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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092931
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】エレベータ用駆動システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/34 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B66B1/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122117
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】111149904
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522466326
【氏名又は名称】亞福儲能股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APh ePower Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】陳 志維
(72)【発明者】
【氏名】蘇 修賢
(72)【発明者】
【氏名】曾 ▲ユン▼棋
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HA20
3F502NA14
3F502NA32
3F502NA36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スロースタート回路を構成することなく駆動システムの充電電流を低減するエレベータの駆動システムを提供する。
【解決手段】エレベータの駆動システムが提供される。駆動システムは、モータと、電源と、バッテリ装置と、変換回路と、電力経路回路と、コントローラと、を備える。モータは、駆動電力に応答して、エレベータの移動を制御する。電源は、電源電力を提供する。バッテリ装置は、バッテリ電力を蓄える。エレベータの走行中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路とモータとの間に電力供給経路を生成し、変換回路を制御して、バッテリ電力を駆動電力に変換する。エレベータの停止中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路と電源との間に充電経路を生成し、変換回路を制御して、電源電力をバッテリ電力に変換する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電力に応答して、前記エレベータの移動を制御するように構成されたモータと、
電源電力を提供するように構成された電源と、
バッテリ電力を蓄えるように構成されたバッテリ装置と、
前記バッテリ装置に接続された変換回路と、
前記電源、前記モータ及び前記変換回路に接続された電力経路回路と、
前記変換回路と前記電力経路回路に接続され、
エレベータの走行中、前記電力経路回路を制御して、前記変換回路と前記モータとの間に第1の電力供給経路を生成し、前記変換回路を制御して、バッテリ電力を前記駆動電力に変換し、
エレベータの停止中、前記電力経路回路を制御して、前記変換回路と前記電源との間第1の充電経路を生成し、前記変換回路を制御して、前記電源電力を前記バッテリ電力に変換するように構成されたコントローラと、
を備えるエレベータの駆動システム。
【請求項2】
エレベータの停止中、前記バッテリ装置は、前記第1の充電経路を介して、前記バッテリ電力を受信する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
エレベータの走行中、前記モータは、前記第1の電力供給経路を介して、前記駆動電力を受信する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記バッテリ装置は、アルミニウム製バッテリ装置である、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項5】
エレベータの走行中、前記コントローラは、多相電力インバータとして機能するように前記変換回路を制御する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記変換回路は、
第1のダイオードを有する第1の電源スイッチであって、前記第1の電源スイッチの第1の端子は、前記バッテリ装置の第1の端子に接続され、前記第1の電源スイッチの第2の端子は、前記電力経路回路に接続され、前記第1の電源スイッチの制御端子は、前記コントローラに接続される前記第1の電源スイッチと、
第2のダイオードを有する第2の電源スイッチであって、前記第2の電源スイッチの第1の端子は、前記第1の電源スイッチの前記第2の端子に接続され、前記第2の電源スイッチの第2の端子は、前記バッテリ装置の第2の端子に接続され、前記第2の電源スイッチの制御端子は、前記コントローラに接続される前記第2の電源スイッチと、
第3のダイオードを有する第3の電源スイッチであって、前記第3の電源スイッチの第1の端子は、前記前記バッテリ装置の第1の端子に接続され、前記第3の電源スイッチの第2の端子は、前記電力経路回路に接続され、前記第3の電源スイッチの制御端子は、前記コントローラに接続される前記第3の電源スイッチと、
第4のダイオードを有する第4の電源スイッチであって、前記第4の電源スイッチの第1の端子は、前記第3の電源スイッチの前記第2の端子に接続され、前記第4の電源スイッチの第2の端子は、前記バッテリ装置の前記第2の端子に接続され、前記第4の電源スイッチの制御端子は、 前記コントローラに接続される前記第4の電源スイッチと、
第5のダイオードを有する第5の電源スイッチであって、前記第5の電源スイッチの第1の端子は、前記前記バッテリ装置の第1の端子に接続され、前記第5の電源スイッチの第2の端子は、前記電力経路回路に接続され、前記第5の電源スイッチの制御端子は、前記コントローラに接続される前記第5の電源スイッチと、
第6のダイオードを有する第6の電源スイッチであって、前記第6の電源スイッチの第1の端子は、前記第5の電源スイッチの前記第2の端子に接続され、前記第6の電源スイッチの第2の端子は、前記バッテリ装置の前記第2の端子に接続され、前記第6の電源スイッチの制御端子は、前記コントローラに接続される前記第6の電源スイッチと、を備える請求項1に記載のエレベータの駆動システム。
【請求項7】
エレベータの停止中、前記コントローラは、前記第1の電源スイッチと、前記第2の電源スイッチと、前記第3の電源スイッチと、前記第4の電源スイッチと、前記第5の電源スイッチと、前記第6の電源スイッチと、を遮断して、前記変換回路を整流回路として機能させる、請求項6に記載の駆動システム。
【請求項8】
前記電力経路回路は、複数の単極双投スイッチによって実現される、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項9】
前記電力経路回路は、
前記変換回路と前記モータとの間に接続される第1の経路スイッチ回路と、
前記変換回路と前記電源との間に接続される第2の経路スイッチ回路と、を備える請求項1に記載の駆動システム。
【請求項10】
エレベータの走行中、前記コントローラは、前記第1の経路スイッチ回路をオンにし、前記第2の経路スイッチ回路をオフにし、
エレベータの停止中、前記コントローラは、前記第2の経路スイッチ回路をオンにし、前記第1の経路スイッチ回路をオフにする、請求項9に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記バッテリ装置と前記コントローラに接続された保護回路をさらに備え、
前記コントローラは、前記バッテリ電力の電圧値に応じて、前記保護回路を有効にする、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項12】
前記保護回路は、
抵抗器であって、前記抵抗器の第1の端子が前記バッテリ装置の第1の端子に接続された前記抵抗器と、
保護スイッチであって、前記保護スイッチの第1の端子が前記抵抗器の第2の端子に接続され、前記保護スイッチの第2の端子が前記バッテリ装置の第2の端子に接続され、前記保護スイッチの制御端子が、前記コントローラに接続された前記保護スイッチと、を備える請求項11に記載の駆動システム。
【請求項13】
前記エレベータの移動中、前記モータが前記駆動電力を受信せずに回転するとき、前記コントローラは、前記電力経路回路を制御して、前記変換回路と前記モータとの間に第2の充電経路を生成し、前記変換回路を制御して、前記モータから提供される電力を前記バッテリ電力に変換し、前記第2の充電経路は、前記第1の電力供給経路とは反対側にある、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項14】
前記バッテリ装置に蓄えられた前記バッテリ電力の電圧値が所定の値よりも大きい場合、前記コントローラは、前記電力経路回路を制御して、前記変換回路と前記電源との間に第2の電力供給経路を生成し、前記変換回路を制御して、前記バッテリ電力を前記電源電力に変換し、前記電源電力を前記電源に提供し、前記第2の電力供給経路は、前記第1の充電経路とは反対側である、請求項1に記載の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動システムに関し、特にエレベータの駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のエレベータ駆動システムには、電力を蓄えるコンデンサ装置が搭載されている。コンデンサ装置の電圧が不十分な場合、駆動システムは整流器を用いて外部電源を整流し、コンデンサ装置の充電動作を実行する。しかしながら、コンデンサ装置は、より大きな容量性インピーダンスを有する。コンデンサ装置の電圧が不足すると、充電動作により非常に大きな充電電流が発生する。非常に大きな充電電流により、整流器が焼損する可能性がある。したがって、駆動システムには、過剰な充電電流を抑制するスロースタート回路が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、スロースタート回路の追加により、駆動システムのコストが増加する。したがって、どのようにして、スロースタート回路を構成することなく充電電流を低減する駆動システムを提供するかは、当業者の研究焦点の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、スロースタート回路を構成することなく駆動システムの充電電流を低減するエレベータの駆動システムを提供する。
【0005】
本発明の駆動システムは、エレベータ用に構成される。駆動システムは、モータと、電源と、バッテリ装置と、変換回路と、電力経路回路と、コントローラと、を備える。モータは、駆動電力に応答してエレベータの移動を制御する。電源は、電源電力を提供する。バッテリ装置は、バッテリ電力を蓄える。電力経路回路は、電源、モータ及び変換回路に接続される。コントローラは、変換回路と電力経路回路に接続される。エレベータの走行中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路とモータとの間に電力供給経路を生成し、変換回路を制御して、バッテリ電力を駆動電力に変換する。エレベータの停止中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路と電源との間に充電経路を生成し、変換回路を制御して、電源電力をバッテリ電力に変換する。
【発明の効果】
【0006】
エレベータの走行中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路とモータとの間に電力供給経路を生成し、変換回路を制御して、バッテリ電力を駆動電力に変換する。さらに、エレベータの停止中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路と電源との間に充電経路を生成し、変換回路を制御して、電源電力をバッテリ電力に変換する。したがって、エレベータが停止すると、変換回路は、バッテリ電力を用いてバッテリ装置を充電する。バッテリ装置の電圧値は、高電圧値に維持される。充電電流が低減され得る。したがって、本発明の駆動システムは、スロースタート回路を設ける必要がない。さらに、エレベータの停止中、変換回路は、電源電力をバッテリ電力に変換する。したがって、本発明の駆動システムは、整流器を設ける必要がない。このようにして、本発明の駆動システムのコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係る駆動システムの概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態による駆動システムの概略図である。
図3】本発明の一実施形態による駆動システムの概略回路図である。
図4】本発明の別の実施形態による駆動システムの概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のいくつかの実施形態を図面とともに詳細に説明する。以下の説明で使用される符号は、異なる図面に同じ符号が記載されている場合には、同一または類似の要素とみなす。これらの実施形態は、本発明の一部にすぎず、本発明のすべての可能な実施を開示するものではない。より正確には、実施形態は、本発明の特許請求の範囲における例示にすぎない。
【0009】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態に係る駆動システムの概略図である。本実施形態では、駆動システム100は、エレベータ(図示せず)を駆動するように構成されて良い。駆動システム100は、モータMTRと、電源PSと、バッテリ装置110と、変換回路120と、電力経路回路130と、コントローラ140と、を備える。モータMTRは、駆動電力に応答してPDRを動作させ、これにより、エレベータの移動を制御する。電源PSは、電源電力PPRを提供する。電源PSは、外部電源に接続された発電機又は送電インターフェースであって良い。バッテリ装置110は、バッテリ電力PBを蓄える。例えば、バッテリ装置110は、アルミニウムバッテリ装置であって良い。いくつかの実施形態では、バッテリ装置110は、他の電力貯蔵装置であっても良い。本発明は、バッテリ装置110の実施に限定されない。
【0010】
電力経路回路130は、電源PS、モータMTR、変換回路120に接続される。
【0011】
本実施形態では、コントローラ140は、変換回路120と電力経路回路130に接続される。コントローラ140は、エレベータが移動中であるか停止中であるか(例えば、特定の階に留まっている)を判断する。エレベータが移動中である(つまり、モータMTRが駆動されているか、駆動する必要がある)場合、コントローラ140は、電力経路回路130を制御して、変換回路120とモータMTRとの間に電力供給経路L1を生成し、変換回路120を制御して、バッテリ電力PBを駆動電力PDRに変換する。したがって、エレベータの走行中、変換回路120は、電力供給経路L1を介してモータMTRに電気的に接続される。モータMTRは、電力供給経路L1を介して駆動電力PDRを受信することにより、エレベータの移動を制御する。
【0012】
エレベータの停止中(つまり、モータMTRの駆動が停止しているとき)、モータMTRは動作を停止する。コントローラ140は、電力経路回路130を制御して、変換回路120と電源PSとの間に充電経路L2を生成し、変換回路120を制御して、電源電力PPRをバッテリ電力PBに変換する。したがって、エレベータの停止中、変換回路120は、充電経路L2を介して電源PSに電気的に接続される。バッテリ装置110は、充電経路L2を介してバッテリ電力PBを受信する。駆動システム100は、バッテリ電力PBを用いて、バッテリ装置110を充電する。つまり、駆動システム100は、モータMTRの動作停止中に、バッテリ装置110を充電する。
【0013】
例えば、エレベータの走行中、コントローラ140は、経路制御信号SCL1を電力経路回路130に提供し、変換制御信号SCTを変換回路120に提供する。電力経路回路130は、経路制御信号SCL1に応答して、電力供給経路L1を生成する。変換回路120は、変換制御信号SCTに応答して、バッテリ電力PBを駆動電力PDRに変換する。別の例として、エレベータの停止中、コントローラ140は、経路制御信号SCL2を電力経路回路130に提供し、変換回路120への変換制御信号SCTの供給を停止する。電力経路回路130は、経路制御信号SCL2に応答して、充電経路L2を生成する。変換回路120は、変換制御信号SCTが受信されない場合、受信した電源電力PPRをバッテリ電力PBに変換する。本実施形態では、電力供給経路L1及び充電経路L2とは、異なる期間に提供される。
【0014】
なお、留意すべき点として、エレベータの走行中、コントローラ140は、電力経路回路130を制御して、変換回路120とモータMTRとの間で電力供給経路L1を生成し、変換回路120を制御して、バッテリ電力PBを駆動電力PDRに変換する。さらに、エレベータの停止中、コントローラ140は、電力経路回路130を制御して、変換回路120と電源PSとの間で充電経路L2を生成し、変換回路120を制御して、電源電力PPRをバッテリ電力PBに変換する。したがって、変換回路120は、バッテリ電力PBを用いて、エレベータの停止中の期間に、バッテリ装置110を充電する。バッテリ装置110の電圧値は、高電圧値に維持される。充電電流が低減され得る。したがって、駆動システム100は、充電電流を低減するためにスロースタート回路を備える必要がない。さらに、エレベータの停止中、変換回路120は、電源電力PPRをバッテリ電力PBに変換する。したがって、駆動システム100は、整流器を設ける必要がない。このようにして、駆動システム100のコストが低減され得る。
【0015】
本実施形態では、コントローラ140は、例えば、中央処理装置(CPU)、または他のプログラム可能な汎用または専用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)又は類似の装置、又は前記装置の組み合わせであり、コンピュータプログラムをロードして実行することができる。
【0016】
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態による駆動システムの概略図である。本実施形態では、駆動システム200は、モータMTRと、電源PSと、バッテリ装置110と、変換回路120と、電力経路回路130と、コントローラ140と、保護回路250と、を備える。モータMTR、電源PS、バッテリ装置110、変換回路120、電力経路回路130及びコントローラ140の動作は、図1の実施形態で明確に説明したため、 ここでは説明を繰り返さない。保護回路250は、バッテリ装置110とコントローラ140に接続される。コントローラ140は、バッテリ電力PBの電圧値に応じて、保護回路250を有効にする。例えば、バッテリ電力PBの電圧値が所定の値(例えば、340ボルト)より大きい場合、コントローラ140は、イネーブル信号SENを保護回路250に提供することができる。保護回路250は、イネーブル信号SENに応答して、バッテリ電力PBの電圧値を低下させる(例えば、約315ボルトまで)。このようにして、コントローラ140と保護回路250は、バッテリ電力が過度に高電圧値になるのを回避することができる。バッテリ装置110及び変換回路120の耐用年数が延長され得る。
【0017】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による駆動システムの概略回路図である。本実施形態では、駆動システム300は、モータMTRと、電源PSと、バッテリ装置310と、変換回路320と、電力経路回路330と、コントローラ340と、保護回路350と、を備える。実施形態を例に挙げると、電源PSは、例えば、3相交流(AC)電源である。したがって、電源電力PPRは、3相交流の電圧を含む。バッテリ電力PBは、例えば、直流(DC)電源である。モータMTRは、例えば、3相モータである。
【0018】
本実施形態では、変換回路320は、電源スイッチPS1からPS6を含む。電源スイッチPS1は、ダイオードD1を有する。電源スイッチPS1の第1の端子は、バッテリ装置310の第1の端子に接続される。電源スイッチPS1の第2の端子は、電力経路回路330に接続される。電源スイッチPS1の制御端子は、コントローラ340に接続される。電源スイッチPS2は、ダイオードD2を有する。電源スイッチPS2の第1の端子は、電源スイッチPS1の第2の端子に接続される。電源スイッチPS2の第2の端子は、バッテリ装置310の第2の端子に接続される。電源スイッチPS2の制御端子は、コントローラ340に接続される。
【0019】
さらに、ダイオードD1のカソードは、電源スイッチPS1の第1の端子に接続される。ダイオードD1のアノードは、電源スイッチPS1の第2の端子に接続される。ダイオードD2のカソードは、電源スイッチPS2の第1の端子に接続される。ダイオードD2のアノードは、電源スイッチPS2の第2の端子に接続される。本実施形態では、電源スイッチPS1及び電源スイッチPS2は、変換回路320内の第1のブリッジアームを形成する。
【0020】
電源スイッチPS3は、ダイオードD3を有する。電源スイッチPS3の第1の端子は、バッテリ装置310の第1の端子に接続される。電源スイッチPS3の第2の端子は、電力経路回路330に接続される。電源スイッチPS3の制御端子は、コントローラ340に接続される。電源スイッチPS4は、ダイオードD4を有する。電源スイッチPS4の第1の端子は、電源スイッチPS3の第2の端子に接続される。電源スイッチPS4の第2の端子は、バッテリ装置310の第2の端子に接続される。電源スイッチPS4の制御端子は、コントローラ340に接続される。
【0021】
さらに、ダイオードD3のカソードは、電源スイッチPS3の第1の端子に接続される。ダイオードD3のアノードは、電源スイッチPS3の第2の端子に接続される。ダイオードD4のカソードは、電源スイッチPS4の第1の端子に接続される。ダイオードD4のアノードは、電源スイッチPS4の第2の端子に接続される。本実施形態では、電源スイッチPS3と電源スイッチPS4は、変換回路320内の第2のブリッジアームを形成する。
【0022】
電源スイッチPS5は、ダイオードD5を有する。電源スイッチPS5の第1の端子は、バッテリ装置310の第1の端子に接続される。電源スイッチPS5の第2の端子は、電力経路回路330に接続される。電源スイッチPS5の制御端子は、コントローラ340に接続される。電源スイッチPS6は、ダイオードD6を有する。電源スイッチPS6の第1の端子は、電源スイッチPS5の第2の端子に接続される。電源スイッチPS6の第2の端子は、バッテリ装置310の第2の端子に接続される。電源スイッチPS6の制御端子は、コントローラ340に接続される。
【0023】
さらに、ダイオードD5のカソードは、電源スイッチPS5の第1の端子に接続される。ダイオードD5のアノードは、電源スイッチPS5の第2の端子に接続される。ダイオードD6のカソードは、電源スイッチPS6の第1の端子に接続される。ダイオードD6のアノードは、電源スイッチPS6の第2の端子に接続される。本実施形態では、電源スイッチPS5と電源スイッチPS6は、変換回路320内の第3のブリッジアームを形成する。
【0024】
本実施形態では、電源スイッチPS1からPS6は、いずれかの形態の少なくとも1つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)または少なくとも1つの電界効果トランジスタ(FET)によってそれぞれ実現されて良い。
【0025】
本実施形態では、電力経路回路330は、経路スイッチ回路M1及びM2を含む。経路スイッチ回路M1は、変換回路320とモータMTRとの間に接続される。経路スイッチ回路M2は、変換回路320と電源PSとの間に接続される。経路スイッチ回路M1は、経路制御信号SCL1に応答して、電力供給経路L1を生成し、経路制御信号SCL2に応答して、電力供給経路L1の生成を停止する。経路スイッチ回路M2は、経路制御信号SCL2に応答して、充電経路L2を生成し、経路制御信号SCL1に応答して、充電経路L2の生成を停止する。
【0026】
本実施形態では、経路スイッチ回路M1は、スイッチSW1からSW3を含む。スイッチSW1の第1の端子は、電源スイッチPS1の第2の端子に接続される。スイッチSW1の第2の端子は、モータMTRに接続される。スイッチSW2の第1の端子は、電源スイッチPS3の第2の端子に接続される。スイッチSW2の第2の端子は、モータMTRに接続される。スイッチSW3の第1の端子は、電源スイッチPS5の第2の端子に接続される。スイッチSW3の第2の端子は、モータMTRに接続される。
【0027】
経路スイッチ回路M2は、スイッチSW4からSW6を含む。スイッチSW4の第1の端子は、電源スイッチPS1の第2の端子に接続される。スイッチSW4の第2の端子は電源PSに接続され、電源電力PPRの第1のAC相電圧を受信する。スイッチSW5の第1の端子は、電源スイッチPS3の第2の端子に接続される。スイッチSW5の第2の端子は電源PSに接続され、電源電力PPRの第2のAC相電圧を受信する。スイッチSW6の第1の端子は、電源スイッチPS5の第2の端子を受信する。スイッチSW6の第2の端子は電源PSに接続され、電源電力PPRの第3のAC相電圧を受信する。
【0028】
本実施形態では、スイッチSW1からSW6は、それぞれトランジスタスイッチ、トランスミッションゲート、リレースイッチなどにより実施されて良い。
【0029】
本実施形態では、エレベータの走行中、コントローラ340は、経路スイッチ回路M1をオンにし、経路スイッチ回路M2をオフにする。スイッチSW1からSW3はオンになる。スイッチSW4からSW6はオフになる。これにより、電力供給経路L1が生成される。さらに、コントローラ340は、多相電力インバータとして機能するように、変換回路320を制御する。したがって、変換回路320は、バッテリ電力PBを受信し、バッテリ電力PBを駆動電力PDRに変換する。
【0030】
本実施形態では、変換回路320が多相電力インバータとして機能するように制御される場合、第1のブリッジアーム(すなわち、電源スイッチPS1及び電源スイッチPS2)は、駆動電力PDRのうちの第1相の駆動電力を出力する。オンにされたスイッチSW1は、第1相の駆動電力をモータMTRに送信する。第2のブリッジアーム(すなわち、電源スイッチPS3及び電源スイッチPS4)は、駆動電力PDRのうちの第2相の駆動電力を出力する。オンにされたスイッチSW2は、第2相の駆動電力をモータMTRに送信する。さらに、第3のブリッジアーム(すなわち、電源スイッチPS5及び電源スイッチPS6)は、駆動電力PDRのうちの第3相の駆動電力を出力する。オンにされたスイッチSW3は、第3相の駆動電力をモータMTRに送信する。したがって、エレベータの走行中、モータMTRは、駆動電力PDRに応答して動作することができる。
【0031】
本実施形態では、エレベータの停止中、コントローラ340は、経路スイッチ回路M2をオンにし、経路スイッチ回路M1をオフにする。スイッチSW4からSW6はオンになる。スイッチSW1からSW3はオフになる。これにより、充電経路L2が生成される。さらに、コントローラ340は、変換回路320の電源スイッチPS1からPS6をオフにし、変換回路320を整流回路として機能させる。したがって、変換回路320は、オンにされたスイッチSW4からSW6を介して電源電力PPRを受信し、ダイオードD1からD6を用いて、電源電力PPRの3相交流の電圧を整流し、バッテリ電力PBを生成することができる。したがって、エレベータの停止中、変換回路320は、バッテリ電力PBを用いて、バッテリ装置310を充電することができる。
【0032】
本実施形態では、保護回路350は、抵抗器Rと、保護スイッチSWPと、を備える。抵抗器Rの第1の端子は、バッテリ装置310の第1の端子に接続される。保護スイッチSWPの第1の端子は、抵抗器Rの第2の端子に接続される。保護スイッチSWPの第2の端子は、バッテリ装置310の第2の端子に接続される。保護スイッチSWPの制御端子は、コントローラ340に接続される。例えば、コントローラ340が、バッテリ電力PBの電圧値が所定の値(例えば、340ボルト)よりも大きいことを感知した場合、コントローラ340は、イネーブル信号SENを保護回路350に提供する。保護スイッチSWPは、イネーブル信号SEN に応答して、オンになる。これにより、抵抗器Rがバッテリ電力PBを消耗する。したがって、バッテリ電力PBの電圧値は低下する(例えば、約315ボルトまで)。バッテリ電力PBの電圧値が所望の電圧値(例えば、315ボルト)まで低下すると、コントローラ340は、イネーブル信号SENの供給を停止する。したがって、保護スイッチSWPはオフになる。保護回路350は無効化される。また、保護回路350は、ダイオードDPをさらに備える。ダイオードDPのカソードは、抵抗器Rの第1の端子に接続される。ダイオードDPのアノードは、抵抗器Rの第2の端子に接続される。本実施形態では、保護スイッチSWPは、IGBT又は任意の形式のFETによって実現されて良い。
【0033】
いくつかの実施形態では、エレベータの移動中、モータMTRは、駆動電力PDRを受信せずに回転することができる。この状況では、コントローラ340は、モータMTRの回転により提供される電力をバッテリ電力PBに変換するように、変換回路320を制御する。例えば、既存のエレベータは、吊りブロックと、エレベータかごと、を備える。エレベータの吊りブロックの重さがエレベータのエレベータかごの重さよりも大きい場合、エレベータかごは、エレベータかごがより高層階への移動中、吊りブロック自身の重力を用いて上昇することができる。したがって、モータMTRは、回転のために駆動電力PDRを必要としない。したがって、エレベータがより高層階に移動している間、モータMTRは、駆動電力PDRを受信せずに回転して、発電機を形成する。この状況では、コントローラ340は、電力経路回路330を制御して、変換回路320とモータMTRとの間に充電経路L3を生成し、整流器として機能するように変換回路320を制御し、これにより、モータMTRにより提供される電力をバッテリ電力PBに変換する。このようにして、エレベータかごの上昇中、モータMTRが駆動電力PDRを受信しないときにバッテリ装置310を充電することができる。充電経路L3は、電力供給経路L1とは反対側にある。
【0034】
別の例として、エレベータの吊りブロックの重さがエレベータのエレベータかごの重さよりも小さい場合、エレベータかごは、エレベータかごの低層階への移動中、エレベータかご自身の重力を用いて下降することができる。エレベータかごの下降中、モータMTRは、駆動電力PDRを受信せずに回転して、発電機を形成する。この状況では、コントローラ340は、電力経路回路330を制御して、変換回路320とモータMTRとの間に充電経路L3を生成し、整流器として機能するように変換回路320を制御し、これにより、モータMTRにより提供される電力をバッテリ電力PBに変換する。
【0035】
なお、図1及び図2に示される実施形態では、エレベータの移動中、駆動電力PDRを受信することなくモータMTRが回転できることが理解されるべきである。コントローラ140は、モータMTRの回転によって提供される電力をバッテリ電力PBに変換するように、変換回路120を制御することもできる。
【0036】
いくつかの実施形態では、バッテリ装置310に蓄えられたバッテリ電力PBの電圧値が所定の値(例えば、340ボルト)よりも大きい場合、コントローラ340は、電力経路回路330を制御して、変換回路320と電源PSとの間に電力供給経路L4を生成し、多相電力インバータとして機能するように変換回路320を制御し、これにより、バッテリ電力PBを電源電力PPRに変換し、電源電力PPRを電源PSに提供する。このようにして、バッテリ装置310に蓄えられたバッテリ電力PBの電圧値が所定の値よりも大きい場合、バッテリ電力PBを外部の市電電力網に提供することができる。電力供給経路L4は、充電経路L2とは反対側にある。
【0037】
上記実施形態では、電力供給経路L4と充電経路L3は、異なる期間に供給される。
【0038】
なお、図1及び図2に示される実施形態では、バッテリ装置110に蓄えられたバッテリ電力PBの電圧値が所定の値よりも大きい場合、バッテリ電力PBも外部の主電力網に提供できることが理解されるべきである。
【0039】
図4を参照すると、 本発明の別の実施形態による駆動システムの概略回路図である。駆動システム400は、モータMTRと、電源PSと、バッテリ装置310と、変換回路320と、電力経路回路430と、コントローラ340と、保護回路350と、を備える。モータMTR、電源PS、バッテリ装置310、変換回路320、コントローラ340及び保護回路350の実施の詳細は、図3の実施形態で明確に説明したため、ここでは説明を繰り返さない。本実施形態では、電力経路回路430は、スイッチSW1からSW3を含む。スイッチSW1からSW3は、それぞれ単極双投(SPDT)スイッチである。つまり、電力経路回路430は、は、複数のSPDTスイッチによって実現される。例えば、スイッチSW1からSW3は、それぞれ、複数のトランジスタスイッチ、複数のトランスミッションゲート、又はリレースイッチによって実現されてもよい。
【0040】
本実施形態では、スイッチSW1の第1の端子は、電源スイッチPS1の第2の端子に接続される。スイッチSW1の第2の端子は、モータMTRに接続される。スイッチSW1の第3の端子は、電源PSに接続され、電源電力PPRの第1のAC相電圧を受信する。スイッチSW2の第1の端子は、電源スイッチPS3の第2の端子に接続される。スイッチSW2の第2の端子は、モータMTRに接続される。スイッチSW2の第3の端子は、電源PSに接続され、電源電力PPRの第2のAC相電圧を受信する。スイッチSW3の第1の端子は、電源スイッチPS5の第2の端子に接続される。スイッチSW3の第2の端子は、モータMTRに接続される。スイッチSW3の第3の端子は、電源PSに接続され、電源電力PPRの第3のAC相電圧を受信する。
【0041】
本実施形態では、エレベータの走行中、コントローラ340は、経路制御信号SCL1を提供する。電力経路回路430は、経路制御信号SCL1に応答して、スイッチSW1の第1の端子をスイッチSW1の第2の端子に接続し、スイッチSW2の第1の端子をスイッチSW2の第2の端子に接続し、スイッチSW3の第1の端子をスイッチSW3の第2の端子に接続する。これにより、電力供給経路L1が生成される。エレベータの停止中、コントローラ340は、経路制御信号SCL2を提供する。電力経路回路430は、経路制御信号SCL2に応答して、スイッチSW1の第1の端子をスイッチSW1の第3の端子に接続し、スイッチSW2の第1の端子をスイッチSW2の第3の端子に接続し、スイッチSW3の第1の端子をスイッチSW3の第3の端子に接続する。これにより、充電経路L2が生成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、エレベータの移動中、モータMTRは駆動電力PDRを受信することなく回転することができる。この状況では、コントローラ340は、電力経路回路430を制御して、変換回路320とモータMTRとの間に充電経路L3を生成し、整流器として機能するように変換回路320を制御し、これにより、モータMTRにより提供される電力をバッテリ電力PBに変換する。このようにして、エレベータかごの上昇中、モータMTRに駆動電力PDRが供給されていないときにバッテリ装置310を充電することができる。充電経路L3は、電力供給経路L1とは反対側にある。
【0043】
いくつかの実施形態では、バッテリ装置310に蓄えられたバッテリ電力PBの電圧値が所定の値よりも大きい場合、コントローラ340は、電力経路回路430を制御して、変換回路320と電源PSとの間に電力供給経路L4を生成し、多相電力インバータとして機能するように変換回路320を制御し、これにより、バッテリ電力PBを電源電力PPRに変換し、電源電力PPRを電源PSに提供する。このようにして、バッテリ装置310に蓄えられたバッテリ電力PBの電圧値が所定の値よりも大きい場合、バッテリ電力PBを外部の主電力網に提供することができる。電力供給経路L4は、充電経路L2とは反対側にある。
【0044】
上記実施形態では、電力供給経路L4と充電経路L3は、異なる期間に提供される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
エレベータの走行中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路とモータとの間に電力供給経路を生成し、変換回路を制御して、バッテリ電力を駆動電力に変換する。エレベータの停止中、コントローラは、電力経路回路を制御して、変換回路と電源との間に充電経路を生成し、変換回路を制御して、電源電力をバッテリ電力に変換する。したがって、変換回路は、バッテリ電力を用いて、エレベータの停止中の期間にバッテリ装置を充電する。バッテリ装置の電圧値は、高電圧値に維持される。バッテリ装置の充電中、充電電流が低減され得る。したがって、充電電流を低減するために、駆動システムに別途スロースタート回路を設ける必要がない。さらに、エレベータの停止中、変換回路は、電源電力をバッテリ電力に変換することができる。したがって、駆動システムに別途整流器を設ける必要がない。このようにして、駆動システムのコストが低減され得る。
【符号の説明】
【0046】
100、200、300、400: 駆動システム
110、310: バッテリ装置
120、320: 変換回路
130、330、430: 電力経路回路
140、340: コントローラ
250、350: 保護回路
D1~D6、DP: ダイオード
L1、L4: 電力供給経路
L2、L3: 充電経路
M1、M2: 経路スイッチ回路
MTR: モータ
PB: バッテリ電力
PDR: 駆動電力
PPR: 電源電力
PS: 電源
PS1~PS6: 電源スイッチ
R: 抵抗器
SCL1、SCL2: 経路制御信号
SCT: 変換 制御信号
SEN: イネーブル信号
SW1~SW6: スイッチ
SWP: 保護スイッチ
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】