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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009304
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】超音波診断装置本体
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201287
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2019220715の分割
【原出願日】2019-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 秀直
(72)【発明者】
【氏名】竹原 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】浅房 勝徳
(57)【要約】
【課題】種々のモニタを接続可能な超音波診断装置本体において、モニタに表示される超音波画像の画質をモニタに応じて適応させる。
【解決手段】装置本体12にモニタ16が接続されると、モニタ16のコントローラ50は、EDID情報44を装置本体12に送信する。表示制御部30は、受信したEDID情報44に含まれるモニタ識別情報に基づいて、画質パラメータ情報52の中から、当該モニタ識別情報に関連付けられている画質パラメータセットを特定する。表示制御部30は、画像形成部24により形成された超音波画像と共に、特定した画質パラメータセットを示す画質情報をモニタ16に送信する。モニタ16のコントローラ50は、装置本体12から送信された画質情報に基づいて表示部48の表示設定を決定し、装置本体12から送信された超音波画像を表示部48に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置で形成した超音波画像を表示する、互いに表示方式が異なる複数種類のモニタを接続可能なコネクタと、
前記コネクタに接続された前記モニタから、前記モニタの種類を識別するモニタ識別情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記モニタ識別情報に基づいて、少なくとも異なる2つ以上の種類のモニタ毎に適応した画質で前記超音波画像を前記モニタに表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置本体。
【請求項2】
前記表示制御部は、各前記モニタ識別情報に対して、当該モニタ識別情報が示す種類の前記モニタに適した前記超音波画像の画質を示す画質パラメータが関連付けられた画質パラメータ情報に基づいて、前記受信部が受信した前記モニタ識別情報に関連付けられている画質パラメータを示す情報を前記モニタに送信して、当該画質パラメータに応じた表示設定で前記超音波画像を前記モニタに表示させる、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置本体。
【請求項3】
前記画質パラメータ情報において、各前記モニタ識別情報に対して、1又は複数の項目に対する前記画質パラメータが関連付けられており、
互いに異なる前記モニタの種類を示す各モニタ識別情報に対して、互いに異なる前記項目に対する前記画質パラメータが関連付けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置本体。
【請求項4】
前記画質パラメータ情報において、バックライトを使用する前記モニタを示す前記モニタ識別情報に対して、前記バックライトの明るさを示す前記画質パラメータである第1画質パラメータが関連付けられており、自発光体を使用する前記モニタを示す前記モニタ識別情報に対して、前記自発光体の明るさを示す前記画質パラメータである第2画質パラメータが関連付けられており、
前記表示制御部は、前記コネクタにバックライトを使用する前記モニタが接続されている場合、当該モニタのバックライトを前記第1画質パラメータに応じた明るさで点灯させ、前記コネクタに自発光体を使用する前記モニタが接続されている場合、当該モニタの自発光体を前記第2画質パラメータに応じた明るさで発光させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置本体。
【請求項5】
各モニタ識別情報に対して、前記モニタに適した前記超音波画像の画像特性を示す画像特性パラメータが関連付けられた画像特性パラメータ情報に基づいて、前記超音波画像の画像特性を変更して補正超音波画像を生成する画像特性調整部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記補正超音波画像を前記モニタに表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置本体。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記受信部が受信した前記モニタ識別情報に応じて形成された超音波画像を前記モニタに表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置本体。
【請求項7】
各モニタ識別情報に対して、前記モニタに適した前記超音波画像を形成するための画像形成パラメータが関連付けられた画像形成パラメータ情報を参照し、前記受信部が受信した前記モニタ識別情報に関連付けられている画像形成パラメータに基づいて、超音波信号データから前記モニタに適応した画像特性を有する適応超音波画像を形成する画像形成部と、
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記適応超音波画像を前記モニタに表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置本体。
【請求項8】
各モニタ識別情報に対して、前記モニタに適した前記超音波画像を形成するための超音波信号データの信号特性を示す信号パラメータが関連付けられた信号パラメータ情報を参照し、前記受信部が受信した前記モニタ識別情報に関連付けられている信号パラメータに基づいて、超音波信号データを補正した補正超音波信号データを生成する信号処理部と、
前記補正超音波信号データから超音波画像を形成する画像形成部と、
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記画像形成部が形成した超音波画像を前記モニタに表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置本体。
【請求項9】
通信回線を介して前記モニタと接続される、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の超音波診断装置本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置本体に関し、特に、接続されたモニタに表示される超音波画像の画質を制御可能な超音波診断装置本体に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波診断装置本体(本明細書において「装置本体」と記載する場合がある)、装置本体に接続され被検体に対して超音波の送受信を行う超音波プローブ、及び、装置本体に接続され装置本体で形成された超音波画像を表示するモニタを含んで構成される。
【0003】
従来、モニタの画質を調整可能な超音波診断装置が知られている。例えば、特許文献1には、モニタの周囲の明るさに応じて、モニタの明るさ(輝度)を自動調整可能な超音波診断装置が開示されている。また、特許文献2には、超音波画像上において局所的な関心領域を設定し、関心領域内と関心領域外とで個別に輝度調整を行うことができる超音波診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許出願公開第10-2013-0137973A号明細書
【特許文献2】特開2000-139914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、超音波診断装置においては、装置本体固有のモニタが接続されるのが一般的であった。しかしながら、装置本体を種々のモニタを接続可能とし、装置本体で形成された超音波画像を種々のモニタで表示可能とすることが考えられる。
【0006】
モニタは、種類に応じて画質が異なる場合がある。例えば、モニタが液晶パネルの場合、画面を表示させるための駆動電子回路の違い、LEDの型(直下型、サイド型など)の違い、LCDの方式(IPS方式、VA方式など)の違い、あるいは、光学フィルムのタイプ(グレアタイプ、ノングレアタイプなど)の違いなどによって画質の違いが生じる。また、同種類のモニタでも使用年数の違いなどによって画質が異なる場合もある。
【0007】
これにより、同一の超音波画像を複数のモニタにそれぞれ表示させた場合に、各モニタに表示された複数の超音波画像の画質が互いに異なってしまうことが生じ得る。超音波画像の画質は医師による診断の容易性にも関わり得ることなどから、装置本体にどのようなモニタが接続されたとしても、超音波画像はできるだけ好適な画質で表示されるのが望ましい。
【0008】
本発明の目的は、種々のモニタを接続可能な超音波診断装置本体において、モニタに表示される超音波画像の画質をモニタに応じて適応させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る超音波診断装置本体は、自装置で形成した超音波画像を表示する、互いに表示方式が異なる複数種類のモニタを接続可能なコネクタと、前記コネクタに接続された前記モニタから、前記モニタの種類を識別するモニタ識別情報を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記モニタ識別情報に基づいて、少なくとも異なる2つ以上の種類のモニタ毎に適応した画質で前記超音波画像を前記モニタに表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、種々のモニタを接続可能な超音波診断装置本体において、モニタに表示される超音波画像の画質をモニタに応じて適応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】超音波診断装置の基本構造を示す構成図である。
図2】第1実施形態の要部を示す構成図である。
図3】画質パラメータ情報の例を示す図である。
図4】第2実施形態の要部を示す構成図である。
図5】画像特性パラメータ情報の例を示す図である。
図6】第3実施形態の要部を示す構成図である。
図7】画像形成パラメータ情報の例を示す図である。
図8】第4実施形態の要部を示す構成図である。
図9】信号パラメータ情報の例を示す図である。
図10】装置本体とモニタとが通信回線を介して接続される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<超音波診断装置の基本構造>
図1は、超音波診断装置10の基本構造を示す構成図である。本明細書においては、第1~第4の実施形態を説明するが、図1に示す超音波診断装置10の基本構造は、第1~第4の実施形態に共通するものである。
【0013】
超音波診断装置10は、装置本体12と、装置本体12に着脱可能に接続される超音波プローブ14及びモニタ16を含んで構成される。
【0014】
超音波プローブ14は、被検体に対して超音波の送受波を行う。具体的に、超音波プローブ14は、一次元又は二次元に配列された複数の振動素子からなる振動子アレイを備えており、装置本体12からの超音波送信データに応じて当該振動子アレイが振動することで、被検体に対して超音波を送信する。また、超音波プローブ14は、被検体から反射した反射波を当該振動子アレイにて受信する。超音波プローブ14は、受信した反射波に応じて振動子アレイが出力した超音波受信データを装置本体12へ送信する。
【0015】
モニタ16は、装置本体12で形成された超音波画像を表示する。モニタ16は、例えば液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイなどから構成される。装置本体12とモニタ16は、規格化された接続方法にて接続される。これにより、装置本体12には、接続規格を満たす種々の(複数の種類の)モニタ16が接続可能となっている。本実施形態では、装置本体12とモニタ16はHDMI(登録商標)ケーブルで接続される。したがって、装置本体12には、HDMI端子(その他DVI、DPなどであってもよい)を有するモニタ16であればどのようなモニタ16でも接続することができる。
【0016】
以下、装置本体12の各部について説明する。
【0017】
超音波送受信部18は、超音波プローブ14が接続されるコネクタを含んで構成される。ビームフォーマ20が形成した超音波送信データを超音波プローブ14の複数の振動素子に対して並列的に供給する。また、超音波送受信部18は、超音波プローブ14の複数の振動素子から並列的に出力された複数の超音波受信データをビームフォーマ20に出力する。
【0018】
ビームフォーマ20は、複数のA/D変換器や検波回路、増幅回路などの電子回路により構成される。ビームフォーマ20は、設定された超音波送信パラメータに基づいて、超音波送信データを形成して超音波送受信部18に供給する。また、ビームフォーマ20は、超音波送受信部18からの複数の超音波受信データを整相加算(遅延加算)及び増幅して受信ビームデータを形成する。本明細書では、ビームフォーマ20が形成した受信ビームデータを超音波信号データと記載する。
【0019】
信号処理部22は、超音波信号データに処理を施すことで、ビームフォーマ20からの超音波信号データを、好適な超音波画像を形成するための超音波信号データに変換する。信号処理部22では、例えば、超音波信号データに対して、フィルタ処理、対数増幅処理、ゲイン調整処理、ダイナミックレンジ調整処理、STC(Sensitivity Time Control)処理(被検体の各深さからの反射波に応じたゲイン補正)、エッジ強調を行うエンハンス処理などが施される。
【0020】
画像形成部24は、例えばDSC(Digital Scan Converter)などを含んで構成される。画像形成部24は、信号処理部22からの超音波信号データに基づいて、超音波画像を形成する。超音波画像としては、例えば、断層画像であるBモード画像、被検体の動きを時間変化で示されたMモード画像、血流速度が時間変化波形で示されたドプラ画像、被検体の動き方向及び速度が色などで示されたティッシュドプラ画像、血流の流れが色で示されたカラーフロー画像、被検体の弾性が色などで示された弾性画像などがある。
【0021】
画像メモリ26は、画像形成部24が形成した超音波画像を記憶する。画像メモリ26は、リングバッファ構造を有し、最新の超音波画像から過去一定時間に亘る複数の超音波画像を格納するものである。
【0022】
画像特性調整部28は、画像メモリ26に格納された超音波画像の画像特性を調整する。特に、装置本体12に接続されたモニタ16に適応した画質で超音波画像が表示されるように、超音波画像の画像特性を調整する。画像特性調整部28の処理については第2実施形態の説明において詳述する。
【0023】
表示制御部30は、画像形成部24により形成され画像メモリ26に格納された超音波画像、又は、画像特性調整部28により画像特性が調整された超音波画像をモニタ16に表示させる制御を行う。特に、表示制御部30は、下記の送受信部32がモニタ16から受信したモニタ識別情報としてのEDID情報(後述)に基づいて、モニタ16に適応した画質で超音波画像をモニタ16に表示させる。詳しくは後述するが、表示制御部30がモニタ16に応じて、その表示設定を調整してもよいし(第1実施形態)、信号処理部22、画像形成部24、又は、画像特性調整部28の処理により形成された、モニタ16に応じた画像特性を有する超音波画像をモニタ16に表示させるように(第2~第4実施形態)してもよい。なお、本明細書における、モニタ16に表示された超音波画像の「画質」とは、モニタ16上における画像の質を意味し、モニタ16の表示設定及び超音波画像の画像特性の双方に応じて変動するものである。
【0024】
送受信部32は、例えば装置本体12とモニタ16とを繋ぐケーブルが接続されるコネクタなどを含んで構成される。特に、送受信部32は規格化された接続方法に対応したコネクタを含んで構成される。例えば、HDMIコネクタなどを含んで構成される。また、送受信部32はLANコネクタを含んで構成されてもよい。表示制御部30の制御により、送受信部32から超音波画像がモニタ16に送信され、これによりモニタ16に超音波画像が表示される。また、送受信部32を介して、装置本体12とモニタ16との間で種々の情報が送受信される。特に、送受信部32は、モニタ16から、モニタ16を識別するためのEDID情報を受信する。
【0025】
記憶部34は、例えばハードディスク、ROM、あるいはRAMなどを含んで構成される。記憶部34には、装置本体12の各部を制御するためのプログラムが記憶される。また、記憶部34には、超音波画像の画質制御処理に用いる各種パラメータが記憶される。これらのパラメータについては第1~第4実施形態の説明において詳述する。
【0026】
制御部36は、例えばマイクロコンピュータなどを含んで構成される。制御部36は、記憶部34に記憶されたプログラムに従って、装置本体12の各部の制御及び画質制御処理を行う。
【0027】
超音波診断装置10の基本構造は以上の通りである。なお、信号処理部22、画像特性調整部28、及び表示制御部30は、それぞれ、例えばプロセッサや電子回路などのハードウェアを利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリなどのデバイスが利用されてもよい。
【0028】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の要部を示す構成図である。まず、図2を参照して、モニタ16について説明する。
【0029】
送受信部40は、例えば装置本体12とモニタ16とを繋ぐケーブルが接続されるコネクタなどを含んで構成される。送受信部40は、例えばHDMIコネクタやLANコネクタを含んで構成される。
【0030】
記憶部42は、例えばEEPROMなどを含んで構成される。図2に示す通り、記憶部42には、EDID情報44や、モニタ16の累積稼働時間を示す累積稼働時間情報45が記憶される。EDID情報44は、モニタ16の製造者を識別する製造元ID、モニタ16の種類を識別する製品IDコード、製造者毎にモニタ16を一意に識別するシリアルナンバー、及び、モニタ16の製造年月などを含む情報である。EDID情報44に含まれる情報のうち、製造元ID、製品IDコード、シリアルナンバー、又はこれらの組み合わせがモニタ識別情報として機能する。本実施形態では、製品IDコードをモニタ識別情報として利用する例で示す。EDID情報44は、モニタ16の製造時に製造者によって記憶部42に書き込まれる。
【0031】
表示設定情報46は、後述の表示部48の表示設定、特に表示部48の画質に関わる表示設定を示す情報である。表示設定情報46は、設定項目と、それに対する設定値とで構成される。例えば、設定項目であるブライトネス(明るさ)に対する設定値である明るさ値(例えば0~100)、設定項目であるコントラストに対する設定値であるコントラスト値(例えば0~100)、及び、設定項目である色温度に対する設定値である色温度値(例えば5000K、6500K、9300Kなど)などである。このように、表示設定情報46は、複数の設定項目と、それらに対する複数の設定値のセットであってもよい。また、複数の表示設定情報46が記憶部42に記憶されていてもよい。例えば、モニタ16は複数の表示モードで超音波画像を表示可能であり、各表示モードに対応する複数の表示設定情報46が記憶されていてもよい。
【0032】
表示部48は、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどを含んで構成される。表示部48には、装置本体12で形成された超音波画像(超音波画像を含む画面)が表示される。
【0033】
コントローラ50は、例えばマイクロコントローラなどを含んで構成される。コントローラ50は、モニタ16の各部を制御する。特に、コントローラ50は、記憶部42に記憶された表示設定情報46が示す表示設定で表示部48に超音波画像を表示させる。複数の表示設定情報46が記憶部42に記憶されている場合は、コントローラ50は選択された表示設定情報46が示す表示設定で表示部48に超音波画像を表示させる。また、後述するように、第1実施形態においては、コントローラ50は、装置本体12の表示制御部30から指示された表示設定で超音波画像を表示部48に表示させる。
【0034】
また、この他、モニタ16には、モニタ16の周囲の環境を検出する環境検出センサを有していてもよい。環境検出センサとしては、例えば、モニタ16の周囲の明るさを検出する明るさセンサがある。また、モニタ16には、表示(稼働)時間をカウントするセンサ(CLKなど)を有し、これにより検出されるモニタ16の累積稼働時間を示す累積稼働時間情報45を記憶部42に記憶させる。
【0035】
以下、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、モニタ16から受信したEDID情報44に基づいて、表示制御部30が、モニタ16に対して画質を指示することで、モニタ16のコントローラ50に当該画質に応じた表示設定を適応し、超音波画像を表示部48に表示させる実施形態である。
【0036】
第1実施形態では、装置本体12の記憶部34には、画質パラメータ情報52が記憶される。画質パラメータ情報52は、各モニタ識別情報(本実施形態ではモニタの製品IDコード)に対して、モニタ識別情報が示すモニタに適応した超音波画像の画質を示す画質パラメータが関連付けられた情報である。
【0037】
図3に、画質パラメータ情報52の例が示されている。図3に示すように、画質パラメータ情報52には、各モニタ識別情報(モニタ1、モニタ2、モニタ3など)に対して、γ係数(例えば1.8~2.4の間の値)、ブライトネス(例えば0~100の間の値)、シャープネス(例えば1~5の間の値)、色温度(例えば7000K~14000Kの間の値)、及び、カラーマップ(例えば1~10の間の値)の各画質パラメータが関連付けられている(図3においては具体的な数値は記載せず)。画質パラメータ情報52に含まれる各画質パラメータは、モニタ16の表示設定そのものであってもよい。画質パラメータ情報52は、装置本体12の管理者によって予め記憶部34に記憶される。新しいモニタ16が製造されていくに応じて、画質パラメータ情報52も更新されるのが望ましい。
【0038】
なお、画質パラメータとしては、図3に示した内容に限られない。例えば、モニタ16の表示部48がLCDなどのバックライトを使用するものである場合、当該バックライトの明るさが画質パラメータに含まれていてもよい。また、モニタ16の表示部48が自発光体を使用するものである場合、当該自発光体の明るさが画質パラメータに含まれていてもよい。当然のことながら、表示部48の表示方式の違い(液晶パネル、有機ELパネルなど)により、画質パラメータの活用可否もある。
【0039】
装置本体12にモニタ16が接続されると、装置本体12の制御部36は、モニタ16のコントローラ50へ、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信するように指示を出す。モニタ16のコントローラ50は、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信する。装置本体12の制御部36は、モニタ16から受信したEDID情報44を表示制御部30に渡す。
【0040】
表示制御部30は、制御部36より受信したEDID情報44に含まれるモニタ識別情報に基づいて、記憶部34の画質パラメータ情報52の中から、当該モニタ識別情報に関連付けられている画質パラメータセットを特定する。上述のように、特定される画質パラメータセットは、装置本体12に接続されているモニタ16に適応した画質パラメータセットである。
【0041】
また、表示制御部30は、モニタ16から受信した累積稼働時間情報45に応じて、画質パラメータ情報52の中から特定した画質パラメータセットを補正してもよい。例えば、累積稼働時間が長い程モニタ16の表示部48の明るさが暗くなるので、累積稼働時間に応じて、ブライトネスの値を大きくするようにしてもよい。
【0042】
さらに、装置本体12は、モニタ16の環境検出センサが検出した、モニタ16の周囲の環境(例えば明るさ)を示す環境情報を受信し、表示制御部30は、当該環境情報に応じて、画質パラメータ情報52の中から特定した画質パラメータセットを補正してもよい。例えば、モニタ16の周囲が明るい程ブライトネスの値を大きくするようにしてもよい。又は、モニタ16から受信した累積稼働時間情報45に基づいて、モニタ16の表示設定を修正するようにしてもよい。例えば、累積稼働時間情報45に応じてモニタ16の表示設定のブライトネスを大きくするなど輝度劣化に対するオフセットしてもよい。
【0043】
そして、表示制御部30は、画像形成部24により形成され画像メモリ26に記憶されている超音波画像と共に、特定した画質パラメータセット、あるいは、特定し補正した画質パラメータセットを示す画質情報をモニタ16に送信する。
【0044】
モニタ16のコントローラ50は、装置本体12から送信された画質情報に基づいて、表示部48の表示設定を決定する。その上で、装置本体12から送信された超音波画像を表示部48に表示させる。これにより、超音波画像は、モニタ16に適応した画質で表示部48に表示される。具体的には、表示制御部30がモニタ識別情報に基づいて特定した画質パラメータセットにて超音波画像を表示部48に表示させることで、少なくとも異なる2つ以上のモニタ16毎に適応した画質で超音波画像を表示することができる。の違いが吸収される。また、表示制御部30がモニタ16の累積稼働時間情報45に基づいてモニタ16の表示設定を修正することで、同一のモニタ16の少なくとも異なる2つ以上の時点毎に適応した画質で超音波画像を表示することができる。また、表示制御部30は、モニタ識別情報に基づいて特定した画質パラメータセットを累積稼働時間情報45に基づいて修正することで、少なくとも異なる2つ以上のモニタ毎に適応した画質、且つ、同一の前記モニタの少なくとも異なる2つ以上の時点毎に適応した画質で超音波画像を表示することができる。これらにより、モニタの種類による画質の違い、モニタの累積稼働時間の違いによる画質の違い、あるいは、モニタの使用環境の違いによる画質の違いなどが吸収されて、モニタを見る医師などが好適に超音波画像を視認可能となる。
【0045】
モニタ16の記憶部42に複数の表示設定情報46が記憶されている場合には、表示制御部30は、モニタ16から受信したモニタ識別情報に基づいて、コントローラ50に当該複数の表示設定情報46の中から適切な表示設定情報46を選択させることもできる。この場合、表示制御部30は、まず、モニタ16から受信したモニタ識別情報に基づいて、画質パラメータ情報52の中から、当該モニタ識別情報に関連付けられている画質パラメータセットを特定する。次いで、表示制御部30は、モニタ16の記憶部42に記憶された複数の表示設定情報46を参照し、複数の表示設定情報46の中から、特定した画質パラメータセットに合致する表示設定情報46を選択する。その上で、コントローラ50に、選択した表示設定情報46が示す表示設定で超音波画像を表示部48に表示させる。
【0046】
モニタ16の記憶部42に記憶された複数の表示設定情報46の中に、表示制御部30が特定した画質パラメータセットに合致する表示設定情報46が無い場合も考えられる。その場合、表示制御部30は、特定した画質パラメータセット(表示設定)を新たな表示設定情報46としてモニタ16の記憶部42に書き込むこともできる。コントローラ50は、新たに記憶部42に書き込まれた表示設定情報46にて超音波画像を表示部48に表示させる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態は、モニタ16から受信したEDID情報44に基づいて、画像特性調整部28が、モニタ16に応じて超音波画像自体を補正して補正超音波画像を生成することで、モニタ16に適応した画質で超音波画像を表示させる実施形態である。
【0048】
図4は、第2実施形態の要部を示す構成図である。第2実施形態において、モニタ16の構成は第1実施形態と同様である。
【0049】
第2実施形態では、装置本体12の記憶部34には、画像特性パラメータ情報60が記憶される。画像特性パラメータ情報60は、各モニタ識別情報(本実施形態ではモニタの製品IDコード)に対して、モニタ識別情報が示すモニタに適応した超音波画像の画像特性を示す画像特性パラメータが関連付けられた情報である。
【0050】
図5に、画像特性パラメータ情報60の例が示されている。図5に示すように、画像特性パラメータ情報60には、各モニタ識別情報(モニタ1、モニタ2、モニタ3など)に対して、γ係数補正値(例えば1.8~2.4の間の値)、ブライトネス補正値(例えば0~100の間の値)、シャープネス補正値(例えば1~5の間の値)、色温度補正値(例えば7000K~14000Kの間の値)、及び、カラーマップ補正値(例えば1~10の間の値)の各画像特性パラメータが関連付けられている(図5においても具体的な数値は記載せず)。なお、画像特性パラメータは、図5に示したものに限られない。画像特性パラメータ情報60は、装置本体12の管理者によって予め記憶部34に記憶される。新しいモニタ16が製造されていくに応じて、画像特性パラメータ情報60も更新されるのが望ましい。
【0051】
図4を参照し、画像特性調整部28について説明する。画像特性調整部28は、コントラスト補正部62、明るさ補正部64、シャープネス補正部66、色温度補正部68、及び、カラーマップ補正部70を備える。
【0052】
コントラスト補正部62は、画像特性パラメータ情報60のγ係数補正値に基づいて、超音波画像のコントラストを補正する。明るさ補正部64は、画像特性パラメータ情報60のブライトネス補正値に基づいて、超音波画像の明るさ(階調)を補正する。シャープネス補正部66は、画像特性パラメータ情報60のシャープネス補正値に基づいて、超音波画像の鮮鋭度を補正する。色温度補正部68は、画像特性パラメータ情報60の色温度補正値に基づいて、超音波画像の色温度を補正する。カラーマップ補正部70は、画像特性パラメータ情報60のカラーマップ補正値に基づいて、超音波画像の色値、すなわち、色相、彩度、明度を補正する。
【0053】
装置本体12にモニタ16が接続されると、装置本体12の制御部36は、モニタ16のコントローラ50へ、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信するように指示を出す。モニタ16のコントローラ50は、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信する。装置本体12の制御部36は、モニタ16から受信したEDID情報44を画像特性調整部28に渡す。
【0054】
画像特性調整部28は、制御部36より受信したEDID情報44に含まれるモニタ識別情報に基づいて、記憶部34の画像特性パラメータ情報60の中から、当該モニタ識別情報に関連付けられている画像特性パラメータセットを特定する。上述のように、特定される画像特性パラメータセットは、装置本体12に接続されているモニタ16に適応した超音波画像の画像特性を示すパラメータセットである。
【0055】
画像特性調整部28は、特定した画像特性パラメータセットに基づいて、超音波画像の画像特性を補正し、補正超音波画像を生成する。具体的には、超音波画像の画像特性(γ係数、ブライトネス、シャープネス、色温度、及びカラーマップ)が、特定した画像特性パラメータセットが示す各画像特性値(補正値)となるように、超音波画像の画像特性を補正する。なお、画像特性調整部28は、全ての画像特性パラメータについて補正する必要はなく、その一部の画像特性パラメータのみについて補正するようにしてもよい。
【0056】
画像特性調整部28は、モニタ16から受信した累積稼働時間情報45を考慮して超音波画像の画像特性を補正するようにしてもよい。例えば、モニタ16の累積稼働時間が長い程、超音波画像の輝度がより大きくなるように補正するようにしてもよい。
【0057】
さらに、装置本体12は、モニタ16の環境検出センサが検出した、モニタ16の周囲の環境(例えば明るさ)を示す環境情報を受信し、画像特性調整部28は、当該環境情報をさらに考慮して超音波画像の画像特性を補正するようにしてもよい。例えば、モニタ16の周囲が明るい程、超音波画像の輝度がより大きくなるように補正するようにしてもよい。
【0058】
そして、表示制御部30は、画像特性調整部28の補正処理により生成された補正超音波画像をモニタ16に送信し、モニタ16のコントローラ50は、当該補正超音波画像を表示部48に表示させる。これにより、超音波画像は、モニタ16に適応した画質で表示部48に表示される。例えば、比較的安価なモニタ16においては、表示可能な最低輝度の値が大きい(黒の表現力が低い)ものがある。本実施形態によれば、そのようなモニタ16であっても、輝度値のオフセット処理や低輝度領域のコントラスト補正などを行うことで、超音波画像の視認性を向上させることができる。
【0059】
<第3実施形態>
第3実施形態は、モニタ16から受信したEDID情報44に基づいて、画像形成部24が、モニタ16に応じた適応超音波画像を形成することで、モニタ16に適応した画質で超音波画像を表示させる実施形態である。
【0060】
図6は、第3実施形態の要部を示す構成図である。第3実施形態においても、モニタ16の構成は第1実施形態と同様である。
【0061】
第3実施形態では、装置本体12の記憶部34には、画像形成パラメータ情報80が記憶される。画像形成パラメータ情報80は、各モニタ識別情報(本実施形態ではモニタの製品IDコード)に対して、モニタ識別情報が示すモニタに適応した適応超音波画像を形成するための画像形成パラメータが関連付けられた情報である。
【0062】
図7に、画像形成パラメータ情報80の例が示されている。図7に示すように、画像形成パラメータ情報80には、各モニタ識別情報(モニタ1、モニタ2、モニタ3など)に対して、ゲイン補正値、階調補正値、コントラスト補正値、シャープネス補正値、及び、色補正値の各画像形成パラメータが関連付けられている(図7においても具体的な数値は記載せず)。画像形成パラメータ情報80は、装置本体12の管理者によって予め記憶部34に記憶される。新しいモニタ16が製造されていくに応じて、画像形成パラメータ情報80も更新されるのが望ましい。
【0063】
図6を参照し、画像形成部24について説明する。画像形成部24は、ゲイン補正部82、階調補正部84、コントラスト補正部86、シャープネス補正部88、及び、色補正部90を備える。
【0064】
ゲイン補正部82は、画像形成パラメータ情報80のゲイン補正値に基づいて、超音波信号データの乗算演算を行う。階調補正部84は、画像形成パラメータ情報80の階調補正値に基づいて、ヒストグラム強調処理を行う。コントラスト補正部86は、画像形成パラメータ情報80のコントラスト補正値に基づいて、ダイナミックレンジの変更あるいは画像用γ補正を行う。これらの処理により、適応超音波画像の輝度値が補正される。シャープネス補正部88は、画像形成パラメータ情報80のシャープネス補正値に基づいて、平滑化やエッジ強調などための画像フィルタの係数を変更する。これにより適用超音波画像における被検体の輪郭の明瞭度が補正される。色補正部90は、画像形成パラメータ情報80の色補正値に基づいて、色相、彩度、明度に関するカラーマッピングテーブルの補正を行う。これにより適用超音波画像の色合いが補正される。
【0065】
装置本体12にモニタ16が接続されると、装置本体12の制御部36は、モニタ16のコントローラ50へ、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信するように指示を出す。モニタ16のコントローラ50は、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信する。装置本体12の制御部36は、モニタ16から受信したEDID情報44を画像形成部24に渡す。
【0066】
画像形成部24は、制御部36より受信したEDID情報44に含まれるモニタ識別情報に基づいて、記憶部34の画像形成パラメータ情報80の中から、当該モニタ識別情報に関連付けられている画像形成パラメータセットを特定する。上述のように、特定される画像形成パラメータセットは、装置本体12に接続されているモニタ16に適応した適応超音波画像を超音波信号データから形成するためのパラメータセットである。
【0067】
画像形成部24は、特定した画像形成パラメータセットに基づいて、信号処理部22からの超音波信号データから適応超音波画像を形成する。具体的には、画像形成部24のゲイン補正部82、階調補正部84、コントラスト補正部86、シャープネス補正部88、及び色補正部90の各部により補正された各パラメータを用いて、超音波信号データから適応超音波画像を形成する。画像形成部24によって形成される適応超音波画像には、Bモード画像、ドプラ画像、カラーフロー画像、あるいは弾性画像が含まれる。すなわち、画像形成部24は、モニタ16に応じた画質の各種の超音波画像を形成することができる。なお、画像形成部24は、全ての画像形成パラメータについて、補正されたパラメータを用いる必要はなく、その一部の画像形成パラメータのみ、補正されたパラメータを用いて適応超音波画像を形成するようにしてもよい。
【0068】
画像形成部24は、モニタ16から受信した累積稼働時間情報45を考慮して適応超音波画像を形成するようにしてもよい。例えば、累積稼働時間が長い程、適応超音波画像の輝度がより大きくなるようにしてもよい。
【0069】
さらに、装置本体12は、モニタ16の環境検出センサが検出した、モニタ16の周囲の環境(例えば明るさ)を示す環境情報を受信し、画像形成部24は、当該環境情報をさらに考慮して適応超音波画像を形成するようにしてもよい。例えば、モニタ16の周囲が明るい程、適応超音波画像の輝度がより大きくなるようにしてもよい。
【0070】
そして、表示制御部30は、画像形成部24により形成された適応超音波画像をモニタ16に送信し、モニタ16のコントローラ50は、当該適応超音波画像を表示部48に表示させる。これにより、超音波画像は、モニタ16に適応した画質で表示部48に表示される。
【0071】
<第4実施形態>
第4実施形態は、モニタ16から受信したEDID情報44に基づいて、信号処理部22が、モニタ16に応じた超音波画像が形成されるように、超音波信号データを補正して補正超音波信号データ生成する実施形態である。
【0072】
図8は、第4実施形態の要部を示す構成図である。第4実施形態においても、モニタ16の構成は第1実施形態と同様である。
【0073】
第4実施形態では、装置本体12の記憶部34には、信号パラメータ情報100が記憶される。信号パラメータ情報100は、各モニタ識別情報(本実施形態ではモニタの製品IDコード)に対して、モニタ識別情報が示すモニタに適応した超音波画像を形成するための超音波信号データの信号特性を示す信号パラメータが関連付けられた情報である。
【0074】
図9に、信号パラメータ情報100の例が示されている。図9に示すように、信号パラメータ情報100には、各モニタ識別情報(モニタ1、モニタ2、モニタ3など)に対して、信号強度補正値、コントラスト補正値及びシャープネス補正値の各信号パラメータが関連付けられている(図9においても具体的な数値は記載せず)。信号パラメータ情報100は、装置本体12の管理者によって予め記憶部34に記憶される。新しいモニタ16が製造されていくに応じて、信号パラメータ情報100も更新されるのが望ましい。
【0075】
図8を参照し、信号処理部22について説明する。信号処理部22は、信号強度補正部102、ダイナミックレンジ設定部104、及びエコーエンハンス処理部106を備える。
【0076】
信号強度補正部102は、信号パラメータ情報100の信号強度補正値に基づいて、超音波信号データの増幅率や積算係数の補正、あるいはγ補正を行う。これらの補正により、超音波画像の輝度値が補正される。ダイナミックレンジ設定部104は、信号パラメータ情報100のコントラスト補正値に基づいて、画像形成に用いる超音波信号データの信号強度の範囲であるダイナミックレンジを設定する。エコーエンハンス処理部106は、信号パラメータ情報100のシャープネス補正値に基づいて、超音波信号データのエッジ強調処理を行う。エッジ強調処理により、超音波画像において被検体の輪郭の明瞭度が補正される。
【0077】
なお、信号処理部22は、超音波信号データに対して上記以外の補正処理を行う他の処理部を備えていてもよい。
【0078】
装置本体12にモニタ16が接続されると、装置本体12の制御部36は、モニタ16のコントローラ50へ、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信するように指示を出す。モニタ16のコントローラ50は、EDID情報44を装置本体12の制御部36に送信する。装置本体12の制御部36は、モニタ16から受信したEDID情報44を信号処理部22に渡す。
【0079】
信号処理部22は、制御部36より受信したEDID情報44に含まれるモニタ識別情報に基づいて、記憶部34の信号パラメータ情報100の中から、当該モニタ識別情報に関連付けられている信号パラメータセットを特定する。上述のように、特定される信号パラメータセットは、装置本体12に接続されているモニタ16に適応した超音波画像を形成するための補正超音波信号データを生成するためのパラメータセットである。
【0080】
信号処理部22は、特定した信号パラメータセットに基づいて、ビームフォーマ20からの超音波信号データを補正して補正超音波信号データを生成する。なお、信号処理部22は、信号強度補正部102、ダイナミックレンジ設定部104、及びエコーエンハンス処理部106の全てが補正処理をする必要はなく、その一部のみが補正処理を行うようにしてもよく、上記以外の補正処理を行う処理部を備えている場合には、その他の補正処理が実行されてもよい。
【0081】
信号処理部22は、モニタ16から受信した累積稼働時間情報45を考慮して補正超音波信号データを生成するようにしてもよい。例えば、累積稼働時間が長い程、補正超音波信号データのゲインをより大きくなるようにしてもよい。
【0082】
さらに、装置本体12は、モニタ16の環境検出センサが検出した、モニタ16の周囲の環境(例えば明るさ)を示す環境情報を受信し、信号処理部22は、当該環境情報をさらに考慮して補正超音波信号データを生成するようにしてもよい。例えば、モニタ16の周囲が明るい程、補正超音波信号データのゲインをより大きくなるようにしてもよい。
【0083】
画像形成部24は、信号処理部22からの補正超音波信号データに基づいて超音波画像を形成する。そして、表示制御部30は、画像形成部24により、補正超音波信号データに基づいて形成された超音波画像をモニタ16に送信し、モニタ16のコントローラ50は、超音波画像を表示部48に表示させる。これにより、超音波画像は、モニタ16に適応した画質で表示部48に表示される。
【0084】
第4実施形態では、信号処理部22により超音波信号データの補正が行われていたが、超音波信号データの補正処理の少なくとも一部は、ビームフォーマ20において実行されてもよい。
【0085】
以上、第1~第4実施形態を説明したが、第1~第4実施形態は個別に実行することができる。どの実施形態を実行するかは、超音波診断装置10の操作者によって選択可能であってもよい。また、第1~第4実施形態を互いに組み合わせて実行することも可能であり、どの実施形態を組み合わせて実行するかも、超音波診断装置10の操作者によって選択可能であってよい。
【0086】
上述の第1~第4実施形態においては、装置本体12とモニタ16はHDMIケーブルで接続されていたが、装置本体12とモニタ16は、通信回線を介して接続されてもよい。図10に、装置本体12が、LAN110を介して、ルームAに設置されたモニタ16A、及び、ルームBに設置されたモニタ16Bと接続され、さらに、LAN110及びインターネット112を介してルームCに設置されたモニタ16Cと接続された様子が示されている。モニタ16A、モニタ16B、及びモニタ16Cは機種が互いに異なる場合もあるし、ルームA、ルームB、及びルームCの環境(例えば明るさ)が互いに異なる場合もある。このような場合であっても、装置本体12がモニタ16A、モニタ16B、及びモニタ16Cそれぞれに適した画質情報、又は、それぞれに適応した超音波画像をモニタ16A、モニタ16B、及びモニタ16Cに送信することで、モニタ16A、モニタ16B、及びモニタ16Cそれぞれに適切な画質で超音波画像を表示させることができる。
【0087】
また、上述の第1~第4実施形態においては、本願発明の制御を制御部36と表示制御部30との2つの制御部を用いて行う例を記載しているが、これに限るものではない。比較的安価な超音波診断装置においては、当該発明の制御を1つの制御部で実施することも可能である。
【0088】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 超音波診断装置、12 装置本体、14 超音波プローブ、16,16A,16B,16C モニタ、18 超音波送受信部、20 ビームフォーマ、22 信号処理部、24 画像形成部、26 画像メモリ、28 画像特性調整部、30 表示制御部、32,40 送受信部、34,42 記憶部、36 制御部、44 EDID情報、45 累積稼働時間情報、46 表示設定情報、48 表示部、50 コントローラ、52 画質パラメータ情報、60 画像特性パラメータ情報、62,86 コントラスト補正部、64 明るさ補正部、66,88 シャープネス補正部、68 色温度補正部、70 カラーマップ補正部、80 画像形成パラメータ情報、82 ゲイン補正部、84 階調補正部、90 色補正部、100 信号パラメータ情報、102 信号強度補正部、104 ダイナミックレンジ設定部、106 エコーエンハンス処理部、110 LAN、112 インターネット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10