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  • 特開-直動案内装置 図1
  • 特開-直動案内装置 図2
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  • 特開-直動案内装置 図4
  • 特開-直動案内装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093027
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】直動案内装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/08 20060101AFI20240702BHJP
   F16C 29/06 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16C29/08
F16C29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209122
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西山 和人
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA64
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA62
3J104BA63
3J104BA64
3J104BA80
3J104DA04
3J104EA01
(57)【要約】
【課題】案内レールへの異物の侵入を防止するレールカバーを備えた直動案内装置を提供すること
【解決手段】
相対移動可能なスライダ12が跨架される案内レール11の上面に装着されるレールカバー13を備えた直動案内装置であって、レールカバー13には空気の移動を行う穴があり、これを通じて外気との空気の移動を行う、或いは他のレールカバー13と連結パイプ14でつなぐことによって空気の移動を行うことによって、スライダ本体12が移動するに伴ってレールカバー13と案内レール、スライダ本体12に囲まれた空間容積の変化に伴う圧力変動を抑制し、空間内部への異物の侵入を防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レールと、
前記案内レールの左右両側面に該案内レールの長手方向に沿って形成されたレール側軌道面と、
前記案内レールの左右両側面と対向する内側面を有するスライダ本体と、
前記スライダ本体の前後方向両端に取り付けられたエンドキャップと、
前記スライダ本体の内側面に前記案内レールの長手方向に沿って形成されたスライダ側軌道面と、
前記スライダ本体及び前記エンドキャップで構成されるスライダの内部に組込まれ、前記レール側軌道面と前記スライダ側軌道面との間に形成された負荷転動路を転動すると共に、前記スライダ本体内に形成された転動体戻し路及び前記エンドキャップ内に形成された方向転換路を転動する複数の転動体と、
前記複数の転動体間に介在される複数の保持ピースと、を備えた直動案内装置であって、前記直動装置の前記レール上面に装着され、
前記上面を覆うレールカバーは複数の山部と谷部が交互に並ぶジャバラ状に形成されることにより長手方向に伸縮自在に形成されており、
前記カバーには少なくとも一つ以上の空気が移動可能な穴を有していることを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
2つのレールカバーのそれぞれに穴を有しており、前記レールカバーのそれぞれの穴同士は中空材によって連結されていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
【請求項3】
前記レールカバーの穴は外気に開放されていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
【請求項4】
前記レールカバーの穴には防塵のためのフィルターが設置されていることを特徴とする請求項3に記載の直動案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内レールと、案内レールに複数の転動体を介して跨設されるスライダを備える直動案内装置に係り、特に、直動案内装置のサイドシールと案内レールの端面との間に取り付けられるレールカバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の直動案内装置は、案内レールに複数の転動体を介してスライド移動自在にスライダが跨設され、複数の転動体が転動することにより、案内レールおよびスライダの一方が他方に対して相対的にスライド移動する。この種の直動案内装置において、特に精密な移動が要求される自動化ラインに組み込まれる直動案内装置では、塵埃,切削屑,切削油等の異物が付着することを防止するために、外部に露出した案内レールを覆うレールカバー(防塵カバー)が用いられる。従来の防塵カバーの形状や装着方法としては、例えば特許文献1に開示されるものがある。
【0003】
特許文献1では、スライダの端面と案内レール端面との間に取り付けられて、案内レールを覆うように案内レールの長手方向に伸縮自在なカバーと備える直動案内装置が開示されている。
【0004】
カバー本体は、防水布や耐熱布などからなる下面が開放された角ダクト状の部材であって、複数の山部と谷部が交互に並ぶジャバラ状に形成されることにより長手方向に伸縮自在に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-214989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているようなジャバラ形状のカバーは、スライダの移動に伴い伸縮するたびに、カバー内部の空間容積が変化するため、空間内部の圧力が上がったり、負圧になったりする。また、カバーは下面が開放されていると共に、カバーの下端と案内レールの取り付け面との間に隙間を有しているため、空間内部の圧力変化によって、隙間から空気が出たり入ったりする。特に、空間内部が負圧になると、隙間を通して空気と共に、外部の切粉やほこり等の異物を吸い込み、内部が汚染されてしまうことで、直動案内装置の破損を招く虞がある。このような問題は、スライダの移動速度が速くなるほど顕著となっている。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、スライダの移動に伴いレールカバー内部の容積が変化しても、内部の圧力の変化を抑制して防塵カバー内部への異物の侵入を防止することができる直動案内装置を提供することにある。
【0008】
本発明は上述した問題点に着目してなされたものであり、作動に伴う空間内部の圧力変化に伴う内部の汚染を抑制するレールカバーを備えた直動案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の上記目的は直動案内装置に係る以下の構成によって達成される。
【0010】
(1) 案内レールと、前記案内レールの左右両側面に該案内レールの長手方向に沿って形成されたレール側軌道面と、前記案内レールの左右両側面と対向する内側面を有するスライダ本体と、前記スライダ本体の前後方向両端に取り付けられたエンドキャップと、前記スライダ本体の内側面に前記案内レールの長手方向に沿って形成されたスライダ側軌道面と、前記スライダ本体及び前記エンドキャップで構成されるスライダの内部に組込まれ、前記レール側軌道面と前記スライダ側軌道面との間に形成された負荷転動路を転動すると共に、前記スライダ本体内に形成された転動体戻し路及び前記エンドキャップ内に形成された方向転換路を転動する複数の転動体と、前記複数の転動体間に介在される複数の保持ピースと、を備えた直動案内装置であって、前記直動装置の前記レール上面に装着されるレールカバーであって、前記上面を覆うレールカバー本体は複数の山部と谷部が交互に並ぶジャバラ状に形成されることにより長手方向に伸縮自在に形成されており、前記カバーには少なくとも一つ以上の空気が移動可能な穴を有している。
【0011】
(2)2つのレールカバーのそれぞれに穴を有しており、前記レールカバーのそれぞれの穴同士は中空材によって連結されている。
【0012】
(3)前記カバー穴は外気に開放されている。
【0013】
(4)前記レールカバーの穴には防塵フィルターが設置されている。
【発明の効果】
【0014】
上記(1)の構成の直動案内装置においては、案内レールの上面を覆うカバー本体は複数の山部と谷部が接触することによって長手方向に伸縮する。これにより、本構成のレールカバーは案内レールの上を移動するスライダの動きを妨げることなく案内レール上面を常時覆うことが可能である。
また、内部の圧力変動を低減させるため、空気を通過させるための穴を有している。これにより、カバー内部の圧力変動が抑制され、底部からの外部の切粉やほこり等の異物の侵入が低減し、内部の汚染が発生しづらくなる。
【0015】
上記(2)の構成のレールカバーによれば、圧力変動防止用の穴がもう一つのレールカバーに接続されている。これにより、縮側のレールカバー(高圧側)から伸び側のレールカバー(低圧側)へ空気が速やかに移動するため、底面からの空気の移動が抑制でき、異物の侵入をより防止できる。
【0016】
上記(3)の構成のレールカバーによれば、穴を連結することがないことから、製造コストの観点から優れたものとなっている。
【0017】
上記(4)の構成のレールカバーによれば、解放された穴にフィルターが設置されていることから、穴を介した異物の侵入を抑止できる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態の直動案内装置の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の変形例を示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態の別の変形例を示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態の別の変形例を示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態の別の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るレールカバー13を含む直動案内軸受装置1の実施形態の一例を図1~5に基づいて説明する。直動案内軸受装置1としては、リニアガイドを例に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、以下に説明する実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば限定されるものではない
【0021】
図1に示すように、直動案内軸受装置1は、直線状の案内レール11を跨ぐように組み付けられ、転動体(図示せず)を介してスライド自在に係合するスライダ本体12と、を備えている。
【0022】
また、レールカバー13はスライダ本体12同様に案内レールを跨ぐように組み付けられ、一端を案内レール端部に、他方をスライダ本体12に対して固定されている。
【0023】
以上の構成より、防塵性の高い直動案内装置が完成される。
【0024】
尚、図2のように2つのレールカバー13を連結パイプ14で連結することによって縮側及び伸び側で生じる圧力差から速やかな空気の移動を行うことが可能である。
【0025】
図3では防塵カバー内で生じる圧力変動を減少させるため、大気開放パイプ15(13a、15a)が設置されている。図2のような連結パイプはレール11が長い場合にはそれに応じて長くなってしまい、空気の移動が速やかに行われなくなり、その機能が損なわれる可能性があるため、本発明の機能を達成するためには図3に示すような実施形態が望ましい。
【0026】
図4では図3に示す直動案内装置がより汚染が高い環境で使用される場合にレールカバー16が設置されている。空気の移動を促進させるための穴からは外部の空気を吸い込む際に同時に異物を吸い込む可能性がある。これを防止するために防塵フィルター16aを設置することによって異物による直動案内装置の機能の低下を防止することが可能となる。
【0027】
図5では図3の欠点を解消しつつ、外部からの空気の移動を解消した直動案内装置を示す。スライダ本体12とともに移動する短い連結パイプ13b、14を設置することにより、空気の移動を速やかに行うことが可能であるのに加えて、外部からの空気の移動をなくすことが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
1 直動案内装置
11 案内レール
12 スライダ本体
13 レールカバー
13b 連結パイプ
14 連結パイプ
15 大気開放パイプ
16 レールカバー
16a 防塵フィルター
17 エンドキャップ
図1
図2
図3
図4
図5