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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009300
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】立体駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20240112BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
E04H6/06 W
E04H6/42 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201087
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2022083301の分割
【原出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2022003737
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 優
(72)【発明者】
【氏名】小池 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉満 勇矢
(57)【要約】
【課題】昇降可能な複数のパレット、複数のパレットの周囲を囲む囲い部を備え、各パレットに車両を搭載して駐車させる立体駐車装置であって、装置内部に火災が発生した場合であっても、立体駐車装置の外部より内部に容易に通ずることができ、初期段階による消火活動を行うことが可能な立体駐車装置を提供する。
【解決手段】囲い部30は、ゲート31、隔壁32、ゲートの一部、及び/または隔壁の一部を手動によって開放する開放手段240・250・340を有し、開放手段は、開口部241・251・341、パネル部材242・352・342、及び手動による操作によって、締結状態となる締結位置P1と、当該締結状態を解除する締結解除位置P2とに変位可能であり、パネル部材を開口部の周縁に固定する手動締結部材243・253を有し、パネル部材を固定した状態で、手動締結部材をパネル部材に封印する封印シール253eをさらに有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能に配置される複数のパレットと、前記複数のパレットの周囲を囲む囲い部とを備え、各々の前記パレットに車両を搭載して駐車させる立体駐車装置であって、
前記囲い部は、
前記パレットに対して車両の出入庫を行う出入口を開閉するゲートと、
前記出入口を除いた領域を囲む隔壁と、
前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を手動によって開放する開放手段とを有し、
前記開放手段は、
前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開口する開口部と、
前記開口部を閉塞するパネル部材と、
手動による操作によって、締結状態となる締結位置と、当該締結状態を解除する締結解除位置とに変位可能であり、前記パネル部材を前記開口部の周縁に固定する手動締結部材とを有し、
前記手動締結部材によって前記パネル部材を固定した状態において、
前記手動締結部材を前記パネル部材に固定して封印する封印シールをさらに有する、
ことを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】
前記手動締結部材は、
先端部に掛止部を有した丸棒形状の部材からなり、前記パネル部材において軸方向に移動可能に取付けられる雄金具と、
前記掛止部側より前記雄金具を挿通させて掛止可能な孔部を有し、前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部に固定される雌金具とを有し、
前記締結位置は、
前記雄金具を前記雌金具の前記孔部に挿通し、前記掛止部を介して当該雄金具を前記雌金具に掛止させた位置であり、
前記締結解除位置は、
前記雌金具の前記孔部から前記雄金具を引き抜き、前記雌金具との掛止状態を解除させた位置である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の立体駐車装置。
【請求項3】
昇降可能に配置される複数のパレットと、前記複数のパレットの周囲を囲む囲い部とを備え、各々の前記パレットに車両を搭載して駐車させる立体駐車装置であって、
前記囲い部は、
前記パレットに対して車両の出入庫を行う出入口を開閉するゲートと、
前記ゲートの左右両側及び後側のみに位置する隔壁と、
前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を手動によって開放する開放手段とを有する、
ことを特徴とする立体駐車装置。
【請求項4】
前記開放手段は、
前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開口する開口部と、
ケイ酸カルシウムからなるケイカル板、石膏ボード、または樹脂製部材からなるアクリル板の何れかによって形成され、前記開口部を閉塞するパネル部材とを有する、
ことを特徴とする、請求項1または請求項3に記載の立体駐車装置。
【請求項5】
前記開放手段は、
前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開口する開口部と、
ケイ酸カルシウムからなるケイカル板、石膏ボード、及び樹脂製部材からなるアクリル板に比べて高強度の材料からなり、前記開口部を閉塞するパネル部材と、
前記開口部の周縁より前記パネル部材を開閉可能に支持するヒンジと、
平常時において解錠不能に保持されており、緊急時においてのみ手動による操作によって解錠可能な非常錠とを有する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の立体駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、限られたスペースを有効利用し、より多くの車両を駐車させる装置として、機械式の立体駐車装置が知られている。
立体駐車装置は、複数の車両を立体的に駐車させる装置であって、主に、フレーム構造体の内部において昇降可能に配置される複数のパレットと、当該パレットに対して車両の出入庫を行う出入口を開閉するゲートとを備えている。
また、上記出入口は、フレーム構造体の一部であって、立体駐車装置の所定の階層(例えば、地上1階の階層)に設けられており、上記ゲートは、主に昇降装置によって昇降させることにより、出入口を開閉する構成となっている(例えば、「特許文献1」を参照)。
【0003】
そして、このような構成からなる立体駐車装置に車両を駐車させる場合には、先ず始めに、ゲートを開いて出入口より車両を入庫させて、当該車両をパレットに搭載し、次に、ゲートを閉じて車両を搭載したパレットを所定の階層へと昇降させる。
以上の手順を繰り返すことにより、複数の車両は、各パレットに搭載された状態にて所定の階層に配置され、立体的に駐車される。
【0004】
なお、このような機械式の立体駐車装置としては、各パレットが昇降するだけでなく、横行する機能も兼ね備えた、パズル式の立体駐車装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-248767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような立体駐車装置は一般的に、火災や地震等の不慮の災害が発生した場合、直ちに稼働不能な緊急停止状態となるように制御されている。
また、立体駐車装置における出入口が設けられた階層(例えば、地上1階の階層)においては、防犯等の理由から、ゲートが閉じられた状態にて、装置内部への人の侵入や、消火器等のノズルの挿入が不可能な程度にまで、立体駐車装置の側面における出入口を除いた領域が、フェンス等の隔壁によって囲まれている場合が多い。
【0007】
従って、従来の立体駐車装置では、例えばゲートによって出入口が閉じられた状態において、当該装置の内部で火災が発生した場合においては、緊急停止状態となってゲートを開くことが困難であり、且つ上記隔壁によって阻まれることから、上記階層において、装置内部に消防隊員が侵入したり、或いは消火器等のノズルを挿入したりすることが難しく、初期段階による消火活動に遅れ、立体駐車装置における火災による被害が広がる虞があった。
【0008】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、昇降可能に配置される複数のパレットと、当該複数のパレットの周囲を囲む囲い部とを備え、各々のパレットに車両を搭載して駐車させる立体駐車装置であって、例えば装置内部において火災が発生した場合であっても、立体駐車装置の外部より当該装置の内部に容易に通ずることができ、初期段階による消火活動を行うことが可能である立体駐車装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、本発明の態様1に係る立体駐車装置は、昇降可能に配置される複数のパレットと、前記複数のパレットの周囲を囲む囲い部とを備え、各々の前記パレットに車両を搭載して駐車させる立体駐車装置であって、前記囲い部は、前記パレットに対して車両の出入庫を行う出入口を開閉するゲートと、前記出入口を除いた領域を囲む隔壁と、前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を手動によって開放する開放手段とを有し、前記開放手段は、前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開口する開口部と、前記開口部を閉塞するパネル部材と、手動による操作によって、締結状態となる締結位置と、当該締結状態を解除する締結解除位置とに変位可能であり、前記パネル部材を前記開口部の周縁に固定する手動締結部材とを有し、前記手動締結部材によって前記パネル部材を固定した状態において、前記手動締結部材を前記パネル部材に固定して封印する封印シールをさらに有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る立体駐車装置によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合であっても、開放手段によってゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開放し、立体駐車装置の外部より当該装置の内部に容易に通ずることができるため、装置内部に消防隊員が侵入したり、或いは消火器等のノズルを挿入したりして、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
従って、従来の立体駐車装置に比べて、火災による被害が広がるのを防止し、さらに安全性を向上させることが可能である。
【0011】
また、本発明の態様2に係る立体駐車装置は、上記態様1において、前記手動締結部材は、先端部に掛止部を有した丸棒形状の部材からなり、前記パネル部材において軸方向に移動可能に取付けられる雄金具と、前記掛止部側より前記雄金具を挿通させて掛止可能な孔部を有し、前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部に固定される雌金具とを有し、前記締結位置は、前記雄金具を前記雌金具の前記孔部に挿通し、前記掛止部を介して当該雄金具を前記雌金具に掛止させた位置であり、前記締結解除位置は、前記雌金具の前記孔部から前記雄金具を引き抜き、前記雌金具との掛止状態を解除させた位置である、ことを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る立体駐車装置によれば、別途複雑な機構を設けることなく、簡易な機構によって手動締結部材を構築することができる。
【0012】
また、本発明の態様3に係る立体駐車装置は、昇降可能に配置される複数のパレットと、前記複数のパレットの周囲を囲む囲い部とを備え、各々の前記パレットに車両を搭載して駐車させる立体駐車装置であって、前記囲い部は、前記パレットに対して車両の出入庫を行う出入口を開閉するゲートと、前記ゲートの左右両側及び後側のみに位置する隔壁と、前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を手動によって開放する開放手段とを有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る立体駐車装置によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合であっても、開放手段によってゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開放し、立体駐車装置の外部より当該装置の内部に容易に通ずることができるため、装置内部に消防隊員が侵入したり、或いは消火器等のノズルを挿入したりして、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
従って、従来の立体駐車装置に比べて、火災による被害が広がるのを防止し、さらに安全性を向上させることが可能である。
【0013】
なお、上記態様1及び上記態様3において、上記隔壁とは、ゲートともに複数のパレットの周囲を囲むものであって、例えば、地上に配置された立体駐車装置においては、当該装置の側面に設けられるフェンス等を一例として挙げることができ、また、建物や地下に配置された立体駐車装置においては、通常、このようなフェンス等が設けられていないものの、当該装置の側面に接近して位置する建物や地下室の壁面等を一例として挙げることができる。つまり、本発明に係る立体駐車装置は、地上及び地下の何れに配置される立体駐車装置も、概念として含むものである。
また、「ゲートの一部を手動によって開放する」とは、手動操作によって、ゲートの一部を強制的に開動作させることも、概念として含むものであり、例えば、非常手動操作釦を押して、ゲートを制御的に強制動作させる場合や、別途設けられる操作ハンドル等を操作して、機械的に強制動作させる場合を含むものである。
【0014】
また、本発明の態様4に係る立体駐車装置は、上記態様1または上記態様3において、前記開放手段は、前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開口する開口部と、ケイ酸カルシウムからなるケイカル板、石膏ボード、または樹脂製部材からなるアクリル板の何れかによって形成され、前記開口部を閉塞するパネル部材とを有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る立体駐車装置によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合、人為的に蹴破る等してパネル部材を破壊し、ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を直ちに開放することができるため、立体駐車装置の外部より当該装置の内部に、より容易に通ずることが可能であり、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
【0015】
また、本発明の態様5に係る立体駐車装置は、上記態様3において、前記開放手段は、前記ゲートの一部、及び/または前記隔壁の一部を開口する開口部と、ケイ酸カルシウムからなるケイカル板、石膏ボード、及び樹脂製部材からなるアクリル板に比べて高強度の材料からなり、前記開口部を閉塞するパネル部材と、前記開口部の周縁より前記パネル部材を開閉可能に支持するヒンジと、平常時において解錠不能に保持されており、緊急時においてのみ手動による操作によって解錠可能な非常錠とを有することを特徴とする。
このような構成を有することにより、本発明に係る立体駐車装置によれば、例えば装置内部において火災が発生する等緊急時の場合、手動操作によって非常錠を解錠するだけで、パネル部材を開状態とし、ゲート及び/または隔壁の一部を直ちに開放することができるため、立体駐車装置の外部より当該装置の内部に、より容易に通ずることが可能であり、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る立体駐車装置によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合であっても、立体駐車装置の外部より当該装置の内部に容易に通ずることができ、初期段階による消火活動を直ちに行うことで、火災による被害が広がるのを防止し、さらに安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る立体駐車装置の全体的な構成を示した斜視図である。
図2】立体駐車装置の出入口に設けられるゲートの構成を示した正面図である。
図3】本実施形態における開放機構部の構成を示した拡大正面図である。
図4】第1別実施形態における開放機構部の構成を示した拡大正面図である。
図5】第2別実施形態における開放機構部の構成を示した図であって、(a)は蝶ナットからなる手動締結部材の近傍を示した拡大断面側面図であり、(b)はトリムクリップからなる手動締結部材の近傍を示した拡大断面側面図である。
図6】第2別実施形態の変形例における開放機構部において、手動締結部材を塞ぐ封印シールを有した構成を示した拡大正面図である。
図7】第2別実施形態の変形例における開放機構部において、手動締結部材を塞ぐ封印シールを有した構成の近傍を示した拡大正面図である。
図8】第2別実施形態の変形例における開放機構部において、手動締結部材を塞ぐ封印シールを有した構成の近傍を示した図であって、(a)は図7中の矢印X1の方向に見た拡大断面平面図であり、(b)は図7中の矢印X2の方向に見た拡大断面側面図である。
図9】第2別実施形態の変形例において、雄金具及び雌金具からなる手動締結部材を用いた場合の開放機構部を示した拡大断面側面図である。
図10】第3別実施形態における開放機構部の構成を示した拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態について、図1乃至図10を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、立体駐車装置1の出入口13が設けられる側を前側とし、図1乃至図10中に示した矢印の方向によって、立体駐車装置1及び開放機構部40・140・240・340の前後方向、左右方向、及び上下方向を規定して記述する。
【0019】
[立体駐車装置1の全体構成]
先ず、本発明を具現化した立体駐車装置1の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態における立体駐車装置1は、複数の車両W・W・・・を立体的に駐車させる、機械式の立体駐車装置であって、複数の階層に分かれて設けられる格納空間S・S・・・に対して、各車両Wを夫々配置することにより、これら複数の車両W・W・・・を同時に駐車させる装置である。
立体駐車装置1は、主に、装置本体の骨格をなすフレーム構造体10と、フレーム構造体10の内部において昇降可能に配置される複数のパレット20・20・・・と、これら複数のパレット20・20・・・の周囲を囲む囲い部30とを備えている。
【0021】
フレーム構造体10は、所定間隔にて平行に立設される複数本の支柱11・11・・・と、互いに隣接する支柱11・11間に配置され、且つこれら両部材11・11を連結する複数本の梁材12・12・・・とを有し、例えば本実施形態においては、3階建ての構造体として構成されている。
また、各支柱11は、立体駐車装置1に作用する荷重を支持可能な、十分な剛性を有する部材からなり、例えば本実施形態においては、H型鋼が採用されている。
【0022】
なお、フレーム構造体10によって構成される階層数については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば2階建て、或いは4階建て以上の構造体として構成されていてもよい。
【0023】
また、本実施形態において、フレーム構造体10は、1階に相当する第1階層F1が地下空間Vに位置し、2階以上の階に相当する第2階層F2及び第3階層F3が地上に位置するように配置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1階層F1及び第2階層F2が地下空間Vに位置し、第3階層F3のみが地上に位置するように配置されていてもよく、また、フレーム構造体10の全体が、地下空間V或いは地上に位置するように配置されていてもよい。
【0024】
そして、フレーム構造体10の内部には、各車両Wを格納可能な複数(本実施形態においては、3個所)の格納空間S・S・Sが、各々の階層ごとに設けられている。
また、フレーム構造体10の前側における所定の階層(本実施形態においては、地上1階に位置する第2階層F2)には、各パレット20に対して車両Wの出入庫を行う複数(本実施形態においては、3個所)の出入口13・13・13が、当該フレーム構造体10の一部として設けられている。具体的には、各出入口13は、フレーム構造体10の前側において、互いに隣接して配置される支柱11・11間の空間によって構成されている。
【0025】
パレット20は、各車両Wを搭載して所定の位置まで移動し、当該車両Wを駐車させるものであって、フレーム構造体10の内部における各格納空間Sに夫々配置されるとともに、図示せぬ昇降手段によって昇降可能に構成されている。
【0026】
そして、立体駐車装置1に車両Wを駐車(入庫)させる場合には、上記昇降手段によって、車両Wが未搭載のパレット20を第2階層F2にまで移動させ、所定の出入口13を介してパレット20上に車両Wを進入させて搭載した後、再び当該パレット20を所定の位置まで移動させる。
また、立体駐車装置1に駐車された車両Wを出庫させる場合には、上記昇降手段によって、所望の車両Wが搭載されたパレット20を第2階層F2にまで移動させ、所定の出入口13を介してパレット20上より車両Wを進出させた後、再び当該パレット20を所定の位置まで移動させる。
【0027】
なお、パレット20の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えばパズル式の立体駐車装置に設けられるパレットのように、所定の駆動手段によって、昇降および横行可能に構成されていてもよい。
【0028】
囲い部30は、立体駐車装置1(より具体的には、フレーム構造体10)の内部と外部とを隔てるものであって、主に、ゲート31、隔壁32、及び開放機構部40等を有する。
【0029】
ゲート31は、例えばフレーム構造体10に設けられる複数の出入口13・13・13に夫々設けられ、各出入口13を開閉するものである。
ゲート31は、図2に示すように、ゲート本体31Aと、当該ゲート本体31Aを可動させるゲート可動装置31Bとを有する。
【0030】
ゲート本体31Aは、例えば、矩形枠体形状に形成されたゲートフレーム31A1、当該ゲートフレーム31A1の内周側を閉塞するように配置される複数の第1パネル部材31A2・31A2、第2パネル部材31A3・31A3、及び第3パネル部材31A4・31A4・31A4・31A4、並びに当該ゲートフレーム31A1の外周側に設けられるガイド機構部31A5などを備える。
【0031】
そして、ゲート本体31Aは、各出入口13において、車両W(図1を参照)の出入庫方向(本実施形態においては、前後方向)と直交し、且つ当該車両Wの車幅方向(本実施形態においては、左右方向)と平行に配置され、ゲート可動装置31Bによって上下方向に移動(昇降)することにより、各出入口13を開閉可能に構成されている。
【0032】
なお、ゲート可動装置31Bによるゲート本体31Aの移動方向については、本実施形態のような上下方向に限定されるものではなく、上記車幅方向(左右方向)であってもよい。
【0033】
第1パネル部材31A2は、本発明に係る、人為的な外力を加えることにより破壊可能な低強度材料からなるパネル部材の一例であって、開放機構部40(図1を参照)を構成する部材である。
第1パネル部材31A2・31A2は、例えば本実施形態においては2枚設けられており、ゲートフレーム31A1における、互いに対向する一対の隅部(例えば、本実施形態においては、左上側及び右下側に位置する隅部)を閉塞するようにして、夫々配置されている。
つまり、ゲート31(より具体的には、ゲート本体31A)の少なくとも一部には、開放機構部40が設けられている。
【0034】
なお、第1パネル部材31A2の詳細な構成については、開放機構部40とともに後述する。
【0035】
第2パネル部材31A3は、無数の微細な孔部を有した、鋼やステンレス鋼等の金属製部材からなり、例えば、内抜加工によって形成されるパンチングメタル(内抜金網)や、メッシュ状に形成されたフェンスなどを採用することができる。
【0036】
そして、例えば本実施形態において、第2パネル部材31A3・31A3は、2枚設けられており、ゲートフレーム31A1における、上記一対の第1パネル部材31A2・31A2の配置位置を除いた、互いに対向する一対の隅部(例えば、本実施形態においては、右上側及び左下側に位置する隅部)を閉塞するようにして夫々配置され、ボルト等の締結部材を介してゲートフレーム31A1に固定されている。
【0037】
第3パネル部材31A4・31A4・31A4・31A4は、鋼やステンレス鋼等の金属製の薄板鋼板からなり、例えば本実施形態においては、4枚設けられている。
【0038】
そして、これら複数枚の第3パネル部材31A4・31A4・31A4・31A4は、ゲートフレーム31A1における、上記一対の第1パネル部材31A2・31A2と、上記一対の第2パネル部材31A3・31A3との間(例えば、本実施形態においては、左右方向中央部)において、これら両部材31A2・31A3間の隙間を閉塞するようにして夫々配置され、ボルト等の締結部材を介してゲートフレーム31A1に固定されている。
なお、これら複数枚の第3パネル部材31A4・31A4・31A4・31A4によって閉塞される、両部材31A2・31A3間の隙間については、少なくとも、身体の一部(手や指や足)を挿入不可能な程度にまで閉塞されていればよい。
【0039】
ゲート本体31Aの構成については、本実施形態に限定されるものではなく、少なくとも、ゲートフレーム31A1の内周側の一部に第1パネル部材31A2が配置されていれば、何れのような構成であってもよい。
【0040】
例えば、第2パネル部材31A3及び第3パネル部材31A4を設けることなく、1枚の第1パネル部材31A2のみによって、ゲートフレーム31A1の内周側の全領域を閉塞する構成としてもよいし、第3パネル部材31A4を設けることなく、所定の隅部(例えば、左上側または右下側に位置する隅部)に配置される1枚の第1パネル部材31A2と、複数の第2パネル部材31A3・31A3・・・とによって、ゲートフレーム31A1の内周側を閉塞する構成としてもよい。
【0041】
ガイド機構部31A5は、ゲート可動装置31Bによってゲート本体31Aを昇降させる際、当該ゲート本体31Aの昇降姿勢を規制するものである。
ガイド機構部31A5は、例えば、ゲートフレーム31A1の上部において、左右方向に突出して配置される一対の上側規制ローラ31A5a・31A5a、及び当該ゲートフレーム31A1の下部において、左右方向に突出して配置される一対の下側規制ローラ31A5b・31A5bなどを有する。
【0042】
上側規制ローラ31A5aは、軸心方向を左右方向として、当該軸心を中心にして回転可能に設けられ、後述するゲート側支柱31B1のフランジと、当該フランジと平行に配置され、且つ当該ゲート側支柱31B1に固定されているレール(図示せず)との間に配置されている。
【0043】
そして、上側規制ローラ31A5aは、ゲート可動装置31Bによってゲート本体31Aが昇降する際、上記ゲート側支柱31B1のフランジ及びレールの間を摺動し、ゲート本体31Aの前後方向における昇降姿勢のズレを規制する。
【0044】
下側規制ローラ31A5bは、軸心方向を前後方向として、当該軸心を中心にして回転可能に設けられ、ゲート側支柱31B1のウエブと当接可能に配置されている。
【0045】
そして、下側側規制ローラ31A5bは、ゲート可動装置31Bによってゲート本体31Aが昇降する際、上記ゲート側支柱31B1のウエブを摺動し、ゲート本体31Aの左右方向における昇降姿勢のズレを規制する。
【0046】
なお、ガイド機構部31A5の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、ゲート可動装置31Bによってゲート本体31Aが昇降する際、当該ゲート本体31Aの前後方向及び左右方向における昇降姿勢のズレを規制することが可能であれば、何れのような構成であってもよい。
【0047】
ゲート可動装置31Bは、例えば、ゲート本体31Aの左右両側に立設される一対のゲート側支柱31B1・31B1、駆動源として設けられる駆動モータ31B2、及びゲート本体31Aを牽引する吊り索31B3などを備える。
【0048】
ゲート側支柱31B1は、ゲート可動装置31Bに作用する荷重を支持可能な、十分な剛性を有する部材からなり、例えば本実施形態においては、H型鋼が採用されている。
なお、ゲート側支柱31B1は、ゲート可動装置31Bの構成部材として、フレーム構造体10に対して別途設けることとしてもよいし、当該フレーム構造体10の出入口13を構成する支柱11(図1を参照)によって、代用することとしてもよい。
【0049】
駆動モータ31B2は、所定のゲート側支柱31B1の上端部において、例えば、駆動軸の軸心方向を前後方向に向けた状態で配置される。
また、上記駆動軸には、スプロケット31B2aが貫設されている。
【0050】
一方、吊り索31B3・31B3は、駆動チェーンによって構成され、例えば、1基のゲート可動装置31Bに対して一対(2本)設けられている。
各吊り索31B3は、一方の端部において、駆動モータ31B2のスプロケット31B2aと連結されるとともに、他方の端部において、ゲートフレーム31A1の下部と連結されている。
【0051】
そして、駆動モータ31B2によって、スプロケット31B2aが正転方向に回転されることにより、吊り索31B3を介して、地下空間Vに位置する第1階層F1から、地上1階に位置する第2階層F2に向かってゲート本体31Aが上昇し、出入口13が閉状態となる。
また、駆動モータ31B2によって、スプロケット31B2aが逆転方向に回転されることにより、吊り索31B3を介して、第2階層F2から第1階層F1に向かってゲート本体31Aが下降し、出入口13が開状態となる。
【0052】
なお、ゲート可動装置31Bの構成については、本実施形態に限定されるものではなく、第1階層F1と第2階層F2との間でゲート本体31Aを昇降可能な構成であれば、何れのような構成であってもよい。
例えば、スプロケット31B2a及び吊り索31B3を、プーリ及びタイミングベルト等によって各々構成することとしてもよいし、或いは、上下方向に進退可能な電気式アクチュエータや、空圧式または油圧式アクチュエータ等によって、ゲート可動装置31Bを構成することとしてもよい。
【0053】
図1に示すように、隔壁32は、少なくとも出入口13が設けられた階層(本実施形態においては、地上1階に位置する第2階層F2)において、上述したゲート31(より具体的には、ゲート本体31A)とともに、立体駐車装置1の内部と外部とを隔てるものである。
隔壁32は、例えば、無数の微細な孔部を有した、鋼やステンレス鋼等の金属製部材からなるパンチングメタルやフェンス等によって構成され、立体駐車装置1の第2階層F2において、複数の出入口13・13・13を除いた領域、即ち、当該立体駐車装置1(より具体的には、フレーム構造体10)の左右両側及び後側を囲むようにして、フレーム構造体10の側面に配設されている。
【0054】
ここで、隔壁32は、防犯等の理由から設けられるものであり、一般的には、ゲート31が閉じられた状態において、少なくとも出入口13が設けられた階層(第2階層F2)より、立体駐車装置1の内部への、人や身体の一部(手や指や足)の侵入等が不可能な程度にまで、フレーム構造体10の左右両側及び後側を閉塞するように設けられる。
【0055】
なお、例えば、立体駐車装置1(フレーム構造体10)の全体が地下空間Vに位置する場合、一般的には、上記のようなパンチングメタルやフェンス等からなる隔壁32は設けられない一方、当該地下空間Vの壁面V1が、地下空間の床面より立体駐車装置1の内部への人の侵入等を防止する程度にフレーム構造体10に接近し、複数の出入口13・13・13を除いた領域を囲むようにして存在している場合が多い。
この場合、地下空間Vの壁面V1を、本発明に係る隔壁の一例として挙げることができる。
【0056】
そして、隔壁32の少なくとも一部には、後述する開放機構部40が設けられている。
なお、本実施形態においては、ゲート31(より具体的には、ゲート本体31A)及び隔壁32の双方に開放機構部40が設けられる構成となっているが、これに限定されることはなく、ゲート31(ゲート本体31A)または隔壁32の何れか一方にのみ、開放機構部40が設けられる構成としてもよい。
【0057】
開放機構部40は、本発明に係る開放手段の一例であって、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(本実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方)における少なくとも一部を手動によって開放するものである。
開放機構部40は、上述したように、人為的な外力を加えることにより破壊可能な低強度材料からなるパネル部材(例えば、ゲート本体31Aにおける第1パネル部材31A2)を有し、当該パネル部材を介して、ゲート本体31A及び隔壁32の一部を、手動によって開放する構成となっている。
【0058】
なお、開放機構部40の詳細な構成については、後述する。
【0059】
以上のように、本実施形態における立体駐車装置1は、昇降可能に配置される複数のパレット20・20・・・と、複数のパレット20・20・・・の周囲を囲む囲い部30とを備え、各々のパレット20に車両Wを搭載して駐車させる立体駐車装置であって、当該囲い部30は、各パレット20に対して車両Wの出入庫を行う出入口13を開閉するゲート31と、出入口13を除いた領域を囲む隔壁32と、ゲート31(より具体的には、ゲート本体31A)及び隔壁32における少なくとも一部を手動によって開放する開放機構部40とを有する構成となっている。
【0060】
このような構成を有することにより、本実施形態における立体駐車装置1によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合であっても、開放機構部40によってゲート本体31A及び隔壁32の一部を開放し、立体駐車装置1の外部より当該装置の内部に容易に通ずることができるため、装置内部に消防隊員が侵入したり、或いは消火器等のノズルを挿入したりして、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
従って、従来の立体駐車装置に比べて、火災による被害が広がるのを防止し、さらに安全性を向上させることが可能である。
また、このような消火活動だけでなく、例えば、装置内部に取り残された人がいる場合には、開放機構部40によってゲート本体31A及び隔壁32の一部を開放することにより、当該人を直ちに装置外部に避難させることができる。
さらに、例えば不意に、ゲート可動装置31Bが故障した場合であっても、開放機構部40によって強制的に開放し、立体駐車装置1の外部より当該装置の内部に容易に通ずることができる。
【0061】
なお、開放機構部40の構成については、本実施形態に限定されるものではない。
即ち、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32における少なくとも一部を、手動によって開放することが可能な構成であればよく、例えば、ゲート本体31Aを上下方向に分割可能な構成とし、当該ゲート本体31Aの上部を、手動操作によって強制的に上昇させて開動作させることにより、当該ゲート本体31Aの一部を開放させる構成としてもよい。
この場合、例えば、手動操作釦を押して、ゲート本体31Aの一部を制御的に強制動作(上昇)させたり、或いは、別途設けられる操作ハンドル等を操作して、ゲート本体31Aの一部を機械的に強制動作(上昇)させたりする構成であってもよい。
【0062】
[開放機構部40の構成]
次に、開放機構部40の構成について、図3を用いて詳細に説明する。
開放機構部40は、前述したように、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(図1を参照)における少なくとも一部を、手動によって開放するものであって、本実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方に設けられている。
なお、ゲート本体31A及び隔壁32に各々設けられる開放機構部40は、互いに略同等な構成からなるため、以下の説明においては、主にゲート本体31Aに設けられる開放機構部40について記載し、隔壁32に設けられる開放機構部40についての記載は省略する。
【0063】
開放機構部40は、主に、ゲート本体31Aにおける少なくとも一部を開口する開口部41と、当該開口部41を閉塞するパネル部材42と、ゲート本体31Aのゲートフレーム31A1よりパネル部材42を支持する支持部材43とを有する。
【0064】
開口部41は、ゲート本体31Aに予め形成されている空間部である。
開口部41は、例えば本実施形態においては、ゲートフレーム31A1の内周側における、複数の第2パネル部材31A3・31A3(図2を参照)及び第3パネル部材31A4・31A4・31A4・31A4によって閉塞された領域を除いた、他の領域の空間部によって構成される。
【0065】
なお、隔壁32に設けられる開放機構部40においては、当該隔壁32を開口する空間部が、開口部41(図1を参照)として予め形成されている。
【0066】
パネル部材42は、前述したように、人為的な外力を加えることにより破壊可能な低強度材料からなる第1パネル部材31A2によって構成され、開口部41と略同等の面積を有した矩形平板状に形成される。
このような低強度材料の一例として、例えば、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)や石膏ボード、或いは樹脂製部材(アクリル板)等のような、人が容易に蹴破ることが可能な材料を採用することができる。
【0067】
なお、パネル部材42においては、防犯等の理由から、立体駐車装置1の内部の視認性を確保するために、例えば、予め無数の微細な孔部を設けたり、或いは、当該装置の内部を視認可能な程度にまで、光を透過可能に(透明に)形成されていてもよい。
また、パネル部材42においては、人為的な外力によって、より容易に破壊可能な構成とするために、予めケガキ線等を設けることとしてもよい。
【0068】
支持部材43・43は、鋼やステンレス鋼等の金属製部材からなり、例えば本実施形態においては、パネル部材42の上端部及び下端部に沿って延出する、一対の帯板状部材によって形成される。
【0069】
そして、各支持部材43は、長手方向に延びる一方の側端部において、ボルト等の締結部材を用いてゲートフレーム31A1に固定され、且つ長手方向に延びる他方の側端部において、当該締結部材を用いてパネル部材42に固定される。
これにより、パネル部材42は、開口部41を閉塞した状態で、一対の支持部材43・43を介して、ゲートフレーム31A1に固定される。
【0070】
なお、支持部材43の形状については、本実施形態のような、帯板状に限定されるものではなく、ゲートフレーム31A1に対してパネル部材42を固定可能であれば、何れのような形状であってもよい。
【0071】
一方、隔壁32に設けられる開放機構部40においては、開口部41の周縁に沿って、図示せぬ金属製の矩形枠状部材が予め設けられており、当該矩形枠状部材に対して、パネル部材42は、開口部41を閉塞した状態で、一対の支持部材43・43を介して、当該隔壁32に固定される。
【0072】
以上のように、本実施形態における開放機構部40は、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(本実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方)における少なくとも一部を開口する開口部41と、人為的な外力を加えることにより破壊可能な低強度材料からなり、当該開口部41を閉塞するパネル部材42とを有する。
【0073】
このような構成を有することにより、本実施形態における開放機構部40を有する立体駐車装置1によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合、人為的に蹴破る等してパネル部材42を破壊し、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32の一部を直ちに開放することができるため、立体駐車装置1の外部より当該装置の内部に、より容易に通ずることが可能であり、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
【0074】
なお、本実施形態における開放機構部40は、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32における少なくとも一部を開口するものであることから、例えば、前述したように、ゲートフレーム31A1の内周側の全領域を閉塞するように、第1パネル部材31A2として1枚のパネル部材42を設けることとしてもよいし、隔壁32の一側面の全体に、パネル部材42を設けることとしてもよい。
【0075】
[開放機構部140(第1別実施形態)の構成]
次に、第1別実施形態における開放機構部140の構成について、図4を用いて詳細に説明する。
第1別実施形態における開放機構部140も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(図1を参照)における少なくとも一部を、手動によって開放するものであって、本別実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方に設けられている。
なお、ゲート本体31A及び隔壁32に各々設けられる開放機構部140は、互いに略同等な構成からなるため、以下の説明においては、主にゲート本体31Aに設けられる開放機構部140について記載し、隔壁32に設けられる開放機構部140についての記載は省略する。
【0076】
開放機構部140は、主に、ゲート本体31Aにおける少なくとも一部を開口する開口部141と、当該開口部141を閉塞するパネル部材142と、当該開口部141の周縁よりパネル部材142を支持する複数の支持部材143・143・・・とを有する。
【0077】
開口部141は、ゲート本体31Aに予め形成されている空間部である。
なお、開口部141は、前述した開放機構部40の開口部41と同等の構成からなるため、説明は省略する。
【0078】
パネル部材142は、本発明に係る、人為的な外力では破壊不能な高強度材料からなるパネル部材の一例であって、例えば、鋼やステンレス鋼等の金属製部材からなり、本別実施形態においては、無数の微細な孔部を有したパンチングメタル(内抜金網)や、メッシュ状に形成されたフェンスなどにより構成されている。
そして、パネル部材142は、開口部141と略同等の面積を有した矩形平板状に形成される。
【0079】
支持部材143は、人為的な外力を加えることにより破壊可能な低強度材料からなり、例えば、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)や石膏ボード、或いは樹脂製部材(アクリル板)等のような、人が容易に蹴破ることが可能な材料を採用することができる。
また、支持部材143・143・・・は、例えば矩形平板状に形成され、開放機構部140に複数設けられる。
【0080】
そして、各支持部材143は、長手方向の一端部において、例えばプレート部材144を介して挟持された状態で、ボルト等の締結部材を用いてゲートフレーム31A1に固定され、且つ長手方向の他端部において、当該締結部材を用いてパネル部材142に固定される。
これにより、パネル部材142は、開口部141を閉塞した状態で、複数の支持部材143・143・・・を介して、当該開口部141の周縁よりゲートフレーム31A1に固定される。
【0081】
なお、支持部材143の構成については、本別実施形態に限定されるものではなく、例えば、パネル部材142の外形に沿って矩形枠体形状に形成された、単一の部材として構成されていてもよい。
【0082】
以上のように、第1別実施形態における開放機構部140は、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(本別実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方)における少なくとも一部を開口する開口部141と、人為的な外力では破壊不能な高強度材料からなり、当該開口部141を閉塞するパネル部材142と、人為的な外力を加えることにより破壊可能な低強度材料からなり、当該開口部141の周縁よりパネル部材142を支持する支持部材143とを有する。
【0083】
このような構成を有することにより、第1別実施形態における開放機構部140を有する立体駐車装置1によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合、人為的にパネル部材142に衝撃を加えて支持部材143を破壊して、当該パネル部材142を取外し、ゲート本体31A及び/または隔壁32の一部を直ちに開放することができるため、立体駐車装置1の外部より当該装置の内部に、より容易に通ずることが可能であり、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
【0084】
なお、第1別実施形態における開放機構部140も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32における少なくとも一部を開口するものであることから、例えば、ゲートフレーム31A1の内周側の全領域を閉塞するように、1枚のパネル部材142を設けることとしてもよいし、隔壁32の一側面の全体に、パネル部材142を設けることとしてもよい。
また、支持部材143においては、人為的な外力によって、より容易に破壊可能な構成とするために、予めケガキ線等を設けることとしてもよい。
【0085】
[開放機構部240(第2別実施形態)の構成]
次に、第2別実施形態における開放機構部240の構成について、図5乃至図8を用いて詳細に説明する。
第2別実施形態における開放機構部240も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(図1を参照)における少なくとも一部を、手動によって開放するものであって、本別実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方に設けられている。
なお、ゲート本体31A及び隔壁32に各々設けられる開放機構部240は、互いに略同等な構成からなるため、以下の説明においては、主にゲート本体31Aに設けられる開放機構部240について記載し、隔壁32に設けられる開放機構部240についての記載は省略する。
【0086】
図5に示すように、開放機構部240は、主に、ゲート本体31Aにおける少なくとも一部を開口する開口部241と、当該開口部241を閉塞するパネル部材242と、当該開口部241の周縁にパネル部材242を固定する手動締結部材243とを有する。
【0087】
開口部241は、ゲート本体31Aに予め形成されている空間部である。
なお、開口部241は、前述した開放機構部40の開口部41と同等の構成からなるため、説明は省略する。
【0088】
パネル部材242は、本発明に係る、人為的な外力では破壊不能な高強度材料からなるパネル部材の一例であって、例えば、鋼やステンレス鋼等の金属製部材からなり、本別実施形態においては、無数の微細な孔部を有したパンチングメタル(内抜金網)や、メッシュ状に形成されたフェンスなどにより構成されている。
そして、パネル部材242は、開口部241に比べてやや大きい面積を有した矩形平板状に形成される。
【0089】
手動締結部材243は、手動による操作によって、締結状態となる締結位置P1と、当該締結状態を解除する締結解除位置P2とに変位可能な構成からなる締結部材である。
このような構成からなる手動締結部材243の一例として、例えば図5(a)に示すような、蝶ナット243aを採用することができる。
【0090】
具体的には、パネル部材242の外周部には、複数(図5(a)は拡大断面側面図であるため1個のみ記載)の貫通孔242a・242a・・・が、予め所定の位置に設けられている。
【0091】
一方、ゲートフレーム31A1における開口部241の周縁には、複数(図5(a)は拡大断面側面図であるため1個のみ記載)のボルト244・244・・・が、当該ゲートフレーム31A1に貫設されている。
また、これら複数のボルト244・244・・・は、開口部241を閉塞するようにして配置された、パネル部材242の貫通孔242a・242a・・・と重なる位置に各々設けられ、雄ネジ部をパネル部材242側(前側)に向けた状態で貫設されるとともに、溶接等によってゲートフレーム31A1に固設されている。
【0092】
そして、各々の貫通孔242aに、ボルト244の雄ネジ部を差し込んだ状態において、当該雄ネジ部に蝶ナット243aを螺合させ、手動による操作によって、当該蝶ナット243aを締結解除位置P2から締結位置P1へと移動させることにより、パネル部材242は、開口部241を閉塞した状態で、ゲートフレーム31A1(より具体的には、当該開口部241の周縁)に固定される。
また、複数の貫通孔242a・242a・・・に、ボルト244・244・・・の雄ネジ部を各々差し込んだ状態において、締結位置P1に位置する蝶ナット243aを、手動による操作によって弛め、締結解除位置P2に移動させることにより、パネル部材242は、ゲートフレーム31A1(開口部241の周縁)に固定された状態から解放され、開口部241の周縁から取外すことが可能となる。
【0093】
また、手動締結手段243の別の一例として、例えば図5(b)に示すような、トリムクリップ243bを採用することができる。
【0094】
トリムクリップ243bは、例えば、車両の室内において、カーペット等を車体に固定するために設けられる既知の締結部材であって、主に、中空状のクリップ本体243b1と、当該クリップ本体243b1に挿通可能な操作バー243b2とを有し、クリップ本体243b1に対して、手動操作によって操作バー243b2を差し込むことにより、当該クリップ本体243b1の先端部が拡径し(以下、適宜「拡径状態」と記載する)、手動操作によって操作バー243b2を引出すことにより、当該クリップ本体243b1の先端部が縮径する(以下、適宜「縮径状態」と記載する)構成となっている。
【0095】
ここで、パネル部材242の外周部には、複数(図5(b)は拡大断面側面図であるため1個のみ記載)の貫通孔242a・242a・・・が、予め所定の位置に設けられている。
一方、ゲートフレーム31A1の開口部241を閉塞するようにして、パネル部材242が配置された状態において、当該ゲートフレーム31A1における開口部241の周縁には、複数の貫通孔241a・241a・・・が、パネル部材242の貫通孔242a・242a・・・と重なる位置に各々設けられている。
【0096】
そして、各々の貫通孔241a・242aに対して、縮径状態にあるトリムクリップ243bを同時に差し込み、手動による操作によって、当該トリムクリップ243bを締結解除位置P2から締結位置P1へと移動させた後、拡径状態にすることにより、パネル部材242は、開口部241を閉塞した状態で、ゲートフレーム31A1(より具体的には、当該開口部241の周縁)に固定される。
また、各々の貫通孔241a・242aに対して、拡径状態にあるトリムクリップ243bを、手動による操作によって縮径状態とし、その後、当該トリムクリップ243bを締結位置P1から締結解除位置P2に移動させることにより、パネル部材242は、ゲートフレーム31A1(開口部241の周縁)に固定された状態から解放され、開口部241の周縁から取外すことが可能となる。
【0097】
以上のように、第2別実施形態における開放機構部240は、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(本別実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方)における少なくとも一部を開口する開口部241と、人為的な外力では破壊不能な高強度材料からなり、当該開口部241を閉塞するパネル部材242と、手動による操作によって、締結状態となる締結位置P1と、当該締結状態を解除する締結解除位置P2とに変位可能であり、パネル部材242を開口部241の周縁に固定する手動締結部材243とを有する。
【0098】
このような構成を有することにより、第2別実施形態における開放機構部240を有する立体駐車装置1によれば、例えば装置内部において火災が発生した場合、手動操作によって手動締結部材243を解除位置に変位させるだけで、パネル部材242を取り外し、ゲート本体31A及び/または隔壁32の一部を直ちに開放することができるため、立体駐車装置1の外部より当該装置の内部に、より容易に通ずることが可能であり、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
【0099】
なお、第2別実施形態における開放機構部240も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32における少なくとも一部を開口するものであることから、例えば、ゲートフレーム31A1の内周側の全領域を閉塞するように、1枚のパネル部材242を設けることとしてもよいし、隔壁32の一側面の全体に、パネル部材242を設けることとしてもよい。
【0100】
また、手動締結部材243においては、手動による操作によって、締結位置P1と締結解除位置P2とに変位可能な構成であれば、何れのものでも採用することが可能である。
例えば、ゲートフレーム31A1の裏側(本別実施形態においては、後側)における、開口部241の周縁において、当該開口部241を閉塞するようにして配置された、パネル部材242の貫通孔242a・242a・・・と重なる位置に、複数のナットを予め溶接等によって固設しておき、当該ゲートフレーム31A1の表側(本別実施形態においては、前側)より差し込むことで、これらのナットと螺合可能な複数のボルトによって、手動締結部材243を構成することとしてもよいし、或いは、永久磁石や、タイヤのホイールを取付けるための爪状金具等によって、手動締結部材243を構成することとしてもよい。
【0101】
[開放機構部250(第2別実施形態の変形例)の構成]
ところで、第2別実施形態においては、開放機構部240の変形例として、以下に示すような構成からなる開放機構部250を採用することも可能である。
即ち、第2別実施形態の変形例である開放機構部250も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(図1を参照)における少なくとも一部を、手動によって開放するものであって、本別実施形態の変形例においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方に設けられている。
なお、ゲート本体31A及び隔壁32に各々設けられる開放機構部250は、互いに略同等な構成からなるため、以下の説明においては、主にゲート本体31Aに設けられる開放機構部250について記載し、隔壁32に設けられる開放機構部250についての記載は省略する。
【0102】
図6に示すように、開放機構部250は、主に、ゲート本体31Aにおける少なくとも一部を開口する開口部251と、当該開口部251を閉塞するパネル部材252と、当該開口部251の周縁にパネル部材252を固定する手動締結部材253とを有する。
また、開放機構部250は、開口部251の周縁よりパネル部材252を支持する開口側ステー部材254と、パネル部材252の外周部より当該開口側ステー部材254に向かって突出可能に設けられるパネル側ステー部材255とを有し、上記手動締結部材253の手動操作を封印するための封止部材256をさらに有する。
【0103】
開口部251は、上記開口部241と同様に、ゲート本体31Aに予め形成されている空間部である。
開口部251も前述した開放機構部40の開口部41と同等の構成からなるため、説明は省略する。
【0104】
パネル部材252は、上記パネル部材242と同様に、本発明に係る、人為的な外力では破壊不能な高強度材料からなるパネル部材の一例であって、例えば、鋼やステンレス鋼等の金属製部材からなり、本別実施形態の変形例においては、無数の微細な孔部を有したパンチングメタル(内抜金網)や、メッシュ状に形成されたフェンスなどにより構成されている。
また、パネル部材252は、開口部251と略同等の面積を有した矩形平板状に形成される。
【0105】
なお、本別実施形態の変形例において、パネル部材252の構成については、上記のような構成に限定されるものではなく、開口部251を閉塞可能な部材であれば、何れのようなものであってもよい。
【0106】
そして、パネル部材252は、開口部251を閉塞するようにして配置されるとともに、下端部において、複数(本別実施形態の変形例においては、3個)のヒンジ257・257・257を介して、ゲートフレーム31A1と連結され、垂直方向(上下方向)に回動可能(開閉可能)に設けられる。
また、パネル部材252は、後述するように、これら複数のヒンジ257・257・257が設けられる側との反対側の端部(即ち、上端部)において、複数(本別実施形態の変形例においては、3個)の手動締結部材253・253・253及びナット260・260・260(図8を参照)によって、ゲートフレーム31A1に固定される。
【0107】
なお、上記複数のヒンジ257・257・257が設けられる箇所については、本別実施形態の変形例に限定されるものではなく、例えば、パネル部材252の上端部や、右端部及び左端部の何れかの端部などに設けられていてもよい。
即ち、パネル部材252は、本別実施形態の変形例のように、ゲートフレーム31A1の表側(前側)且つ下方側に回動させることで開状態とする構成に限定されるものではなく、ゲートフレーム31A1の表側(前側)且つ右方側、或いは、ゲートフレーム31A1の表側(前側)且つ左方側に回動させることで開状態とする構成としてもよい。
【0108】
手動締結部材253は、上記手動締結部材243と同様に、手動による操作によって、締結状態となる締結位置P1と、当該締結状態を解除する締結解除位置P2とに変位可能な構成からなる締結部材である。
本別実施形態の変形例においては、手動締結部材253の一例として、蝶ボルト253aが採用されている。
なお、手動締結部材253の詳細な構成については、後述する。
【0109】
開口側ステー部材254は、例えば、一方に延びる帯板状部材を、長手方向の断面視にて略「Z」字状に屈曲させた構成からなり、開口部251における、ヒンジ257が設けられる側との反対側の周縁(本別実施形態の変形例においては、上側の周縁)に沿って配置される。
また、図8(b)に示すように、開口部251を閉塞するようにしてパネル部材252を配置させた状態において、開口側ステー部材254は、開口部251の周縁(上側の周縁)より、当該開口部251の中心に向かって(即ち、下方に向かって)突出し、且つパネル部材252の上端部側の外周部に対して、当該周縁より突出した部位(以下、適宜「開口側突出部254a」と記載する)が、囲い部30(図1を参照)の内側(本別実施形態の変形例においては、後側)に位置するように設けられている。
【0110】
そして、図6に示すように、開口側ステー部材254は、ボルト等からなる複数(本別実施形態の変形例においては、3個)の締結部材258・258・258を介して、ゲートフレーム31A1に固定される。
【0111】
パネル側ステー部材255は、図8(a)に示すように、例えば、矩形平板状の部材を凸形状に屈曲させて、長手方向の中央部を厚み方向に突出させた構成からなる。
また、図6に示すように、パネル側ステー部材255・255・255は、1枚のパネル部材252に対して、上述したヒンジ257・257・257と同等数(3個)設けられ、当該パネル部材252の上端部に沿って、等間隔に配置される。
【0112】
そして、各々のパネル側ステー部材255は、図8(a)に示すように、長手方向の中央部に位置する部位(以下、適宜「パネル側突出部255a」と記載する)が、囲い部30の内側(後側)に向かって突出した状態でパネル部材252に配置され、当該パネル側突出部255aを間に挟んだ両端部において、ボルト等からなる複数(本別実施形態の変形例においては、2個)の締結部材259・259を介して、当該パネル部材252に固定される。
また、図8(b)に示すように、パネル側ステー部材255は、開口部251を閉塞するようにしてパネル部材252を配置させた状態において、パネル側突出部255aの後面が、開口側ステー部材254における開口側突出部254aの前面と当接するように設けられている。
つまり、パネル側ステー部材255は、パネル部材252の外周部(本別実施形態の変形例においては、上端部)より、開口側ステー部材254の開口側突出部254aに向かって突出可能に設けられている。
【0113】
ここで、図8(a)に示すように、各パネル側ステー部材255において、長手方向(本別実施形態の変形例においては、左右方向)の中央部には、パネル側貫通孔255bが設けられている。
【0114】
一方、開口側ステー部材254の開口側突出部254aには、上述したヒンジ257・257・257と同等数(3個)の開口側貫通孔254b・254b・254bが設けられており、これら複数(3個)の開口側貫通孔254b・254b・254bは、開口部251を閉塞するようにしてパネル部材252を配置させた状態において、複数(3個)のパネル側ステー部材255・255・255に各々設けられるパネル側貫通孔255b・255b・255bに対して、夫々同軸上となるように配置されている。
また、開口側突出部254aの後面には、上述したヒンジ257・257・257と同等数(3個)のナット260・260・260が設けられており、これら複数(3個)のナット260・260・260は、複数(3個)のパネル側貫通孔255b・255b・255bに対して、各々に同軸上に配置されるとともに、予め溶接等によって固設されている。
【0115】
さらに、図8(b)に示すように、パネル部材252の上端部には、上述したヒンジ257・257・257と同等数(3個)の開口孔部252a・252a・252aが設けられており、これら複数(3個)の開口孔部252a・252a・252aは、複数(3個)のパネル側貫通孔255b・255b・255bに対して、各々に同軸上に配置される。
また、図7に示すように、各開口孔部252aは、内周部において、例えば同軸上に位置する、手動締結部材253である蝶ボルト253aを、囲い部30の外側(本別実施形態の変形例においては、前側)より操作することを可能とする、十分な開口面積を有するように設定されている。
【0116】
そして、図8(b)に示すように、ゲートフレーム31A1の開口部251を閉塞するようにして、パネル部材252が配置された状態において、各々の開口孔部252aを介して、囲い部30の外側(前側)から蝶ボルト253aを差込み、手動による操作によって、当該蝶ボルト253aを、パネル側貫通孔255b及び開口側貫通孔254bに同時に貫通させてナット260に螺合させ、締結解除位置P2から締結位置P1へと移動させることにより、パネル部材252は、ゲートフレーム31A1(より具体的には、当該開口部251の周縁)に固定される。
つまり、パネル部材252は、手動締結部材253(蝶ボルト253a)によって、開口側ステー部材254とパネル側ステー部材255とを締結することにより、開口部251の周縁に固定される。
【0117】
また、各々のナット260に蝶ボルト253aを螺合させた状態において、締結位置P1に位置する蝶ボルト253aを、手動による操作によって弛め、締結解除位置P2に移動させることにより、パネル部材252は、ゲートフレーム31A1(開口部241の周縁)に固定された状態から解放され、開口部251の周縁から取外すことが可能となる。
【0118】
なお、本別実施形態の変形例においては、ゲートフレーム31A1に対するパネル部材252の固定構造として、蝶ボルト253a及びナット260によって構成することとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、物置や木戸の扉などに使用されるスライド式やスプリング式のラッチ錠等を手動締結部材253として採用することも可能であり、この場合、当該手動締結部材253のみによって、上記固定構造を構成することができる。
【0119】
また、上記固定構造の他の一例として、図9に示すような雄金具253b(例えば、鍋屋バイテック株式会社製のスタッドベイル)及び雌金具253c(例えば、鍋屋バイテック株式会社製のリセプタクル)を採用することとしてもよい。
【0120】
具体的には、雄金具253bは、先端部に掛止部253b1を有した略丸棒形状の部材であり、当該掛止部253b1側との反対側の端部には、拡径された頭部253b2が設けられている。
また、上記頭部253b2には、フック253b3が回動可能に連結されている。
【0121】
そして、雄金具253bは、囲い部30の外側(前側)から、パネル側ステー部材255のパネル側貫通孔255bに、掛止部253b1側より挿し込まれ、抜け止め用のワッシャ253dを介して、軸心を中心にして回転(回動)可能に、当該パネル側ステー部材255に取付けられる。
【0122】
一方、雌金具253cは、雄金具253bの先端部(掛止部253b1)を挿通可能な孔部(図示せず)を有した被掛止部253c1と、当該掛止部253b1の周囲を囲むようにして設けられるクリップ部253c2とを有する。
また、雌金具253cは、開口側ステー部材254の後面側において、被掛止部253c1の上記孔部が、開口側貫通孔254bと同軸上となる状態で、クリップ部253c2を介して、当該開口側ステー部材254の開口側突出部254aに固定される。
【0123】
そして、ゲートフレーム31A1の開口部251を閉塞した状態にパネル部材252を配置することにより、雄金具253bの掛止部253b1は、雌金具253c(より具体的には、被掛止部253c1)の孔部に挿し込まれる。
その後、軸心を中心にして、雄金具253bを略90°程度回動させることにより、当該雄金具253bは、掛止部253b1を介して、雌金具253cの被掛止部253c1と掛止される。
これにより、パネル部材252は、ゲートフレーム31A1に固定される。
【0124】
なお、これらの雄金具253b及び雌金具253cによって、上記固定構造を構成する場合においては、ゲートフレーム31A1にパネル部材252を固定した後、後述するような封印シール253eを用いて、フック253b3をパネル側ステー部材255(より具体的には、パネル側突出部255a)に固定し、当該雄金具253bの手動操作を封じておくことが、防犯上より好ましい。
この場合、雄金具253bの締結状態を解除する際には、フック253b3を引き上げることにより、容易に封印シール253eを剥離させることができ、雄金具253bをさらに略90°程度回動させて、当該雄金具253bの掛止部253b1と、雌金具253cの被掛止部253c1との掛止状態を解除することができる。
【0125】
また、封印シール253eによってフック253b3を固定するのと合わせて、さらに後述する封止部材256によって、開口孔部252aを封止することとしてもよく、或いは、封印シール253e及び封止部材256の内の何れか一方のみを使用することとしてもよい。
【0126】
このような構成からなる上記固定構造を採用することにより、例えば、上記の説明においては、パネル部材側ステー部材255を有した構成について記述したが、雄金具253bを直接パネル部材252に取付けることとすれば、当該パネル部材側ステー部材255を省略することができる。
また、開口側ステー部材254の開口側突出部254aにおいても、クリップ部253c2によって挟持される領域を除いた大部分を、省略することができる。
さらに、フック253b3は、雄金具253bの頭部253b2と略同程度の出代を有することから、例えば、ゲート本体31Aを昇降させる際においても、不意にフック253b3が他の部材に引っ掛かるようなこともない。
【0127】
また、本別実施形態の変形例においては、手動締結部材253として蝶ボルト253aを採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、制御盤や配電盤等の扉、或いは、スチールロッカーや金庫等の扉に設けられ、L型の取手やT型の取手を有したレバーハンドルなどを採用することとしてもよい。
このようなレバーハンドルや、上記雄金具253bなどを手動締結部材253として採用することにより、軸心を中心にして略90°程度取手を回動させるだけで、パネル部材252をゲートフレーム31A1に固定させた状態(以下、適宜「固定状態」と記載する)、及びパネル部材252を当該固定状態から解放させた状態(以下、適宜「固定解除状態」と記載する)に、各々容易に変移させることができる。
つまり、手動締結部材253による締結位置P1と締結解除位置P2との間の動作範囲を少なくし、当該手動締結部材253の操作を容易にすることができる。
【0128】
さらに、本別実施形態の変形例においては、1枚のパネル部材252に対して、蝶ボルト253a及びナット260からなる固定構造を3個所設けているが、これに限定されるものではなく、ゲートフレーム31A1にパネル部材252を固定可能な限りにおいて、例えば、1個所にのみ設けてもよいし、2個所、或いは4個所以上設けてもよい。
【0129】
封止部材256は、上述したように、手動締結部材253の手動操作を封印するものである。
封止部材256は、例えば、本別実施形態の変形例においては、フィルム状の素材と、当該素材の一方の面に設けられた粘着層とを有し、人の指先、或いは鍵等の尖形部材などによって容易に剥離可能な、封印シールによって構成される。
また、図7に示すように、封止部材256は、パネル部材252の各開口孔部252aの開口面積に比べて、十分に大きな表面積を有するように設定されている。
【0130】
そして、図6に示すように、封止部材256・256・256は、1枚のパネル部材252に対して、複数(3個)の開口孔部252a・252a・252aと同等数(3枚)設けられ、これら複数の開口孔部252a・252a・252aを各々封止するようにして、上記粘着層を介してパネル部材252の前面に夫々貼着される。
これにより、非常時以外の通常時においては、封止部材256が障壁となって、囲い部30の外側(前側)から、締結位置P1に位置する手動締結部材253(蝶ボルト253a)に触れることが不可能となり、当該手動締結部材253の手動操作が封印される。
【0131】
以上のように、第2別実施形態の変形例における開放機構部250は、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(本別実施形態の変形例においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方)における開口部251の周縁(上側の周縁)より、パネル部材252を支持する開口側ステー部材254と、パネル部材252の外周部(上端部)より当該開口側ステー部材254に向かって突出可能に設けられるパネル側ステー部材255とを有している。
【0132】
また、開口側ステー部材254は、開口部251の周縁(上側の周縁)より突出し、且つパネル部材252の外周部(上端部)に対して、囲い部30の内側(後側)に位置するように設けられ、手動締結部材253(蝶ボルト253a)によって、開口側ステー部材254とパネル側ステー部材255とを締結することにより、パネル部材252は開口部251の周縁(上側の周縁)に固定される構成となっている。
【0133】
そして、パネル部材252には、囲い部30の外側(前側)より、手動締結部材253の操作を可能とする開口孔部252aが設けられ、開放機構部250は、開口孔部252aを封止する封止部材256をさらに有する構成となっている。
【0134】
このような構成を有することにより、第2別実施形態の変形例である開放機構部250を有する本発明に係る立体駐車装置1によれば、上述したような、手動締結部材253(蝶ボルト253a)によって、開口部251にパネル部材252が固定され構成において、例えば装置内部の火災発生時のような非常時には、封止部材256を破り捨てて直ちに手動締結部材253(蝶ボルト253a)を操作し、パネル部材252を取り外して、ゲート本体31A及び/または隔壁32の一部を容易に開放することができるとともに、当該非常時以外の通常時には、当該封止部材256によって、手動締結部材253(蝶ボルト253a)の手動操作を封印し、当該手動締結部材の悪戯な操作を確実に防止することができる。
【0135】
なお、封止部材256の構成については、上述したような封印シールに限定されるものではなく、例えば、ビニル製の粘着テープ等、非常時以外の通常時において、開口孔部252aを封止可能なものであれば、何れのものによって構成されていてもよい。
【0136】
また、封止部材256とともに、或いは封止部材256と代替して、手動締結部材253の手動操作を封印する封印シール261を別途設け、当該封印シール261を用いて、手動締結部材253である蝶ボルト253aの頭部253a1を、パネル側ステー部材255(より具体的には、パネル側突出部255a)に固定する構成としてもよい。
この場合、締結位置P1に位置する蝶ボルト253aを締結解除位置P2に移動させる際、操作者は、封印シール261とともに頭部253a1をつまんで、当該蝶ボルト253aを緩めることとなる。
【0137】
さらに、第2別実施形態の変形例における開放機構部250も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32における少なくとも一部を開口するものであることから、例えば、ゲートフレーム31A1の内周側の全領域を閉塞するように、1枚のパネル部材252を設けることとしてもよいし、隔壁32の一側面の全体に、パネル部材252を設けることとしてもよい。
【0138】
また、各ゲート本体31A(図2を参照)において、パネル部材252・252は、前述した本実施形態における第1パネル部材31A2・31A2と同様に、互いに対向する一対の隅部(左上側及び右下側に位置する隅部)に配置されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも、当該ゲート本体31Aの上部側に配置されていればよい。
換言すると、ゲート本体31Aにおいて、互いに上下方向及び左右方向に並べて配置された、合計4カ所の開口部251・251・251・251が、ゲートフレーム31A1の内周部に設けられている場合、少なくとも、上側に位置する何れかの開口部251を閉塞するように、パネル部材252が配置されていればよい。
この場合、下側に位置する開口部251・251については、何れの部材からなるパネル部材によって閉塞されていてもよく、例えば、無数の微細な孔部を有していない単なる矩形平板状の鋼板等からなるパネル部材によって、閉塞されていてもよい。
【0139】
[開放機構部340(第3別実施形態)の構成]
次に、第3別実施形態における開放機構部340の構成について、図10を用いて詳細に説明する。
第3別実施形態における開放機構部340も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(図1を参照)における少なくとも一部を、手動によって開放するものであって、本別実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方に設けられている。
なお、ゲート本体31A及び隔壁32に各々設けられる開放機構部340は、互いに略同等な構成からなるため、以下の説明においては、主にゲート本体31Aに設けられる開放機構部340について記載し、隔壁32に設けられる開放機構部340についての記載は省略する。
【0140】
開放機構部340は、主に、ゲート本体31Aにおける少なくとも一部を開口する開口部341と、当該開口部341を閉塞するパネル部材342と、当該パネル部材342を開閉可能に支持する一対のヒンジ343・343と、当該パネル部材342を施錠可能な非常錠344とを有する。
【0141】
開口部341は、ゲート本体31Aに予め形成されている空間部である。
なお、開口部341は、前述した開放機構部40の開口部41と同等の構成からなるため、説明は省略する。
【0142】
パネル部材342は、本発明に係る、人為的な外力では破壊不能な高強度材料からなるパネル部材の一例であって、例えば、鋼やステンレス鋼等の金属製部材からなり、本別実施形態においては、無数の微細な孔部を有したパンチングメタル(内抜金網)や、メッシュ状に形成されたフェンスなどにより構成されている。
そして、パネル部材342は、開口部341と略同等の面積を有した矩形平板状に形成される。
【0143】
ヒンジ343は、ゲート本体31Aにおける開口部341の周縁より、パネル部材342を開閉可能に支持するものである。
具体的には、開口部341には、矩形枠体形状の固定プレート345が内周部に沿って予め配設されており、ヒンジ343は、当該固定プレート345に対して、水平方向(本別実施形態においては、左右方向)に開閉可能に、パネル部材342を支持する。
【0144】
なお、上記構成については、本別実施形態に限定されるものではなく、例えば、固定プレート345を有することなく、ゲートフレーム31A1に対して直接的に、ヒンジ343によって、パネル部材342が開閉可能に支持されていてもよい。
【0145】
非常錠344は、平常時において、パネル部材342を閉状態にて解錠不能に保持されており、緊急時においてのみ、手動による操作によって解錠可能な施錠手段である。
非常錠344は、例えば本別実施形態においては、ドアノブ344aと、当該ドアノブ344aを全体的に覆うカバー部材344bとを有する。
【0146】
ドアノブ344aには、施錠状態と解錠状態とに切替え可能なツマミ344a1が設けられており、当該ツマミ344a1は、通常施錠状態に保持されている。
また、カバー部材344bは、人為的な外力を加えることにより破壊可能な、樹脂製部材(アクリル板)等により形成されている。
つまり、非常錠344は、平常時において、ツマミ344a1を操作不能に、カバー部材344bによってドアノブ344aが覆われており、パネル部材342を閉状態にて解錠不能な状態に保持されている。
【0147】
そして、例えば、装置内部において火災が発生する等の緊急時においては、カバー部材344bを人為的に破壊することにより、ドアノブ344aを外部に露出させ、ツマミ344a1を、施錠状態から解錠状態に切替える構成となっている。
つまり、非常錠344は、緊急時においてのみ、手動による操作(カバー部材344bを人為的に破壊する行為を含む)によって解錠可能な構成となっている。
【0148】
なお、非常錠344の構成については、本別実施形態に限定されるものではなく、平常時において解錠不能に保持されており、緊急時においてのみ手動による操作によって解錠可能な構成であれば、何れのような構成であってもよい。
例えば、ドアノブと鍵(ツマミ344a1等)とが各々別途に設けられており、当該鍵のみが、人為的な外力を加えることにより破壊可能な、樹脂製部材(アクリル板)等からなるカバー部材によって覆われていてもよい。
この場合、上記緊急時においては、上記カバー部材を人為的に破壊して鍵(ツマミ344a1)を外部に露出させることにより、非常錠344を施錠状態から解錠状態に切替えることが可能である。
また、非常錠344の構成については、このような、カバー部材を人為的に破壊することにより、施錠状態から解錠状態に切替える構成だけでなく、例えば、通常時においては、機械的なロック機構によって、解錠不能な状態に鍵(ツマミ344a1等)がロックされており、緊急時においてのみ、手動による操作によって当該ロック機構を破壊し、施錠状態から解錠状態に切替えるような構成であってもよい。
【0149】
以上のように、第3別実施形態における開放機構部340は、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32(本別実施形態においては、ゲート本体31A及び隔壁32の双方)における少なくとも一部を開口する開口部341と、人為的な外力では破壊不能な高強度材料からなり、開口部341を閉塞するパネル部材342と、開口部341の周縁より当該パネル部材342を開閉可能に支持するヒンジ343と、平常時において解錠不能に保持されており、緊急時においてのみ手動による操作によって解錠可能な非常錠344とを有する。
【0150】
このような構成を有することにより、第3別実施形態における開放機構部340を有する立体駐車装置1によれば、例えば装置内部において火災が発生する等の緊急時の場合、手動操作によって非常錠344を解錠するだけで、パネル部材342を開状態とし、ゲート本体31A及び/または隔壁32の一部を直ちに開放することができるため、立体駐車装置1の外部より当該装置の内部に、より容易に通ずることが可能であり、初期段階による消火活動を、直ちに行うことができる。
【0151】
なお、第3別実施形態における開放機構部340も、前述した本実施形態における開放機構部40と同様に、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32における少なくとも一部を開口するものであることから、例えば、ゲートフレーム31A1の内周側の全領域を閉塞するように、1枚のパネル部材342を設けることとしてもよいし、隔壁32の一側面の全体に、パネル部材342を設けることとしてもよい。
【0152】
以上、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【0153】
例えば、ゲート31(ゲート本体31A)及び/または隔壁32において、本発明に係る開放手段が2箇所以上設けられており、これら2個所以上の開放手段が、本実施形態における開放機構部40、第1別実施形態における開放機構部140、第2別実施形態における開放機構部240、第2別実施形態の変形例における開放機構部250、及び第3別実施形態における開放機構部340のうち、各々異なる何れかのものを組み合わせて構成されていてもよい。
【0154】
また、本発明に係る開放手段は、ゲート31(ゲート本体31A)及び隔壁32(即ち、立体駐車装置1の内部と外部とを隔てる囲い部30全体)において、1箇所にのみ設けられていてもよい。つまり、1基の立体駐車装置1に対して、開放手段は、1箇所にのみ設けられていてもよい。
この場合、開放手段によって開放可能な開口部41(141、241、251、341)の大きさについては、装置内部への人の侵入が可能な程度の大きさを有していることが望ましい。
即ち、立体駐車装置1の内部においては、開放手段より離れた位置で火災が発生する場合も想定され、開口部41(141、241、251、341)の大きさが、上記のような十分な大きさを有していれば、当該開口部41(141、241、251、341)を介して、消火器や消火ホース等を手にした消防隊員が装置内部に侵入し、直ちに火災発生現場に近付いて、消火活動を行うことができる。
【0155】
また、本発明に係る開放手段は、閉じられた状態にあるゲート31(ゲート本体31A)、及び/または隔壁32において、地上(立体駐車装置1が地下に位置する場合は、当該地下の床面)から上方に1100mm以上離間した位置に配置されていることが好ましい。
このような位置に開放手段が配置されていることにより、例えば装置内部において火災が発生した場合には、無理な姿勢を強いられることなく、当該開放手段によって直ちに開口部41(141、241、251、341)を開放し、初期段階による消火活動(例えば、消火器による消火活動)を容易に行うことができる。
【0156】
さらに、ゲート31(ゲート本体31A)において、互いに上下方向及び左右方向に並べて配置された、合計4カ所の開口部41・41・・・(141・141・・・、241・241・・・、251・251・・・、341・341・・・)が、ゲートフレーム31A1の内周部に設けられている場合、少なくとも、上側に位置する開口部41・41(141・141、241・241、251・251、341・341)が、本発明に係る開放手段によって開口可能に閉塞されていることが好ましい。
この場合、下側に位置する開口部41・41(141・141、241・241、251・251、341・341)については、同じく本発明に係る開放手段によって開口可能に閉塞されていてもよく、或いは、ボルト等の締結部材や溶接等によって開口不能に閉塞されていてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1 立体駐車装置
13 出入口
20 パレット
243、253 手動締結部材
252a 開口孔部
253b1 掛止部
253b 雄金具
253c 雌金具
253e 封印シール
254 開口側ステー部材
255 パネル側ステー部材
256 封止部材
30 囲い部
31 ゲート
31A ゲート本体
32 隔壁
343 ヒンジ
344 非常錠
40、140、240、250、340 開放機構部(開放手段)
41、141、241、251、341 開口部
42、142、242、252、342 パネル部材
43、143 支持部材
P1 締結位置
P2 締結解除位置
W 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10