(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092928
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
H01L21/68 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113969
(22)【出願日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】111150004
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515086986
【氏名又は名称】梭特科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧▲彦▼豪
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA04
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA70
5F131EC33
5F131EC73
5F131EC74
(57)【要約】 (修正有)
【課題】押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイとキャリアフィルムを分離させる剥離方法を提供する。
【解決手段】方法は、周辺負圧によってキャリアフィルムにおけるターゲットエリアの周りを吸着する工程と、プッシュバーによってターゲットエリアを介してダイを押出して上昇させ、ダイの周りをターゲットエリアの周りから分離する工程と、中心負圧によってターゲットエリアの中心部を吸着し、ターゲットエリアの中心部をダイの中心部から分離する工程と、中心負圧から中心正圧に切り替え、中心正圧によってターゲットエリアの中心部を吹き付け、ターゲットエリアの中心部をダイの中心部に接触させる工程と、中心正圧によって連続的にターゲットエリアの中心部を吹き付け、ターゲットエリアの中心部によるダイの上昇を続け、ダイの周りから中心に向かう方向に沿ってターゲットエリアから徐々に分離する工程と、を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法であって、
周辺負圧によってキャリアフィルムにおける表面にはんだボールも銅柱もないダイが設けられるターゲットエリアの周りを吸着する工程と、
複数のプッシュバーによって前記ターゲットエリアを介して前記ダイを押出して上昇させ、前記ダイの周りをターゲットエリアの周りから分離させる工程と、
中心負圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吸着し、前記ターゲットエリアの中心部を下向きに窪んで前記ダイの中心部から分離させる工程と、
前記中心負圧から中心正圧に切り替え、前記中心正圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吹き付け、前記ターゲットエリアの中心部を上向きに隆起させ、前記ダイの中心部に接触させる工程と、
前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付け、前記ターゲットエリアの中心部を上向きに隆起させることを続けるとともに、前記ダイを押出して上昇させ、前記ダイをその周りから中心部に向かう方向に沿って前記ターゲットエリアから徐々に分離させる工程と、を備える、
ダイの剥離方法。
【請求項2】
前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程において、
前記ダイを上昇させる過程において、前記ダイをダイ固定装置に接触させる工程と、
前記ダイ固定装置によって前記ダイを吸着して上昇させ、前記ダイを前記ターゲットエリアから完全に分離させる工程と、をさらに備える、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【請求項3】
前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程の後に、
前記中心正圧の供給を停止し、前記複数のプッシュバーを下降させ、前記ターゲットエリアの中心部を徐々に平坦状に回復させ、それと同時に前記ダイ固定装置によって前記ダイを表面にはんだボールも銅柱もない基板上に移載する工程をさらに備える、
請求項2に記載のダイの剥離方法。
【請求項4】
前記周辺負圧によって前記ターゲットエリアの周りを吸着する工程において、
支持装置によって前記キャリアフィルムにおける前記ターゲットエリアを支持し、前記周辺負圧を供給する工程をさらに備え、
前記複数のプッシュバーによって前記ターゲットエリアを介して前記ダイを押出して上昇させる工程において、
前記複数のプッシュバーを前記支持装置の内部から外部に上昇させ、前記ターゲットエリアの中心部を前記支持装置から分離させる工程をさらに備え、
前記中心負圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吸着する工程において、
前記支持装置によって前記中心負圧を供給し、前記ターゲットエリアの中心部を前記支持装置に接触させる工程をさらに備え、
前記中心負圧から前記中心正圧に切り替える工程において、
前記支持装置によって前記中心負圧から前記中心正圧に切り替え、前記ターゲットエリアの中心部を前記支持装置から分離させる工程をさらに備え、
前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程において、
前記支持装置によって前記中心正圧を連続的に供給する工程をさらに備え、
前記中心正圧の供給を停止する工程において、
前記支持装置によって前記中心正圧の供給を停止し、前記複数のプッシュバーを前記支持装置の内部に下降させ、前記ターゲットエリアの中心部と前記支持装置との間の空間における空気を、前記支持装置を通過して外へ排出させ、前記ターゲットエリアの中心部を徐々に平坦状に回復させ、前記支持装置に接触させる工程をさらに備える、
請求項3に記載のダイの剥離方法。
【請求項5】
前記複数のプッシュバーによって前記ターゲットエリアを介して前記ダイを押出して上昇させる工程、前記中心負圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吸着する工程、前記中心負圧から前記中心正圧に切り替える工程、前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程、且つ前記中心正圧の供給を停止する工程において、いずれも、
前記支持装置によって前記周辺負圧を連続的に供給し、前記周辺負圧によって前記ターゲットエリアの周りを連続的に吸着する工程をさらに備える、
請求項4に記載のダイの剥離方法。
【請求項6】
前記中心正圧の供給を停止する工程の後に、
前記支持装置によって前記周辺負圧の供給を停止する工程と、
前記支持装置を他のターゲットエリアの下方に移動させ、この他のターゲットエリアを支持し、前記ダイ固定装置をこの他のターゲットエリアの上方に移動させる工程と、をさらに備える、
請求項5に記載のダイの剥離方法。
【請求項7】
前記支持装置には、複数の第一気圧通路、第二気圧通路、複数の第一開口及び複数の第二開口が設けられ、
前記複数の第一気圧通路が前記複数の第一開口にそれぞれ連通し、前記第二気圧通路が前記複数の第二開口に連通し、
前記複数の第一気圧通路によって、前記周辺負圧を供給し、前記周辺負圧が前記複数の第一開口を通過することによって前記ターゲットエリアの周りを吸着し、
前記複数のプッシュバーが前記第二気圧通路に設置され、前記複数の第二開口を貫通して上昇又は降下することができ、
前記第二気圧通路によって前記中心負圧又は前記中心正圧を供給し、
前記中心負圧が前記複数の第二開口を通過することによって前記ターゲットエリアの中心部を吸着し、
前記中心正圧が前記複数の第二開口を通過することによって前記ターゲットエリアの中心部を吹き付け、
前記ターゲットエリアの中心部と前記支持装置との間の空間における空気を、前記複数の第二開口と前記第二気圧通路とを順次通過して外へ排出させる、
請求項4~6のいずれか1項に記載のダイの剥離方法。
【請求項8】
前記支持装置は、ハウジングとインナーシェルを備え、
前記インナーシェルが前記のハウジングの内部に設置され、
前記ハウジングの内部に前記複数の第一気圧通路が設けられ、トップに前記複数の第一開口が設けられ、
前記インナーシェルの内部に前記第二気圧通路が設けられ、トップに前記複数の第二開口が設けられる、
請求項7に記載のダイの剥離方法。
【請求項9】
前記複数の第一気圧通路と前記第二気圧通路とはいずれも真空装置に接続され、
前記第二気圧通路がガス供給装置に接続され、
前記真空装置が、前記複数の第一気圧通路を抽気して真空状態を発生させ、前記周辺負圧を供給し、
前記真空装置が、前記第二気圧通路を抽気して真空状態を発生させ、前記中心負圧を供給し、
前記ガス供給装置は、前記第二気圧通路に排気して気流を発生させ、前記中心正圧を供給する、
請求項7に記載のダイの剥離方法。
【請求項10】
前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程において、
前記中心正圧の圧力を増加し続ける工程を備える、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイの剥離方法に関し、特に押出手段と気圧制御手段を組み合わせることによりダイとキャリアフィルムを分離させるダイの剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハが複数のダイに分割された後、前記複数のダイがキャリアフィルムから基板上に移載される。移載される過程において、まず、支持装置によりキャリアフィルムにおけるターゲットエリアを支持する。
【0003】
次に、理想的な状態では、複数のプッシュバーが支持装置の内部から外部に上昇し、且つターゲットエリアを介してダイを押出して上昇させ、ダイの周りとターゲットエリアの周りを分離させ、ダイの中心部とターゲットエリアの中心部も分離させる。ダイの上昇過程において、ダイはダイ固定装置に接触し、ダイ固定装置によりダイを吸着する。最後に、前記複数のプッシュバーが支持装置の内部に下降し、それと同時にダイ固定装置がダイを基板上に移載させる。
【0004】
しかしながら、これらのプッシュバーがターゲットエリアを介してダイを押出して上昇させる際、キャリアフィルムの粘度が強いと、ターゲットエリアの中心部が依然としてダイの中心部にしっかりと付着しているが、支持装置と分離し始めるだけで、この場合、ダイの周りとターゲットエリアの周りだけが分離され、ダイ固定装置がダイをキャリアフィルムから分離することができなくなってしまう。
【0005】
さらに、前記複数のプッシュバーがターゲットエリアを介してダイを押出して上昇させる際、キャリアフィルムの粘度がより強いと、ターゲットエリアの中心部が依然としてダイの中心部にしっかりと付着しているだけではなく、ターゲットエリアの中心部も支持装置にしっかりと付着しており、ダイの中心部の深刻な反りと変形、さらには破損を引き起こしてしまう。
【0006】
なお、前記複数のプッシュバーがターゲットエリアを介してダイを押出して上昇させる際、前記複数のプッシュバーの必要な上昇距離が比較的に大きく、ダイの中心部とターゲットエリアの中心部との剥離時間が比較的に長く、作業時間が増加し、スループットが低下してしまう。
【0007】
また、前記複数のプッシュバーがターゲットエリアを介してダイを押出して上昇させる際、前記複数のプッシュバーの先端が比較的に鋭く、応力が過度に集中しやすくなり、さらにはダイが破損してしまい、若しくはキャリアフィルムが破損してダイの表面に残してしまう。
【0008】
さらに、前記複数のプッシュバーがキャリアフィルムを介してダイを押出して上昇させる際、ダイの上昇速度が速く、ダイとダイ固定装置との大きい接触力によるダイの破損が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法を提供し、持ち上げ作用、吸着作用及び吹付作用によって、ダイに対するキャリアフィルムの粘度の影響力を低減することができる。
【0010】
本発明の他の目的は、押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法を提供し、持ち上げ作用、吸着作用及び吹付作用により、支持装置に対するキャリアフィルムの粘度の影響力を低減することができる。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法を提供し、連続的な吹付作用によって比較的緩和にダイをキャリアフィルムから分離することができ、剥離時間を短縮し、且つ応力集中の問題がない。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法を提供し、連続的な吹付作用によって比較的緩和にダイをダイ固定装置に接触させることができ、ダイと結晶装置の接触力が比較的小さくなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明は、押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法を提供し、以下の工程を備える。周辺負圧によってキャリアフィルにおける表面にはんだボールも銅柱もないダイが設けられるターゲットエリアの周りを吸着する工程と、複数のプッシュバーによって、前記ターゲットエリアを介して前記ダイを押出して上昇させ、前記ダイの周りを前記ターゲットエリアの周りから分離させる工程と、中心負圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吸着し、前記ターゲットエリアの中心部を下向きに窪んで前記ダイの中心部から分離させる工程と、前記中心負圧から中心正圧に切り替え、前記中心正圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吹き付け、前記ターゲットエリアの中心部を上向きに隆起させ、前記ダイの中心部に接触させる工程と、前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付け、前記ターゲットエリアの中心部を上向きに隆起させることを続けるとともに、前記ダイを押出して上昇させ、前記ダイをその周りから中心部に向かう方向に沿って前記ターゲットエリアから徐々に分離させる工程と、を備える。
【0014】
また、前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程において、前記ダイを上昇させる過程において、前記ダイをダイ固定装置に接触させる工程と、前記ダイ固定装置によって前記ダイを吸着して上昇させ、前記ダイを前記ターゲットエリアから完全に分離させる工程と、をさらに備える。
【0015】
また、前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程の後に、前記中心正圧の供給を停止し、前記複数のプッシュバーを下降させ、前記ターゲットエリアの中心部を徐々に平坦状に回復させ、それと同時にダイ固定装置によってダイを表面にはんだボールも銅柱もない基板上に移載する工程をさらに備える。
【0016】
また、前記周辺負圧によって前記ターゲットエリアの周りを吸着する工程において、支持装置によって前記キャリアフィルムにおける前記ターゲットエリアを支持し、前記周辺負圧を供給する工程をさらに備え、前記複数のプッシュバーによって前記ターゲットエリアを介して前記ダイを押出して上昇させる工程において、前記複数のプッシュバーを前記支持装置の内部からの外部に上昇させ、前記ターゲットエリアの中心部を前記支持装置から分離させる工程をさらに備え、前記中心負圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吸着する工程において、前記支持装置によって前記中心負圧を供給し、前記ターゲットエリアの中心部を前記支持装置に接触させる工程をさらに備え、前記中心負圧から前記中心正圧に切り替える工程において、前記支持装置によって前記中心負圧から前記中心正圧に切り替え、前記ターゲットエリアの中心部を前記支持装置から分離させる工程をさらに備え、前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程において、前記支持装置によって前記中心正圧を連続的に供給する工程をさらに備え、前記中心正圧の供給を停止する工程において、前記支持装置によって前記中心正圧の供給を停止し、前記複数のプッシュバーを前記支持装置の内部に下降させ、前記ターゲットエリアの中心部と前記支持装置との間の空間における空気を、前記支持装置を通過して外へ排出させ、前記ターゲットエリアの中心部を徐々に平坦状に回復させ、前記支持装置に接触させる工程をさらに備える。
【0017】
また、前記複数のプッシュバーによって前記ターゲットエリアを介して前記ダイを押出して上昇させる工程、前記中心負圧によって前記ターゲットエリアの中心部を吸着する工程、前記中心負圧から前記中心正圧に切り替える工程、前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程、且つ前記中心正圧の供給を停止する工程において、いずれも、前記支持装置によって前記周辺負圧を連続的に供給し、前記周辺負圧によって前記ターゲットエリアの周りを連続的に吸着する工程をさらに備える。
【0018】
また、中心正圧の供給を停止する工程の後に、前記支持装置によって前記周辺負圧の供給を停止する工程と、前記支持装置を他のターゲットエリアの下方に移動させ、他のターゲットエリアを支持し、前記ダイ固定装置を他のターゲットエリアの上方に上昇させる工程と、をさらに備える。
【0019】
また、前記支持装置には、複数の第一気圧通路、第二気圧通路、複数の第一開口及び複数の第二開口が設けられ、前記複数の第一気圧通路が前記複数の第一開口にそれぞれ連通し、前記第二気圧通路が前記複数の第二開口に連通し、前記複数の第一気圧通路が前記周辺負圧を供給し、前記周辺負圧が前記複数の第一開口を通過することによって前記ターゲットエリアの周りを吸着し、前記複数のプッシュバーが前記第二気圧通路に設置され、前記複数の第二開口を貫通して上昇又は下降することができ、前記第二気圧通路によって前記中心負圧又は前記中心正圧を供給し、前記中心負圧が前記複数の第二開口を通過することによって前記ターゲットエリアの中心部を吸着し、前記中心正圧が前記複数の第二開口を通過することによって前記ターゲットエリアの中心部を吹き付け、前記ターゲットエリアの中心部と前記支持装置との間の空間における空気を、前記複数の第二開口と前記第二気圧通路とを順次通過して外へ排出させる。
【0020】
また、前記支持装置は、ハウジングとインナーシェルを備え、前記インナーシェルが前記ハウジングの内部に設置され、前記ハウジングの内部に前記複数の第一気圧通路が設けられ、トップに前記複数の第一開口が設けられ、前記インナーシェルの内部に前記第二気圧通路が設けられ、トップに前記複数の第二開口が設けられる。
【0021】
また、前記複数の第一気圧通路と前記第二気圧通路とはいずれも真空装置に接続され、前記第二気圧通路がガス供給装置に接続され、前記真空装置が前記複数の第一気圧通路を抽気して真空状態を発生させ、前記周辺負圧を供給し、前記真空装置が前記複数の第二気圧通路を抽気して真空状態を発生させ、前記中心負圧を供給し、前記ガス供給装置が第二気圧通路に排気して気流を発生させ、前記中心正圧を供給する。
【0022】
また、前記中心正圧によって連続的に前記ターゲットエリアの中心部を吹き付ける工程において、前記中心正圧の圧力を増加し続ける工程をさらに備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、本発明に係る方法は、周辺負圧からの吸着作用と前記複数のプッシュバーからの持ち上げ作用により、ダイの周りがターゲットエリアの周りからの分離効果を達成することができる。また、本発明に係る方法は、中心負圧からの吸着作用と中心正圧からの吹付作用により、ダイに対するキャリアフィルムの粘度の影響力を低減することができる。これにより、ターゲットエリアの中心部がダイの中心部に接触されても、中心正圧の連続的な吹付作用により、ダイの中心部をターゲットエリアの中心部から容易に剥離することができ、キャリアフィルムの粘度の影響を受けることはない。
【0024】
さらに、本発明に係る方法は、前記複数のプッシュバーからの持ち上げ作用、中心負圧からの吸着作用、中心正圧からの吹付作用により、支持装置に対するキャリアフィルムの粘度の影響力を低減することができる。これにより、ターゲットエリアの中心部が支持装置に接触されても、中心正圧の連続的な吹付作用により、ターゲットエリアの中心部を支持装置から容易に剥離することができ、キャリアフィルムの粘度の影響を受けなく、ダイに反り及び変形という問題が発生しない。
【0025】
なお、中心正圧からの連続的な吹付作用により、ダイの中心部がターゲットエリアの中心部から剥離される時間を短縮することができ、作業時間を短縮し、スループットを向上できる。
【0026】
また、中心正圧からの連続的な吹付作用により、比較的緩和にダイの中心部をターゲットエリアの中心部から徐々に分離させることができ、応力集中の問題がなく、ダイやキャリアフィルムが破損されてダイの表面に残すことを回避できる。
【0027】
さらに、中心正圧からの連続的な吹付作用により、ターゲットエリアの中心部を緩和的に上向きに隆起させることができ、ターゲットエリアの中心部によってダイをゆっくり上昇させ、比較的緩和にダイ固定装置に接触させ、ダイとダイ固定装置の接触力を低下させるため、ダイの破損を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】本発明に係る方法のフローチャートである。
【
図1B】本発明に係る方法のフローチャートである。
【
図2】本発明に係る方法における工程S10の模式図である。
【
図3】本発明に係る方法における工程S20の模式図である。
【
図4】本発明に係る方法における工程S30の模式図である。
【
図5】本発明に係る方法における工程S40の模式図である。
【
図6】本発明に係る方法における工程S50の模式図である。
【
図7】本発明に係る方法における工程S50の模式図である。
【
図8】本発明に係る方法における工程S50の模式図である。
【
図9】本発明に係る方法における工程S50の模式図である。
【
図10】本発明に係る方法における工程S60の模式図である。
【
図11】本発明に係る方法における工程S60の模式図である。
【
図12】本発明に係る方法における工程S70の模式図である。
【
図13】本発明に係る方法における工程S80の模式図である。
【
図14】本発明の第一気圧通路、第二気圧通路、真空装置及びガス供給装置の接続関係の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面と符号に基づいて本発明の実施形態をより詳しく説明し、当業者が本明細書を研読した後に実施できるようにする。
【0030】
図1A及び
図1Bは本発明に係る方法のフローチャートで、
図2は本発明に係る方法における工程S10の模式図で、
図3は本発明に係る方法における工程S20の模式図で、
図4は本発明に係る方法における工程S30の模式図で、
図5は本発明に係る方法における工程S40の模式図で、
図6~
図9は本発明に係る方法の工程S50における模式図である。本発明は押出手段と気圧制御手段を組み合わせるダイの剥離方法を供給し、以下の工程を含む。
【0031】
工程S10では、
図1A及び
図2に示すように、支持装置10によってキャリアフィルム20のターゲットエリア21を支持し、周辺負圧13を供給し、周辺負圧13によってキャリアフィルム20におけるターゲットエリア21の周り211を吸着し、ターゲットエリア21上に表面にはんだボールも銅柱もないダイ30が設けられる。
【0032】
工程S20では、
図1A及び
図3に示すように、複数のプッシュバー40を支持装置10の内部から外部に上昇させ、ターゲットエリア21を介してダイ30を押出して上昇させ、ダイ30の周り31をターゲットエリア21の周り211から分離させ、それと同時にターゲットエリア21の中心部212を支持装置10から分離させる。
【0033】
工程S30では、
図1A及び
図4に示すように、支持装置10が中心負圧14を供給し、中心負圧14によってターゲットエリア21の中心部212を吸着し、ターゲットエリア21の中心部212を下に向かって窪んでダイ30の中心部32から分離させて支持装置10に接触させる。
【0034】
工程S40では、
図1A及び
図5に示すように、支持装置10によって中心負圧14から中心正圧15に切り替え、中心正圧15によってターゲットエリア21の中心部212を吹き付け、ターゲットエリア21の中心部212を上向きに隆起させ、支持装置10から離れてダイ30の中心部32に接触させる。
【0035】
工程S50では、
図1B、
図6、
図7、
図8、
図9に示すように、支持装置10によって中心正圧15を連続的に供給し、中心正圧15によってターゲットエリア21の中心部212を連続的に吹き付け、ターゲットエリア21の中心部212を上向きに隆起させることを続け、ダイ30を押出して上昇させ、ダイ30をその周り31から中心32に向かう方向に沿ってターゲットエリア21から徐々に分離される。
【0036】
以上のように、本発明に係る方法は、周辺負圧13からの吸着作用及び前記複数のプッシュバー40からの持ち上げ作用により、ダイ30の周り31とターゲットエリア21の周り211との分離効果を達成することができる。
【0037】
そして、本発明に係る方法は、中心負圧14からの吸着作用及び中心正圧15からの吹付作用により、ダイに対するキャリアフィルム膜20の粘度の影響力を低減することができる。
【0038】
これにより、ターゲットエリア21の中心部212がダイ30の中心部32に接触しても、中心正圧15の連続的な吹付作用により、ダイ30の中心部32をターゲットエリア21の中心部212から容易に剥離することができ、キャリアフィルム20の粘度の影響を受けることはない。
【0039】
さらに、本発明に係る方法は、前記複数のプッシュバー40からの持ち上げ作用、中心負圧14からの吸着作用及び中心正圧15からの吹付作用によって、支持装置10に対するキャリアフィルム20の粘度の影響力を低減することができる。
【0040】
これにより、ターゲットエリア21の中心部212が支持装置10に接触しても、中心正圧15の連続的な吹付作用により、ターゲットエリア21の中心部212を支持装置10から容易に剥離することもでき、キャリアフィルム20の粘度の影響を受けなく、ダイ30に反り及び変形などの問題が発生しない。
【0041】
なお、中心正圧15の連続的な吹付作用により、ダイ30の中心部32がターゲットエリア21の中心部212から剥離される時間を短縮することができ、作業時間を短縮し、スループットを向上させる。
【0042】
また、中心正圧15の連続的な吹付作用により、比較的緩和にダイ30の中心部32をターゲットエリア21の中心部212から徐々に分離させることができ、応力集中の問題がなく、ダイ30やキャリアフィルム20が破損されてダイ30の表面に残すことを回避できる。
【0043】
図1B、
図8及び
図9に示すように、好ましい実施例において、工程S50において、ダイ30の上昇する過程において、ダイ30をダイ固定装置50に接触させ、ダイ固定装置50によってダイ30を吸着して上昇させ、ダイ30をターゲットエリア21から完全に分離させる。より詳細には、中心正圧15の連続的な吹付作用により、ターゲットエリア21の中心部212を緩和的に上向きに隆起させることができ、ターゲットエリア21の中心部212によってダイ30を押出して上昇させ、且つ比較的緩和にダイ固定装置50に接触させ、ダイ30とダイ固定装置50との接触力を低下させ、ダイ30の破損を回避できる。
【0044】
さらに、ダイ30の中心部32をターゲットエリア21の中心部212から容易に剥離させることができるため、ダイ固定装置50によってダイ30を容易に上昇させることができ、キャリアフィルム20の粘度による影響を受けることはない。
【0045】
図10及び
図11は、本発明に係る方法の工程S60の模式図である。好ましい実施例において、工程S50の後に以下の工程をさらに備える。工程S60において、
図1B、
図10及び
図11に示すように、支持装置10によって中心正圧15の供給を停止し、前記複数のプッシュバー40を支持装置10の内部に下降させ、ターゲットエリア21の中心部212と支持装置10との間の空間における空気を、支持装置10を通過して外へ排出させることで、ターゲットエリア21の中心部212を徐々に平坦状に回復させ、支持装置10に接触させ、同時にダイ固定装置50によってダイ30を表面にはんだボールも銅柱もない基板80上に移載する。
【0046】
図1A、
図1B及び
図3~
図11に示すように、好ましい実施例において、工程S20、工程S30、工程S40、工程S50、工程S60いずれも、支持装置10によって周辺負圧13を連続的に供給し、周辺負圧13によってターゲットエリア21の周り211を連続的に吸着する工程をさらに備える。これにより、ダイ30の周り31とターゲットエリア21の周り211との分離を維持し続けることができる。
【0047】
図1B及び
図6~
図9に示すように、好ましい実施例において、工程S50において、中心正圧15の圧力を増加し続ける工程をさらに備える。より詳細には、中心正圧15の圧力を増加し続ける影響を受け、ターゲットエリア21の中心部212を安定的な速度で上向きに隆起させることを続け、ダイ30の中心部32をターゲットエリア21の中心部212から安定的な速度で徐々に分離させることができる。
【0048】
図12は本発明に係る方法の工程S70の模式図で、
図13は本発明に係る方法の工程S80の模式図である。好ましい実施例において、工程S60の後に、以下の工程をさらに備える。
【0049】
工程S70にいて、
図1B及び
図12に示すように、支持装置10によって周辺負圧13の供給を停止する。
【0050】
工程S80において、
図1B及び
図13に示すように、支持装置10を他のターゲットエリア21の下方に移動させ、この他のターゲットエリア21Aを支持し、ダイ固定装置50を他のターゲットエリア21Aの上方に移動させる。
【0051】
具体的には、支持装置10によって周辺負圧13の供給を停止するため、支持装置10は周辺負圧13によってターゲットエリア21を吸着せず、他のターゲットエリア21Aにスムーズに移動し、周辺負圧13による影響がなく、それと同時にダイ固定装置50も他のターゲットエリア21Aにあるダイ30と位置合わせ、他のターゲットエリア21Aにあるダイ30に対して移載作業を繰り返す。
【0052】
図2に示すように、好ましい実施例において、支持装置10は、ハウジング11と、ハウジング11に設置されるインナーシェル12と、を備える。ハウジング11の内部に複数の第一気圧通路111が設けられ、トップには複数の第一開口112が設けられ、前記複数の第一気圧通路111が前記複数の第一開口112にそれぞれ連通する。インナーシェル12の内部に第二気圧通路121が設けられ、トップには複数の第二開口122が設けられ、前記第二気圧通路121が前記複数の第二開口122に連通している。
【0053】
図2~
図11に示すように、前記複数の第一気圧通路111によって周辺負圧13を供給し、周辺負圧13が前記複数の第一開口112を通過することでターゲットエリア21の周り211を吸着する。
図3及び
図10に示すように、前記複数のプッシュバー40が第二気圧通路121内に配置され、前記複数の第二開口122を貫通して上昇又は下降することができる。
【0054】
図4から
図9に示すように、第二気圧通路121によって中心負圧14又は中心正圧15を供給し、中心負圧14が前記複数の第二開口122を通過することでターゲットエリア21の中心部212を吸着し、中心正圧15が前記複数の第二開口122を通過することでターゲットエリア21の中心部212を吹き付ける。
【0055】
図10及び
図11に示すように、ターゲットエリア21の中心部212と支持装置10との間の空間における空気を、前記複数の第二開口122及び第二気圧通路121を順次通過して外へ排出させる。
【0056】
図14は、本発明の第一気圧通路111、第二気圧通路121、真空装置60とガス供給装置70との接続関係の模式図である。
【0057】
図14に示すように、前記複数の第一気圧通路111と第二気圧通路121はいずれも真空装置60に接続され、第二気圧通路121はガス供給装置70に接続されている。
図2~
図11及び
図14に示すように、真空装置60は、前記複数の第一気圧通路111を抽気して真空状態を発生させ、周辺負圧13を供給する。
【0058】
図4及び
図14に示すように、真空装置60は、第二気圧通路121を抽気して真空状態を発生させ、中心負圧14を供給する。
図5~
図9及び
図14に示すように、ガス供給装置70によって第二気圧通路121に排気して気流を発生させ、中心正圧15を供給する。
【0059】
上述したものは、本発明を説明するための好ましい実施例にすぎず、これにより本発明に対するいかなる形式上の制限をすることは意図していなく、同じ発明の主旨の下でなされた本発明に関するいかなる修飾又は変更は、いずれも本発明の意図的な保護の範疇に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0060】
10 支持装置
11 ハウジング
111 第一気圧通路
112 第一開口
12 インナーシェル
121 第二気圧通路
122 第二開口
13 周辺負圧
14 中心負圧
15 中心正圧
20 キャリアフィルム
21、21A ターゲットエリア
211 周り
212 中心部
30 ダイ
31 周り
32 中心部
40 プッシュバー
50 ダイ固定装置
60 真空装置
70 ガス供給装置
80 基板
S10~S80 工程