(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092970
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】デマンドレスポンスシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240701BHJP
G06Q 30/0208 20230101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/0208
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204438
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2022208676
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】507184096
【氏名又は名称】日本テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬本 英一
(57)【要約】
【課題】電力の需給ひっ迫の解消や電力需要の平準化のためにデマンドレスポンスが行われる。従来電力小売業者(供給者)から電力需要家(需要家)へ推奨する電力消費量が提供されず、需要家が目標を設定する際に参考にできなかった。
【課題を解決するための手段】消費電力量削減の目標となるベースラインを需要家へ提示し、同時に予測した需要家の消費電力量も同時に提示する。そして需要家自身に消費電力量目標である電力消費予定情報を入力させ、前記目標値に対する電力消費性向を出力するデマンドレスポンスシステムを提供できる。需要家自身に消費電力量の目標を入力させることで、消費電力量削減の意識を持たせることができる。電力消費性向情報を出力することで、達成に向けての対策行動を需要家へ促す動機付けとすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する推奨電力消費情報取得部(A)と、
需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する電力消費実績情報取得部(B)と、
取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する電力消費予定情報取得部(C)と、
取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する電力消費比較情報取得部(D)と、
電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する電力消費性向情報取得ルール保持部(E)と、
取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する電力消費性向情報出力部(F)と、
を有するデマンドレスポンスシステム。
【請求項2】
需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けて需要家の属性情報を保持する需要家情報保持部(G)と、
需要家情報保持部(G)に需要家を識別する需要家識別情報と関連付けてその需要家の属性情報を登録する登録部(H)と、
登録部(H)にて登録がされた際に、その需要家に対してインセンティブを付与するための処理をする登録インセンティブ処理部(J)と、
を有する請求項1に記載のデマンドレスポンスシステム。
【請求項3】
出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上に基づいたインセンティブであるランニングインセンティブを付与するか判断するためのルールである付与ルールを保持する付与ルール保持部(K)と、
出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と保持されている付与ルールとに基づいてランニングインセンティブの付与をするための処理をするランニングインセンティブ処理部(L)と、
を有する請求項1または請求項2に記載のデマンドレスポンスシステム。
【請求項4】
需要家の当日の電力消費予定情報である当日電力消費予定情報を保持する当日電力消費予定情報保持部(M)と、
取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持する将来電力消費予定情報保持部(N)と、
日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報保持部(M)に記録する当日電力消費予定情報記録部(O)と、
を有する請求項1または請求項2に記載のデマンドレスポンスシステム。
【請求項5】
電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する推奨電力消費情報取得ステップ(a)と、
需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する電力消費実績情報取得ステップ(b)と、
取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する電力消費予定情報取得ステップ(c)と、
取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する電力消費比較情報取得ステップ(d)と、
電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)と、
取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する電力消費性向情報出力ステップ(f)とを有する、
計算機であるデマンドレスポンスシステムの動作方法。
【請求項6】
需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けて需要家の属性情報を保持する需要家情報保持ステップ(g)と、
需要家情報保持ステップ(g)に需要家を識別する需要家識別情報と関連付けてその需要家の属性情報を登録する登録ステップ(h)と、
登録ステップ(h)にて登録がされた際に、その需要家に対してインセンティブを付与するための処理をする登録インセンティブ処理ステップ(j)とを有する、
請求項5に記載の動作方法。
【請求項7】
出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上に基づいたインセンティブであるランニングインセンティブを付与するか判断するためのルールである付与ルールを保持する付与ルール保持ステップ(k)と、
出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と保持されている付与ルールとに基づいてランニングインセンティブの付与をするための処理をするランニングインセンティブ処理ステップ(l)とを有する、
請求項5または請求項6のいずれかに記載の動作方法。
【請求項8】
需要家の当日の電力消費予定情報である当日電力消費予定情報を保持する当日電力消費予定情報保持ステップ(m)と、
取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持する将来電力消費予定情報保持ステップ(n)と、
日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報保持ステップ(m)に記録する当日電力消費予定情報記録ステップ(o)とを有する、
請求項5または請求項6のいずれかに記載の動作方法。
【請求項9】
電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する推奨電力消費情報取得ステップ(a)と、
需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する電力消費実績情報取得ステップ(b)と、
取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する電力消費予定情報取得ステップ(c)と、
取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する電力消費比較情報取得ステップ(d)と、
電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)と、
取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する電力消費性向情報出力ステップ(f)とを、
計算機であるデマンドレスポンスシステムに実行させるプログラム。
【請求項10】
需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けて需要家の属性情報を保持する需要家情報保持ステップ(g)と、
需要家情報保持ステップ(g)に需要家を識別する需要家識別情報と関連付けてその需要家の属性情報を登録する登録ステップ(h)と、
登録ステップ(h)にて登録がされた際に、その需要家に対してインセンティブを付与するための処理をする登録インセンティブ処理ステップ(j)とをさらに実行させる、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上に基づいたインセンティブであるランニングインセンティブを付与するか判断するためのルールである付与ルールを保持する付与ルール保持ステップ(k)と、
出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と保持されている付与ルールとに基づいてランニングインセンティブの付与をするための処理をするランニングインセンティブ処理ステップ(l)とをさらに実行させる、
請求項9または請求項10のいずれかに記載のプログラム。
【請求項12】
需要家の当日の電力消費予定情報である当日電力消費予定情報を保持する当日電力消費予定情報保持ステップ(m)と、
取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持する将来電力消費予定情報保持ステップ(n)と、
日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報保持ステップ(m)に記録する当日電力消費予定情報記録ステップ(o)とをさらに実行させる、
請求項9または請求項10のいずれかに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力小売業者が電力需給緩和のためにデマンド時間帯当たりの電力料金を加減したり、インセンティブを付与したりするデマンドレスポンスを支援するデマンドレスポンスシステムに関する発明である。また、これに関連して、計算機である前記システムの動作方法と、計算機である前記システムに実行させるプログラムに関する発明も含まれる。
【背景技術】
【0002】
デマンド値とは、ある所定期間に消費された電力量の平均値をいう。前記所定時間は、日本では毎正時からの30分間、毎時30分から毎正時までの30分間(例:1時から1時30分、1時30分から2時)といった30分単位で使われる。真夏の猛暑時間帯や、真冬の厳寒期など電力の需給がひっ迫する際に、需要側のデマンド値を抑える方法としてデマンドレスポンスが行われている。デマンドレスポンスは電力を購入する電力需要家(以下、需要家)の30分単位当たりの平均消費電力量(デマンド値)に対し、割増料金を追加したり、所定量まで消費電力量を減らした需要家へ電気料金の割引などのインセンティブを与えたりするといった方法である。逆に所定期間内(例:1日)のうちで需要が少なく、電力需要を所定期間内で平準化するために電力需要を増やしたい時間帯に対しては、割引料金を設定したり、インセンティブを与えたりする。電力小売りが自由化されたため、需要家に対してデマンドレスポンスをおこなうのは、需要家へ電力を販売する電力小売業者(以下、供給者)である。供給者はデマンドレスポンスの内容を適宜決定している。
【0003】
特許文献1には、デマンドレスポンス(以下、DR)を行う際に供給者がインセンティブを与える技術が開示されている。まず供給者がDRを需要家へ通知する。DR実施時に、参加表明した需要家がどのくらい需要を削減するかの予測を供給者側のDRシステムがベースラインとして計算する。需要者側端末から実際の消費電力量を取得し、前記ベースラインと比較する。需要が多いオンピーク時間帯で消費電力量が下回り、かつ需要が少ないオフピーク時間帯でベースラインよりも消費電力量が上回った場合に、差分の計算に基づく前記オフピーク帯での消費電力量の増分に対してのみ適用可能なインセンティブを与える発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のDRシステムでは、需要家の消費電力量を予測したベースラインを供給者が算出するが、算出したベースラインを需要家へ開示するか否かの記載がない。そのため、参加表明した需要家は目標たるべきベースラインを知らずにオンピークでの消費電力量削減、オフピークでの消費電力量増(ピークずらし)を行う。又インセンティブもオンピークとオフピークの両方で活動しなければ付与されない。そのため、どのくらいの消費電力量を削減すればインセンティブを受けられるかが需要家はわからず、消費電力量削減などに勤しむための動機づけが弱いという問題があった。
【0006】
そこで本発明では、消費電力量削減の目標となる推奨電力消費情報を需要家へ提示する。そして需要家自身に消費電力量目標である電力消費予定情報を入力させ、前記電力消費予定情報と実際の電力消費とを比較した電力比較情報と電力消費性向取得ルールに基づいて、電力消費性向を出力するデマンドレスポンスシステムを提供する。需要家自身に消費電力量の目標を入力させることで、消費電力量削減の意識を持たせることができる。また電力消費性向情報を出力することで達成できそうかどうかを知らしめ、達成できなさそうであれば、達成に向けての対策行動を需要家へ促す動機付けとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のようなデマンドレスポンスシステムに関する課題を解決するために、本願では、第一の発明として、
電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する推奨電力消費情報取得部(A)と、
需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する電力消費実績情報取得部(B)と、
取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する電力消費予定情報取得部(C)と、
取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する電力消費比較情報取得部(D)と、
電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する電力消費性向情報取得ルール保持部(E)と、
取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する電力消費性向情報出力部(F)と、
を有するデマンドレスポンスシステムを提供する。
【0008】
第二の発明として、第一の発明を基礎として、
需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けて需要家の属性情報を保持する需要家情報保持部(G)と、
需要家情報保持部(G)に需要家を識別する需要家識別情報と関連付けてその需要家の属性情報を登録する登録部(H)と、
登録部(H)にて登録がされた際に、その需要家に対してインセンティブを付与するための処理をする登録インセンティブ処理部(J)と、
を有するデマンドレスポンスシステムを提供する。
【0009】
第三の発明として、第一又は第二の発明のいずれか一を基礎として、
出力された電力消費性向情報と、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報のいずれか一以上に基づいたインセンティブであるランニングインセンティブを付与するか判断するためのルールである付与ルールを保持する付与ルール保持部(K)と、
出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と保持されている付与ルールとに基づいてランニングインセンティブの付与をするための処理をするランニングインセンティブ処理部(L)と、
を有するデマンドレスポンスシステムを提供する。
【0010】
第四の発明として、第一から第三の発明のいずれか一を基礎として、
需要家の当日の電力消費予定情報である当日電力消費予定情報を保持する当日電力消費予定情報保持部(M)と、
取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持する将来電力消費予定情報保持部(N)と、
日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報保持部(M)に記録する当日電力消費予定情報記録部(O)と、
を有するデマンドレスポンスシステムを提供する。
【0011】
さらに、第一の発明から第四の発明の計算機であるデマンドレスポンスシステムの動作方法と、計算機であるデマンドレスポンスシステムに実行させるプログラムも提供する。また、プログラムは記録媒体に記録されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成を有する本発明のデマンドレスポンスシステムによって、消費電力量削減の目標となるベースラインを需要家へ提示し、同時に予測した需要家の消費電力量も同時に提示する。そして需要家自身に消費電力量目標である電力消費予定情報を入力させ、前記目標値に対する電力消費性向を出力するデマンドレスポンスシステムを提供することができる。その結果、需要家自身に消費電力量の目標を入力させることで、消費電力量削減の意識を持たせることができる。また電力消費性向情報を出力することで達成できそうかどうかを知らしめ、達成できなさそうであれば、達成に向けての対策行動を需要家へ促す動機付けとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施形態1にかかる発明の動作フローチャート図
【
図5】実施形態2にかかる発明の動作フローチャート図
【
図8】実施形態3にかかる発明の動作フローチャート図
【
図11】実施形態4にかかる発明の動作フローチャート図
【
図16】本発明のシステムの推奨電力消費情報表示画面例
【
図17】本発明のシステムの電力消費予定情報入力画面例
【
図18】本発明のシステムの各インセンティブ付与の説明図
【
図19】本発明のシステムのランニングインセンティブ付与例の説明図
【
図20】本発明のシステムを利用する需要家の2022年1月16日のDR例
【
図21】本発明のシステムのインセンティブポイント実績閲覧画面例
【発明を実施するための形態】
【0014】
<全実施形態の説明の前提>
<本発明を構成し得るハードウェアについて>
本発明は、原則的に電子計算機を利用する発明であるが、少なくとも一部はソフトウェアによって実現され、ハードウェアによっても実現され、ソフトウェアとハードウェアの協働によっても実現される。この場合に、ソフトウェアはハードウェア資源を利用して各種演算を行い求められるデータや情報を通じて諸機能を実現する。ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されていると言える。
【0015】
本発明の各構成要件の全部又は一部を実現するハードウェアでは、計算機の基本的構成であるCPU、メモリ、バス、入出力装置、各種周辺機器、ユーザーインターフェイスなどによって構成される。各種周辺機器には、記憶装置、インターネット等インターフェイス、インターネット等機器、LAN機器、Wifi(登録商標)機器、ディスプレイ、ディスプレイインターフェイス、キーボード、マウス、スピーカ、マイク、カメラ、ビデオ、テレビ、CD装置、DVD装置、ブルーレイ装置、USBメモリ、USBメモリインターフェイス、着脱可能タイプのハードディスク、一般的なハードディスク、プロジェクタ装置、SSD、電話、ファックス、コピー機、印刷装置、ムービー編集装置、各種センサ装置などが含まれうる。
【0016】
また、本願発明のシステム(以下、本システムと略記する場合がある)は、必ずしも一つの筐体によって構成されている必要はなく、複数の筐体を通信で結合して構成されるものであってもよい。また、通信は、LANであってもWAN、Wifi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信、超音波通信、近距離無線通信(NFC)、携帯電話網であってもよく、さらに、一部が国境を跨いで設置されていてもよい。
【0017】
<全実施形態における本願発明の自然法則の利用性の充足>
【0018】
本発明は、計算機とソフトウェアとの協働で機能するものである。本発明ではインターネット回線又は専用回線を介して、高圧受変電設備またはその監視装置やスマートメータから需要家の消費電力量の情報を本システム管理サーバへ送信し、需要家がPCやタブレット等の情報機器から本システム管理サーバへ消費予定電力情報などを入力し、本システム管理サーバから需要家の情報機器へ電力消費性向情報を出力するといった処理を行う。前記各種情報をデータとしてやり取りしたり、計算機上で検索したりといったICTならではの処理が含まれているのでいわゆるビジネスモデル特許として成立するものである。この観点からも本願発明は計算機などのリソースを請求項や明細書に記載された事項と、それらの事項に関係する技術常識に基づいて判断すれば、本願発明は自然法則を利用したものであることとなる。
【0019】
<特許法で求められる自然法則の利用の意義についての出願人の理解>
【0020】
特許法で求められる自然法則の利用とは、法目的に基づいて、発明が産業上利用性を有し、産業の発達に寄与するものでなければならないとの観点から、産業上有用に利用することができる発明であることを担保するために求められるものである。つまり、産業上有用であること、すなわち出願に際して宣言した発明の効果がその発明の実施によってある一定の確実性の下再現できることを求めるものである。この観点から自然法則利用性とは、発明の効果を発揮するための発明の構成である発明特定事項(発明構成要件)のそれぞれが発揮する機能が自然法則を利用して発揮されるものであればよい、と解釈される。さらに言えば、発明の効果とはその発明を利用する利用者に所定の有用性を提供できる可能性があればよいのであって、その有用性を利用者がどのように感じたり、考えたりするかという観点で見るべきではない。したがって、デマンドレスポンスへ参加する需要家や、電力を供給する供給者であるデマンドレスポンス実施者や、本システムの運営管理に携わる者などが本願発明のデマンドレスポンスシステムによって得る効果が心理的な効果(安心できる等)であったとしても、その効果自体は求められる自然法則の利用性の有無を判断するための対象外の事象である。
【0021】
<ハードウェア構成>
【0022】
図13に本装置の全体構成の概略を示す。インターネット(1350)(他の商用回線や専用回線でもよい)を介して、本システムのプログラムが動作するサーバ装置(1351)と、サーバ装置(1351)に接続された管理運営者PC(1352)と、高圧受変電設備の監視装置A(1353A)と、高圧受変電設備A(1354A)と、高圧受変電設備A(1354A)から電力を受ける需要家Aと、需要家Aが本システムを利用する際に使用するPC(1355A)と、高圧受変電設備監視装置B(1353B)と、高圧受変電設備B(1354B)と、高圧受変電設備B(1354B)から電力を受ける需要家Bと、需要家Bが本システムを利用する際に使用するPC(1355B)と、需要家C(一般家庭)が購入する電力を計量するスマートメータ(1353C)と、需要家C(一般家庭)が本システムを利用する際に使用するスマートフォン(1355C)が有線または無線(Wifi(登録商標)や携帯電話回線網など)で接続されている。
【0023】
各需要家が本システムを利用する際に使用する機器は上記例に限定されない。ノートPC、デスクトップPC、スマートフォン、タブレットなどの情報機器で、インターネット接続機能と、本システム利用に足る性能を有していればよい。
図13ではサーバ装置(1351)は1台のみ図示されているが、複数台から構成されていてもよい。サーバ装置は、地域ごとに担当するサーバを分けて設置し、相互をインターネットなどで接続するような構成としてもよい。図示していないが、ほかに本発明のシステムのサーバ装置を管理又は/及び運営する者(
図13の管理運営者PC(1352)の使用者)がいてもよい。
【0024】
インターネット接続できる情報端末(PC等)を介してサーバ装置へアクセスしたり、またはサーバ装置に直接接続した情報端末でサーバ装置を管理又は/及び運営したりすることができる。各需要家が購入、すなわち消費した電力消費量は、需要家C(一般家庭)はスマートメータ(1353C)がインターネットを介してサーバ装置(1351)へ送信するが、高圧電力を購入する需要家AやBの場合は、高圧受変電設備の監視装置A、Bがサーバ装置(1351)へ送信する。高圧受変電設備自体に電力消費量送信機能を内蔵してもよい。又サーバ装置(1351)は例えば供給者のみが本システムの管理運営者として運用してもよいし、供給者が運営するサーバ装置(1351)は需要家が管理運用するサーバ装置やPCから消費電力量(電力消費実績情報)を取得する構成としてもよいし、供給者のサーバ装置と需要家のサーバ装置またはPCに本システムのプログラムが分散配置され運用されていてもよい。
【0025】
図3は本実施形態1におけるデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成の一例を示す図である。PCに準じた構成とした場合を例として、本実施形態におけるデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成について、
図3を用いて説明する。なお、本システムの管理サーバもPCに準じた構成としてもよく、以降のハードウェア構成の説明と同様であるため、説明を省略する。
【0026】
この図にあるように、計算機は、マザーボード上に構成されるチップセット、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリ、各種バス、BIOS(またはUEFI)、USBやLANなどの各種周辺機器や通信回線接続用インターフェイス、リアルタイムクロック等や、グラフィックカードなどの拡張基板からなる。これらはオペレーティングシステムやデバイスドライバ(USBなどの各種インターフェイス、カメラ、マイク、スピーカ又はヘッドホン、ディスプレイなどの各種機器組込み用)、各種プログラムなどと協働して動作する。USB端子(またはPS/2ポート)経由で接続されるキーボードやマウスなどの入力信号も用いて、本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウェア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。LAN端子などを通じてインターネット回線へ接続される。インターネット回線への接続にWiFi(登録商標)を使用して接続したり、携帯電話回線網を介して接続したりしてもよい。
【0027】
以下ハードウェアとしてコンピュータを構成する主な部品について、例として説明する。なおこれらの例に本発明は限定されない。
≪チップセット≫
【0028】
「チップセット」は、計算機のマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、マザーボードに搭載された不揮発性メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまりブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。古くは、CPUと接続しメインメモリやグラフィックス処理用のチップ(GPU)を搭載したグラフィックスカードとの間のように高速性を求められる処理を行うノースブリッジと、ノースブリッジと接続し比較的低速なインターフェイスとの間の処理をするサウスブリッジの2チップ構成であった。近年は、CPUにノースブリッジ機能が統合され、以前のサウスブリッジのみとなったが、引き続きチップセットとも呼ばれる。本明細書ではCPUにノースブリッジの機能が内蔵されたサウスブリッジのみの1チップ構成で説明する。なお前記のようにノースブリッジとサウスブリッジの2チップ構成の場合でも、サウスブリッジの機能をもCPUに統合したチップセットなしの場合でも、本発明の効果は変わらない。
【0029】
(サウスブリッジ)
チップセットが1構成チップ時のサウスブリッジは、PCI Expressインターフェイス(スロット)、SATA(Serial ATA)またはeSATAインターフェイス、USBインターフェイス、LAN(Ethernet)インターフェイス、リアルタイムクロックなどとのI/O機能やサウンド機能を担う。1チップ構成時のチップセットは、ディスプレイや、USB/LAN端子などの外部接続や、HDDやSSDとの接続用のSATAなどや、PCI Expressなどのインターフェイスを制御する処理を行うチップであり、CPUとはポイント・ツー・ポイントのハードウェアインターフェイス(例えばDMI:Direct Media Interface)で接続される。チップによっては、不揮発性メモリ(HDDなど)のRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks:複数のHDDなどをひとつのドライブのように認識・表示させる技術)をサポートする。
【0030】
また近年使われることが少なくなった、高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート、フロッピーディスクドライブ、RS-232Cなどのシリアルポート、プリンタ向けのIEEE1284などのパラレルポート、ISAバスなどをサポートする場合には、サウスブリッジにLow Pin Countバスで接続するスーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIが使われる。
【0031】
≪バス≫
バスにはパラレルバスとシリアルバスとがある。パラレルバスは、ビット数分の信号線を用意して、クロックに同期させて伝送する。クロック信号の専用線をデータ線と平行して設け、受信側でのデータ復調の同期を行う。シリアルバスは、1ビットずつデータを転送する。
マザーボード上の周辺機器や各種制御部と、CPU(MPU)と、を繋ぐためにバスが用いられる。CPU内部でCPUコアとキャッシュメモリなどを接続する内部バスに対し、CPUとCPU外のメモリ等を接続するためのバスは外部バスと呼ばれる。CPUに内蔵されたメモリコントローラとメインメモリとの間をつなぐ外部バスは、例えばDDR4-SDRAM(Double-Data-Rate4 Synchronous Dynamic Random Access Memory)を使用するDDR4規格対応の場合は64bit幅のパラレルバスである。DDR4規格の一例としてDDR4-3200メモリ規格対応であれば、メモリ最大動作周波数3200MHz×バス幅64(bit)÷8(bit→Byte変換)=25.6(GB/s)の帯域幅となる。CPUとサウスブリッジ間の接続には上記のようにDMI(Direct Media Interface)などのポイント・ツー・ポイント接続が使われる。
【0032】
PCI ExpressやSATA等の外部接続用の拡張バスはチップセットによって連結される。パラレルバスとしては、GPIB、IDE/(パラレル)ATA、SCSI、PCIなどがある。
シリアルバスは、1ビットずつデータを転送する。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI Expressでは、ポイント・ツー・ポイント配線とシリアル転送方式を採用している。USBや、SATAもデータ転送はシリアルである。
【0033】
≪CPU≫
【0034】
CPUはメインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは計算機内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部にレジスタ、キャッシュメモリ(1次、2次、3次)や、キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス、メモリコントローラ、タイマー、サウスブリッジとの接続バスとのインターフェイスなどが含まれる。CPUにグラフィック機能(GPU)を統合している場合は、グラフィックスインターフェイスやCPUコアと接続する内部バスなども含まれる。GPUを内蔵したCPUで外付けグラフィックスボードを使用する場合は、CPUに内蔵されたグラフィックインターフェイス(PCI Expressなど)に接続される。
なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。実施形態での説明は2コアタイプのものであるが、これに限定されない。またCPUチップを複数備える構成であってもよい。CPU内にプログラムを内蔵することもできる。
【0035】
≪不揮発性メモリ≫
【0036】
(HDD)
【0037】
ハードディスクドライブの基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インターフェイスは、SATA(過去ではATA)やSAS(Serial Attached SCSI、過去ではSCSI)などを採用することができる。HDDのインターフェイスは大きくは前記のATA系とSCSI系に二分される。ATA系は物理的に接続された相手に一方的にデータを送る方式であり、マザーボード上のBIOS(またはUEFI)に依存するために、CPUの処理時間を常に要求する。SCSI系は接続された相手の状態を確認しながら正確にデータを送る方式であり、HDD内に制御用システムを備えるため、CPUの負荷を抑えられる。ATA系は廉価で大容量であるが、SCSI系はサーバ向けのシステムから発展し、高速性や拡張性の高さで優れ、SCSIコマンドをマルチスレッドで処理できるため、高負荷環境下でも高い信頼度をもつ。
【0038】
HDDは容量単価に優れるが、上記のように可動部を含むためアクセスに時間を要することや機械的故障の懸念があることから、高い信頼性を要求されるサーバ装置向けなどでRAIDを使い、複数台のHDDに同時に分散して読み書きしたり、複数のHDDに同じファイルを書き込んだりといった構成をとることができる。
【0039】
(フラッシュメモリ)
現在、NAND型フラッシュメモリとNOR型フラッシュメモリの2種が一般に使われている。読み出し書き出し速度は一長一短あるが、NAND型の方が高集積化には有利であり、データストレージ用途に使われる。ハードディスクドライブと比較し、可動部がないため小型で、稼動時の振動や音が発生しない。但し容量単価はハードディスクドライブを置き換えるようなところまで下がってはいない。ハードディスクドライブよりも高価だが、装置が小型化でき、衝撃などにも強くなるという利点がある。スマートフォンや携帯情報端末では、搭載されるデータストレージ目的の記憶容量は通常64GB~256GB程度であるため、小型軽量化目的もあってフラッシュメモリが使われる。PCなどではOSやアプリケーションソフトを記憶するアクセス頻度の高いドライブにはフラッシュメモリからなるソリッドステートドライブ(SSD)が使用されるようになりつつある。
【0040】
≪メインメモリ≫
【0041】
CPUが直接アクセスしてメインメモリ上の各種プログラムを実行する。メインメモリは揮発性のメモリでDRAMが用いられる。メインメモリ上のプログラムはプログラムの起動命令を受けて不揮発性メモリからメインメモリ上に展開される。その後もプログラム内で各種実行命令や、実行手順に従ってCPUがプログラムを実行する。
【0042】
≪オペレーティングシステム(OS)≫
【0043】
オペレーティングシステムは計算機上の資源をアプリケーションに利用させるための管理をしたり、各種デバイスドライバを管理したり、ハードウェアである計算機自身を管理するために用いられる。小型の計算機ではオペレーティングシステムとしてファームウェアを用いることもある。
【0044】
≪UEFI≫
【0045】
以前使用されていたBIOSを発展させた後継として同様の役割りをするUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)が近年使われている。UEFIもBIOSと同様フラッシュROMに格納された状態でマザーボード上に搭載される。UEFIを収めたフラッシュROMチップは、計算機のハードウェアを立ち上げてオペレーティングシステムを稼働させるための手順をCPUに実行させるもので、最も典型的には計算機の起動命令を受けるとCPUが最初に読取りに行くハードウェアである。ここには、ディスク(不揮発性メモリ)に格納されているオペレーティングシステムのアドレスが記載されており、CPUに展開されたUEFIによってオペレーティングシステムが順次メインメモリに展開されて稼働状態となる。なお、UEFIは、バスに接続されている各種デバイスの有無をチェックするチェック機能をも有している。チェックの結果はメインメモリ上に保存され、適宜オペレーティングシステムによって利用可能な状態となる。なお、外部装置などをチェックするようにUEFIを構成してもよい。
【0046】
図に示すように、本発明は基本的に汎用計算機プログラム、各種デバイスで構成することが可能である。計算機の動作は基本的に不揮発性メモリに記録されているプログラムをメインメモリにロードして、メインメモリとCPUと各種デバイスとで処理を実行していく形態をとる。デバイスとの通信はバス線と繋がったインターフェイスを介して行われる。インターフェイスには、ディスプレイインターフェイス、USB、LAN端子、PCI Expressインターフェイス、通信バッファ等が考えられる。
【0047】
以下に記載するデマンドレスポンスシステムを構成する各機能ブロックは、いずれもハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアのいずれによっても実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、GPU、画像メモリ、グラフィックボード、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶媒体とそれらの媒体の読取ドライブなど)、情報入力に利用される操作ボタン等の入力デバイス、マウス、タッチパネル、専らタッチパネルをタッチする目的で利用する電子ペン、ジョイスティック又はジョイスティック類似のポインタ位置入力装置その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェイス、LAN端子などの通信用インターフェイス、GPS受信インターフェイス、GPS用演算装置、ジャイロセンサ、加速度センサ、回転検知センサ、これらセンサの信号の処理装置、カメラ、画像ファイル処理回路、スピーカ、マイク、音声ファイル処理回路、通信用インターフェイス、バーコードリーダー、電子カードリーダー、POS端末、顔認証装置、暗号化装置、指紋認証装置、掌紋認証装置、網膜認証装置などの生体認証装置や、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。特にスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、スマートウォッチ、パーソナルコンピュータ、データセンターのサーバ装置、有線・無線ネットワーク及びインターフェイスなどを利用する。
【0048】
メインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェイスなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、二以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0049】
また、本発明は、その一部をソフトウェアとして構成することも可能である。さらに、そのようなソフトウェアが記録された記憶媒体も当然に本発明の技術的な範囲に含まれる(本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。)。
【0050】
<本明細書において使う用語について>
【0051】
「識別情報」とは、何らかを識別するために用いられる記号、文字、符号などである。ただし、識別情報そのものが識別される情報そのものである場合があってもよい。例えば、文字列記録Aを識別する情報である識別情報が、文字列記録A自身である場合があってよい。従って需要家識別情報は単なる記号、文字、符号である場合とその記号、文字、符号などで識別される需要家の氏名や屋号や住所又は連絡先などである場合が同時に成立してもよい。
【0052】
「関連付け」とは、二以上の情報が直接的に関連付けられている場合の他、二以上の情報が他の一以上の情報を介して間接的に関連付けられている場合も含む意味で本願明細書においては用いられる。間接的な関連付けは、必ずしも一の装置(筐体が一の筐体である装置)内での関連付けに限定されず、複数の装置にわたって関連付けられている場合も含まれる。
【0053】
「基づいて」とは、対象そのものに拠る場合と、対象に何らかの処理をした後のものに拠る場合の両方を含む。例えば、「電力消費実績情報に基づいて」とは、「電力消費実績情報」そのものに拠る場合と、過去同時期の「電力消費実績情報」を取得して統計的な処理を行ったうえで直近の需要家の消費動向をも考慮に入れて所定計数倍するなどの「処理をした後の電力消費実績情報」に拠る場合をも含む。
【0054】
「デマンドレスポンス」とは、電力を電力小売業者から購入し使用する需要家の需要を制御するための仕組みである。電気は発電量と消費量が同じ時に同じ量になっていないと電気の品質(周波数)が乱れ、供給を正常に行えなくなってしまう。電力会社はあらかじめ立てた計画に則って発電を行うがためることができないために、エネルギーの需要側が、供給状況に応じて賢く消費パターンを変化させることが必要である。前記消費パターンを変化させる手段としてインセンティブを付与するなどの手法によって需要制御を行うデマンドレスポンス(以下、DR)がある。DRは、需要制御のパターンによって、需要が多すぎる時間帯の需要を減らす(抑制する)「下げDR」と、需給を平準化するために需要が少ない時間帯の需要を増やす(創出する)「上げDR」の二つに区分される。
【0055】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0056】
<実施形態1 概要>主に請求項1、5、9
実施形態1のデマンドレスポンスシステムは、需要家毎に取得した各デマンド時間帯内での推奨消費電力量と、需要家毎に取得した各デマンド時間帯内での電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す電力消費予定情報を取得するように構成される。さらに取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報に基づいて電力消費性向を示す電力消費性向情報を出力するように構成される。
【0057】
<実施形態1 機能的構成>
図1に実施形態1のデマンドレスポンスシステムの機能ブロック図を示す。実施形態1のデマンドレスポンスシステム(0100)は、推奨電力消費情報取得部(A)(0101)と、電力消費実績情報取得部(B)(0102)と、電力消費予定情報取得部(C)(0103)と、電力消費比較情報取得部(D)(0104)と、電力消費性向情報取得ルール保持部(E)(0105)と、電力消費性向情報出力部(F)(0106)と、を有する。
【0058】
なお、上記機能ブロックは本発明を実施するための一例であって、本発明が克服すべき課題及びその効果と矛盾しない範囲において適宜その機能を省略したり、新たな機能を付加したりしてよい。以下の実施形態1以降の説明でも同様である。
【0059】
<実施形態1 構成の説明>
<実施形態1 推奨電力消費情報取得部(A)(0101)>
「推奨電力消費情報取得部(A)」(0101)は、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得するように構成される。
【0060】
「需要家」とは、電力を購入して消費する者のことである。具体的には、一般企業や商店や一般家庭などである。日本では2016年の電力小売り自由化に伴い、発電、送電、小売りの3つが自由化された。電力の小売り業者(以下、供給者)から電力を購入して消費する者が需要家である。
【0061】
「デマンド時間帯」とは、電力を購入する需要家の電気料金の基本料金を算定する際に、所定単位時間での平均使用電力(デマンド値)の最大値を用いるが、この所定単位時間である。デマンド時間帯は、他にも発電部門と小売部門が電力を取引する電力卸売市場での電力取引の単位(電力量を定める時間)にも使われ、また電力使用量の変動の把握もこの所定時間毎の平均使用電力量であるデマンド値を使用して行われる。日本での電力分野ではデマンド時間帯は30分間であり、特に毎時の0分から30分、または30分から60分までの30分を指す。1日は24時間であるため、1コマ30分のデマンド時間帯が48コマあることになる。なお、デマンド時間帯は国や地域によって異なる場合がある。ある需要家が1デマンド時間帯に消費する平均電力消費量が、前記のデマンド値である。
【0062】
「推奨電力消費情報」とは、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨される消費電力量を示す情報である。推奨電力消費情報には、デマンド時間帯を識別する情報であるデマンド時間帯識別情報またはデマンド時間帯を特定するための時間情報(年月日と時刻など)と、デマンド時間帯に対応する推奨電力消費量を含むように構成することが好ましい。本明細書中では需要家に電力を供給する供給者が需要家に推奨電力消費情報を提供する場合について説明しているが、第三者(例えば国等の公的機関)が提供してもよい。推奨電力消費情報の例としては、供給者が電力を供給している地域での、全供給電力と全消費電力の予測値の関係が等しくないデマンド時間帯に対して、全供給電力予測値<全消費電力予測値の場合は、各需要家に対してその需要家が消費すると予測される消費電力よりも少ない消費電力量である推奨電力消費情報を出す例などがある。もし全供給電力予測値>全消費電力予測値の場合には、各需要家に対してその需要家が消費すると予測される消費電力量よりも多い推奨電力消費情報を出すように構成してもよい。
【0063】
その他いくつか例を挙げると、電力小売業者である供給者が、各需要家の消費電力量の予測値の各デマンド時間帯の合計値が、供給者が調達した各デマンド時間帯内での電力量を上回る場合には調達量以内となるような推奨電力消費情報とし、下回るような場合には調達量以内だが調達量に近くなるような推奨電力消費情報とするといった場合である。または電力卸売市場の各デマンド時間帯の市場取引価格推移を取得する市場取引価格取得手段を推奨電力消費情報取得部(A)内に設け、取得した市場取引価格が所定閾値よりも高いデマンド時間帯は、需要家に対する推奨電力消費情報を、予測される消費電力量よりも下げる場合である。この時市場取引価格が所定閾値よりも安い時間帯は予測される消費電力量よりも、需要家に対する推奨電力消費情報を増やしてもよい。
【0064】
または、日照量、日照時間、気温、風速、天気などの気象状況を示す情報である気象情報を取得する気象情報取得手段を推奨電力消費情報取得部(A)内に設け、気温の寒暖による空調関連や給湯や冷蔵や冷凍関連などの消費電力のスポット的な増減や、需要家が太陽光発電や風力発電設備を有する場合はその発電量の増減をも考慮して、供給者から需要家が購入する推奨電力消費情報としてもよい。推奨電力消費情報は、対象とする需要家の過去の同時期(例:同じ季節、同じ四半期など)の電力消費実績や、直近の需要家の電力消費傾向などを考慮して、需要家の消費電力量を予測し、そのうえでデマンド時間帯毎の需給予測をもとに、削減すべき時間帯は予測した消費電力量から減らして算出し取得する。前記算出時に、対象期間に予想される気象予報をも参照して推奨電力消費情報を取得してもよい。
【0065】
電力卸売市場の一日前市場(スポット市場)での翌日の入札が締め切られた後、供給者は、調達した翌日分の電力である調達電力と、供給者が電力を供給する需要家の消費電力量を予測した予測電力消費量に基づいて、調達電力に対し予測電力消費が過不足あると考えられるデマンド時間帯を抽出する。抽出したデマンド時間帯ごとに対し、供給者が需要家毎に電力消費を増減してほしい要望電力を示したものが推奨電力消費情報である。前記推奨電力消費情報は、供給者が需要家の過去の電力消費実績や翌日の気象予測などに基づいて電力の需給予測を行い、需給予測に基づいて調達電力に対し電力消費を増減させた方がよい時間帯があれば反映した推奨電力消費情報として需要家へ送付することもできる。電力の市場単価の高い時間帯や安い時間帯に対し、それぞれ推奨電力消費量を下げたり、上げたりするように構成することもできる。
【0066】
調達電力に対し、需要家の予測電力消費が多いデマンド時間帯は「下げDR」の対象時間帯となりうる。逆に調達電力に対し、需要家の予測消費電力が少ないデマンド時間帯は「上げDR」の対象となりうる。供給者がDRの判断をするにあたり、調達電力に対し予測電力消費が所定の割合または所定の量ずれるならば対応するDRを実施するように判断するというDR判断ルールに基づいて、DRの判断を行うように構成するとよい。供給者が調達した翌日の電力を示す情報である供給者調達電力情報を取得する供給者調達電力情報取得部と、需要家の翌日の電力消費量を示す情報である予測需要家電力消費情報を取得する予測需要家電力消費情報取得部と、調達電力に対し予測電力消費が所定の割合または所定の量ずれるならば対応するDRを実施するように判断するというDR判断ルールを保持するDR判断ルール保持部と、供給者調達電力情報と予測需要家電力消費情報とに基づいて前記両者のずれ量を減じるように対応するDR(下げDR又は/及び上げDR)を翌日実施すると判断するDR実施判断部とをさらに有するように構成することで達成できる。
【0067】
推奨電力消費情報には、一例としては前記のように翌日の電力の需給予測などに基づいて需要家ごとに、各デマンド時間帯内での推奨される消費電力量を示す情報を含むように構成される。さらに、対象とする年月日と時間帯と、対象とする需要家を特定する情報(または需要家を識別する情報である需要家識別情報)を含むように構成することが好ましい。また、対象とする年月日の電力のデマンド時間帯ごとの市場単価も含むように構成すると、需要家が後記する電力消費予定情報を入力する際に参考にできる。
【0068】
「電力の需給予測など」とは、上記の「推奨電力消費情報」の説明で記載したように、電力の需給予測のほかにも、供給者が調達した電力量、電力の市場取引価格、気象情報(日照量、日照時間、気温、風速、天気、台風など)に基づくことができる。そのほかの条件としては、需要家の稼働時間(一般的な暦上の休日や需要家に依存する定休日や創立記念日など一般的ではない休日を除いた稼働日または出勤日、交代勤務など含む深夜勤務)、需要家が所持する自家発電設備、イベント(オリンピックやワールドカップなど多くの人が鑑賞のための電力を消費する可能性が高いイベント)、各需要家の消費電力量実績に基づく消費電力量予測値などが考えられる。
【0069】
<実施形態1 電力消費実績情報取得部(B)(0102)>
「電力消費実績情報取得部(B)」(0102)は、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得するように構成される。
【0070】
「電力消費実績情報」とは、需要家が供給者から購入した電力を消費した実績値であり、各デマンド時間帯内での消費電力の平均値を示す情報である。各デマンド時間帯内で取得される電力消費情報を時系列的に保持する電力消費情報履歴保持手段を電力消費実績情報取得部(B)内に有するように構成することが好ましい。各デマンド時間帯内の平均ではなく所定の時間間隔(例:15分、10分などデマンド時間帯の長さより短い時間間隔が望ましい)での消費電力量を示す情報を各デマンド時間帯内の電力消費実績情報とは別に保持するように構成することもできる。デマンド時間帯の長さ以下の時間単位でのいわば瞬間最大消費電力量を記録し保持することができる。また各デマンド時間帯内での電力消費情報のうち当月のデマンド時間帯あたりの最大消費電力量を記憶する、最大デマンド時間帯当たり消費電力量保持部を設けて保持するように構成してもよい。高圧受電している需要家の電力料金のうち基本料金は、その月と過去11ヵ月の最大のデマンド値に基づいて決められている。一度でも大きなデマンド値が出ると、次の契約期間である一年間の基本料がそのデマンド値に基づいて決定されてしまうためである。
【0071】
電力消費実績情報には、デマンド時間帯を識別する情報であるデマンド時間帯識別情報またはデマンド時間帯を特定するための時間情報(年月日と時刻など)と、デマンド時間帯に対応する電力消費実績(デマンド値)を含むように構成することが好ましい。
【0072】
<実施形態1 電力消費予定情報取得部(C)(0103)>
「電力消費予定情報取得部(C)」(0103)は、取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得するように構成される。
【0073】
「電力消費予定」とは、需要家が将来供給者から購入する電力を消費する予定である。(電力は貯められないので実質的に購入量=消費量である。)デマンド時間帯単位の消費予定であることがのぞましい。「将来」とは、例えば翌日であってもよいし、1週間先でもよいし、現時点の直後であってもよい。また需要家が自家発電設備(太陽光発電や風力発電の設備など)を所有稼働させている場合は、別途、自家発電発電予定と自家発電消費予定をそれぞれ取得し保持するように構成してもよい。
【0074】
「電力消費実績情報と、に基づいて」とは、該当需要家の過去の電力消費実績情報そのものに拠ってでもよいし、過去の電力消費実績情報に何らかの処理を施した後の情報に拠ってでもよい。何らかの処理とは、消費予定を取得しようとしている時期と、同様の季節に当たる該当需要家の過去の電力消費実績の平均をとる処理や、前記同様期間の過去の電力消費実績の最大値をとる処理や、前記のように過去の電力消費実績を平均したうえで最近の需要家の電力消費傾向を考慮して加減する処理や、さらに前記時期の気象予報を考慮し猛暑日や真冬日では空調関連機器での電力消費が増える可能性が高いために増やす処理などをいう。
【0075】
基づく「電力消費実績情報」は、該当需要家の電力消費実績情報だけではなく、類似の施設構成(電力使用機器構成)の他の需要家や、類似立地(気候:温湿度や日照など、緯度経度、河川や海からの距離)の他の需要家や、類似の電力消費傾向にある他の需要家の電力消費実績情報を単独、又は該当需要家自身の電力使用実績情報と併用して使用するように構成することもできる。
【0076】
電力消費予定情報は、各需要家が推奨電力消費情報と電力消費実績情報に基づいて、将来の電力消費の予定を本システムに入力した情報である。需要家に提供される、需要家に対して電力消費量を下げてほしいデマンド時間帯や逆に上げてほしいデマンド時間帯の推奨される電力消費量(推奨電力消費情報)も考慮して(考慮しない場合も含む)需要家が入力した情報が、電力消費予定情報である。「将来」は、前記「推奨電力消費情報」が対象とする時期である。
【0077】
電力消費予定情報は、前記のように将来の電力消費予定の情報を本システムへ需要家が入力した情報であるが、入力され本システムが取得した電力消費予定情報は、前記「推奨電力消費情報」が対象とする時期となったら、「現在」の電力消費予定を示す情報に切り替わることとなる。その切り替わりタイミングは適宜設定できるが、好ましくは日が切り替わる午後24時(即ち翌日の午前0時)である。各情報の時制については、後ほど説明する
【0078】
<実施形態1 電力消費比較情報取得部(D)(0104)>
「電力消費比較情報取得部(D)」(0104)は、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得するように構成される。
【0079】
「電力消費比較情報」とは、例えば今日、本システムへ翌日の電力消費に対する電力消費予定情報を需要家が入力し本システムが前記情報を取得した場合に、実際に翌日となって実際に消費した電力と前記の電力消費予定情報を比較した情報である。デマンド時間帯ごとの消費電力量の差分が一例である。例えば、電力消費予定情報に対して、実際の電力消費が下回った場合を「+」、上回った場合を「-」とすれば、符号付の消費電力量(kW)などで表される。
【0080】
電力消費比較情報の例として他には、電力消費予定情報と、比較しようとする該当日の電力消費予定情報との比を取ることも考えられる。比を取る際に例えば、比較該当日の電力消費実績情報を、比較該当日の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報で割った値を求めるように構成することができる。前記の割り算をする例では、電力消費実績が予定を下回っている場合は電力消費比較情報の値は1未満(または100%未満)であり、逆に上回った場合は1より大きな値(または100%超)の値となる。
【0081】
<実施形態1 電力消費性向情報取得ルール保持部(E)(0105)>
「電力消費性向情報取得ルール保持部(E)」(0105)は、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持するように構成される。
【0082】
「電力消費性向」とは、例えば電力消費比較情報そのものや、または電力消費比較情報の符号(例えば、電力消費予定情報に対し消費電力量が下回っていると+、上回っていると-、等しければ0とする。逆でもよい)が変わる予測を言う。電力消費比較情報が、前記符号例で+から0に近づく、+から-になる、-から+になるなどの電力の消費性向を示す情報が電力消費性向情報である。すなわち電力消費比較情報の変化率(微分または加速度)を示す情報が電力消費性向情報であると言い換えることもできる。なお、電力消費性向情報は、必ずしもデマンド時間帯(30分間)が経過して電力消費実績情報と、電力消費予定情報との比較が可能となるまで待たずに、デマンド時間帯内で将来の電力消費実績情報を予測したうえで出力されるように構成することもできる。
【0083】
なお前記のように電力消費比較情報を、電力消費実績情報と電力消費予定情報の比として取得する場合には、両者が等しくなる1を閾値として、1以下から1を超えるような変化の予測や、逆に1を超えていたのが1以下になるような予測が電力消費性向の別例である。
【0084】
または、電力消費性向情報は、電力消費実績情報の時間(またはデマンド時間帯)に対する変化率(微分または加速度)であってもよい。前記変化率の符号が+であれば電力消費実績情報が増加傾向であることを示し、-であれば電力消費実績情報が減少方向であることを示し、0であれば電力消費実績情報の増減傾向の切り替わり点であることを示す。
【0085】
「電力消費性向情報取得ルール」の一例は、あらかじめ需要家が設定した電力消費予定の上限に対し所定の割合又は所定の量の電力消費予定に達した又は超えたことを示したり、もしくは電力消費予定の上限に達したまたは超えたことを示したりする情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである。前記上限に対し所定の割合としては例えば90%または95%といった割合が考えられる。前記量は上限に対し90%または95%に相当する量である。電力消費比較情報が、電力消費比較情報=電力消費予定情報-電力消費実績情報で定義される場合には、電力消費比較情報が+側から0に近づいていくこととなるので、初期の電力比較情報の10%又は相当する量に達したり下回ったりしたことを示す情報と言うこともできる。
【0086】
例えば、各デマンド時間帯の電力消費比較情報の値からデマンド時間帯ごとの電力消費比較情報変化を示す関数を得るルールや、前記電力消費比較情報の変化を示す関数のデマンド時間帯ごとの値の正負の符号を得るルールや、前記電力消費比較情報の変化を示す関数の微分を得るルールなどが考えられる。その他にも、例えば各デマンド時間帯の略開始時(例えばデマンド時間帯の開始時からデマンド時間帯の長さの10%以内の時間)に電力消費比較情報に基づいて、デマンド時間帯よりも短い時間毎(例:デマンド時間帯の長さの1%以下の時間毎)の消費電力量の推移または直近の過去のデマンド時間帯の電力消費実績情報の推移から、現在のデマンド時間帯内で電力消費比較情報の符号が変わると予測されるような電力消費性向情報を取得するルールも考えられる。
【0087】
他には、例えば電力消費比較情報が電力消費予定情報から電力消費実績情報を引いた差分値で定義される場合に、現デマンド時間帯内で電力消費予定情報を電力消費実績情報が下回ったままであるような(電力消費比較情報の符号が正のままである)電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報や、逆に電力消費比較情報の符号が現デマンド時間帯内で負のままである電力消費性向情報や、電力消費予定情報を超えていた電力消費実績情報が、現デマンド時間帯内で電力消費予定情報を下回るだろうと予測される電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報や、逆に現デマンド時間帯内での符号が正から負へ変化する(即ち電力消費実績情報が電力消費予定情報をデマンド時間帯内の途中で上回る)電力消費比較情報にもとづいた電力消費性向情報や、現デマンド時間帯内では電力消費予定情報を超えないが次のデマンド時間帯内では電力消費実績情報が電力消費予定情報を超えるだろうと予測されるような電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報や、現デマンド時間帯内では符号は負(電力消費実績情報>電力消費予定情報)だが次のデマンド時間帯内では符号が正(電力消費実績情報<電力消費予定情報)となると予測されるような電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報を取得するルールなどが考えられる。
【0088】
または電力消費比較情報が、電力消費比較情報=電力消費実績情報/電力消費予定情報で定義される場合には、現デマンド時間帯内で電力消費予定情報を電力消費実績情報が下回ったままであるような(電力消費比較情報が1未満)電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報や、逆に電力消費比較情報の値が現デマンド時間帯内で1を超えたままである電力消費性向情報や、電力消費予定情報を超えていた電力消費実績情報が、現デマンド時間帯内で電力消費予定情報を下回るだろうと予測される電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報や、逆に現デマンド時間帯内での値が1以上から1以下へ変化する(即ち電力消費実績情報が電力消費予定情報をデマンド時間帯内の途中で上回る)電力消費比較情報にもとづいた電力消費性向情報や、現デマンド時間帯内では電力消費予定情報を超えないが次のデマンド時間帯内では電力消費実績情報が電力消費予定情報を超えるだろうと予測されるような電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報や、現デマンド時間帯内では1を超えている(電力消費実績情報>電力消費予定情報)が次のデマンド時間帯内では1未満(電力消費実績情報<電力消費予定情報)となると予測されるような電力消費比較情報に基づいた電力消費性向情報を取得するルールなどが考えられる。
【0089】
<実施形態1 各種情報の時制の説明>
以下、各情報の時制について説明する。
<実施形態1 各種情報の時制の説明:
図14の見方の説明>
図14を用いて各情報の時制について説明する。
図14中の表には各情報の取得日が記載され、情報の種別によってさらに実施予定日や電力消費実績該当日や実際の電力消費日などが追記されている。そして各表の情報を示す欄には、デマンド時間帯ごとの各種情報が記号で示されている。各情報を表す記号一つは、一のデマンド時間帯に対する各情報を示す意図ではあるが、図のスペースの制約上、本来の48コマ/日の代わりに6個/日で表記している。
【0090】
図14の一番上の表が、推奨電力消費情報について記載している。推奨電力消費情報は丸付き数字で示され、中の数字は何日に消費される電力に対する推奨電力であるかを示す。
【0091】
上から2番目の表が電力消費実績情報について記載している。電力消費実績情報は黒四角で示され、中の数字は何日に実際に消費された電力量かを示し、黒四角の上の2桁の数字は西暦の年号の下2桁を示す。例えば黒四角の上に「22」と付いていれば2022年の対応日の電力消費実績電力を示す。
【0092】
上から3番目の表が電力消費予定情報と電力消費比較情報について記載している。電力消費予定情報は白四角で示され、中の数字は何日に消費される予定の電力であるかを表す。
【0093】
電力消費比較情報は電力消費実績情報と電力消費予定情報を比較した情報であるため、電力消費実績情報と電力消費予定情報を組み合わせた表記としている。
図14では電力消費比較情報は前記両者の比として、当日の電力消費予定情報を分母として、当日の電力消費実績情報を分子とした分数の形式を例として表示されている。
【0094】
一番下の表は電力消費性向情報について記載している。電力消費性向情報は星印で示され、中の数字は電力消費性向情報が対象とする日を示す。
【0095】
<実施形態1 各種情報の時制の説明:推奨電力消費情報>
図14の一番上の表に示すのが推奨電力消費情報である。
図14に示す例では、前日2023年2月1日に、翌日2023年2月2日の推奨電力消費情報が供給者から需要家へ送付されるといったように、前日に翌日の推奨電力消費情報が需要家に送られる。推奨電力消費情報は、将来の(未来の)電力消費に関する情報である。
【0096】
前記説明の通り、供給者から需要家へ2023年2月1日に、翌日2023年2月2日の丸一日分の推奨電力消費情報が送付される。次の日である2023年2月2日には、2023年2月1日と同様に、翌日2023年2月3日の丸一日分の推奨電力消費情報が供給者から送付される。
【0097】
<実施形態1 各種情報の時制の説明:電力消費実績情報>
図14では電力消費実績情報は上から2つ目の表に記載されている。電力消費実績情報は基本的には、現在及び現在から過去の時点での需要家のデマンド時間帯ごとの平均電力消費(デマンド値)の実績を示す情報である。後記する電力消費予定情報を需要家が入力(本システムが取得)する場合に元とするのは、電力消費予定情報を入力しようとする時点から過去の複数のデマンド時間帯の電力消費実績を示す電力消費実績情報である。
【0098】
図14の例では、2023年2月1日に翌日2023年2月2日の電力消費予定情報(将来の電力消費予定を示す情報)を入力しようとする時に、2023年2月2日分の推奨電力予定情報と、翌日の2023年2月2日の1年前である2022年2月2日に実際に消費した電力の実績を示す電力消費実績情報とに基づいて行う。1年前の該当日1日分のデマンド値実績に基づいてもよいし、過去複数年(例えば5年や10年分)の2月2日の電力消費実績の平均値(例えば、10:00-10:30のデマンド時間帯での10年のデマンド値の平均値など)又は各デマンド時間帯のデマンド値の最大値に基づいてもよい。同じ日付ではなく、例えば直前の過去である2023年1月31日から同年2月1日の24時間分の電力消費実績に基づいたり、2023年1月26日から同年2月1日の7日間の電力消費のデマンド時間帯ごとの平均又は最大値に基づいたりするように構成することもできる。
【0099】
図14に示す電力消費実績情報が2段に分かれて表記されているのは、下段の方の電力消費実績情報は、情報取得日に消費された電力の実績である電力消費実績情報を示している。下段に示す電力消費実績情報は、後記する電力消費比較情報を取得する際に使用する。
【0100】
<実施形態1 各種情報の時制の説明:電力消費予定情報>
図14では、電力消費予定情報を上から3つ目の表に示す。電力消費予定情報は、前記のように取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である。
図14では、2023年2月1日に、需要家は翌日である2023年2月2日分の推奨電力消費情報を受領し、翌日2月2日のDRに参加すると決める。そして需要家は、
図14一番上の表の2023年2月2日分の推奨電力消費情報(丸付き数字2)と、
図14の上から2番目の表の上段に記載された2023年2月2日の一年前にあたる電力実績該当日として2022年2月2日の実際の電力消費である電力消費実績情報(2022年を示す「22」を載せた黒四角付き数字)とに基づいて、2023年2月2日の一日分の電力消費予定情報(中に2と記載した白四角)を、2023年2月1日に本システムに入力する(本システムが取得する)。
【0101】
図14では、電力消費予定情報を2段に分けて記載している。上段が「当日」の電力消費予定情報を示し、下段がその情報取得日に取得した、情報取得日よりも将来(
図14では翌日)の電力消費予定情報を示す。取得日が2023年2月1日となっている当日欄の電力消費の予定を示す電力消費予定情報は、2023年2月1日の列の「当日」欄に1付き白四角で示されている(2023年2月1日の電力消費予定情報の実際の取得日は前日の2023年1月31日)。同様に2023年2月1日時点では「将来」の予定である2023年2月2日の電力消費の予定を示す電力消費予定情報は、取得した2023年2月1日列の「将来(翌日)」欄に2付き白四角で示されている。
【0102】
入力され、本システムが取得した2023年2月2日分の電力消費予定情報は、前日である2023年2月1日中は「将来」の電力消費予定情報であり、2023年2月1日には使用しない。2023年2月2日に日付が変わる2023年2月1日24時(または同年2月2日0時)に、2023年2月1日分の電力消費予定情報の代わりに、取得された2023年2月2日分の電力消費予定情報を用いるように切り替える(
図14の電力消費予定情報欄での白抜矢印)。
【0103】
電力消費予定情報は、取得時は翌日以降の未来で消費する予定の電力に関する将来の情報であるが、後記する電力消費比較情報を取得する際には電力消費予定対象日当日の電力消費予定情報を用いる。この両者を明確に区別するには、後記実施形態4で説明するように、当日の電力消費予定情報を当日電力消費予定情報とし、将来の電力消費予定情報を将来電力消費予定情報として、例えば日付が変わるタイミングなどで将来電力消費予定情報を該当する日付の当日電力消費予定情報に入れ替えるように構成するとよい。
【0104】
<実施形態1 各種情報の時制の説明:電力消費比較情報>
図14では電力消費比較情報は、情報取得日当日(例:2023年2月2日)の電力消費実績情報を、実施予定日当日(例:2023年2月2日)の電力消費予定情報で割る方法で比較している。比を取るために前記のように割る以外にも、電力消費予定情報と電力消費実績情報との差分を得る方法など比較方法を適宜選択できる。
【0105】
電力消費比較情報を、
図14の2023年2月2日を例として用いて説明する。2023年2月1日に取得された2023年2月2日の電力消費予定情報は、取得時点では「将来」の電力消費の予定を示す情報である。
図14の例では2023年2月2日へ日付が変わった2023年2月2日0:00に2023年2月2日を対象とする電力消費予定情報が「将来」の情報から「当日」の情報へ切り替わる(
図14での白抜き矢印)。2023年2月2日において、「当日」の電力消費予定情報(2付き白四角)と、2023年2月2日の電力消費実績情報(23を上に載せた2付き黒四角)とを比較(割る)して、電飾消費比較情報を取得する。比較は、電力消費実績情報と電力消費予定情報の比を取る(例:電力消費実績情報/電力消費比較情報、分子分母が逆でもよい)方法でもよいし、両者の差分を採る(例:電力消費予定情報-電力消費実績情報、逆に引いてもよい)でもよいし、他の方法でもよい。
【0106】
そのため、電力消費比較情報は現在または過去の時制である。
【0107】
<実施形態1 各種情報の時制の説明:電力消費性向情報>
図14の4つ目の表に電力消費性向情報を数字付き星印で示す。電力消費性向情報は、前記のように取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力される。現在および過去の時制の情報である電力消費比較情報に基づくことから
図14に示すように、電力消費性向情報も現在または過去の時制の情報である。
【0108】
<実施形態1 電力消費性向情報出力部(F)(0106)>
「電力消費性向情報出力部(F)」(0106)は、取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力するように構成される。
【0109】
電力消費性向情報を本システムが出力し、該当する需要家が取得すれば現在予定している電力消費量に対し、電力消費という観点で見た場合に自身の行動が妥当か認識することができる。予定している消費電力量が守れなさそうであれば、節電行動をとるなどの対策を講じることができる。また予定している消費電力量を守ることができているのであれば、現在の自身の電力消費行動は妥当であると判断することができる。
【0110】
電力消費性向情報を受信して、文字メッセージや、記号(○△×)や色(緑黄赤)の変化、または模式化した顔の表情(笑顔、無表情、泣き顔)変化などによって、適切な電力消費性向にあるのか、改善必要なのかを把握できるような受信端末を、需要家が容易に確認できる場所に設置することが好ましい。需要家が使用するPCなどの情報端末が受信してもよいが、その場合はプッシュ通信などで画面に通知を表示するとよい。なお、本システムは、需要家の管理するサーバ装置やコンピュータにて構成されていてもよいし、供給者が管理するサーバ装置内に構成され、電力消費性向情報の出力を需要家が取得して利用するように構成することもできる。また請求項1に記載した構成要件(A)から(J)は必ずしも一の装置にまとまって存在する必要はなく、分散して存在するように構成することもできる。
【0111】
例えば一部は供給者のサーバ装置に、他の一部は需要家の管理するコンピュータに存在するように構成することもできる。さらに、一部をコンピュータネットワークであるクラウド上に存在するように構成することもできる。この各構成要件の存在に関する定義は、本明細書の全体にわたって共通とする。
【0112】
<実施形態1 デマンドレスポンスシステム(0100)>
「デマンドレスポンスシステム」(0100)は、推奨電力消費情報取得部(A)(0101)と、電力消費実績情報取得部(B)(0102)と、電力消費予定情報取得部(C)(0103)と、電力消費比較情報取得部(D)(0104)と、電力消費性向情報取得ルール保持部(E)(0105)と、電力消費性向情報出力部(F)(0106)と、を有し、需要家に対しデマンドレスポンスを行い、電力消費性向情報を出力するように構成される。
【0113】
<デマンドレスポンスシステムの使用例>
図15から
図17を使用して、本発明のデマンドレスポンスシステムの使用例(下げDR)を説明する。なお本説明例には限定されない。上げDRの場合も同様の効果が得られる。
【0114】
<利用者トップ画面>
図15は、本システムの利用者が2023年1月15日に本システムにアプリやウェブブラウザなどを利用してアクセスした際の利用者トップ画面の例である。
図15では本システムに登録済みの利用者がログインした後のトップ画面の例を示す。登録前の利用者がアクセスした場合には、画面下にIDは表示されず、まず「初期登録」ボタンを押下して本システムに対し利用者識別情報または/及び利用者属性情報を登録する。その際に、後の実施形態で説明するインセンティブポイントを、電気料金の支払いに充てたり、金銭や電子マネーに変えたり、物品と交換したりといった用途の登録をしたり、前記インセンティブポイントを金銭や電子マネーなどに変えるための金融機関の口座や、電子マネーのIDなどの情報を登録するように構成することができる。
【0115】
その他のメニューボタンは、DR要請にこたえた実績に対して付与されるインセンティブポイントの付与実績を閲覧する「インセンティブポイント実績閲覧」ボタン、DR要請にこたえた時の電力実績を閲覧する「DR実績閲覧」ボタン、利用者として登録した情報を変更するための画面へ遷移する「登録内容の変更」ボタンである。初期登録を終えログインし、翌日のDR要請にこたえるべく申請する場合は「翌1月16日(月)のDR申請」ボタンを押下する。
図16の画面へ遷移する。
【0116】
<推奨電力消費情報の提示>
図16は、1月15日(日)時点の需要家に対し、翌2023年1月16日(月)のデマンドレスポンスの案内として送付された画面例である。グラフは横軸が1月16日0時から24時00分までの30分ごとのデマンド時間帯48コマを示す。横軸に記載の時刻は、各デマンド時間帯の開始時刻である(類似する
図17の横軸も同様)。縦軸は消費電力量(kW)を示す。棒グラフは需要家のここ1週間(休日なしの土曜、日曜も稼働)の電力消費実績情報の平均値を示す。実線折線グラフは、供給者が提案する推奨電力消費情報を示す。大きな両矢印で示された時間帯はデマンドレスポンス対象時間帯であり、
図16の場合は下げDRとして、推奨電力予定情報よりも需要家の実際の消費電力量が下回ることが望まれている。
【0117】
本システムは、需要家のデマンド時間帯毎の消費電力量(デマンド時間帯単位より短い時間単位、例えばデマンド時間帯の長さの10%の時間単位でもよい)を、需要家が購入し消費する電力量を計測する高圧受変電設備またはその監視装置や、スマートメータなどから、本システムの電力消費実績情報取得部(B)が取得する。取得した電力消費実績情報は、電力消費実績情報保持部を設け、時系列的に保持するように構成するとよい。取得した電力消費実績情報から、ここ一週間の該需要家の電力消費実績情報を平均した各デマンド時間帯の平均値を通常ベースラインとして算出する。通常ベースラインは、
図16では棒グラフで表示されている情報である。翌日の電力需給見込み、翌日の気象予報(気温、日照、風の見込みなどいずれか一以上)、スマートメータからの情報のいずれか一以上から翌日の推奨電力消費予定情報を本システムの推奨電力消費予定情報取得部(A)が節電ベースラインとして取得する。節電ベースラインは、
図16では実線の折れ線グラフであらわされている。
【0118】
前記のように節電ベースラインとしての推奨電力消費予定情報は、需要家に対して電力を供給する企業(供給者)が管理するサーバ装置などから取得する。供給者は需要家に電力消費実績情報(通常ベースライン)と、推奨電力消費予定情報(節電ベースライン)と、DR要請時間帯の情報を
図16のように提供し、需要家からの電力消費予定情報を、推奨電力消費予定情報と電力消費実績情報に基づいて、本システムの電力消費予定情報取得部(C)が取得する(電力消費予定情報取得部(C)の説明は
図17を例として、後記する)。なお、電力消費実績情報は、供給者のサーバ装置から取得する場合のほか需要家が管理するサーバやコンピュータ内から取得するように構成することもできる。
【0119】
なお、通常ベースラインを取得せずに、取得した過去の電力消費実績情報などに基づいて、直接推奨電力消費情報(節電ベースライン)を取得するように構成することができる。処理を簡略化できる。通常ベースラインを取得しない場合の
図16は、棒グラフとして節電ベースライン(推奨電力消費情報)を示し、初期状態として電力消費予定情報を示す折れ線グラフを棒グラフの先端を結ぶように表示し、需要家に折れ線グラフをドラッグして調整させて設定入力するように構成する。
【0120】
棒グラフで示される、需要家の電力消費実績情報は過去1週間の平均とする代わりに、例えば過去10年間の1月16日の電力消費実績情報の平均又は最大値や、入力しようとする1月15日の前日である1月14日の電力消費実績情報そのものを表示してもよい。または過去の電力消費実績情報の平均値やその物の価ではなく、下げDRを望む時間帯の実績に対して所定比率倍や所定電力量を減じるなどの処理をした処理済実績情報を表示してもよい。
【0121】
実線折線グラフであらわされる推奨電力消費予定情報は、供給者が高圧受変電設備又はその監視装置や、スマートメータから取得し保持していた該需要家の過去の電力消費実績情報と、需要家の所在する地域での1月16日の電力需給状況と、気象予報(天気、気温、風向風速など)と、他の需要家の電力消費実績情報とデマンドレスポンスに応じた際の実績値などに基づいて、供給者が該需要家に望む推奨電力消費予定として算出した情報である。供給者都合で電力需要を調整したい場合には、その調整代を加味してもよい。
【0122】
需要家は、供給者からDRの案内を受けて
図16のような画面を閲覧する。1月16日のDR要請時間帯は8:00-11:00と13:00-17:00である。どちらかの時間帯または両方のDRに参加する場合は、需要家は右上の「参加する」ボタンを押下する。
【0123】
<電力消費予定情報の取得>
図17は、
図16の画面で、需要家が「参加する」ボタンを押下したあとに、電力消費予定情報を入力する画面である。1月16日の電力消費予定情報が点線の折れ線グラフで表示されている。初期状態としては棒グラフの上端に点線折れ線グラフが位置し、それをマウス等でドラッグしてデマンド時間帯ごとに上げ下げ調整する。例えば
図17では、10:30-11:00のデマンド時間帯の棒グラフは100kWを示すが、その先端に位置していた点線折れ線グラフをマウスポインタでドラッグして80kWへ引き下げている。電力消費予定情報の入力設定が完了すれば画面右下の「設定完了」ボタンを押下する。設定をやり直す場合は「やり直す」ボタンを押すと、
図16の画面にて「参加する」ボタンを押下した直後の、電力消費予定情報入力設定の初期状態に戻る。「戻る」ボタンは参加すること自体を取りやめる場合に押すボタンである。
【0124】
供給者は需要家に電力消費実績情報(通常ベースライン)と、推奨電力消費予定情報(節電ベースライン)と、DR要請時間帯の情報を
図16のように提供し、需要家からの電力消費予定情報を、推奨電力消費予定情報と電力消費実績情報に基づいて、本システムの電力消費予定情報取得部(C)が取得する。
【0125】
<電力消費性向情報の出力>
「設定完了」を押下すると、例えば本システムに入力された1月16日の電力消費予定情報と、1月16日に取得する実際に各デマンド時間帯に消費する消費電力量とを比較した電力消費比較情報と、電力消費性向情報取得ルールに基づいて、需要家の電力消費性向情報を需要家のPCへ出力する。出力される電力消費性向情報は数字などのデータや、各デマンド時間帯のデータを示すグラフ、色や、模式化した顔や、優/良/可などの文字などとすることができる。
【0126】
取得した電力消費予定情報と、1月16日に電力消費実績情報取得部(B)が取得した需要家が実際に消費した電力消費(1月16日の電力消費実績情報)を比較した情報である電力消費比較情報を本システムの電力消費比較情報取得部(D)が取得する。取得した電力消費比較情報と、電力消費性向情報取得ルール保持部(E)に保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報が出力される。
【0127】
電力消費予定情報を取得せずに、取得した推奨電力消費情報と、予定当日に実際に取得した電力消費実績情報とに基づいて、電力消費性向情報を取得する電力消費性向情報ルールを保持するように構成してもよい。その場合、電力消費性向情報出力部(F)は、取得した推奨電力消費情報と、予定当日に実際に取得した電力消費実績情報と、電力消費性向情報ルールとに基づいて、電力消費性向情報を出力するように構成する。
【0128】
<実施形態1 処理の流れ>
図2は、実施形態1のデマンドレスポンスシステムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態1のデマンドレスポンスシステムでは、推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S0201)と、電力消費実績情報取得ステップ(b)(S0202)と、電力消費予定情報取得ステップ(c)(S0203)と、電力消費比較情報取得ステップ(d)(S0204)と、電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S0205)と、電力消費性向情報出力ステップ(f)(S0206)と、を有する。
【0129】
ここで計算機であるデマンドレスポンスシステムの動作方法は、
推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S0201)は、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する処理を行い、
電力消費実績情報取得ステップ(b)(S0202)は、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する処理を行い、
電力消費予定情報取得ステップ(c)(S0203)は、取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する処理を行い、
電力消費比較情報取得ステップ(d)(S0204)は、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する処理を行い、
電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S0205)は、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する処理を行い、
電力消費性向情報出力ステップ(f)(S0206)は、得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機であるデマンドレスポンスシステムに実行させる動作方法である。
【0130】
<実施形態1 ハードウェア構成の説明>
本実施形態1のデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成について、
図3を用いて説明する。
【0131】
図3は、本実施形態1におけるデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施例における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「グラフィックカード」、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお不揮発性メモリには、前記説明のようにフラッシュメモリやHDDが含まれる。
【0132】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0133】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施形態1において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、推奨電力消費情報取得プログラム(a)と、電力消費実績情報取得プログラム(b)と、電力消費予定情報取得プログラム(c)と、電力消費比較情報取得プログラム(d)と、電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)と、電力消費性向情報出力プログラム(f)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、電力消費予定情報と、電力消費比較情報と、電力消費性向情報取得ルールと、電力消費性向情報などが格納されている。
【0134】
「CPU」は、以下の処理を行う。
「メインメモリ」に格納されている推奨電力消費情報取得プログラム(a)を実行して、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費実績情報取得プログラム(b)を実行して、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費予定情報取得プログラム(c)を実行して「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し需要家から、取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する。
そして、「メインメモリ」に格納されている電力消費比較情報取得プログラム(d)を実行して、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)を実行し、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報出力プログラム(f)を実行して、取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する。
【0135】
<実施形態1の効果>
本実施形態のデマンドレスポンスシステムによって、消費電力量削減の目標となる推奨電力消費情報を需要家へ提示する。そして需要家自身に消費電力量目標である電力消費予定情報を入力させ、前記電力消費予定情報と実際の電力消費とを比較した電力比較情報と電力消費性向取得ルールに基づいて、電力消費性向を出力するデマンドレスポンスシステムを提供する。需要家自身に消費電力量の目標を入力させることで、消費電力量削減とデマンドレスポンスの意識を持たせることができる。また電力消費性向情報を出力することでデマンドレスポンスが達成できるかどうかを知らしめ、達成できなさそうであれば、達成に向けての対策行動を需要家へ促す動機付けとすることができる。
【0136】
<実施形態2 概要>主に請求項2、6、10
実施形態1を基礎とする実施形態2のデマンドレスポンスシステムは、本システムに登録した需要家に登録インセンティブを付与するための処理をするように構成される。
【0137】
<実施形態2 機能的構成>
図4に実施形態1を基礎とする実施形態2のデマンドレスポンスシステムの機能ブロック図を示す。実施形態2のデマンドレスポンスシステム(0400)は実施形態1の構成に加えて、さらに需要家情報保持部(G)(0407)と、登録部(H)(0408)と、登録インセンティブ処理部(J)(0409)と、を有する。
【0138】
<実施形態2 構成の説明>
<実施形態2 需要家情報保持部(G)(0407)>
「需要家情報保持部(G)」(0407)は、需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けて需要家の属性情報を保持するように構成される。
【0139】
「需要家識別情報」とは、需要家を識別する情報であり、単なる文字列や記号による顧客管理番号などでもよいし、需要家自身の氏名や屋号や商号や住所や電話番号やメールアドレスなどでもよい。本システムが需要家に対して割り振った会員番号または顧客管理番号のような文字や数字や記号などからなる文字列であってもよい。
【0140】
「属性情報」とは、需要家の氏名や屋号や商号や企業名や、住所や建物名や、電力契約容量や電力契約プランや、設置されている高圧受変電設備やその監視装置やスマートメータや、契約期間など需要家の属性を示す情報である。過去の契約更改の履歴や、過去の最大デマンド値(デマンド時間帯における消費電力量の最大値)の履歴や、電力消費実績情報などが含まれていてもよい。需要家の属性を示す属性情報は需要家識別情報と関連付けられて需要家情報として需要家情報保持部(G)に保持される。
<実施形態2 登録部(H)(0408)>
「登録部(H)」(0408)は、需要家情報保持部(G)(0407)に需要家を識別する需要家識別情報と関連付けてその需要家の属性情報を登録するように構成される。
【0141】
「登録」とは、本システムに需要家識別情報と関連付けて、需要家の属性を示す属性情報を入力することである。登録(入力)された属性情報は前記の需要家情報保持部(G)に保持される。
<実施形態2 登録インセンティブ処理部(J)(0409)>
「登録インセンティブ処理部(J)」(0409)は、登録部(H)(0408)にて登録がされた際に、その需要家に対してインセンティブを付与するための処理をするように構成される。
【0142】
「登録インセンティブ」とは、例えば本システムに需要家が登録したことや、DRが行われるときに参加登録したことに対して支払われる報酬である。金銭(電子マネーも含む)や物品(電子データやNFTデータなども含む)または、クーポン(例:本システムの利用料金の割引、電気料金の基本料金の割引、デマンド時間帯ごとの電気料金の割引、提携する別企業の物品やサービスに対するクーポンなど)や、電気料金の支払いへの充当などがインセンティブの例として考えられる。デマンドレスポンスに参加するための登録に対して支払われるため、所定の一定額(下げDR時の節約した電力消費量や上げDR時の消費タイミングをシフトさせた電力消費量によらず)とすることが好ましい。ただし、需要家が供給者とかわしている電力購入契約の基本料金(過去1年の最大デマンド値に応じて定まる料金)に応じて、登録インセンティブの大小を調整してもよい。最大デマンド値の高い需要家程、登録インセンティブが大きくなる、などである。
【0143】
「登録インセンティブの付与」の例を、
図18を用いて説明する。
図18は、需要家が本システムを利用するために登録し、実際に供給者からのデマンドレスポンス(DR)要請を受けて(推奨電力消費情報を介しての間接的要請も含む)、所定の週(
図18では1週)の日曜日から木曜日まで参加した様子を示している。2週、3週及びそれ以降も1週同様にDRに参加しているが、
図18では記載を省略している。
【0144】
「登録インセンティブの付与」は、需要家が本システムを利用するために登録した時(
図18中の(ア)の時点)や、DRに参加した週について1回/週(
図18での(イ)の時点。週初めに記載しているが、週中でもよく、週の終わりの時点でもよい)や、DRに参加した日ごと(
図18の(ウ)の時点。実際にDRに参加し電力消費を調整する日(その日に日付が変わった時点または、その日の翌日に日付けが変わる時点)の種類のタイミングのいずれか一以上で付与されるように構成できる。または、将来の電力消費予定情報を需要家が入力した時点(例えば月曜日の電力消費予定情報を入力した前日の日曜日)でもよい)のタイミングで付与されるように構成してもよい。(ア)(イ)(ウ)のうち複数の登録インセンティブを併用して付与する場合、(ア)(イ)(ウ)が同額ではなく、別額とするように構成することもできる。例えば本システムの利用登録(ア)での登録インセンティブを一番大きくするなどである。
【0145】
「付与するための処理」とは、付与する処理のほかに、例えば付与するために金融機関へ振込等を依頼する処理(電子マネーでもよい)や、付与を国等他の機関団体が行う場合には該機関団体へ付与を依頼する処理などを含む。本システムが、登録時に、本システムや他のショッピングサイトなど使用できる電子マネーに交換可能なポイントを登録ポイントとして付与する処理を行ってもよい。
【0146】
<実施形態2 処理の流れ>
図6は、実施形態1を基礎とする実施形態2のデマンドレスポンスシステムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態2のデマンドレスポンスシステムでは、登録ステップ(h)(S0601)と、需要家情報保持ステップ(g)(S0602)と、登録インセンティブ付与ステップ(j)(S0603)と、推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S0604)と、電力消費実績情報取得ステップ(b)(S0605)と、電力消費予定情報取得ステップ(c)(S0606)と、電力消費比較情報取得ステップ(d)(S0607)と、電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S0608)と、電力消費性向情報出力ステップ(f)(S0609)と、を有する。
【0147】
ここで計算機であるデマンドレスポンスシステムの動作方法は、
登録ステップ(h)(S0601)は、需要家情報保持部(G)に需要家を識別する需要家識別情報と関連付けてその需要家の属性情報を登録する処理を行い、
需要家情報保持ステップ(g)(S0602)は、需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けて需要家の属性情報を保持する処理を行い、
登録インセンティブ付与ステップ(j)(S0603)は、登録ステップ(h)(S0602)にて登録がされた際に、その需要家に対してインセンティブを付与するための処理をする処理を行い、
推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S0604)は、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する処理を行い、
電力消費実績情報取得ステップ(b)(S0605)は、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する処理を行い、
電力消費予定情報取得ステップ(c)(S0606)は、取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する処理を行い、
電力消費比較情報取得ステップ(d)(S0607)は、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する処理を行い、
電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S0608)は、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する処理を行い、
電力消費性向情報出力ステップ(f)(S0609)は、得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機であるデマンドレスポンスシステムに実行させる動作方法である。
【0148】
<実施形態2 ハードウェア構成の説明>
実施形態1を基礎とする本実施形態2のデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成について、
図6を用いて説明する。
【0149】
図6は、実施形態1を基礎とする実施形態2のデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施例における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「グラフィックカード」、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお不揮発性メモリには、前記説明のようにフラッシュメモリやHDDが含まれる。
【0150】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0151】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
【0152】
本実施例において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、推奨電力消費情報取得プログラム(a)と、電力消費実績情報取得プログラム(b)と、電力消費予定情報取得プログラム(c)と、電力消費比較情報取得プログラム(d)と、電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)と、電力消費性向情報出力プログラム(f)と、さらに需要家情報保持プログラム(g)と、登録プログラム(h)と、登録インセンティブ処理プログラム(j)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、電力消費予定情報と、電力消費比較情報と、電力消費性向情報取得ルールと、電力消費性向情報と、さらに需要家識別情報と、属性情報などが格納されている。
【0153】
「CPU」は、以下の処理を行う。
「メインメモリ」に格納されている登録プログラム(h)を実行して「I/Oコントローラ」を介してキーボードなどから入力された需要家を識別する需要家識別情報と関連付けてその需要家の属性情報を登録する。
「メインメモリ」に格納された需要家情報保持プログラム(g)を実行して登録された需要家を識別する情報である需要家識別情報に関連付けて需要家の属性情報を保持する。
登録がなされた際に「メインメモリ」に格納された登録インセンティブ処理プログラム(j)を実行してその需要家に対してインセンティブを付与するための処理を行う。
そして「メインメモリ」に格納されている推奨電力消費情報取得プログラム(a)を実行して、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費実績情報取得プログラム(b)を実行して、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費予定情報取得プログラム(c)を実行して「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し需要家から取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費比較情報取得プログラム(d)を実行して、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)を実行し、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報出力プログラム(f)を実行して、取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する。
【0154】
本実施形態のデマンドレスポンスシステムは、登録時にインセンティブを付与するための処理を行うことで、本システムを利用していない需要家に対し登録しようという動機づけを与えることができる。登録した本システムを利用させることでデマンドレスポンスを需要家に行わせる動機づけを与えることができる。
【0155】
<実施形態3 概要>主に請求項3、7、11
実施形態1または2のいずれか一を基礎とする実施形態3のデマンドレスポンスシステムは、出力された電力消費性向情報と、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報のいずれか一以上と、保持されている付与ルールに基づいてランニングインセンティブを付与するための処理を行うように構成される。
【0156】
<実施形態3 機能的構成>
図7に実施形態1を基礎とする実施形態3のデマンドレスポンスシステムの機能ブロック図を示す。実施形態3のデマンドレスポンスシステム(0700)は実施形態1の構成に加え、付与ルール保持部(K)(0710)と、ランニングインセンティブ処理部(L)(0711)と、を有する。なお実施形態2を基礎としても同様の効果が得られる。
【0157】
<実施形態3 構成の説明>
<実施形態3 付与ルール保持部(K)(0710)>
「付与ルール保持部(K)」(0710)は、出力された電力消費性向情報と、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報のいずれか一以上に基づいたインセンティブであるランニングインセンティブを付与するか判断するためのルールである付与ルールを保持するように構成される。
【0158】
「ランニングインセンティブ」とは、登録時以外に本システムを使用する需要家に対して、電力消費性向情報と、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、のいずれか一以上に基づいて付与されるインセンティブである。
図18を用いてランニングインセンティブについて説明する。供給者からのデマンドレスポンス要請は実施形態1で
図15から
図17を用いて説明したように、直接的に時間帯が需要家へ送付される場合又は/及び需要家へ送付される推奨電力消費情報に間接的に表現される場合がある。日毎のランニングインセンティブは、
図18の(ウ)のタイミングで付与される。細かくは、DR該当日が終了し翌日へ日付が変わるタイミングで付与される場合や、後記するランニングインセンティブを付与するための処理に必要な期間分後ろ倒し(例:翌日や翌々日や、翌週など)で付与される場合などが考えられる。
【0159】
「付与ルール」の例としては、本システムを利用する需要家が、電力消費量を下げた方がよいデマンド時間帯に、予定通りまたは予定以上に電力消費量を下げられた場合に付与されるルールである(下げDRの例)。その下げられたことに対して一律のランニングインセンティブを付与するルールでもよいし、下げられた量に応じたランニングインセンティブを付与するルールでもよい。下げた量の基準は電力消費性向情報(電力消費予定情報)、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上を使用してもよい。需要家のモチベーションを高めるためには下げた量に応じてインセンティブ量を増減させるルールの方が望ましい。
【0160】
予定通り下げられずに逆に増えてしまった場合には、達成しなかったとして単に該当デマンド時間帯に対しランニングインセンティブを付与しないルールでもよいし、ペナルティとして超過分相当を需要家から徴収するルールでもよいし、ペナルティとして超過分相当を他のデマンド時間帯で達成し付与されるはずのランニングインセンティブと相殺とするルールとしてもよい。また電力消費性向情報に基づいて、消費電力量が電力消費予定情報の示す消費電力量に接近することなく安定的に推移していたならば、より高いランニングインセンティブを付与するルールとすることもできる。安定的に推移しない需要家よりも、消費電力量のコントロールが上手な需要家だからである。
【0161】
または逆に一日の中で電力消費ピークをずらすために、電力消費を増やした方がよいデマンド時間帯に、電力消費性向情報(電力消費予定情報)、推奨電力消費情報、電力消費予定情報のいずれか一以上を基準として電力消費量を増やせた場合にもランニングインセンティブを付与するルールも考えられる(上げDRの例)。上げDRの例の場合は、その上げられた消費電力量に対して一律のランニングインセンティブを付与するルールでもよいし、上げられた消費電力量に応じたランニングインセンティブを付与するルールでもよい。上げた消費電力量の基準は電力消費性向情報(電力消費予定情報)、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上を使用してもよい。需要家のモチベーションを高めるためには上げた消費電力量に応じてインセンティブ量を増減させるルールの方が望ましい。
【0162】
予定通り上げられずに逆に減ってしまった場合には、達成しなかったとして単に該当デマンド時間帯に対しランニングインセンティブを付与しないルールでもよいし、ペナルティとして未達分相当を需要家から徴収するルールでもよいし、ペナルティとして未達分相当を他のデマンド時間帯で達成し付与されるはずのランニングインセンティブと相殺とするルールとしてもよい。
【0163】
<実施形態3 ランニングインセンティブ処理部(L)(0711)>
「ランニングインセンティブ処理部(L)」(0711)は、出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と保持されている付与ルールとに基づいてランニングインセンティブの付与をするための処理をするように構成される。
【0164】
「付与をするための処理」とは、登録インセンティブ処理部の説明と同様に、付与する処理のほかに、例えば付与するために金融機関へ振込等を依頼する処理(電子マネーでもよい)や、付与を国等他の機関団体が行う場合には該機関団体へ付与を依頼する処理などを含む。本システムが、登録時に、本システムや他のショッピングサイトなど使用できる電子マネーに交換可能なポイントを登録ポイントとして付与する処理を行ってもよい。
【0165】
付与されるランニングインセンティブは、類似するような需要家(事業規模、業種、所在地、電力消費実績など)のランニングインセンティブを比較できるように、サイト上などに公開されたり、順位付けされたりすると一層需要家の励みとすることができる。
【0166】
<ランニングインセンティブの付与例>
図19と
図20を用いて、推奨電力消費情報を基準とした下げDRにおけるランニングインセンティブ付与の例を説明する。
図19は、
図16でDRを案内された需要家が、
図17に示すような電力消費予定情報を設定入力し、実際に設定対象である1月16日当日に消費した電力消費実績情報を白抜き棒グラフで示した図である。
図20は
図19のグラフの基となる数値を示した表である。
図20の表は左列から順に、デマンド開始時間(デマンド時間帯の開始時刻)、推奨電力消費(推奨電力消費情報)、電力消費予定(電力消費予定情報)、電力消費実績(1月16日の電力消費実績情報)、推奨-予定(推奨電力消費情報-電力消費予定情報:電力消費比較情報(一例))を記載している。表右下欄外の92.97kWは、後記するDR要請時間帯に電力消費予定情報が推奨電力消費情報以下だった電力量の合計を示している。
【0167】
図19中の実線折線グラフは推奨電力消費情報を示し、点線折線グラフは需要家が前日の1月15日に設定入力した1月16日の電力消費予定情報を示す。1月16日の例えば10:30-11:00のデマンド時間帯では推奨電力消費情報92kWに対し電力消費予定情報を80kWとしていたが、節電に励んだ効果があり、電力消費実績情報は76.8kWだった。推奨電力消費情報と電力消費実績情報との差分は、15.2kWである。
【0168】
8:00―8:30と8:30-9:00の2つのデマンド時間帯で電力消費実績情報が推奨電力消費情報を超過している。もともと超過する見込みの電力消費予定情報が設定入力されていた時間帯ではあるが、付与ルールの例として下げDR要請時間帯において推奨電力消費情報を電力消費実績情報が超過した場合には例として単に該当時間帯へランニングインセンティブを付与せずに、下げDR要請時間帯において推奨電力消費情報を電力消費実績情報が下回った場合には下回った消費電力量1kW当たり1ポイントを付与する(1kW未満四捨五入)ルールとして説明する。
【0169】
図19、
図20に示すように、1月16日は午前8:00-11:00と午後13:00-17:00に2つの下げDR要請時間帯がある。この例の需要家の1月16日の達成状況はDR要請時間帯で、電力消費予定情報が推奨電力消費情報以下となった消費電力量の合計は92.97kW(
図20表右下外参照)だった。そのため93ポイントのランニングインセンティブポイントが付与される。ちなみにこの例の需要家は1月16日付与分の93ポイントを含め、トータルで2070ポイントを付与されている。
【0170】
ランニングインセンティブとして供給者から付与されたポイントは、需要家が供給者へ支払う電力料金の一部として1ポイント=1円換算などで使用することができるように構成することもできる。また1ポイント=1円相当などの電子マネーに変換するために、電子マネー業者へ電子マネーとして付与するように依頼する処理を行うように構成することもできる。またランニングインセンティブ付与の仕方については、前記のように供給者が適宜設定できる。なお上記例は下げDR時のランニングインセンティブ付与の例であるが、上げDR時のランニングインセンティブ付与に対しても本発明は同様の効果が得られる。電力消費性向情報(電力消費予定情報)または電力消費実績情報に基づいてランニングインセンティブを付与するように構成することもでき、同様の効果が得られる。
【0171】
ランニングインセンティブポイントは、例えば電気料金の算定基準期間と同じ期間(例:1か月)で集計し付与するようにしてもよいし、特に電力の需要に対し供給がひっ迫しやすい夏季や冬季のシーズンごとに集計し付与してもよいし、1年ごとに集計し付与するようにしてもよい。
【0172】
図21は、
図15に示す本システムを利用する際の利用者トップ画面にあったメニューボタン「インセンティブポイント実績閲覧」を押下した際に遷移するインセンティブポイント実績閲覧画面である。遷移先(
図21)は、閲覧しようとした当日である2023年1月17日を含む2023年1月に付与されたインセンティブポイント一覧を示す画面である。なお、実績を閲覧する場合に年月を選択する画面を経由するように構成してもよい。
図21では2023年1月の各日のランニングインセンティブポイントの付与実績と、下げDRの要請に応えて各日の電力消費予定情報が推奨電力消費情報以下となった消費電力量を示す。1月1日から3日までは年始休みでDRに参加していないため各日の実績欄は「-」が表記される。同様にまだ1日の消費電力量が確定していない閲覧日である1月17日と、まだエントリーしていない閲覧日より未来の1月18日から31日も実績欄は「-」が表記されている。
【0173】
下げDR要請にこたえた1月4日から16日までのポイント付与実績は
図21の右上に示すように914ポイントである。1月以前に付与された分を含めて、1月16日までのトータル付与ポイントは2070ポイントである。このポイントについてはランニングポイントだけではなく登録ポイントなども含めてもよい。また上記実施形態の例として下げDRで説明したが上げDRでも同様であり、下げDRと上げDRが同じ1日内に設定されていたり、同じ月内(またはシーズンや年といった所定期間内)で下げDRと上げDRが混在したりしてもよい。
【0174】
<実施形態3 処理の流れ>
図8は、実施形態1を基礎とする実施形態3のデマンドレスポンスシステムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態3のデマンドレスポンスシステムでは、付与ルール保持ステップ(k)(S0801)と、推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S0802)と、電力消費実績情報取得ステップ(b)(S0803)と、電力消費予定情報取得ステップ(c)(S0804)と、電力消費比較情報取得ステップ(d)(S0805)と、電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S0806)と、電力消費性向情報出力ステップ(f)(S0807)と、ランニングインセンティブ処理ステップ(l)(S0808)と、を有する。なお実施形態2を基礎としても同様の効果が得られる。
【0175】
ここで計算機であるデマンドレスポンスシステムの動作方法は、
付与ルール保持ステップ(k)(S0801)は、出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上に基づいたインセンティブであるランニングインセンティブを付与するか判断するためのルールである付与ルールを保持する処理を行い、
推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S0802)は、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する処理を行い、
電力消費実績情報取得ステップ(b)(S0803)は、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する処理を行い、
電力消費予定情報取得ステップ(c)(S0804)は、取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する処理を行い、
電力消費比較情報取得ステップ(d)(S0805)は、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する処理を行い、
電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S0806)は、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する処理を行い、
電力消費性向情報出力ステップ(f)(S0807)は、得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する処理を行い、
ランニングインセンティブ処理ステップ(l)(S0808)は、出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と保持されている付与ルールとに基づいてランニングインセンティブの付与をするための処理を行う。
このような一連の処理を計算機であるデマンドレスポンスシステムに実行させる動作方法である。
【0176】
<実施形態3 ハードウェア構成の説明>
実施形態1または実施形態2を基礎とする本実施形態3のデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成について、
図9を用いて説明する。
【0177】
図9は、実施形態1を基礎とする実施形態3のデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施例における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「グラフィックカード」、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお不揮発性メモリには、前記説明のようにフラッシュメモリやHDDが含まれる。なお実施形態2を用いても同様の効果が得られる。
【0178】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0179】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施例において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、推奨電力消費情報取得プログラム(a)と、電力消費実績情報取得プログラム(b)と、電力消費予定情報取得プログラム(c)と、電力消費比較情報取得プログラム(d)と、電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)と、電力消費性向情報出力プログラム(f)と、さらに付与ルール保持プログラム(k)と、ランニングインセンティブ処理プログラム(l)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、電力消費予定情報と、電力消費比較情報と、電力消費性向情報取得ルールと、電力消費性向情報と、さらに付与ルールなどが格納されている。
【0180】
「CPU」は、以下の処理を行う。
「メインメモリ」に格納されている付与ルール保持プログラム(k)を起動して、出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上に基づいたインセンティブであるランニングインセンティブを付与するか判断するためのルールである付与ルールを保持する。
「メインメモリ」に格納されている推奨電力消費情報取得プログラム(a)を実行して、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費実績情報取得プログラム(b)を実行して、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費予定情報取得プログラム(c)を実行して「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し需要家から取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費比較情報取得プログラム(d)を実行して、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)を実行し、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報出力プログラム(f)を実行して、取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する。
そして「メインメモリ」に格納されたランニングインセンティブ処理プログラム(l)を実行して出力された電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と、保持されている付与ルールとに基づいてランニングインセンティブの付与をするための処理を行う。
【0181】
本実施形態のデマンドレスポンスシステムは、電力消費性向情報、推奨電力消費情報、電力消費実績情報のいずれか一以上と付与ルールとに基づいてランニングインセンティブを需要家に付与するための処理を行うことにより、本システムを使用してデマンドレスポンスに継続参加していこうというモチベーション維持、向上を需要家に対して行うことができる。
【0182】
<実施形態4 概要>主に請求項4、8、12
実施形態1から3のいずれか一を基礎とする実施形態4のデマンドレスポンスシステムは、取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持し、日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として記録するように構成される。
【0183】
<実施形態4 機能的構成>
図10に実施形態1を基礎とする実施形態4のデマンドレスポンスシステムの機能ブロック図を示す。実施形態4のデマンドレスポンスシステム(1000)は実施形態1の構成に加えて、当日電力消費予定情報保持部(M)(1012)と、将来電力消費予定情報保持部(N)(1013)と、当日電力消費予定情報記録部(O)(1014)と、を有する。なお実施形態2または3のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0184】
<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 当日電力消費予定情報保持部(M)(1012)>
「当日電力消費予定情報保持部(M)」(1012)は、需要家の当日の電力消費予定情報である当日電力消費予定情報を保持するように構成される。
【0185】
「当日」とは、需要家が本システムへ電力消費予定情報を入力する日である。
<実施形態4 将来電力消費予定情報保持部(N)(1013)>
「将来電力消費予定情報保持部(N)」(1013)は、取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持するように構成される。
【0186】
「将来」とは、電力消費予定情報を入力した日に対し、翌日以降の未来である。そのため、将来電力消費予定情報は、適用される日付を示す情報である適用日付情報と関連付けて保持されることが好ましい。
<実施形態4 当日電力消費予定情報記録部(O)(1014)>
「当日電力消費予定情報記録部(O)」(1014)は、日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報保持部(M)に記録するように構成される。
【0187】
「日付が変わるタイミング」とは、将来電力消費予定情報が適用されるべき日付に変わるタイミングである。適用されるべき日付の前日23時59分から翌日の0時0分に変わるタイミングで、将来電力消費予定情報が当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報保持部(M)に記録される。
【0188】
図14の例を用いて説明すると、2023年2月1日の時点で需要家が入力し本システムが取得した電力消費予定情報は、入力当日の2月1日の23時59分までは将来電力消費予定情報として将来電力消費予定情報保持部(N)に保持される。翌日である2023年2月2日の0:00に変わる時点で、2023年2月1日23:59までは将来消費する予定の電力を示す情報であった2023年2月2日分の将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報へ切り替えて、当日電力消費予定情報記録部(O)が当日電力消費予定情報保持部(M)へ記録することとなる。当日電力消費予定情報は、2023年2月2日の電力消費比較情報や電力消費性向情報を取得するために用いられる。同様に、2023年2月2日に翌日である2023年2月3日の電力消費予定情報を需要家が入力(本システムが取得)した時は、将来電力消費予定情報として将来電力消費予定情報保持部(N)に保持され、2023年2月3日0:00に当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報記録部(O)が当日電力消費予定情報保持部(M)に記録する。
【0189】
翌日以降の将来の電力消費予定情報をすぐに当日の電力消費予定情報として記録保持しないのは、当日の電力消費予定情報が上書きされて更新されてしまい、当日の電力消費比較情報や電力消費性向情報の取得する際に、当日ではない将来の電力消費予定情報を用いてが不適切に行うことを防止するためである。
【0190】
<実施形態4 処理の流れ>
図11は、実施形態1を基礎とする実施形態4のデマンドレスポンスシステムの動作方法のフローチャートである。この図で示すように実施形態4のデマンドレスポンスシステムでは、推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S1101)と、電力消費実績情報取得ステップ(b)(S1102)と、電力消費予定情報取得ステップ(c)(S1103)と、将来電力消費予定情報保持ステップ(n)(S1104)と、当日電力消費予定情報記録ステップ(o)(S1105)と、当日電力消費予定情報保持ステップ(m)(S1106)と、電力消費比較情報取得ステップ(d)(S1107)と、電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S1108)と、電力消費性向情報出力ステップ(f)(S1109)と、を有する。なお実施形態2または3のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0191】
ここで計算機であるデマンドレスポンスシステムの動作方法は、
推奨電力消費情報取得ステップ(a)(S1101)は、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する処理を行い、
電力消費実績情報取得ステップ(b)(S1102)は、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する処理を行い、
電力消費予定情報取得ステップ(c)(S1103)は、取得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する処理を行い、
将来電力消費予定情報保持ステップ(n)(S1104)は、取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持する処理を行い、
当日電力消費予定情報記録ステップ(o)(S1105)は、日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として当日電力消費予定情報保持ステップ(m)(S1106)に記録する処理を行い、
当日電力消費予定情報保持ステップ(m)(S1106)は、需要家の当日の電力消費予定情報である当日電力消費予定情報を保持する処理を行い、
電力消費比較情報取得ステップ(d)(S1107)は、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する処理を行い、
電力消費性向情報取得ルール保持ステップ(e)(S1108)は、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する処理を行い、
電力消費性向情報出力ステップ(f)(S1109)は、得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する処理を行う。
このような一連の処理を計算機であるデマンドレスポンスシステムに実行させる動作方法である。
【0192】
<実施形態4 ハードウェア構成の説明>
実施形態1から実施形態3のいずれか一を基礎とする本実施形態4のデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成について、
図12を用いて説明する。
【0193】
図12は、実施形態1を基礎とする実施形態4のデマンドレスポンスシステムのハードウェア構成を示す図である。この図にあるように、本実施例における高圧受変電設備異常時対応システムは、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、「チップセット」と、「グラフィックカード」、「メインメモリ」と、各種プログラムやデータ(情報)を保持する「不揮発性メモリ」や、「I/Oコントローラ」、「USB、SATA、LAN端子、etc」、「BIOS(UEFI)」、「PCI Expressスロット」、「リアルタイムクロック」を備えている。そして、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。なお不揮発性メモリには、前記説明のようにフラッシュメモリやHDDが含まれる。なお実施形態2又は3のいずれか一を基礎としても同様の効果が得られる。
【0194】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0195】
本システムの起動により、「メインメモリ」には、「不揮発性メモリ」に蓄積されている各種プログラム、データ(情報)が読み出されて展開され格納されると同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。実行命令を受け付けることで「CPU」によって順次プログラムがデータを利用した演算をおこなう。なお、この「メインメモリ」や「不揮発性メモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
本実施例において「メインメモリ」に格納されているプログラムは、推奨電力消費情報取得プログラム(a)と、電力消費実績情報取得プログラム(b)と、電力消費予定情報取得プログラム(c)と、電力消費比較情報取得プログラム(d)と、電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)と、電力消費性向情報出力プログラム(f)と、さらに当日電力消費予定情報保持プログラム(m)と、将来電力消費予定情報保持プログラム(n)と、当日電力消費予定情報記録プログラム(o)である。また、「メインメモリ」と「不揮発性メモリ」には、推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、電力消費予定情報と、電力消費比較情報と、電力消費性向情報取得ルールと、電力消費性向情報と、さらに当日電力消費予定情報と、将来電力消費予定情報などが格納されている。
【0196】
「CPU」は、以下の処理を行う。
「メインメモリ」に格納されている推奨電力消費情報取得プログラム(a)を実行して、電力の需給予測などに基づいて各電力需要家(以下単に「需要家」という。)ごとに、各デマンド時間帯内での推奨消費電力量を示す情報である推奨電力消費情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費実績情報取得プログラム(b)を実行して、需要家の各デマンド時間帯内での電力消費実績を示す情報である電力消費実績情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費予定情報取得プログラム(c)を実行して「USB、SATA、LAN端子、etc」を通じてインターネット回線を経由し需要家から得した推奨電力消費情報と、電力消費実績情報と、に基づいて需要家の将来の電力消費予定を示す情報である電力消費予定情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている将来電力消費予定情報保持プログラム(n)を実行して取得した電力消費予定情報を翌日以降の電力消費予定情報である将来電力消費予定情報として保持する。
「メインメモリ」に格納されている当日電力消費予定情報記録プログラム(o)を実行して日付が変わるタイミングにて将来電力消費予定情報を当日電力消費予定情報として記録する。
「メインメモリ」に格納されている当日電力消費予定情報保持プログラム(m)を実行して記録された需要家の当日の電力消費予定情報である当日電力消費予定情報を保持する。
そして「メインメモリ」に格納されている電力消費比較情報取得プログラム(d)を実行して、取得した電力消費予定情報と、将来において実際の電力消費との比較をした情報である電力消費比較情報を取得する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報取得ルール保持プログラム(e)を実行し、電力消費比較情報に基づいて需要家に対して電力消費性向(例えば、電力消費予定上限に近づいていることを示すアラームなど)を示す情報である電力消費性向情報を取得するためのルールである電力消費性向情報取得ルールを保持する。
「メインメモリ」に格納されている電力消費性向情報出力プログラム(f)を実行して、取得した電力消費比較情報と、保持されている電力消費性向取得ルールとに基づいて電力消費性向情報を出力する。
【0197】
本実施形態のデマンドレスポンスシステムによって、当日入力した将来の電力消費予定情報が、該当する日付に変わるタイミングに当日電力消費予定情報保持部に記録されることができる。将来の電力消費予定情報を入力した際に、予期せず当日の電力消費予定情報が上書き更新されることを防止でき、不適切な電力消費性向情報が出力されることを防止できる。
【0198】
<5.効果>
以上の構成を有するデマンドレスポンスシステムによって、消費電力量削減の目標となる推奨電力消費情報を需要家へ提示する。そして需要家自身に消費電力量目標である電力消費予定情報を入力させ、前記電力消費予定情報と実際の電力消費とを比較した電力比較情報と電力消費性向取得ルールに基づいて、電力消費性向を出力するデマンドレスポンスシステムを提供する。需要家自身に消費電力量の目標を入力させることで、消費電力量削減の意識を持たせることができる。また電力消費性向情報を出力することで達成できるかどうかを知らしめ、達成できなさそうであれば、達成に向けての対策行動を需要家へ促す動機付けとすることができる。
【符号の説明】
【0199】
デマンドレスポンスシステム・・・0100
推奨電力消費情報取得部(A)・・・0101
電力消費実績情報取得部(B)・・・0102
電力消費予定情報取得部(C)・・・0103
電力消費比較情報取得部(D)・・・0104
電力消費性向情報取得ルール保持部(E)・・・0105
電力消費性向情報出力部(F)・・・0106
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
図14の例では、2023年2月1日に翌日2023年2月2日の電力消費予定情報(将来の電力消費予定を示す情報)を入力しようとする時に、2023年2月2日分の
推奨電力消費情報と、翌日の2023年2月2日の1年前である2022年2月2日に実際に消費した電力の実績を示す電力消費実績情報とに基づいて行う。1年前の該当日1日分のデマンド値実績に基づいてもよいし、過去複数年(例えば5年や10年分)の2月2日の電力消費実績の平均値(例えば、10:00-10:30のデマンド時間帯での10年のデマンド値の平均値など)又は各デマンド時間帯のデマンド値の最大値に基づいてもよい。同じ日付ではなく、例えば直前の過去である2023年1月31日から同年2月1日の24時間分の電力消費実績に基づいたり、2023年1月26日から同年2月1日の7日間の電力消費のデマンド時間帯ごとの平均又は最大値に基づいたりするように構成することもできる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0116
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0116】
<推奨電力消費情報の提示>
図16は、1月15日(日)時点の需要家に対し、翌2023年1月16日(月)のデマンドレスポンスの案内として送付された画面例である。グラフは横軸が1月16日0時から24時00分までの30分ごとのデマンド時間帯48コマを示す。横軸に記載の時刻は、各デマンド時間帯の開始時刻である(類似する
図17の横軸も同様)。縦軸は消費電力量(kW)を示す。棒グラフは需要家のここ1週間(休日なしの土曜、日曜も稼働)の電力消費実績情報の平均値を示す。実線折線グラフは、供給者が提案する推奨電力消費情報を示す。大きな両矢印で示された時間帯はデマンドレスポンス対象時間帯であり、
図16の場合は下げDRとして、
推奨電力消費情報よりも需要家の実際の消費電力量が下回ることが望まれている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
本システムは、需要家のデマンド時間帯毎の消費電力量(デマンド時間帯単位より短い時間単位、例えばデマンド時間帯の長さの10%の時間単位でもよい)を、需要家が購入し消費する電力量を計測する高圧受変電設備またはその監視装置や、スマートメータなどから、本システムの電力消費実績情報取得部(B)が取得する。取得した電力消費実績情報は、電力消費実績情報保持部を設け、時系列的に保持するように構成するとよい。取得した電力消費実績情報から、ここ一週間の該需要家の電力消費実績情報を平均した各デマンド時間帯の平均値を通常ベースラインとして算出する。通常ベースラインは、
図16では棒グラフで表示されている情報である。翌日の電力需給見込み、翌日の気象予報(気温、日照、風の見込みなどいずれか一以上)、スマートメータからの情報のいずれか一以上から翌日の
推奨電力消費情報を本システムの
推奨電力消費情報取得部(A)が節電ベースラインとして取得する。節電ベースラインは、
図16では実線の折れ線グラフであらわされている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0118
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0118】
前記のように節電ベースラインとしての
推奨電力消費情報は、需要家に対して電力を供給する企業(供給者)が管理するサーバ装置などから取得する。供給者は需要家に電力消費実績情報(通常ベースライン)と、
推奨電力消費情報(節電ベースライン)と、DR要請時間帯の情報を
図16のように提供し、需要家からの電力消費予定情報を、
推奨電力消費情報と電力消費実績情報に基づいて、本システムの電力消費予定情報取得部(C)が取得する(電力消費予定情報取得部(C)の説明は
図17を例として、後記する)。なお、電力消費実績情報は、供給者のサーバ装置から取得する場合のほか需要家が管理するサーバやコンピュータ内から取得するように構成することもできる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
実線折線グラフであらわされる推奨電力消費情報は、供給者が高圧受変電設備又はその監視装置や、スマートメータから取得し保持していた該需要家の過去の電力消費実績情報と、需要家の所在する地域での1月16日の電力需給状況と、気象予報(天気、気温、風向風速など)と、他の需要家の電力消費実績情報とデマンドレスポンスに応じた際の実績値などに基づいて、供給者が該需要家に望む推奨電力消費予定として算出した情報である。供給者都合で電力需要を調整したい場合には、その調整代を加味してもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
供給者は需要家に電力消費実績情報(通常ベースライン)と、
推奨電力消費情報(節電ベースライン)と、DR要請時間帯の情報を
図16のように提供し、需要家からの電力消費予定情報を、
推奨電力消費情報と電力消費実績情報に基づいて、本システムの電力消費予定情報取得部(C)が取得する。