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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092961
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240701BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
H01L21/306 J
H01L21/306 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196211
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2022208532
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】小曽根 彰紀
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】笹平 幸之介
(72)【発明者】
【氏名】ユ ガンウン
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043AA35
5F043BB23
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE10
5F043EE12
5F043EE28
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB22
5F157BB66
5F157CC11
5F157CF14
5F157CF22
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF92
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB18
5F157DC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プレートの対向面に残留した処理液を除去し、プレートの清浄度を保つことが可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wを回転させる回転体10と、基板Wに処理液であるリン酸溶液を供給する処理液供給部411と、被処理面に対向するプレート50と、処理液を加熱する加熱部60と、プレート50の対向面51を洗浄する洗浄部90と、を有する。洗浄部90は、対向面51に洗浄液を供給する給液部92と、洗浄液を対向面51に接触して拭き取る拭取部93と、拭取部93を対向面51に沿って移動させる移動機構95と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部により保持された基板を回転させる回転体と、
前記基板の被処理面に処理液を供給する処理液供給部と、
前記被処理面に対向する位置に設けられたプレートと、
前記プレートに設けられ、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱する加熱部と、
前記プレートの前記被処理面に対向する対向面を洗浄する洗浄部と、を有し、
前記洗浄部は、
前記対向面に洗浄液を供給する給液部と、
前記給液部により供給された前記洗浄液を、前記対向面に接触して拭き取る拭取部と、
前記拭取部を、前記対向面に沿って移動させる移動機構と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記プレートを前記基板に対して進退させる駆動部を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記洗浄部は、前記保持部が前記基板を保持した前記回転体と前記プレートとの間において、前記対向面を洗浄することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記給液部を前記対向面に沿って移動させ、
前記拭取部は、前記移動機構による移動方向において、前記給液部を挟んで前後に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記給液部を前記対向面に沿って移動させ、
前記拭取部は、前記移動機構による移動方向において、前記給液部よりも後方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記拭取部は、前記対向面に平行な方向に延び、前記対向面の全長に接する長さ以上であることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記移動機構は、前記拭取部を前記対向面に平行な方向に揺動させることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記拭取部は、前記対向面に倣って変形して接触する接触部を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記接触部は、メッシュ状であることを特徴とする請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記給液部及び前記拭取部からの前記洗浄液を受けて、前記基板への落下を遮る液受部を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記プレートの前記対向面には、前記対向面の温度を検出する検出部が設けられ、
前記検出部により検出された温度に応じて、前記加熱部を制御する制御部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項12】
回転体が、保持部により保持された基板を回転させ、
処理液供給部が、前記基板の被処理面に処理液を供給することにより、前記被処理面を処理し、
前記基板の前記被処理面に対向するプレートに設けられた加熱部が前記処理液を加熱し、
拭取部が前記プレートの前記被処理面に対向する対向面に接触して、給液部が洗浄液を前記対向面に供給しながら、移動機構が前記拭取部を、前記対向面に沿って移動させることにより、前記処理液及び前記洗浄液を拭き取る、
ことを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハなどの基板に積層された膜を、処理液によりエッチングするウェットエッチングの装置として、複数枚の基板を一括して処理液に浸漬させるバッチ式の基板処理装置が存在する。このようなバッチ式の基板処理装置は、複数枚を一括して処理できるので、生産性が高い。
【0003】
但し、バッチ式の基板処理装置は、複数枚の基板を共通の条件の処理液に浸漬させるので、各基板に形成された膜厚等の相違に応じて、基板ごとにエッチングの深さ等を細かく調整することが難しい。そこで、基板を回転させながら、基板の回転中心付近にエッチング用の処理液を供給して、基板の被処理面に処理液を広げることにより、基板を一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が使用されている。
【0004】
エッチング用の処理液としては、フッ酸やリン酸、硫酸などの酸系の液体が用いられる。例えば、酸化膜と窒化膜が積層された基板において、窒化膜をエッチングする場合、処理液としてリン酸の水溶液(リン酸溶液)を利用する基板処理装置がある。リン酸溶液は、温度が高いほどエッチング性能が高く、リン酸溶液の温度が下がるとエッチング性能が低下してしまう。このため、所望のエッチングレートを得るには、リン酸溶液を高温に維持しなければならない。例えば、リン酸溶液を150℃~160℃に加熱して基板に供給することにより、窒化膜をエッチングしている。
【0005】
しかしながら、シリコンウェーハ等の基板は、熱伝導率が高い。すると、基板の被処理面に供給されたリン酸溶液は、その熱が基板を介して逃げてしまい、温度が低下しやすい。つまり、回転中心付近に供給されたリン酸溶液は高温が維持されているが、基板の外周に向かって移動するに従って、放熱によりリン酸溶液の温度が低下していくことになる。
【0006】
このように基板の被処理面上の位置によって、リン酸溶液の温度が相違すると、基板の位置によってエッチングレートに差が生じるため、基板の被処理面全体を均一に処理することが難しくなる。これに対処するため、基板の被処理面上のリン酸溶液の温度を維持しながら、エッチング処理する基板処理装置がある(特許文献1参照)。
【0007】
この基板処理装置は、基板の被処理面に対向し、ヒータを内蔵したプレートを設け、このプレートを基板の被処理面に接近させて、基板の被処理面に高温のリン酸溶液を供給する。基板とプレートとの間の距離は、数ミリ程度であり、リン酸溶液はプレートにより加熱されながら基板の被処理面上を流れることになる。これにより、リン酸溶液のエッチング性能を維持できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/090141号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、処理プロセスでは、プレートを基板に接近させた状態で、基板の被処理面に処理液を供給していることから、プレートの基板に対向する対向面に処理液が付着する。プレートの対向面に残留した処理液は、乾燥するとパーティクルの発生源となる。
【0010】
本発明の実施形態は、上述のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、プレートの対向面に残留した処理液を除去し、プレートの清浄度を保つことが可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態の基板処理装置は、保持部により保持された基板を回転させる回転体と、前記基板の被処理面に処理液を供給する処理液供給部と、前記被処理面に対向する位置に設けられたプレートと、前記プレートに設けられ、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱する加熱部と、前記プレートの前記被処理面に対向する対向面を洗浄する洗浄部と、を有し、前記洗浄部は、前記対向面に洗浄液を供給する給液部と、前記給液部により供給された前記洗浄液を、前記対向面に接触して拭き取る拭取部と、前記拭取部を、前記対向面に沿って移動させる移動機構と、を有する。
【0012】
本発明の実施形態の基板処理方法は、回転体が、保持部により保持された基板を回転させ、処理液供給部が、前記基板の被処理面に処理液を供給することにより、前記被処理面を処理し、前記基板の前記被処理面に対向するプレートに設けられた加熱部が前記処理液を加熱し、拭取部が前記プレートの前記被処理面に対向する対向面に接触して、給液部が洗浄液を対向面に供給しながら、移動機構が前記拭取部を、前記対向面に沿って移動させることにより、前記処理液及び前記洗浄液を拭き取る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によれば、プレートの対向面に残留した処理液を除去し、プレートの清浄度を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の基板処理装置のプレートが待機位置にある状態を示す全体構成図である。
図2図1の基板処理装置の基板処理状態を示す全体構成図である。
図3図1の基板処理装置のプレートを洗浄部によって洗浄する状態を示す全体構成図である。
図4図1の基板処理装置の基板洗浄状態を示す全体構成図である。
図5】洗浄部を示す平面図である。
図6】洗浄部を示す図5のA-A矢視断面図である。
図7】洗浄部による洗浄動作が行われている状態を示すプレートの底面図である。
図8】実施形態の基板処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
[概要]
本実施形態の基板処理装置1は、図1及び図2に示すように、基板Wを回転体10とともに回転させながら、供給部40において加熱された処理液Leを、基板Wの一方の面(以下、被処理面とする)に供給することにより、被処理面を処理する。このとき、図2に示すように、駆動部80が、加熱部60を有するプレート50を基板Wの被処理面に接近させて、プレート50と基板Wとの間の空間を狭めることにより、熱を逃げ難くするとともに処理液Leを加熱して、処理液Leの温度低下を抑制する。プレート50は、基板Wに非接触で、且つ基板Wに対して進退可能である。
【0016】
さらに、基板処理装置1は、図3に示すように、プレート50を基板Wから離隔した位置に上昇させて、洗浄部90によって、基板Wに対向する対向面51に洗浄液Lpを供給しながら、処理液Leとともに洗浄液Lpを対向面51から拭き取ることにより、プレート50の温度低下を抑制する。そして、図4に示すように、プレート50を基板Wから離隔した状態で、回転する基板Wの被処理面に、供給部40から洗浄液Lwを供給することにより、基板Wの被処理面を洗浄する。
【0017】
なお、本実施形態により処理される基板Wは、例えば、窒化膜が形成されたシリコンウェーハであり、基板Wを処理する処理液Leとしては、例えば、窒化膜をエッチングするためのリン酸(HPO)を含む水溶液(以下、リン酸溶液とする)を用いる。また、基板Wを洗浄する洗浄液Lwとしては、純水(DIW)を用いる。洗浄液Lwとして、あらかじめ加熱された温純水を用いてもよい。なお、洗浄液Lwは、純水には限定されない。例えば、フッ酸(フッ化水素の水溶液)を用いることもできる。
【0018】
[構成]
基板処理装置1は、図1図4に示すように、回転体10、回転機構20、保持部30、供給部40、プレート50、加熱部60、検出部70、駆動部80、洗浄部90、制御部100を有する。
【0019】
(回転体)
回転体10は、保持部30に保持された基板Wを回転させる。回転体10は、保持部30に保持された基板Wに間隔を空けて対向するテーブル11を有する。回転体10は、一端がテーブル11によって塞がれた円筒形状である。テーブル11は、基板Wよりも大きな径の円形の面である。
【0020】
回転体10は、処理液Leに対して耐性を有する材料で形成されている。例えば、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PCTFE(Polychlorotrifluoroethylene)などのフッ素系の樹脂により、回転体10を構成することが好ましい。なお、このような回転体10は、図示はしないが、設置面又は設置面に設置された架台に固定された固定ベース上に、後述する回転機構20によって回転可能に設けられている。
【0021】
なお、回転体10の周囲には、カップ12が設けられている。カップ12は、上部の径が窄まるように屈曲された筒状体である。カップ12の底面には、処理液Le、洗浄液Lwを排液するための排液口12aが設けられている。カップ12は、回転する基板Wから飛散する各種の処理液Le、洗浄液Lwを、基板Wの周囲から受ける。カップ12が受けた処理液Le、洗浄液Lwは、排液口12aを介して図示しない回収経路に排出される。
【0022】
(回転機構)
回転機構20は、回転体10を回転させる機構である。回転機構20は、駆動源21を有する。駆動源21は、固定ベースに固定され、中空の回転子とこれを回転させる固定子を有する中空モータである。駆動源21は、固定子のコイルに通電することにより、回転子とともに回転体10を回転させる。
【0023】
(保持部)
保持部30は、テーブル11と平行に且つ間隔を空けて、基板Wを保持する。保持部30は、保持ピン31を有する。保持ピン31は、図示しない駆動機構によって回転体10の軸と平行な軸を中心に、偏心回転することにより、基板Wの縁部に接して基板Wを保持する保持位置と、基板Wの縁部から離れることにより基板Wを解放する解放位置との間を移動する。
【0024】
(供給部)
供給部40は、図2に示すように、基板Wの被処理面、つまり保持部30に保持された基板Wのテーブル11と対向する面とは反対側の面に、処理液Le又は洗浄液Lwを供給する。供給部40は、処理液Leを供給する処理液供給部411、洗浄液Lwを供給する洗浄液供給部412を有する。
【0025】
処理液供給部411は、処理液Leとしてリン酸溶液を供給する。洗浄液供給部412は、洗浄液Lwとして純水を供給する。処理液供給部411、洗浄液供給部412は、それぞれ処理液Le、洗浄液Lwを貯留する液槽41aを有している。
【0026】
各液槽41aは、それぞれ供給管41bの一端に接続されている。供給管41bの他端は、保持部30に保持された基板Wに対向している。これにより、各液槽41aからの処理液Le、洗浄液Lwは、供給管41bを介して、基板Wの被処理面に供給される。
【0027】
各供給管41bには、それぞれバルブ41c、流量計41dが設けられている。バルブ41cは、流量の調節機能とОN/OFF機能を有している。各バルブ41cが、対応する液槽41aから供給管41bに流れ込む処理液Le、洗浄液Lwの量を調整する。また、洗浄液供給部412の液槽41aから、洗浄液Lwが基板Wに向かう供給管41bには、さらにバルブ41eが設けられている。バルブ41eは、流量の調節機能とON/OFF機能を有している。バルブ41eは、後述する吐出口50aの手前において、洗浄液Lwの吐出量を調整する。各供給管41bを流れる処理液Le、洗浄液Lwの量は、対応する流量計41dにより検出される。なお、各液槽41aに貯留される処理液Le、洗浄液Lwの生成設備及び生成方法は特定のものには限定されない。
【0028】
(プレート)
プレート50は、基板Wの被処理面に対向する位置に設けられ、基板Wに対して進退可能な部材である。プレート50の基板W及びテーブル11に対向する面が、対向面51である。プレート50は円板であり、その底面が円形の平坦な対向面51となっている。対向面51は、基板Wの回転中心と同心であり、基板Wよりも大径である。つまり、対向面51は、基板Wの被処理面の全体を非接触で覆うサイズである。プレート50は、石英により形成されている。プレート50の上部の周縁には、外方に拡径したフランジ50bが形成されている。
【0029】
なお、プレート50は、耐熱性と耐液性を両立させるため、二重構造となっていてもよい。つまり、耐熱性を有する材料によって基体が形成され、その周囲が処理液Leに対して耐性のある材料で覆われていてもよい。例えば、石英を基体として、その周囲にPTFE、PCTFEなどのフッ素系の樹脂のカバーを形成することにより、プレート50が構成されていてもよい。
【0030】
プレート50には、2つの供給管41bの他端が挿通されて、基板W側に露出する2つの吐出口50aが形成されている。2つの吐出口50aは、回転体10の回転の軸からずれている。これは、基板Wの回転に伴って、基板Wにおける吐出口50aとの対向部分が逐次変化することにより、処理液Leの温度の均一化に寄与するためである。
【0031】
(加熱部)
加熱部60は、プレート50に設けられ、基板Wの被処理面に供給された処理液Leを加熱する。本実施形態の加熱部60は、通電により発熱するヒータ61である。ヒータ61は、プレート50の水平方向の異なる位置に複数設けられている。例えば、ヒータ61は、発熱量を個別に制御可能な、例えば、3つのヒータ片によって構成されている。つまり、径の異なる円環状の3つのヒータ片が、同心で配置されている。このようなヒータ61によれば、同心で配置された3つのヒータ片の発熱量を個別に制御することで、同心円状の部分毎にヒータ61の温度を変え、処理液Leの温度分布を変えることができる。なお、加熱部60の径は、基板Wの外周側の温度低下を抑制するために、基板Wを覆うサイズ、つまり基板Wの径以上(同等かより大きな径)であることが好ましい。なお、基板Wの被処理面に供給された処理液Leを加熱する、とは、基板Wを加熱し、基板Wを介して処理液Leを間接的に加熱する態様も含むものとする。
【0032】
(検出部)
検出部70は、プレート50の温度を検出する。検出部70としては、例えば、熱電対、測温抵抗体などを用いることができる。検出部70は、プレート50に内蔵された加熱部60に設けられている。検出部70は、プレート50の径方向の異なる位置に複数設けられている。例えば、検出部70は、ヒータ61の3つのヒータ片に対応して3か所設けられている。
【0033】
(駆動部)
駆動部80は、プレート50を、基板Wに対して進退させる機構である。駆動部80は、支持部81、アーム82、進退機構83を有する。支持部81は、リング状の部材であり、その内側にプレート50が挿通され、上部にフランジ50bが当接することにより、プレート50を水平に支持する。アーム82は、一端が支持部81に固定された水平方向に延びた部材である。
【0034】
進退機構83は、架台に立設され、アーム82を介してプレート50を、基板Wに接近及び離隔する方向に移動させる機構である。本実施形態の進退機構83は、回転体10の軸に平行な方向に移動する可動部を有し、可動部にアーム82の他端が取り付けられている。進退機構83は、例えば、シリンダ、ボールねじ機構など、可動部を移動させる種々の機構を適用可能であるが、詳細は省略する。
【0035】
進退機構83は、プレート50を待機位置、洗浄位置、処理位置に移動させる。待機位置は、図1に示すように、対向面51と回転体10との間隔を、基板Wの搬入、搬出を可能とする位置である。洗浄位置は、図3に示すように、対向面51と回転体10との間隔を、洗浄部90が挿入可能で、接触部93aと接触可能とする位置である。なお、洗浄位置は、図4に示すように、基板Wに供給された洗浄液Lwが、対向面51に付着しない位置である。
【0036】
処理位置は、図2に示すように、対向面51と被処理面との間に処理液Leを流通させて、加熱部60により加熱させながら被処理面を処理する位置である。本実施形態では、プレート50は、基板Wの被処理面との間に間隔dが形成される位置まで下降する。この間隔dは、例えば、4mm以下であるが、処理液Leとの間に2mm程度の隙間が空くように維持される。
【0037】
なお、処理液Leは、供給部40における図示しない加熱装置によって予め設定された温度まで加熱されており、基板Wに供給されて加熱部60により加熱される。これにより、基板Wに供給された処理液Leを、予め設定された温度を維持したまま基板Wの被処理面全体に行き渡らせることができる。特に、外周側のヒータ61を内周側のヒータ61よりも高温とすることにより、温度低下しやすい基板Wの外周側の処理液Leの温度を上げ、基板W上の処理液Leの温度分布を均一にする効果が得られる。
【0038】
(洗浄部)
洗浄部90は、プレート50の被処理面に対向する対向面51を洗浄する。洗浄部90は、保持部30が基板Wを保持した回転体10とプレート50との間において、対向面51を洗浄する。つまり、本実施形態の洗浄部90は、プレート50の位置が、基板Wを処理する処理位置と水平方向において共通の洗浄位置で、プレート50の対向面51を洗浄する。
【0039】
洗浄部90は、図5図7に示すように、支持体91、給液部92、拭取部93、液受部94、移動機構95を有する。支持体91は、プレート50の対向面51に平行なブロック状の部材である。支持体91は、対向面51の径よりも長く延びた直方体形状である。支持体91には、図6の断面図に示すように、バックアップ部91aが設けられている。バックアップ部91aは、断面が楕円形状で、支持体91の長手方向に沿って固定された棒状部材である。バックアップ部91aは、後述する給液部92を挟む位置に、一対で設けられている。支持体91及びバックアップ部91aは、耐液性のある材質、例えば、PEEK(Poly Ether Ether Ketone)により形成されている。
【0040】
給液部92は、対向面51に洗浄液Lpを供給する。給液部92は、図5に示すように、対向面51に平行な方向に並べて配置された複数の供給口92aを有する。供給口92aは、支持体91の一対のバックアップ部91aの間に、バックアップ部91aと平行に並べて複数設けられ、洗浄液Lpである純水を、対向面51に向かって吹き付けるノズルである。複数の供給口92aは、等間隔で配置されている。このため、給液部92は、直線方向に均等に洗浄液Lpを吹き付けることができる。
【0041】
供給口92aは、洗浄液供給部412の液槽41aに接続され、液槽41aに、供給管41bから分岐配管92bを介して接続されている。分岐配管92bには、バルブ92cが設けられている。バルブ92cは、流量の調節機能とОN/OFF機能を有している。バルブ92cが、洗浄液Lpの供給及び停止、洗浄液Lpの噴出高さ、噴出量を制御する。本実施形態において、洗浄液Lpは、基板Wの被処理面に供給される洗浄液Lwと同様に、純水が用いられる。なお、洗浄液Lpは、純水には限定されない。例えば、フッ酸(フッ化水素の水溶液)等であってもよい。また、洗浄液Lpは、供給部40によって供給される洗浄液Lwと異なってもよい。このように、供給される洗浄液Lpが、洗浄液Lwと異なる場合、基板Wに供給される洗浄液供給部412とは別に、洗浄液Lpを供給する洗浄液供給部を設ける。
【0042】
拭取部93は、図3に示すように、給液部92により供給された洗浄液Lpを、対向面51に接触して拭き取る。また、拭取部93は、処理液Leとともに洗浄液Lpを、対向面51に接触して拭き取る。拭取部93は、対向面51に平行な方向に延び、対向面51の全長に接する長さである。ここでいう対向面51の全長は、円形の対向面51の直径である。つまり、拭取部93の長手方向は、対向面51の直径以上の長さである。拭取部93は、後述する移動機構95により移動可能に設けられているが、その移動方向において、給液部92を挟んで前後に設けられている。つまり、一対の拭取部93が、支持体91の長手方向、換言すればバックアップ部91aの長手方向に並んだ複数の供給口92aを挟んで、この長手方向と平行に設けられている。本実施形態では、拭取部93は、一方向への揺動と逆方向への揺動による往復動を行うが、一方向への揺動と逆方向への揺動において、前後の拭取部93が逆になる。
【0043】
一対の拭取部93は、図5及び図6に示すように、それぞれ接触部93a、カバー部93bを有する。接触部93aは、対向面51に倣って変形して接触する。これにより、対向面51に接した接触部93aは、対向面51または洗浄部90のいずれかまたは両方に僅かな傾きや歪みがあり、両者が完全に平行でない場合でも全長に亘って対向面51に倣って接触することができる。本実施形態の接触部93aは、メッシュ状の部材である。接触部93aは、フッ素樹脂のメッシュにより形成されている。カバー部93bは、U字形状の断面を有し、バックアップ部91aを覆う部材であり、接触部93aを支持する。接触部93aは、カバー部93bを覆うように支持されている。このため、接触部93aは曲面で対向面51に対向し、曲面の頂点付近で対向面51に接する。
【0044】
なお、接触部93aに使用するメッシュは、シート状の部材であり、簡単に交換することができる。メッシュが劣化したり、所定の回数使用することで対向面51から拭き取ったパーティクルが蓄積されたら、直ぐに交換することができるので、メッシュがパーティクル源になることを防止することができる。
【0045】
カバー部93bは、弾性を有し、対向面51に接触部93aが押し付けられて接触する際、接触部93aとともに弾性変形する。接触部93aは、シート状の部材であるため、接触部93aのみの変形量に限界がある。これに対し、本実施形態では、変形するカバー部93bを介してバックアップ部91aに接触部93aが支持されているので、バックアップ部91aに直接接触部93aが支持されている場合と比較し、接触部93aの変形量を大きくすることができ、対向面51に対して接触部93aを密着させることができる。
【0046】
液受部94は、給液部92及び拭取部93からの洗浄液Lpを受けて、基板Wへの落下を遮る。液受部94は、図5及び図6に示すように、支持体91が収容された箱状の部材である。液受部94は、上方が開口した直方体形状の容器であり、拭取部93から落下する洗浄液Lpが流入する隙間が形成されるように、支持体91が内部に配置されている。液受部94には、洗浄液Lpを排出する排出部94aが設けられている。排出部94aは、液受部94の下部に設けられた排液口に接続された配管であり、図示しない排液流路に接続されている。なお、液受部94の側面は、その上端の高さを供給口92aよりも上とすることにより、洗浄液Lpの飛散や漏れを低減できるので好ましい。
【0047】
移動機構95は、給液部92、拭取部93及び液受部94を、対向面51に沿って移動させる。移動機構95は、アーム95a、揺動部95bを有する。アーム95aは、対向面51と平行な方向に延びる部材であり、一端に液受部94の一端が取り付けられている。
【0048】
揺動部95bは、対向面51から外れた位置に設けられ、アーム95aの他端が取り付けられた端部を軸とする円弧の軌跡で、拭取部93を回動させる。より具体的には、揺動部95bは、平面視で対向面51から外れた退避位置から、対向面51の外周に対向する部分を通過して対向面51より外側の折り返し位置に達した後、逆方向に移動して退避位置に戻るまで、対向面51に平行に拭取部93を往復させる。
【0049】
揺動部95bは、アーム95aから対向面51に直交する方向に延びた支軸と、支軸を中心に揺動させる駆動源であるモータ(図示せず)を有する。アーム95aは、対向面51の洗浄を行わないときは、退避位置に位置付けられている。なお、移動機構95によって、拭取部93は、洗浄位置にあるプレート50の対向面51に接する高さに支持されている。
【0050】
(制御部)
制御部100は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部100は、基板処理装置1の各種の機能を実現するべく、プログラムを実行するプロセッサと、プログラムや動作条件などの各種情報を記憶するメモリ、各要素を駆動する駆動回路を有する。つまり、制御部100は、回転機構20、保持部30、供給部40、加熱部60、駆動部80、洗浄部90などを制御する機構制御部110を有する。
【0051】
また、本実施形態の制御部100は、加熱制御部120を有する。加熱制御部120は、検出部70により検出されたプレート50の温度に応じて、加熱部60の温度を制御する。つまり、加熱制御部120は、プレート50の温度に応じてヒータ61の出力を制御するフィードバック制御を行う。例えば、複数の検出部70により検出された温度の平均値が、所定の温度よりも低い場合に、ヒータ61の温度を上昇させる。なお、各検出部70により検出された温度が、所定の温度よりも低い場合に、当該検出部70に対応するヒータ61の温度を上昇させてもよい。この場合、例えば、各検出部70に、それぞれが配設されたヒータ61が対応している。
【0052】
[動作]
以上のような本実施形態の基板処理装置1の動作を、上記の図1図7に加えて、図8のフローチャートを参照して説明する。なお、以下のような手順により基板Wを処理する基板処理方法、基板製造方法も、本実施形態の一態様である。
【0053】
まず、図1に示すように、プレート50は上方の待機位置にある。このとき、プレート50とテーブル11との間には、図示しない搬送ロボットのハンドに支持された基板Wが搬入可能となる間隔が設けられている。
【0054】
また、予め加熱部60のヒータ61に通電することにより、プレート50の対向面51が加熱され、所定温度(例えば、温度範囲180℃~225℃内の温度)に維持されている。なお、例えば、基板Wの外周領域は放熱により最も温度が低下するため、外周領域のヒータ61が、他の領域よりも高温となるように加熱してもよい。
【0055】
この状態で、前の工程で被処理面に純水が液盛りされ、搬送ロボットのハンドに搭載された基板Wが、プレート50と回転体10との間に搬入され、その縁部が複数の保持ピン31に支持されることにより、回転体10のテーブル11上に保持される(ステップS01)。このとき、基板Wの中心と回転体10の回転の軸とが一致するように位置決めされる。
【0056】
回転体10が、比較的低速な所定速度(例えば、50rpm程度)にて回転する。これにより、基板Wが保持部30とともに前記所定速度にて回転する(ステップS02)。そして、図2に示すように、プレート50が、基板Wの被処理面との間に所定の間隔d(例えば、4mm以下)が形成される処理位置まで下降する(ステップS03)。
【0057】
処理液供給部411が処理液Leを基板Wの被処理面に供給するとともに、検出部70によるプレート50の温度検出が開始する(ステップS04)。処理液Leを供給している間は、常時温度検出が行われる。上記のように、処理液Leは、予め供給部40において加熱されている。処理液Leが回転する基板Wの外周に向けて順次移動することで、基板Wの被処理面の純水が処理液Leのリン酸溶液に置換されつつ、エッチングにより窒化膜が除去される。
【0058】
基板Wの中心付近に供給された処理液Leは、基板Wの外周へ移動するに従って熱が逃げ易くなるが、本実施形態においては、プレート50が基板Wに対して間隔dにまで接近しているため、ヒータ61により処理液Leが加熱され、温度低下による処理レートの低下が抑制される。例えば、処理液Leであるリン酸溶液の温度は、150~160℃程度に維持されることが好ましい。
【0059】
処理中のプレート50の温度は、上記のように検出部70によって検出される。検出された温度に応じて、加熱制御部120が、ヒータ61の温度を制御する。つまり、検出部70によって検出される温度の平均値が低下している場合には、全ヒータ61の温度を上げる。または、検出部70により検出される温度が低下している領域のヒータ61の温度を上げる。
【0060】
所定の処理時間が経過すると(ステップS05のYES)、処理液供給部411が処理液Leの供給を停止する(ステップS06)。次に、図3に示すように、プレート50が処理位置よりも上方の洗浄位置に上昇する(ステップS07)。
【0061】
そして、図7に示すように、移動機構95の揺動部95bがアーム95aを揺動させることにより、拭取部93を往復動させて、対向面51を拭き取る洗浄処理を行う(ステップS08)。つまり、給液部92の供給口92aが洗浄液Lpを吐出しながら、対向面51に接する拭取部93とともに揺動する。拭取部93は、対向面51より外側から、対向面51の全体を拭き取って対向面51より外側まで移動することにより、対向面51の処理液Leとともに洗浄液Lpを拭き取る。
【0062】
拭取部93が往復動を繰り返して、所定の時間が経過すると(ステップS09のYES)、供給口92aからの洗浄液Lpの吐出を停止するとともに、拭取部93が退避位置に移動して停止する(ステップS10)。
【0063】
次に、図4に示すように、洗浄液供給部412は、洗浄位置にあるプレート50の吐出口50aから、洗浄液Lwを基板Wの被処理面に供給する(ステップS11)。回転する基板Wの被処理面に洗浄液Lwが供給されると、その洗浄液Lwが基板Wの外周に向けて順次移動することにより、基板Wの被処理面の処理液Leが洗い流される。そして、所定の洗浄時間が経過すると(ステップS12のYES)、洗浄液供給部412は、洗浄液Lwの供給を停止する(ステップS13)。
【0064】
基板Wが回転を停止して(ステップS14)、プレート50が待機位置に上昇する(ステップS15)。そして、搬送ロボットのハンドが基板Wの下に挿入され、保持部30による基板Wの保持が解放され、搬送ロボットのハンドによって基板Wが搬出される(ステップS16)。
【0065】
なお、洗浄位置と待機位置は、必ずしも相違している必要はない。洗浄液Lwが基板Wに供給されるときに、プレート50の位置が待機位置にあっても良く、基板Wが搬出入されるときに、プレート50の位置が洗浄位置にあってもよい。つまり、両位置は明確に区別されていなくても良く、基板Wの搬入出、洗浄液Lwの供給、対向面51の拭き取りを同じ位置で行っても良い。
【0066】
[効果]
(1)以上のような本実施形態の基板処理装置1は、保持部30により保持された基板Wを回転させる回転体10と、基板Wの被処理面に処理液Leを供給する処理液供給部411と、被処理面に対向する位置に設けられたプレート50と、プレート50に設けられ、基板Wの被処理面に供給された処理液Leを加熱する加熱部60と、プレート50の被処理面に対向する対向面51を洗浄する洗浄部90と、を有する。
【0067】
洗浄部90は、対向面51に洗浄液Lpを供給する給液部92と、給液部92により供給された洗浄液Lpを、対向面51に接触して拭き取る拭取部93と、拭取部93を、対向面51に沿って移動させる移動機構95と、を有する。
【0068】
本実施形態の基板処理方法は、回転体10が、保持部30により保持された基板Wを回転させ、処理液供給部411が、基板Wの被処理面に処理液Leを供給することにより、被処理面を処理し、基板Wの被処理面に対向するプレート50に設けられた加熱部60が処理液Leを加熱し、拭取部93がプレート50の被処理面に対向する対向面51に接触して、給液部92が洗浄液Lpを対向面51に供給しながら、移動機構95が拭取部93を、対向面51に沿って移動させることにより、処理液Le及び洗浄液Lpを拭き取る。
【0069】
このため、処理液供給部411から供給される処理液Leによって、基板Wを処理した後、給液部92により対向面51に洗浄液Lpを供給しながら、移動機構95が、拭取部93を対向面51に接触させて、対向面51に沿って移動させることにより、処理液Leとともに洗浄液Lpを拭き取る。従って、プレート50の対向面51に残留した処理液Leが除去され、プレート50の清浄度を保つことができる。また、処理液Le及び洗浄液Lpが残留することによる対向面51の温度低下が抑制される。これにより、プレート50の洗浄後、次の基板Wの処理において処理レートの低下を抑えることができる。このように、処理する基板W毎のプレート50の温度変化を抑えることができ、プレート50の温度変化による基板W毎の処理レートの変動を抑制できる。
【0070】
また、単に対向面51へ洗浄液Lpを供給するのではなく、供給された洗浄液Lpを処理液Leとともに拭き取るので、基板Wへの処理液Le及び洗浄液Lpの落下を抑制して、基板Wへの影響を低減できる。もし、基板Wへ処理液Le及び洗浄液Lpが落下したとしても、その後の基板Wの洗浄により、基板Wの清浄化が可能となる。
【0071】
また、処理液Leとしてリン酸溶液を使用した場合、選択比調整のために溶解させているシリカや、基板Wであるシリコンウェーハから溶出したシリコンが対向面51に付着してそのまま乾燥すると、析出物として対向面51に付着する場合がある。本実施形態のように、単に、対向面51に付着した処理液Leの拭き取りを行うのではなく、洗浄液Lpを供給するとともに拭き取りを行うことで、処理液Leが乾燥して析出した溶解物がパーティクルとして対向面51に残留することを防止できる。
【0072】
(2)基板処理装置1は、プレート50を基板Wに対して進退させる駆動部80を有する。このため、プレート50は基板Wに対して進退可能であり、プレート50が基板Wに非接触で接近して、処理液供給部411が基板Wの被処理面に処理液Leを供給することにより被処理面を処理し、プレート50が基板Wから離隔した位置に移動し、処理液Le及び洗浄液Lpを拭き取り、プレート50が基板Wから離隔した状態で、供給部40が基板Wの被処理面に洗浄液Lwを供給することにより、被処理面を洗浄する。
【0073】
このため、洗浄液Lwによって基板Wを洗浄する際には、プレート50は基板Wから離隔させることができるので、洗浄液Lwが対向面51に付着してプレート50の温度が低下することを防止できる。
【0074】
(3)洗浄部90は、保持部30が基板Wを保持した回転体10とプレート50との間において、対向面51を洗浄する。このように、プレート50の位置が、基板Wを処理する処理位置と水平方向において共通の洗浄位置で、プレート50の対向面51を洗浄するため、基板Wを処理する処理位置とは別に、プレート50を洗浄するスペースを設ける必要がなく、洗浄するスペースまでプレート50を搬送して洗浄する必要がない。
【0075】
(4)移動機構95は、給液部92を対向面51に沿って移動させ、拭取部93は、移動機構95による移動方向において、給液部92を挟んで前後に設けられている。このため、拭取部93は、往復移動のいずれの方向へ移動する場合にも、給液部92により洗浄液Lpを供給した直後に、洗浄液Lpを処理液Leとともに拭き取って除去することができる。このように、洗浄液Lpを供給した直後に除去できることにより、対向面51に洗浄液Lpが接する時間を短くすることができて、加熱部60の温度低下を防止できる。また、蒸発させて乾燥させると、蒸発熱により温度低下が起きるが、付着した洗浄液Lpを拭き取ることにより、温度低下を抑えることができる。
【0076】
(5)拭取部93は、対向面51に平行な方向に延び、対向面51の全長に接する長さ以上である。このため、拭取部93が対向面51に沿って移動することにより、対向面51の全体から処理液Le及び洗浄液Lpを拭き取ることができる。
【0077】
(6)移動機構95は、拭取部93を対向面51に平行な方向に揺動させる。このため、拭取部93の一端側を支点として揺動させればよいので、駆動部分の構成の簡素化、省スペース化が可能となる。
【0078】
(7)拭取部93は、対向面51に倣って変形して接触する接触部93aを有する。このため、対向面51または洗浄部90のいずれかまたは両方に僅かな傾きや歪みがあり、両者が完全に平行でない場合であっても、接触部93aが対向面51に倣うように接触するので、処理液Le及び洗浄液Lpの拭き取りの漏れを低減できる。
【0079】
(8)接触部93aは、メッシュ状である。このため、メッシュの目や隙間によって処理液Le及び洗浄液Lpを捕捉することができ、拭き取りの漏れを低減できる。
【0080】
(9)給液部92及び拭取部93からの洗浄液Lpを受けて、基板Wへの落下を遮る液受部94を有する。このため、洗浄液Lpの落下の可能性をより低減して、基板Wへの洗浄液Lpの付着によるパーティクルの発生を防止できる。
【0081】
(10)プレート50の対向面51には、対向面51の温度を検出する検出部70が設けられ、検出部70により検出された温度に応じて、加熱部60を制御する制御部100と、を有する。
【0082】
洗浄液Lpが検出部70の箇所に残存すると、その箇所の温度は低下するが、洗浄液Lpが付着していない対向面51の温度との乖離が生じる。すると、対向面51の全体では高温を維持しているにもかかわらず、検出部70により検出される温度は低くなるので、制御部100の加熱制御部120は、ヒータ61の出力をさらに上げようとする。このため、プレート50の温度上昇が過剰となってしまう。本実施形態では、洗浄液Lpの残存を防止できるので、検出部70により検出される温度と、プレート50の温度との差異を抑えることができる。そのため、ヒータ61の温度制御をより正確に行うことができ、プレート50の洗浄後に処理される次の基板Wの処理レートが安定する。
【0083】
[変形例]
(1)移動機構95が、給液部92を対向面51に沿って移動させる場合、拭取部93は、移動機構95による移動方向において給液部92よりも後方に設けられていればよい。例えば、上記の態様の一対の拭取部93のうち、移動方向において給液部92の前方の拭取部93を省略してもよい。この場合、拭取部93を、対向面51の一方の外周端から他方の外周端に移動させた後、対向面51から一旦離して一方の外周端に戻してから、再度拭取部93を対向面51に接触させて、一方の外周端から他方の外周端に移動させることで、繰返し拭き取ることができる。
【0084】
なお、上記の実施形態及び変形例における拭取部93による拭き取りについては、1枚の基板Wの処理につき1往復(2回の拭き取り)するだけでもよいし、往復せずに1方向への1回の拭き取りだけでもよい。つまり、例えば、N番目の基板の処理は時計回り、N+1番目は反時計回りに揺動するようにして、1枚の基板Wの処理について1回ずつ拭き取りを行ってもよい。また、1往復(=2回)で拭き取りを終えるのではなく、3回など奇数回の拭き取りを行ってもよい。
【0085】
また、上記の実施形態のように、給液部92の前方、後方の両方に拭取部93を設けた場合であっても、往復せず一方向に拭き取るようにしてもよい。このようにすれば、後方の拭取部93は、常に洗浄液Lpの供給を受けた後の対向面51に接することになる。このような後方の拭取部93による拭き取りで、洗浄動作を終了できるので、拭取部93から対向面51へ処理液が再付着してしまうことを防止できる。
【0086】
(2)上記の実施形態では、給液部92は、拭取部93とともに移動するように設けられるように例示したが、これに限られない。給液部92を拭取部93とは別に移動可能に設けてもよい。例えば、給液部92を、平面視におけるプレート50の対向面51より外側に設け、拭取部93の移動方向に対して拭取部93よりも前方に、給液部92が洗浄液Lpを吐出するように構成してもよい。
【0087】
(3)上記の実施形態では、プレート50の対向面51の拭取部93による拭き取りについて、処理液Leの供給後、かつ洗浄液Lwの供給前に行っている。しかし、拭取部93による対向面51の拭き取りのタイミングはこれには限定されない。処理液Lpの供給後であって次の基板Wが搬入されるまでの間のいずれかのタイミングで、拭取部93が対向面51の拭き取りを行えば良い。
【0088】
(4)拭取部93の拭き取り動作は、揺動でなくてもよい。例えば、液受部94の両端を支持し、対向面51に平行に直線移動させる移動機構によって、対向面51の一方の外周端から他方の外周端に移動させてもよい。
【0089】
(5)洗浄部90は、複数設置されていてもよい。例えば、異なる軸を中心に揺動する複数の洗浄部90によって、対向面51の全体を洗浄してもよい。この場合、拭取部93が、対向面51の全長に接する長さでなくても、複数の拭取部93によって、対向面51の全体を拭き取ることができればよい。
【0090】
(6)加熱部60は、各ヒータ61が均熱板を含む構造であってもよい。また、加熱部60は、ハロゲンランプやLED等の光によって基板Wや処理液Leを加熱するものを用いてもよい。加熱部60のヒータ61の数、検出部70の数は、上記の態様には限定されず、1つ、2つ又は4つ以上であってもよい。上記の態様では、複数の加熱部60に対応して、それぞれ検出部70を設けることにより、温度を検出した領域と、加熱する領域とを一致させていたが、加熱部60の数と、検出部70の数は必ずしも対応していなくてもよい。
【0091】
(7)基板処理装置1の処理は、処理液Le及び基板Wの温度が処理レートに影響を与える処理であれば、処理の内容及び処理液Leは、上記で例示したものには限定されない。
処理対象となる基板W及び膜についても、上記で例示したものには限定されない。
【0092】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 基板処理装置
10 回転体
11 テーブル
12 カップ
12a 排液口
20 回転機構
21 駆動源
30 保持部
31 保持ピン
40 供給部
41a 液槽
41b 供給管
41c バルブ
41d 流量計
41e バルブ
50 プレート
50a 吐出口
50b フランジ
51 対向面
60 加熱部
61 ヒータ
70 検出部
80 駆動部
81 支持部
82 アーム
83 進退機構
90 洗浄部
91 支持体
91a バックアップ部
92 給液部
92a 供給口
92b 分岐配管
92c バルブ
93 拭取部
93a 接触部
93b カバー部
94 液受部
94a 排出部
95 移動機構
95a アーム
95b 揺動部
100 制御部
110 機構制御部
120 加熱制御部
411 処理液供給部
412 洗浄液供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8