(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000930
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】パネル状部材用の支持具及びパネル状部材組立体
(51)【国際特許分類】
H02S 20/30 20140101AFI20231226BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20231226BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20231226BHJP
【FI】
H02S20/30 B
H02S20/30 A
E04D13/18
H02S20/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099936
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】山田 智康
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK04
2E108LL01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】パネル状部材用の支持具の製造コストの低下を図ることが可能なパネル状部材用の支持具を提供する。
【解決手段】パネル状部材用の支持具20は、第1姿勢において土台側に向けられる第1底面21と、第1姿勢においてパネル状部材10を積載可能な第1積載面23と、第1姿勢とは異なる第2姿勢において土台側に向けられる第2底面22と、第2姿勢においてパネル状部材10を積載可能な第2積載面24と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1姿勢において土台側に向けられる第1底面と、
前記第1姿勢においてパネル状部材を積載可能な第1積載面と、
前記第1姿勢とは異なる第2姿勢において土台側に向けられる第2底面と、
前記第2姿勢においてパネル状部材を積載可能な第2積載面と、を有する、パネル状部材用の支持具。
【請求項2】
前記第1底面、前記第2底面、前記第1積載面及び前記第2積載面は、一体的部材の一部として形成されている、請求項1に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項3】
前記第2底面から前記第2積載面までの長さが、前記第1底面から前記第1積載面までの長さよりも長い、請求項1に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項4】
前記第1積載面は、前記第1底面に関して第1傾斜角で傾斜しており、
前記第2積載面は、前記第2底面に関して第2傾斜角で傾斜している、請求項1に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項5】
前記第2傾斜角は前記第1傾斜角と同じである、請求項4に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項6】
前記第2底面は、前記第1積載面と前記第1底面との間に位置する部分と、前記第1底面から前記第1積載面とは反対側に突出した突出部分と、を有する、請求項1に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項7】
前記第2姿勢において前記支持具を土台側に固定する第1締結部材を挿通可能な第2孔部を有し、
前記第2孔部は、前記突出部分に形成されている、請求項6に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項8】
前記第1底面と前記第1積載面との間に、前記第1底面と直交する方向に延びる第1壁部を有する、請求項1に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項9】
前記第2底面と前記第2積載面との間に、前記第2底面と直交する方向に延びる第2壁部を有する、請求項1に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項10】
前記第1積載面は、前記第2底面と前記第2積載面とを結ぶ方向において、前記第2壁部を挟んで両側に配置されており、
前記第2壁部を挟んで両側に配置された前記第1積載面は、面一になるよう形成されている、請求項9に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項11】
前記第1姿勢において前記支持具を土台側に固定する第1締結部材を挿通可能な第1孔部を有し、
前記第1孔部は、前記第2壁部に形成されている、請求項9に記載のパネル状部材用の支持具。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の複数のパネル状部材用の支持具と、
複数の前記支持具によって支持されたパネル状部材と、を有する、パネル状部材組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル状部材用の支持具及びパネル状部材組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば建造物の屋根や地面等に設置される太陽電池モジュールのようなパネル状部材が知られている。このようなパネル状部材は、設置される屋根や地面に応じた適切な架台によって支持される。
【0003】
特許文献1は、地面に設けられた基礎ブロック上に光電変換モジュールのようなパネル状部材を設置することを開示する。特許文献1では、複数の直立脚部が基礎ブロック上に設けられている。パネル状部材は、複数の直立脚部によって支持されている。複数の直立脚部の高さが異なっている。パネル状部材は、互いに異なる高さを有する複数の直立脚部によって傾斜された状態で設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、パネル状部材を傾斜させた状態で設置するため、互いに異なる高さを有する複数の直立脚部が用いられている。この場合、複数の直立脚部の形状が互いに異なるため、パネル状部材を支持する部材(支持具)の製造コストが増大し得る。
【0006】
したがって、製造コストの低下を図ることが可能なパネル状部材用の支持具と、それを用いたパネル状部材組立体が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係るパネル状部材用の支持具は、第1姿勢において土台側に向けられる第1底面と、前記第1姿勢においてパネル状部材を積載可能な第1積載面と、前記第1姿勢とは異なる第2姿勢において土台側に向けられる第2底面と、前記第2姿勢においてパネル状部材を積載可能な第2積載面と、を有する。
【0008】
一態様に係るパネル状部材組立体は、上記の複数のパネル状部材用の支持具と、複数の前記支持具によって支持されたパネル状部材と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、パネル状部材を支持する複数の支持具を構成するユニットを共通化することができ、パネル状部材用の支持具の製造コストの低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態におけるパネル状部材組立体の模式的斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の矢印2A方向から見たパネル状部材組立体の側面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態におけるパネル状部材用の支持具の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の6A-6A線に沿ったパネル状部材用の支持具の断面図である。
【
図7】
図7は、互いに隣接するパネル状部材用の支持具どうしを連結する連結具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0012】
図1は、一実施形態におけるパネル状部材組立体の模式的斜視図である。
図2は、
図1の矢印2A方向から見たパネル状部材組立体の側面図である。
図3は、
図2の領域3Aの拡大図である。
図4は、
図2の領域4Aの拡大図である。
図5は、一実施形態におけるパネル状部材用の支持具の斜視図である。
図6は、
図5の6A-6A線に沿ったパネル状部材用の支持具の断面図である。
図1では、説明の都合上、2つのパネル状部材10は透視的に描かれており、パネル状部材10の裏側に配置された構造が示されている。
【0013】
パネル状部材組立体は、少なくとも1つのパネル状部材10と、パネル状部材10を支える複数の支持具20と、を有していてよい。好ましくは、パネル状部材組立体は、
図1に示すように、少なくとも一方向に並んだ複数のパネル状部材10を有していてよい。
【0014】
各々のパネル状部材10は、例えば太陽電池パネルのような光電変換パネルであってよい。パネル状部材10は、パネル12及びフレーム14を有していてよい。パネル状部材10が太陽電池モジュールである場合、パネル12は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換パネルに相当し、フレーム14は光電変換パネルの周囲に設けられた縁に相当する。
【0015】
パネル状部材10は、例えば地面や陸屋根のような略平坦な設置部に設置されていてよい。パネル状部材10の土台となる複数の基礎80が、当該設置部に設けられていてよい。複数の基礎80は、互いに間隔を開けて一方向に並んでいてよい。基礎80は、例えばコンクリートのような材料によって構成されていてよい。複数の基礎80は、互いに同じ高さであってよい。
【0016】
アンカーのような第1締結部材82が、基礎80のような土台に取り付けられていてよい。
図2~
図4では、第1締結部材82としてアンカーが、基礎80から上方に突出している。第1締結部材82は、支持具20を基礎80に取り付けるために用いられる。
【0017】
支持具20は、基礎80上に設けられていてよい。支持具20は、基礎80とパネル状部材10との間に位置していてよい。支持具20は、パネル状部材10を直接的又は間接的に支持する。パネル状部材10は、例えばアルミニウムや鉄、又はそれらを主成分とする合金等によって形成されていてよい。
【0018】
支持具20は、複数の基礎80に跨って一方向に延びていてよい。図示した形態では、各々の支持具20は、複数の基礎80に当接している。
【0019】
支持具20は、互いに異なる少なくとも2つの姿勢、すなわち第1姿勢と、第1姿勢とは異なる第2姿勢とで、設置可能に構成されている(
図2~
図4参照)。ここで、
図3は、第1姿勢で設置された支持具20を示しており、
図4は、第2姿勢で設置された支持具20を示している。支持具20の向きの違いによって、支持具20は、第1姿勢及び第2姿勢のうちの一方になる。
【0020】
本実施形態では、各々のパネル状部材10は、2つの支持具20によって支持されている。この2つの支持具20は、それぞれ第1姿勢及び第2姿勢で設定されている。このように、同一のパネル状部材10を支持するために、互いに異なる姿勢(第1姿勢及び第2姿勢)で設置された同一の支持具20が用いられている。
【0021】
支持具20は、第1底面21、第2底面22、第1積載面23及び第2積載面24を有する。第1底面21は、第1姿勢において土台側に向けられる面である。第2底面22は、第1姿勢とは異なる第2姿勢において土台側に向けられる面である。好ましくは、第1底面21は、第1姿勢において基礎80のような土台に当接する(
図3参照)。好ましくは、第2底面22は、第2姿勢において基礎80のような土台に当接する(
図4参照)。支持具20が一方向に延びている場合、第1底面21、第2底面22、第1積載面23及び第2積載面24も、当該一方向に延びていてよい。
【0022】
第1積載面23は、第1姿勢においてパネル状部材10を積載可能な面である。
図3に示すように、第1積載面23は、第1姿勢において、パネル状部材10、具体的にはパネル状部材10のフレーム14に当接している。第2積載面24は、第2姿勢においてパネル状部材10を積載可能な面である。
図4に示すように、第2積載面24は、第2姿勢において、パネル状部材10、具体的にはパネル状部材10のフレーム14に当接している。
【0023】
上記態様によれば、同一の構造を有する支持具20の姿勢を変えるだけで、異なる態様でパネル状部材10を支持することができる。したがって、少なくとも2つの態様でパネル状部材10を設置するための支持具20を共通化することができる。これにより、パネル状部材を支持する支持具の製造コストの低下を図ることが可能になる。また、同一のパネル状部材10を支持するための支持具20を共通化することができれば、パネル状部材10を設置する作業者の施工の手間を削減することも可能になる。
【0024】
好ましくは、第1底面21、第2底面22、第1積載面23及び第2積載面24は、一体的部材(単一の部材)の一部として形成されている。この場合、支持具20は、複数の部材を連結又は結合することなく、向きを変えるだけで第1姿勢と第2姿勢の両方をとることができる。第1底面21、第2底面22、第1積載面23及び第2積載面24は、それぞれ支持具20の外面によって形成されていてよい(特に
図6参照)。
【0025】
支持具20が延びている方向(以下、「延在方向」と称することがある。)から見たとき、第1底面21は、第1積載面23とは反対側に位置している(
図2~
図6参照)。この場合、第1姿勢において、支持具20の第1底面21が下方に向けられ、かつ支持具20の第1積載面23が上方に向けられる。したがって、第1姿勢において、支持具20は、土台上に置かれ、かつ第1積載面23の上方に位置するパネル状部材10を積載可能である。
【0026】
一方、第2姿勢において、支持具20の第2底面22が下方に向けられ、かつ支持具20の第2積載面24が上方に向けられる。この場合、第2底面22は、第2積載面24とは反対側に位置している(
図2~
図6参照)。したがって、第2姿勢において、支持具20は、土台上に置かれ、かつ第2積載面24の上方に位置するパネル状部材10を積載可能である。
【0027】
支持具20の延在方向から見たとき、第1積載面23は、第2積載面24と交差していることが好ましい。具体的には、第1積載面23と第2積載面24の成す角度は、概ね80°~100°、好ましくは85°~95°、より好ましくは実質的に90°であってよい。これにより、同様に、支持具20の延在方向から見たとき、第1底面21は、第2底面22と交差していることが好ましい。具体的には、第1底面21と第2底面22の成す角度は、概ね80°~100°、好ましくは85°~95°、より好ましくは実質的に90°であってよい。これにより、延在方向に沿った軸まわりに支持具20を概ね90°程度回転させることによって、支持具20を、第1姿勢と第2姿勢との間で変更可能である。
【0028】
好ましくは、第2底面22から第2積載面24までの長さL2は、第1底面21から第1積載面23までの長さL1よりも長い。ここで、長さL1は、第1底面21から第1積載面23までの距離の最小値によって規定される(
図6参照)。長さL2は、第2底面22から第2積載面24までの距離の最小値によって規定される(
図6参照)。これにより、第2姿勢における支持具20の高さは、第1姿勢における支持具20の高さよりも高くなる。したがって、支持具20の姿勢に応じて、パネル状部材10を積載する高さを変えることができる。
【0029】
好ましくは、第1積載面23は、第1底面21に関して第1傾斜角θ1で傾斜している。これにより、第1姿勢において支持具20の上方に向いた面、すなわち第1積載面23は、水平面から第1傾斜角θ1だけ傾斜し得る。これにより、支持具20は、パネル状部材10を水平面から第1傾斜角θ1傾斜して支持し易くなる。
【0030】
好ましくは、第2積載面24は、第2底面22に関して第2傾斜角θ2で傾斜している。これにより、第2姿勢において支持具20の上方に向いた面、すなわち第2積載面24は、水平面から第2傾斜角θ2だけ傾斜し得る。これにより、支持具20は、パネル状部材10を水平面から第2傾斜角θ2傾斜して支持し易くなる。
【0031】
より好ましくは、第2傾斜角θ2は第1傾斜角θ1と同じである。この場合、第1姿勢において支持具20の上方に向いた面の水平面に関して成す角度が、第2姿勢において支持具20の上方に向いた面の水平面に関して成す角度に等しくなる。そのため、
図2に示すように、傾斜させた同一のパネル状部材10を、互いに異なる姿勢で設置された同一の支持具20で支持し易くなる。
【0032】
第1傾斜角θ1及び第2傾斜角θ2は、設置されるパネル状部材10の傾斜に応じて設定されればよい。第1傾斜角θ1及び第2傾斜角θ2は、特に限定されないが、例えば10°以下の角度であってよい。
支持具20は、第1底面21と第1積載面23との間に、第1底面21と直交する方向に延びる第1壁部25を有していてよい(
図6参照)。図示した態様では、第1壁部25は、第1底面21と第1積載面23とを連結するよう形成されている。支持具20が一方向に延びている場合、第1壁部25は当該一方向に延びていてよい。第1壁部25が第1底面21と直交する方向に延びる場合、第1壁部25は、支持具20の第1姿勢において、重力方向に沿って延びる。したがって、第1壁部25は、第1姿勢における支持具20の強度の向上に寄与し得る。
【0033】
好ましくは、支持具20は、少なくとも2つの第1壁部25を有する。図示した態様では、2つの第1壁部25が、第2底面22と第2積載面24との間に位置している。
【0034】
支持具20は、第2底面22と第2積載面24との間に、第2底面22と直交する方向に延びる、少なくとも1つ、好ましくは複数の第2壁部26を有していてよい(
図6参照)。支持具20が一方向に延びている場合、第2壁部26は当該一方向に延びていてよい。第2壁部26が第2底面22と直交する方向に延びる場合、第2壁部26は、支持具20の第2姿勢において、重力方向に沿って延びる。したがって、第2壁部26は、第2姿勢における支持具20の強度の向上に寄与し得る。
【0035】
図示した態様では、第2壁部26は、前述した2つの第1壁部25どうしを連結するよう形成されている。第2壁部26は、第1底面21と第1積載面23の間に位置している。図示した態様では、2つの第2壁部26が前述した2つの第1壁部25どうしを連結しており、第1姿勢と第2姿勢のいずれの場合であっても2つの第1壁部25と2つの第2壁部26とによって略長方形又は略正方形状の構造が形成されている。この場合、支持具20の強度がより向上し得る。
【0036】
支持具20が前述した第2壁部26を有する場合、第1積載面23は、第2底面22と第2積載面24とを結ぶ方向において、第2壁部26を挟んで両側に配置されていてよい(
図6参照)。パネル状部材10が支持具20に当接する領域が、第2壁部26を挟んで両側に配置されるため、支持具20は、第1姿勢においてパネル状部材10を安定的に支持し易い。
【0037】
好ましくは、第2壁部26を挟んで両側に配置された第1積載面23は、面一になるよう形成されている(特に
図6参照)。これにより、支持具20は、第1姿勢においてパネル状部材10をより安定的に支持することができる。
【0038】
支持具20は、第1姿勢で設置されたときに、第1底面21よりも下方に突出した突出部27を有していてよい(特に
図3及び
図6参照)。この場合であっても、突出部27が土台から外れた位置に配置されることによって、支持具20は、第1姿勢において、第1底面21を土台に当接させた状態で設置可能である。
【0039】
好ましくは、第2底面22は、
図6に示すように、第1積載面23と第1底面21との間に位置する部分22aと、第1底面21に関して第1積載面23とは反対側に突出した突出部分22bと、を有していてよい(特に
図6参照)。すなわち、突出部分22bは、前述した突出部27に形成されていてよい。ここで、第1積載面23と第1底面21の間の距離L1が小さい場合、第2底面22のうち、第1積載面23と第1底面21との間に位置する部分22aの範囲も狭くなる。突出部分22bが設けられていれば、第2底面22全体の範囲が広くなる。したがって、支持具20が第2姿勢で設置されたときであっても、突出部分22bのおかげで支持具20の安定性が向上する。
【0040】
また、第1姿勢において、突出部27は基礎80の側方に位置していてよい(
図3参照)。好ましくは、突出部27は、第1姿勢において基礎80の側面に当接していてよい。この場合、突出部27を基礎80の側面に当接させることによって、後述する第1締結部材81と後述する第1孔部31とを互いに位置決めすることができる。
【0041】
支持具20は、第1姿勢において支持具20を土台側に固定する第1締結部材81を挿通可能な第1孔部31と、第2姿勢において支持具20を土台側に固定する第1締結部材81を挿通可能な第2孔部32と、を有していてよい。第1締結部材81の種類は、支持具20を固定可能であれば特に制限されない。第1締結部材81は、例えばアンカーのような部材であってよい。第1締結部材81は、例えば、ねじ切りを有するボルトと、ボルトにねじ込まれるナットを有していてよい。この場合、第1孔部31及び第2孔部32は、ボルトを通し、かつナットを通さない大きさを有していてよい。
【0042】
支持具20は、第1姿勢において第1孔部31の上方に位置する壁部に、第3孔部33を有していてよい。第3孔部33は、第1姿勢において支持具20の第1孔部31に通された第1締結部材81にアクセス可能にするために設けられていてよい。本実施形態では、第1孔部31及び/又は第3孔部33は、前述した第2壁部26に形成されている。
【0043】
第1締結部材81が、ボルトとナットを有する場合、第3孔部33は、ボルトとナットの両方を通す大きさを有していてよい。これにより、作業者は、第1姿勢における支持具20に対して、上方からボルトにナットを締結させることができる。
【0044】
また、支持具20は、第2姿勢において第2孔部32の上方に位置する壁部に、第4孔部34を有していてよい。第4孔部34は、第2姿勢において支持具20の第2孔部32に通された第1締結部材81にアクセス可能にするために設けられていてよい。
【0045】
第1締結部材81が、ボルトとナットを有する場合、第4孔部34は、ボルトとナットの両方を通す大きさを有していてよい。これにより、作業者は、第2姿勢における支持具20に対して、上方からボルトにナットを締結させることができる。
【0046】
好ましくは、第2孔部32及び/又は第4孔部34は、前述した突出部27に形成されている。具体的には、第2孔部32は、第2底面22の突出部分22bに形成されていてよい。
【0047】
図示した態様において、支持具20は、第2姿勢において、突出部27の上方に何らかの構造を有していない。したがって、第2孔部32及び/又は第4孔部34が突出部27に形成されている場合、作業者は、第2孔部32及び/又は第4孔部34に通した第1締結部材81に容易にアクセスすることができる。
【0048】
パネル状部材組立体は、支持具20上に支持されたパネル状部材10のフレーム14を、支持具20の方へ向けて押圧する締め具70を有していてよい。締め具70は、フランジ72と、当接部74と、を有していてよい。フランジ72は、パネル状部材10のフレーム14を上方から下方へ押圧する。パネル状部材10のフレーム14は、第1積載面23又は第2積載面24と、締め具70のフランジ72との間に挟まれる。
【0049】
締め具70の当接部74は、互いに隣接するパネル状部材10どうしの間、もしくは端に位置するパネル状部材10の外側に位置し、第1積載面23又は第2積載面24と当接してよい。当接部74は、支持具20と連結されるための第2締結部材82を挿通する不図示の孔部を有していてよい。
【0050】
第2締結部材82の種類は、締め具70を支持具20に固定可能であれば特に制限されない。例えば、第2締結部材82は、ねじ切りを有するボルトと、ボルトにねじ込まれるナットを有していてよい。
【0051】
支持具20は、第1姿勢において第2締結部材82を受け入れ可能な第1溝部35と、第2姿勢において第2締結部材82を受け入れ可能な第2溝部36と、を有していてよい。第1溝部35は第1積載面23に形成されていてよく、第2溝部36は第2積載面24に形成されていてよい。したがって、第1積載面23は、第1積載面23に積載されたパネル状部材10を固定するための第2締結部材82を受け入れ可能な第1溝部35を有していてよい。また、第2積載面24は、第2積載面24に積載されたパネル状部材10を固定するための第2締結部材82を受け入れ可能な第2溝部36を有していてよい。
【0052】
これにより、締め具70は、第1姿勢の支持具20と第2姿勢の支持具20の両方に対して、第2締結部材82を第1溝部35と第2溝部36のいずれかに通すことによって、支持具20に締結され得る(特に
図3及び
図4参照)。
【0053】
第1溝部35と第2溝部36は、第2締結部材82の一部を収容するよう形成されている。したがって、第1溝部35と第2溝部36は、互いに同じ形状を有していてよい。
【0054】
好ましくは、第1溝部35と第2溝部36の少なくとも一方、好ましくは両方は、第2締結部材82の一部を収容した状態で、支持具20の延在方向に第2締結部材82をスライド可能に形成されている。第2締結部材82がボルトとナットを含む場合、第1溝部35と第2溝部36の少なくとも一方、好ましくは両方は、ナットを収容可能で、かつナットを上記延在方向にスライド可能に形成されていてよい。これにより、支持具20の延在方向における第2締結部材82の位置調節ができる。したがって、締め具70の設置位置をパネル状部材10のサイズに合わせて柔軟に変更することができたり、締め具70の設置に伴う作業が容易になったりする。
【0055】
好ましくは、第1溝部35と第2溝部36の少なくとも一方、好ましくは両方は、支持具20の一端から他端まで延びている。これにより、第2締結部材82、例えばナットは、支持具20の端から第1溝部35及び第2溝部36内に挿入することができる。
【0056】
支持具20は、同一の構造を有する別の支持具20と連結可能であってもよい。連結具90が、このような支持具20どうしの連結のために用いられる。
図7は、互いに隣接するパネル状部材用の支持具どうしを連結する連結具の斜視図である。
【0057】
具体的には、支持具20は、連結具90を挿入可能な空洞部39を有していてよい。空洞部39は、支持具20の延在方向に沿って形成されている(
図3及び
図4)。
図3及び
図4では、空洞部39に挿入された連結具90が描かれている。これにより、連結具90は、延在方向に沿って互いに隣接させた一対の支持具20に跨って位置することができる。
【0058】
支持具20は、第3締結部材83を通す不図示の第5孔部を有していてよい。第3締結部材83の種類は、連結具90を支持具20に固定可能であれば特に制限されない。例えば、第3締結部材83は、ねじ切りを有するボルトと、ボルトにねじ込まれるナットを有していてよい。この代わりに、第3締結部材83は、螺子やビスや釘のような部材であってもよい。
【0059】
連結具90は、第3締結部材83を通す孔部92を有していてよい。連結具90が支持具20の空洞部39に挿入されたときに、連結具90の孔部92は、支持具20の不図示の第5孔部に位置合わせされる。これにより、第3締結部材83によって、連結具90と支持具20とを締結することができる。
【0060】
連結具90は、折り曲げによって形成された少なくとも2つの平面94,95を有していてよい。第3締結部材83を通す孔部92は、少なくとも2つの平面94,95のそれぞれに設けられていてよい。この場合、支持具20は、少なくとも2つの平面94,95のそれぞれに対向する位置に不図示の第5孔部を有していてよい。連結具90が、折り曲げによって形成された少なくとも2つの平面94,95で支持具20に締結されることによって、支持具20どうしをより安定的に連結することができる。
【0061】
支持具20の延在方向に直交する断面の形状は、支持具20に設けられた孔部を除き、支持具20のどこの位置の断面であっても同じであることが好ましい。これにより、支持具20は、押出成形と穴あけ加工により容易に製造することができる。もっとも、支持具20は、このような押出成形と穴あけ加工で製造可能な形状に限定されないことに留意されたい。
【0062】
上記実施形態では、支持具20は土台としての基礎80上に直接置かれ、かつパネル状部材10は支持具20の第1積載面23及び第2積載面24上に直接置かれている。この態様に限らず、支持具20と土台との間に別の部材が配置されてもよい。また、パネル状部材10と支持具20の第1積載面23及び第2積載面24との間に別の部材が配置されてもよい。
【0063】
上記実施形態では、互いに異なる姿勢で設置された同一の支持具20でパネル状部材10を支持することについて説明した。しかしながら、支持具20の使用の仕方はこれに限定されない。上記態様の支持具20は、例えば異なるパネル状部材10の設置の高さを変えるために利用することもできる。
【0064】
上記実施形態の説明から少なくとも以下の発明が開示されていることに留意されたい。
[付記1]
第1姿勢において土台側に向けられる第1底面と、
前記第1姿勢においてパネル状部材を積載可能な第1積載面と、
前記第1姿勢とは異なる第2姿勢において土台側に向けられる第2底面と、
前記第2姿勢においてパネル状部材を積載可能な第2積載面と、を有する、パネル状部材用の支持具。
【0065】
[付記2]
前記第1底面、前記第2底面、前記第1積載面及び前記第2積載面は、一体的部材の一部として形成されている、付記1に記載のパネル状部材用の支持具。
【0066】
[付記3]
前記第2底面から前記第2積載面までの長さが、前記第1底面から前記第1積載面までの長さよりも長い、付記1又は2に記載のパネル状部材用の支持具。
【0067】
[付記4]
前記第1積載面は、前記第1底面に関して第1傾斜角で傾斜しており、
前記第2積載面は、前記第2底面に関して第2傾斜角で傾斜している、付記1から3のいずれか1項に記載のパネル状部材用の支持具。
【0068】
[付記5]
前記第2傾斜角は前記第1傾斜角と同じである、付記4に記載のパネル状部材用の支持具。
【0069】
[付記6]
前記第1底面は、前記第1積載面とは反対側に位置しており、
前記第2底面は、前記第2積載面とは反対側に位置しており、
前記第1積載面は、前記第2積載面と交差している、付記1から5のいずれか1項に記載のパネル状部材用の支持具。
【0070】
[付記7]
前記第2底面は、前記第1積載面と前記第1底面との間に位置する部分と、前記第1底面から前記第1積載面とは反対側に突出した突出部分と、を有する、付記1から6のいずれか1項に記載のパネル状部材用の支持具。
【0071】
[付記8]
前記第2姿勢において前記支持具を土台側に固定する第1締結部材を挿通可能な第2孔部を有し、
前記第2孔部は、前記突出部分に形成されている、付記7に記載のパネル状部材用の支持具。
【0072】
[付記9]
前記第1底面と前記第1積載面との間に、前記第1底面と直交する方向に延びる第1壁部を有する、付記1から8のいずれか1項に記載のパネル状部材用の支持具。
【0073】
[付記10]
前記第2底面と前記第2積載面との間に、前記第2底面と直交する方向に延びる第2壁部を有する、付記1から9のいずれか1項に記載のパネル状部材用の支持具。
【0074】
[付記11]
前記第1積載面は、前記第2底面と前記第2積載面とを結ぶ方向において、前記第2壁部を挟んで両側に配置されており、
前記第2壁部を挟んで両側に配置された前記第1積載面は、面一になるよう形成されている、付記10に記載のパネル状部材用の支持具。
【0075】
[付記12]
前記第1姿勢において前記支持具を土台側に固定する第1締結部材を挿通可能な第1孔部を有し、
前記第1孔部は、前記第2壁部に形成されている、付記10又は11に記載のパネル状部材用の支持具。
【0076】
[付記13]
前記第1積載面は、前記第1積載面に積載された前記パネル状部材を固定するための第2締結部材を受け入れ可能な第1溝部を有し、
前記第2積載面は、前記第2締結部材を受け入れ可能な第2溝部を有する、付記1から12のいずれか1項に記載のパネル状部材用の支持具。
【0077】
[付記14]
前記第1溝部と前記第2溝部の少なくとも一方は、前記第2締結部材の一部をスライド可能に形成されている、付記13に記載のパネル状部材用の支持具。
【0078】
[付記15]
付記1から14のいずれか1項に記載の複数のパネル状部材用の支持具と、
複数の前記支持具によって支持されたパネル状部材と、を有する、パネル状部材組立体。
【0079】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0080】
10 パネル状部材
20 支持具
21 第1底面
22 第2底面
23 第1積載面
24 第2積載面
25 第1壁部
26 第2壁部
27 突出部
31 第1孔部
32 第2孔部
35 第1溝部
36 第2溝部