IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開-積層型電子部品 図1
  • 特開-積層型電子部品 図2
  • 特開-積層型電子部品 図3
  • 特開-積層型電子部品 図4
  • 特開-積層型電子部品 図5
  • 特開-積層型電子部品 図6
  • 特開-積層型電子部品 図7
  • 特開-積層型電子部品 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092985
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
H01G4/30 201L
H01G4/30 201K
H01G4/30 512
H01G4/30 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215861
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0184401
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】南 燦熙
(72)【発明者】
【氏名】權 五訓
(72)【発明者】
【氏名】朴 宰賢
(72)【発明者】
【氏名】白 ▲寛▼烈
(72)【発明者】
【氏名】李 敞健
(72)【発明者】
【氏名】丁 海碩
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE03
5E001AE04
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG28
5E082PP03
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】高温/高圧の環境でも積層型電子部品の誘電特性が低下することを防止し、信頼性を向上させる。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記誘電体層は、ABOで表されるペロブスカイト系組成を有する複数の誘電体結晶粒を含み、上記Aは、Bi、Na、K、Sr及びCaのうち少なくとも一つを含む第1元素を含み、上記Bは、Tiを含む第2元素を含み、上記複数の誘電体結晶粒のうち少なくとも一つは、内側のコア部と上記コア部の少なくとも一部をカバーするシェル部とを含むコア-シェル構造を有し、上記コア部に含まれた上記第1元素の含量は、上記シェル部に含まれた第1元素の含量の2倍以上であり、上記コア部は、内側の第1コア部と上記第1コア部の少なくとも一部をカバーする第2コア部とを含み、上記第2コア部はZrを含むことができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、ABOで表されるペロブスカイト系組成を有する複数の誘電体結晶粒を含み、前記AはBi、Na、K、Sr及びCaのうち少なくとも一つを含む第1元素を含み、前記BはTiを含む第2元素を含み、
前記複数の誘電体結晶粒のうち少なくとも一つは、内側のコア部と前記コア部の少なくとも一部をカバーするシェル部とを含むコア-シェル構造を有し、前記コア部に含まれた前記第1元素の含量は、前記シェル部に含まれた前記第1元素の含量の2倍以上であり、
前記コア部は、内側の第1コア部と前記第1コア部の少なくとも一部をカバーする第2コア部とを含み、前記第2コア部はZrを含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記コア-シェル構造の誘電体結晶粒に含まれたZrの平均含量は、前記第2コア部で最も高い、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記コア部の平均サイズの1/2をRc、前記シェル部の平均サイズの1/2をRsと定義するとき、
Rs≦Rcを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
0<Rs≦Rc/2を満たす、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1コア部の平均サイズの1/2をRc1、前記第2コア部の平均サイズの1/2をRc2と定義するとき、
Rc2<Rc1を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記Rc2は、5nm以上100nm以下である、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記コア部の平均サイズの1/2をRc、前記シェル部の平均サイズの1/2をRsと定義するとき、
Rc≦Rsを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記コア-シェル構造の誘電体結晶粒の中心点と前記コア部の中心点とは互いに異なる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記誘電体結晶粒は、隣接した誘電体結晶粒との境界である結晶粒界を含み、
前記コア-シェル構造の誘電体結晶粒の中心点から前記コア部の中心点を通る前記結晶粒界までの直線をLと定義するとき、
前記Lにおいて、前記コア-シェル構造の誘電体結晶粒の中心点から前記コア部とシェル部の境界点までの直線距離をD1、前記コア部とシェル部の境界点から前記結晶粒界までの直線距離をD2、前記コア-シェル構造の誘電体結晶粒の中心点から前記コア部の中心点までの直線距離をD3と定義するとき、
0<D3及びD2<D1を満たす、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記コア-シェル構造の誘電体結晶粒は希土類元素を含み、かつ
前記希土類元素の平均含量は前記シェル部で最も高い、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記希土類元素は、Y、Dy、Tb、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、Tm、La、Gd及びYbのうち少なくとも一つを含む、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1元素の含量は、前記A元素100mol%に対して80mol%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第2元素の含量は、前記B元素100mol%に対して80mol%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記誘電体層は複数の誘電体層を含み、前記複数の誘電体層のうち少なくとも一つは、平均厚さが3.0μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記内部電極は複数の内部電極を含み、前記複数の内部電極のうち少なくとも一つは、平均厚さが1.0μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記コア-シェル構造の誘電体結晶粒の平均サイズは、100nm以上400nm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)等の映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話等の様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器等、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
一方、チタン酸バリウム(BaTiO)系積層セラミックキャパシタに高電圧を印加する場合、Dcバイアス(Dc-bias)特性により誘電特性が著しく減少するという問題が発生することがある。高電圧の印加による誘電特性の低下を防止するために、Ba又はTi以外の元素をチタン酸バリウムに固溶・拡散させてBa又はTiの元素位置と置換する方法として、Dcバイアス特性による誘電特性の低下を防止する方法を用いることができる。但し、Ba又はTi元素が置換されることによって、既存のBaTiOが有する高い誘電率などの誘電特性が低下するため、適切な設計で組成を設計する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-531857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、高温/高圧の環境でも積層型電子部品の誘電特性が低下することを防止し、信頼性を向上させることである。
【0007】
但し、本発明が解決しようとするいくつかの課題は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記誘電体層は、ABOで表されるペロブスカイト系組成を有する複数の誘電体結晶粒を含み、上記Aは、Bi、Na、K、Sr及びCaのうち少なくとも一つを含む第1元素を含み、上記Bは、Tiを含む第2元素を含み、上記複数の誘電体結晶粒のうち少なくとも一つは、内側のコア部と上記コア部の少なくとも一部をカバーするシェル部とを含むコア-シェル構造を有し、上記コア部に含まれた上記第1元素の含量は、上記シェル部に含まれた第1元素の含量の2倍以上であり、上記コア部は、内側の第1コア部と上記第1コア部の少なくとも一部をカバーする第2コア部とを含み、上記第2コア部はZrを含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のいくつかの効果の一つは、高電圧印加時のDcバイアス特性が向上したことである。
【0010】
本発明のいくつかの効果の一つは、積層型電子部品の誘電特性が向上したことである。
【0011】
本発明のいくつかの効果の一つは、積層型電子部品の信頼性が向上したことである。
【0012】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示す。
図2図1の内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示す。
図3図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示す。
図4図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示す。
図5図3のP領域を拡大した拡大図を概略的に示す。
図6】コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒を概略的に示す。
図7】コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒を概略的に示す。
図8】コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒の領域別元素含量(質量百分率)を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0015】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されるものではない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0016】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0017】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、図2は、図1の内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示すものであり、図3は、図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、図4は、図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、図5は、図3のP領域を拡大した拡大図を概略的に示すものであり、図6は、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒を概略的に示すものであり、図7は、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒を概略的に示すものであり、図8は、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒の領域別元素含量(質量百分率)を概略的に示すものである。
【0018】
以下、図1図8を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として、積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は誘電体組成物を利用する様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0019】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体110上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記誘電体層111は、ABOで表されるペロブスカイト系組成を有する複数の誘電体結晶粒を含み、上記Aは、Bi、Na、K、Sr及びCaのうち少なくとも一つを含む第1元素を含み、上記Bは、Tiを含む第2元素を含み、上記複数の誘電体結晶粒のうち少なくとも一つは、内側のコア部21と上記コア部21の少なくとも一部をカバーするシェル部22とを含むコア-シェル構造20を有し、上記コア部21に含まれた第1元素の含量は、上記シェル部22に含まれた第1元素の含量の2倍以上であり、上記コア部21は、内側の第1コア部21aと上記第1コア部21aの少なくとも一部をカバーする第2コア部21bとを含み、上記第2コア部21bはZrを含むことができる。
【0020】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0021】
より具体的に、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0022】
本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0023】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面1、2、第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面3、4、第1面~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0024】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0025】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り限定されない。一般的に、ペロブスカイト(ABO)系材料を使用することができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0026】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0027】
一方、チタン酸バリウム(BaTiO)系積層セラミックキャパシタに高電圧を印加する場合、Dcバイアス特性により誘電特性が著しく減少するという問題が発生することがある。高電圧の印加による誘電特性の低下を防止するために、Ba又はTi以外の元素をチタン酸バリウムに固溶・拡散させてBa又はTiの元素位置と置換する一方法として、Dcバイアス特性による誘電特性の低下を防止する方法を用いることができる。但し、Ba元素又はTi元素が置換されることによって、既存のBaTiOが有する高い誘電率などの誘電特性が低下するため、適切な設計で組成を設計する必要がある。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、ABOペロブスカイト系組成のうちA-サイト(site)は、Bi、Na、K、Sr及びCaのうち少なくとも一つを含む第1元素を含むことができる。また、B-サイト(site)は、Tiを含む第2元素を含んでいてもよいが、特にこれに限定されるものではなく、Hf及びZrのうち少なくとも一つの元素を含んでもよい。
【0029】
ABOペロブスカイト系組成のA-サイトは、Bi、Na、K、Sr及びCaのうち少なくとも一つを含む第1元素を含み、B-サイトはTi、Hf及びZrのうち少なくとも一つを含む第2元素を含むことにより、高温/高電圧の条件でもDcバイアス特性による誘電特性が低下することを効果的に防止することができ、信頼性の向上した積層型電子部品を製造することができる。
【0030】
このとき、第1元素の含量はA-サイト元素100mol%に対して80mol%以上であってもよく、第2元素の含量はB-サイト元素100mol%に対して80mol%以上であってもよい。
【0031】
第1元素の含量がA元素100mol%に対して80mol%以上含まれることにより、Dcバイアス特性が改善されることができ、第2元素の含量がB元素100mol%に対して80mol%以上含まれることにより、信頼性の改善効果に優れることができる。
【0032】
誘電体層111は複数の誘電体結晶粒を含むことができ、複数の誘電体結晶粒のうち少なくとも一つはコア-シェル構造を有することができる。言い換えれば、コア-シェル構造を有する誘電体結晶粒20と、コア-シェル構造を有さない誘電体結晶粒とを含むことができる。
【0033】
コア-シェル構造は、内側のコア部21と、上記コア部21の少なくとも一部をカバーするシェル部22とを含む構造を意味することができる。
【0034】
このとき、コア部21に含まれた第1元素の含量は、シェル部22に含まれた第1元素の含量の2倍以上であり得る。
【0035】
コア部21に含まれた第1元素の含量をシェル部22に含まれた第1元素の含量の2倍以上に制御することにより、誘電特性及びDcバイアス特性をより向上させることができる。
【0036】
ここで、第1元素の含量は、誘電体結晶粒の中心部を通る直線をラインプロファイル(line-profile)で元素含量を測定して求めることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0037】
例えば、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を基準に、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)又は走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)で観察することができ、エネルギー分散型X線分析(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectrometer)で測定しようとする元素をマッピング(mapping)して確認することができる。
【0038】
本発明で説明する測定装置の観察領域は、特に限定されるものではないが、2μm×2μmの領域を1万倍以上の倍率で観察することができる。
【0039】
さらに他の例を挙げると、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20において、コア部21及びシェル部22のそれぞれについて任意に測定点を設定し、点分析を行うことにより、各測定点における元素別含有率を算出することができる。また、各領域に含まれた元素の含有率を平均することにより、コア部21に含まれた元素の含有率及びシェル部22に含まれた元素の含有率を計算することができる。
【0040】
実際の測定点の個数は、コア部21で5地点以上、シェル部22で10地点以上を測定して平均値を計算することが好ましく、第1元素をマッピングして全ピクセルの第1元素含有率を測定し、上記全ピクセルの第1元素含有率から各領域に含まれた第1元素の含有率を算出することも可能である。
【0041】
このとき、コア部21は、内側の第1コア部21aと、第1コア部21aの少なくとも一部をカバーする第2コア部21bとを含み、かつ第2コア部21bはジルコニウム(Zr)を含むことができる。
【0042】
コア-シェル構造においてシェル部22の分率が大きくなる場合、Dcバイアス特性の改善効果が低下するおそれがあるが、シェル部22の分率を小さく形成しようとする場合は、均一かつ安定的なシェル部22の形成が難しく、補完しようとする誘電特性、特に信頼性の改善効果が期待しにくくなる可能性がある。
【0043】
これにより、コア-シェルの界面、より詳細には、コア部21の表面に一部のジルコニウム(Zr)置換層を形成し、絶縁抵抗を高めることができ、シェル部22の分率を安定的に減少させるとともに、均一に形成することができるため、絶縁抵抗特性を改善させながら誘電特性を補完することができる。
【0044】
ジルコニウム(Zr)置換層を形成する方法は特に限定されるものではないが、焼成前のABO母材粉末にジルコニウム(Zr)をコーティングし、先拡散させてコア部21の内部にジルコニウム(Zr)を拡散させることができ、その後、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20においてジルコニウム(Zr)を含む第2コア部21bとすることができる。
【0045】
ジルコニウム(Zr)置換層により、添加剤元素、例えば、希土類元素(RE)のコア部21の内部への拡散を防止することができるため、誘電特性が低下するという問題点を抑制することができ、ジルコニウム(Zr)置換層の少なくとも一部をカバーしながら、均一な厚さの添加剤元素のコーティングが可能である。コーティングされた添加剤元素は焼成後、シェル部22で検出することができる。
【0046】
コア-シェル構造の誘電体結晶粒20に含まれたジルコニウム(Zr)の平均含量は、第2コア部21bで最も高いことができる。
【0047】
ジルコニウム(Zr)の検出は、前述した元素測定方法で確認することができ、例えば、元素をマッピングするか、又はラインプロファイル、任意の測定点での検出によって確認することができる。
【0048】
本発明において、コア部21、シェル部22、誘電体結晶粒など、誘電体層111の内部に含まれた微細構造の平均サイズは、各構成の中心点を通る最小直線サイズ及び最大直線サイズを測定して平均した値を意味することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0049】
本発明の一実施形態において、コア部21の平均サイズの1/2をRc、シェル部22の平均サイズの1/2をRsと定義するとき、Rs≦Rcを満たすことができ、より好ましくは、0<Rs≦Rc/2を満たすことができる。
【0050】
すなわち、コア部21の平均サイズはシェル部22の平均サイズより大きいことができ、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20においてコア部21の分率がさらに大きいことができる。
【0051】
誘電特性に優れながらも信頼性の向上した積層型電子部品を実現するために、シェル部の分率を高めてこのような特性を実現したが、第2コア部21bを形成することにより、シェル部22の分率が少ないにもかかわらず、信頼性を改善させることができる効果がある。
【0052】
但し、特にこれに限定されるものではなく、コア部21の平均サイズの1/2をRc、シェル部22の平均サイズの1/2をRsと定義するとき、Rc≦Rsを満たすことができる。
【0053】
すなわち、シェル部22の平均サイズはコア部21の平均サイズより大きいことができ、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20においてシェル部22の分率がさらに大きいことができる。
【0054】
シェル部22の分率を高めることで、信頼性をより向上させることができる効果がある。
【0055】
また、本発明の一実施形態において、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20の中心点はコア部21の中心点と異なることができ、より具体的に、コア部21の中心点はコア-シェル構造の誘電体結晶粒20の任意の一つの結晶粒界(grain boundary)に隣接することができる。ここで、結晶粒界は、隣接した誘電体結晶粒間の境界を意味することができ、誘電体結晶粒は複数の結晶粒界によって囲まれた形態を有することができる。
【0056】
言い換えれば、コア部21とシェル部22との境界のうち結晶粒界に隣接した部分が存在してもよく、コア部21と結晶粒界との間のシェル部22の領域がほとんど存在しなくてもよい。
【0057】
これは、焼成前の誘電体粒子の表面に添加剤が均一な厚さで形成されていない結果に該当するか、又は焼成過程でシェル部22の領域が十分に形成されなかった結果であり得るが、特にこれに限定されるものではない。
【0058】
従来の製造方法によれば、コア部21と結晶粒界との間にシェル部22の領域がほとんど存在しない構造では、絶縁抵抗が十分でない可能性があり、信頼性が低下するおそれがあった。
【0059】
しかし、本発明の一実施形態によれば、第2コア部21bが存在することにより、コア部21と結晶粒界との間にシェル部22の領域がほとんど存在しなくても、絶縁抵抗の高いジルコニウム(Zr)によって十分な信頼性を確保することができる。
【0060】
例えば、本発明の一実施形態である図7を参照して説明すると、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20’の中心点A1からコア部21’の中心点A2を通る結晶粒界A4までの直線をLと定義することができる。このとき、直線Lのサイズ、つまり、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20’の中心点A1から結晶粒界A4までの直線距離をDL、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20’の中心点A1からコア部21’とシェル部22’との境界点A3までの直線距離をD1、コア部21’とシェル部22’との境界点A3から結晶粒界A4までの直線距離をD2、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20’の中心点A1からコア部21’の中心点A2までの直線距離をD3と定義するとき、0<D3及びD2<D1を満たすことができる。
【0061】
ここで、0<D3は、コア-シェル誘電体結晶粒20’の中心点A1とコア部21’の中心点A2とが一致しないことを意味し、D2<D1は、コア部21’と結晶粒界GBとの距離が近いことを意味することができるが、その意味が前述の内容に限定されるものではなく、これと類似の意味を内包することができる。また、A1、A2、A3は、直線L上に位置することができ、D1、D2、D3は直線Lの一部の直線距離、そしてDLは直線Lの全直線距離を意味することができる。
【0062】
本発明の一実施形態において、第1コア部21aの平均サイズの1/2をRc1、第2コア部21bの平均サイズの1/2をRc2と定義するとき、Rc2<Rc1を満たすことができる。
【0063】
すなわち、第1コア部21aの平均サイズは第2コア部21bの平均サイズより大きいことができ、コア部21において第1コア部21aの分率がさらに大きいことができる。
【0064】
第1コア部21aの分率が第2コア部21bの分率よりも大きい場合、つまり、Rc2<Rc1である場合に、誘電特性に優れながらも信頼性の改善効果により優れることができる。
【0065】
第2コア部21bの分率がさらに大きくなる場合、誘電特性が低下するおそれがある。
【0066】
ここで、Rc2は5nm以上100nm以下を満たすことができる。すなわち、第2コア部21bの平均サイズの1/2は5nm以上100nm以下であることができ、これを満たすことにより、誘電特性に優れながらも信頼性の改善効果により優れることができる。
【0067】
Rc2が5nm未満の場合、均一かつ安定的なシェル部22の分率形成が難しくなる可能性があり、Dcバイアス特性又は信頼性の改善効果が低下するおそれがあり、Rc2が100nmを超える場合、十分な誘電特性の実現が難しくなる可能性がある。
【0068】
一方、コア-シェル結晶粒20の生成量は、誘電体組成物の組成や作製方法、焼成条件により適宜制御することができる。例えば、原料粉末に添加剤の含量を制御するか、又は焼成雰囲気等を制御してコア-シェル構造を形成することができ、さらに誘電体結晶粒のサイズを制御することもできる。
【0069】
コア-シェル構造の誘電体結晶粒20は希土類元素を含むことができ、希土類元素の平均含量はシェル部22で最も高いことができる。
【0070】
一方、希土類元素の含量は、コア部21とシェル部22との境界で急激に変化することがあり、希土類元素の含量の測定はラインプロファイル(line-profile)を行って測定するか、又は複数個の測定点で測定した後、その境界地点を確認することができる。
【0071】
ここで、希土類元素(RE:Rare Earth elements)は、Y、Dy、Tb、Ho、Er、Gd、Ce、Nd、Sm、Tm、La、Gd及びYbのうち少なくとも一つを含むことができるが、特にこれらに限定されるものではなく、信頼性向上のために添加できる希土類元素であれば、如何なるものでも使用できる。
【0072】
希土類元素を検出する方法は、前述した元素の測定方法によって確認することができる。
【0073】
一方、誘電体層111に含まれた誘電体結晶粒、例えば、コア-シェル構造の誘電体結晶粒20の平均サイズは特に限定されないが、100nm以上400nm以下を満たすことができる。
【0074】
誘電体結晶粒の平均サイズが100nm未満である場合、十分な誘電特性を実現しにくくなる可能性があり、誘電体結晶粒の平均サイズが400nmを超える場合、Dcバイアス特性に劣るおそれがある。
【0075】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0076】
但し、積層型電子部品の高容量化を達成するために、誘電体層111の厚さは3.0μm以下であってもよく、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは1.0μm以下であってもよく、好ましくは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0077】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0078】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味することができる。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0079】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層111を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0080】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されてもよい。
【0081】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1内部電極及び第2内部電極121、122は本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0082】
より具体的に、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0083】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1内部電極及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0084】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0085】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0086】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0088】
但し、積層型電子部品の高容量化を達成するために、内部電極121、122の厚さは1.0μm以下であってもよく、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0089】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0090】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極121、122を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0091】
一方、本発明の一実施形態において、誘電体層111の厚さtd及び内部電極121、122の厚さteは、2×te<tdを満たすことができる。
【0092】
言い換えれば、誘電体層111の厚さtdは、内部電極121、122の厚さteの2倍よりも大きいことができる。
【0093】
一般的に、高電圧電装用電子部品は、高電圧環境下で絶縁破壊電圧(BDV:Breakdown Voltage)の低下による信頼性の問題が主な問題点である。
【0094】
したがって、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下を防止するために、誘電体層111の厚さtdを内部電極121、122の厚さteの2倍よりも大きくすることにより、内部電極間の距離である誘電体層の厚さを増加させることができ、絶縁破壊電圧特性を向上させることができる。
【0095】
誘電体層111の厚さtdが内部電極121、122の厚さteの2倍以下である場合には、内部電極間の距離である誘電体層の厚さが薄くなり、絶縁破壊電圧が低下することがある。
【0096】
高電圧電子部品において、内部電極の厚さteは1μm以下であってもよく、誘電体層の厚さtdは3.0μm以下であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0097】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されるカバー部112、113を含むことができる。
【0098】
より具体的に、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0099】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0100】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0101】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0102】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0103】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0104】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージ中、一つのカバー部において第2方向に等間隔である30個の地点で厚さを測定した平均値であることができる。
【0105】
一方、積層型電子部品100は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上に配置されるサイドマージン部114、115を含むことができる。
【0106】
より具体的に、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114、及び本体110の第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。
【0107】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1内部電極及び第2内部電極121、122の第3方向の両端面(end-surface)と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0108】
サイドマージン部114、115は、容量形成部Acに適用されるセラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5面及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)上に第3方向に積層して形成することもできる。
【0109】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的ストレス又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0110】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0111】
一方、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部114、115の幅wmは特に限定する必要はない。
【0112】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、サイドマージン部114、115の幅wmは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0113】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向のサイズを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができる。
【0114】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、第1方向に等間隔である30個の地点で第3方向のサイズを測定した平均値であることができる。
【0115】
本発明の一実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0116】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0117】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1内部電極及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極131、132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0118】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0119】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a、131b、132b及び電極層131a、132a、131b、132b上に配置されるめっき層131c、132cを含むことができる。
【0120】
電極層131a、132a、131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132a、131b、132bは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0121】
また、電極層131a、132a、131b、132bは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。
【0122】
また、電極層131a、132a、131b、132bは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0123】
電極層131a、132a、131b、132bに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができ、例えば、導電性金属としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、特にこれらに限定されない。
【0124】
本発明の一実施形態において、電極層131a、132a、131b、132bは、第1電極層131a、132a及び第2電極層131b、132bを含む2層構造を有することができる。これにより、外部電極131、132は、導電性金属及びガラスを含む第1電極層131a、132a及び上記第1電極層131a、132a上に配置され、導電性金属及び樹脂を含む第2電極層131b、132bを含むことができる。
【0125】
第1電極層131a、132aは、ガラスを含むことにより、本体110との接合性を向上させる役割を果たし、第2電極層131b、132bは、樹脂を含むことにより、曲げ強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0126】
第1電極層131a、132aに使用される導電性金属は、静電容量の形成のために上記内部電極121、122と電気的に連結できる材質であれば、特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。第1電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0127】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1電極層131a、132aと電気的に連結されるようにする役割を果たすことができる。
【0128】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、電極層131a、132aと電気的に連結できる材質であれば、特に限定されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0129】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、球状粒子及びフレーク状粒子のうち1以上を含むことができる。すなわち、導電性金属はフレーク状粒子のみからなるか、又は球状粒子のみからなることができ、フレーク状粒子と球状粒子とが混合された形態であってもよい。ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粒子とは、平たくかつ細長い形態を有する粒子を意味し、特に限定されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。上記球状粒子及びフレーク状粒子の長軸と短軸の長さは、セラミック電子部品の第3方向の中央部で切断した第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0130】
第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性の確保及び衝撃吸収の役割を果たす。第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作製できるものであれば、特に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0131】
また、第2電極層131b、132bは、複数の金属粒子、金属間化合物及び樹脂を含むことができる。上記金属間化合物を含むことにより、第1電極層131a、132aとの電気的連結性をより向上させることができる。上記金属間化合物は、複数の金属粒子を連結して電気的連結性を向上させる役割を果たし、複数の金属粒子を囲んで互いに連結する役割を果たすことができる。
【0132】
このとき、上記金属間化合物は、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むことができる。すなわち、上記金属間化合物が樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むため、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属が乾燥及び硬化工程を経る過程で溶融し、金属粒子の一部と金属間化合物を形成して金属粒子を囲むようになる。このとき、金属間化合物は、好ましくは300℃以下の低融点金属を含むことができる。
【0133】
例えば、213~220℃の融点を有するSnを含むことができる。乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融し、溶融したSnがAg、Ni又はCuのような高融点の金属粒子を毛細管現象により湿らせ、Ag、Ni又はCu金属粒子の一部と反応してAgSn、NiSn、CuSn、CuSnなどの金属間化合物を形成するようになる。反応に関与しなかったAg、Ni又はCuは金属粒子の形態で残る。
【0134】
したがって、上記複数の金属粒子は、Ag、Ni及びCuのうち一つ以上を含み、上記金属間化合物は、AgSn、NiSn、CuSn及びCuSnのうち一つ以上を含むことができる。
【0135】
めっき層131c、132cは実装特性を向上させる役割を果たす。
【0136】
めっき層131c、132cの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層131c、132cであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0137】
めっき層131c、132cに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131c、132cはNiめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a、131b、132b上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0138】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0139】
また、本発明において使用された「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態に説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明と理解することができる。
【0140】
本発明において使用された用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0141】
20:コア-シェル誘電体結晶粒
21:コア部
21a、22b:第1コア部及び第2コア部
22:シェル部
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8