZ方向に貫通しており、それらに共有されている。従って、Z方向から見た平面視において、ビット線VBLの配置は、積層された複数のメモリセル層LYRおよびダミーセル層DLYRにおいて同じである。
【0025】
ビット線VBLがワード線WLとグローバルビット線GBLとの交差位置に間欠的に配置されていることによって、選択メモリセルMCと同一のメモリセルアレイMCAにおいて、参照信号を生成することができる。このようなビット線構成(Foldedビット線構成)については、図8を参照して後でより詳細に説明する。
【0026】
図4は、メモリセルアレイMCAの構成例を示す概略側面図である。図4は、X方向から見た構成を示している。本実施形態では、例えば、ビット線VBLは、グローバルビット線GBLに沿ってY方向に配列された上記交差位置に2つ置きに2つずつ配置されている。ビット線VBLは、ビット線選択トランジスタTblsを介してグローバルビット線GBLに接続されている。
【0027】
ワード線WLは、メモリセルMCのX方向の各配列に対応して配線されている。本実施形態では、複数のメモリセル層LYRが積層されており、その最下層には、1層のダミーセル層DLYRが設けられている。
【0028】
図5は、メモリセルアレイMCAの構成例を示す概略正面図である。図5は、Y方向から見た構成を示している。本実施形態では、例えば、ビット線VBLは、ワード線WLに沿ってX方向に配列されたグローバルビット線GBLの1つ置きに配置されている。ビット線VBLは、ビット線選択トランジスタTblsを介してグローバルビット線GBLに間欠的に接続されている。
【0029】
ワード線WLは、X方向に配列された複数のメモリセルMCに接続されている。ダミーワード線DWLは、X方向に配列された複数のダミーメモリセルDMCに接続されている。ワード線WLおよびダミーワード線DWLの一端は、それぞれ層選択トランジスタTlys、DTlysを介してワード線ドライバWDRVに接続されている。ワード線ドライバWDRVは、複数のメモリセル層LYRのいずれかのワード線WLに選択ワード電圧VWLSEL(図6参照)を選択的に印加する。選択ワード電圧VWLSELは、メモリセルMCからのデータの読み出しにおいてセルトランジスタのゲートに印加する電圧である。ワード線WLおよびダミーワード線DWLの他端は、それぞれ層選択トランジスタbTlys、bDTlysを介して非選択電圧源VUWに接続されている。これにより、ワード線ドライバWDRVは、選択されたワード線WLにのみ第1電圧としての選択ワード電圧VWLSELを印加して、選択されたメモリセルMCからのデータをビット線VBLおよびグローバルビット線GBLへ伝達することができる。
【0030】
図6は、読出し動作における選択ワード線WLおよび選択ビット線VBL、GBLの電圧を示すグラフである。このグラフの縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。図7は、選択メモリセルMCのデータと、時点t1、t3におけるビット線VBL等の電圧との関係を示す表である。
【0031】
図6に示すように、読出し動作において、まず、ビット線VBL、GBLは、全て、ハイレベル電圧VDDとロウレベル電圧VSSとの間の中間電圧VDD/2に設定される。中間電圧VDD/2は、第1論理(例えば、データ“1”)を読出したときのグローバルビット線GBLの電圧(読出し電圧)と第2論理(例えば、データ“0”)を読み出したのきのグローバルビット線GBLの電圧との中間電圧でもある。この中間電圧は、選択メモリセルMCのデータの論理を検出するために用いられる参照電圧として用いられる。センスアンプSAは、選択メモリセルMCのデータの論理に応じた読出し電圧と参照電圧と比較してその電圧差を増幅する。さらに、センスアンプSAは、読出し電圧と参照電圧との電圧差に基づいて選択メモリセルMCのデータの論理を検出する。
【0032】
t0において、ビット線VBLおよびグローバルビット線GBLを参照電圧(中間電圧)VDD/2に設定する。
【0033】
t1において、ビット線VBLおよびグローバルビット線GBLを電気的にフローティング状態にする。このとき、図7に示すように、例えば、選択メモリセルMCのデータが“1”である場合、セルキャパシタCmcに電荷が蓄積されており、セルトランジスタTmcのソース電圧がハイレベルVDDに充電されている。一方、例えば、選択メモリセルMCのデータが“0”である場合、セルキャパシタCmcに電荷が蓄積されておらず、セルトランジスタTmcのソース電圧がほぼ0Vに放電されている。また、ビット線VBLおよびグローバルビット線GBLの電圧VBLは、参照電圧(中間電圧)VDD/2のままである。
【0034】
図6のt2において、ワード線WLをハイレベル電圧VDDよりも高い選択ワード電圧VWLSELに立ち上げる。これにより、選択メモリセルMCのセルトランジスタTmcが導通状態となり、t3において、ビット線VBLおよびグローバルビット線GBLがセルキャパシタCmcの電荷に応じた読出し電圧になる。例えば、選択メモリセルMCのデータが“1”である場合、ビット線VBLおよびグローバルビット線GBLは、中間電圧VDD/2よりも信号電圧Vsigだけ高くなる。選択メモリセルMCのデータが“0”である場合、ビット線VBLおよびグローバルビット線GBLは、中間電圧VDD/2よりも信号電圧Vsigだけ低くなる。尚、このとき、セルトランジスタTmcが導通状態となっているので、図7に示すようにセルトランジスタTmcのソース電圧Vsは、ビット線VBLおよびグローバルビット線GBLとほぼ等しい電圧となっている。
【0035】
センスアンプSAは、t3以降において、このような読出し電圧Vr(Vr=VDD/2+VsigまたはVDD/2-Vsig)と参照電圧VDD/2とを比較することによって、選択メモリセルMCのデータの論理を検出することができる。
【0036】
しかし、実際には、ワード線WLをハイレベル電圧VDDよりも高い選択ワード電圧VWLSELに立ち上げると、セルトランジスタTmcを介したワード線WLとビット線VBLとの間の容量カップリングによって、ビット線VBLの電圧が持ち上がってしまう。特に、本実施形態のような立体型メモリセルアレイMCAの場合、セルトランジスタTmcのサイズが平面型メモリセルアレイのセルトランジスタのそれよりも大きい。例えば、セルトランジスタTmcのゲート長およびゲート幅がともに大きくなることが分かっている。この場合、ワード線WLとビット線VBLとの間の容量カップリングは、セルトランジスタTmcのゲートサイズの増大によって大きくなる。ワード線WLとビット線VBLとの間の容量カップリングが大きくなることによって、読出し動作において、ワード線WLを選択ワード電圧VWLSELに立ち上げたときに、ビット線VBLの電圧がより大きく浮上する。このようなカップリングノイズは、読出し電圧と同じかそれ以上の電圧となるおそれがあり、データの正確な検出の妨げとなる。
【0037】
そこで、本実施形態では、立体型メモリセルアレイMCAにダミーセル層DLYRを設ける。ワード線ドライバWDRVは、ダミーセル層DLYR内の複数のダミーワード線DWLのうち一部のダミーワード線DWLを選択する。このダミーワード線DWLと、参照信号を伝達する非選択のビット線VBLとの間にダミーセルDMCが設けられている。ワード線ドライバWDRVは、この選択されたダミーワード線DWLに選択ワード電圧VWLSELと同相のダミー電圧DVを印加する。これにより、データを伝達する選択グローバルビット線GBLまたは選択ビット線VBLに入るカップリングノイズと同程度の電圧を、参照信号を伝達する非選択グローバルビット線GBLまたは非選択ビット線VBLに意図的に付加することができる。
【0038】
例えば、図8図10は、データ読出し動作におけるメモリセルアレイMCAの各層の状態を示す概略平面図である。図8は、1つの選択メモリセル層の状態を示し、図9は、その他の非選択メモリセル層の状態を示し、図10は、ダミーセル層の状態を示す。
【0039】
データ読出し動作において、選択メモリセル層の全てのワード線WLは、層選択トランジスタTlysによって選択的にワード線ドライバWDRVに電気的に接続される。非選択メモリセル層の全てのワード線WLは、層選択トランジスタTlysによってワード線ドライバWDRVから電気的に切断される。非選択メモリセル層では、全てのワード線WLは、層選択トランジスタbTlysによって非選択電圧源VUWに接続される。ダミーセル層の全てのダミーワード線DWLは、ダミーセル層選択トランジスタDTlysによってワード線ドライバWDRVに電気的に接続される。
【0040】
ワード線ドライバWDRVは、複数のメモリセル層LYRに対して共通に設けられており、各メモリセル層LYRにおいて或る行のワード線WLに選択的に選択ワード電圧VWLSELを伝達する。このとき、図8の選択メモリセル層では、層選択トランジスタTlysは、導通状態であるので、選択ワード電圧VWLSELは、選択された行の選択ワード線WLselに伝達される。ワード線ドライバWDRVは、選択メモリセル層であっても、その他の非選択のワード線WLnonselには非選択電圧源VUWの電圧を印加する。
【0041】
これにより、選択ワード線WLselに接続された選択メモリセルMCselからのデータに応じた読出し電圧Vrがビット線VBLおよびグローバルビット線GBLへ伝達される。図8では、3つの選択メモリセルMCselから読出し電圧Vrが読み出されている。その他のメモリセルMCは、非選択メモリセルである。
【0042】
一方、選択メモリセルMCselに接続されていないビット線VBLおよびグローバルビット線GBLは、参照電圧(中間電圧)VDD/2に設定されており、参照電圧Vrefを伝達する。
【0043】
読出し電圧Vrを伝達するグローバルビット線GBLと参照電圧Vrefを伝達するするグローバルビット線GBLとは、X方向に交互に配列される。隣接する2つのグローバルビット線GBLの一方が読出し電圧Vrを伝達する場合には、他方が参照電圧Vrefを伝達し、逆に、一方が参照電圧Vrefを伝達する場合には、他方が読出し電圧Vrを伝達する。このように、隣接する2つのグローバルビット線GBLが1対のビット線ペアを成し、1ビットデータを検出するために用いられる。ビット線ペアは、その一方が読出し電圧Vrを伝達し、他方が参照電圧Vrefを伝達する。尚、本実施形態では、ビット線ペアは、同一メモリセルアレイMCA内に設けられており、所謂、Folded型ビット線構成となっている。以下、ビット線ペアを構成するグローバルビット線GBLの一方に接続されたビット線VBLと他方に接続されたビット線VBLとの対も「ビット線ペア」と呼ぶことがある。
【0044】
ここで、選択ワード線WLselに選択ワード電圧VWLSELが印加されると、上述の通り、選択メモリセルMCselのセルトランジスタTmcの容量カップリングによって、ビット線VBLにカップリングノイズが発生する。カップリングノイズ成分をVnとすると、選択メモリセルMCselに接続されたビット線VBLまたはグローバルビット線GBLの読出し電圧Vrは、VDD/2±Vsig+Vnとなる。読出し電圧は、選択メモリセルMCselのデータを読み出したときのビット線VBLまたはグローバルビット線GBLにおける電圧である。
【0045】
図9の非選択メモリセル層では、層選択トランジスタTlysは、非導通状態であるので、ワード線ドライバWDRVからの選択ワード電圧VWLSELは、いずれのワード線WLにも伝達されない。層選択トランジスタbTlysが導通状態であるので、非選択メモリセル層のワード線WLは非選択電圧源VUWの電圧に維持される。
【0046】
図10のワード線ドライバWDRVは、ダミーセル層DLYRにおいて或る行のダミーワード線DWLに選択的にダミー電圧DVを伝達する。このとき、ダミーセル層DLYRでは、ダミーセル層選択トランジスタDTlysは、導通状態であるので、ダミー電圧DVは、選択された1本の選択ダミーワード線DWLselに伝達される。ワード線ドライバWDRVは、その他の非選択ダミーワード線DWLnonselには非選択電圧源VUWの電圧を印加する。
【0047】
ここで、選択ダミーワード線DWLselは、参照電圧Vrefを伝達するビット線VBLとの間にダミーセルDMCが設けられているダミーワード線DWLである。即ち、選択ダミーワード線DWLselと参照電圧Vrefを伝達するビット線VBLとの間には、選択ダミーセルDMCselが接続されている。一方、選択ダミーワード線DWLselと読出し電圧Vrを伝達するビット線VBLとの間には、ダミーセルDMCは接続されていない。このような選択ダミーワード線DWLselにダミー電圧DVが印加されると、選択ダミーセルDMCselのセルトランジスタTmcの容量カップリングによって、参照電圧Vrefを伝達するビット線VBLにカップリングノイズが発生する。カップリングノイズ成分をDVnとすると、選択ダミーセルDMCselに接続されたビット線VBLまたはグローバルビット線GBLの参照電圧は、VDD/2+DVnとなる。
【0048】
このように、本実施形態では、読出し電圧がVDD/2±Vsig+Vnとなり、参照電圧がVDD/2+DVnとなる。ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELと同相電圧であるので、参照電圧Vrefのノイズ成分DVnもノイズ成分Vnと同相電圧(同極性電圧)となる。従って、センスアンプSAが、読出し電圧Vrと参照電圧Vrefとを比較して電圧差を検出するときに、読出し電圧のノイズ成分Vnから参照電圧のノイズ成分DVnがキャンセルされる。これにより、読出し電圧に含まれるカップリングノイズ成分Vnが低減し、読出し電圧Vrのうち信号電圧Vsigの成分割合が増大する。これにより、センスアンプSAは、信号電圧Vsigの正確な検出が可能になる。
【0049】
参照電圧のノイズ成分DVnは、読出し電圧のノイズ成分Vnと略等しいことが好ましい。これにより、ノイズ成分Vnをほぼ全てキャンセルすることができるので、信号電圧Vsigをさらに正確に検出することができる。ただし、ノイズ成分DVnがノイズ成分Vnと異なっていても、ノイズ成分Vnを低減する効果は得られる。従って、ノイズ成分DVnは、ノイズ成分Vnと同相であれば、必ずしもノイズ成分Vnと等しくなくてもよい。
【0050】
また、ダミーセルDMCには、予め中間電圧VDD/2を格納しておく。これにより、選択されたダミーセルDMCが、参照電圧Vrefを伝達する非選択のビット線VBLに接続されても、中間電圧である参照電圧Vrefに影響を与えない。ダミーセルDMCは、常に中間電圧VDD/2になるように定期的にリテンションされてもよく、あるいは、読出し動作直前に中間電圧VDD/2になるように書き込まれてもよい。
【0051】
図11は、ワード線ドライバWDRVの構成例を示す回路図である。ワード線ドライバWDRVは、層選択トランジスタTlysまたはDTlysに接続されている。ワード線ドライバWDRVは、層選択トランジスタTlysによって選択された選択メモリセル層LYR内の選択ワード線WLselに選択ワード電圧VWLSELを選択的に印加する。また、ワード線ドライバWDRVは、ダミーセル層選択トランジスタDTlysによって選択されたダミーセル層DLYR内の選択ダミーワード線DWLselにダミー電圧DVを選択的に印加する。尚、ワード線ドライバWDRVは、メモリセル層LYRおよびダミーセル層DLYRごとに設けられており、メモリセル層LYRおよびダミーセル層DLYRにおいて同一構成を有する。従って、以下、ダミーセル層DLYRに設けられたワード線ドライバWDRVの構成を説明し、メモリセル層LYRに設けられたワード線ドライバWDRVの説明は省略する。
【0052】
ワード線ドライバWDRVは、選択信号SEL<0>~SEL<3>を受けて、駆動電圧DRV<0>~DRV<2>または非選択電源VUWの電圧を出力するインバータIN<0>~IN<11>を備える。
【0053】
駆動電圧DRV<0>~DRV<2>は、それぞれインバータIN<0>~IN<3>、IN<4>~IN<7>、IN<8>~IN<11>に入力される。駆動電圧DRV<0>~DRV<2>は、いずれか1つがダミー電圧DVに選択的に活性化され、その他の2つが非選択電圧源VUWの電圧に不活性化されている。これにより、インバータIN<0>~IN<3>、IN<4>~IN<7>、IN<8>~IN<11>の3つのセットのうち1セットがダミー電圧DVを出力する。
【0054】
インバータIN<0>~IN<3>は、選択信号SEL<0>~SEL<3>を受けて、駆動電圧DRV<0>または非選択電源VUWの電圧を出力X<0>~X<3>として出力する。インバータIN<4>~IN<7>は、選択信号SEL<0>~SEL<3>を受けて、駆動電圧DRV<1>または非選択電源VUWの電圧を出力X<4>~X<7>として出力する。インバータIN<8>~IN<11>は、選択信号SEL<0>~SEL<4>を受けて、駆動電圧DRV<2>または非選択電源VUWの電圧を出力X<8>~X<11>として出力する。
【0055】
選択信号SEL<0>~SEL<3>は、そのいずれか1つが低レベル信号に立ち下げられ、その他の3つが高レベル信号に立ち上げられる。これにより、駆動電圧DRV<0>~DRV<2>のうちダミー電圧DVを出力する1セットのインバータ(IN<0>~IN<3>、IN<4>~IN<7>またはIN<8>~IN<11>)のうち、1つのインバータIN<i>(iは0~11のいずれか)のみが高レベルのダミー電圧DVを出力X<i>として出力する。これにより、ワード線ドライバWDRVは、出力X<0>~X<11>のうち1つの出力X<i>がダミー電圧DVとなり、他の11個の出力X<k>(k≠i)が、非選択電圧源VUWの電圧となる。
【0056】
このように、ワード線ドライバWDRVは、駆動信号DRV<0>~DRV<2>と選択信号SEL<0>~SEL<3>との組み合わせによって、出力X<0>~X<11>のいずれかをダミー電圧DVに立ち上げる。これにより、ワード線ドライバWDRVは、ダミーセル層DLYRの複数のダミーワード線DWLのうち1つのダミーワード線DWLを選択的に駆動することができる。
【0057】
尚、メモリセル層LYRに対応するワード線ドライバWDRVも、基本的に同様の構成を有する。選択メモリセル層LYRに対応するワード線ドライバWDRVは、駆動信号DRV<0>~DRV<2>と選択信号SEL<0>~SEL<3>との組み合わせによって、出力X<0>~X<11>のいずれかを選択ワード電圧VWLSELに立ち上げる。これにより、ワード線ドライバWDRVは、選択メモリセル層の複数のワード線WLのうち1つのワード線WLを選択的に駆動することができる。
【0058】
以上のように本実施形態による半導体記憶装置1は、立体型メモリセルアレイMCAにダミーセル層DLYRを設けている。ダミーセル層DLYRでは、参照信号を伝達する非選択ビット線VBLとの間にダミーセルDMCが設けられているダミーワード線DWLに、選択ワード電圧VWLSELと同相のダミー電圧DVを印加する。これにより、データを伝達する選択グローバルビット線GBLまたは選択ビット線VBLに入るカップリングノイズと同程度の電圧を、参照信号を伝達する非選択グローバルビット線GBLまたは非選択ビット線VBLにも意図的に付加することができる。その結果、センスアンプSAにおいて、読出し電圧Vrに含まれるカップリングノイズVnが参照電圧Vrefに含まれるカップリングノイズDVnで或る程度キャンセルされて、信号電圧Vsigのセンスマージンが改善され正確な検出が可能になる。
【0059】
ダミーセルDMCには、予め中間電圧VDD/2を格納しておく。これにより、選択されたダミーセルDMCが、参照電圧Vrefを伝達する非選択のビット線VBLに接続されても、参照電圧Vrefに影響を与えない。
【0060】
(変形例)
図12は、選択ワード電圧VWLSELとダミー電圧DVとの関係を示すグラフである。このグラフの縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。選択ワード電圧VWLSELとダミー電圧DVは、同相電圧であり、好ましくは、略等しい電圧である。しかし、上述の通り、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELと同極性の電圧であれば、異なっていてもよい。また、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELとほぼ同時に立ち上がってもよい。しかし、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELと異なるタイミングで立ち上がってもよい。ダミー電圧DVは、センスアンプSAが読出し電圧Vrを検出する時点t3より前に立ち上がっていればよい。
【0061】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態によるデータ読出し動作におけるダミーセル層DLYRの状態を示す概略平面図である。第2実施形態では、データ読出し動作において、ダミーセル層DLYRの複数のダミーワード線DWLのうち、複数のダミーワード線DWLを選択し、その複数の選択ダミーワード線DWLselにダミー電圧DVを印加する。n本(nは2以上の整数)のダミーワード線DWLが選択される場合、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELの略n分の1の電圧でよい。
【0062】
例えば、図13の例では、2本のダミーワード線DWLが、選択ダミーワード線DWLselとして選択されている。この2本の選択ダミーワード線DWLselには、選択ワード電圧VWLSELの略2分の1のダミー電圧DVが印加される。
【0063】
ワード線WLとビット線VBLとの間の容量をC1とし、ビット線VBLと基準電圧源(例えば、グランド)との間の容量をC2とすると、選択ビット線VBLの電圧は、選択ワード電圧VWLSELによって、VWLSEL×C1/(C1+C2)だけ上昇する。即ち、読出し電圧VrのカップリングノイズVnは、VWLSEL×C1/(C1+C2)となる。
【0064】
ダミーセルDMCは、メモリセルMCと同じ構成であるので、選択ダミーワード線DWLselが1本の場合、参照電圧VrefのカップリングノイズDVnは、ダミー電圧DVに対して同様になる。即ち、参照信号のカップリングノイズDVnは、DV×C1/(C1+C2)となる。
【0065】
一方、第2実施形態のように、2本のダミーワード線DWLが選択ダミーワード線DWLselとして選択されている場合、2本の選択ダミーワード線DWLselと1本の選択ビット線VBLとの間のカップリング容量は、2×C1/(C1+C2)となる。従って、参照信号のカップリングノイズDVnは、DV×2×C1/(C1+C2)となる。即ち、選択ダミーワード線DWLselが2本の場合、参照信号のカップリングノイズDVnが2倍になる。逆に、ダミー電圧DVを2分の1にしても、選択ダミーワード線DWLselの本数を増大すれば、参照信号のカップリングノイズDVnは維持することができることになる。
【0066】
従って、第2実施形態では、選択ダミーワード線DWLselを2本にし、ダミー電圧DVを選択ワード電圧VWLSELの略2分の1の電圧にする。これにより、1本の選択ダミーワード線DWLselに選択ワード電圧VWLSELを印加したときのカップリングノイズDVnと同じカップリングノイズDVnを参照電圧Vrefに付加することができる。
【0067】
第2実施形態のその他の構成および動作は、第1実施形態と同様でよい。よって、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態によれば、選択ダミーワード線DWLselの電圧を、選択ワード電圧VWLSELの2分の1に低下させることができる。よって、電源電圧を高い電圧まで昇圧する機会が減少するので、消費電力の低減につながる。
【0068】
また、選択ダミーワード線DWLselの数は、3以上であってもよい。選択ダミーワード線DWLselの数がn(nは2以上の整数)である場合、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELの略n分の1の電圧でよい。このように、選択ダミーワード線DWLselの数を増大させることによって、ダミー電圧DVを低下させることができる。
【0069】
(第3実施形態)
図14および図16は、第3実施形態によるデータ読出し動作におけるダミーセル層DLYRの状態を示す概略平面図である。図15は、第3実施形態によるデータ読出し動作における選択メモリセル層LYRの状態を示す概略平面図である。
【0070】
第3実施形態では、データ読出し動作において、参照電圧Vrefを伝達する非選択ビット線VBLとの間にダミーセルDMCが設けられている全ダミーワード線DWLを選択ダミーワード線DWLselとして選択する。ワード線ドライバWDRVは、選択ダミーワード線DWLselにダミー電圧DVを印加する。即ち、ワード線ドライバWDRVは、ダミーセル層DLYR内の全てのダミーワード線DWLにダミー電圧DVを印加する。このとき、選択ダミーワード線DWLselの数がn本の場合、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELの略n分の1の電圧で済む。
【0071】
第3実施形態では、図10または図13に示すように、ダミーワード線DWLの一方側にワード線ドライバWDRVを接続し、他方側に非選択電圧源VUWを接続してもよい。この場合、ワード線ドライバWDRVは、図11に示す構造となり、選択信号SEL<0>~SEL<3>のうち2つの選択信号を低レベル信号に活性化させる。
【0072】
しかし、図14に示すように、ワード線ドライバWDRV1、WDRV2をダミーワード線DWLの両端に設けてもよい。この場合、第1ワード線ドライバWDRV1は、ビット線ペアのうち一方との間にダミーセルDMCが接続されるダミーワード線DWLに接続され、他方との間にダミーセルDMCが接続されるダミーワード線DWLからは電気的に切断されている。また、第2ワード線ドライバWDRV2は、ビット線ペアのうち一方との間にダミーセルDMCが設けられたダミーワード線DWLからは電気的に切断され、他方との間にダミーセルDMCが設けられたダミーワード線DWLに接続されている。
【0073】
このように構成することによって、第1および第2ワード線ドライバWDRV1、WDRV2は、ダミー電圧DVまたは非選択電圧源VUWの電圧のいずれかを接続された全ダミーワード線DWLに印加すればよい。例えば、図8に示すように、ビット線ペアの一方が読出し電圧Vrを伝達する場合、第1ワード線ドライバWDRV1は、図14に示すように、ビット線ペアのうち参照電圧Vrefを伝達する他方のビット線VBLとの間にダミーセルDMCが設けられた全ダミーワード線DWLにダミー電圧DVを印加する。
【0074】
図14に示す状態では、第1ワード線ドライバWDRV1は、参照電圧Vrefを伝達するビット線に対応する全ダミーワード線DWLに接続されているが、読出し電圧Vrを伝達するビット線に対応する全ダミーワード線DWLからは切断されている。従って、第1ワード線ドライバWDRV1は、それに接続された全ダミーワード線DWLにダミー電圧DVを印加する。一方、第2ワード線ドライバWDRV2は、それに接続された全ダミーワード線DWLに非選択電圧源VUWの電圧を印加する。
【0075】
一方、例えば、図15に示すように、ビット線ペアの他方が読出し電圧Vrを伝達する場合、第2ワード線ドライバWDRV2は、図16に示すように、ビット線ペアのうち参照電圧Vrefを伝達するビット線VBLとの間にダミーセルDMCが設けられた全ダミーワード線DWLにダミー電圧DVを印加する。
【0076】
図16に示す状態では、第2ワード線ドライバWDRV2は、参照電圧Vrefを伝達するビット線に対応する全ダミーワード線DWLに接続されているが、読出し電圧Vrを伝達するビット線に対応する全ダミーワード線DWLからは切断されている。従って、第2ワード線ドライバWDRV2は、それに接続された全ダミーワード線DWLにダミー電圧DVを印加する。一方、この場合、第1ワード線ドライバWDRV1は、それに接続された全ダミーワード線DWLに非選択電圧源VUWの電圧を印加する。
【0077】
図17は、第3実施形態によるワード線ドライバWDRV1、WDRV2の構成例を示す回路図である。第3実施形態では、上述のとおり、ワード線ドライバWDRV1、WDRV2は、それぞれダミー電圧DVまたは非選択電圧源VUWの電圧を選択的に、接続された全ダミーワード線DWLに印加すればよい。従って、ワード線ドライバWDRV1、WDRV2のそれぞれの内部構成は、図17に示すように、1つのインバータINで構成され得る。この場合、選択信号SELが低レベル信号の場合、ダミー電圧DVが出力Xとして出力される。選択信号SELが高レベル信号の場合、非選択電圧源VUWの電圧が出力Xとして出力される。
【0078】
このように、第3実施形態によれば、ワード線ドライバWDRVの構成が簡素化され、ワード線ドライバWDRVを構成するトランジスタの数が減少する。よって、半導体記憶装置1の微細化につながる。また、選択ダミーワード線DWLselの数がn本の場合、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELの略n分の1の電圧で済む。よって、半導体記憶装置1の低消費電力につながる。
【0079】
第3実施形態のその他の構成は第1実施形態の対応する構成と同じでよい。従って、第3実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
(第4実施形態)
図18は、第4実施形態によるダミーセル層DLYRの構成例を示す概略図である。第4実施形態では、複数のダミーセル層DLYRが1つのメモリセルアレイMCA内に設けられている。複数のダミーセル層DLYRのそれぞれの構成は、図10に示す構成と同様でよい。また、ワード線ドライバWDRVは複数のダミーセル層DLYRに対して共通でもよい。これにより、データ読出し動作において、ワード線ドライバWDRVは、複数のダミーセル層DLYRにおいて同一行のダミーワード線DWLを選択ダミーワード線DWLselとして選択する。ワード線ドライバWDRVは、選択ダミーワード線DWLselにダミー電圧DVを印加する。ダミーセル層DLYRの層数がnの場合、選択ダミーワード線DWLselの数もn本となる。従って、ダミー電圧DVは、選択ワード電圧VWLSELの略n分の1の電圧で済む。ダミーセル層DLYRの層数を変更することによって、ダミー電圧DVの調整をすることができる。
【0081】
このように、複数のダミーセル層DLYRを設けて、選択ダミーワード線DWLselの本数を増大させ、ダミー電圧DVの電圧を低減させてもよい。第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様でよい。これにより、第4実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
また、第4実施形態は、第2または第3実施形態と組み合わせてもよい。これにより、選択ダミーワード線DWLselの本数がさらに増大し、ダミー電圧DVの電圧をさらに低減させることができる。
【0083】
(第5実施形態)
図19は、第5実施形態によるメモリセルアレイMCAの構成例を示す図である。第5実施形態では、複数のダミーセル層DLYRがメモリセルアレイMCA内にZ方向(積層方向)に分散して配置されている。例えば、ダミーセル層DLYR1はメモリセルアレイMCAの上層に設けられており、ダミーセル層DLYR2は中間層に設けられており、ダミーセル層DLYR3は下層に設けられている。ダミーセル層DLYRは、メモリセルアレイMCAの上層、下層だけでなく、複数のメモリセル層LYRの間にも配置される。
【0084】
このように、複数のダミーセル層DLYRをZ方向に分散配置させることによって、Z方向の位置に依存してメモリセル層LYR内のメモリセルMCの電気的特性がばらつく場合であっても、ダミーセル層DLYRのダミーセルDMCの電気的特性を、その近傍のメモリセルMCの電気的特性に適合させることができる。
【0085】
例えば、ビット線VBLは、Z方向に延伸しており、メモリセルアレイMCA内のメモリセル層LYRおよびダミーセル層DLYRを貫通している。このようなビット線VBLを形成する際のビット線ホールは、メモリセルアレイMCAの上層において広く、下層に行くにしたがって狭くなるようにテーパー状の内側面を有する場合がある。従って、ビット線VBLの径は、メモリセルアレイMCAの上層において広く、下層へ行くにしたがって狭くなる。このようなビット線VBLのテーパー形状により、メモリセルMCの電気的特性(例えば、セルトランジスタTmcのチャネル面積等)がメモリセルアレイMCAの上層と下層とでばらつく場合がある。
【0086】
しかし、第5実施形態によれば、複数のダミーセル層DLYRをZ方向に分散配置させることによって、ダミーセル層DLYRのダミーセルDMCの電気的特性を、その近傍のメモリセルMCの電気的特性に適合させることができる。よって、参照電圧のノイズ成分DVnが、読出し電圧のノイズ成分Vnを適切にキャンセルすることができる。
【0087】
第5実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様でよい。よって、第5実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第5実施形態は、第2~第4実施形態のいずれかと組み合わせてもよい。これにより、第5実施形態は、第2~第4実施形態のいずれかの効果を得ることができる。例えば、読出し動作において、ダミーセル層DLYR1~DLYR3のいずれか1層から複数のダミーワード線DWLを選択してダミー電圧DVを印加してもよい。ダミーセル層DLYR1~DLYR3のいずれか複数層から複数のダミーワード線DWLを選択してダミー電圧DVを印加してもよい。尚、ダミーセル層DLYRは、2層であってもよく、4層以上であってもよい。
【0088】
(第6実施形態)
図20は、第6実施形態によるメモリセルアレイMCAの構成例を示す概略平面図である。図20は、Z方向から見た平面視を示している。本実施形態では、ビット線VBLは、ワード線WLとグローバルビット線GBLとの交差位置に間欠的に配置されている点で第1実施形態と同様である。しかし、第6実施形態では、例えば、ビット線VBLは、ワード線WLに沿ってX方向に配列された上記交差位置に1つ置きに配置され、かつ、グローバルビット線GBLに沿ってY方向に配列された上記交差位置に1つ置きに配置されている。
【0089】
図21は、第6実施形態によるメモリセルアレイMCAの構成例を示す概略側面図である。図21は、X方向から見た構成を示している。第6実施形態では、例えば、ビット線VBLは、グローバルビット線GBLに沿ってY方向に配列された上記交差位置に1つ置きに配置されている。
【0090】
メモリセルアレイMCAの正面図は、図5と同じでよい。
【0091】
このように、Z方向からの平面視において、ビット線VBLは、ワード線WLとグローバルビット線GBLとの交差位置において、1つずつ間欠的に千鳥配置されてもよい。この場合、X方向からの側面において、ビット線VBLは、Y方向のグローバルビット線GBLの配列に1列ずつ間欠的に接続される。
【0092】
隣接する2つのグローバルビット線GBLが1対のビット線ペアを成し、1ビットデータを検出するために用いられる。ビット線ペアは、その一方が読出し電圧Vrを伝達し、他方が参照電圧Vrefを伝達する。第6実施形態も、所謂、Folded型ビット線構成となっている。
【0093】
第6実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様でよい。よって、第6実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。第6実施形態は、第2~第5実施形態のいずれかと組み合わせてもよい。これにより、第6実施形態は、第2~第5実施形態のいずれかと同じ効果を得ることができる。
【0094】
(第7実施形態)
図22は、第7実施形態による半導体記憶装置1の構成例を示す概略斜視図である。図23は、第7実施形態によるメモリセルアレイMCAの構成例を示す概略平面図である。図23は、Z方向から見た平面視を示している。図24は、第7実施形態によるメモリセルアレイMCAの構成例を示す概略側面図である。図24は、X方向から見た構成を示している。図25は、メモリセルアレイMCAの構成例を示す概略正面図である。図25は、Y方向から見た構成を示している。
【0095】
第7実施形態において、ビット線VBLは、図22図25に示すように、ワード線WLとグローバルビット線GBLとの交差位置のそれぞれに対応して配置されている点で第1実施形態と異なる。この場合、例えば、ビット線VBLは、ワード線WLに沿ってX方向に配列された上記交差位置ごとに配置され、かつ、グローバルビット線GBLに沿ってY方向に配列された上記交差位置ごとに配置されている。第7実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様でよい。
【0096】
このように、ビット線VBLがワード線WLとグローバルビット線GBLとの交差位置のそれぞれに対応して配置されている場合、読出し動作において、選択ワード線WLと各ビット線VBLとの間の選択メモリセルMCから全グローバルビット線GBLを介して読出し電圧Vrが出力される。読出し対象のメモリセルアレイMCAから参照電圧Vrefを出力することはできない。
【0097】
従って、第7実施形態では、参照電圧Vrefは、他のメモリセルアレイMCAを用いて生成される。例えば、図26は、複数のメモリセルアレイMCA1~MCA3の構成例を示すブロック図である。メモリセルアレイMCA2の両側にセンスアンプSAが配置されている。メモリセルアレイMCA1は、一方のセンスアンプSAを挟んでメモリセルアレイMCA2にY方向(グローバルビット線GBLの延伸方向)に隣り合い、メモリセルアレイMCA3は、他方のセンスアンプSAを挟んでメモリセルアレイMCA2にY方向に隣り合っている。
【0098】
メモリセルアレイMCA1~MCA3は、図22図25を参照して説明した構成を有しており、互いに同一構成でよい。
【0099】
メモリセルアレイMCA1とメモリセルアレイMCA2との間のセンスアンプSAは、メモリセルアレイMCA1、MCA2の両方のグローバルビット線GBLに接続されており、メモリセルアレイMCA1、MCA2の一方からの読出し電圧Vrを他方からの参照電圧Vrefを用いて検出する。
【0100】
メモリセルアレイMCA2とメモリセルアレイMCA3との間のセンスアンプSAは、メモリセルアレイMCA2、MCA3の両方のグローバルビット線GBLに接続されており、メモリセルアレイMCA2、MCA3の一方からの読出し電圧Vrを他方からの参照電圧Vrefを用いて検出する。
【0101】
例えば、メモリセルアレイMCA1は、図24および図25に示すメモリセル層LYRのいずれかから読出し電圧Vrをグローバルビット線GBLに伝達する。メモリセルアレイMCA2は、図24および図25に示すダミーセル層DLYRから参照電圧Vrefをグローバルビット線GBLに伝達する。
【0102】
図26に示すように、選択グローバルビット線GBLselは、非選択グローバルビット線GBLselnonとそれらの延伸方向(Y方向)に隣り合っている。
【0103】
このように、第7実施形態では、ビット線ペアが、隣り合う複数のメモリセルアレイMCA内にそれぞれ設けられており、所謂、Open型ビット線構成となっている。Open型ビット線構成では、例えば、選択グローバルビット線GBLselのメモリセルアレイMCA2は、非選択グローバルビット線GBLnonselに対応するメモリセルアレイMCA1、MCA3と異なる。従って、選択グローバルビット線GBLselに対応するワード線WLおよびダミーワード線DWLは、非選択グローバルビット線GBLnonselに対応するワード線WLおよびダミーワード線DWLとそれぞれ異なる。
【0104】
メモリセルアレイMCA2が選択メモリセルアレイMCAselとして読出し電圧Vrを伝達する場合、メモリセルアレイMCA1またはMCA3が非選択メモリセルアレイMCAselnonとして参照電圧Vrefを生成する。2つのセンスアンプは、メモリセルアレイMCA1からの読出し電圧VrをメモリセルアレイMCA2またはMCA3からの参照電圧Vrefと比較する。これにより、選択メモリセルMCselのデータの論理を検出することができる。
【0105】
このように、Open型ビット線構成であっても、本実施形態を適用することができる。第7実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様でよい。従って、第7実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第7実施形態は、第2~第6実施形態のいずれかと組み合わせてもよい。この場合、第7実施形態は、第2~第6実施形態のいずれかの効果をも得ることができる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 半導体記憶装置、MCA メモリセルアレイ、WL ワード線、DWL ダミーワード線、VBL ビット線、GBL グローバルビット線、Tbls ビット線選択トランジスタ、Tlys,bTlys メモリセル層選択トランジスタ、DTlys,bDTlysダミーセル層選択トランジスタ、LYR メモリセル層、DLYR ダミーセル層、SA センスアンプ
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