(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092959
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240701BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240701BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/81
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195386
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2022208490
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】周 林
(72)【発明者】
【氏名】栗延 理絵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AB032
4C083AB332
4C083AB352
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083BB01
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保湿、しっとり感の付与、帯電防止等の効果を有しつつ、経時的な異臭の発生が抑制された化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)第4級アンモニウム構造を含むポリマー、並びに(B)置換基を有してもよいピリミジルピラゾール化合物及びその薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上を含む、化粧料とする。具体的には、(B)成分として、2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン、2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,5,6-トリメチルピリミジン、及び5-エチル-2-(4-エチル-3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジンが示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第4級アンモニウム構造を含むポリマー、並びに
(B)下記一般式(1):
【化1】
(一般式(1)中、R
1、R
3、R
4、及びR
6は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基であり、R
2及びR
5は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。)
で表される化合物及びその薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上
を含む、化粧料。
【請求項2】
前記第4級アンモニウム構造中の窒素原子が、環員数3以上8以下の含窒素複素環中の窒素原子である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記(A)成分が、下記一般式(2):
【化2】
で表される構造を有するポリマーである、請求項2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記(A)成分がポリクオタニウムである、請求項3に記載の化粧料。
【請求項5】
前記(A)成分がポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、及びポリクオタニウム-39から選択される1種又は2種以上である、請求項4に記載の化粧料。
【請求項6】
前記(B)成分が、
前記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R2及びR5が水素原子である化合物、
前記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R5が水素原子である化合物、並びに
前記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R2及びR5がエチル基である化合物
から選択される、1種又は2種以上である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項7】
前記(B)成分が、
前記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R2及びR5が水素原子である化合物、
前記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R5が水素原子である化合物、並びに
前記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R2及びR5がエチル基である化合物
から選択される、1種又は2種以上である、請求項2に記載の化粧料。
【請求項8】
前記(B)成分が、
前記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R2及びR5が水素原子である化合物、
前記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R5が水素原子である化合物、並びに
前記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6がメチル基であり、かつ、R2及びR5がエチル基である化合物
から選択される、1種又は2種以上である、請求項3に記載の化粧料。
【請求項9】
前記(A)成分及び前記(B)成分の合計質量に対する前記(B)成分の配合量が、を0.2質量%以上10.0質量%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項10】
pHが7.5以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項11】
(C)界面活性剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項12】
洗浄料である、請求項11に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
保湿、しっとり感の付与、帯電防止等の効果を付与する目的で、化粧料にカチオン化セルロース等の第4級アンモニウム構造を含むポリマーを配合する場合がある。例えば、特許文献1には、ダイマー酸エステル、カチオン化セルロール、界面活性剤、及び水を含む、化粧料組成物が記載されている。
【0003】
一方、美白効果に優れる皮膚外用剤として、ピリミジルピラゾール化合物が知られている。例えば、特許文献2には、ピリミジルピラゾール化合物が皮膚色素細胞内のメラニン生成を抑制する効果に優れ、美白剤として有用であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-151983号公報
【特許文献2】特許第4586108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保湿、しっとり感の付与、帯電防止等の効果を付与する目的で、化粧料に第4級アンモニウム構造を含むポリマーを配合すると、徐々に異臭が発生してくることがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされた。本発明の目的は、保湿、しっとり感の付与、帯電防止等の効果を有しつつ、経時的な異臭の発生が抑制された化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のとおりである。
【0008】
《態様1》(A)第4級アンモニウム構造を含むポリマー、並びに
(B)下記一般式(1):
【化1】
(一般式(1)中、R
1、R
3、R
4、及びR
6は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基であり、R
2及びR
5は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。)
で表される化合物及びその薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上
を含む、化粧料。
《態様2》前記第4級アンモニウム構造中の窒素原子が、環員数3以上8以下の含窒素複素環中の窒素原子である、態様1に記載の化粧料。
《態様3》前記(A)成分が、下記一般式(2):
【化2】
で表される構造を有するポリマーである、態様2に記載の化粧料。
《態様4》前記(A)成分がポリクオタニウムである、態様3に記載の化粧料。
《態様5》前記(A)成分がポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、及びポリクオタニウム-39から選択される1種又は2種以上である、態様4に記載の化粧料。
《態様6》
前記(B)成分が、
前記一般式(1)におけるR
1、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
2及びR
5が水素原子である化合物、
前記一般式(1)におけるR
1、R
2、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
5が水素原子である化合物、並びに
前記一般式(1)におけるR
1、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
2及びR
5がエチル基である化合物
から選択される、1種又は2種以上である、態様1に記載の化粧料。
《態様7》前記(B)成分が、
前記一般式(1)におけるR
1、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
2及びR
5が水素原子である化合物、
前記一般式(1)におけるR
1、R
2、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
5が水素原子である化合物、並びに
前記一般式(1)におけるR
1、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
2及びR
5がエチル基である化合物
から選択される、1種又は2種以上である、態様2に記載の化粧料。
《態様8》前記(B)成分が、
前記一般式(1)におけるR
1、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
2及びR
5が水素原子である化合物で、
前記一般式(1)におけるR
1、R
2、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
5が水素原子である化合物、並びに
前記一般式(1)におけるR
1、R
3、R
4、及びR
6がメチル基であり、かつ、R
2及びR
5がエチル基である化合物
から選択される、1種又は2種以上ある、態様3に記載の化粧料。
《態様9》前記(A)成分及び前記(B)成分の合計質量に対する前記(B)成分の配合量が、を0.2質量%以上10.0質量%以下である、態様1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
《態様10》pHが7.5以上である、態様1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
《態様11》(C)界面活性剤を更に含む、態様1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
《態様12》洗浄料である、態様11に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、保湿、しっとり感の付与、帯電防止等の効果を有しつつ、経時的な異臭の発生が抑制された、化粧料が提供される。本発明の化粧料は、例えば、皮膚、毛髪等の洗浄料として、有効に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化粧料は、(A)第4級アンモニウム構造を含むポリマー、並びに(B)上記一般式(1)で表される化合物及びその薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上(以下、これらをまとめて、「ピリミジルピラゾール化合物類」ということがある。)を含む。
【0011】
本発明の化粧料は、上記(A)成分及び(B)成分の他に、(C)界面活性剤、及びその他の成分から選択される1種又は2種以上を含んでいてもよく、また、更に水を含んでいてもよい。
【0012】
第4級アンモニウム構造を含むポリマーが配合された化粧料から、徐々に発生してくる異臭は、ポリマーの酸化分解によって発生するアミンに起因すると考えられる。
【0013】
(A)第4級アンモニウム構造を含むポリマーとともに、(B)ピリミジルピラゾール化合物類が配合されている本発明の化粧料では、(A)成分の配合によって保湿、しっとり感の付与、帯電防止等の効果が付与されつつ、経時的な異臭の発生が抑制されている。これは、(B)成分が酸化防止剤として機能して、(A)成分の酸化分解が抑制されるためであると推察される。
【0014】
ただし、本発明は、特定の理論に拘束されるものではない。
【0015】
以下、本発明の化粧料を構成する要素について、順に説明する。
【0016】
《(A)第4級アンモニウム構造を含むポリマー》
本発明の化粧料における(A)成分は、第4級アンモニウム構造を含むポリマーである。この(A)成分は、保湿性、しっとり感、帯電防止性等の効果を付与する目的で、本発明の化粧料に配合される。
【0017】
(A)成分に含まれる第4級アンモニウム構造中の窒素原子は、含窒素複素環中の窒素原子であってよい。この含窒素複素環の環員数は、例えば、3以上8以下であってよく、4以上6以下であってよく、特に5であってよい。
【0018】
本発明の化粧料における(A)成分は、例えば、下記一般式(2):
【化3】
で表される構造を有するポリマーであってよい。ポリマーの分子量は、例えば、1万以上20万以下であってよい。
【0019】
上記一般式(2)で表される構造を有するポリマーは、化粧品原料国際命名法に基づいて「ポリクオタニウム」の名称を与えられているポリマーであってよく、具体的には、例えば、ポリクオタニウム-6(ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリクオタニウム-7(塩化ジアリルジメチルアンモニウム-アクリルアミド共重合体)、ポリクオタニウム-39(塩化ジアリルジメチルアンモニウム-アクリル酸-アクリルアミド共重合体)等から選択される1種又は2種以上であってよい。
【0020】
《(B)ピリミジルピラゾール化合物類》
本発明の化粧料における(B)成分は、(B)下記一般式(1):
【化4】
(一般式(1)中、R
1、R
3、R
4、及びR
6は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基であり、R
2及びR
5は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。)
で表される化合物及びその薬理学的に許容される塩から選択される1種又は2種以上である。(B)成分は、(A)成分の分解によるにおいの発生を抑制する目的で、本発明の化粧料に配合される。
【0021】
R1~R6の炭素数1~3のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、又はシクロプロピル基であってよく、特にメチル基又はエチル基であってよく、典型的にはメチル基であってよい。
【0022】
本発明のある実施態様では、上記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6が、いずれもメチル基である。本発明の別の実施態様では、上記一般式(1)におけるR2及びR5が、いずれも水素原子である。本発明の更に別の実施態様では、上記一般式(1)におけるR1、R3、R4、及びR6が、いずれもメチル基であり、かつ、R2及びR5が、いずれも水素原子である。
【0023】
本発明のある実施態様では、上記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、及びR6が、いずれもメチル基である。本発明の別の実施態様では、上記一般式(1)におけるR5が水素原子である。本発明の更に別の実施態様では、上記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、及びR6が、いずれもメチル基であり、かつ、R5が水素原子である。
【0024】
本発明のある実施態様では、上記一般式(1)におけるR2及びR5が、いずれもエチル基である。本発明の別の実施態様では、上記一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、及びR6が、いずれもメチル基であり、かつ、R2及びR5が、いずれもエチル原子である。
【0025】
本発明における(B)成分は、
2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン、
2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,5,6-トリメチルピリミジン、及び
5-エチル-2-(4-エチル-3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン、並びに
薬理学的に許容されるこれらの塩
から選択される、1種又は2種以上の化合物であってよい。
【0026】
上記一般式(1)で表される化合物の薬理学的に許容される塩は、例えば、上記一般式(1)で表される化合物の酸付加塩でであってよい、酸付加塩における酸は、無機酸でも有機酸でもよい。無機酸は、例えば、塩化水素酸(塩酸)、臭化水素酸、硫酸、リン酸等であってよく、有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸等であってよい。
【0027】
上記一般式(1)で表される化合物は、公知の方法によって合成することができ、市販品として入手することも可能である。上記一般式(1)で表される化合物の代表的な合成方法は、例えば、上述の特許文献2に開示されている。
【0028】
《(C)界面活性剤》
本発明の化粧料に任意的に含まれる(C)成分は、界面活性剤である。(C)界面活性剤を含む本発明の化粧料は、洗浄料として好適に使用できる。
【0029】
(C)界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。
【0030】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエステル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪族エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0031】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0032】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸、パルミシン酸、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸トリエタノールアミン、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、ヤシ脂肪酸アルギニン、アシルメチルタウリン塩、ココアンホ酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸ヒドロキシプロピルベタイン、ラウリルベタイン等が挙げられる。
【0034】
なお、非イオン性界面活性剤のうちの、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール及びジイソステアリン酸ポリエチレングリコールは、それぞれ、ポリエチレングリコール部分の重合度により、例えば「イソステアリン酸PEG-10」、「ジイソステアリン酸PEG-12」等と呼ばれることがある。また、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルは、ポリエチレングリコール部分の重合度により、例えば「イソステアリン酸PEG-60グリセリル」等と呼ばれることがある。
【0035】
《その他の成分》
本発明の化粧料は、上述の(A)成分及び(B)成分、並びに任意成分である(C)成分以外に、その他の成分を更に含んでいてもよい。
【0036】
その他の成分としては、例えば、保湿剤、消泡剤、増粘剤、清涼化剤、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、香料、安定化剤等が挙げられる。
【0037】
《水》
本発明の化粧料は、溶媒として水を含んでよい。
【0038】
《各成分の配合量》
化粧料の保湿、しっとり感等を確保する観点から、本発明の化粧料における(A)成分の配合量は、化粧料の全質量を基準として、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.10質量%以上、0.25質量%以上、0.50質量%以上、又は0.75質量%以上であってよい。一方、(A)成分を過剰に配合しても、化粧料のしっとり感等が無限大まで向上するものではないので、(A)成分の配合量は、化粧料の全質量を基準として、5.0質量%以下、3.0質量%以下、2.5質量%以下、2.0質量%以下、又は1.5質量%以下であってよい。
【0039】
本発明の化粧料における(B)成分の配合量は、化粧料の全質量を基準として、0.001質量%以上、0.003質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、又は0.05質量%以上であってよく、0.5質量%以下、0.3質量%以下、0.1質量%以下、又は0.05質量%以下であってよい。
【0040】
また、(A)成分の分解によるにおいの発生を抑制する観点から、本発明の化粧料における(B)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計質量を基準として、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、3.0質量%以上、又は5.0質量%以上であってよい。(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計質量を基準として、10.0質量%以下、7.5質量%以下、5.0質量%以下、又は3.0質量%以下であってよい。
【0041】
本発明の化粧料を、例えば洗浄剤として使用する場合、十分な洗浄効果を確保する観点から、本発明の化粧料における(C)成分の配合量は、化粧料の全質量を基準として、5.0質量%以上、7.5質量%以上、10.0質量%以上、15.0質量%以上、又は20.0質量%以上であってよい。一方、(C)成分の配合量は、化粧料の全質量を基準として、50.0質量%以下、40.0質量%以下、30.0質量%以下、25.0質量%以下、20.0質量%以下、又は15.0質量%以下であってよい。
【0042】
例えば、本発明の化粧料を洗顔ジェル又はポンプフォーマー洗顔料として使用する場合、(C)成分の配合量は、化粧料の全質量を基準として、5.0質量%以上15.0質量%以下であってよい。
【0043】
本発明の化粧料を洗顔フォームとして使用する場合、(C)成分の配合量は、化粧料の全質量を基準として、10.0質量%以上50.0質量%以下であってよい。
【0044】
《化粧料のpH》
本発明の化粧料のpHは、使用目的に応じて適宜に設定されてよく、例えば、3.5以上8.5以下程度であってよい。
【0045】
本発明の化粧料に配合される(A)成分は、アルカリ性領域の方が分解し易く、したがって、においが発生し易い。しかしながら、本発明の化粧料では、アルカリ性領域であっても、(A)成分の分解が効果液に抑制されており、例えば、化粧料のpHが7.0超又は7.5以上の場合であっても、においの発生が抑制される。
【0046】
《化粧料の用途》
本発明の化粧料は、人の化粧料であってよく、人の洗浄料であってよい。本発明の化粧料は、具体的には例えば、洗顔ジェル、ポンプフォーマー洗顔料、洗顔フォーム等として用いられてよい。
【実施例0047】
以下の実施例及び比較例において、(A)成分としては以下の市販品を使用した。
ポリクオタニウム-6:Lubrizol社製、MERQUAT 100
ポリクオタニウム-7:Lubrizol社製、MERQUAT 550PR
【0048】
《本発明の作用効果の確認》
先ず、従来技術の問題点及び本発明の作用効果を確認するために、組成を単純化した組成物を用いて実験を行った。
【0049】
(1)組成物の調製
表1に記載の成分を配合し、KOH水溶液を加えて表1に記載のpH値に合わせることにより、比較例a-1~a-4、及び実施例A-1~A-6の組成物を調製した。なお、表1において、(B)成分の「化合物D」とは、「2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン塩酸塩」を意味する。また、水の配合量が「残余」であるとは、水の配合量を変量して、各組成物の全量を100質量%に合わせたことを意味する。
【0050】
(2)組成物の評価
得られた組成物をサンプル瓶中に密封し、50℃において4週間静置して保管した。このとき、保管前後の組成物のにおいを確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
A:保管前後でにおいの変化が全くなかった場合
B:保管前後でにおいの変化がほとんどなかった場合
C:保管前後でにおいの変化が僅かにあった場合
D:保管前後でにおいの変化が明らかにあった場合
E:保管前後でにおいの変化が顕著であった場合
【0051】
【0052】
表1から、以下のことが理解される。
【0053】
(A)成分を含み、(B)成分を含まない比較例a-1~a-4の組成物は、50℃、4週間の保管により、においの変化があった。この現象は、組成物の液性が中性(比較例a-1、pH7.5)、アルカリ性(比較例a-2、pH10.7)、及び酸性(比較例a-3、pH4.8;比較例a-4、pH4.24)のすべてにおいて見られたが、中性付近の組成物よりも、酸性及びアルカリ性の組成物において、顕著であった。
【0054】
これらに対して、(A)成分とともに(B)成分を含む実施例A-1~A-6では、50℃、4週間の保管後のにおいの変化が抑制された。この抑制効果は、組成物の液性が中性(実施例A-1及びA-2、pH7.5)、アルカリ性(実施例A-3及びA-4、pH10.7)、及び酸性(実施例A-5、pH4.8;実施例A-6、pH4.24)のすべてにおいて見られた。
【0055】
以上の結果から、従来技術の問題点及び本発明の作用効果が確認された。
【0056】
《洗顔ジェルにおける検証》
次に、洗顔ジェルを想定した組成において、本発明の効果の確認を行った。
【0057】
(1)組成物の調製
表2に記載の成分を配合することにより、参考例b-1、比較例b-1、及び実施例B-1~B-3の組成物を調製した。表2における各成分の配合量は、「質量%」単位である。表2において、(B)成分の「化合物D」とは、「2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン塩酸塩」を意味する。また、水の配合量が「残余」であるとは、水の配合量を変量して、各組成物の全量を100質量%に合わせたことを意味する。
【0058】
(2)組成物の評価
i)においの評価
調製直後の各組成物のにおいを確認し、参考例b-1(基準)及び比較例b-1(比較品)のにおいと比較して、以下の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
A:基準と同程度のにおいであった場合
B:基準と比較するとややにおいが強いが、比較品と比較するとにおいが少なかった場合
C:基準と比較するとにおいが強いが、比較品と比較するとにおいがわずかに少なかった場合
D:基準と比較してにおいが強く、比較品と同程度のにおいがあった場合
【0059】
ii)使用感の評価
得られた各組成物を洗顔ジェルとして使用して使用感(しっとり感)を確認し、参考例b-1(基準)の使用感と比較して、以下の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
A:基準の使用感と比較して、しっとり感が明らかに向上していた場合
B:基準の使用感と比較して、しっとり感がやや向上していた場合
C:基準の使用感と同程度であった場合
D:基準の使用感と比較して、しっとり感がやや劣っていた場合
E:基準の使用感と比較して、しっとり感が明らかに劣っていた場合
【0060】
【0061】
《ポンプフォーマー洗顔料における検証》
ポンプフォーマー洗顔料を想定した組成において、本発明の効果の確認を行った。
【0062】
(1)組成物の調製
表3に記載の成分を配合することにより、参考例c-1、比較例c-1、及び実施例C-1~C-3の組成物を調製した。表3における各成分の配合量は、「質量%」単位である。表3において、(B)成分の「化合物D」とは、「ジメチルピラゾリルジメチルピリミジン塩酸塩」を意味する。また、水の配合量が「残余」であるとは、水の配合量を変量して、各組成物の全量を100質量%に合わせたことを意味する。
【0063】
(2)組成物の評価
i)においの評価
調製直後の各組成物について、上述の実施例A-1等と同様にして、においの評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0064】
ii)使用感の評価
得られた各組成物をポンプフォーマー洗顔料として使用した他は、上述の実施例A-1等と同様にして、使用感(しっとり感)の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0065】
【0066】
《洗顔フォームにおける検証》
洗顔フォームを想定した組成において、本発明の効果の確認を行った。
【0067】
(1)組成物の調製
表4に記載の成分を配合することにより、参考例d-1、比較例d-1、及び実施例D-1~D-3の組成物を調製した。表4における各成分の配合量は、「質量%」単位である。表4において、(B)成分の「化合物D」とは、「2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン塩酸塩」を意味する。また、水の配合量が「残余」であるとは、水の配合量を変量して、各組成物の全量を100質量%に合わせたことを意味する。
【0068】
(2)組成物の評価
i)においの評価
調製直後の各組成物について、上述の実施例A-1等と同様にして、においの評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0069】
ii)使用感の評価
得られた各組成物を洗顔フォームとして使用した他は、上述の実施例A-1等と同様にして、使用感(しっとり感)の評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0070】
【0071】
表2~4から、以下のことが理解される。
【0072】
(A)成分を含み、(B)成分を含まない各比較例の組成物は、洗顔ジェル、ポンプフォーマー洗顔料、及び洗顔フォームの組成すべてにおいて、参考例(基準)と比較して、においが強くなっていた。
【0073】
これらに対して、(A)成分とともに(B)成分を含む各実施例では、においが抑制されることが検証された。