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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093037
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】通報装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/08 20060101AFI20240702BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G08B25/08 D
H04M11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209134
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 佳之
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA37
5C087BB12
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD20
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF23
5C087GG08
5C087GG17
5C087GG66
5C087GG67
5C087GG83
5K201BA03
5K201BC11
5K201BC12
5K201BC29
5K201ED09
(57)【要約】
【課題】通報に応答した次通報先のユーザが、通報に対する対処を適切にすることができるようにする。
【解決手段】予め登録されている複数の通報先に、優先順位に従って自動で順次に通報を行う通報装置である。優先順位が最上位の通報先への初回の通報時には、通報メッセージを送出するように構成されている。優先順位が最上位の通報先への初回の通報後の次通報先への通報時には、通報メッセージに加えて、当該次通報先への通報よりも前に行われた、複数個の通報先の内の他の通報先の通報時に得られた情報に基づき、通報関連メッセージを送出するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録されている複数の通報先に、優先順位に従って自動で順次に通報を行う通報装置であって、
優先順位が最上位の通報先への初回の通報時には、通報メッセージを送出するように構成されていると共に、
優先順位が前記最上位の通報先への初回の通報後の次通報先への通報時には、前記通報メッセージに加えて、当該次通報先への通報よりも前に行われた、前記複数の通報先の内の他の通報先の通報時に得られた情報に基づき、通報関連メッセージを送出するように構成されている
ことを特徴とする通報装置。
【請求項2】
前記通報は、通報先についての通報成功又は通報失敗に関係なく、前記優先順位に従って自動で順次になされるものであり、
前記通報関連メッセージは、優先順位が上位の通報先への通報成功又は通報失敗のメッセージを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【請求項3】
前記通報は、通報先についての通報成功又は通報失敗に関係なく、前記優先順位に従って自動で順次になされるものであり、かつ、全ての通報先について通報成功となるまで繰り返し行われるものであり、
前記通報関連メッセージは、優先順位が下位の通報先の応答の有無のメッセージを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【請求項4】
前記優先順位に従って自動で順次になされた前記通報における各通報先についての通報成功及び通報失敗の通報状況を把握して記憶する通報状況把握手段を備え、
前記通報関連メッセージは、前記通報状況把握手段で把握された他の通報先への通報状況を伝達するためのメッセージを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【請求項5】
前記通報成功となった前記通報先からのメッセージを受信して記憶する記憶手段を備え、
前記通報関連メッセージは、前記記憶手段に記憶されているメッセージを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【請求項6】
前記通報関連メッセージは、通報先への通報の態様を伝達するメッセージを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば火災発生や、不審者侵入などの緊急事態の発生の通報を通報先に自動で行う通報装置に適用して好適な通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通報対象物件における火災発生や、不審者侵入などの緊急事態の発生の通報を自動で行う通報装置としては、110番や119番などの特番に通報を行う特番通報装置や、機械警備システムにおいて警備会社に自動通報を行う通報装置が知られている。
【0003】
この種の通報装置には、110番や119番などの特番の特番指令台や、警備会社などの特定の通報先に通報を行う主通報に加えて、主通報の終了後に、副通報として、一般通報先(例えばエンドユーザである物件の責任者等)への事後報告のため、電話回線を用いて音声通報(一般通報)を自動で行うものがある。
【0004】
この場合に、一般通報においては、複数の通報先が設定でき、また、通報先に優先順位をつけて、例えば物件の責任者→副責任者→緊急時の対策係・・・などの順で通報を行うことが可能とされている。また、一般通報において、通報成功(通報相手が応答し、通報音声メッセージを聴取)したか、あるいは通報失敗(通報相手が不応答、話中、音声聴取前に切断など)に関係なく、優先順位に従って次通報先へ通報を行い、かつ、通報が失敗した通報先には、優先順に、再度の通報シーケンスを行って、全ての通報先に通報を行う設定が可能な装置も提供されている(特許文献1(特開昭61-224551号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61-224551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の通報装置においては、主通報及び副通報(一般通報)用として、「火災が発生しました」、「不審者が侵入しました」などの緊急事態発生を報知するための通報メッセージを、予めメモリに記憶しておき、通報の結果、通報先が応答した場合に、その記憶している通報メッセージを読み出して通報先に送るように構成とされている。そして、副通報においては、優先順位に従って通報を実行し、この通報メッセージを、通報先に順次に伝達するようにする。
【0007】
しかし、従来の通報装置における副通報においては、優先順位に従った次通報先へ通報を行った際、その通報に応答した次通報先のユーザには緊急事態発生を報知するための通報メッセージが伝達されるだけであって、その前の通報先への通報状況が不明であるので、通報に応答した次通報先のユーザが、通報に対するアクションを起こす際に困惑するケースがある。
【0008】
図5は、従来のこの種の通報装置における副通報シーケンスの一例を示す図である。この例においては、副通報の通報先として責任者例えば社長と、副責任者例えば部長とが設定されていると共に、責任者→副責任者の順に通報を行うように優先順位が設定されている場合である。
【0009】
図5に示すように、火災の発生や不審者の侵入などに基づく異常発生が検知されると、通報装置は、先ず、優先順位が上位の責任者の電話端末(電話番号)に宛てた通報をする。図5の例では、この通報に対して責任者がその電話端末で応答しなかったとしている。通報装置は、責任者の電話端末からの応答がない(不応答)を検知して通報失敗と判断し、責任者の電話端末への通報を停止して、次位の副責任者の電話端末(電話番号)に宛てた通報をする。
【0010】
図5の例では、この通報に対して、副責任者がその電話端末で応答する。通報装置は、この副責任者の電話端末からの応答を検知すると、副責任者の電話端末との間に通話路を生成し、この通話路を通じて、この例では、「非常事態です・・・」を内容とする音声による通報メッセージを送出する。したがって、副責任者は、この音声による通報メッセージを聴取する。
【0011】
次に、この例では、責任者への通報が前回失敗したので、通報装置は、責任者の電話端末に再度の通報をする。そして、この図5の例では、責任者の電話端末への再度の通報も失敗となり、その後の責任者の電話端末への繰り返しの通報も失敗となったとしている。
【0012】
この図5の通報シーケンス例の場合、副責任者は、音声による通報メッセージを聴取するが、責任者への通報状況が不明であるため、困惑する。そして、副責任者は、「責任者へも通報がなされているはずであり、責任者が対処するであろう」と考えた場合には、通報に対するアクションは何もせずに、放置してしまうことがある。
【0013】
しかし、図5の例では、実際上は、責任者への通報は全て失敗しており、責任者が通報に対するアクションはすることはないので、非常事態の発生に基づく通報がなされたにも拘らず、この通報に対する適切なアクションが何等なされないという事態となってしまうという問題がある。
【0014】
次に、図6の例は、優先順位が上位の責任者の電話端末(電話番号)に宛てた初回の通報は失敗であり、かつ、優先順位が次位の副責任者の電話端末(電話番号)に宛てた通報は成功となるところまでは、図5の例と同様である。この図6の例においては、通報装置が前回失敗した責任者の電話端末に再度の通報を行った際に、責任者からの応答があり、通報が成功した場合としている。
【0015】
この図6の場合には、副責任者及び責任者の両人とも、通報メッセージを受けた際に、他の通報者への通報状況が不明であるので、図6に示すように、副責任者が音声による通報メッセージに基づく何らかのアクションを起こすと共に、責任者も音声による通報メッセージに基づく何らかのアクションを起こしてしまうという状況が発生する場合がある。このようになると、2重のアクションによる指示が発生してしまうことになるので、その指示を受けた現場等が混乱してしまう恐れがある。
【0016】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした通報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
予め登録されている複数の通報先に、優先順位に従って自動で順次に通報を行う通報装置であって、
優先順位が最上位の通報先への初回の通報時には、通報メッセージを送出するように構成されていると共に、
優先順位が前記最上位の通報先への初回の通報後の次通報先への通報時には、前記通報メッセージに加えて、当該次通報先への通報よりも前に行われた、前記複数個の通報先の内の他の通報先の通報時に得られた情報に基づき、通報関連メッセージを送出するように構成されている
ことを特徴とする通報装置を提供する。
【0018】
上述の構成の請求項1の発明の通報装置においては、優先順位が最上位の通報先への初回の通報後の次通報先への通報時には、通報メッセージに加えて、他の通報先の通報時に得られた情報に基づき、通報関連メッセージを送出する。つまり、上述の構成の請求項1の発明の通報装置によれば、通報関連メッセージとして、例えば当該通報先への通報よりも前までの通報状況に関するメッセージを送ることができる。
【0019】
したがって、上述の構成の請求項1の発明によれば、優先順位に従った次通報先へ通報を行った際、通報メッセージと共に、通報関連メッセージが送られるので、通報に応答した次通報先のユーザが、通報に対する対処を適切にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、通報に応答した次通報先のユーザは、通報に対する対処を適切にすることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明による通報装置の第1の実施形態を含む通報システムの構成例を示す図である。
図2】この発明による通報装置の第1の実施形態における副通報処理部の動作の流れの例を示すフローチャートを示す図である。
図3】この発明による通報装置の第1の実施形態における副通報のシーケンス例を示す図である。
図4】この発明による通報装置の第2の実施形態の構成例を示す図である。
図5】従来の通報装置における副通報のシーケンスの一例を示す図である。
図6】従来の通報装置における副通報のシーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明による通報装置の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の通報装置1を含む緊急通報システムの構成例を説明するための図である。この例の緊急通報システムにおける第1の実施形態の通報装置1は、上述したように、異常発生時に、主通報を行うと共に、副通報を行うことができる構成とされている。
【0024】
通報装置1は、電話回線を含む通信ネットワーク2に接続されている。そして、通信ネットワーク2には、主通報先3と、複数個の副通報先41,42,・・・,4n(nは自然数)とが接続されている。主通報先3は、前述したように、110番や119番などの特番の特番指令台や、警備会社などの受信端末とされている。副通報先41,42,・・・,4nは、この例では、通報装置1において後述するように予め設定された一般通報の宛先の電話端末である。
【0025】
第1の実施形態の通報装置1は、この例では、図1に示すように、制御部10に対して、主通報処理部11と、副通報処理部12と、通報メッセージ記憶部13と、副通報先情報記憶部14と、通報状況メッセージ記憶部15と、表示部16と、各種のセンサ171,172,・・・,17m(mは自然数)と、入力操作部18とが接続されて構成されている。
【0026】
各種のセンサ171,172,・・・,17mは、火災センサや侵入者を監視する監視センサなどからなる。監視センサは、人感センサやドアや窓などの開閉検出センサを含む。また、入力操作部18は、テキスト文字入力のほか、音声入力が可能の構成であってもよい。
【0027】
制御部10は、例えばマイクロプロセッサで構成され、通報装置1の全体の制御を行うものである。制御部10は、センサ171,172,・・・,17mのセンサ出力を監視することで異常発生を検知する。そして、制御部10は、異常発生を検知すると、主通報処理部11、また、副通報処理部12を制御して、主通報及び副通報を行わせる。
【0028】
主通報処理部11は、制御部10により起動されると、主通報先3に対して自動ダイヤルして通報を実行する。通報メッセージ記憶部13には、「非常事態です。・・・」などの音声通報メッセージが記憶されている。主通報処理部11は、主通報先3が応答すると、通報メッセージ記憶部13から取得した音声通報メッセージを主通報先3に送出する。
【0029】
制御部10は、主通報処理部11による主通報が終了したら、副通報処理部12を起動する。副通報処理部12は、副通報先情報記憶部14に記憶されている副通報先情報に基づいた副通報を実行する。制御部10は、予め、入力操作部18を通じた複数個の副通報先の設定を受け付けると共に、その複数個の副通報先についての優先順位の設定を受け付けて、副通報先情報記憶部14に記憶している。表示部16は、制御部10の制御の下、入力された各副通報先の確認のための表示を行う。
【0030】
副通報処理部12は、副通報先情報記憶部14に記憶されている複数の副通報先へ、各副通報先についての通報成功又は通報失敗に関係なく、設定された優先順位に従った副通報を実行する。ここで、前述したように、通報成功は、通報相手が応答し、通報音声メッセージを送出して通報相手がそれを聴取可能となった場合であり、また、通報失敗は、通報相手が不応答、話中、あるいは音声通報メッセージの送出前に切断などの場合である。
【0031】
そして、副通報処理部12は、優先順位にしたがって、複数の副通報先への1回目の通報のシーケンスが終了したときに、通報失敗の副通報先が存在しているときには、当該通報失敗の副通報先に対して、優先順位に従った再度の通報のシーケンスを行う。そして、副通報処理部12は、通報失敗の副通報先が存在しなくなるまで、優先順位に従った通報のシーケンスを繰り返す。
【0032】
この場合に、この実施形態においては、副通報処理部12は、優先順位が最上位の副通報先への初回の通報時に当該最上位の副通報先が応答したときには、通報メッセージ記憶部13に記憶されている音声通報メッセージを読み出して、この音声通報メッセージのみを当該最上位の副通報先に送出するように構成されている。
【0033】
そして、この実施形態においては、副通報処理部12は、優先順位が最上位の副通報先の場合も含め、各副通報先についての通報成功又は通報失敗を把握して、記憶管理する通報状況把握部121を備えている。通報状況把握部121は、各副通報先のそれぞれと対応付けて、通報成功又は通報失敗の通報状況情報を把握して記憶管理する。
【0034】
そして、副通報処理部12は、優先順位が最上位の副通報先への初回の通報後の次通報先への通報時に、当該次通報先が応答したときには、通報メッセージ記憶部13に記憶されている音声通報メッセージを読み出して送出することに加えて、通報状況メッセージ記憶部15に記憶されている通報状況メッセージの中から、当該次通報先への副通報よりも前までの通報状況に応じた通報状況メッセージを読み出して、当該次通報先に送出するように構成されている。ここで、優先順位が最上位の副通報先への初回の通報後の次通報先には、通報失敗の副通報先が存在しているときに優先順位に従った再度の通報のシーケンスを行う場合の全ての次通報先を含むもので、初回の通報時に通報失敗となった優先順位が最上位の副通報先を含むものである。
【0035】
通報状況メッセージは、通報成功又は通報失敗を報知するための音声メッセージ情報であり、通報関連メッセージの例である。通報状況メッセージとしては、例えば「第一通報先には連絡できませんでした。」(第一通報先への通報失敗の場合に対応)や、「第二通報先には連絡済みです。」(第二通報先への通報成功の場合に対応)などが、予め記憶されて用意されている。
【0036】
なお、副通報先情報記憶部14に、副通報先名として、例えば氏名や役職名等、副通報先を特定する語句が登録されている場合には、その語句を用いた通報状況メッセージを作成して用いることもできる。その場合においては、通報状況メッセージ記憶部15には、副通報先名を空欄として、通報失敗の場合に対応しては「〇〇(〇〇は空欄を意味する。以下同じ)には連絡できませんでした。」を記憶し、通報成功の場合に対応しては「〇〇には連絡済みです。」を記憶しておき、その記憶されている通報状況メッセージの「○○」の部分に、副通報先情報記憶部14に記憶されている氏名や役職名等を挿入することで通報状況メッセージを作成するようにすることができる。
【0037】
副通報のシーケンスにおいて、通報状況メッセージを受け取る副通報先の前に複数の副通報先が存在している場合には、その前の複数の副通報先の全ての通報状況を報知するように通報状況メッセージを送出するように構成してもよい。また、通報状況メッセージを受け取る副通報先の前に複数の副通報先が存在している場合に、特定の順位の1~複数の副通報先を設定、例えば最上位の副通報先のみを設定し、その設定した通報先への通報状況を報知するように通報状況メッセージを送出するように構成してもよい。
【0038】
なお、図1の通報装置1の構成において、主通報処理部11及び副通報処理部12は、ソフトウエア(プログラム)により処理が実行されるものとして構成することで、制御部10に含めて構成することができる。
【0039】
[第1の実施形態の通報装置1における副通報処理部12の動作例]
次に、第1の実施形態の通報装置1における副通報処理部12の動作例を、図2のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この図2のフローチャートの説明においては、副通報処理部12は、ソフトウエア(プログラム)により処理が実行されるものとされて、制御部10に含まれて構成されているものとして説明する。つまり、図2のフローチャートの各ステップの実行主体は、制御部10として説明する。
【0040】
制御部10は、異常発生を検知したときには、主通報処理部11の機能による主通報を行い、当該主通報が終了したら、図2の副通報のシーケンスを開始するようにする。
【0041】
制御部10は、先ず、副通報先情報記憶部14を参照して、優先順位が最上位の通報先(副通報先)を通報の宛先として設定する(ステップS1)。次に、制御部10は、回線捕捉をして、設定した宛先の通報先に自動ダイヤルをし(ステップS2)、通報先が応答したか否か監視する(ステップS3)。
【0042】
このステップS3で、通報先が応答したと判別したときには、制御部10は、通報メッセージ記憶部13から読み出した非常事態の発生を報知する通報メッセージを通報先に送出する(ステップS4)。そして、通報メッセージの送出を完了したら回線を開放し(ステップS5)、通報成功の情報を、当該通報先に関連付けて記憶する(ステップS6)。
【0043】
また、ステップS3で、通報先が不応答であったと判別したときには、制御部10は、回線を開放し(ステップS7)、通報失敗の情報を、当該通報先に関連付けて記憶する(ステップS8)。なお、通報相手が不応答ではなく、話中、あるいは音声通報メッセージの送出前に切断などの場合にも、制御部10は、回線を開放し、通報失敗の情報を、当該通報先に関連付けて記憶する。
【0044】
ステップS6又はステップS8の次には、制御部10は、副通報先情報記憶部14を参照して、次通報先を通報の宛先として設定し(ステップS9)、回線捕捉をして、設定した宛先の通報先に自動ダイヤルをし(ステップS10)、次通報先が応答したか否か監視する(ステップS11)。
【0045】
ステップS11で、次通報先が不応答であったと判別したときには、制御部10は、処理をステップS7に戻して回線を開放し、次のステップS8で、通報失敗の情報を当該通報先に関連付けて記憶した後、このステップS8以降の処理を実行する。また、このステップS11で、次通報先が応答したと判別したときには、制御部10は、通報メッセージ記憶部13から読み出した非常事態の発生を報知する通報メッセージを通報先に送出すると共に、通報状況メッセージ記憶部15から読み出した、当該次通報先に先立つ通報先についての通報状況を報知するための通報状況メッセージを、通報関連メッセージとして送出する(ステップS12)。
【0046】
そして、ステップS12における通報メッセージ及び通報関連メッセージの送出を完了したら、制御部10は、副通報先情報記憶部14に記憶されている全ての副通報先への通報について通報成功の状態になったか否か判別する(ステップS13)。
【0047】
このステップS13で、副通報先情報記憶部14に記憶されている全ての副通報先への通報について通報成功の状態になってはいないと判別したときには、制御部10は、処理をステップS5に戻して回線を開放し、次のステップS6で通報成功の情報を当該通報先に関連付けて記憶した後、このステップS6以降の処理を実行する。
【0048】
また、ステップS13で、副通報先情報記憶部14に記憶されている全ての副通報先への通報について通報成功の状態になったと判別したときには、制御部10は、回線を開放し(ステップS14)、この副通報の処理ルーチンを終了する。
【0049】
[副通報のシーケンス例]
図3に、副通報先情報記憶部14に、最上位の通報先として責任者(例えば社長)が設定されると共に、次順位として副責任者(例えば部長)の2名が設定されている場合における副通報のシーケンス例を示す。
【0050】
図3の例では、通報装置1で異常発生が検知されたことに基づいて、通報装置1から責任者の電話端末に対して通報がなされる。図3の例では、この通報に対して責任者が不応答とされている。
【0051】
通報装置1は、責任者の電話端末が不応答であることから通報失敗を把握してそれを記憶しておくと共に、次通報先として副責任者の電話端末に対して通報を行う。図3の例では、この通報に対して副責任者が応答するので、通報装置1は、副責任者に対しては、「非常事態です。・・・」を内容とする通報メッセージを送出すると共に、第一通報先である責任者への通報は失敗であったことに対応して、「第一通報先に連絡できませんでした。」を内容とする通報状況メッセージを送出する。副責任者は、この通報メッセージ及び通報状況メッセージを聴取して、「責任者(社長)には連絡がされていないので、自分が主体で動こう」と考えて、通報に基づく適切なアクションを起こす。
【0052】
通報装置1は、次通報先として副責任者の電話端末に対する通報に対して副責任者が応答し、通報メッセージを聴取したことに基づいて、通報成功であると把握してそれを記憶しておく。そして、通報装置1は、責任者への前回の通報が通報失敗であったので、責任者の電話端末に対して再度の通報を行う。図3の例では、この再度の通報に対しては責任者が応答する。
【0053】
すると、通報装置1は、責任者に対して、「非常事態です。・・・」を内容とする通報メッセージを送出すると共に、第二通報先である副責任者への通報は成功であったことに対応して、「第二通報先には連絡済みです。」を内容とする通報状況メッセージを送出する。責任者は、この通報メッセージ及び通報状況メッセージを聴取して、「副責任者(部長)には連絡が行っているのであれば、先ずは、副責任者(部長)に連絡してみよう」と考えて、通報に基づく所定のアクションは起こすことなく、副責任者(部長)に連絡を取るなど、適切な処置をする。
【0054】
この図3の例のシーケンスから分かるように、この第1の実施形態の通報装置1によれば、次通報先への通報前における他の通報先に対する通報状況を知ることができるので、図5を用いて説明した従来の通報シーケンスにおける適切なアクションが全くなされないという事態を防ぐことができる。また、図6を用いて説明した従来の通報シーケンスにおけるような通報に基づくアクションが重複してしまうような事態も防ぐことができる。
【0055】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態の通報装置では、通報関連メッセージとして、次通報先への通報前における他の通報先に対する通報状況を報知するための通報状況メッセージを送出するようにしたが、通報関連メッセージは、第1の実施形態のような通報状況メッセージに限られる訳ではなく、次通報先の通報前の通報時に取得することができる情報に基づくメッセージであればよい。
【0056】
以下に説明する第2の実施形態の通報装置1Aでは、通報関連メッセージとして、通報状況メッセージに加えて、次通報先の通報前の通報に応答した通報受信者による指示メッセージなどの伝言メッセージを送出することができるように構成する。すなわち、第2の実施形態では、次通報先への通報よりも前に行われた、複数個の通報先の内の他の通報先の通報時に得られた伝言メッセージを通報関連メッセージとする場合である。
【0057】
図4は、第2の実施形態の通報装置1Aの構成例を示すブロック図であり、図1の例の第1の実施形態の通報装置1と同一の部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0058】
図4に示すように、第2の実施形態の通報装置1Aにおいては、第1の実施形態の通報装置1の構成に加えて、受話処理部21と、録音部22と、録音メッセージ記憶部23とが設けられる。これら受話処理部21と、録音部22と、録音メッセージ記憶部23とは、副通報処理部12の制御を受けて、必要な処理動作を行うように構成されている。
【0059】
この第2の実施形態の通報装置1Aにおける副通報処理部12は、通報に応答した副通報先に対して通報メッセージ送出(通報状況メッセージも送出する場合には、当該通報状況メッセージも送出)した後、当該副通報先の通報受信者からの伝言メッセージ、この例では音声指示メッセージを受話処理部21で受信し、その受信した音声指示メッセージを録音部22が録音メッセージ記憶部23に記憶することができるように構成されている。
【0060】
この場合に、副通報処理部12は、通報メッセージ送出(通報状況メッセージも送出する場合には、当該通報状況メッセージも送出)した後、伝言メッセージを受信するに先立ち、当該副通報先に伝達したい伝言メッセージが有る場合には、伝言メッセージの入力を促すメッセージを送出するようにする。例えば伝言メッセージの入力を促すメッセージとしては、「他の副通報先に伝言が有る場合には、ビープ音が鳴ったらお話しください。」などが用いられる。
【0061】
上述の例は、副通報処理部12は、通報の応答を受けた場合に、回線を開放する前に、受話処理部21で受信した伝言メッセージを録音する場合であるが、受話処理部21が着信を受け付ける機能を備える場合には、回線を開放した後であっても、通報成功した副通報先からの着信を受け付けて、音声指示メッセージなどの伝言メッセージを受信し、その受信した伝言メッセージを録音部22が録音メッセージ記憶部23に記憶するようにしてもよい。
【0062】
そして、副通報処理部12は、録音メッセージ記憶部23に音声指示メッセージなどの伝言メッセージが記憶された場合には、次通報先への通報に応答した通報受信者には、この伝言メッセージをも通報関連メッセージに含めて送出するようにする。
【0063】
なお、上述の第2の実施形態では、通報関連メッセージとして、通報状況メッセージに加えて、次通報先の通報前の通報に応答した通報受信者による指示メッセージなどの伝言メッセージを送出するようにしたが、通報関連メッセージとしては、通報状況メッセージに代えて、録音音声メッセージのみを送出するように構成してもよい。
【0064】
[その他の実施形態又は変形例]
通報装置においては、副通報の態様として上述のような電話端末に対する音声通報の態様のみではなく、副通報先ごとに電子メールや専用アプリによる通報の態様を設定することができるようになっている場合もある。このような通報装置の場合においては、音声通報以外の態様で、副通報先に通報を行った場合には、通報関連メッセージとして、その通報態様を報知するメッセージを次通報先に送出するようにしてもよい。例えば、上位の優先順位の責任者の副通報先には電子メールの態様で通報を行った場合には、「責任者には、電子メールで通報を行いました。」というメッセージを、通報関連メッセージとして送出するようにしてもよい。すなわち、この例では、次通報先への通報よりも前に行われた、複数個の通報先の内の他の通報先の通報時に得られた通報の態様の情報に基づいた通報関連メッセージを送出する。
【0065】
なお、上述の実施形態の通報装置は、主通報を行った後、副通報先に副通報を行う装置であったが、この発明による通報装置は、上述の副通報の機能と同様の機能のみを備える装置であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、1A…通報装置、2…通信ネットワーク、3…主通報先、41~4n…副通報先、10…制御部、11…主通報処理部、12…副通報処理部、13…通報メッセージ記憶部、14…副通報先情報記憶部、15…通報状況メッセージ記憶部、16…表示部、171~17m…センサ、21…受話処理部、22…録音部、23…録音メッセージ記憶部、121…通報状況把握部
図1
図2
図3
図4
図5
図6