(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092918
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】感光性組成物、それを用いた硬化膜、光学フィルタ、カラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子、及び赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240701BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20240701BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20240701BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240701BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240701BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240701BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20240701BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240701BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 505
G03F7/075 501
G03F7/031
G02B5/20 101
H10K59/38
H10K59/10
C08F220/10
G09F9/30 349B
G09F9/30 365
G02F1/1335 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097942
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2022207743
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慶一
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
2H291
3K107
4J100
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE22
2H148BE36
2H148BF16
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG11
2H148BH13
2H148BH21
2H225AC23
2H225AC36
2H225AC75
2H225AD06
2H225AE24P
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM32P
2H225AM66P
2H225AM86P
2H225AM92P
2H225AM95P
2H225AN39P
2H225AN82P
2H225AN92P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AN96P
2H225AN97P
2H225AN98P
2H225BA05P
2H225BA12P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225BA33P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CA22
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2H225CC13
2H291FA02Y
2H291FA16Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA71Z
2H291FA82Z
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2H291FC10
2H291FC16
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2H291GA19
2H291HA06
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3K107AA01
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4J100CA03
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4J100FA19
4J100JA37
5C094AA33
5C094AA38
5C094BA03
5C094BA23
5C094BA27
5C094BA43
5C094CA19
5C094ED02
5C094FB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、組成物が析出しにくく、経時安定性及び低温焼成工程後の耐溶剤性が良好で、高温高湿耐性に優れる硬化膜を形成できる感光性組成物の提供する。
【解決手段】色素(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)を含み、前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)である、感光性組成物。
一般式(1)
[一般式(1)中、Xは2価の連結基を表す。R
1は水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。]
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)を含み、前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、下記一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)、又は一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)である、感光性組成物。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、Xは2価の連結基を表す。R
1は水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。R
2は水素原子またはメチル基を表す。]
一般式(2)
【化2】
[一般式(2)中、Xは2価の連結基を表す。R
1、R
6は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。R
2、R
3、R
4、R
5は、は水素原子またはメチル基を表す。]
【請求項2】
前記光重合開始剤(D)は、O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1)である、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記重合性化合物(C)は、アミノ基含有重合性化合物(C1)を含む、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記重合性化合物(C)は、1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2)(ただし、アミノ基含有重合性化合物(C1)を除く)を含む、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記重合性化合物(C)の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂(B)100質量部に対して20~200質量部である、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記アミノ基含有重合性化合物(C1)の含有量が、前記重合性化合物(C)100質量部に対して5~50質量部である、請求項3記載の感光性組成物。
【請求項7】
さらにチオール化合物(F)を含む、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項8】
さらにシランカップリング剤(G)を含む、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項9】
請求項1~8いずれか1項に記載の感光性組成物から形成されてなる硬化膜。
【請求項10】
基材、および請求項9に記載の硬化膜を備える、光学フィルタ。
【請求項11】
請求項10記載の光学フィルタを備える、カラーフィルタ。
【請求項12】
請求項10記載の光学フィルタを備える、液晶表示装置。
【請求項13】
請求項10記載の光学フィルタを備える、有機EL表示装置。
【請求項14】
請求項10記載の光学フィルタを備える、固体撮像素子。
【請求項15】
請求項10記載の光学フィルタを備える、赤外線センサ。
【請求項16】
前記アルカリ可溶性樹脂(B1)は、さらに第二のブロックイソシアナト基含有単量体単位を有する樹脂であり、前記アルカリ可溶性樹脂(B2)は、さらに第二のブロックイソシアナト基含有単量体単位を有する樹脂である、請求項1記載の感光性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタ、カラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子、および赤外線センサ等に使用できる感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、スマートフォン、赤外線センサ等の需要増によりこれらに使用されるカラーフィルタ等の光学フィルタの需要も伸びている。カラーフィルタの製造は、近年の基板の大型化に伴い、塗布方法としてスリット塗布形式が検討されている。スリット塗布は、従来のスピンコート塗布に比べ、塗布膜厚の均一性に優れ、塗布液の無駄が少ないという長所を有する。しかしながら、スリット塗布では、ヘッド先端のスリット開口部において塗布液が外気に曝されているため、ヘッド先端で塗布液(光硬化性組成物)の乾燥、固化が起こりやすく、塗布液の固化物がヘッド先端部から脱離し、塗布した塗膜に異物として持ち込まれる等の塗布品質の低下を招くという欠点がある。
【0003】
OLED(Organic Light Emitting Diode)等を用いた有機EL(Electro-Luminescence)表示装置に用いられる有機発光層の耐熱性は低いため、その光学フィルタの形成に使用する感光性組成物は、ポストベークを従来よりも低温、例えば150℃以下で行う必要がある。しかし、低温では膜の硬化が不十分になり、耐溶剤性が悪化する問題があった。加えて、反応性の高い組成物を含有することで経時安定性が悪化する問題もあった。
【0004】
また従来からカラーフィルタを輸送する際に高温・高湿な環境に曝されてもカラーフィルタの視認性が低下しない事が重要であったが、上記の通り、低温ポストベークで製造したカラーフィルタは膜硬化が不十分となる傾向があるため、視認性が悪化する問題が生じている。
【0005】
これに対して、例えば、乾燥析出物の改善の取り組みとして、特許文献1には、樹脂型分散剤などの分散剤や、顔料誘導体を用いる方法が開示されている。
【0006】
また、光学フィルタを低温で製造する取り組みとして、特許文献2には、ブロックイソシアナト基を有するアルカリ可溶性樹脂と反応性希釈剤を含む感光性組成物が開示されている。
【0007】
さらに、光学フィルタの高温高湿耐性の改善の取り組みとして、特許文献3には、有機ケイ素化合物を用いる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003-294935号公報
【特許文献2】国際公開第2019/026547号公報
【特許文献3】特開2018-159930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1~3の感光性組成物は、乾燥析出物、経時安定性、低温焼成工程後の耐溶剤性、高温高湿耐性の全てを満足することはできなかった。
【0010】
本発明は、組成物が析出しにくく、経時安定性及び低温焼成工程後の耐溶剤性が良好で、高温高湿耐性に優れる硬化膜を形成できる感光性組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、色素(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、溶剤(E)を含み、前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、下記一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)、又は一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)である、感光性組成物に関する。
一般式(1)
【化1】
【0012】
一般式(1)中、Xは2価の連結基を表す。R1は水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。R2は水素原子またはメチル基を表す。
【0013】
一般式(2)
【化2】
一般式(2)中、Xは2価の連結基を表す。R
1、R
6は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。R
2、R
3、R
4、R
5は、は水素原子またはメチル基を表す。
【0014】
本発明の一実施形態は、前記光重合開始剤(D)は、O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1)を含む、前記の感光性組成物に関する。
【0015】
本発明の一実施形態は、前記重合性化合物(C)は、アミノ基含有重合性化合物(C1)を含む、前記の感光性組成物に関する。
【0016】
本発明の一実施形態は、前記重合性化合物(C)は、1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2)(ただし、アミノ基含有重合性化合物(C1)を除く)を含む、前記の感光性組成物に関する。
【0017】
本発明の一実施形態は、前記重合性化合物(C)の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂
(B)100質量部に対して20~200質量部である、前記の感光性組成物に関する。
【0018】
本発明の一実施形態は、前記アミノ基含有重合性化合物(C1)の含有量が、前記重合性化合物(C)100質量部に対して5~50質量部である、前記の感光性組成物に関する。
【0019】
本発明の一実施形態は、さらにチオール化合物(F)を含む、前記の感光性組成物に関する。
【0020】
本発明の一実施形態は、さらにシランカップリング剤(G)を含む、前記の感光性組成物に関する。
【0021】
本発明の一実施形態は、前記感光性組成物から形成されてなる硬化膜に関する。
【0022】
また、本発明の他の一実施形態は、前記の硬化膜を有する、光学フィルタに関する。
【0023】
また、本発明の他の一実施形態は、前記の硬化膜を有する、カラーフィルタに関する。
【0024】
また、本発明の他の一実施形態は、前記の硬化膜を有する、画像表示装置に関する。
【0025】
また、本発明の他の一実施形態は、前記の硬化膜を有する、固体撮像素子に関する。
【0026】
また、本発明の他の一実施形態は、前記の硬化膜を有する、赤外線センサに関する。
【発明の効果】
【0027】
上記の本発明によれば、組成物が析出しにくく、経時安定性及び低温焼成工程後の耐溶剤性が良好で、高温高湿耐性に優れる硬化膜を形成できる感光性組成物を提供できる。また、本発明は、硬化膜、光学フィルタ、カラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子、及び赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、硬化膜を備えた画像表示装置の概略断面図を示す。
【
図2】
図2は、硬化膜を備えた赤外線センサの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の感光性組成物を実施するための形態について詳細に説明する。本発明は、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0030】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル又はメタアクリロイル」、「アクリル又はメタアクリル」、「アクリル酸又はメタアクリル酸」、「アクリレート又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。画像表示装置は、液晶表示装置、有機EL表示装置等を含む。
重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合を含む基である。単量体は、重合により樹脂を形成しうるエチレン性不飽和結合含有化合物である。単量体は、未反応の化合物であり、単量体単位は、単量体を重合後に樹脂を形成している部分構造である。
本明細書における化合物の分子量は、分子量が特定できる低分子化合物については、計
算により算出した値、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布をもつ化合物については、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0031】
[感光性組成物]
本明細書の感光性組成物は、色素(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)(以下、「樹脂(B)」とも記す。)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)、溶剤(E)を含み、前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、前記一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)、又は一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)を含む。一般式(2)で示す単量体単位(b32)および一般式(1)で示す単量体単位(b31)は、ともに熱架橋性基を有している。
【0032】
上記構成の感光性組成物が上記課題を解決できるメカニズムは明らかではないが、以下推測している。感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B2)の一般式(1)で示す単量体単位(b31)が有するエチレン性不飽和基(d2)が光重合のみならず、低温焼成でも重合するため、架橋効率に優れ、低温焼成工程後の耐溶剤性が良好で、高温高湿耐性に優れる硬化膜を形成できる。また、感光性組成物は、樹脂(B1)の一般式(2)で示す単量体単位(b32)が有するブロックイソシアナト基は、従来のブロックイソシアナト基に比べて、より低温でブロック剤を脱離するため、より低温の硬化でも高い溶剤耐性や高温高湿耐性を示す塗膜が得られる。
【0033】
[色素(A)]
本明細書の感光性組成物は、色素(A)を含有する。これにより、各波長領域の透過率の制御をすることができ、感光性組成物の硬化物である硬化膜の透過波長を制御し易くなる。なお、透過率の制御をするのは可視領域以外であってもよく、透過率の制御をしていれば無色透明であってもよい。
【0034】
色素(A)は、顔料、染料、近赤外線吸収色素のいずれでもよい。
【0035】
(顔料)
顔料は、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物である。顔料は、例えば、赤色顔料、橙色顔料、青色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料、黒色顔料等が挙げられる。
【0036】
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,28
0,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、C.I.ピグメントレッド48:1,122,177,224,242,269,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料がさらに好ましい。
【0037】
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等が挙げられる。
【0038】
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料、特開2017-171915号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー138,139,150,185,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料、特開2017-171915号公報に記載された顔料が好ましい。
【0039】
緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,62,63が好ましい。
【0040】
青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6が好ましい。
【0041】
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントバイオレット19,23が好ましい。
【0042】
黒色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31等が挙げられる。また、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、及び紫色顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料を用いて黒色着色剤としてもよい。
【0043】
上記以外の無機顔料は、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛
、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。
【0044】
(染料)
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、これらの誘導体、及び染料をレーキ化したレーキ顔料も色素(A)に用いることができる。
【0045】
酸性染料は、スルホン酸及びカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。また、酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との塩である造塩化合物を色素(A)に用いることが好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた感光性組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0046】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸及び過塩素酸、並びにその金属塩と塩を形成する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)及び、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物において、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0047】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられる。
【0048】
これらの中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0049】
(近赤外線吸収色素)
近赤外線吸収色素は、波長700~2,000nmの範囲に極大吸収を有す化合物である。近赤外線吸収色素は、顔料(近赤外線吸収顔料ともいう)または染料(近赤外線吸収
染料ともいう)である。また、近赤外線吸収顔料と近赤外線吸収染料を併用してもよい。なお、近赤外線吸収色素は、耐熱性の観点から、近赤外線吸収顔料が好ましい。
近赤外線吸収顔料の溶解度は、25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対して2g未満が好ましく、1g未満がより好ましく、0.5g以下がさらに好ましい。
【0050】
近赤外線吸収色素は、例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インジゴ化合物、インモニウム化合物、アントラキノン化合物、ピロロピロ-ル化合物、スクアリリウム化合物、クロコニウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、ナフタロシアニン化合物、ピロロピロ-ル化合物、スクアリリウム化合物が好ましく、ナフタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物がより好ましい。
【0051】
色素(A)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0052】
色素(A)の含有量は、感光性組成物の不揮発分中、1~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。
【0053】
[樹脂型分散剤(Z)]
本明細書の感光性組成物は、樹脂型分散剤(Z)を含有できる。樹脂型分散剤(Z)は、色素(A)の分散に使用することが好ましい。樹脂型分散剤(Z)は、色素(A)に吸着する性質を有する色素(A)親和性部位と、色素(A)以外の成分と親和する緩和部位を有している。樹脂型分散剤(Z)は、例えば、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステル、又はこれらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミド又はその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂又は水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0054】
樹脂型分散剤(Z)は、グラフト樹脂(櫛型樹脂ともいう)又はブロック共重合体が好ましい。なお「グラフト樹脂」とは、主鎖となる分子鎖上に、該主鎖とは異なる高分子を側鎖としてもつ樹脂をいい、例えば、主鎖となる(AA…AA)に側鎖として(BB…BB)をもつ重合体である。また、「ブロック共重合体」とは、複数の異なる単独高分子を部分構成成分(ブロック)とする直鎖高分子からなる共重合体をいい、例えば、(AA…AA)-(BB…BB)-(AA…AA)のような構造をもつ。前記主鎖は、重合体等からなってもよく、例えば、ポリエステルからなることが好ましい。
【0055】
樹脂型分散剤(Z)は、ランダム共重合体ではなく、グラフト樹脂又はブロック共重合体であることにより、樹脂型分散剤(Z)としての機能をより発揮できる。すなわち、グラフト樹脂及びブロック共重合体では、どちらも親和性部位と緩和性部位がまとまりとして存在するため、分散機能が発揮しやすいと推測する。
【0056】
樹脂型分散剤(Z)は、極性基の違いにより酸性樹脂型分散剤(ZA)および塩基性樹脂型分散剤(ZB)が挙げられる。
【0057】
(酸性樹脂型分散剤(ZA))
酸性樹脂型分散剤(ZA)は、例えば、芳香族カルボン酸構造を有する樹脂型分散剤が挙げられる。酸性樹脂型分散剤(ZA)は、国際公開第2008/007776号、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開平8-143651号公報等の公知の方法で製造できる。酸性樹脂型分散剤(ZA)は、例えば、光架橋性基を有する光架橋性酸性樹脂型分散剤(ZAUV-1)及び光架橋性基を有しない非光架橋性酸性樹脂型分散剤(ZA―2)が挙げられる。
【0058】
((光架橋性酸性樹脂型分散剤(ZAUV-1)))
光架橋性酸性樹脂型分散剤(ZAUV-1)(以下、単に「樹脂型分散剤(ZAUV-1)」ともいう)は、例えば、主鎖に芳香族カルボン酸構造、および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体部位を有する分散剤が挙げられる。樹脂型分散剤(ZAUV-1)は、例えば、(1)テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物の群から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と、別途合成したビニル重合体中の水酸基とを反応させて合成する方法、(2)前記酸無水物中の酸無水物基に水酸基含有チオールを反応させた上で、前記チオールのチオール基を起点として単量体を重合してビニル重合体部位を形成する方法が挙げられる。樹脂型分散剤(ZAUV-1)は、換言するとカルボキシル基を有するポリエステル部分と、モノマーを重合したビニル重合体部分からなる分散剤であって、ビニル重合体部分に(メタ)アクリロイル基を有する分散剤である。樹脂型分散剤(ZAUV-1)は、例えば、特開2011-157416号公報記載の櫛型分散剤が挙げられる。また、その他の方法として、特許6782309号公報記載の櫛型分散剤も用いることができる。
【0059】
テトラカルボン酸二無水物は、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも着色剤に対する吸着性が優れる面で、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、芳香族環を2つ以上有するテトラカルボン酸二無水物がより好ましい。
【0060】
トリカルボン酸無水物は、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でもトリメリット酸無水物がより好ましい。
【0061】
((メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体部位)
(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体部位は、ビニル重合体部分の水酸基に、イソシアネート基含有単量体中のイソシアネート基を反応させて合成できる。これにより緩和部位であるビニル重合体部位に光硬化性を付与することができる。
【0062】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0063】
水酸基含有チオールは、2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物が好ましい。しては、水酸基含有チオールは、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0064】
ビニル重合体部位の合成に使用する単量体は、例えば、水酸基、オキセタン基、t-ブチル基およびブロックイソシアナト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基、カルボキシル基含有単量体、その他単量体が挙げられる。
【0065】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル-α-ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート;
水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体として、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド;
水酸基を有するビニルエーテル系単量体として、例えば、2-ヒドロキシエチルビニル
エーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル;
水酸基を有するアリルエーテル系単量体として、例えば、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
【0066】
オキセタン基含有単量体は、例えば、(ビニルオキシアルキル)アルキルオキセタン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキセタン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]アルキルオキセタン、メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルが好ましい。
【0067】
tert-ブチル基を有する単量体は、例えば、t-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート等が挙げられる。
【0068】
ブロックイソシアナト基含有単量体は、例えば、メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0069】
熱架橋性官能基含有単量体の使用量は、全単量体中1~90質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましい。適量使用すると被膜の耐溶剤性がより向上する。
【0070】
カルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0071】
その他単量体は、(メタ)アクリル酸エステル、窒素含有基単量体、ビニル単量体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の脂肪族環(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0072】
窒素含有基単量体は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;メタ)アクリロニトリル等のニトリル類が挙げられる。
【0073】
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0074】
((非光架橋性酸性樹脂型分散剤(ZA―2)))
非光架橋性酸性樹脂型分散剤(ZA―2)(以下、単に「樹脂型分散剤(ZA―2)」ともいう)は、主鎖に芳香族カルボン酸構造を有し、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有しないビニル重合体部位を有する分散剤が好ましい。樹脂型分散剤(ZA―2)は、樹脂型分散剤(ZAUV-1)の構造から(メタ)アクリロイル基を除いた構造が好ましい。樹脂型分散剤(ZA―2)は、例えば、特許第4396777号公報、及び特許第5181664号公報記載の櫛型分散剤が挙げられる。樹脂型分散剤(ZAUV-1)と樹脂型分散剤(ZA―2)を併用することで、被膜の光硬化性を適宜調整できる。
【0075】
酸性樹脂型分散剤(ZA)の含有量は、現像性の観点から、樹脂型分散剤(Z)100質量%中、20~100質量%が好ましい。
【0076】
酸性樹脂型分散剤(ZA)を配合する場合の酸価は、現像性の観点から、20~200mgKOH/gが好ましく、40~150mgKOH/gがより好ましい。「酸価」とは、樹脂固形分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。
【0077】
また、樹脂型分散剤(ZAUV-1)の含有量は、耐溶剤性の観点から、酸性樹脂型分散剤(ZA)100質量部中、40~100質量%が好ましい。
【0078】
(塩基性樹脂型分散剤(ZB))
塩基性樹脂型分散剤(ZB)は、例えば、窒素原子含有グラフト共重合体、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤等が挙げられる。
【0079】
また、特開2009-185277号公報に開示されている様に、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(樹脂型分散剤の機能を有する)とを併用することも好ましい例として挙げられる。
【0080】
樹脂型分散剤(ZB)を配合する場合のアミン価(mgKOH/g)は、現像性、色素分散性の観点から、10~200mgKOH/gが好ましく、20~150mgKOH/gがより好ましい。「アミン価」とは、分散剤固形1g中に含まれる塩基性窒素を中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数であり、ASTM D 2074に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。
【0081】
(その他樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤(Z)は、上記以外のその他分散剤を併用できる。
その他分散剤は、例えば、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステル、又はこれらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミド又はその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレ
ン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂又は水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0082】
樹脂型分散剤(Z)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0083】
樹脂型分散剤(Z)の使用量は、色素(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。適量使用すると成膜性がより向上する。
【0084】
また、樹脂型分散剤(Z)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、2~33質量%が好ましい。
【0085】
樹脂型分散剤(Z)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、課題を解決できれば分子量にこだわらないところ、分散安定性、現像シミ、耐溶剤性、現像速度の観点から4,000以上90,000以下が好ましく、5,000以上30,000以下がより好ましい。
【0086】
[アルカリ可溶性樹脂(B)]
本明細書の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」)ともいう)を含有する。樹脂(B)は、バインダ樹脂であり、下記一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)、または下記一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)を含有する。本明細書の感光性組成物は、さらに、任意成分として、後述する一般式(1)で示す単量体単位(b31)及び一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有しないアルカリ可溶性樹脂(B3)を含んでもよい。
【0087】
樹脂(B)は、ランダム共重合体であることが好ましい。ランダム共重合体の分子構造は、通常鎖状である。「ランダム共重合体」とは、二つ以上の構成単位が無秩序に配列しているような共重合体をいう。
【0088】
ブロック重合体および櫛型重合体は、色素吸着部位・緩和部位といった機能性部位を持つため機能性部位間の分子間力の作用により分子同士が凝集しやすい。一方ランダム重合体は、二つ以上の構成単位が無秩序に配列しているため、分子間力の作用が弱く分子が不定形に広がりやすいと推測している。感光性組成物中でランダム重合体は、全体的に拡散して存在している。そのため本明細書の感光性組成物は、表面が平滑で凝集力が高い被膜を形成できる。これにより薬品や環境試験における水分等の塗膜内部への浸透を抑制し、高温高湿耐性の高い塗膜の提供に寄与する。
【0089】
[一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)]
一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)(以下、単に「樹脂(B1)」)ともいう)は、下記一般式(5)で示すブロックイソシアナト基を有する単量体(m3)を重合して得られる。
【0090】
(一般式(2)で示す単量体単位(b32))
一般式(2)
【化3】
一般式(2)中、Xは2価の連結基を表す。R
1、R
6は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。R
2、R
3、R
4、R
5は、は水素原子またはメチル基を表す。
【0091】
(ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3))
ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3)は、例えば、以下一般式(5)で表される化合物が好ましい。
一般式(5)
【化4】
【0092】
一般式(5)中、Xは2価の連結基を表す。R1、R6は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。R2、R3、R4、R5は、は水素原子またはメチル基を表す。
【0093】
一般式(5)で表される化合物は、低温硬化における耐溶剤性、高温高湿耐性の観点で、以下の化合物(1)~(4)が好ましい。これらは国際公開第2022/145298号の実施例に従い合成できる。
【0094】
【0095】
ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3)が有するブロックイソシアナト基は、従来のブロックイソシアナト基に比べて、より低温でブロック剤を脱離するため、より低温の硬化でも、より高い溶剤耐性や高温高湿耐性を示す塗膜が得られる。
【0096】
前記ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3)は、後述する塩基(X)によりエチレン性不飽和基(d2)を形成する。
【0097】
一般式(2)で示す単量体単位(b2)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全単量体単位中、3~60モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。適量含有すると耐薬品性がより向上する。
【0098】
樹脂(B1)は、さらに、一般式(2)で示す単量体単位以外の第二のブロックイソシアナト基含有単量体単位を有することが好ましい。これにより、低温硬化における耐溶剤性が向上する。
【0099】
前記第二のブロックイソシアナト基含有単量体単位の含有量は、樹脂(B2)の全単量体単位中1~40モル%が好ましく、5~20モル%がより好ましい。
【0100】
前記第二のブロックイソシアナト基含有単量体は、例えば、メタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)カルボニルアミノエチル、メタクリル酸2-[O-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、マロン酸-2-[[[2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル]オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3ジエチルエステルが挙げられる。
【0101】
[一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)]
下記一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)(以下、単に「樹脂(B2)」)ともいう)は、ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3)を重合後、前記単量体(m3)からの脱アルコールにより生じる中間体を、塩基(
X)で処理することで、脱炭酸されて炭素-炭素結合が形成されると推測する。なお、樹
脂(B)は、一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有すればよいため、合成経路を問わないことはいうまでもない。
【0102】
【0103】
一般式(1)中、Xは2価の連結基を表す。R1は水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。R2は水素原子、またはメチル基を表す。
【0104】
一般式(1)で示す単量体単位(b31)が有するエチレン性不飽和基(d2)は、光重合のみならず、低温加熱でも重合する。そのため、被膜の架橋効率が高くなり易く、より高い溶剤耐性や高温高湿耐性を示す塗膜が得られると推測する。
【0105】
一般式(1)で示す単量体単位(b31)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の全単量体単位中、3~60モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。適量含有すると耐薬品性がより向上する。
【0106】
樹脂(B2)は、さらに、一般式(2)で示す単量体単位以外の第二のブロックイソシアナト基含有単量体単位を有することが好ましい。これにより、低温硬化における耐溶剤性が向上する。
【0107】
前記第二のブロックイソシアナト基含有単量体単位の含有量は、樹脂(B2)の全単量体単位中1~40モル%が好ましく、5~20モル%がより好ましい。
【0108】
前記第二のブロックイソシアナト基含有単量体は、樹脂(B1)で例示した単量体を使用できる。
【0109】
樹脂(B)が、前記一般式(2)で示す単量体単位(b32)及び一般式(1)で示す単量体単位(b31)を含む場合、一般式(2)で示す単量体単位(b32)と一般式(1)で示す単量体単位(b31)の合計100モル%中、一般式(2)で示す単量体単位(b32)が10モル%未満の場合はアルカリ可溶性樹脂(B1)、10モル%以上の場合はアルカリ可溶性樹脂(B2)である。
【0110】
(その他単量体単位(m4))
その他単量体は、ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3)と共重合可能であればよく限定されない。
【0111】
その他単量体単位(m4)は、例えば、脂肪族縮合環構造含有単量体単位(m4-1)、酸性基含有単量体単位(m4-2)、エポキシ基含有単量体単位(m4-3)、重合性不飽和基含有単量体単位(m4-4)、その他単量体単位(m4-5)が挙げられる。これらの中でも、低温加熱での高温高湿耐性の観点から、脂肪族縮合環構造含有単量体単位(m4-1)を有することが好ましく、現像性の観点から、酸性基含有単量体単位(m4-2)を有することが好ましい。
【0112】
〔脂肪族縮合環構造含有単量体単位(m4-1)〕
脂肪族縮合環構造含有単量体は、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0113】
脂肪族縮合環構造含有単量体単位(m4-1)の含有量は、低温加熱での高温高湿耐性の観点から、樹脂(B2)の全構成単位中、1~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。
【0114】
〔酸性基含有単量体単位(m4-2)〕
酸性基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、け
い皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、無水マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキシルヒドロフタル酸、p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
【0115】
酸性基含有単量体単位(m4-2)の含有量は、現像性の観点から、樹脂(B2)の全構成単位中、1~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。
【0116】
また、樹脂(B1)及び樹脂(B2)に酸性基含有単量体単位(m4-2)を導入する方法は、一般式(2)で示す単量体単位(b32)又は一般式(1)で示す単量体単位(b31)と酸性基含有単量体とを共重合する方法以外に、樹脂(前駆体)に含まれる水酸基に、酸無水物(変性化合物)を付加させる方法を用いてもよい。前記酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0117】
〔エポキシ基含有単量体単位(m4-3)〕
エポキシ基含有単量体は、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0118】
〔重合性不飽和基含有単量体単位(m4-4)〕
重合性不飽和基含有単量体単位(m4-4)は、例えば、以下に示す(i)~(iii)の方法によって導入した単位が挙げられる。
【0119】
<方法(i)>
酸性基含有単量体単位(m4-2)を有する樹脂の酸性基に、上述のエポキシ基含有単量体を付加させる方法(i)がある。
【0120】
<方法(ii)>
エポキシ基含有単量体単位(m4-3)を有する樹脂のエポキシ基に、上述の酸性基含有単量体を付加させる方法(ii)がある。
【0121】
また、方法(i)、(ii)の反応によって生じた水酸基に、更に、酸無水物を反応させた重合性不飽和基含有単量体単位(m4-4)も好ましい。
【0122】
酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0123】
<方法(iii)>
水酸基含有単量体単位を有する樹脂の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させる方法(iii)がある。
【0124】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル-α-ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート等が挙げられる。
【0125】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0126】
〔その他単量体単位(m4-5)〕
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類;
スチレン、α-メチルスチレン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物類;
メタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)カルボニルアミノエチル、メタクリル酸2-[O-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、マロン酸-2-[[[2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル]オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3ジエチルエステル、安息香酸-4-[[[[2-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステル、安息香酸-2-[[[[2-[(2-メチル-1-オキシ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステル、及び2-プロペン酸-2-メチル-2-[[(3,5-ジメチルフェノキシ)カルボニル]アミン]エチルエステル、等のエチレン性不飽和基(d2)を有しないブロックイソシアネート化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0127】
その他単量体単位(m4)は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0128】
その他単量体単位(m4)の全単量体単位中の含有量は、に1モル%以上85モル%以下が好ましく、10モル%以上70モル%以下がより好ましい。
【0129】
一般式(1)で示す単量体単位(b31)は、本発明の感光性組成物の低温硬化でも十分な反応性を有するため低温硬化後の硬化膜の耐薬品性や高温高湿耐性が向上する。またメカニズムは不明だが、分散性又は乾燥耐性が高く、乾燥異物が発生しにくいため好ましい。
【0130】
樹脂(B2)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、課題を解決できれば分子量にこだわらないところ、粘度安定性や現像性の観点から4,000以上100,000以下が好ましく、5,000以上30,000以下がさらに好ましい。
【0131】
樹脂(B2)の酸価は、現像性の観点から、20~200mgKOH/gが好ましく、40~150mgKOH/gがより好ましい。「酸価」とは、樹脂固形分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。
【0132】
(塩基(X))
塩基(X)は、ブロックイソシアナト基を有する単量体単位(m3)との反応によりエチレン性不飽和基(d2)を形成できるものであれば、特に限定されない。塩基(X)としては、例えば、以下に示す一般式(30)が挙げられる。
【0133】
一般式(30)
R6N=CR7-NR8R9
式中、R6は水素原子、炭素数が1~20の炭化水素基、または-NR10
2で表される基である。R7、R8、R9およびR10は水素原子または炭素数が1~20の炭化水素基であって、2つのR10は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。R6、R7、R8、R9、および2つのR10のうち任意の2つ以上の基が結合して環状構造を形成していてもよい。
【0134】
一般式(30)で示す化合物は、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジンが好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7がより好ましい。
【0135】
樹脂(B2)の含有量は、樹脂(B)100質量部中、5~100質量部が好ましく、20~95質量部がより好ましい。
【0136】
[一般式(1)で示す単量体単位(b31)及び一般式(2)で示す単量体単位(b32)、を有しないアルカリ可溶性樹脂(B3)]
本明細書の感光性組成物は、本明細書の効果を損なわない範囲でアルカリ可溶性樹脂(B)以外のアルカリ可溶性樹脂(B3)(以下、単に「樹脂(B3)」ともいう)を含んでもよい。
【0137】
樹脂(B3)は、アルカリ現像液に溶解する樹脂であればよく、公知の樹脂を使用できる。樹脂(B3)は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも現像性、耐熱性、透明性が向上する面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0138】
樹脂(B3)は、エチレン性不飽和基を含んでもよいが、一般式(1)で示す単量体単位(b31)が有するエチレン性不飽和基(d2)を含まない。
【0139】
樹脂(B3)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0140】
樹脂(B3)の合成には、上述のその他単量体単位(m4)を使用できる。
【0141】
樹脂(B3)の含有量は、現像性、基材密着性の観点から、樹脂(B)100質量部中、5~95質量部以下が好ましく、10~90質量部以下がより好ましい。
【0142】
樹脂(B3)はエチレン性不飽和二重結合(d1)を含んでもよい。
【0143】
[重合性化合物(C)]
重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を有する分子量2,000以下のモノマー、オリゴマーである。前記重合性不飽和基は、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも耐薬品性の観点で(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性化合物(C)は主にパターン形状、低温焼成工程後の耐溶剤性の向上に寄与する。
【0144】
重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を1~5個有する重合性化合物が好ましく、重合性不飽和基を1~4個有する化合物がより好ましく、重合性不飽和基を1~3個有する化合物がさらに好ましい。これにより耐薬品性がより向上する。なお、重合性不飽和基を6個以上有する重合性化合物を使用すると、架橋密度の低下により、180℃以下の加熱後に十分な耐薬品性を得られない場合がある。そのため重合性不飽和基を6個以上含む重合性化合物は本明細書の効果を損なわない範囲で使用することが好ましい。
また、重合性不飽和基を1個有する重合性化合物は露光工程における光重合反応において、重合性成分の末端に官能基等を導入する目的で使用することができる。酸基又は水酸基、立体障害基を含有する重合性不飽和基を1個有する重合性化合物を適宜使用することで、現像性及び耐薬品性を向上できる。
【0145】
重合性化合物(C)は、アミノ基含有重合性化合物(C1)、1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2)、その他重合性化合物が挙げられる。これらの中でもアミノ基含有重合性化合物(C1)、1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2)が好ましく、アミノ基含有重合性化合物(C1)がより好ましい。
【0146】
(アミノ基含有重合性化合物(C1))
アミノ基含有重合性化合物(C1)(以下、単に「重合性化合物(C1)」ともいう)中のアミノ基は、1級アミン、2級アミン、又は3級アミンが挙げられるところ、感光性組成物の保存安定性及び乾燥異物の観点から、3級アミンが好ましい。なお、前記アミノ基は、カルボニル基が窒素原子と直接結合しているアミド構造、イミド構造及びウレタン構造は含まない。
【0147】
重合性化合物(C1)は、分子内に窒素原子を有するため、水素が引き抜かれ炭素ラジカルを生成しやすい。そのため、発生したヒドロキシペルオキシラジカルが、重合性化合
物(C1)から水素を引き抜くことで、新たに生成する炭素ラジカルが重合を開始する。また、生成した炭素ラジカルが、酸素を捕捉できるため、光硬化の際、酸素濃度を低減できる。そのため酸素による重合阻害が抑制され、重合が十分に進行するため、その後の低温加熱工程で膜の硬化が進み必要な溶剤耐性が得られると推測する。また、アミノ基は、極性を有するため、乾燥異物の抑制、およびパターン形成性の向上に寄与すると推測する。
【0148】
重合性化合物(C1)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0149】
重合性化合物(C1)の含有量は、重合性化合物(C)100質量部中0.5質量部以上が好ましく、1~80質量部がより好ましく、5~50質量部が特に好ましい。これにより、乾燥異物、パターン形成性、耐溶剤性が向上する。
【0150】
重合性化合物(C1)は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミン等が挙げられる。
【0151】
重合性化合物(C1)は、(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物を用いても良い。
【0152】
前記(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキサイド単位は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0153】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0154】
前記アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン;
等が挙げられる。
【0155】
アミン化合物(Y)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0156】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0157】
重合性化合物(C1)は、酸性基又は水酸基を有してもよい。酸性基又は水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)又はアミン化合物(Y)に、酸性基又は水酸基を有する化合物を使用する方法、又はマイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0158】
重合性化合物(C1)が酸性基を有する場合、その酸価は1~200mgKOH/gであることが好ましい。
【0159】
重合性化合物(C1)が水酸基を有する場合、その水酸基価はパターン形成性、および乾燥異物の観点から、5~500mgKOH/gが好ましく、10~200mgKOH/gがさらに好ましい。
【0160】
重合性化合物(C1)の市販品は、東亞合成社製のアロニックスMT-3041(水酸基価:87mgKOH/g)、MT-3042(水酸基を有する多官能アミノアクリレート)、アロンDA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL 80、7100、SARTOMER社製のCN371、CN550、CN551等が挙げられる。
【0161】
重合性化合物(C1)の含有量は、乾燥析出物、高温高湿耐性の観点から、重合性化合物(C)100質量部中、5~95質量部が好ましく、5~70質量部がより好ましく、5~50質量部が特に好ましい。
【0162】
重合性化合物(C1)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0163】
(1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2))
本明細書の感光性組成物は、1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2)(以下、単に「重合性化合物(C2)」ともいう)を含むことが好ましい。低温焼成における耐薬品性がより向上する。重合性化合物(C2)はアミノ基を含有しない化合物である。
【0164】
一般に、カラーフィルタ用感光性組成物の場合、紫外線露光により高い耐性を得るには重合性不飽和基数の多い重合性化合物が用いられる傾向がある。これは露光による重合の進行とともに重合性不飽和基のモビリティが低下し、架橋形成能が低下したとしても、後工程の高温加熱焼成により感光性組成物が溶融し、再度モビリティを獲得することにより、新たな架橋を形成することにより充分な耐溶剤性が得られると推定している。一方、低温加熱焼成においては、感光性組成物が溶融することは困難であるため、紫外線露光工程において、より効率的な架橋形成が必要となる。このような場合においては、流動性が高く、露光により重合が進行しても架橋性が低下しにくい1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2)を用いることが好ましいと推測する。
【0165】
以下、重合性化合物(C2)に含まれる1個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-1)、2個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-2)、3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-3)について詳述する。
【0166】
(1個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-1))
1個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-1)は、例えば、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)クリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシ化-O-フェニルフェノールアクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルビニルエーテル、3-エチル-3-[(ビニロキシ)メチル]オキセタン、2-アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチル-コハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、1,2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、等が挙げられる。
【0167】
これらの中でも、現像性の観点で、2-アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチル-コハク酸が好ましい。
【0168】
1個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-1)の市販品は、例えば、新中村化学工業社製のNKエステルAMP-20GY、A-LEN-10、A-SA、M-20G、PHE-1G、東亞合成社製アロニックスM-101A、M-111、M-140、M-5400,M-5700,丸善石油化学社製のEHVE、EOXTVE、HBVE、DEGV、共栄社化学工業社製ライトアクリレートHOA-MS(N)、HOA-MPL(N)、HOA-HH(N)、HOA-MPE(N)、P-1A、P-1M、P-2M、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、等が挙げられる。
【0169】
これらの中でも、現像性の観点で、共栄社化学工業社製ライトアクリレートHOA-MS(N)、HOA-HH(N)、HOA-MPL(N)が好ましい。
【0170】
2個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-2)は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,4-ブタンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3-メチルペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート、ビス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0171】
これらの中でも、テーパー形状、耐溶剤性の観点で、1,4-ブタンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオ-ルジ(メタ)アクリレートが好ましく、1,8-オクタンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオ-ルジ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0172】
2個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-2)の市販品は、例えば、新中村化学工業社製のNKエステルA-HD-N、A-NOD-N、A-DOD-N、A-NPG、ABE-300,A-DOG,A-DCP,A-BPE-4、701A、A-200、東亞合成社製アロニックスM-208、M-211B、M-215、M-220、M-240、M-1100、M-1200等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0173】
これらの中でも、テーパー形状、耐溶剤性の観点で、新中村化学工業社製のNKエステルA-DOD-N、大阪有機化学工業社製ビスコート#230が好ましい。
【0174】
(3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-3))
3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-3)は、例えば、エトキシ化グリセリントリアクリレート、トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、等が挙げられる。
【0175】
3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-3)の市販品は、例えば、新中村化学工業社製のNKエステルA-9300、A-GLY-3E、A-9200YN、東亞合成社製アロニックスM-309、M-315、M-321、M-350等が挙げられる。
【0176】
これらの中でも、現像性及び耐熱性の観点で、新中村化学工業社製のNKエステルA-9300が好ましい。
【0177】
重合性化合物(C2)が酸性基を有する場合、その酸価は1~200mgKOH/gであることが好ましい。
【0178】
重合性化合物(C2)が水酸基を有する場合、その水酸基価はパターン形成性、および乾燥異物の観点から、5~500mgKOH/gが好ましく、10~200mgKOH/gがさらに好ましい。
【0179】
重合性化合物(C2)の含有量は、耐溶剤性、高温高湿耐性、現像性、パターン形成性の観点から、重合性化合物(C)100質量部中、5~95質量部が好ましく、5~90
質量部がより好ましい。
【0180】
重合性化合物(C2)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0181】
(その他重合性化合物)
その他重合性化合物は、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ-ルプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0182】
その他重合性化合物の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#2500P、東亞合成社製アロニックスM-402、M-520,M-521、M-7100、M-8030、M-8560、M-9050、日本化薬社製のKAYARAD DPCA30、DPCA60、DPCA120、DPEA12、D-310、FM-700、DPHA等が挙げられる。
【0183】
重合性化合物(C)の含有量は、光硬化性、現像性、耐薬品性の観点から感光性組成物の不揮発分100質量部中、5~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
【0184】
重合性化合物(C)の含有量は、経時安定性及び耐薬品性の観点から樹脂(B)100質量部に対して20~200質量部が好ましく、50~150質量部がより好ましい。
【0185】
重合性化合物(C1)と重合性化合物(C2)を併用することにより耐薬品性が大きく向上する。これは、重合性不飽和基数が1~3個と比較的少ない重合性化合物(C2)は、4個以上の重合性不飽和基を有する重合性化合物に対し、光架橋時のモビリティ低下が少なく、架橋密度が高くなる性質に加え、酸素阻害抑制能を有するアミノ基含有重合性化合物(C1)が更に架橋密度を高めると推定している。
【0186】
重合性化合物(C1)と重合性化合物(C2)との質量比C1:C2は、5:95~50:50が好ましく、C1:C2=5:95~25:75がより好ましい。適度な比率で使用すると、乾燥異物、経時安定性、耐湿性が向上する。
【0187】
[光重合開始剤(D)]
本明細書の感光性組成物は、O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1)を含むことが好ましい。O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1)は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。
【0188】
(O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1))
O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1)は、例えば、下記一般式(d1)~一般式(d7)で示す化合物が挙げられる。
【0189】
(一般式(d1)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-1))
【0190】
【0191】
一般式(d1)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数2~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、またはフェニル基を示す。R3は、-COR5、水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、アシル基、ニトロ基、またはスルホ基を示す。R5は、置換基を有するフェニル基、及びチエニル基を示す。R4は水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である。上記R1~R4のアルキル基、環状のアルキル基、アシル基、およびフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルコキシル基、およびフェニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。なお、R1~R4における置換基の水素原子はさらに他の置換基R6で置換されていてもよい。R6はハロゲン原子、フッ素原子、アルキル基、環状のアルキル基、アシル基、ニトロ基、スルホ基、およびフェニル基を示す。
【0192】
上記一般式(d1)中の、R1~R4で表される炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基は、例えば、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。
なお、R1がメチルの化合物としてOXE-02(エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム))が挙げられるが、被膜の耐光性が悪く課題を解決しないためメチル基を含まない。
【0193】
また、上記一般式(d1)中の、R5で表される置換基を有するフェニル基は、例えば、p-クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、化学式(d1-A)で表される基等が挙げられる。
【0194】
【0195】
上記一般式(d1)中の、*は結合手である。
【0196】
上記一般式(d1)中の、R1~R4で表される炭素数3~20の環状のアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドテシル基等が挙げられる。
【0197】
一般式(d1)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-1)は、例えば、1-[9-エチル-6-ベンゾイル-9.H.-カルバゾール-3-イル]-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-[9-エチル-6-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-[9-n-ブチル-6-(2-エチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、エタノン,1-[9-エチル-6-(3-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-(9-エチル-6-ベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル)-、1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)および下記化学式(d1-1)~化学式(d1-10)で示す化合物が挙げられる。
【0198】
【0199】
(一般式(d2)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-2))
【0200】
【0201】
一般式(d2)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状の置換基を有してもよいアルキル基、またはフェニル基を示す。R3は、水素原子、O-アシルオキシム構造を有する基、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、アシル基、ニトロ基、アセトキシ基またはスルホ基を示す。上記R1~R3のアルキル基、環状のアルキル基、アシル基、およびフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルコキシル基、およびフェニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。R4は水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、ま
たは炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基である。R4で表されるアリール基、アリールアルキル基の水素原子は、更にR21、-OR21、-COR21、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、又は-COOR21で置換されていてもよく、R21は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基を表し、R21で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基の水素原子は、更に水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基又はカルボキシル基で置換されていてもよい。上記アルキル基、アシル基、およびフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルコキシル基、およびフェニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。なお、R1~R4における置換基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0202】
上記一般式(d2)中の、R1~R4で表される炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。
【0203】
上記一般式(d2)中の、R1~R4で表される炭素数3~20の環状のアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドテシル基等が挙げられる。
【0204】
上記一般式(d2)中の、R3で表されるO-アシルオキシム構造を有する基は一般式(d2-B)で表されることが好ましい。
【0205】
【0206】
上記一般式(d2-B)中、*は、結合手である。
【0207】
上記一般式(d2)中の、R4、R21で表される炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等が挙げられる。
【0208】
上記一般式(d2)中の、R4で表される炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル、フェニルエチル等が挙げられる。
【0209】
一般式(d2)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-2)は、例えば、下記化学式(d2-1)~化学式(d2-6)で示す化合物が挙げられる。
【0210】
【0211】
(一般式(d3)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-3))
【0212】
【0213】
一般式(d3)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、またはフェニル基を示す。R3、R5は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、アシル基、ニトロ基、またはスルホ基を示す。上記R1~R3のアルキル基、アシル基、およびフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルコキシル基、およびフェニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。R4は水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数4~20の複素環基、または-COR6を示す。R6は炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、または炭素数4~20の複素環基を示す。なお、R1~R6における置換基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0214】
上記一般式(d3)中の、R1~R5で表される炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。
【0215】
上記一般式(d3)中の、R1~R5で表される炭素数3~20の環状のアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドテシル基等が挙げられる。
【0216】
上記一般式(d3)中の、R4及びR7で表される炭素数4~20の複素環基は、例えば、
ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ベンゾオキサゾール-2-イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル等の5~7員複素環が挙げられる。
【0217】
上記一般式(d3)中の、R6で表される炭素数6~30のアリール基は、例えば、
フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等が挙げられる。
【0218】
上記一般式(d3)中の、R6で表される炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル、フェニルエチル等が挙げられる。
【0219】
一般式(d3)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-3)は、例えば下記化学式(d3-1)~化学式(d3-3)で示す化合物が挙げられる。
【0220】
【0221】
(一般式(d4)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-4))
【0222】
【0223】
一般式(d4)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、またはフェニル基を示す。R3、R5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、アシル基、ニトロ基、またはスルホ基を示す。R4は水素原子又はアルコキシ基であり、当該アルコキシ基は炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水酸基を含んでいてもよい。上記アルキル基、アシル基、およびフェニル基は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルコキシル基、およびフェニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。なお、R1~R5における置換基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0224】
上記一般式(d4)中の、R1~R5で表される炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐
状のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。
【0225】
上記一般式(d4)中の、R1、R2、R3及びR5で表される炭素数3~20の環状のアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドテシル基等が挙げられる。
【0226】
一般式(d4)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-4)は、例えば、
1,2-ヘプタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(ベンゾイル)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-アセテート、1-[4-(2-メチルフェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-アセテート、1-[4-(2,4,6-トリメチルフェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-アセテート、1-[4-(2-エチルフェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-アセテート、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-[4-(2-メチルフェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-[4-(2,4,6-トリメチルフェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-[4-(2-エチルフェニルチオ)フェニル]-オクタン-1-オン-2-オンオキシム-O-ベンゾエートおよび下記化学式(4-1)~化学式(4-6)で示す化合物が挙げられる。
【0227】
【0228】
(一般式(d5)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-5))
一般式(d5)
【化17】
【0229】
一般式(d5)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、R11又は-COR11を表し、
R11は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表し、R11で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は複素環基のアルキル部分は、分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、
R3は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30
のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表し、R3で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は複素環基のアルキル部分は、分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、R3で表わされるアリール基、アリールアルキル基又は複素環基の水素原子は、更にR21、-OR21、-COR21、-SR21、-NR22R23、-CONR22R23、-NR22-OR23、-NCOR22-OCOR23、-NR22COR21、-OCOR21、-SCOR21、-OCSR21、-COSR21、-CSOR21、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、又は-COOR21で置換されていてもよく、
R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数4~20の複素環基を表し、R21、R22及びR23で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は複素環基の水素原子は、更に水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基又はカルボキシル基で置換されていてもよく、R21、R22及びR23で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は複素環基のアルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-を、酸素原子が隣り合わない条件で1~5つ含んでいてもよく、
R24は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表し、R24で表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は複素環基のアルキル部分は、分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、
R4は、水素原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、nは、0又は1を表す。
【0230】
上記一般式(d5)中の、R3、R11、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数1~20のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。
【0231】
上記一般式(d5)中の、R3、R11、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等が挙げられる。
【0232】
上記一般式(d5)中の、R3、R11、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル、フェニルエチル等が挙げられる。
【0233】
上記一般式(d5)中の、R3、R11、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数2~20の複素環基は、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ベンゾオキサゾール-2-イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル等の5~7員複素環が挙げられる。
【0234】
一般式(d5)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1)の製造方法は、特に限定さ
れるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、国際公開第2015/152153号に記載の方法を用いることができる。
【0235】
一般式(d5)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-5)は、例えば、下記化学式(d5-1)~化学式(d5-8)で示す化合物が挙げられる。
【0236】
【0237】
(一般式(d6)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-6))
一般式(6)
【化19】
【0238】
一般式(d6)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数
3~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数4~20の複素環基を表す。
【0239】
一般式(d6)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-6)は、下記化学式(d6-1)~化学式(d6-4)で示す化合物が挙げられる。
【0240】
【0241】
(一般式(d7)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-7))
【0242】
【0243】
一般式(d7)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数3~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基であり、
R3は、水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状のアルキル基、アシル基、ニトロ基、アセトキシ基またはスルホ基を示す。
R4は、水素原子、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20の環状の置換基を有しても良いアルキル基、フェニル基、トリル基、キリシル基を示す。mは0又は1である。
【0244】
一般式(d7)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-7)は、下記化学式(d7-1)~化学式(d7-7)で示す化合物が挙げられる。
【0245】
【0246】
これらの中でも、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)が好ましい。
【0247】
市販品は、例えば、BASFジャパン社製の1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE-01)、IRGACURE OXE-03、IRGACURE OXE-04、IRGACURE OXE-05、株式会社ADEKA製のN-1919、NCI-730、NCI-831、NCI-930、常州強力電子新材料社製のTRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-305、TRONLY TR-PBG-314、TRONLY TR-PBG-3057、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-345、TRONLY TR-PBG-3054、サムヤンコーポレーション社製のSPI-02、SPI-02、SPI-03、SPI-05、SPI-07、ダイトーケミックス社製DFI-020等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開第2015/036910号等に記載のオキシム系化合物も挙げられる。
【0248】
これらの中でも、耐湿性、基材密着性、耐薬品性の観点から、IRGACURE OXE-05、NCI-730、NCI-930、IRGACURE OXE-04、SPI-05、NCI-831、TRONLY TR-PBG-345、化学式(7-3)、化学式(d2-4)が好ましく、IRGACURE OXE-04、SPI-05、NCI-831、TRONLY TR-PBG-345、化学式(d2-4)がより好ましく、IRGACURE OXE-04、SPI-05、NCI-831がさらに好ましい。
【0249】
O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1)の含有量は、現像シミ、耐薬品性、テーパー形成の観点から、感光性組成物の不揮発分100質量部中、0.4~10質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。
【0250】
重合性化合物(C)と光重合開始剤(D)の質量比は、現像シミ、耐薬品性、高温高湿耐性の観点から、6:1~25:1が好ましく、12:1~22:1がより好ましい。
【0251】
<その他光重合開始剤>
光重合開始剤(D)は、O-アシルオキシムエステル系光重合開始剤(D1)以外のその他光重合開始剤を含有できる。その他光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0252】
光重合開始剤(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0253】
光重合開始剤(D)の含有量は、色素(A)100質量部に対して、現像速度、耐溶剤性、基材密着性、現像シミ、テーパー形状の観点から、0.02~200質量部が好ましく、0.05~100質量部がより好ましい。適量配合すると耐溶剤性、基材密着性及び現像シミがより向上する。
【0254】
また、光重合開始剤(D)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量部中、0.2~15質量%であることが好ましい。
【0255】
[溶剤(E)]
本明細書の感光性組成物は、有機溶剤(E)を含有する。
有機溶剤(E)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、アリルアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、酢酸エチル、2-ブタノール、1,3-ブタンジオ-ル、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0256】
これらの中でも、顔料の分散性、アルカリ可溶樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類;
ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;
シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;
が好ましい。
【0257】
フォトリソグラフィ法によるパターン形成後に100℃以下の加熱工程で形成した硬化膜を得る目的では、より乾燥性の高い溶剤を用いる。加熱工程の条件により適宜選択して用いる。
【0258】
より乾燥性の高い溶剤は、例えば、酢酸エチル(沸点77℃)、2-プロパノール(沸点83℃)、イソブチルアルコール(沸点108℃)、酢酸プロピル(沸点102℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、酢酸n-ブチル(沸点126℃)、酢酸イソブチル(沸点118℃)、アリルアルコール(沸点97℃)、2-ブタノール(沸点100℃)等が挙げられる。これらの溶剤を使用することにより、低温焼成時の熱エネルギーを効率的に硬化膜の形成に充てることができ、耐溶剤性が向上する。
【0259】
有機溶剤(E)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0260】
[チオール化合物(F)]
本明細書の感光性組成物は、チオール化合物(F)を含む。チオール化合物(F)は、光重合開始剤(D)と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性組成物の光感度が向上する。そのため、塗膜の上部と底部で均一な硬化状態が得られ、現像液や、溶剤等の浸透を抑制する。
【0261】
チオール化合物(F)は、カルボキシル基を有するチオール化合物(F1)およびカルボキシル基を有しないチオール化合物(F2)が挙げられる。
【0262】
(カルボキシル基を有するチオール化合物(F1))
チオール化合物(F)は、カルボキシル基を有するチオール化合物(F1)が好ましい。カルボキシル基を含有することでアルカリ現像液に対する溶解性が向上し、現像残渣が生じにくくなる。カルボキシル基を有するチオール化合物(F1)は、1分子中にチオール基とカルボキシル基をそれぞれ1つ以上含有する化合物であればよく、チオール基数は問わない。
【0263】
カルボキシル基を有するチオール化合物(F1)は、例えば、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸等が挙げられる。また、無水コハク酸や無水トリメリット酸などのような分子内に1つの酸無水物基を有する化合物と、水酸基含有単官能チオールを反応させて得られる化合物でも良い。
【0264】
カルボキシル基を有するチオール化合物(F1)は、カルボキシル基を有する単官能チオール化合物(F1-1)が好ましく、下記一般式(300)で表される化合物(F1-1A)がより好ましい。
【0265】
一般式(300)
【化23】
(一般式(300)中、R
1は炭素数1~10のアルキレン基である。)
【0266】
一般式(300)で表される化合物(F1-1A)は、例えば、チオリンゴ酸等が挙げられる。
【0267】
カルボキシル基を有するチオール化合物(F1)の中でもカルボキシル基を有する多官能チオール化合物は、無水コハク酸や無水トリメリット酸などのような分子内に1つの酸無水物基を有する化合物と、水酸基含有多官能チオールとの反応生成物、ならびに無水ピロメリット酸のような分子内に2つ以上の酸無水物基を有する化合物と、水酸基含有単官能チオールもしくは水酸基含有多官能チオールとの反応生成物が挙げられる。
【0268】
(カルボキシル基を有しないチオール化合物(F2))
カルボキシル基を有しないチオール化合物(F2)は、チオール基(SH基)を2以上有する多官能チオールが好ましく、チオール基を4以上有する多官能チオールがより好ましい。チオール基数が増えると膜の表面から最深部まで光硬化し易くなり、耐溶剤性や高温高湿耐性が向上する。
【0269】
カルボキシル基を有しないチオール化合物(F2)は、例えば、1-ヘキサンチオール、1-オクタンチオール、2-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-2-ブタンチオール、アリールメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、フェネチルメルカプタン、2-エチルチオフェノール、4-メトキシベンゾチオフェノール、2-ナフタレンチオール、メルカプトイミダゾール、メルカプトオキサゾール、メルカプトチアゾール、メルカプトトリアゾール、メルカプトチアジアゾール、メルカプトオキサジアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、メルカプトベンゾオキサゾール、メルカプトベンゾチアゾール、及びそれら誘導体等などの単官能チオール類;
ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオ-ルビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオ-ルビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオグリコレート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等の多官能チオール類;が挙げられる。
【0270】
カルボキシル基を有する単官能チオール化合物(F1-1)とカルボキシル基を有しないチオール(F2)とを併用すると深部硬化性と剥離現像性を両立できるため好ましい。
【0271】
チオール化合物(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0272】
チオール化合物(F)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量部、0.1~10質量部が好ましく、0.2~7質量部がより好ましく、0.3~5質量部がさらに好ましい。適量含有すると光感度が向上し、耐薬品性が向上するほか、硬化膜の表面にシワが発生し難くなる。
【0273】
カルボキシル基を有する単官能チオール化合物(F1-1)とカルボキシル基を有しないチオール(F2)の質量比は、経時安定性の観点から、6:1~1:1が好ましく、4:1~2:1がさらに好ましい。
【0274】
[シランカップリング剤(G)]
本明細書の感光性組成物は、シランカップリング剤(G)を含有できる。これにより、硬化膜と基材の密着性が向上する。
【0275】
シランカップリング剤(G)は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類;
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類;
3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類;
p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類;
3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類;
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン類;
以下一般式(G1-1)~(G1-5)で表されるブロックイソシアナト基を有するシラン類(G-1);等のシランカップリング剤が挙げられる。また、特開2009-288703号公報に記載の化合物も挙げられる。
【0276】
ブロックイソシアナト基を有するシラン類(G-1)は、例えば、以下の一般式(G1-1)~(G1-5)で表される化合物が挙げられる。
【0277】
【化24】
一般式(G1-1)~(G1-5)中、R
3は水素原子、あるはメチル基であり、nは0~3である。またXは1価の有機基、X
2は2価の連結基である。
【0278】
ブロックイソシアナト基を有するシラン類(G-1)の具体例は、例えば、以下の化学式(301)~(305)で表される化合物が挙げられる。
【0279】
【0280】
これらの中でも、化学式(301)で表される化合物、(305)で表される化合物が好ましい。
【0281】
シランカップリング剤(G)の中でも、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、及びブロックイソシアナト基を有するシラン類(G-1)が好ましく、ブロックイソシアナト基を有するシラン類(G-1)がより好ましい。
【0282】
シランカップリング剤(G)の市販品は、例えば、信越化学工業社製のKBM-1003、KBE-1003、KBM-403、KBE-403、KBM-503、KBM-5103、KBM-603、KBM-573、KBM-903、KBM-803、KBM-9659、X-12-1048、X-12-1150、X-12-1154、X-12-1156、X-12-981S、X-12-984S、等が挙げられる。
【0283】
これらの中でも、パターン形成性、基材密着性、耐薬品性の観点から、(メタ)アクリルシラン類であるKBM-403、メルカプトシラン類であるKBM-803、X-12-1154、X-12-1156、ブロックイソシアナト基を有するシラン類であるX-12-1048、X-12-1150がより好ましい。
【0284】
シランカップリング剤(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0285】
シランカップリング剤(G)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量部中、1~40質量部が好ましく、1~30質量部がより好ましい。
【0286】
[増感剤(I)]
本発明の感光性組成物は、増感剤(I)を含有できる。
【0287】
増感剤(I)は、例えば、カルコン系化合物、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン系化合物、ベンゾイン系化合物、フルオレン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、キサンテン系化合物、チオキサンテン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物、ケトクマリン系化合物、シアニン系化合物、メロシアニン系化合物、オキソノール系化合物等のポリメチン色素、アクリジン系化合物、アジン系化合物、チアジン系化合物、オキサジン系化合物、インドリン系化合物、アズレン系化合物、アズレニウム系化合物、スクアリリウム系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラフェニルポルフィリン系化合物、トリアリールメタン系化合物、テトラベンゾポルフィリン系化合物、テトラピラジノポルフィラジン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラアザポルフィラジン系化合物、テトラキノキサリロポルフィラジン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、サブフタロシアニン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、テトラフィリン系化合物、アヌレン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、チオスピロピラン系化合物、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。
【0288】
チオキサントン系化合物は、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。これらの中でも、2,4-ジエチルチオキサントンが好ましい。
【0289】
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中でも、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0290】
増感剤(I)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0291】
増感剤(I)の含有量は、重合開始剤(C)100質量部に対して、10~400質量部が好ましく、20~300質量部がより好ましい。
【0292】
[熱硬化性化合物(J)]
本発明の感光性組成物は、低温ポストベークでの耐溶剤性の観点から、熱硬化性化合物(J)を含むことが好ましい。これにより、加熱で熱硬化性化合物(J)が架橋し、耐性が向上する。
【0293】
熱硬化性化合物(J)は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びフェノール化合物が挙げられる。これらの中でも、耐性の観点から、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物が好ましく、エポキシ化合物がより
好ましい。
【0294】
エポキシ化合物の市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMOREVG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、エポリードGT401、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S、DIC社製のEPICLON 830,840,850,860,1050,3050,4050,N-660、N-670,N-740,N-770,N865,HP-7200,HP-4700,HP-4770,HP-5000,HP-6000,HP-9500等が挙げられる。
【0295】
エポキシ化合物は、低温ポストベークでの耐性の観点から、分子内に2~50個のエポキシ基を有する化合物が好ましく、10~30個のエポキシ基を有する化合物がより好ましい。また、エポキシ化合物は、芳香族環又は脂肪族環を有するエポキシ化合物が好ましく、脂肪族環を有するエポキシ化合物がより好ましい。エポキシ基は、単結合又は連結基を介して、芳香族環又は脂肪族環に結合していることが好ましい。連結基は、例えば、アルキル基、アリーレン基、-O-、-NR-(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を表す)、-SO2-、-CO-、-O-、-S-が挙げられる。脂肪族環を有する構造の場合、エポキシ基は単結合を介して、脂肪族環に結合していることがより好ましい。
【0296】
エポキシ化合物のエポキシ当量は、50~400g/eqが好ましく、100~200g/eqがより好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。
【0297】
脂肪族環を有するエポキシ化合物は、例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートモノグリシジルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0298】
脂肪族環を有するエポキシ化合物は、低温ポストベークでの耐性の観点から、下記一般式(50)で表される化合物を含むことが特に好ましい。
【0299】
【0300】
一般式(50)中、Rはm価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表し、mは1~6、nは1~30の整数を表す。
【0301】
Rは、m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表す。
m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基は、炭素原子数2~20のアルキル基が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよい。炭素原子数2~20のアルキル基は、例えば、エチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数3~12の分岐のアルキル基がより好ましい。
【0302】
mは1~6、nは1~30の整数を表す。
mが2以上の場合、一般式(50)中のそれぞれのカッコ内の基におけるnは同一でもよく、異なっていてもよい。
【0303】
一般式(50)で表される化合物は、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。市販品としては、ダイセル社製のEHPE-3150、EHPE-3150CE等が挙げられる。
【0304】
エポキシ化合物は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0305】
エポキシ化合物の含有量は、低温ポストベークでの耐性の観点から、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~20質量%が好ましく、2~15質量%がより好ましい。
【0306】
(メラミン化合物)
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、メチロール基を有する化合物が好ましい。
【0307】
メラミン化合物は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0308】
メラミン化合物の含有量は、低温ポストベークでの耐性の観点から、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。
【0309】
熱硬化性化合物(J)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0310】
[硬化剤(硬化促進剤)]
本発明の感光性組成物は、熱硬化性化合物(J)の硬化を補助するため、硬化剤(硬化促進剤)を併用できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0311】
硬化剤は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0312】
硬化剤の含有量は、熱硬化性化合物(J)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0313】
[重合禁止剤(K)]
本明細書の感光性組成物は、重合禁止剤(K)を含有できる。
重合禁止剤(K)は、例えば、カテコール、レゾールシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物;2-メチルレゾールシノール、4-メチルレゾールシノール、2-エチルレゾールシノール、4-エチルレゾールシノール、2-プロピルレゾールシノール、4-プロピルレゾールシノール、2-n-ブチルレゾールシノール、4-n-ブチルレゾールシノール、2-t-ブチルレゾールシノール、4-t-ブチルレゾールシノール等のアルキルレゾールシノール系化合物;メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノーン、プロピルヒドロキノーン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物;トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物;トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物;トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物;ピロガロ-ル、フロログルシン等が挙げられる。
【0314】
重合禁止剤(K)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量部中、0.01~0.4質量部が好ましい。
【0315】
[紫外線吸収剤(L)]
本明細書の感光性組成物は、紫外線吸収剤(L)を含有できる。
紫外線吸収剤(L)は、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物、サリチル酸エステル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物等が挙げられる。
【0316】
紫外線吸収剤(L)の含有量は、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(L)との合計100質量部中、5~90質量部が好ましい。
【0317】
[酸化防止剤(M)]
本明細書の感光性組成物は、酸化防止剤(M)を含有できる。酸化防止剤(M)は、光重合開始剤(D)又は熱硬化性化合物(J)が、熱硬化又はITOアニ-ル時の熱工程によって酸化する黄変を防ぐ。特に、感光性着色色素(A)濃度が高い場合、相対的に重合
性化合物(C)の含有量が減少するため、光重合開始剤(D)の増量、又は熱硬化性化合物の配合で対応すると硬化膜が黄変し易い。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による硬化膜の黄変を防止する。酸化防止剤(M)は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0318】
酸化防止剤(M)は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、硫黄系、およびヒドロキシルアミン系の化合物等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が好ましい。
【0319】
酸化防止剤(M)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0320】
酸化防止剤(M)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量部中、0.5~5.0質量部が好ましい。適量含有すると透過率、分光特性、及び感度が向上する。
【0321】
[貯蔵安定剤(N)]
本明細書の感光性組成物は、貯蔵安定剤(N)を含有できる。これにより、感光性組成物の経時粘度が安定化する。貯蔵安定剤(N)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0322】
貯蔵安定剤(N)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量部中、0.01~5質量部が好ましい。
【0323】
[レベリング剤(O)]
本発明の感光性組成物は、レベリング剤(O)を含有できる。これにより、塗工時の基板に対する濡れ性及び乾燥性が向上する。
【0324】
レベリング剤(O)は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0325】
シリコーン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0326】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコ-ニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0327】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0328】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0329】
レベリング剤(O)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0330】
レベリング剤(O)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2質量%が好ましく、0.005~1質量%がより好ましい。
【0331】
[感光性組成物の製造方法]
本明細書の感光性組成物は、例えば、色素(A)、樹脂型分散剤(Z)、及び有機溶剤(E)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)等を配合し混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0332】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロ-ルミル、3本ロールミル、ボ-ルミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビ-ズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0333】
分散体中の近赤外線吸収色素の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い感光性組成物が得やすい。
【0334】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装株式会社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モ-ド、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0335】
感光性組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本明細書の感光性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0336】
<<硬化膜>>
本明細書の硬化膜は、本明細書の感光性組成物を用いて形成されてなる膜である。
【0337】
[硬化膜の製造方法]
硬化膜の製造方法は、特に限定されず、例えば、基板上に感光性組成物を塗布する被膜形成工程(1)、前記被膜に、マスクを介してパターン状に露光する工程(2)、未露光部分をアルカリ現像しパターン状の硬化膜を形成する工程(3)、前記パターンを加熱処理(ポストベーク)する工程(4)を行い作製できる。なお、硬化膜は、用途によりパターン形成をしない場合ある。
【0338】
以下、硬化膜の製造方法を詳細に説明する。
【0339】
(工程(1))
被膜形成工程(1)は、感光性組成物を基板上に、例えば、回転塗布、ロ-ル塗布、スリット塗布、流延塗布、またはインクジェット塗布等の方法で塗布し、必要に応じてオーブン、ホットプレート等を用いて、50~120℃の温度で10~120秒乾燥(プリベーク)する。
前記基板は、例えば、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられる。シリコン基板は、例えば、表面にCCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基板上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。層の膜厚は、乾燥後0.05~10.0μmとなるように塗布することが好ましく、0.3~5μmとなるように塗布することがより好ましい。
【0340】
(工程(2))
露光工程は、工程(1)で得られた被膜に、マスクを介して特定のパターンを露光する。露光は、例えば、ステッパー等の露光装置を用いる。露光に用いる放射線は、例えば、g線、h線、i線等の紫外線が挙げられる。
【0341】
(工程(3))
工程(2)を経た被膜は、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の被膜がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の被膜が得られる。
現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロ-ル、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れ及び剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
【0342】
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドール法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0343】
(工程(4))
加熱処理(ポストベーク)は、工程(3)で得られたパターン状の被膜を加熱により十分に硬化させる。ポストベーク温度は、180℃以下であり、160℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましい。ポストベーク温度の下限は、被膜が硬化できればよく特に限定しないところ、現在の技術水準から強いてあげれば100℃が好ましい。また、ポストベーク時間は、2分間~1時間程度が好ましく、5分間~1時間程度がより好ましい。
【0344】
[光学フィルタ]
本明細書の硬化膜は、光学フィルタに使用できる。光学フィルタの中でもカラーフィルタ、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタが好ましい。本明細書における光学フィルタの製造は、上述の硬化膜と同様の方法で製造できる。
【0345】
[画像表示装置]
本明細書の硬化膜は、画像表示装置に使用できる。画像表示装置に用いる形態は、特に制限されないが、光学フィルタ、近赤外線カットフィルタ、近赤外線パスフィルタ、カラーフィルタ、ブラックマトリックスとして使用できる。
ブラックマトリックスは、固体撮像素子、液晶表示装置等の画像表示装置の周縁部に設
けられた黒色の縁;赤、青、緑の画素間の格子状、又はストライプ状の黒色部分;TFT遮光のためのドット状、又は線状の黒色のパターン等が挙げられる。
【0346】
本明細書の画像表示装置の例について説明する。
画像表示装置は、本明細書の硬化膜と、光源とを具備する。光源としては、冷陰極管(CCFL),白色LED、有機EL素子が挙げられる。
図1は、硬化膜を備えた画像表示装置の構成例を示す概略断面図である。
図1に示す画像表示装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および21を備え、それらの間には、液晶LCが封入されている。
【0347】
第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0348】
他方、第2の透明基板21の内面には、カラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
【0349】
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
【0350】
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
【0351】
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In‐Plane スイッチング)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0352】
他方、第2の透明基板21の内面には、カラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
【0353】
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
【0354】
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
【0355】
白色LED光源31としては、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したもの、又は青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがあり、430nm~485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm~580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm~650nmの範囲内で発光強
度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性をもつ白色LED光源(LED1)、及び430nm~485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm~580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性をもつ白色LED光源(LED2)が好ましい。
【0356】
LED1としては、具体的には、日亜化学工業社製のNSSW306D-HG-V1、NSSW304D-HG-V1等が挙げられる。
【0357】
LED2としては、具体的には、日亜化学工業社製のNSSW440、NSSW304D等が挙げられる。
【0358】
[固体撮像素子]
本明細書の固体撮像素子は、硬化膜を有する。固体撮像素子の構成は、特に限定されず固体撮像素子として機能すればよい。
固体撮像素子は、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成が好ましい。さらにデバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成、またはカラーフィルタ上に集光手段を有する構成等も挙げられる。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造も好ましい。この場合の隔壁は各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。固体撮像素子を備える撮像装置は、例えば、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号に記載の装置が挙げられる。前記撮像装置の用途は、デジタルカメラ、及び撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラ及び監視カメラ用等が挙げられる。
【0359】
[赤外線センサ]
本明細書の赤外線センサは、硬化膜を有する。
図2は、赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。
図2に示す赤外線センサ300は、受光素子310を備える。
【0360】
受光素子310上に設けられている撮像領域は、赤外線カットフィルタ311とカラーフィルタ312とを組み合せて構成されている。
赤外線吸収フィルタ311は、可視光領域の光(例えば、波長400~700nmの光)を透過し、赤外領域の光(例えば、波長800~1300nmの光)を遮蔽する。
カラーフィルタ312は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられる。
【0361】
赤外線透過フィルタ313と受光素子310との間には、赤外線透過フィルタ313を透過した波長の光を透過可能な樹脂膜314が配置されている。
赤外線透過フィルタ313は、可視光遮蔽性を有し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタであって、上述した近赤外線吸収色素を含有した本明細書の硬化膜が使用で
きる。赤外線透過フィルタ113は、例えば、波長400~830nmの光を遮光し、波長900~1300nmの光を透過させることが好ましい。
【0362】
カラーフィルタ312、及び赤外線透過フィルタ313の入射光側には、マイクロレンズ315が配置されている。マイクロレンズ315を覆うように平坦化膜316が形成されている。
【0363】
図2に示す形態では、樹脂膜314が配置されているが、樹脂膜314に代えて赤外線透過フィルタ313を形成してもよい。
【0364】
本明細書の硬化膜は、赤外線カットフィルタ311の表面の端部又は側面等の遮光膜として使用できるほか、赤外線センサの装置内壁に用いれば、内部反射又は受光部への意味しない光の入射を防ぎ、感度を向上させられる。
【0365】
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込めるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシング等が可能である。また、この赤外線センサによれば、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。更に、この赤外線センサは、生体認証センサとしても使用できる。
【0366】
また、本明細書の硬化膜は、着色スペーサーにも使用できる。例えば、スペーサーをTFT型LCDに使用する場合、TFTに入射する光によりスイッチング素子としてTFTが誤作動を起こすことがあり、着色スペーサーはこれを防止するために用いられる。着色スペーサーは、着色スペーサー用のマスクを用いる以外は上述のブラックマトリックスと同様の方法で形成することができる。
【0367】
また、本明細書の硬化膜は、マイクロLED(Light Emitting Diode)及びマイクロOLED(Organic Light Emitting Diode)などの用途にも使用できる。特に限定されないが、マイクロLEDおよびマイクロOLEDに使用される光学フィルタおよび光学フィルムのほか、遮光性および反射防止性を付与する部材に対して好適に用いられる。
マイクロLEDおよびマイクロOLEDの例としては、特表2015-500562号公報、および特表2014-533890号公報に記載のものが挙げられる。
【0368】
また、本明細書の硬化膜は、量子ドットディスプレイなどの用途にも使用できる。特に限定されないが、量子ドットディスプレイに使用される光学フィルタおよび光学フィルムのほか、遮光性および反射防止性を付与する部材に対して好適に用いられる。
【実施例0369】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。また、本発明において、不揮発分もしくは不揮発分濃度は、180℃で60分間オーブン静置後の質量残分をいう。
【0370】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、アミン価(mgKOH/g)、及びガラス転移温度(Tg)の測定は、以下の通りである。
【0371】
(バインダ樹脂、及び分散樹脂の平均分子量)
バインダ樹脂、及び分散樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装
置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0372】
(バインダ樹脂、及び分散樹脂の酸価)
バインダ樹脂、及び分散樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」株式会社HIRANUMA製)を用いて滴定し、JIS K 0070の方法に準拠し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0373】
(分散樹脂のアミン価)
分散樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0374】
<色素(A)の製造>
<微細化した顔料の製造>
(微細化した赤色顔料(A-R177)の製造)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメントレッド177(シニック社製「シニレックスレッド SR3C」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した赤色顔料(A-R177)を得た。
【0375】
(微細化した赤色顔料(A-R254)の製造)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメントレッド254(BASFジャパン社製「Irgajin RedL 3630」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した赤色顔料(A-R254)を得た。
【0376】
(微細化した黄色顔料(A-Y139)の製造)
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー139(BASFジャパン社製「Paliotol Yellow D1819」):100部、塩化ナトリウム:1600部、及びジエチレングリコール:190部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。つぎにこの混合物を3リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウム及び溶剤を除いた後、80℃で1昼夜乾燥し、微細化した黄色顔料(A-Y139)を得た。
【0377】
(微細化した黄色顔料(A-Y150)の製造)
金属錯体系黄色顔料(C.I.ピグメントイエロー 150(ランクセス社製「Yellow Pigment E4GN」):100部、塩化ナトリウム:1600部、及びジエチレングリコール:190部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所
製)に仕込み、60℃で10時間混練した。つぎにこの混合物を3リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウム及び溶剤を除いた後、80℃で1昼夜乾燥し、微細化した黄色顔料(A-Y150)を得た。
【0378】
(微細化した緑色顔料(A-G58)の製造)
C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTOGEN Green A110」):100部、塩化ナトリウム:1,200部、及びジエチレングリコール:120部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した緑色顔料(A-G58)を得た。
【0379】
(微細化した緑色顔料(A-G59)の製造)
C.I.ピグメントグリーン59:100部、塩化ナトリウム:1,200部、及びジエチレングリコール:120部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した緑色顔料(A-G59)を得た。
【0380】
(微細化した緑色顔料(A-G62)の製造)
C.I.ピグメントグリーン62:100部、塩化ナトリウム:1,200部、及びジエチレングリコール:120部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した緑色顔料(A-G62)を得た。
【0381】
(微細化した緑色顔料(A-G63)の製造)
C.I.ピグメントグリーン63:100部、塩化ナトリウム:1,200部、及びジエチレングリコール:120部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した緑色顔料(A-G63)を得た。
【0382】
(微細化した緑色顔料(A-G36)の製造)
C.I.ピグメントグリーン36(トーヨーカラー社製「リオノールグリーン6YK」):100部、塩化ナトリウム:1,200部、及びジエチレングリコール:120部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した緑色顔料(A-G36)を得た。
【0383】
(微細化した青色顔料(A-B156)の製造)
C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」):100部、塩化ナトリウム:1,000部、およびジエチレングリコール:100部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、粉砕することにより微細化した青色顔料(A-B156)を得た。
【0384】
(微細化した青色顔料(A-B153)の製造)
C.I.ピグメントブルー15:3(トーヨーカラー社製「リオノールブルーFG7351」):100部、塩化ナトリウム:1,000部、およびジエチレングリコール:100部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、粉砕することにより微細化した青色顔料(A-B153)を得た。
【0385】
(微細化した紫色顔料(A-V23)の製造)
C.I.ピグメントバイオレット23(トーヨーカラー社製「リオノゲンバイオレットFG6140」):100部、塩化ナトリウム:1,000部、およびジエチレングリコール:100部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、粉砕することにより微細化した紫色顔料(A-V23)を得た。
【0386】
(微細化した赤色顔料(A-R179)の製造)
ペリレン系赤色顔料C.I.ピグメントレッド179(BASFジャパン社製「パリオゲンマルーンL-3920」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した赤色顔料(A-R179)を得た。
【0387】
(微細化した赤色顔料(A-R264)の製造)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメントレッド264(BASFジャパン社製「イルガジンルビンL4025」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した赤色顔料(A-R264)を得た。
【0388】
<近赤外線吸収色素の製造>
(微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR1)の製造)
特開2022-96687号公報に記載された方法で、下記化学式(400)で表される微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR1)を得た。
【0389】
【0390】
(微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR2)の製造)
特開2022-96687号公報に記載された方法で、下記化学式(401)で表される微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR2)を得た。
【0391】
【0392】
(微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR31)、(A-NIR32)、(A-NIR33)の製造)
特開2022-72558号公報に記載された方法で、下記化学式(403)で表される微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR31)、下記化学式(404)で表される微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR32)、下記化学式(405)で表される微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR33)を得た。
近赤外線吸収色素(A-NIR31)~(A-NIR33)をA-NIR1と同様の方法で微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR31)~(A-NIR33)を得た。
【0393】
【0394】
微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR31)~(A-NIR33)を1:1:1で混合して、微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR3)を得た。
【0395】
(微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR4)の製造)
国際公開第2019/058882号の記載に従い、化学式(406)で表される近赤外線吸収色素(A-NIR4)を得た。近赤外線吸収色素(A-NIR4)をA-NIR1と同様の方法で、微細化した近赤外線吸収色素(A-NIR4)を得た。
【0396】
【0397】
<一般式(1)で示す単量体単位(b31)及び一般式(2)で示す単量体単位(b32)、を有しないアルカリ可溶性樹脂(B3)の製造>
<樹脂(B3)の製造>
(ブロックイソシアナト基を有する単量体単位を有する樹脂(B3-1)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、149.3部のプロピレングリコールモノメチルエーテルを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、27.7部の2-プロペン酸-2-メチル-2-[[(3,5-ジメチルフェノキシ)カルボニル]アミン]エチルエステル、10.4部のスチレン、67.2部のジシクロペンタニルメタクリレート、8.6部のメタクリル酸、26部の2-エチルヘキシルメタクリレート、20部のメタクリル酸メチルからなる単量体混合物と、11部の2、2’-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を63部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌して共重合反応を行い、ランダム共重合体を生成させた。その後、不揮発分が30%になるようにPGMAcを添加して、ブロックイソシアナト基を有する構成単位を有する樹脂(B3-1)溶液を得た。得られた重合体組成物中の共重合体の重量平均分子量は8,000であり、酸価は75KOHmg/gであった。なお、表1-6において単量体単位の含有量はモル%で示す。
【0398】
<ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3)の製造>
(ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3-1)の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた500mL四つ口フラスコにリンゴ酸ジエチル190.2部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(以下「BHT」ともいう)(オクサリスケミカルズ社製)0.17部、ジラウリン酸ジブチルすず(以下「DBTDL」ともいう)(日東化成社製)0.33部を加え、15~20℃に冷却した。冷却後、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズAOI-VM)141.1部を内温15~20℃に維持しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後冷却をやめ、室温(25℃)で13時間反応させた。反応完了をIRでイソシアナト基のピーク消失を確認し、目的の下記式(1)で表される化合物(ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3-1)、以下「AOI-MDE」ともいう)331部を得た。
【0399】
【0400】
(ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3-2)の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた100mL四つ口フラスコにリンゴ酸ジエチル28.5部、BHT0.01部、DBTDL0.05部を加え、15~20℃に冷却した。冷却後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)23.3部を内温15~20℃に維持しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後冷却をやめ、室温(25℃)で13時間反応させた。反応完了をIRでイソシアナト基のピーク消失を確認し、目的の下記式(2)で表される化合物(ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3-2)、以下「MOI-MDE」ともいう)51部を得た。
【0401】
【0402】
(ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3-3)の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた100mL四つ口フラスコにリンゴ酸ジエチル28.5部、BHT0.01部、DBTDL0.05部を加え、15~20℃に冷却した。冷却後、2-(イソシアナトエチルオキシ)エチルメタクリレート(昭和電工社製、カレンズMOI―EG)29.9部を内温15~20℃に維持しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後冷却をやめ、室温(25℃)で13時間反応させた。反応完了をIRでイソシアナト基のピーク消失を確認し、目的の下記式(3)で表される化合物(ブロックイソシアナト基を有する単量体(m3-3)、以下「MOI-EG-MDE」ともいう)58部を得た。
【0403】
【0404】
<一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)の製造>
(樹脂(B1-1)溶液の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた1LセパラブルフラスコにPGMAc224部を入れ、90℃に昇温した。そこに前述のAOI-MDE40部、メタクリル酸14部、アクリル酸-n-ブチル86部、メタクリル酸メチル76部、重合開始剤の2
,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(富士フイルム和光純薬社製、以下「V-601」ともいう)24部を混合した液を、2時間掛けて滴下し、滴下完了後も30分間容器内温を90℃に維持した。その後PGMAc16部に4部のV-601を溶解した液を添加し、更に3時間反応を行った。その後、不揮発分が30%になるようにPGMAcを添加して、一般式(2)で示す単量体単位(b32)を有する樹脂(B1-1)溶液を448部得た。重量平均分子量が9,000、酸価が60mgKOH/gであった。樹脂(B1-1)を下記式(499)に示す。また樹脂(B1-1)の組成を表1-1に示す。なお、表中の数値はモル%である。
【0405】
式(499)
【化34】
式中、主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。
【0406】
(樹脂(B1-2)の製造)
前記樹脂(B1-1)溶液の製造例を基に、表1-1に記載の原料、構成比率になるように配合種、及び量を変え、樹脂(B1-2)を合成し、PGMAcを添加し不揮発分を30%とした。樹脂の重合平均分子量は、重合開始剤の使用量を適宜変更して調整した。なお、表中の数値はモル%である。
【0407】
<一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2)の製造>
(樹脂(B2-1)溶液の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた200mL4つ口フラスコに、前記樹脂(B1-1)溶液100部および1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(富士フイルム和光純薬社製、以下「DBU」ともいう)0.1部を入れ、内温80℃に昇温し、5分後に発泡が確認された。その後30分間80℃で反応を継続し、一般式(1)で示す単量体単位(b31)が生成し樹脂(B2-1)溶液を得た。樹脂(B2-1)を下記式(500)に示す。
【0408】
式(500)
【化35】
式中、主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。
【0409】
(樹脂(B2-2)溶液の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた1LセパラブルフラスコにPGMAc224部を入れ、90℃に昇温した。そこに前述のMOI-MDE41.7部、メタクリル酸14部、アクリル酸-n-ブチル86部、メタクリル酸メチル76部、重合開始剤の2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(富士フイルム和光純薬社製、以下「V-601」ともいう)24gを混合した液を、2時間掛けて滴下し、滴下完了後も30分間容器内温を90℃に維持した。その後PGMAc16部に4部のV-601を溶解した液を添加し、更に3時間反応を行った。その後、不揮発分が30%になるようにPGMAcを添加して、重量平均分子量が9,000、酸価が60mgKOH/gの樹脂(B1-2)を448部得た。
続いて、攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた200mL4つ口フラスコに、樹脂(B1-2)溶液100部およびDBU0.1部を入れ、内温80℃に昇温し、5分後に発泡が確認された。その後30分間80℃で反応を継続し、一般式(1)で示す単量体単位(b31)が生成し樹脂(B2-2)溶液を得た。樹脂(B2-2)を下記式(501)に示す。
【0410】
式(501)
【化36】
式中、主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。
【0411】
(樹脂(B2-3)溶液の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた1LセパラブルフラスコにPGMA
c224部を入れ、90℃に昇温した。そこに前述のMOI-EG-MDE47部、メタクリル酸14部、アクリル酸-n-ブチル86部、メタクリル酸メチル76部、重合開始剤の2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル24部を混合した液を、2時間掛けて滴下し、滴下完了後も30分間容器内温を90℃に維持した。その後PGMAc16部に4部のV-601を溶解した液を添加し、その後、不揮発分が30%になるようにPGMAcを添加して、重量平均分子量が9,000、酸価が60mgKOH/gの樹脂(B1-3)を448部得た。
続いて、攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた200mL4つ口フラスコに、実施例3-2で製造したブロックイソシアネート重合体100部およびDBU0.1部を入れ、内温80℃に昇温し、5分後に発泡が確認された。その後30分間80℃に保ち、下記式(502)に一例を示す樹脂(B2-3)99部を得た。
【0412】
式(502)
【化37】
式中、主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。
【0413】
(樹脂(B2-15)溶液の製造)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、80部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、AOI-MDE46.4部、カレンズMOI-BP(昭和電工社製の2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)29.5部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、2HEMA)24.3部、2-エチルヘキシルアクリレート(以下、2EHA)8.6部と、17.4部の2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を混合し、滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた後、0.2部の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7を投入し、更に78℃で30分間撹拌した。これにより、一般式(1)で示す単量体単位(b31)が生成した。
次に、無水コハク酸(以下、SA)9.4部、ナフテン酸リチウム(触媒)0.5部を投入し、78℃で1時間撹拌した。これにより、2HEMAの水酸基にSAを付加させた単量体単位(以下、2HEMA+SA)を導入した。2HEMA+SAは、酸性基含有単量体単位(m4‐2)である。その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-15)溶液を調整した。
【0414】
(樹脂(B2-16)溶液の製造)
カレンズMOI-BPをカレンズMOI-BM(昭和電工社製の2-[O-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)に代え、アルカリ可溶性樹脂(B2-15)と同様に、表1‐5に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B2-16)を合成した。その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-16)溶液を調整した。
【0415】
(樹脂(B2-17)溶液の製造)
カレンズMOI-BPをカレンズMOI-DEM(昭和電工社製のマロン酸-2-[[[2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル]オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3ジエチルエステル)に代え、アルカリ可溶性樹脂(B2-15)と同様に、表1‐5に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B2-17)を合成した。その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-17)溶液を調整した。
【0416】
<一般式(2)で示す単量体単位(b32)と一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂の製造>
(樹脂(B2-14)溶液の製造)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた200mL4つ口フラスコに、前記樹脂(B1-2)溶液100部および1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(富士フイルム和光純薬社製、以下「DBU」ともいう)0.05部を入れ、内温80℃に昇温し、5分後に発泡が確認された。その後反応を継続し、IRでAOI-MDEが50%が変性されたことを確認した。その後室温に冷却し、一般式(1)で示す単量体単位(b31)が生成し、一般式(2)で示す単量体単位(b32)と一般式(1)で示す単量体単位(b31)を有するアルカリ可溶性樹脂(B2-14)溶液を得た。樹脂(B2-14)を下記式(503)に示す。
【0417】
【0418】
(樹脂(B2-4)~(B2-13)の製造)
前記樹脂(B2-2)溶液の製造例を基に、表1-2、表1-3、表1-4に記載の原料、構成比率になるように配合種、及び量を変え、樹脂(B2-4)~(B2-13)を合成し、PGMAcを添加し不揮発分を30%とした。樹脂の重合平均分子量は、重合開始剤の使用量を適宜変更して調整した。なお、表中の数値はモル%である。
【0419】
【0420】
【0421】
【0422】
【0423】
【0424】
【0425】
(重合性化合物(C1-3))
温度計、撹拌機及び還流管を備えた4口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(東亞合成社製、アロニックスM-402)250部(0.247モル)を加え、ジ-n-ブチルアミン17.3部(0.134モル)を室温で加えた後、50℃で4時間反応を行い、アミノ基含有重合性化合物(C1-3)を得た。反応は、空気/窒素の混合雰囲気下で行った。水酸基価30mgKOH/gであった。
【0426】
<樹脂型分散剤(Z)の製造>
(塩基性樹脂型分散剤(ZB-1)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、n-ブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(昭和電工マテリアルズ社製、ファンクリルFA-711MM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、不揮発分当たりのアミン価が57mgKOH/g、重量平均分子量6,500、重量平均数平均分子量4,500の櫛型の樹脂型分散剤(ZB-1)の溶液を得た。
【0427】
(塩基性樹脂型分散剤(ZB-2)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、n-ブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅0.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(昭和電工マテリアルズ社製、ファンクリルFA-711MM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、不揮発分当たりのアミン価が58mgKOH/g、重量平均分子量90,000、重量平均数平均分子量69,500(Mn)の櫛型の樹脂型分散剤(ZB-2)の溶液を得た。
【0428】
(酸性樹脂型分散剤(ZA-1)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒としてDBU0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500の櫛型構造の樹脂型分散剤(ZA-1)の溶液を得た。
【0429】
(酸性樹脂型分散剤(ZA-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート80部、メチルメタクリレート60部、メタクリル酸20部、カレンズMOI-BM(昭和電工社製)20部、ETERNACOLL OXMA(UBE社製)20部、PGMAc100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール14部に、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、BPAF:9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(JFEケミカル社製)39部、C-1015N(2官能ポリカーボネートポリオール、商品名クラレポリオールC-1015N(水酸基価112mgKOH/g、クラレ社製))106部、トリメリット酸無水物33部、シクロヘキサノン392部、触媒としてDBU0.40部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcで不揮発分30%に調整し、酸価94mgKOH/g、重量平均分子量25,000の末端に芳香族カルボン酸部位を有するブロック型の樹脂型分散剤(ZA-2)の溶液を得た。
【0430】
(酸性樹脂型分散剤(ZA-3)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールを6部、ピロメリット酸二無水物を9.7部、シクロヘキサノンを23.5部、モノ-n-ブチル錫(IV)オキシドを0.01部、それぞれ仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート80部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部を仕込み、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をシクロヘキサノン26.2部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。反応終了後、PGMAcにて不揮発分を30%に調整し、重量平均分子量9,500の櫛型の樹脂型分散剤(ZA-3)の溶液を得た。
【0431】
(光架橋性酸性樹脂型分散剤(ZAUV-1)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc(メトキシプロピルアセテート)650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、t-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで不揮発分調整することにより不揮発分30%の櫛型の樹脂型分散剤(ZAUV-1)の溶液を得た。得られた樹脂型分散剤の酸価は68、不飽和二重結合当量は1,593、重量平均分子量は13,000であった。
【0432】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料とPGMAcを均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、不揮発分30%の分散体1を製造した。分散体1の不揮発分組成は以下の通りである。
微細化した赤色顔料(A-R177) :70部
樹脂型分散剤(ZAUV-1) :30部
【0433】
(分散体2~23)
表2に記載した原料に変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~23を製造した。表中の数値は不揮発分比である。溶剤はいずれもPGMAcであり、分散体2~23中の不揮発分は30%である。
【0434】
【0435】
表2に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0436】
[有機溶剤(E)]
E-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0437】
<感光性組成物の製造>
[実施例1]
(感光性組成物1(R1)の製造)
以下の原料と下記溶剤E-2を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して不揮発分15%の感光性組成物1(R1)を製造した。感光性組成物1(R1)の不揮発分組成は以下の通りである。
分散体3 :1.3部
分散体4 :5.5部
分散体9 :33.3部
分散体10 :1.3部
分散体12 :1.3部
樹脂(B2-1) :19.1部
重合性化合物(C1-1) :2.7部
重合性化合物(C2-1) :2.7部
重合性化合物(C2-2) :10.8部
重合性化合物(C2-3) :1.8部
光重合開始剤(d3-1) :1.0部
チオール化合物(F1-1) :3.0部
チオール化合物(F2-1) :1.0部
熱硬化性化合物(J-1) :5.0部
シランカップリング剤(G-1) :10.0部
レベリング剤(O-1) :0.07部
【0438】
[比較例1]
(感光性組成物55(R55)の製造)
以下の原料と下記溶剤E-2を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性組成物55(R55)を製造した。感光性組成物55(R55)の不揮発分組成は以下の通りである。
分散体3 :1.3部
分散体4 :5.5部
分散体9 :33.3部
分散体10 :1.3部
分散体12 :1.3部
樹脂(B3-1) :19.1部
重合性化合物(C1-1) :2.7部
重合性化合物(C2-1) :2.7部
重合性化合物(C2-2) :10.8部
重合性化合物(C2-3) :1.8部
光重合開始剤(d3-1) :1.0部
チオール化合物(F1-1) :3.0部
チオール化合物(F2-1) :1.0部
熱硬化性化合物(J-1) :5.0部
シランカップリング剤(G-1) :10.0部
レベリング剤(O-1) :0.07部
【0439】
[実施例2~64]
(感光性組成物2~65(R2~R54、R56~R65)の製造)
実施例1の感光性組成物1を、表3-1~表3-7に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして感光性組成物2~54(R2~R54、R56~R65)を製造した。
表中、
アミノ基含有重合性化合物(C1)を重合性化合物(C1)、
1個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-1)を重合性化合物(C2-1)、2個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-1)を重合性化合物(C2-2)、3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2-1)を重合性化合物(C2-3)、一般式(d1)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-1)を光重合開始剤(D1-1)、
一般式(d2)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-2)を光重合開始剤(D1-2)、
一般式(d3)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-3)を光重合開始剤(D1-3)、
一般式(d4)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-4)を光重合開始剤(D1-4)、
一般式(d5)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-5)を光重合開始剤(D1-5)、
一般式(d6)で表されるオキシム系光重合開始剤(D1-6)を光重合開始剤(D1-6)、
カルボキシル基を有するチオール化合物(F1)をチオール化合物(F1)、
カルボキシル基を有しないチオール化合物(F2)をチオール化合物(F2)、
と記す。
【0440】
【0441】
【0442】
【0443】
【0444】
【0445】
【0446】
【0447】
表3-1~表3-7に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0448】
[重合性化合物(C)]
(アミン構造を有する重合性化合物(C1))
C1-1:アロニックスMT-3041(東亞合成社製:水酸基価87mgKOH/g)C1-2:アロニックスMT-3042(東亞合成社製:水酸基を有する重合性化合物)C1-4:トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン
(1~3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物(C2))
1個の重合性不飽和基を有する重合性化合物C2-1:「HOA-MPL(N)」(2-アクリロイルオキシエチルフタル酸;共栄社化学社製)
2個の重合性不飽和基を有する重合性化合物C2-2:「A-DOD-N」(1,10-デカンジオールジアクリレート;共栄社化学社製)
3個の重合性不飽和基を有する重合性化合物C2-3:ペンタエリスリトールトリアクリレート
【0449】
[光重合開始剤(D)]
(一般式(d1)で表されるオキシム系光重合化合物(D1-1))
d1-2:上述の化学式(d1-2)の化合物
(一般式(d2)で表されるオキシム系光重合化合物(D1-2))
d2-2:上述の化学式(d2-2)の化合物
d2-4:上述の化学式(d2-4)の化合物
(一般式(d3)で表されるオキシム系光重合化合物(D1-3))
d3-1:上述の化学式(d3-1)の化合物
(一般式(d4)で表されるオキシム系光重合化合物(D1-4))
d4-4:上述の化学式(d4-4)の化合物
(一般式(d5)で表されるオキシム系光重合化合物(D1-5))
d5-6:上述の化学式(d5-6)の化合物
(一般式(d6)で表されるオキシム系光重合化合物(D1-6))
d6-4:上述の化学式(d6-4)の化合物
【0450】
[有機溶剤(E)]
E-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60部、2-ブタノール10部、酢酸n-ブチル10部、プロピレングリコールモノメチルエーテル10部、イソブチルアルコール10部の混合物
【0451】
[シランカップリング剤(G)]
G301:前述の化学式(301)の化合物
G302:前述の化学式(302)の化合物
G303:前述の化学式(303)の化合物
G304:前述の化学式(304)の化合物
G305:前述の化学式(305)の化合物
G51:「KBM-5103」(信越化学工業社製;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
【0452】
[レベリング剤(O)]
O-1:「BYK-330」(ポリエーテル修飾されたポリジメチルシロキサン;ビックケミー社製)と、「メガファックF-554」(ポリイソブチレングリコールモノアクリレート及び2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートの共重合体 フッ素系レベリング剤;DIC社製)の1:1混合物
【0453】
[熱硬化性化合物(J)]
J-1:EHPE-3150(ダイセル社製、一般式(50)で表される化合物、エポキシ基数が約15個、エポキシ当量が170~190g/eq)
【0454】
<感光性組成物の評価>
得られた感光性組成物1~65(実施例1~64、比較例1)について、耐溶剤性、経時安定性(密着性)、乾燥析出物、高温高湿耐性の評価を下記の方法で行った。評価結果を表4に示す。
【0455】
[耐溶剤性評価(90℃)]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコータを用いて乾燥膜厚が2μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm2、照射量100mJ/cm2で、100μm四方の正方形パターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の水酸化カリウム溶液(濃度:0.04質量%)を用いて、現像時間40秒でスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、クリーンエアで風乾し、クリーンオーブン中90℃で30分間加熱し耐溶剤性評価用の基板を得た。上記基板の正方形パターン部をPGMAcに浸漬し、外観観察を行い評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、3以上が実用可能である。
[評価基準]
5:浸漬時間30分において外観変化なし
4:浸漬時間20分において外観変化なし
3:浸漬時間10分において外観変化なし
2:浸漬時間5分において外観変化なし
1:浸漬時間3分において外観変化なし
【0456】
[耐溶剤性評価(100℃)]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコータを用いて乾燥膜厚が2μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm2、照射量100mJ/cm2で、100μm四方の正方形パターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の水酸化カリウム溶液(濃度:0.04質量%)を用いて、現像時間40秒でスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、クリーンエアで風乾し、クリーンオーブン中100℃で30分間加熱し耐溶剤性評価用の基板を得た。上記基板の正方形パターン部をPGMAcに浸漬し、外観観察を行い評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、3以上が実用可能である。
[評価基準]
5:浸漬時間30分において外観変化なし
4:浸漬時間20分において外観変化なし
3:浸漬時間10分において外観変化なし
2:浸漬時間5分において外観変化なし
1:浸漬時間3分において外観変化なし
【0457】
[経時安定性(密着性)の評価]
得られた感光性組成物の初期品(25℃で24時間保管後)と、経時品(40℃で240時間保管後)を用意した。
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコータを用いて乾燥膜厚が2μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm2、照射量100mJ/cm2で、紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の水酸化カリウム溶液(濃度:0.04質量%)を用いて、現像時間40秒でスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、クリーンエアで風乾し、クリーンオーブン中100℃で30分間加熱し密着性評価用の硬化膜を得た。このサンプルに対し、プレッシャークッカー(PCT)試験(条件:温度120℃、湿度100%の条件下3時間連続処理)を施した後、得られた硬化膜に対し、カッターナイフにて1×1(mm)サイズの正方形を縦横10列ずつ計100個の碁盤目を形成した。テープで碁盤目を剥がした後、剥がれた碁盤目の数を数えることで密着性を評価した。
[評価基準]
5:初期品と経時品の剥がれた碁盤目の合計数が0個
4:初期品と経時品の剥がれた碁盤目の合計数が1個以上~3個未満
3:初期品と経時品の剥がれた碁盤目の合計数が3個以上~6個未満
2:初期品と経時品の剥がれた碁盤目の合計数が6個以上~10個未満
1:初期品と経時品の剥がれた碁盤目の合計数が10個以上
【0458】
[乾燥析出物の評価]
得られた感光性組成物を、以下に記載する(1)~(4)の工程を経て評価するに当たって、アクチュエータのアームにガラス試験片(コーニング社製ガラス イーグル2000)を取り付け、瓶に満たした感光性組成物にその先端を繰り返し出し入れする操作を、自動的に行う制御装置を使用した。
(1)雰囲気温度23℃で、長さ100mm×幅5mm×厚み0.7mmのガラス試験片の縦方向の先端部分20mmを、12.5mm/秒の速度で感光性組成物に浸漬し、その後4秒間維持した。
(2)前記ガラス試験片を、12.5mm/秒の速度で感光性組成物から取り出し、該ガラス試験片の先端を下にして垂直に保持した後、雰囲気温度23℃、湿度55%、風速0.5±0.2m/秒の条件下で52秒間乾燥させた。
(3)工程(1)及び(2)を合計250回繰り返し、該ガラス試験片に感光性組成物由来の付着物(a)を形成させた。
(4)該ガラス試験片の4稜線のうち、該付着物が最も多い稜線を選択し、該稜線上の付着物(「付着物(a)」)の重量を測定した。なお付着物(a)の重量測定は、予め、該硬化性組成物を用いて形成される膜の比重を測定しておき、3次元レーザー顕微鏡で付着物(a)の体積を測定し、これらの積より算出した。
[評価基準]
5:付着物(a)の重量が1μg未満
4:付着物(a)の重量が1μg以上2μg未満
3:付着物(a)の重量が2μg以上3μg未満
2:付着物(a)の重量が3μg以上4μg未満
1:付着物(a)の重量が4μg以上
【0459】
[高温高湿耐性評価]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコータを用いて乾燥膜厚が2μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm2、照射量100mJ/cm2で、100μm四方の正方形パターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の水酸化カリウム溶液(濃度:0.04質量%)を用いて、現像時間40秒でスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、クリーンエアで風乾し、クリーンオーブン中90℃で30分間加熱し高温高湿耐性評価用の基板を得た。
得られた基板をエスペック社製恒温恒湿装置LH-113中で温度85℃、湿度85%の環境下で保管し、保管後の基板の正方形パターン部の外観を評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、3以上が実用可能である。
[評価基準]
5:保管時間300時間において外観変化なし
4:保管時間200時間において外観変化なし
3:保管時間150時間において外観変化なし
2:保管時間100時間において外観変化なし
1:保管時間100時間未満で外観以上発生
【0460】