(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009301
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】光学用樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 214/18 20060101AFI20240112BHJP
C08F 8/10 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C08F214/18
C08F8/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201174
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2019219758の分割
【原出願日】2019-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100214639
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】日紫喜 智昭
(57)【要約】
【課題】着色が抑制されるとともに、吸水性が十分に低い光学用樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光学用樹脂組成物の製造方法は、炭素-炭素二重結合を有する含フッ素化合物を含む単量体群を有機過酸化物により重合させることによって得られた含フッ素重合体について、水蒸気の濃度が100volppm以下である雰囲気下で熱処理を行うことを含む。例えば、光学用樹脂組成物の製造方法では、熱処理によって、含フッ素重合体の末端基を熱分解するとともに、当該熱分解により生じた低分子化合物を揮発させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素-炭素二重結合を有する含フッ素化合物を含む単量体群を有機過酸化物により重合させることによって得られた含フッ素重合体について、水蒸気の濃度が100volppm以下である雰囲気下で熱処理を行うことを含む、光学用樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理によって、前記含フッ素重合体の末端基を熱分解するとともに、当該熱分解により生じた低分子化合物を揮発させる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理によって前記含フッ素重合体の末端基を下記式(1)で表される官能基に変化させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【化1】
【請求項4】
前記有機過酸化物が過酸化ジアシル又は過酸化エステルを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記雰囲気が実質的に窒素ガスからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記熱処理の温度が100℃以上400℃以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記炭素-炭素二重結合が前記含フッ素化合物の末端に位置し、当該二重結合を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子に置換されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学用樹脂組成物の製造方法及び光学用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素重合体を含む樹脂組成物は、プラスチック光ファイバー(以下、「POF」と記載する。)や露光部材などの光学部材の材料として、幅広い分野で利用されている。本明細書では、光学部材の材料として用いられる樹脂組成物を「光学用樹脂組成物」と呼ぶ。
【0003】
含フッ素重合体は、例えば、炭素-炭素二重結合を有する含フッ素化合物を含む単量体群を重合開始剤により重合させることによって作製することができる。含フッ素化合物を含む単量体群を重合させるための重合開始剤としては、一般的には、有機過酸化物が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学部材を作製する際に、光学用樹脂組成物は、例えば、加熱溶融されて成形されるが、この加熱成形時に着色が生じることがある。この着色は、バルク状の光学用樹脂組成物を加熱溶融した場合に特に顕著になる。本発明者の検討によると、光学用樹脂組成物の着色の原因は、重合開始剤に由来する含フッ素重合体の末端基にあることが分かった。
【0006】
本発明者は、この知見に基づいてさらに検討を進めたところ、含フッ素重合体の末端基を予め分解しておけば、光学用樹脂組成物の着色を抑制できる一方、光学用樹脂組成物の吸水性が増加することを見出した。なお、光学部材の分野においては、水が光の吸収損失を増加させることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0007】
そこで本発明は、着色が抑制されるとともに、吸水性が十分に低い光学用樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
炭素-炭素二重結合を有する含フッ素化合物を含む単量体群を有機過酸化物により重合させることによって得られた含フッ素重合体について、水蒸気の濃度が100volppm以下である雰囲気下で熱処理を行うことを含む、光学用樹脂組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、着色が抑制されるとともに、吸水性が十分に低い光学用樹脂組成物の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の説明は、本発明を特定の実施形態に制限する趣旨ではない。
【0011】
本実施形態の光学用樹脂組成物の製造方法は、炭素-炭素二重結合を有する含フッ素化合物を含む単量体群を有機過酸化物により重合させることによって得られた含フッ素重合体について、水蒸気の濃度が100volppm以下である雰囲気下で熱処理を行うことを含む。本明細書では、熱処理が実施される前の含フッ素重合体を「含フッ素重合体(A)」と呼び、熱処理が実施された後の含フッ素重合体を「含フッ素重合体(B)」と呼ぶことがある。本実施形態の製造方法によって得られた光学用樹脂組成物は、含フッ素重合体(B)を含んでいる。
【0012】
熱処理が実施される前の含フッ素重合体(A)は、重合開始剤(有機過酸化物)に由来する末端基を有する。この末端基は、例えば、エステル基である。後述のとおり、含フッ素化合物は、例えば、末端に位置する炭素-炭素二重結合を有し、当該二重結合を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子に置換されている。この含フッ素化合物から形成された含フッ素重合体(A)の末端基は、例えば、下記式(4)によって表される。
【化1】
【0013】
式(4)中、Riは、有機過酸化物の構造に応じて定まり、例えば、炭素数1~12の炭化水素基である。Riの炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子によって置換されていてもよい。Riの炭化水素基は、芳香族環を含んでいてもよい。例えば、有機過酸化物としてパーフルオロ過酸化ベンゾイルを用いた場合、Riは、パーフルオロフェニル基である。なお、「パーフルオロ」は、炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子に置換されていることを意味する。
【0014】
含フッ素重合体(A)について熱処理を行った場合、含フッ素重合体(A)の末端基が熱分解する。一例として、式(4)で表された末端基について、下記式(5a)で表される分解反応が生じる。
【化2】
【0015】
このように、本実施形態の製造方法では、熱処理によって、含フッ素重合体(A)の末端基を下記式(1)で表される官能基に変化させることができる。言い換えると、熱処理が実施された後の含フッ素重合体(B)は、下記式(1)で表される末端基を有する。なお、含フッ素重合体(B)が下記式(1)で表される末端基を有することは、炭素13核磁気共鳴分光法(
13C-NMR)によって確認してもよい。
【化3】
【0016】
熱処理中の雰囲気において、水蒸気の濃度は、100volppm以下であればよく、50volppm以下であることが好ましい。熱処理中の雰囲気は、水蒸気を実質的に含まないことが好ましいが、水蒸気の濃度が0.1volppm以上であってもよい。
【0017】
熱処理中の雰囲気に含まれる成分は、特に限定されないが、不活性ガスを主成分として含むことが好ましく、実質的に不活性ガスからなることがより好ましい。本明細書において、「不活性ガスを主成分として含む」は、雰囲気中において、不活性ガスが重量基準で最も多く含まれることを意味する。「実質的に不活性ガスからなる」は、雰囲気中における不活性ガスの含有率が95wt%以上、好ましくは99wt%以上、であることを意味する。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス及びアルゴンガスが挙げられ、好ましくは窒素ガスである。熱処理中の雰囲気は、実質的に窒素ガスからなることが好ましい。熱処理は、減圧雰囲気又は真空雰囲気で行われてもよい。
【0018】
熱処理の温度は、含フッ素重合体(A)の末端基の熱分解が進行する限り、特に限定されず、例えば100℃以上400℃以下であり、好ましくは200℃以上350℃以下である。熱処理の時間も特に限定されず、例えば50分以上であり、250分以上であってもよい。熱処理の時間は、1500分以下であってもよい。含フッ素重合体(A)は、熱処理によって溶融してもよく、溶融しなくてもよい。熱処理が実施される前において、含フッ素重合体(A)の形状は、特に限定されず、例えば粉末状である。
【0019】
本実施形態の製造方法は、例えば、含フッ素重合体(A)の末端基の熱分解によって生じた低分子化合物(例えば、Ri-C(=O)-F)を光学用樹脂組成物から除去することをさらに含む。光学用樹脂組成物から低分子化合物を除去する方法は、特に限定されない。例えば、上記の熱処理の条件(温度、時間など)を適切に設定し、低分子化合物を揮発させることによって、光学用樹脂組成物から低分子化合物を除去してもよい。言い換えると、本実施形態の製造方法では、上記の熱処理によって、含フッ素重合体(A)の末端基を熱分解するとともに、当該熱分解により生じた低分子化合物を揮発させてもよい。上記の熱処理によって含フッ素重合体(A)が溶融する場合、溶融した含フッ素重合体(A)の液面の高さが1mm以下であれば、熱分解により生じた低分子化合物が揮発しやすい。光学用樹脂組成物において、含フッ素重合体(A)の末端基の熱分解によって生じた低分子化合物の重量濃度は、例えば1%以下である。
【0020】
上述のとおり、本実施形態の製造方法では、熱処理によって、含フッ素重合体(A)の有機過酸化物に由来する末端基が熱分解する。すなわち、光学用樹脂組成物に含まれる含フッ素重合体(B)は、有機過酸化物に由来する末端基をほとんど有していない。そのため、光学用樹脂組成物を光学部材に加熱成形する段階で、有機過酸化物に由来する末端基の熱分解によって低分子化合物が生じることがほとんどない。本発明者の検討によると、光学用樹脂組成物を光学部材に加熱成形する段階で低分子化合物が生じると、光学用樹脂組成物が着色する傾向がある。本実施形態の製造方法によれば、上記の低分子化合物を予め除去することができ、これにより、着色が抑制された光学用樹脂組成物を得ることができる。
【0021】
さらに、本実施形態の製造方法では、水蒸気の濃度が100volppm以下である雰囲気下で熱処理が実施される。そのため、含フッ素重合体(B)の末端基が、熱処理中にさらに加水分解することを抑制することができる。仮に、式(1)で表される末端基が加水分解した場合には、下記式(5b)で表される反応により、カルボキシル基が形成される。カルボキシル基などのOH基を含む官能基は、光学用樹脂組成物の吸水性を増加させる傾向がある。本実施形態の製造方法によれば、含フッ素重合体(B)の末端基の加水分解が抑制されるため、光学用樹脂組成物の吸水性の増加を抑制することができ、吸水性を十分に低い状態に維持できる。
【化4】
【0022】
なお、カルボキシル基などのOH基を含む官能基が形成されると、含フッ素重合体において、分子内での密度ゆらぎが増加する。分子内での密度ゆらぎは、光の散乱の原因になりうる。本実施形態の製造方法では、含フッ素重合体(B)の末端基の加水分解が抑制されることで分子内の密度ゆらぎの増加が抑制され、これにより、光学用樹脂組成物による光の散乱の増加を抑制することができる。
【0023】
[含フッ素化合物]
単量体群に含まれる含フッ素化合物は、炭素-炭素二重結合及びフッ素原子を含む限り、特に限定されない。C-H結合の伸縮エネルギーによる光吸収を抑制する観点から、含フッ素化合物は、実質的に水素原子を含んでいないことが好ましく、炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子に置換されていることが特に好ましい。本明細書において、含フッ素化合物が実質的に水素原子を含んでいないとは、単量体群に含まれる含フッ素化合物の全量における水素原子の含有率が1モル%以下であることを意味する。
【0024】
含フッ素化合物に含まれる炭素-炭素二重結合は、含フッ素化合物の末端に位置していることが好ましい。さらに、当該二重結合を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子に置換されていることが好ましい。
【0025】
含フッ素化合物は、含フッ素脂肪族環構造を有することが好ましい。含フッ素化合物は、環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子との間に重合性二重結合を有していてもよく、環を構成する2つの炭素原子の間に重合性二重結合を有していてもよい。環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子との間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソランなどの1,3-ジオキソラン構造を有する含フッ素化合物が挙げられる。環を構成する2つの炭素原子の間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロ-4-メチル-1,3-ジオキソール、パーフルオロ-4-メチル-1,3-ジオキソールなどの1,3-ジオキソール構造を有する含フッ素化合物が挙げられる。
【0026】
含フッ素化合物は、例えば特表2007-504125号公報に開示された製造方法をはじめ、すでに公知である製造方法によって得ることができる。含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物としては、例えば下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【化5】
【0027】
式(2)中、Rff
1~Rff
4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff
1及びRff
2は、連結して環を形成してもよい。式(2)において、パーフルオロアルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましく、1であることがさらに好ましい。パーフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。パーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられる。
【0028】
式(2)において、パーフルオロアルキルエーテル基の炭素数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。パーフルオロアルキルエーテル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。パーフルオロアルキルエーテル基としては、パーフルオロメトキシメチル基などが挙げられる。
【0029】
Rff
1及びRff
2が連結して環を形成している場合、当該環は、5員環であってもよく、6員環であってもよい。この環としては、パーフルオロテトラヒドロフラン環、パーフルオロシクロペンタン環、パーフルオロシクロヘキサン環などが挙げられる。
【0030】
上記式(2)で表される化合物の具体例として、例えば下記式(M1)~(M8)で表される化合物が挙げられる。
【化6】
【0031】
式(2)で表される化合物は、上記式(M1)~(M8)で表される化合物のうち、式(M2)で表される化合物、すなわち下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0032】
【0033】
単量体群に含まれる含フッ素化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。すなわち、含フッ素重合体(A)は、1種の含フッ素化合物を単独重合させることによって得られる含フッ素重合体であってもよいし、2種以上の含フッ素化合物を共重合させることによって得られる含フッ素共重合体であってもよい。
【0034】
含フッ素重合体(A)は、例えば上述の含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物(以下、含フッ素化合物(a)と記載する)と、含フッ素化合物(a)以外の他の含フッ素化合物とを共重合させることによって得られる含フッ素共重合体であってもよい。含フッ素化合物(a)以外の他の含フッ素化合物として、例えば、以下の含フッ素化合物(b)~(d)が挙げられる。
【0035】
含フッ素化合物(b)は、パーフルオロビニルエーテル等の含フッ素ビニルエーテルである。含フッ素ビニルエーテルは、例えば下記式(6)で表される。
【化8】
【0036】
式(6)中、R1~R3は各々独立に、フッ素原子、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキル基を表す。R4は、炭素数1~7のパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、環構造を有していてもよい。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0037】
含フッ素化合物(c)は、テトラフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレン等の含フッ素オレフィンである。含フッ素オレフィンは、例えば下記式(7)で表される。
【化9】
【0038】
式(7)中、R5~R8は各々独立に、フッ素原子、又は炭素数1~7のパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、環構造を有していてもよい。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0039】
含フッ素化合物(d)は、2個以上の重合性二重結合を有し、かつ環化重合し得る含フッ素化合物である。含フッ素化合物(d)は、例えば下記式(8)で表される。
【化10】
【0040】
式(8)中、Zは、酸素原子、単結合、又は-OC(R19R20)O-を表し、R9~R20は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~5のパーフルオロアルコキシ基を表す。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。s及びtはそれぞれ独立に0~5でかつs+tが1~6の整数(ただし、Zが-OC(R19R20)O-の場合、s+tは0であってもよい)を表す。
【0041】
含フッ素化合物(d)として、下記式(9)で表される含フッ素化合物が用いられてもよい。なお、下記式(9)で表される含フッ素化合物は、上記式(8)においてZが酸素原子、sが0、かつtが2の場合である。
【化11】
【0042】
式(9)中、R141、R142、R151、及びR152は各々独立に、フッ素原子、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1~5のパーフルオロアルコキシ基を表す。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0043】
含フッ素化合物(d)の具体例として、例えば下記の化合物が挙げられる。
CF2=CFOCF2CF=CF2
CF2=CFOCF(CF3)CF=CF2
CF2=CFOCF2CF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2
CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2
CF2=CFOCFClCF2CF=CF2
CF2=CFOCCl2CF2CF=CF2
CF2=CFOCF2OCF=CF2
CF2=CFOC(CF3)2OCF=CF2
CF2=CFOCF2CF(OCF3)CF=CF2
CF2=CFCF2CF=CF2
CF2=CFCF2CF2CF=CF2
CF2=CFCF2OCF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CFClCF=CF2
CF2=CFOCF2CF2CCl=CF2
CF2=CFOCF2CF2CF=CFCl
CF2=CFOCF2CF(CF3)CCl=CF2
CF2=CFOCF2OCF=CF2
CF2=CFOCCl2OCF=CF2
CF2=CClOCF2OCCl=CF2
【0044】
[単量体群]
単量体群は、上述した含フッ素化合物を主成分として含むことが好ましく、実質的に含フッ素化合物からなることがより好ましい。単量体群は、含フッ素化合物以外の他の重合性化合物をさらに含んでいてもよい。
【0045】
[有機過酸化物]
本実施形態の製造方法において、有機過酸化物は、単量体群の重合開始剤として機能する。有機過酸化物は、過酸化ジアシル又は過酸化エステルを含むことが好ましく、過酸化ジアシルを含むことがより好ましい。有機過酸化物は、フッ素化されていることが好ましい。有機過酸化物は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されていることがより好ましい。ここで、有機過酸化物が実質的に水素原子を含んでいないとは、用いられる有機過酸化物の全量に対して、水素原子の含有割合が1モル%以下であることを意味する。有機過酸化物の好ましい一例は、パーフルオロ過酸化ベンゾイルである。
【0046】
[含フッ素重合体(A)の製造方法]
含フッ素重合体(A)は、上記の単量体群を上記の有機過酸化物を用いて重合させることによって製造できる。重合方法としては、公知の重合方法を用いることができる。例えば、上記の単量体群を常法によってラジカル重合し、含フッ素重合体(A)を製造できる。
【0047】
[含フッ素重合体]
上述のとおり、含フッ素重合体(A)及び(B)は、互いに異なる末端基を有する。末端基を除き、含フッ素重合体(A)の構造は、含フッ素重合体(B)と同じであってもよい。以下では、含フッ素重合体(A)及び(B)が共通して有する構成単位について説明する。
【0048】
含フッ素重合体は、例えば、下記式(10)で表される構成単位(a)を含む。構成単位(a)は、上述した含フッ素化合物(a)に由来する。式(10)において、R
ff
1~R
ff
4は、式(2)と同じである。
【化12】
【0049】
構成単位(a)の具体例としては、例えば、下記式(a1)~(a8)で表される構成単位が挙げられる。
【化13】
【0050】
構成単位(a)は、上記式(a1)~(a8)で表される構成単位のうち、構成単位(a2)、すなわち下記式(11)で表される構成単位であることが好ましい。
【化14】
【0051】
含フッ素重合体は、構成単位(a)を1種又は2種以上含んでいてもよい。含フッ素重合体において、構成単位(a)の含有量は、全構成単位の合計に対し、20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。構成単位(a)が20モル%以上含まれることにより、含フッ素重合体は、より高い耐熱性を有する傾向がある。構成単位(a)が40モル%以上含まれる場合、含フッ素重合体は、高い耐熱性に加えて、より高い透明性及び高い機械的強度も有する傾向がある。含フッ素重合体において、構成単位(a)の含有量は、全構成単位の合計に対し、95モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
【0052】
含フッ素重合体は、構成単位(a)以外に、他の構成単位をさらに含んでいてもよい。他の構成単位としては、以下の構成単位(b)~(d)が挙げられる。
【0053】
構成単位(b)は、下記式(12)で表される。構成単位(b)は、上述した含フッ素化合物(b)に由来する。式(12)において、R
1~R
4は、式(6)と同じである。
【化15】
【0054】
含フッ素重合体は、構成単位(b)を1種又は2種以上含んでいてもよい。含フッ素重合体において、構成単位(b)の含有量は、全構成単位の合計に対し、5~10モル%が好ましい。構成単位(b)の含有量は、9モル%以下であってもよく、8モル%以下であってもよい。
【0055】
構成単位(c)は、下記式(13)で表される。構成単位(c)は、上述した含フッ素化合物(c)に由来する。式(13)において、R
5~R
8は、式(7)と同じである。
【化16】
【0056】
含フッ素重合体は、構成単位(c)を1種又は2種以上含んでいてもよい。含フッ素重合体において、構成単位(c)の含有量は、全構成単位の合計に対し、5~10モル%が好ましい。構成単位(c)の含有量は、9モル%以下であってもよく、8モル%以下であってもよい。
【0057】
構成単位(d)は、下記式(14)で表される。構成単位(d)は、上述した含フッ素化合物(d)に由来する。式(14)において、Z、R
9~R
18、s及びtは、式(8)と同じである。
【化17】
【0058】
構成単位(d)は、好ましくは下記式(15)で表される。下記式(15)で表される構成単位(d)は、式(9)で表される含フッ素化合物に由来する。式(15)において、R
141、R
142、R
151、及びR
152は、式(9)と同じである。
【化18】
【0059】
含フッ素重合体は、構成単位(d)を1種又は2種以上含んでいてもよい。含フッ素重合体において、構成単位(d)の含有量は、全構成単位の合計に対し、30~67モル%が好ましい。構成単位(d)の含有量は、例えば35モル%以上であり、60モル%以下であってもよく、55モル%以下であってもよい。
【0060】
含フッ素重合体は、構成単位(a)~(d)以外の他の構成単位をさらに含んでいてもよいが、実質的に構成単位(a)~(d)以外の他の構成単位を含まないことが好ましい。なお、含フッ素重合体が実質的に構成単位(a)~(d)以外の他の構成単位を含まないとは、含フッ素重合体における全構成単位の合計に対し、構成単位(a)~(d)の合計が95モル%以上、好ましくは98モル%以上であることを意味する。
【0061】
含フッ素重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されず、例えば100℃~140℃であり、105℃以上であってもよく、120℃以上であってもよい。本明細書において、Tgは、日本産業規格(JIS) K7121:1987の規定に準拠して求められる中間点ガラス転移温度 (Tmg)を意味する。
【0062】
[光学用樹脂組成物]
本実施形態の製造方法によって得られた光学用樹脂組成物は、含フッ素重合体(B)を含み、実質的に含フッ素重合体(B)からなることが好ましい。光学用樹脂組成物は、屈折率調整剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0063】
上述のとおり、本実施形態の製造方法によれば、含フッ素重合体(B)の末端基の加水分解が抑制されるため、光学用樹脂組成物の吸水性が十分に低い。光学用樹脂組成物の吸水率は、例えば0.1%以下であり、好ましくは0.05%以下である。光学用樹脂組成物の吸水率は、次の方法によって特定することができる。まず、市販の水分吸脱着測定装置に光学用樹脂組成物を測定用サンプルとしてセットする。次に、測定用サンプルを85℃0%RHの条件で600分保持し、さらに85℃85%RHの条件で600分保持する。このとき、測定用サンプルが装置内の水蒸気を吸水(吸湿)すると、測定用サンプルの重量が増加する。吸湿処理後の測定用サンプルの重量に対する吸湿処理による測定用サンプルの重量の増加量の比率を吸水率として特定する。
【0064】
さらに、光学用樹脂組成物の吸水性が十分に低いため、光学用樹脂組成物における水の含有率(含水率)も低い状態で維持される。光学用樹脂組成物の含水率は、例えば0.1wt%以下であり、好ましくは0.07wt%以下であり、より好ましくは0.05wt%以下である。光学用樹脂組成物の含水率の下限値は、特に限定されず、例えば0.01wt%である。
【0065】
本実施形態の製造方法によって得られた光学用樹脂組成物によれば、光学部材に加熱成形されるときに着色が生じにくい。さらに、光学用樹脂組成物の含水率が低いため、光学用樹脂組成物に含まれる水による光の吸収損失が低い。そのため、光学用樹脂組成物から成形体を作製した場合、当該成形体の内部透過率が十分に低い。一例として、光学用樹脂組成物から作製された厚さ10mmの板状の成形体の波長850nmの光に対する内部透過率は、例えば98%以上であり、好ましくは99%以上である。本明細書において、内部透過率は、成形体の表面での光の反射(フレネル反射)による反射損失を含まない透過率を意味する。成形体の内部透過率は、日本光学硝子工業会規格(JOGIS)17-2012の規定に準拠して特定することができる。
【実施例0066】
以下に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
[含フッ素重合体(A)]
まず、室温(20℃±15℃)のアルゴン雰囲気下で、パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン(式(M2)で表される化合物)22.6gを50mLの1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(三井・ケマーズフロロプロダクツ社製バートレルXF)に溶解させた。アルゴン雰囲気下を維持しながら、得られた溶液にパーフルオロ過酸化ベンゾイルを0.155g加え、撹拌混合した。次に、凍結脱気法により溶液から溶存酸素を除去した。溶液について、撹拌しながら、40℃に加熱し、72時間反応を行った。得られた反応混合物をクロロホルム300mLに添加した。この操作によって生じた沈殿物をろ過により回収した。得られた濾物は、パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソランの重合体(含フッ素重合体(A))であった。含フッ素重合体(A)の収量は19.2gであり、収率は81.0%であった。
【0068】
(サンプル1)
まず、アルミニウム製のバットの上にアルミ箔を配置し、さらに、アルミ箔の光沢面の上に粉末状の含フッ素重合体(A)を配置した。バットをオーブンの内部に配置し、窒素雰囲気下270℃で5時間、含フッ素重合体(A)を熱処理した。窒素雰囲気は、オーブン内に窒素を1L/minの流量で送り込むことによって調整した。窒素雰囲気における水蒸気の濃度は、40volppmであった。熱処理によって含フッ素重合体(A)は溶融した。溶融した含フッ素重合体(A)の液面の高さは1mm以下であった。さらに、熱処理により、含フッ素重合体(A)の末端基が熱分解するとともに、当該熱分解によって生じた低分子化合物が揮発した。これにより、サンプル1の光学用樹脂組成物を得た。室温まで冷却されたサンプル1の光学用樹脂組成物は、厚さ1mm以下の板状であった。
【0069】
(サンプル2)
熱処理の時間を24時間に変更したことを除き、サンプル1と同じ方法によってサンプル2の光学用樹脂組成物を得た。
【0070】
(サンプル3)
熱処理を大気中で行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によってサンプル3の光学用樹脂組成物を得た。大気中の水蒸気の濃度は、1.4vol%であった。
【0071】
(サンプル4)
熱処理の時間を24時間に変更したことを除き、サンプル3と同じ方法によってサンプル4の光学用樹脂組成物を得た。
【0072】
[吸水率]
サンプル1~4の光学用樹脂組成物について吸水率を測定した。まず、光学用樹脂組成物から1cm角の測定用サンプルを切り出した。この測定用サンプルを水分吸脱着測定装置(Hiden社製のIGA-SORP)にセットした。次に、測定用サンプルを85℃0%RHの条件で600分保持し、さらに、85℃85%RHの条件で600分保持した。吸湿処理後の測定用サンプルの重量に対する吸湿処理による測定用サンプルの重量の増加量の比率を吸水率として特定した。結果を表1に示す。なお、表1において、〇は、吸水率が0.05%以下であることを意味する。×は、吸水率が0.05%より大きいことを意味する。
【0073】
[内部透過率]
サンプル1~4の光学用樹脂組成物について、JOGIS 17-2012の規定に準拠した以下の方法によって、光学用樹脂組成物から作製された厚さ10mmの板状の成形体の波長850nmの光に対する内部透過率を特定した。まず、アルミ箔で円筒を作製し、円筒の底面をポリイミドテープで塞いだ。この円筒の内部に光学用樹脂組成物を充填した。次に、この円筒をハステロイ製のロッド作製用容器にセットした。容器の内部を真空雰囲気にし、約2時間かけて容器の温度を270℃まで上昇させた。容器の温度が270℃に到達してから3時間、容器を270℃で加熱した。次に、容器を室温までゆっくりと冷却することによって、光学用樹脂組成物からロッドを成形した。ロッドは、底面の直径が20mmであり、厚さが20mmである円柱形状であった。
【0074】
次に、ダイヤモンドホイールソーを用いて、作製したロッドから厚さ5mmの円板D1と厚さ12mmの円板D2とを切り出した。次に、円板D1をサンプルカップの内部に配置した。このとき、円板D1の底面にカーボンテープを貼り付け、このカーボンテープによって円板D1をサンプルカップに固定した。次に、サンプルカップの内部に樹脂組成物(Struers社製のEPOFIX)を充填させ、当該樹脂組成物を硬化させた。これにより、測定用サンプルS1を得た。測定用サンプルS1は、底面の直径が25mmであり、厚さが約5mmである円柱形状であった。
【0075】
次に、測定用サンプルS1を自動卓上研磨機のサンプルホルダーにセットし、カーボンテープが貼り付けられた側の測定用サンプルS1の底面に対して、以下の工程1~6を行った。
工程1 「SIC PAPER ♯1000」で研磨し、カーボンテープを除去する。
工程2 STRUERS社製の「MD SAT 9μM」で5分間研磨する。
工程3 STRUERS社製の「MD SAT 6μM」で5分間研磨する。
工程4 STRUERS社製の「MD DUR 3μM」で10分間研磨する。
工程5 STRUERS社製の「MD NAP 1μM」で5分間研磨する。
工程6 STRUERS社製の「MD CHEM OP-S」で5分間研磨する。
【0076】
工程1~6によって研磨された底面をろ紙で保護した。次に、測定用サンプルS1を平面研磨用治具にセットし、測定用サンプルS1の底面に対向する面(上面)を研磨した。この研磨は、「SiC Paper ♯220」を用いて、測定用サンプルS1の厚さが約4mmになるまで行った。このとき、測定用サンプルS1の厚さは、デジタルマイクロメータによって確認した。さらに、「SiC Paper ♯1000」を用いて、測定用サンプルS1の厚さが約3.5mmになるまで、測定用サンプルS1の上面を研磨した。さらに、測定用サンプルS1の上面に対して、上記の工程2~6を行うことによって、厚さ約3.5mmの測定用サンプルS1を得た。
【0077】
次に、測定用サンプルS1と同じ方法によって、円板D2から厚さ10mmの測定用サンプルS2を得た。なお、研磨前の測定用サンプルS2は、底面の直径が25mmであり、厚さが約12mmである円柱形状であった。「SiC Paper ♯220」を用いた測定用サンプルS2の上面の研磨は、測定用サンプルS2の厚さが約11mmになるまで行った。「SiC Paper ♯1000」を用いた測定用サンプルS2の上面の研磨は、測定用サンプルS2の厚さが約10.5mmになるまで行った。
【0078】
次に、測定用サンプルS1及びS2のそれぞれについて、JIS Z8722:2009の規定に準拠して、フレネル反射による反射損失を含む分光透過率を測定した。分光透過率の測定は、日立ハイテクサイエンス社製の紫外可視近赤外分光光度計UH4150を用いて、測定波長200nm~1300nm、サンプリング間隔1nm、スキャンスピード600nm/minの条件で行った。得られた分光透過率から、以下の数式(1)に基づいて、光学用樹脂組成物から作製された厚さ10mmの板状の成形体の波長850nmの光に対する内部透過率を特定した。結果を表1に示す。
【数1】
【0079】
上記の数式(1)において、τは、厚さLmm(10mm)の板状の成形体の内部透過率を意味する。aは、以下の数式(2)によって算出される値である。なお、数式(2)において、d
1は、測定用サンプルS1の厚さ(mm)を意味し、d
2は、測定用サンプルS2の厚さ(mm)を意味する。T
1は、測定用サンプルS1の波長850nmの光に対する透過率を意味し、T
2は、測定用サンプルS2の波長850nmの光に対する透過率を意味する。T
1及びT
2は、それぞれ、フレネル反射による反射損失を含んでいる。
【数2】
【0080】
表1において、〇は、上記の方法で特定した内部透過率が98%以上であることを意味する。×は、上記の方法で特定した内部透過率が98%未満であることを意味する。
【0081】
【0082】
表1からわかるとおり、含フッ素重合体(A)について、水蒸気の濃度が100volppm以下である雰囲気下で熱処理を行うことによって得られたサンプル1及び2の光学用樹脂組成物は、水蒸気の濃度が100volppmを上回る雰囲気下で熱処理を行うことによって得られたサンプル3及び4の光学用樹脂組成物に比べて吸水率が低かった。サンプル1及び2の光学用樹脂組成物は、吸水率が低く、水をほとんど含まないため、当該光学用樹脂組成物から作製された厚さ10mmの板状の成形体の波長850nmの光に対する内部透過率が高い値になった。
本実施形態の製造方法によって得られた光学用樹脂組成物は、プラスチック光ファイバー、光導波路用材料、光学レンズ、プリズム、フォトマスクなどの光学部材の材料に適しており、特に、プラスチック光ファイバー、光導波路用材料、及び光学レンズの材料に好適である。