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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093003
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ポリイミド成形体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/00 20060101AFI20240701BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
C08J5/00 CFG
C08G73/10
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218491
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0184520
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520160738
【氏名又は名称】ピーアイ・アドバンスド・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イ,ホスン
(72)【発明者】
【氏名】イ,イク・サン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ミン・ソク
【テーマコード(参考)】
4F071
4J043
【Fターム(参考)】
4F071AA60
4F071AF15Y
4F071AF20Y
4F071AF21Y
4F071AF62Y
4F071AG28
4F071BA01
4F071BB03
4F071BC01
4F071BC12
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4J043PA04
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4J043PA19
4J043PB08
4J043PB15
4J043QB15
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4J043RA05
4J043RA35
4J043SA06
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4J043SA47
4J043SA52
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4J043UB022
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4J043UB121
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4J043UB141
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4J043VA022
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4J043VA072
4J043VA081
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4J043YA28
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4J043ZB02
4J043ZB03
4J043ZB11
4J043ZB50
4J043ZB52
(57)【要約】
【課題】熱的寸法安定性、耐熱性および機械的特性に優れたポリイミド成形体を提供する。
【解決手段】無水物酸単量体およびジアミン単量体をイミド化反応させて得られるポリイミド粉末を含み、25℃~300℃の区間で、次の式1による両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)が0.7~1.5である、ポリイミド成形体。
(式1)
両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)=横方向の熱膨張係数(CTE)/縦方向の熱膨張係数(CTE)=CTE/CTE
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BTDA)、オキシジフタリックジアンハイドライド(ODPA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸ジアンハイドライド(6FDA)、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンジアンハイドライド(BPADA)からなる群より選択された1種以上を含む二無水物酸単量体;および、
4,4’-オキシジアニリン(ODA)、p-フェニレンジアミン(PPD)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、3,5-ジアミノベンゾイックアシッド(DABA)、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)およびm-フェニレンジアミン(MPD)からなる群より選択された1種以上を含むジアミン単量体をイミド化反応させて得られるポリイミド粉末を含み、
25℃~300℃の区間で、次の式1による両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)が0.7~1.5である、ポリイミド成形体。
(式1)
両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)=横方向の熱膨張係数(CTE)/縦方向の熱膨張係数(CTE)=CTE/CTE
【請求項2】
25℃~300℃の区間で、前記横方向の熱膨張係数が40~60ppm/℃であり、前記縦方向の熱膨張係数が35~65ppm/℃である、請求項1に記載のポリイミド成形体。
【請求項3】
前記ポリイミド成形体は、引張強度(Tensile Strength)が80MPa以上であり、伸び率(Elongation)が7%以上であり、モジュラス(Modulus)が1.5GPa以上である、請求項1に記載のポリイミド成形体。
【請求項4】
(a)ポリイミド粉末を準備する段階;
(b)該ポリイミド粉末を成形し、成形体を製造する段階;および
(c)前記成形体を後熱処理し、後熱処理されたポリイミド成形体を製造する段階;を含み、
前記後熱処理されたポリイミド成形体が、25℃~300℃の区間で、次の式1による両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)が0.7~1.5である、ポリイミド成形体の製造方法。
(式1)
両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)=横方向の熱膨張係数(CTE)/縦方向の熱膨張係数(CTE)=CTE/CTE
【請求項5】
前記後熱処理が、次の式2による温度範囲で行われるものである、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
(式2)
Tg-100℃<T<Tg+100℃(Tは、後熱処理温度、Tgは、ポリイミドのガラス転移温度)
【請求項6】
前記後熱処理が200~400℃の温度で行われるものである、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項7】
前記後熱処理が30分~180時間行われるものである、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項8】
前記(c)は、前記成形体を後熱処理して前記成形体内部の残留応力を除去する段階である、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項9】
前記ポリイミド粉末が二無水物酸単量体;およびジアミン単量体;を重合単位として含むものである、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項10】
前記二無水物酸単量体が、ピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)、オキシジフタリックジアンハイドライド(ODPA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BPDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸アンハイドライド(6FDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(a-BPDA)、ジフェニルスルホン-3,4,3’,4’-テトラカルボキシリックジアンハイドライド(DSDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)サルファイドジアンハイドライド、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BTDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタンジアンハイドライド、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパンジアンハイドライド、p-フェニレンビス(トリメリティックモノエステルアシッドアンハイドライド)、p-ビフェニレンビス(トリメリティックモノエステルアシッドアンハイドライド)、m-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボキシリックジアンハイドライド、p-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボキシリックジアンハイドライド、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼンジアンハイドライド、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼンジアンハイドライド、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ビフェニルジアンハイドライド、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンジアンハイドライド(BPADA)、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸ジアンハイドライド、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライドおよび4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイロプロピリデン)ジフタル酸ジアンハイドライドからなる群より選択された1種以上を含むものである、請求項9に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項11】
前記二無水物酸単量体が、ピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BTDA)、オキシジフタリックジアンハイドライド(ODPA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸ジアンハイドライド(6FDA)、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンジアンハイドライド(BPADA)からなる群より選択された1種以上を含むものである、請求項9に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項12】
前記ジアミン単量体が、p-フェニレンジアミン(PPD)、m-フェニレンジアミン(MPD)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジアミノベンゾイックアシッド(DABA)、4,4’-オキシジアニリン(ODA)4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアミン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジメトキシベンジジン、2,2’-ジメトキシベンジジン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、1,3-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)-4-トリフルオロメチルベンゼン、3,3’-ジアミノ-4-(4-フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジ(4-フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(3-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンおよび2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)からなる群より選択された1種以上を含むものである、請求項9に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項13】
前記ジアミン単量体が、4,4’-オキシジアニリン(ODA)、p-フェニレンジアミン(PPD)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、3,5-ジアミノベンゾイックアシッド(DABA)、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)およびm-フェニレンジアミン(MPD)からなる群より選択された1種以上を含むものである、請求項9に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項14】
前記ポリイミド粉末が、全芳香族ポリイミド、部分脂環式ポリイミドおよび全脂環式ポリイミドからなる群より選択されるいずれかである、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項15】
段階(b)において、前記成形は、圧縮成形、熱圧縮成形、射出成形、中空成形、回転成形、押出成形、熱成形、スラッシュ成形および紡績成形からなる群より選択される1種以上の方法で行われるものである、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項16】
25℃~300℃の区間で、前記横方向の熱膨張係数が40~60ppm/℃であり、前記縦方向の熱膨張係数が35~65ppm/℃である、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【請求項17】
前記ポリイミド成形体は、引張強度(Tensile Strength)が80MPa以上であり、伸び率(Elongation)が7%以上であり、モジュラス(Modulus)が1.5GPa以上である、請求項4に記載のポリイミド成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド成形体およびその製造方法に関するものであって、詳しくは、熱的寸法安定性に優れたポリイミド成形体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドなどの高耐熱性高分子材料は、先端技術の発展に伴い製品の小型軽薄化、高性能化、高信頼化に欠かせない素材であって、フィルム、成形品、繊維、塗料、接着剤および複合材などの形で、宇宙、航空、電気/電子、自動車および精密機器などの幅広い産業分野で利用されている。ポリイミドは、イミド環の化学的安定性をもとに優れた機械的強度、耐化学性、耐候性、耐熱性を有する。また、合成が容易で、薄膜型フィルムとして製造が可能であり、硬化に架橋基を必要としない利点があり、優れた電気的特性によりマイクロ電子分野、光学分野などに至るまで高機能性高分子材料として注目されている。
【0003】
近年、ディスプレイ分野において、製品の軽量化および小型化が重要視されているが、現在用いられているガラス基板の場合、重くて割れ易く、連続工程が難しい短所がある。このため、ガラス基板の代替として、軽量且つ柔軟で連続工程が可能な利点を有するポリイミド基板を作製して、半導体デバイスの絶縁フィルムや保護コーティング剤、フレキシブル回路基板や集積回路などの表面保護材料や基材樹脂、さらに微細回路の層間絶縁膜や保護膜を形成する場合にも用いることができる。特に、コーティング材料として用いる場合には、ポリイミドフィルムなどの成形体を接着剤で貼り合わせた保護材料や、液状のポリイミド樹脂溶液などを用いることができる。
【0004】
ポリイミドの一般的な合成方法は、二無水物酸とジアミンとを反応させて前駆体であるポリアミック酸(Polymaic acid)を先に合成し、その後、ポリアミック酸をイミド化する工程を経る。前記ポリアミック酸合成は、溶媒に溶解されたジアミンと二無水物酸が開環、重付加反応を起こしてポリアミック酸を製造するものである。このとき、用いられる反応溶媒としては、極性有機溶媒が主に用いられる。前記合成したポリアミック酸を化学的方法または熱的方法により脱水および閉環反応させてイミド化することによってポリイミドを作る。
【0005】
化学的イミド化法とは、前駆体であるポリアミック酸溶液に無水酢酸などの酸無水物として代表される化学脱水剤およびピリジンなどの三級アミン類として代表されるイミド化触媒を投入する方法である。このように脱水剤または触媒をさらに添加し、イミド化反応を進めた場合には、触媒の価格の問題と、さらなる触媒除去工程が必要という問題、生産性および工程効率が低いという問題がある。
【0006】
一方、熱的イミド化法とは、前駆体であるポリアミック酸溶液を基板に塗布し、溶媒を蒸発させた後、化学脱水剤および触媒なしで250~350℃に加熱し、熱的にイミド化する方法である。ただし、この方法によれば、結晶化度が高いということと、アミド系溶剤を使用するとアミド交換反応が起こって重合体が分解されるという短所がある。
【0007】
このような方法により製造されるポリイミド粉末を用いたポリイミド成形体の製造工程中、一方向(例えば、上下方向)に圧力が加えられるが、この過程で生成された残留応力によって、その後の最終製品において熱暴露圧力方向に膨張が引き起こされ、優れた品質のポリイミド成形品を製造することに問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、熱的寸法安定性、耐熱性および機械的特性に優れたポリイミド成形体を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記ポリイミド成形体から得られたポリイミド成形品を提供する。
【0010】
また、前記ポリイミド成形体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下において、本発明に係る「ポリイミド成形体」および「ポリイミド成形体の製造方法」の順に本発明の実施例をより詳細に説明する。
【0012】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0013】
本出願にて使用される用語は、単に特定の実施例を説明するためのものであって、本発明を限定することを意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに異に意味するものでない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0014】
本明細書において、量、濃度、または他の値またはパラメータが範囲、好ましい範囲または好ましい上限値および好ましい下限値が列挙される場合、範囲が個別に開示されるか否かにかかわらず、任意の一対の上限範囲の限界値または好ましい値および任意の下限範囲の限界値または好ましい値で形成された全ての範囲を具体的に開示するものと理解されるべきである。
【0015】
本明細書において、数値の範囲が言及される場合、別段の記載がない限り、その範囲は、その終点およびその範囲内の本発明の範囲は、範囲を定義する際に言及される特定の値に限定されないことを意図する。
【0016】
本明細書において、「二無水物酸」は、その前駆体または誘導体を含むことを意図しているが、「二無水物」、「ジアンハイドライド(dianhydride)」または「酸二無水物」と称される場合もある。これらは技術的には二無水物酸でない可能性もあるが、それにも拘わらず、ジアミンと反応してポリアミック酸が形成され、このポリアミック酸は、再びポリイミドに変換され得る。
【0017】
本明細書における「ジアミン」は、その前駆体または誘導体を含むことを意図しているが、これらは技術的にはジアミンでない可能性もあるが、それにもかかわらず、二無水物酸と反応してポリアミック酸が形成され、このポリアミック酸は、再びポリイミドに変換され得る。
【0018】
特に断りがない限り、技術的または科学的用語を含んで本明細書で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明確に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されるべきではない。前記発明の具現のための具体的な内容を、以下のように説明する。
【0019】
本発明は、熱的寸法安定性に優れたポリイミド成形体およびその製造方法を提供する。
【0020】
一側面において、本発明によるポリイミド成形体は、ピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BTDA)、オキシジフタリックジアンハイドライド(ODPA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸ジアンハイドライド(6FDA)、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンジアンハイドライド(BPADA)からなる群より選択された1種以上を含む二無水物酸単量体;および4,4’-オキシジアニリン(ODA)、p-フェニレンジアミン(PPD)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、3,5-ジアミノベンゾイックアシッド(DABA)、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)およびm-フェニレンジアミン(MPD)からなる群より選択された1種以上を含むジアミン単量体;を重合単位として含み、25℃~300℃の区間で、次の式1による両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)が0.7~1.5であってもよい。
【0021】
(式1)
両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)=横方向の熱膨張係数(CTE)/縦方向の熱膨張係数(CTE)=CTE/CTE
【0022】
前記式1で表される両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)は、横方向の熱膨張係数(CTE)に対する縦方向の熱膨張係数(CTE)の比(CTE/CTE)であって、ポリイミド成形体の縦方向および横方向の熱膨張係数値が小さい場合でも、縦方向の熱膨張係数値と横方向の熱膨張係数値の差が大きいと、周囲から熱を受けたとき、熱膨張係数の非対称によりひずみが発生する問題があり得る。このような点で、本発明の一具現例によるポリイミド成形体は、両方向の熱膨張係数が、好ましくは0.75~1.3、より好ましくは0.8~1.2、さらに好ましくは0.9~1.1、最も好ましくは0.92~1.05であってもよい。
【0023】
前記ポリイミド成形体は、25℃~300℃の区間で、前記横方向の熱膨張係数が40~60ppm/℃であってもよく、好ましくは45~55ppm/℃、より好ましくは48~53ppm/℃、さらに好ましくは49~51ppm/℃であってもよく、一具現例では、49ppm/℃、50ppm/℃、51ppm/℃であることが示され、前記縦方向の熱膨張係数が35~65ppm/℃、好ましくは45~65ppm/℃であってもよく、より好ましくは48~65ppm/℃、さらに好ましくは50~55ppm/℃であってもよい。また、他の一具現例では、50ppm/℃、54ppm/℃、64ppm/℃、65ppm/℃であることが示された。一実施例において、前記熱膨張係数は、TMA装置を用いてASTM D-696法により測定した。
【0024】
前記ポリイミド成形体は、引張強度が80MPa以上であり、好ましくは90MPa以上であり、より好ましくは95MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上、最も好ましくは105MPa以上であってもよく、上限は特に制限されないが、200MPa以下であってもよい。一実施例において、前記引張強度は、UTM装置を用いてASTM D-1708法により測定した。
【0025】
前記ポリイミド成形体は、伸び率が7%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは8.5%以上、さらに好ましくは9%以上、最も好ましくは10%以上であってもよく、上限は特に制限されないが、40%以下、30%以下または20%以下であってもよい。一実施例において、伸び率は、UTM装置を用いてASTM D-1708法により測定した。
【0026】
前記ポリイミド成形体は、モジュラス(Modulus)が1.5GPa以上、好ましくは1.7GPa以上、より好ましくは1.9GPa以上、さらに好ましくは2.0GPa以上であってもよい。一実施例において、前記モジュラスは、UTM装置を用いてASTM D-1708法により測定した。
【0027】
前記ポリイミド成形体は、フィルム、接着剤、テープ、繊維、多層膜などの多様な形態で、宇宙、航空、電気/電子、半導体、ディスプレイ、液晶配向膜、自動車、精密機器、パッケージング、医療用素材、分離膜、燃料電池および二次電池など幅広い産業分野に適用することができ、本発明によるポリイミド成形体が有する物性および特性に適した、いかなる製品や分野に広く使用することができる。
【0028】
一側面において、本発明によるポリイミド成形体の製造方法は、(a)ポリイミド粉末を準備する段階;(b)該ポリイミド粉末を成形し、成形体を製造する段階;および(c)前記成形体を後熱処理し、後熱処理されたポリイミド成形体を製造する段階;を含み、25℃~300℃の区間で、次の式1による両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)が0.7~1.5であってもよい。
【0029】
(式1)
両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)=横方向の熱膨張係数(CTE)/縦方向の熱膨張係数(CTE)=CTE/CTE
【0030】
段階(c)において、前記後熱処理は、ポリイミドのガラス転移温度付近の温度で行うことができ、好ましくは次の式2による温度範囲で行うことができる。このとき、前記ポリイミドのガラス転移温度は、250℃~400℃であってもよい。
【0031】
(式2)
Tg-100℃<T<Tg+100℃(Tは、後熱処理温度、Tgは、ポリイミドのガラス転移温度)
【0032】
前記後熱処理温度は、好ましくは200~400℃、より好ましくは250~400℃、さらに好ましくは300~400℃であってもよい。前記後熱処理温度が200℃未満であると、残留応力を解消することが困難で、両方向CTE制御が困難となるため好ましくなく、400℃を超えると、ポリイミド成形体の物性が低下するため好ましくない。
【0033】
段階(c)において、前記後熱処理は、30分~180時間行うことができ、好ましくは1~36時間、より好ましくは3~30時間、さらに好ましくは6~24時間行うことができる。
【0034】
段階(c)は、前記成形体を後熱処理して、前記成形体内部の残留応力を除去する段階であってもよい。
【0035】
前記ポリイミド粉末は、二無水物酸単量体;およびジアミン単量体;を重合単位として含むことができる。
【0036】
前記二無水物酸単量体がピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)、オキシジフタリックジアンハイドライド(ODPA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BPDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸アンハイドライド(6FDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(a-BPDA)、ジフェニルスルホン-3,4,3’,4’-テトラカルボキシリックジアンハイドライド(DSDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)サルファイドジアンハイドライド、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BTDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタンジアンハイドライド、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパンジアンハイドライド、p-フェニレンビス(トリメリティックモノエステルアシッドアンハイドライド)、p-ビフェニレンビス(トリメリティックモノエステルアシッドアンハイドライド)、m-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボキシリックジアンハイドライド、p-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボキシリックジアンハイドライド、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼンジアンハイドライド、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼンジアンハイドライド、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ビフェニルジアンハイドライド、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンジアンハイドライド(BPADA)、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸ジアンハイドライド、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライドおよび4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイロプロピリデン)ジフタル酸ジアンハイドライドからなる群より選択された1種以上を含むことができ、好ましくはピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BTDA)、オキシジフタリックジアンハイドライド(ODPA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸アンハイドライド(6FDA)、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンジアンハイドライド(BPADA)からなる群より選択された1種以上を含むことができる。本発明の二無水物酸単量体の範囲は、ここに限定されるものでなく、ポリイミド製造に用いられる二無水物酸を幅広く用いることができる。
【0037】
前記ジアミン単量体が、p-フェニレンジアミン(PPD)、m-フェニレンジアミン(MPD)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジアミノベンゾイックアシッド(DABA)、4,4’-オキシジアニリン(ODA)4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアミン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジメトキシベンジジン、2,2’-ジメトキシベンジジン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、1,3-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)-4-トリフルオロメチルベンゼン、3,3’-ジアミノ-4-(4-フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジ(4-フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(3-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンおよび2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)からなる群より選択された1種以上を含むことができ、好ましくは4,4’-オキシジアニリン(ODA)、p-フェニレンジアミン(PPD)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、3,5-ジアミノベンゾイックアシッド(DABA)、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)およびm-フェニレンジアミン(MPD)からなる群より選択された1種以上を含むことができる。本発明のジアミン単量体の範囲は、ここに限定されるものでなく、ポリイミドの製造に用いられるジアミンを幅広く用いることができる。
【0038】
一実施例において、二無水物酸単量体としてピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)を用い、ジアミン単量体として4,4’-オキシジアニリン(ODA)を用いて60~100℃で重合した後、150℃以上の熱処理によって粉末化させ、ポリイミド粉末を製造することができる。
【0039】
前記ポリイミド粉末は、固形分を5~20重量%とすることができ、好ましくは10~15重量%とすることができる。
【0040】
前記二無水物酸単量体の含有量は、90モル%~100モル%とすることができ、好ましくは95~100モル%、より好ましくは100モル%を含むことができる。
【0041】
前記ジアミン単量体の含有量は、90モル%~100モル%とすることができ、好ましくは95~100モル%、より好ましくは100モル%を含むことができる。
【0042】
前記二無水物酸単量体とジアミン単量体とのモル比は、1:0.9~1:1.1とすることができ、好ましくは1:0.95~1:1.05、より好ましくは1:1とすることができる。
【0043】
前記ポリイミド粉末が、全芳香族ポリイミド、部分脂環式ポリイミドおよび全脂環式ポリイミドからなる群より選択される
いずれかとすることができる。
【0044】
段階(b)において、前記成形は、圧縮成形、熱圧縮成形、射出成形、中空成形、回転成形、押出成形、熱成形、スラッシュ成形および紡績成形からなる群より選択される1種以上の方法で行うことができる。
【0045】
また、本発明に係るポリイミド成形体の製造方法により製造されたポリイミド成形体は、熱的寸法安定性に優れるとともに、引張強度、伸び率、モジュラスなどの物性全部を優れた程度に維持することができ、このような物性が要求される多様な分野に適用することができる。
【0046】
製造された成形体は、フィルム、接着剤、テープ、繊維、多層膜などの多様な形態で、宇宙、航空、電気/電子、半導体、ディスプレイ、自動車、精密機器、パッケージング、医療用素材、分離膜、燃料電池および二次電池など広範な産業分野に適用することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明のポリイミド成形体およびその製造方法は、別途の後熱処理により成形体内部の残留応力を除去することによって、縦方向および横方向にわたって熱膨張の程度が小さくて熱的寸法安定性に優れたポリイミド成形体を製造することができ、前記ポリイミド成形体は、引張強度、伸び率、モジュラスなどの機械的物性にも優れた効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の理解を助けるために実施例を提示する。以下の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0049】
本発明のポリイミド成形体は、ピロメリティックジアンハイドライド(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(BTDA)、オキシジフタリックジアンハイドライド(ODPA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸ジアンハイドライド(6FDA)、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパンジアンハイドライド(BPADA)からなる群より選択された1種以上を含む二無水物酸単量体;および、
4,4’-オキシジアニリン(ODA)、p-フェニレンジアミン(PPD)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、3,5-ジアミノベンゾイックアシッド(DABA)、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)およびm-フェニレンジアミン(MPD)からなる群より選択された1種以上を含むジアミン単量体をイミド化反応させて得られるポリイミド粉末を含み、
25℃~300℃の区間で、次の式1による両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)が0.7~1.5である。
【0050】
また、本発明のポリイミド成形体の製造方法は、
(a)ポリイミド粉末を準備する段階;
(b)該ポリイミド粉末を成形し、成形体を製造する段階;および
(c)前記成形体を後熱処理し、後熱処理されたポリイミド成形体を製造する段階;を含み、
前記後熱処理されたポリイミド成形体が、25℃~300℃の区間で、次の式1による両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)が0.7~1.5である。
【0051】
(式1)
両方向の熱膨張係数(CTEBi-direction)=横方向の熱膨張係数(CTE)/縦方向の熱膨張係数(CTE)=CTE/CTE
【実施例0052】
〔製造例1〕ポリイミド粉末製造
二無水物酸化合物であるピロメリティックジアンハイドライド(PMDA、100モル%)とジアミン化合物である4,4’-オキシジアニリン(ODA、100モル%)を溶媒N-メチル-ピロリドンおよびナフサ(Naphtha)共溶媒に分散させてポリアミック酸組成物を製造した。
【0053】
前記ポリアミック酸組成物を攪拌機、窒素注入装置、温度調節器を取り付けた500mL反応容器に移した後、反応容器の空気を窒素気体に置換し、高温反応器において180℃で6時間攪拌し、ポリイミド粉末懸濁液を製造した。
【0054】
前記ポリイミド粉末懸濁液を蒸留水で洗浄しながら減圧濾過して得られた未乾燥ポリイミド粉末を真空オーブンにおいて200℃で24時間乾燥し、ポリイミド粉末を得た。
【0055】
[ポリイミド成形体の製造]
〔実施例1〕
製造例1に従って製造されたポリイミド粉末をそれぞれ物性評価用モールドに計量し、Hot pressで0.5ton/cm以上の圧力を加えながら400℃まで加熱して成形体を製造した。その後、前記成形体をオーブンで300℃、6時間後熱処理し、最終ポリイミド成形体を製造した(幅100mm、長さ100mm、厚さ30μm)。
【0056】
〔実施例2〕
300℃、6時間後熱処理する代わりに350℃、6時間後熱処理することを除いては、実施例1と同様の方法によりポリイミド成形体を製造した。
【0057】
〔実施例3〕
300℃、6時間後熱処理する代わりに400℃、6時間後熱処理することを除いては、実施例1と同様の方法によりポリイミド成形体を製造した。
【0058】
〔実施例4〕
300℃、6時間後熱処理する代わりに400℃、24時間後熱処理することを除いては、実施例1と同様の方法によりポリイミド成形体を製造した。
【0059】
〔実施例5〕
300℃、6時間後熱処理する代わりに200℃、6時間後熱処理することを除いては、実施例1と同様の方法によりポリイミド成形体を製造した。
【0060】
〔実施例6〕
300℃、6時間後熱処理する代わりに250℃、6時間後熱処理することを除いては、実施例1と同様の方法によりポリイミド成形体を製造した。
【0061】
〔比較例1〕
300℃、6時間後熱処理する段階を行わないことを除いては、実施例1と同様の方法によりポリイミド成形体を製造した。
【0062】
〔比較例2〕
300℃、6時間後熱処理する代わりに450℃、6時間後熱処理することを除いては、実施例1と同様の方法によりポリイミド成形体を製造した。
【0063】
実施例1~6、比較例1および比較例2に係るポリイミド成形体の後熱処理条件を下記表1のようにまとめた。
【0064】
【表1】
【0065】
〔実験例1〕ポリイミド成形体の特性分析
(1)引張強度
万能材料試験機(モデル名Instron 5564,Instron社)を用いて、ASTM D1708に提示された方法により、実施例および比較例で製造されたポリイミド成形体の引張強度を測定した。その結果を下記表2に示す。
【0066】
(2)伸び率(Elongation)
実施例および比較例で製造されたポリイミド成形体を、Instron社のInstron5564 UTM装置を用いてASTM D-1708法により伸び率を測定した。その結果を下記表2に示す。
【0067】
(3)モジュラス(弾性係数)
実施例および比較例で製造されたポリイミド成形体をInstron 5564モデルを用いて、ASTM D-1708法によりモジュラスを測定した。その結果を下記表2に示す。
【0068】
(4)熱膨張係数
実施例および比較例で製造されたポリイミド成形体を、TMA装置を用いてASTM D-696に従って50~200℃の区間での横方向(x)および縦方向(y)に対する熱膨張係数を測定した。また、横方向の熱膨張係数(CTE)と縦方向の熱膨張係数(CTE)から両方向の熱膨張係数(CTE/CTE)を計算した。その結果を下記表2に示す。
【0069】
実施例および比較例に係るポリイミド成形体の引張強度、伸び率、弾性率および熱膨張係数を下記表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
表2によれば、後熱処理を行った実施例1~6は、後熱処理を行っていない比較例1に比べて横方向の熱膨張係数(CTE)と縦方向の熱膨張係数(CTE)の差が大きくないため、比(CTE/CTE)が1に近い数値を示すことが確認された。これは、ポリイミド粉末を成形体に成形する際、上下方向(一方向)に加わった圧力により生成された残留応力が後熱処理により除去され、耐熱寸法安定性を確保したことを意味する。
【0072】
また、200~400℃の温度範囲で後熱処理を行った実施例1~6は、450℃で後熱処理を行った比較例2に比べて、引張強度、伸び率およびモジュラスに優れることが示されており、450℃のように高い温度での後熱処理は、むしろポリイミド成形体の物性を低下し得ることがわかった。
【0073】
したがって、本発明によるポリイミド成形体は、適切な温度範囲の後熱処理によって耐熱寸法安定性を確保すると同時に優れた機械的物性を有することがわかった。
【0074】
本明細書は、本発明の技術分野において通常の知識を有する者であれば十分に認識し、類推することができる内容は、その詳細な記載を省略し、本明細書に記載された具体的な例示以外に本発明の技術的思想や必須構成を変更しない範囲内でより多様な変形が可能である。したがって、本発明は、本明細書にて具体的に説明し例示したものとは異なる方式でも実施することができ、これは、本発明の技術分野に通常の知識を有する者であれば理解できる事項である。