(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092947
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20240701BHJP
B22F 1/052 20220101ALI20240701BHJP
B22F 1/065 20220101ALI20240701BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20240701BHJP
B22F 9/00 20060101ALI20240701BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240701BHJP
H01F 1/059 20060101ALI20240701BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240701BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20240701BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20240701BHJP
【FI】
B22F1/00 W
B22F1/052
B22F1/065
B22F1/14 100
B22F1/14 200
B22F9/00 C
C22C38/00 303D
C22C38/00 303S
C22C38/00 303H
H01F1/059 160
H01F41/02 G
B22F1/00 Y
C22C33/02 H
B22F3/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177665
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】202211678918.2
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519229622
【氏名又は名称】有研稀土高技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】GRIREM HI-TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】North of Gushan South Road And East Of Happiness Road,Hi-tech industrial zone,Yanjiao Town,Sanhe City, Langfang City, Hebei 065200, China
(71)【出願人】
【識別番号】515330421
【氏名又は名称】有研稀土新材料股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】彭 海軍
(72)【発明者】
【氏名】羅 陽
(72)【発明者】
【氏名】王 子龍
(72)【発明者】
【氏名】朱 勝杰
(72)【発明者】
【氏名】于 敦波
(72)【発明者】
【氏名】張 洪濱
(72)【発明者】
【氏名】単 偉康
(72)【発明者】
【氏名】馬 天嬌
(72)【発明者】
【氏名】崔 帥
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA06
4K017BB12
4K017BB13
4K017CA01
4K017CA07
4K017DA02
4K018BA18
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4K018BC12
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4K018BC19
4K018BD01
4K018KA42
5E040AA03
5E040AA19
5E040CA01
5E040HB09
5E040HB11
5E040HB17
5E040NN06
5E040NN12
5E040NN18
5E062CC05
5E062CG03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】篩分けを必要とせず、良好な球形度及び特別な粒度のマッチングを有し、高保磁力及び高角形性を兼備する異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末及びその製造方法を提供する。
【解決手段】異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末は、化学式がSm
2Fe
17N
3であり、Th
2Zn
17結晶構造を有し、合金粉末の粒度0.5μm≦D90≦5μm、0.1μm≦D10≦2μm、合金粉末の平均球形度≧0.7、保磁力Hcj≧10kOe、角形性Q≧0.5である。製造方法は、下記S1からS2のステップを含む。S1:鉄粉、酸化サマリウム粉末、カルシウム粒を均一に混合し、S2:回転する熱処理炉内に混合物を配置し、耐高温の円形ボールを入れ、真空引きし、還元拡散保護ガスを導入し、炉体を昇温し、S3:炉体を冷却し、真空引きし、窒化ガスを導入し、S4:冷却後の粉末及び円形ボールを取り出して分離し、粉末を洗浄し、真空環境で乾燥する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式がSm2Fe17N3であり、Th2Zn17結晶構造を有し、合金粉末の粒度0.5μm≦D90≦5μm、0.1μm≦D10≦2μm、合金粉末の平均球形度≧0.7、保磁力Hcj≧10kOe、角形性Q≧0.5である、ことを特徴とする異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末。
【請求項2】
合金粉末の粒度1μm≦D90≦4μm、0.8μm≦D10≦2μm、合金粉末の平均球形度≧0.8、保磁力Hcj≧13 kOe、角形性Q≧0.6である、ことを特徴とする請求項1に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末。
【請求項3】
異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法であって、
S1において、原料混合であって、鉄粉、酸化サマリウム粉末、カルシウム粒を均一に混合し、混合物を得、
S2において、還元拡散熱処理であって、回転する熱処理炉内に混合物を配置し、耐高温の円形ボールを入れ、1×10-2Pa以下に真空引きし、還元拡散保護ガスを導入し、炉体を850℃~950℃に昇温し、1~3時間を保温し、
S3において、窒化熱処理であって、炉体を400℃~500℃に冷却し、1×10-2Pa以下に真空引きし、窒化保護ガスを導入し、1~15時間保温し、真空引きし、1時間熱処理後、冷却し、
S4において、洗浄乾燥であって、冷却後の粉末及び円形ボールを取り出して分離し、粉末を洗浄し、真空環境で乾燥し、サマリウム鉄窒素磁性合金粉末を得る、ことを特徴とする異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項4】
S1において、鉄粉の粒度0.5μm≦D90≦5μm、0.1μm≦D10≦2μm、鉄粉の球形度≧0.7、酸化サマリウムの粒度0.5μm≦ D90≦5μm、0.1mm≦カルシウム粒の寸法≦2mmである、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項5】
S1において、鉄粉の粒度1μm≦D90≦4μm、0.8μm≦D10≦2μm、鉄粉の球形度≧0.8、酸化サマリウムの粒度1μm≦ D90≦4μm、0.1mm≦カルシウム粒の寸法≦1mmである、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項6】
S2において、前記耐高温の円形ボールが混合磁性合金粉末の体積の20%~80%を占め、前記耐高温の円形ボールの直径は、1~5mmである、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項7】
S2において、前記耐高温の円形ボールが混合磁性合金粉末の体積の40%~60%を占め、前記耐高温の円形ボールの直径は、2~3mmである、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項8】
S2において、前記耐高温の円形ボールは、超硬合金ボール、ジルコニアボール又はコランダムボールが採用される、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項9】
S2において、前記熱処理炉の炉体は、5~20r/minの速度で回転する、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項10】
S3において、前記窒化保護ガスは、窒素ガス、又は窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、又はアンモニアガス、又はアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスが採用される、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項11】
S4において、冷却後の粉末及び円形ボールを取り出して分離する方法は、
冷却後の粉末及び円形ボールを一緒に取り出し、不活性ガスの保護下で、脱イオン水で洗浄し、同時に濾過網で前記耐高温の円形ボールを分離することを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【請求項12】
S4において、粉末を洗浄する方法は、
粉末を数回洗浄し、溶液が清澄後、希酢酸で残りのカルシウムまたはその化合物を溶解し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7になるまで洗浄し、さらに無水エタノールで複数回洗浄することを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性合金粉末技術分野に関し、特に異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性Sm2Fe17N3材料は、Nd2Fe14B材料に匹敵する磁気性能、より高いキュリー温度をを有し、長期間にわたってSmの価格は、Ndの10分の1、さらにより低いため、Sm2Fe17N3材料は、大きな応用潜在力を有する。Sm2Fe17N3材料を製造する周知の方法は、Sm2Fe17合金を先に製造し、そしてSm2Fe17合金を窒化して、サマリウム鉄窒素合金を得る。現在、Sm2Fe17N3材料を製造する方法は、主にメカニカルアロイング法、水素化不均化法、粉末冶金法、化学共沈法及び従来の還元拡散法等がある。そのうち、メカニカルアロイング法は、長時間の高エネルギーボールミリングを必要とし、効率が低く、エネルギー消耗が高く、普及に不利である。水素化不均化法は、主に等方性のSm2Fe17N3材料を製造するために用いられ、磁気性能が低い。粉末冶金法は、溶解したSmFe合金に対して長時間の高温焼鈍処理を行ってα-Feを除去する必要があり、且つ窒化後に微粉砕を必要として実用性能を有する粉末を得る必要がある。従来の還元拡散法は、原料を混合した後塊成物にプレスしてるつぼ内に入れて還元拡散を行い、洗浄後にSm2Fe17合金粉末を得た後、合金粉末を窒化し、最後に微粉砕してSm2Fe17N3磁性粉末を得る。以上の方法は、いずれも微粉砕するステップを必要とし、粉末が微粉砕されて破砕された後、顆粒は、不規則な形状を呈し、鋭い角が多く、結晶粒の表面の完全性が破壊され、磁性粉末の保磁力及び角形性を低下させる。また、微粉砕は、通常有機溶剤中で行われるが、操作が複雑で、安全性にも問題が存在する。化学共沈法は、SmとFeの塩溶液で、沈殿剤を加えて反応させ、微顆粒の複合沈殿物を得てから、さらに焼成、予備還元、還元拡散、窒化、洗浄を経て、最終的にSm2Fe17N3磁性粉末を得ることであり、この方法は、微粉砕を必要とせず実用性能を有する異方性Sm2Fe17N3磁性粉末を得ることができるが、この方法のプロセスフローが複雑であり、Smの含有量が制御しにくく、大規模な普及に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁性合金粉末は、いずれも一定のモノドメインサイズを有し、粒径がモノドメインサイズの範囲付近にあると、良好な保磁力を有する。Sm2Fe17N3材料にとって、モノドメインサイズまで下がるコストが高く、数ミクロンの範囲まで下がると、実用効果に達する保磁力が得られれる。周知されているように、Sm2Fe17N3材料の保磁力メカニズムは、典型的な核生成メカニズムであり、顆粒の寸法の影響を受ける以外、顆粒の形態、表面状態などの要素も材料の総合性能に影響する重要要素であり、合金顆粒が微細であり、粉末が極めて酸化しやすく、材料の保磁力及び角形性の向上は、ずっと解决しにくい問題である。これに基づき、特許CN100513015C、CN110662617A、CN108701518Bには、化学共沈法により良好な粉末形態を有する製造方法が開示されており、特許CN108274016Aには、噴霧熱分解還元法により、良好な球形度Sm2Fe17粉末の方法が開示されている。上記Sm2Fe17N3磁性粉末の形態を制御する方法のプロセスのフローが極めて複雑であり、Smの含有量は、安定的に正確に制御されにくく、大規模化生産の難易度が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末及びその製造方法を提供し、上記少なくとも1つの技術的問題を解决し、篩分けを必要とせず、且つ良好な球形度及び特別な粒度のマッチングを有し、高保磁力及び高角形性を兼備する異方性Sm2Fe17N3合金磁性粉末を生産することができる。
【0005】
本発明の実施例は、このように実現される。
異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末であって、その化学式がSm2Fe17N3であり、Th2Zn17結晶構造を有し、合金粉末の粒度0.5μm≦D90≦5μm、0.1μm≦D10≦2μm、合金粉末の平均球形度≧0.7、保磁力Hcj≧10kOe、角形性Q≧0.5である。
【0006】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末は、その合金粉末の粒度1μm≦D90≦4μm、0.8μm≦D10≦2μm、合金粉末の平均球形度≧0.8、保磁力Hcj≧13kOe、角形性Q≧0.6である。
【0007】
また、合金粉末の粒度、顆粒の体積の統計値及び顆粒の表面積の統計値は、いずれもレーザー粒度計により測定される。
【0008】
また、角形性Q値の高低は、磁性粉末の耐減磁能力の強弱を示す。
その技術的効果は、平均粒径が同じである場合、角形性値が顕著に向上し、それにより、磁性粉末は、より優れた総合磁気性能を示す。
【0009】
異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法であって、以下のステップを含む。
S1において、原料混合であって、鉄粉、酸化サマリウム粉末、カルシウム粒を均一に混合し、混合物を得る。
S2において、還元拡散熱処理であって、回転する熱処理炉内に混合物を配置し、耐高温の円形ボールを入れて、粉末の焼結を防止し、1×10-2Pa以下に真空引きし、還元拡散保護ガスを導入し、炉体を850℃~950℃に昇温し、1~3時間保温する。
【0010】
また、還元拡散及び窒化は、回転する熱処理炉内で行われ、同時に粉末の塊を防止する耐高温の円形ボールを加えることで、合金粉末は、高温熱処理を経ても、原料鉄粉に同様な粒度及び形態をほぼ維持することができ、異方性Sm2Fe17N3磁性合金粉末の形態及び粒度に対する制御を大幅に便利にする。
【0011】
また、還元拡散及び窒化熱処理は、ワンステップで完成し、還元拡散のステップが完成後に、直接的に窒化熱処理温度に降温して窒化を行い、従来の方法のように、まず還元拡散のステップが完成後に製品を室温まで降温し、さらに破砕、洗浄、乾燥した後、再び昇温して窒化することを必要とせず、工程を簡略化するだけでなく、エネルギーも節約する。
【0012】
S3において、窒化熱処理であって、炉体を400℃~500℃に冷却し、1×10-2Pa以下に真空引きし、窒化保護ガスを導入し、1~15時間保温し、真空引きし、1時間熱処理後に冷却を行う。
【0013】
S4において、洗浄乾燥であって、冷却後の粉末及び円形ボールを取り出して分離し、粉末を洗浄し、真空環境で乾燥し、サマリウム鉄窒素磁性合金粉末を得る。
【0014】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S1において、鉄粉の粒度0.5μm≦D90≦5μm、0.1μm≦D10≦2μm、鉄粉の球形度≧0.7、酸化サマリウムの粒度0.5μm≦D90≦5μm、 0.1mm≦カルシウム粒の寸法≦2mmである。
【0015】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S1において、鉄粉の粒度1μm≦D90≦4μm、0.8μm≦D10≦2μm、鉄粉の球形度≧0.8、酸化サマリウムの粒度1μm≦D90≦4μm、0.1mm≦カルシウム粒の寸法≦1mmである。
【0016】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S2において、前記耐高温の円形ボールは、混合磁性合金粉末の体積の20%~80%を占め、前記耐高温の円形ボールの直径は、1~5mmである。
【0017】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S2において、前記耐高温の円形ボールは、混合磁性合金粉末の体積の40%~60%を占め、前記耐高温の円形ボールの直径は、2~3mmである。
【0018】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S2において、前記耐高温の円形ボールは、超硬合金ボール、ジルコニアボール又はコランダムボールが採用される。
【0019】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S2において、前記熱処理炉の炉体は、5~20r/minの速度で回転する。
【0020】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S3において、前記窒化保護ガスは、窒素ガス、又は窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、又はアンモニアガス、又はアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスが採用される。
【0021】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S4において、冷却後の粉末及び円形ボールを取り出して分離する方法は、
冷却後の粉末及び円形ボールを一緒に取り出し、不活性ガスの保護下で脱イオン水で洗浄し、同時に濾過網で前記耐高温の円形ボールを分離する。
【0022】
本発明の好ましい実施例では、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法では、S4において、粉末を洗浄する方法は、
粉末を数回洗浄し、溶液が清澄後、希酢酸で残りのカルシウムまたはその化合物を溶解し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7になるまで洗浄し、さらに無水エタノールで複数回洗浄することを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施例の有益な効果は、以下の通りであり、
本発明の提供するSm2Fe17N3磁性合金粉末は、粒度のマッチング及び良好な粉末形態を最適化することにより、平均粒径が同じである場合、角形性値が顕著に向上し、それにより、磁性粉末は、より優れた総合磁気性能を示す。本発明の提供する製造方法では、還元拡散及び窒化は、回転する熱処理炉内で行われ、同時に粉末の塊を防止する耐高温の円形ボールを加え、それにより、合金粉末が高温熱処理を経ても依然として原料鉄粉と同様な粒度及び形態をほぼ維持することができ、異方性Sm2Fe17N3磁性合金粉末の形態及び粒度に対する制御を大幅に便利にする。本発明の提供する製造方法では、還元拡散及び窒化熱処理がワンステップで完成し、還元拡散のステップが完成後に直接的に窒化熱処理温度まで降温して窒化し、従来の方法のように、まず還元拡散のステップが完成後に製品を室温まで降温し、破砕、洗浄、乾燥した後、再び昇温して窒化することを必要とせず、工程を簡略化するだけでなく、エネルギーも節約する。本発明は、超細粒度、球形度の高い鉄粉が採用され、本発明の提供する製造方法により得られた磁性合金粉末は、基本的に鉄粉の粒度及び形態を継承したため、従来の高保磁力を達成するために行われていた微粉砕のステップを回避し、工程を簡略化し、有機溶剤を使用することにより発生しやすい安全問題を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例において使用する必要がある図面を簡単に紹介し、以下の図面は本発明のいくつかの実施例を示しているので、範囲を限定するものと見なされるべきではなく、当業者にとって、創造的な労力を払わずに、これらの図面に基づいて他の関連する図面を取得することもできる。
【
図1】本発明の一実施例による異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法のフローの模式図の一例である。
【
図2】本発明の一実施例による異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法における実施例に用いられる鉄粉の走査型電子顕微鏡の模式図の一例である。
【
図3】本発明の一実施例による実施例で製造された異方性Sm
2Fe
17N
3磁性合金粉末の走査型電子顕微鏡の模式図の一例である。
【
図4】本発明の対比例における異方性Sm
2Fe
17N
3磁性合金粉末の走査型電子顕微鏡の模式図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明瞭且つ完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。一般に、本明細書に記載された本発明の実施形態に係る構成要素は、様々な異なる構成で配置及び設計され得る。
【0026】
本発明の第1个実施例の提供する異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末は、その化学式がSm2Fe17N3であり、Th2Zn17結晶構造を有し、合金粉末の粒度0.5μm≦D90≦5μm、0.1μm≦D10≦2μm、合金粉末の平均球形度≧0.7、保磁力Hcj≧10kOe、角形性Q≧0.5である。
【0027】
具体的には、上記異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末は、その合金粉末の粒度1μm≦D90≦4μm、0.8μm≦D10≦2μm、合金粉末の平均球形度≧0.8、保磁力Hcj≧13 kOe、角形性Q≧0.6である。
【0028】
また、球形度の式、球形度=4π(3Vp/4π)2/3/Spは、顆粒の球形度を表し、ただし、Vpは、顆粒の体積であり、Spは、顆粒の表面積である。
【0029】
また、角形性の式、角形性Q=Hc/Hcjであり、ただし、Hcは、飽和磁化後の磁性粉末の残留磁気を90%に減磁したときに対応する逆磁場強度であり、Hcjは、飽和磁化後の磁性粉末の残留磁気を0に減磁したときに対応する逆磁場強度である。
【0030】
また、合金粉末の粒度、顆粒の体積の統計値及び顆粒の表面積の統計値は、いずれもレーザー粒度計により測定される。
【0031】
また、角形性Q値の高低は、磁性粉末の耐減磁能力の強弱を示す。
【0032】
その技術的効果は、平均粒径が同じである場合、角形性値が顕著に向上し、それにより、磁性粉末は、より優れた総合磁気性能を示す。
【0033】
図1を参照すると、本発明の第2个実施例の提供する異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末の製造方法は、以下のステップを含み、
S1において、原料混合であって、鉄粉、酸化サマリウム粉末、カルシウム粒を均一に混合し、混合物を得る。
【0034】
具体的には、S1において、鉄粉の粒度D90≦5μm、D10≧0.5μm、鉄粉の球形度≧0.7、酸化サマリウムの粒度D90≦5μm、カルシウム粒の寸法≦2mmである。
【0035】
具体的には、S1において、鉄粉の粒度D90≦4μm、D10≧0.8μm、鉄粉の球形度≧0.8、酸化サマリウムの粒度D90≦4μm、カルシウム粒の寸法≦1mmである。
【0036】
S2において、還元拡散熱処理であって、回転する熱処理炉内に混合物を配置し、耐高温の円形ボールを入れて、粉末の焼結を防止し、1×10-2Pa以下に真空引きし、還元拡散保護ガスを導入し、前記還元拡散保護ガスは、アルゴンガスを採用することができ、炉体を850℃~950℃に昇温し、1~3時間保温する。
【0037】
具体的には、S2において、前記耐高温の円形ボールは、混合磁性合金粉末の体積の20%~80%を占め、前記耐高温の円形ボールの直径は、1~5mmである。
【0038】
具体的には、S2において、前記耐高温の円形ボールは、混合磁性合金粉末の体積の40%~60%を占め、前記耐高温の円形ボールの直径は、2~3mmである。
【0039】
具体的には、S2において、前記耐高温の円形ボールは、超硬合金ボール、ジルコニアボール又はコランダムボールが採用される。
【0040】
具体的には、S2において、前記熱処理炉の炉体は、5~20r/minの速度で回転する。
【0041】
また、還元拡散及び窒化は、回転する熱処理炉内で行われ、同時に粉末の塊を防止する耐高温の円形ボールを加えることで、合金粉末が高温熱処理を経ても依然として原料鉄粉に同様な粒度及び形態をほぼ維持することができ、異方性Sm2Fe17N3磁性合金粉末の形態及び粒度に対する制御を大幅に便利にする。
【0042】
また、還元拡散及び窒化熱処理は、ワンステップで完成し、還元拡散のステップが完成後に直接的に窒化熱処理温度に降温して窒化を行い、従来の方法のように、まず還元拡散のステップが完成後に製品を室温まで降温し、さらに破砕、洗浄、乾燥した後、再び昇温して窒化することを必要とせず、工程を簡略化するだけでなく、エネルギーも節約する。
【0043】
S3において、窒化熱処理であって、炉体を400℃~500℃に冷却し、1×10-2Pa以下に真空引きし、窒化保護ガスを導入し、1~15時間保温し、真空引きし、1時間熱処理後に冷却を行う。
【0044】
具体的には、S3において、前記窒化保護ガスは、窒素ガス、又は窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、又はアンモニアガス、又はアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスが採用される。
【0045】
S4において、洗浄乾燥であって、冷却後の粉末及び円形ボールを取り出して分離し、粉末を洗浄し、真空環境で乾燥し、サマリウム鉄窒素磁性合金粉末を得る。
【0046】
具体的には、S4において、冷却後の粉末及び円形ボールを取り出して分離する方法は、以下のステップを含み、
冷却後の粉末及び円形ボールを一緒に取り出し、不活性ガスの保護下で脱イオン水で洗浄し、同時に濾過網で前記耐高温の円形ボールを分離する。
【0047】
具体的には、S4において、粉末を洗浄する方法は、以下のステップを含み、
粉末を数回洗浄し、溶液が清澄後、希酢酸で残りのカルシウムまたはその化合物を溶解し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7になるまで洗浄し、さらに無水エタノールで複数回洗浄する。
【0048】
以下、具体的な実験例及び比較例を参照して、本願の有益な効果をさらに説明する。
【0049】
以下の実施例において、合金磁性粉末の磁気性能は、振動試料磁力計(VSM)を用いて検出することができる。磁性粉末の顆粒の形態は、走査型電子顕微鏡により観察される。粒度分布は、レーザー粒度計により測定される。
【0050】
表1 各実施例及び対比例に用いられる鉄粉原料の粒度及び対応的に製造された磁性粉末の粒度及び性能
【表1】
【0051】
実施例1
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示すとおりであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0052】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを入れて粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、900℃に昇温し、3時間保温する。
【0053】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、3時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0054】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0055】
実施例2
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0056】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の30%を占め、直径が5mmのジルコニア材質の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、5r/minの速度で炉体を回転させた後、950℃に昇温し、1時間保温する。
【0057】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、3時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0058】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0059】
実施例3
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0060】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の70%を占め、直径が2mmの炭化ケイ素材質の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、15r/minの速度で炉体を回転させた後、900℃に昇温し、3時間保温する。
【0061】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、3時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0062】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0063】
実施例4
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0064】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の80%を占め、直径が1mmのジルコニア材質の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、20r/minの速度で炉体を回転させた後、900℃に昇温し、3時間保温する。
【0065】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、3時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0066】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0067】
実施例5
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0068】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の60%を占め、直径が3mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、以15r/minの速度で炉体を回転させた後、900℃に昇温し、2時間保温する。
【0069】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、純アンモニアガスを導入して窒化し、1時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0070】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0071】
実施例6
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0072】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の80%を占め、直径が1mmのジルコニア材質の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、20r/minの速度で炉体を回転させた後、900℃に昇温し、3時間保温する。
【0073】
(3)炉温を500℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、純窒素ガスを導入して窒化し、15時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0074】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0075】
実施例7
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0076】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、880℃に昇温し、2時間保温する。
【0077】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、1.5時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0078】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0079】
実施例8
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0080】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、860℃に昇温し、1.5時間保温する。
【0081】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、1.5時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0082】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0083】
実施例9
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0084】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、850℃に昇温し、2時間保温する。
【0085】
(3)炉温を400℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、2時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0086】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0087】
実施例10
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0088】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、870℃に昇温し、1時間保温する。
【0089】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、1.5時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0090】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0091】
対比例1
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0092】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、900℃に昇温し、3時間保温する。
【0093】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、3時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0094】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
【0095】
(5)得られた磁性合金粉末をボールミリングポットに入れ、ボール材料比が30:1であり、無水エタノールを媒体とし、回転速度が300r/minである条件で20時間ボールミリングし、グローブボックスで粉末と溶剤を分離して真空乾燥し、最終的な異方性Sm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0096】
対比例2
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0097】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、900℃に昇温し、3時間保温する。
【0098】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、3時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0099】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
【0100】
(5)得られた磁性合金粉末をボールミリングポットに入れ、ボール材料比が30:1であり、無水エタノールを媒体とし、回転速度が300r/minである条件で20時間ボールミリングし、グローブボックスで粉末と溶剤を分離して真空乾燥し、最終的な異方性Sm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0101】
対比例3
(1)100gの純鉄粉を取り、鉄粉が全てSm2Fe17合金を生成するのに必要なSmの重量に基づき、計算して酸化サマリウムの重量を得て50%を超えて秤量し、カルシウム粒の重量は、還元反応に応じて酸化サマリウムの重量に基づき、計算して100%を超えて秤量する。測定した鉄粉の粒度は、表1に示す通りであり、酸化サマリウムの粒度D90は、5μm以下であり、カルシウム粒の寸法は、2mm以下である。
【0102】
(2)回転炉内に混合粉末の体積の50%を占め、直径が4mmの超硬合金の円形ボールを粉末に混合し、1×10-2Pa以下に真空引きし、アルゴンガスを0.05MPaまで充填し、10r/minの速度で炉体を回転させた後、860℃に昇温し、1.5時間保温する。
【0103】
(3)炉温を420℃に降温し、1×10-2Pa以下に真空引きした後、混合比率が1:1であるアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスを導入して窒化し、1.5時間窒化した後、真空引きし、1時間熱処理して均一化する。
【0104】
(4)粉末が冷却後に材料を取り出し、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内に配置し、脱イオン水で粉末を洗浄した際に濾過網で円形ボールを濾過し、円形ボールはきれいに洗浄されて乾燥後に次回の使用に供することができる。脱イオン水で粉末を、洗液がほぼ清澄になるまで洗浄し、希酢酸溶液で粉末を少なくとも10min洗浄し、さらに脱イオン水で洗浄液pH値が7程度になるまで粉末を洗浄し、最後にアルコールで3回洗浄し、湿った粉末を真空環境で60℃に加熱して2時間乾燥し、最終的に異方性のSm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
【0105】
(5)得られた磁性合金粉末をボールミリングポットに入れ、ボール材料比が30:1であり、無水エタノールを媒体とし、回転速度が300r/minである条件で20時間ボールミリングし、グローブボックスで粉末と溶剤を分離して真空乾燥し、最終的な異方性Sm2Fe17N3磁性合金粉末を得る。
粉末の粒度及び磁気性能の測定結果は、表1に示す。
【0106】
表1における実施例1~10から分かるように、本発明の提供する製造方法により、原料鉄粉の粉末特徴を効果的に保持することができ、それにより、大きい保磁力及び高い角形性を得ることができる。実施例及び対比例から分かるように、良好な粒度分布及び形態を有する異方性Sm2Fe17N3磁性粉末は、より優れた性能を有する。
【0107】
本発明の実施例は、異方性サマリウム鉄窒素磁性合金粉末及びその製造方法に対する保護を求め、以下の効果を有し、
1.本発明の提供するSm2Fe17N3磁性合金粉末は、粒度のマッチング及び良好な粉末形態を最適化することにより、平均粒径が同じである場合、角形性値が顕著に向上し、それにより、磁性粉末は、より優れた総合磁気性能を表す。
【0108】
2.本発明の提供する製造方法では、還元拡散及び窒化は、回転する熱処理炉内で行われ、同時に粉末の塊を防止する耐高温の円形ボールを加えることで、合金粉末は、高温熱処理を経ても依然として原料鉄粉に同様な粒度及び形態をほぼ維持することができ、異方性Sm2Fe17N3磁性合金粉末の形態及び粒度に対する制御を大幅に便利にする。
【0109】
3.本発明の提供する製造方法では、還元拡散及び窒化熱処理は、ワンステップで完成し、還元拡散のステップが完成後に直接的に窒化熱処理温度に降温して窒化し、従来の方法のように、まず還元拡散のステップが完成後に製品を室温まで降温し、さらに破砕、洗浄、乾燥した後、再び昇温して窒化することを必要とせず、工程を簡略化するだけでなく、エネルギーも節約する。
【0110】
4.本発明は、超細粒度、球形度の高い鉄粉が採用され、本発明の提供する製造方法により得られた磁性合金粉末は、基本的に鉄粉の粒度及び形態を継承したため、従来の高保磁力を達成するために行われていた微粉砕のステップを回避し、工程を簡略化し、有機溶剤を使用することにより発生しやすい安全問題を回避する。
【0111】
本発明の上記具体的な実施形態は、例示的な説明又は本発明の原理を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われる任意の修正、等価置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。さらに、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。