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特開2024-92962ゲーム機、ゲームカードの真贋判定方法、コンピュータプログラム、及びゲームカード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092962
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ゲーム機、ゲームカードの真贋判定方法、コンピュータプログラム、及びゲームカード
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/73 20140101AFI20240701BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240701BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20240701BHJP
   G06K 7/12 20060101ALI20240701BHJP
   A63F 13/20 20140101ALI20240701BHJP
   A63F 13/95 20140101ALI20240701BHJP
   B42D 25/20 20140101ALI20240701BHJP
   B42D 25/305 20140101ALI20240701BHJP
   B42D 25/382 20140101ALI20240701BHJP
【FI】
A63F13/73
G06K7/10 372
G06K7/14 017
G06K7/12
A63F13/20 A
A63F13/95 A
B42D25/20
B42D25/305
B42D25/382
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197509
(22)【出願日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2022208585
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 馨
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB06
2C005JA16
2C005JB12
(57)【要約】
【課題】ゲーム機、ゲームカードの真贋判定方法、コンピュータプログラム、及びゲームカードの提供。
【解決手段】情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得する取得部と、取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定する判定部と、前記判定部が贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する出力部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得する取得部と、
取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定する判定部と、
前記判定部が贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する出力部と
を備えるゲーム機。
【請求項2】
前記模様を、前記情報コードを基に特定される位置に配置してある
請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記模様は、同心円状の模様である
請求項1に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記情報コードを、前記特殊光を吸収又は反射するインクにより形成してある
請求項1に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記判定部は、
前記模様の特徴量から判定値を算出し、
算出した判定値を閾値と比較することによって、前記ゲームカードの真贋を判定する
請求項1に記載のゲーム機。
【請求項6】
前記判定部は、
前記撮像画像を周波数解析することにより、前記判定値を算出する
請求項5に記載のゲーム機。
【請求項7】
前記判定部は、
前記撮像画像から、各画素の画素値を空間周波数の強さ、画像中心から注目画素までの距離を空間周波数の高さ、画像中心と注目画素を結ぶ線分の方向を波の向きとしたフーリエ変換画像を生成し、
生成したフーリエ変換画像の画像中心から等距離にある画素について画素値の平均値を算出し、
前記距離に応じた前記平均値の低下傾向を示す式を導出し、
前記距離毎に算出した前記平均値と前記式との間の差分を算出し、
算出した差分に基づき前記判定値を算出する
請求項6に記載のゲーム機。
【請求項8】
前記模様は、前記周波数解析により前記判定値が算出される空間周波数領域の画像を逆フーリエ変換することによって得られる模様である
請求項6又は請求項7に記載のゲーム機。
【請求項9】
前記判定部は、
正規品及び偽造品のゲームカードをそれぞれ複数回撮像して得られる複数の撮像画像から、判定値をそれぞれ算出し、
正規品のゲームカードについて算出した判定値の平均値と、偽造品のゲームカードについて算出した判定値の平均値とに基づき、前記閾値を設定する
請求項5に記載のゲーム機。
【請求項10】
前記取得部は、複数のゲームカードを一度に撮像して得られる撮像画像を取得し、
前記判定部は、各ゲームカードに形成された模様に基づき、各ゲームカードの真贋を判定する
請求項1に記載のゲーム機。
【請求項11】
情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得し、
取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定し、
贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する
処理をコンピュータにより実行するゲームカードの真贋判定方法。
【請求項12】
情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得し、
取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定し、
贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
第1面にゲームコンテンツ、第2面に情報コード及び模様を印刷してあり、
前記模様は、特殊光を吸収又は反射するインクを用いて前記情報コードの周囲に印刷されており、
前記情報コード及び前記模様を撮像する撮像装置を備えたゲーム機に用いられる、ゲームカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機、ゲームカードの真贋判定方法、コンピュータプログラム、及びゲームカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲームカードに印刷された情報コードを読み取り、情報コードから読み取った情報に応じて特定のキャラクタを登場させたり、特定のシナリオを進めたりするアーケード型のゲーム機が遊技店等に設置されている。
【0003】
このようなゲーム機にはコード読取装置が搭載されている。コード読取装置には、バーコードなどの一次元コードを読み取るコードリーダや、QRコード(登録商標)などの二次元コードを読み取るコードリーダなどが含まれる。コードリーダは、一次元コードや二次元コードなどの情報コードから光学情報を取得する光学センサ(撮像素子など)を備え、当該光学センサから出力される電気信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をデコードすることにより、情報コードを読み取る。
【0004】
ゲーム機でのゲームプレイにより排出されるゲームカードは、希少性やコレクション要素としての観点から、価値があるものとなっており、偽造品が問題になっている。
【0005】
特許文献1には、ゲームカードに真偽識別マークとしてホログラムを備え、ホログラムを撮影した画像からゲームカードの真贋判定を行う手法が開示されてている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-022739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている手法では、所定の視差角をもって2方向から同時に撮像可能な撮像手段をゲーム機が備えている必要がある。撮像方向が1方向に限られている場合において、ゲームカードの真偽識別が不可能となる。また、異なる2方向から見た際に異なる2つの画像が視認可能となるホログラムを添付する必要があり、一般的に印刷のみで製造されるゲームカードにおいて、単価が高くなるという問題点を有する。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ゲームカードに印刷された模様を基に真贋判定を行えるゲーム機、ゲームカードの真贋判定方法、コンピュータプログラム、及びゲームカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係るゲーム機は、情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得する取得部と、取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定する判定部と、前記判定部が贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本願によれば、ゲームカードに印刷された模様を基に真贋判定を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係るゲーム機において実行される情報コード読取処理の概要を説明する説明図である。
図2】ゲーム機の構成を説明するブロック図である。
図3】ゲームカードの構成を説明する説明図である。
図4】実施の形態1におけるゲームカードの読み取り手順を示すフローチャートである。
図5】実施の形態2におけるゲームカードの読み取り手順を示すフローチャートである。
図6】フーリエ変換画像の一例を示す模式図である。
図7】平均値の算出結果を示すグラフである。
図8】差分の算出結果を示すグラフである。
図9】実施の形態3におけるゲームカードの構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態に係るゲーム機10において実行される情報コード読取処理の概要を説明する説明図である。実施の形態に係るゲーム機10は、例えば、遊技店などに設置されるアーケード型のゲーム機である。ゲーム機10にはゲームカードGCが用いられる。ゲームカードGCの第1面にはゲームコンテンツが印刷され、第2面には情報コードCDが印刷される。ゲーム機10は、プレーヤによりセットされたゲームカードGCの第2面を撮像部17により撮像し、情報コードCDを含む撮像画像を取得する。ゲーム機10には複数のゲームカードGCがセットされてもよい。この場合、ゲーム機10は、撮像部17により複数のゲームカードGCを一度に撮像し、各ゲームカードGCに印刷された情報コードCDを含む撮像画像を取得する。ゲーム機10は、1又は複数の情報コードCDが示す情報を撮像画像から読み取り、読み取った情報に基づいて所定のシナリオ(ゲームプレイ)を進行させる。ゲーム機10は、ゲームプレイの終了後、シナリオの進行状況等に応じて、新たなゲームカードGCを排出し、プレーヤに提供する。
【0013】
情報コードCDは、例えばQRコード(登録商標)などの二次元コードである。代替的に、情報コードCDはバーコードなどの一次元コードであってもよい。本実施の形態において、情報コードCDは、透明なIR(Infrared)吸収インクによって、ゲームカードGCの第2面にオフセット印刷される。情報コードCDには、ゲームに登場させるキャラクタの属性情報、ゲームのシナリオを定める情報などが含まれる。
【0014】
ゲームカードGCには情報コードCDが含まれるので、例えば、第1面に描かれる図柄(キャラクタ)に応じて、個々のゲームカードGCに様々な属性を持たせることができる。一般には、ゲームプレイにおいて価値が高い属性を有するもの程、希少価値が高くなるように、ゲームカードGCの排出率が調整される。
【0015】
ゲームカードGCは、コレクション要素としての側面を有し、希少価値が高い場合もある。このため、ゲームカードGCが複製されると、本来そのカードを入手するために必要であったインカムの損失につながる。また、ゲームカードGCが複製されて無制限に使用されると、ゲーム内のバランスやランキングシステムが機能しなくなり、正当なプレーヤがプレイしなくなってしまう等の懸念がある。
【0016】
そこで、本実施の形態に係るゲーム機10は、真贋判定用のパターンPTを用いて、ゲームカードGCの真贋判定を行う。真贋判定用のパターンPTは、例えば、透明なIR吸収インクによって情報コードCDの周囲にオフセット印刷される。
【0017】
ゲーム機10は、ゲームカードGCの情報コードCDを撮像する際、その周囲に配置されているパターンPTを含めて撮像し、情報コードCD及びパターンPTを含む撮像画像を取得する。ゲーム機10は、撮像画像からパターンPTを切り出し、切り出したパターンPTに基づきゲームカードGCの真贋を判定する。ゲームカードGCを真と判定した場合、ゲーム機10は、情報コードCDを読み取ることにより得られる情報に基づき、ゲームプレイを続行する。一方、ゲームカードGCを贋と判定した場合、ゲーム機10は、ゲームプレイを停止する。このとき、ゲーム機10は、プレーヤに対して警告を出力してもよい。
【0018】
図2はゲーム機10の構成を説明するブロック図である。ゲーム機10は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、入金受付部15、カード発行部16、撮像部17、情報コード読取部18、及び通信部19などを備える。
【0019】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。制御部11が備えるROMには、ゲーム機10が備えるハードウェア各部の動作を制御する制御プログラムや制御に必要なデータ等が記憶される。制御部11内のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行し、ハードウェア各部の動作を制御する。制御部11が備えるRAMには、制御の実行中に生成される各種データが一時的に記憶される。
【0020】
記憶部12は、フラッシュメモリなどの記憶装置により構成される。記憶部12は、ゲーム機10において使用される各種のコンピュータプログラムやデータが記憶される。記憶部12に記憶されるコンピュータプログラムは、ゲームのシナリオを制御部11に進行させるためのプログラムを含む。記憶部12に記憶されるデータは、ゲーム中に登場させるキャラクタの属性情報などを含む。キャラクタの属性情報は、キャラクタの名前、図柄、レア度、強さ、技などの情報である。
【0021】
操作部13は、各種のボタンを備えており、押下されたボタンに対応する情報を制御部11へ出力する。操作部13が備えるボタンは、例えば、ゲームを開始させるスタートボタン、プレーヤの選択操作を受付ける選択ボタンなどを含む。操作部13が備えるボタンは、機種やゲームのシナリオなどに応じて適宜設計される。また、操作部13は、更にタッチパネルを備えてもよい。操作部13がタッチパネルを備える場合、操作部13は、タッチパネルより入力される情報を制御部11へ出力する。
【0022】
表示部14は、液晶モニタや有機EL(Electro-Luminescence)モニタなどの表示デバイスを備え、制御部11からの指示に応じてプレーヤの選択操作を受付けるための選択画面やゲームの進行状況を示すゲーム画面などを表示する。
【0023】
入金受付部15は、貨幣が投入される投入口、投入された貨幣を識別する識別機、投入された貨幣を収容する収容部、釣り銭を排出する排出口などを備える。入金受付部15は、投入口に投入された貨幣を識別機により識別し、識別後の貨幣を収容部に収容させると共に、識別した金額の情報(金額情報)を制御部11へ出力する。入金受付部15は、識別した金額よりゲームのプレイ料金を差し引いた金額の貨幣(釣り銭)を排出口へ排出する。入金受付部15は、釣り銭が発生しないように定額貨幣のみを受付ける構成としてもよい。この場合、入金受付部15には排出口が設けられていなくてもよい。また、入金受付部15は、クレジットカード、プリペイドカード、ポストペイカード、電子決済による入金を受付ける構成であってもよい。
【0024】
カード発行部16は、第1面にゲームコンテンツ、第2面に情報コードCD及びパターンPTが印刷されたゲームカードGCを複数収容する収容する収容部、ゲームプレイに応じてプレーヤに提供すべきゲームカードGCを取り出す取出機構、取出機構により取り出されたゲームカードGCを排出する排出口などを備える。
【0025】
撮像部17は、ゲームカードGCが載置される載置台、及び載置台に載置されたゲームカードGCを撮像する撮像装置などを備える。載置台には1又は複数のゲームカードGCが載置される。本実施の形態において、撮像部17が備える撮像装置はIRカメラである。撮像部17は、ゲームカードGCの情報コードCD及びパターンPTが印刷されている領域にIR光を照射し、ゲームカードGCの表面にて反射される光の像を撮像素子に結像させることにより、情報コードCD及びパターンPTを含む撮像画像を取得する。載置台に複数のゲームカードGCが載置された場合、撮像装置は、複数のゲームカードGCを一度に撮像してもよい。
【0026】
撮像部17には、ゲームカードGCなどの媒体に印刷された情報コードCDを読み取るのに十分な性能なカメラが選定される。また、ゲーム機10の筐体内スペースによるサイズ制約があり、カメラ自体の価格も抑える必要がある。このため、撮像部17に搭載されるカメラには、安価かつ小型で産業用途でも一般流通している640×360画素(約20万画素)から1920×1080画素(約200万画素)程度の解像度のカメラが使用されることが一般的である。また、同様に筐体内スペースの観点から、情報コードCDが印刷されている媒体からカメラまでの撮影距離は10~600mm程度、ゲームカードGCなどの媒体の一般的なサイズから印刷される情報コードCDの縦横サイズは10~50mmが想定され、前述のように印刷された情報コードCDのサイズに応じて読み取るのに十分な撮影距離となるように読取り装置が構成される。
【0027】
情報コード読取部18は、例えば、CPUやメモリなどを備え、撮像部17より入力される撮像画像から情報コードCDを検出し、検出した情報コードCDが示す情報を読み取る処理回路として構成される。また、情報コード読取部18は、撮像画像に含まれるパターンPTを検出し、検出したパターンPTに基づいて、ゲームカードGCの真贋判定を行う。
【0028】
情報コード読取部18が備えるメモリには、情報コードの読取処理をCPUに実行させるための真贋判定プログラムPG1及び読取処理プログラムPG2が記憶される。メモリに記憶される真贋判定プログラムPG1及び読取処理プログラムPG2等のプログラムは、これらのプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体RMにより提供される。記録媒体RMは、例えば、SD(Secure Digital)カード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などの可搬型の記録媒体である。制御部11は、不図示の読取装置を用いて記録媒体RMからプログラムを読み取り、読み取ったプログラムを情報コード読取部18のメモリに記憶させる。また、真贋判定プログラムPG1及び読取処理プログラムPG2等のプログラムは、通信により提供されてもよい。この場合、制御部11は、通信により提供されるプログラムを取得し、取得したプログラムをメモリに記憶させる。
【0029】
情報コード読取部18の構成は、上記に限定されるものではなく、マルチコアCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、画像処理用途のASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、揮発性又は不揮発性のメモリ等を含む1又は複数の処理回路又は演算回路であればよい。情報コード読取部18は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等を備えてもよい。
【0030】
情報コード読取部18のCPUは、メモリに記憶された真贋判定プログラムPG1を実行することにより、撮像部17の載置台にセットされたゲームカードGCの真贋判定を行う。また、情報コード読取部18のCPUは、メモリに記憶された読取処理プログラムPG2を実行することにより、情報コードの読取処理を行う。本実施の形態では、真贋判定プログラムPG1及び読取処理プログラムPG2を2つに分けて記載したが、これらは1つのコンピュータプログラムにより構成されてもよい。
【0031】
通信部19は、外部装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部19が備える通信インタフェースは、例えば、WiFi(登録商標)、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標) 、ZigBee(登録商標)、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)などの通信インタフェースである。通信部19は、通知すべき各種データを外部装置へ送信すると共に、外部装置から送信される各種データを受信する。通信部19に通信可能に接続される外部装置は、例えば、各遊技店に設置される複数のゲーム機10を統合的に管理するサーバ装置(不図示)である。
【0032】
図3はゲームカードGCの構成を説明する説明図である。図3の例は、第2面の下側中央部に情報コードCDが印刷され、情報コードCDの左右両側に真贋判定用のパターンPTが印刷されたゲームカードGCを示している。情報コードCD及びパターンPTは、透明なIR吸収インクにより印刷される。透明なIR吸収インクは、赤外線吸収材と希釈用インクとを練り合わせて作成される。赤外線吸収材には、例えば850nm~950nmの範囲に最大吸光波長を持つ材料が用いられる。
【0033】
情報コードCD及びパターンPTは、透明なIR吸収インクにより印刷されるので、屋内又は屋外の通常の環境光下(可視光下)において、情報コードCD及びパターンPTを目視により確認することは困難である。一方、情報コードCD及びパターンPTに対してIR光を照射すると、IR吸収インクで印刷された部分ではIR光が吸収され、その他の部分ではIR光が反射されるので、IR光が吸収された部分と吸収されなかった部分(反射された部分)とでコントラストが生じ、像として顕在化する。撮像部17が備えるIRカメラは、その像を撮像素子に結像させ、情報コードCD及びパターンPTを含む画像として出力する。
【0034】
なお、ゲームカードGCの第1面には、ゲームコンテンツ(ゲーム名やゲームのキャラクタなど)が通常インクで印刷される。また、ゲームカードGCの第2面には、キャラクタの属性情報などプレーヤに提示すべき情報が通常インクで印刷されてもよい。通常インクで印刷されるコンテンツ等は、屋内又は屋外の通常の環境光下で視認可能な情報である。
【0035】
図3の例では、情報コードCD及びパターンPTは、ゲームカードGCの1箇所(第2面の下側中央部)に印刷されているが、第2面の下側中央部及び上側中央部といったように、ゲームカードGCの複数箇所に印刷されてもよい。また、図3の例では、情報コードCDの左右両側にパターンPTが印刷されているが、パターンPTは情報コードCDの周囲を囲むように印刷されてもよい。ゲームカードGCにおいて、情報コードCD及びパターンPTの位置関係は既知であり、その位置関係の情報は情報コード読取部18が備えるメモリに記憶されているものとする。
【0036】
パターンPTは、図3の部分拡大図で示すように同心円状のパターンであり、画線と非画線とが共通の中心点を持つ同心円として交互に平面状に配置されたパターンである。画線幅及び非画線幅は0.2mm~5mmの範囲で選択される。IRカメラの解像度に対して画線幅が細過ぎると、線が潰れてしまい検出できない可能性があるため、選択される画線幅及び非画線幅は、撮影条件に合わせて検出可能な値であることが好ましい。画線幅及び非画線幅の比率は、例えば25:1~1:25の範囲から選択され、より好ましくは、1:1~1:2の範囲から選択される。同心円の中心点はパターンPTの配置領域内に存在する。パターンPTには、中心点、画線幅、非画線幅が異なる他の同心円状パターンが含まれてもよい。更に、これらの同心円状パターンは互いに重なっていてもよい。
【0037】
ゲームカードGCの偽造品として、IRカメラで撮像した画像を印刷し、ゲームカードサイズに加工したカジュアルコピー品を想定する。このような偽造品では、撮像時及び印刷時においてコントラストが低下し、パターンPT(同心円)を構成する画線の一部が消失する可能性が高い。また、ゲームカードGCの偽造品として、IRカメラで撮像した画像から、情報コードCDのみを抜き出して印刷し、ゲームカードサイズに加工したカジュアルコピー品を想定してもよい。このような偽造品には、情報コードCDは含まれているが、パターンPTは含まれていない。
【0038】
図4は実施の形態1におけるゲームカードGCの読み取り手順を示すフローチャートである。ゲーム機10の撮像部17は、載置台にセットされたゲームカードGCを撮像し、撮像画像を情報コード読取部18へ出力する。情報コード読取部18は、撮像部17から出力される撮像画像を取得する(ステップS101)。
【0039】
載置台にセットされるゲームカードGCは複数であってもよい。この場合、撮像部17は、複数のゲームカードGCを一度に撮像し、複数のゲームカードGCを含む撮像画像を情報コード読取部18へ出力する。
【0040】
情報コード読取部18は、取得した撮像画像から情報コードCDを検出する処理を行い、情報コードCDの検出に成功したか否かを判断する(ステップS102)。情報コードCDがQRコードである場合、情報コード読取部18は、QRコードの3頂点に配置されているファインダパターンを見つけ出すことにより、情報コードCDを検出する。ファインダパターンは、黒色の正方形と、その外側を囲む黒色の外枠とからなり、上下方向、左右方向、斜め方向の何れの方向から走査したとしても、黒セルと白セルとの比率が1:1:3:1:1となるように設計されている。情報コード読取部18は、黒セルと白セルとの比率が所定の比率となるパターン(ファインダパターン)を見つけ出すことにより、情報コードCDを検出することができる。情報コードCDがQRコード以外のコードであれば、当該コードについて規定されている検出手法に従って、情報コードCDを検出すればよい。また、撮像画像に複数の情報コードCDが含まれている場合、ステップS102で複数の情報コードCDの夫々を検出する処理を行えばよい。
【0041】
情報コードCDの検出に失敗した場合(S102:NO)、情報コード読取部18は、処理をステップS101へ戻す。
【0042】
情報コードCDの検出に成功した場合(S102:YES)、情報コード読取部18は、検出した情報コードCDから、当該情報コードCDが示す情報を読み取る処理を実行する(ステップS103)。情報コードCDの読み取りには、既存技術が用いられる。例えば白セルと黒セルとからなるコードを読み取る場合、情報コード読取部18は、情報コードCDに含まれるファインダパターン等からコードの水平方向及び垂直方向を認識し、認識した水平方向及び/又は垂直方向に沿って、コード内の白セル及び黒セルを認識する。情報コード読取部18は、認識した白セルを0、黒セルを1のデータ列に並び替え、デコード処理を行って文字情報に変換する処理を行う。情報コード読取部18は、上述の手法に限らず、コードに応じて定められた読取手法を用いることにより、情報コードCDを読み取ることができる。このステップS103から以下で説明するステップS104~S107の処理は、ステップS102で検出した情報コードCDの数だけ実行される。
【0043】
情報コード読取部18は、情報コードCDに基づきパターン領域を算出する(ステップS104)。ゲームカードGCにおいて、情報コードCD及びパターンPTの位置関係は既知であるため、情報コード読取部18は、その位置関係の情報を基にパターンPTが配置されている領域を算出する。また、撮像領域内でパターンPTの映る位置が固定である場合、情報コード読取部18は、予め定められた領域をパターンPTが配置されている領域として定めてもよい。
【0044】
情報コード読取部18は、前処理及び切出処理を実行する(ステップS105)。具体的には、情報コード読取部18は、透視変換やレンズ歪み補正を行うことによって、パターンPTを含む領域がゲームカードGCの正対時と同様の形状となるように変換し、変換後の領域を切り出す。また、情報コード読取部18は、載置位置によりピントが合っていない撮像画像に対し、エッジ強調処理や鮮鋭化処理などを施してもよい。
【0045】
次いで、情報コード読取部18は、切り出した領域に含まれるパターンPTから真贋判定に用いる判定値を算出する(ステップS106)。情報コード読取部18は、ステップS105で切り出した領域に含まれるパターンPTから特徴量の大きさを表す判定値を算出する。例えば、情報コード読取部18は、同心円状のパターンPTにおける線画幅及び非線画幅の比率を特徴量として算出し、それを判定値として用いてもよい。また、情報コード読取部18は、同心円状のパターンPTについて周波数解析を行い、得られる周波数スペクトルに基づき判定値を定めてもよい。判定値を算出する手法は任意であり、情報コード読取部18は、同心円状のパターンPTに現れる特徴量を算出し、算出した特徴量を基に真贋判定に用いる判定値を定めればよい。
【0046】
情報コード読取部18は、ステップS106で算出した判定値を閾値と比較することによって、ゲームカードGCの真贋判定を行う(ステップS107)。情報コード読取部18は、例えば、算出した判定値が閾値以上であれば、ゲームカードGCを真と判定し、判定値が閾値未満であれば、ゲームカードGCを贋と判定する。
【0047】
判定値に対する閾値は、パターンPTの形状、撮像環境、偽造精度などに依存する。このため、使用環境に応じて閾値を事前に探索し、判定精度を最大化しておくことが好ましい。例えば、正規品及び偽造品のそれぞれについて複数回の撮像を行い、それぞれの撮像画像から判定値を算出し、正規品から算出した判定値の平均値と、偽造品から算出した判定値の平均値との中央値を閾値として設定すればよい。
【0048】
次いで、情報コード読取部18は、ステップS107における真贋判定の結果をゲーム機10の制御部11へ出力する(ステップS108)。情報コード読取部18は、ゲームカードGCが真であると判定した場合、その旨の情報をゲーム機10の制御部11へ出力する。ゲーム機10に複数のゲームカードGCがセットされている場合、その全てのゲームカードGCが真である場合にのみ、ゲームカードGCが真である旨の情報を制御部11へ出力すればよい。情報コード読取部18は、ステップS103で読み取った情報コードCDが示す情報を併せて制御部11へ出力する。
【0049】
制御部11は、情報コード読取部18からゲームカードGCが真である旨の情報と、情報コードCDが示す情報とを取得した場合、ゲームプレイを続行する。例えば、制御部11は、情報コードCDが示す情報に基づき、ゲーム内に登場させるキャラクタの属性情報を決定し、当該属性情報を有するキャラクタをゲーム内に登場させることによって、ゲームプレイを進行させる処理を行う。
【0050】
一方、情報コード読取部18は、ゲームカードGCが贋であると判定した場合、その旨の情報をゲーム機10の制御部11へ出力する。ゲーム機10に複数のゲームカードGCがセットされている場合、セットされている複数のゲームカードGCのうち1枚以上のゲームカードGCが贋であれば、ゲームカードGCが贋である旨の情報を制御部11へ出力する。制御部11は、情報コード読取部18からゲームカードGCが贋である旨の情報を取得した場合、ゲームプレイを停止する。また、制御部11は、表示部14にエラーを表示して、当該ゲームカードGCが使えないカードである旨をプレーヤに報知してもよい。
【0051】
以上のように、実施の形態1では、IR吸収インクで印刷されたパターンPTを用いてゲームカードGCの真贋判定を行える。正規品のカジュアルコピーにより作成した偽造品では、パターンPTを構成する画線の一部が消失(劣化)している可能性が高く、ステップS106で算出される判定値は、正規品のものとは異なる可能性が高い。よって、この判定値を閾値と比較することによって、偽造品を特定することができ、偽造品を特定した場合にはゲームプレイの続行を停止させることができる。
【0052】
本実施の形態では、情報コードCD及びパターンPTの双方をIR吸収インクで印刷したゲームカードGCについて説明したが、情報コードCDを通常インクで印刷し、パターンPTをIR吸収インクで印刷したゲームカードGCであってもよい。この場合、通常のカメラやスキャナで撮像した画像を用いて偽造品を作成したとしても、その偽造品にはパターンPTが含まれないため、情報コード読取部18で実行される真贋判定により、偽造品(贋)と判定することができる。
【0053】
本実施の形態では、IR吸収インクを用いてパターンPTを印刷する構成としたが、紫外線吸収インク、紫外線反射インク等の特定波長域の光を吸収又は反射するインクを用いてパターンPTを印刷してもよい。特定波長域の光は、通常の環境光(可視光)との対比で、特殊光とも呼ばれる。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態2では、周波数解析を用いてパターンPTから判定値を算出する構成について説明する。
なお、ゲーム機10の内部構成やゲームカードGCの構成については、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0055】
図5は実施の形態2におけるゲームカードGCの読み取り手順を示すフローチャートである。情報コード読取部18は、実施の形態1と同様の手順にて、撮像画像からパターン領域を算出し、パターン領域について前処理及び切出処理を実行する(ステップS201~S205)。
【0056】
情報コード読取部18は、切り出したパターン領域の画像に対してフーリエ変換を行い、フーリエ変換画像を生成する(ステップS206)。図6はフーリエ変換画像の一例を示す模式図である。フーリエ変換画像は、パターンPTに現れる空間周波数を各画素の画素値により示した画像である。フーリエ変換画像における、画像中心cから画素Pまでの距離dが空間周波数の高さに対応し、画像中心cと画素Pとを結ぶ線分方向(方向角)αが波の向きに対応する。フーリエ変換画像は、空間周波数の強さ(パワースペクトル)に応じた0~1の値で各画素Pの画素値を表したグレースケールの画像となる。図6の例では、画像中心cから距離dの位置に空間周波数の高さに応じたラインが現れている。
【0057】
情報コード読取部18は、生成したフーリエ変換画像に対して、ローパスフィルタ処理を行う(ステップS207)。ローパスフィルタ処理は既知の処理であるが、本実施の形態では、注目画素とその周囲8画素の画素値のうち上位7つの画素値の平均をとって注目画素の画素値とする処理を、注目画素の位置を変えながら画像全体に亘って行う。ローパスフィルタ処理により、画像中で暗部として現れるノイズの影響が低減される。上記の処理は一例であり、周囲画素として採用する画素の数や平均をとる画素の数は任意に設定される。
【0058】
ステップS205において複数のパターン領域を切り出した場合、情報コード読取部18は、各パターン領域の画像からそれぞれフーリエ変換画像を生成し、ローパスフィルタ処理を行った後、それらを統合したフーリエ変換画像を生成する。
【0059】
情報コード読取部18は、ローパスフィルタ処理後のフーリエ変換画像に対してマスク処理を行う(ステップS208)。フーリエ変換画像では、x軸及びy軸付近において、図示しない地紋の影響により画素値が大きくなる可能性があり、真贋判定の精度を低下させる要因となる。このため、ステップS208では、x軸及びy軸を含む所定の領域に含まれる画素の画素値を、低周波領域(中心軸付近)の画素値の平均値で置き換える処理を行う。
【0060】
情報コード読取部18は、マスク処理後のフーリエ変換画像に対して正規化処理を行う(ステップS209)。複数のフーリエ変換画像を統合する際に画素値のレンジを変更している場合、正規化処理により、画素値のレンジを0~1のレンジに変換する。
【0061】
情報コード読取部18は、正規化処理後のフーリエ変換画像から、真贋判定に用いる判定値を算出する(ステップS210)。情報コード読取部は、フーリエ変換画像の画像中心cから距離dだけ離れた位置Mにある画素Pの画素値NPfの平均値PMを、距離dごとに算出する。マスク処理が行われた領域は、平均値PMの算出対象から除外される。同心円状のパターンPTは、形状的特徴として指向性を有していないため、第1象限又は第2象限の画素のみから平均値PMを算出してもよい。
【0062】
図7は平均値PMの算出結果を示すグラフである。図7は、横軸を画像中心cからの距離d、縦軸を平均値PMとして、距離dごとの平均値PMの値PM(d)を実線で示したグラフである。PM(d)は、対象範囲の距離dについてのみ求められる。距離dは自然数とし、対象範囲は適宜定めることができる。
【0063】
情報コード読取部18は、ゲームカードGCが所定のパターンPTを有してるかを、PM(d)の値により判断できる。すなわち、所定の同心円状のパターンPTにおける内外の円の間隔(空間周波数)に対応する距離dでPM(d)の値が高ければ、ゲームカードGCが所定のパターンPTを有してると判断できる。
【0064】
ただし、フーリエ変換画像では、画像中心から周辺に行くに従って画素値が低下する一般的傾向が存在する。本実施の形態では、その傾向が判定に影響するのを避けるための処理を行い、これにより真贋判定の精度を向上させる。
【0065】
情報コード読取部18は、まず、対象範囲の下限(=dmin)の近傍における複数の距離(dmin,dmin+1,dmin+2)の平均をdmin+1と、これら複数の距離について求めたPM(d)の平均avePMminとを算出する。また、情報コード読取部18は、対象範囲の上限(=dmax)の近傍における複数の距離(dmax-2,dmax-1,dmax)の平均をdmax-1と、これら複数の距離について求めたPM(d)の平均avePMmaxとを算出する。
【0066】
情報コード読取部18は、図7に示すように、2点(dmin+1,avePMmin)、(dmax-1,avePMmax)を結ぶ直線の式L(d)を、距離dに応じた画素値NPfの低下傾向を示す式として作成し、dminとdmaxの間の距離dごとに、PM(d)の値からL(d)の値を差し引いた差分ΔR(d)を算出する。これにより、フーリエ変換画像における画素値NPfの低下傾向が判定に影響を与えるのを避けることができる。
【0067】
図8は差分ΔR(d)の算出結果を示すグラフである。図8は、横軸を画像中心cからの距離d、縦軸をΔR(d)として、距離dごとのΔR(d)の値を示したグラフである。情報コード読取部18は、例えば、dminとdmaxとの間に位置する複数の注目距離dn(図8の例ではd1~d7)のそれぞれについてΔR(dn)の値を求め、次式に示すように、Wn(=W1~W7)を重み係数とした重み付き和Rsを算出する。
Rs=W1ΔR(d1)+W2ΔR(d2)+…+W7ΔR(d7)
【0068】
重み付き和Rsの算出対象となる注目距離dn及びその数は、同心円状のパターンPTにおける内外の円の間隔(空間周波数)に対応する距離dを含むように定められる。また、重み付き和Wnは、当該距離dに近い程、大きな値となるように定められる。
【0069】
情報コード読取部18は、重み付き和Rsから判定値(Rとする)を、R=10/(Rs+0.1)により算出する。ここで、Rの最大値は1000とし、Rs+0.1が0.01よりも小さい場合は、R=1000とする。なお、判定値の算出方法は上記に限定されず、重み付き和Rsそのものを判定値としてもよい。
【0070】
判定値を算出した後の手順は実施の形態1と同様である。すなわち、情報コード読取部18は、ステップS210で算出した判定値を閾値と比較することによって、ゲームカードGCの真贋判定を行い(ステップS211)、判定結果をゲーム機10の制御部11へ出力する処理を行う(ステップS212)。
【0071】
閾値については、実施の形態1と同様に、正規品及び偽造品のそれぞれについて複数回の撮像を行い、それぞれの撮像画像から判定値を算出し、正規品から算出した判定値の平均値と、偽造品から算出した判定値の平均値との中央値を閾値として設定してもよい。
【0072】
以上のように、実施の形態2では、ゲームカードGCが所定のパターンPTを有しているか否か(ゲームカードGCが真であるか否か)を、フーリエ解析によって判定するので、判定精度を向上させることができる。
【0073】
本実施の形態では、ゲームカードGCの偽造品として、具体的には、個人ユーザが入手可能な範囲のものとして、300~600dpiのIRスキャナ、スキャン画像を印刷する際のプリンタとして600~6000dpiのプリンタを想定し、これらのIRスキャナ及びプリンタを用いて作成したカジュアルコピー品を想定する。実施の形態2では、上記カジュアルコピー品において、偽造時の特徴劣化により判定値に有意な差が現れ、当該判定値を用いることにより、偽造品を正規品から区別して特定することができる。
【0074】
(実施の形態3)
実施の形態3では、逆フーリエ変換によって得られるパターンPTをゲームカードGCに配置した構成について説明する。
なお、ゲーム機10の内部構成については、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0075】
図9は実施の形態3におけるゲームカードGCの構成を説明する説明図である。実施の形態3におけるゲームカードGCは、実施の形態1及び2で示したものと同様であり、第1面にはゲームコンテンツが印刷され、第2面には情報コードCD及び真贋判定用のパターンPTが印刷されている。図9の例では、第2面の中央部に情報コードCDが配置され、その周囲に複数の真贋判定用のパターンPTが配置されている。情報コードCD及び真贋判定用のパターンPTは、実施の形態1及び2と同様に、透明なIR吸収インクにより印刷されるので、可視光下では視認することは困難であるが、ゲーム機10は、撮像部10に搭載されているIRカメラを用いて撮像することにより、情報コードCDが示す情報の内容、及び真贋判定用のパターンPTを読み取ることが可能である。
【0076】
図9に示す情報コードCD及びパターンPTの配置は例示であって、適宜設計することができる。情報コードCD及びパターンPTは、ゲームカードGCの第1面又は第2面の何れかに少なくとも1つずつ配置されていればよい。
【0077】
実施の形態3のパターンPTは、上述した判定値が算出される画像を逆フーリエ変換することによって得られるパターンである。ここで、判定値が算出される画像とは、中心付近が低周波数成分、中心から離れるに従って高周波数成分となるような空間周波数領域において描画される画像である。判定値が算出される画像として、例えば、画像中心から一定の距離の位置に空間周波数の高さに応じたライン(すなわち空間周波数領域において単円となるパターンPT1)を描画した画像を用いることができる。このような画像を用いた場合、情報コード読取部18は、実施の形態2で説明した手法を用いることによって、判定値Rを算出することができる。
【0078】
空間周波数領域において単円となるパターンPT1を逆フーリエ変換した場合、図9の中央に示すパターンPT2が得られる。実施の形態3では、逆フーリエ変換により得られるパターンPT2を真贋判定用のパターンPTに用いる。真贋判定用のパターンPTは、逆フーリエ変換により得られるパターンPT2の全体であってもよく、トリミングして得られるパターンPT2の一部であってもよい。図9の例は、パターンPT2の一部(中央付近)をトリミングして得られる真贋判定用のパターンPTをパネル状に複数配置した例を示している。
【0079】
真贋判定用のパターンPTとして、同心円のパターンを用いた場合、パターン解析により、円の半径、画線幅、非画線幅などの特徴を読み取ることが可能であるが、逆フーリエ変換を用いて真贋判定用のパターンPTを形成した場合、パターンPTを複雑な模様として構成することができ、パターン解析を困難にすることができる。この結果、パターンPTの偽造や改変を困難にすることができる。
【0080】
ゲームカードGCの真贋判定手順は実施の形態2と全く同様である。情報コード読取部18は、ゲームカードGCの第2面を撮像部17により撮像し、得られた画像からパターンPTの領域を切り出し、切り出したパターン領域の画像に対してフーリエ変換を行い、フーリエ変換画像を生成する。例えば、図9のパターンPT2の画像からフーリエ変換画像を生成した場合、空間周波数領域において単円となるパターンPT1を含んだ画像が得られる。情報コード読取部18は、図5で説明したフローチャートのS207~S211を実行することにより、判定値Rを算出することができ、判定値Rに基づき、ゲームカードGCの真贋を判定することができる。
【0081】
以上のように、実施の形態3では、真贋判定用のパターンPTとして、判定値Rが算出される画像を逆フーリエ変換することによって得られるパターンを用いているので、パターン解析を困難にすることができ、パターンPTの偽造や改変を困難にすることができる。
【0082】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0083】
例えば、ゲームカードGCは、台紙の第1面にゲームコンテンツを印刷し、第2面に情報コードCD及び真贋判定用のパターンPTを印刷したものであってもよい。代替的に、ゲームカードGCは、プラスチック板の第1面にゲームコンテンツを印刷したシール紙を貼付し、第2面に情報コードCD及び真贋判定用のパターンPTを印刷したシール紙を貼付したものであってもよい。ゲームカードGCの形状、大きさ、素材は適宜設計され得る。
【0084】
本実施形態に関し、以下の付記を開示する。
【0085】
(1)本開示のゲーム機は、情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得する取得部と、取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定する判定部と、前記判定部が贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する出力部とを備える。
【0086】
(2)上記(1)に記載のゲーム機において、前記模様を、前記情報コードを基に特定される位置に配置してある。
【0087】
(3)上記(1)又は(2)に記載のゲーム機において、前記模様は、同心円状の模様である。
【0088】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに記載のゲーム機において、前記情報コードを、前記特殊光を吸収又は反射するインクにより形成してある。
【0089】
(5)上記(1)から(4)の何れか1つに記載のゲーム機において、前記判定部は、前記模様の特徴量から判定値を算出し、算出した判定値を閾値と比較することによって、前記ゲームカードの真贋を判定する。
【0090】
(6)上記(5)に記載のゲーム機において、前記判定部は、前記撮像画像を周波数解析することにより、前記判定値を算出する。
【0091】
(7)上記(5)又は(6)に記載のゲーム機において、前記判定部は、前記撮像画像から、各画素の画素値を空間周波数の強さ、画像中心から注目画素までの距離を空間周波数の高さ、画像中心と注目画素を結ぶ線分の方向を波の向きとしたフーリエ変換画像を生成し、生成したフーリエ変換画像の画像中心から等距離にある画素について画素値の平均値を算出し、前記距離に応じた前記平均値の低下傾向を示す式を導出し、前記距離毎に算出した前記平均値と前記式との間の差分を算出し、算出した差分に基づき前記判定値を算出する。
【0092】
(8)上記(6)又は(7)に記載のゲーム機において、前記模様は、前記周波数解析により前記判定値が算出される空間周波数領域の画像を逆フーリエ変換することによって得られる模様である。
【0093】
(9)上記(5)から(8)の何れか1つに記載のゲーム機において、前記判定部は、正規品及び偽造品のゲームカードをそれぞれ複数回撮像して得られる複数の撮像画像から、判定値をそれぞれ算出し、正規品のゲームカードについて算出した判定値の平均値と、偽造品のゲームカードについて算出した判定値の平均値とに基づき、前記閾値を設定する。
【0094】
(10)上記(1)から(9)の何れか1つに記載のゲーム機において、前記取得部は、複数のゲームカードを一度に撮像して得られる撮像画像を取得し、前記判定部は、各ゲームカードに形成された模様に基づき、各ゲームカードの真贋を判定する。
【0095】
(11)本開示のゲームカードの真贋判定方法は、情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得し、取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定し、贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する処理をコンピュータにより実行する。
【0096】
(12)本開示のコンピュータプログラムは、情報コードと、特殊光を吸収又は反射するインクにより形成された模様とを含むゲームカードの撮像画像を取得し、取得した撮像画像に含まれる模様に基づき、前記ゲームカードの真贋を判定し、贋と判定した場合、前記ゲームカードが贋である旨の情報を出力する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0097】
(13)本開示のゲームカードは、第1面にゲームコンテンツ、第2面に情報コード及び模様を印刷してあり、前記模様は、特殊光を吸収又は反射するインクを用いて前記情報コードの周囲に印刷されており、前記情報コード及び前記模様を撮像する撮像部を備えたゲーム機に用いられる、ゲームカード。
【符号の説明】
【0098】
10 ゲーム機
11 制御部
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
15 入金受付部
16 カード発行部
17 撮像部
18 情報コード読取部
19 通信部
PG1 真贋判定プログラム
PG2 読取処理プログラム
RM 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9