(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093041
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20240702BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209138
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】516186968
【氏名又は名称】株式会社コラビット
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 卓哉
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】中古マンションマーケットにおける新規な階層別位置別指数の算出技術を提供する。
【解決手段】プロセッサ29を備えるコンピュータ20を動作させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付けるステップと、新築時の価格表から、中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出するステップと、中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付けるステップと、2つ以上の中古集合住宅の戸別の価格から、戸別の中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出するステップと、第2の階層別位置別指数と、第2の階層別位置別指数に対応する第1の階層別位置別指数との相関係数を算出するステップと、相関係数に基づいて、中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出するステップとを実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける第1ステップと、
前記新築時の価格表から、前記中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する第2ステップと、
前記中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける第3ステップと、
2つ以上の前記中古集合住宅の戸別の前記価格から、戸別の前記中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する第4ステップと、
前記第2の階層別位置別指数と、前記第2の階層別位置別指数に対応する前記第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する第5ステップと、
前記相関係数に基づいて、前記中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する第6ステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記プログラムは、
前記第4ステップにおいて、前記中古集合住宅の戸別の前記価格に対して、前記中古集合住宅の築年数に基づいて前記価格を補正し、
及び/また、
前記第2ステップにおいて、前記中古集合住宅の新築時からの周辺環境の変化に基づいて、前記中古集合住宅の新築時の前記第1の階層別位置別指数を補正する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第3ステップにおいて、前記中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付けることができなかったら、前記第4ステップにおいて、前記中古集合住宅に類似する他の中古集合住宅についてクラスタを形成し、同一の前記クラスタに属する前記他の複数の中古集合住宅の階層別位置別指数から前記第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第4ステップにおいて、前記クラスタに属する前記他の複数の中古集合住宅の戸別の価格を教師データとした学習モデルを生成し、この学習モデルに前記第1の階層別位置別指数を入力することで、前記第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記プログラムは、さらに前記プロセッサに、
前記第6ステップで求めた第3の階層別位置別指数に基づいて、前記中古集合住宅の特定の戸別の価格を算出する第7ステップを実行させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
プロセッサを備えた情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける第1ステップと、
前記新築時の価格表から、前記中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する第2ステップと、
前記中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける第3ステップと、
2つ以上の前記中古集合住宅の戸別の前記価格から、戸別の前記中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する第4ステップと、
前記第2の階層別位置別指数と、前記第2の階層別位置別指数に対応する前記第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する第5ステップと、
前記相関係数に基づいて、前記中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する第6ステップと
を実行する、情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサを備えたコンピュータにより実行される方法であって、
前記プロセッサは、
階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける第1ステップと、
前記新築時の価格表から、前記中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する第2ステップと、
前記中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける第3ステップと、
2つ以上の前記中古集合住宅の戸別の前記価格から、戸別の前記中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する第4ステップと、
前記第2の階層別位置別指数と、前記第2の階層別位置別指数に対応する前記第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する第5ステップと、
前記相関係数に基づいて、前記中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する第6ステップと
を実行する、方法。
【請求項8】
階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける手段と、
前記新築時の価格表から、前記中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する手段と、
前記中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける手段と、
2つ以上の前記中古集合住宅の戸別の前記価格から、戸別の前記中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する手段と、
前記第2の階層別位置別指数と、前記第2の階層別位置別指数に対応する前記第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する手段と、
前記相関係数に基づいて、前記中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する手段と
を具備する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
中古マンションの戸別の価格を推定する技術として、特許文献1、2に開示された、マンションの新築時の販売価格表を用いて同一マンションの物件の販売価格を推定する技術がある。また、非特許文献1に開示されたように、中古マンションの戸別価格は、不動産鑑定士などが経験則等に基づいて手計算で求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-16354号公報
【特許文献2】特開2020-91567号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】匿名,“既存マンションの査定要因と具体的な査定額の計算/『i不動産のブログ』”,[online],掲載日不明,[令和4年12月14日検索],インターネット <URL:https://ifudousan.net/blog/813/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載された技術では、単一の物件(部屋)の中古販売価格から所定の関係式を用いて他の物件の中古販売価格を推定するか、あるいは、複数の物件の中古販売価格から他の物件の中古販売価格を推定するにしても、複数の物件の属性値の平均値を用いて中古販売価格を推定するに止まっている。
【0006】
同一マンションにおいても、個々の物件は方角、階数(階層)、さらにはベランダの広さやその向きなど、その販売価格を左右するファクターが複雑に関係している。従って、特許文献1、2に記載された技術では、こういったファクターを十分に反映した価格推定をすることが困難である。
【0007】
また、非特許文献1に記載された技術において、不動産鑑定士などが用いている手法はあくまで経験則に基づくものであり、豊富な経験や知識が前提となり専門性が高く、一般的な価格査定で利用できるような可用性の高い手法とはいえない。
【0008】
新築時の価格表は新築マンション販売市場の特性(比較的短い期間での全戸販売、市場参加者の属性の違い)に応じて作成されており、中古マーケットにおける位置別階層別の価格差と異なる。一方で、価格差は異なるものの、その優劣は不動産価格の一般原則に基づき、つけられている。なお、新築時と比べた中古時の階層別位置別効用格差の異なる度合いは、地域性やマンションの個別性に基づき変化する。
【0009】
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、中古マンションマーケットにおける新規な階層別位置別指数の算出技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
プロセッサを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける第1ステップと、新築時の価格表から、中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する第2ステップと、中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける第3ステップと、2つ以上の中古集合住宅の戸別の価格から、戸別の中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する第4ステップと、第2の階層別位置別指数と、第2の階層別位置別指数に対応する第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する第5ステップと、相関係数に基づいて、中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する第6ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、中古マンションマーケットにおける新規な階層別位置別指数の算出技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係るシステムの全体の構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る端末装置の機能的な構成を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るサーバの機能的な構成を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る価格表データベースのデータ構造を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る価格表データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る価格表データのデータ構造の他の例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る階層別位置別指数データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係るシステムにおける処理流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係るシステムにおける処理流れの他の例を示すフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係るシステムにおける相関係数の算出手法の一例を説明するための図である。
【
図11】一実施形態に係るシステムにより算出された中古集合住宅の階層別位置別指数の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0014】
また、以下の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0015】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0016】
また、以下の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
【0017】
また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0018】
また、以下の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部などを用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス)とされてもよい。
【0019】
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0020】
また、以下の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0021】
また、以下の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0022】
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0023】
<0 システムの概要>
本開示に係るシステムは、ユーザが階層別位置別指数を取得したい中古集合住宅の新築時の価格表と、この中古集合住宅の2つ以上の戸別の価格とを用いて、中古集合住宅の階層別位置別指数を算出するシステムである。
【0024】
本明細書において、中古集合住宅とは文字通り新築ではない集合住宅を指す。集合住宅は共同住宅と長屋とに分けることができるが、本実施形態のシステムは共同住宅、長屋のいずれであっても適用可能である。また、本実施形態のシステムは基本的に分譲住宅の売買において利用されるが、賃貸住宅であっても適用は可能である。集合住宅の名称に特段の限定はなく、マンション、アパート、団地等、既に存在する集合住宅であればよい。一般的に本実施形態のシステムが利用される集合住宅はマンションであると推定されるので、以下の説明では、マンションという用語で集合住宅を代表するものとして用いる。
【0025】
集合住宅は複数の住戸が集合したものである。本明細書では、基本的に、個々の住戸を示す場合は「住戸」と称し、集合住宅全体を示す場合は「集合住宅」と称する。
【0026】
本明細書における「階層別位置別指数」とは、対象となるマンションにおける中庸の住戸の専有面積1m
2の単価を100とし、この住戸に対して階層、方角(東西南北)が変わった時の専有面積1m
2当たりの単価を示したものである。この中庸の住戸は、理論的には、マンションの平均単価と同じ単価の住戸に相当するが、ちょうど100の指数になるかどうかはマンション毎に異なりうる。
【0027】
階層別位置別指数の一例を
図7に示す。
図7に示す例では、その住戸が角部屋である場合の変動比である角指数、その住戸にルーフバルコニーがある場合の変動比であるルーフバルコニー指数も含めている。但し、最低限、階層と方角とについての指数が求められていればよい。
図7に示す階層別位置別指数では、中庸の住戸は2階南向きの住戸であるが、上述したように、この住戸の階層別位置別指数はちょうど100にはならない。
【0028】
本明細書における階層別位置別指数に類似するものとして、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会が監修する「新・要説 不動産鑑定評価基準」に掲載されている「階層別効用比」及び「位置別効用比」がある。しかし、不動産鑑定評価基準には、階層別効用比等について一定の基準や法則が記載されていない。本明細書では、上述した手法により階層別位置別指数を算出している。
【0029】
本明細書において、階層別位置別指数を取得したい中古集合住宅について、新築時の階層別位置別指数(以下、第1の階層別位置別指数と称する)を求めることは、本実施形態のシステムにおいて新築価格表が入手できることを前提とすることから、中古集合住宅全体(より正確には新築価格表に価格が記載されている住戸について)について不足のない指数を求めることができる。しかしながら、中古集合住宅の現在の階層別位置別指数(以下、第2の階層別位置別指数と称する)については、本実施形態のシステムでは住戸の価格が2つ以上入手できることを前提とすることから、入手できた2つ以上の住戸についてのみ算出できる場合がある。さらに、第1及び第2の階層別位置別指数に基づいて算出する中古集合住宅の階層別位置別指数(以下、これを第3の階層別位置別指数と称する)についても、第1の階層別位置別指数に対する補正値として算出できる場合がある。本明細書では、上述した態様を含めて、いずれも「階層別位置別指数の算出」ということにする。
【0030】
<一実施形態>
<1 システム全体の構成図>
図1は、本実施形態の階層別位置別指数算出システム1(以下、単にシステム1と称する)の全体の構成を示す図である。
図1に示すように、システム1は、複数の端末装置(
図1では、端末装置10a及び端末装置10bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20と、外部データサーバ30とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。本実施形態では、サーバ20はWebサーバ(クラウドサーバを含む)としての機能を有するサーバであり、端末装置10との間でWebページにより情報のやり取りを行う。また、端末装置10にはWebページを閲覧するためのWebページブラウザがインストールされているが、サーバ20のサービスを提供するための専用アプリケーションがインストールされ、専用アプリケーションにより閲覧可能に構成してもよい。
【0031】
端末装置10aのハードウェア構成と端末装置10bのハードウェア構成とは共通するので、端末装置10aのハードウェア構成について説明することで、端末装置10のハードウェア構成の説明を省略する。
【0032】
端末装置10は、階層別位置別指数を取得するユーザが操作する装置である。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0033】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。
図1に示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0034】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0035】
サーバ20は、本実施形態のシステム1の管理者により管理され、端末装置10のユーザにより適宜格納内容が修正/追加/削除がされる。
【0036】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0037】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0038】
外部データサーバ30は、様々な集合住宅の新築価格表データや中古集合住宅の価格データ等が格納されたサーバである。このような外部データサーバ30は、一例として中古不動産仲介業者により運営されている。また、いわゆるデベロッパーと呼ばれる新築集合住宅の開発・販売会社により運営されていてもよい。外部データサーバ30は、サーバ20、端末装置10等からのデータ取得要求に応じて、要求があったデータをサーバ20等に提供する。なお、様々な集合住宅の新築価格表データや中古集合住宅の価格データについては、サーバ20が独自に収集してメモリ25、ストレージ26に格納していてもよい。
【0039】
<1.1 端末装置10の機能的な構成>
図2は、
図1に示す端末装置10の機能的な構成の例を表すブロック図である。
図2に示す端末装置10は、例えば、PC、携帯端末、またはウェアラブル端末により実現される。
図2に示すように、端末装置10は、通信部120と、入力装置13と、出力装置14と、音声処理部17と、マイク171と、スピーカー172と、記憶部180と、制御部190とを備える。端末装置10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0040】
通信部120は、端末装置10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部120は、制御部190で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、サーバ20)へ送信する。通信部120は、外部から受信した信号に受信処理を施し、制御部190へ出力する。
【0041】
入力装置13は、端末装置10を操作するユーザが指示、または情報を入力するための装置である。入力装置13は、例えば、キーボード、マウス、リーダー等により実現されてもよい。端末装置10が携帯端末等である場合には、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス131等により実現される。入力装置13は、ユーザから入力される指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御部190へ出力する。なお、入力装置13には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0042】
出力装置14は、端末装置10を操作するユーザへ情報を提示するための装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ141等により実現される。ディスプレイ141は、制御部190の制御に応じたデータを表示する。ディスプレイ141は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0043】
音声処理部17は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換処理を行う。音声処理部17は、マイク171から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部190へ与える。また、音声処理部17は、音声信号をスピーカー172へ与える。音声処理部17は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク171は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部17へ与える。スピーカー172は、音声処理部17から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0044】
記憶部180は、例えば、メモリ15、および記憶部16等により実現され、端末装置10が使用するデータ、およびプログラムを記憶する。
【0045】
制御部190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるアプリケーションプログラム181を読み込み、アプリケーションプログラム181に含まれる命令を実行することにより実現される。制御部190は、端末装置10の動作を制御する。制御部190は、記憶部180に格納されたアプリケーションプログラム181に従って動作することにより、操作受付部191と、送受信部192と、データ処理部193と、提示制御部194としての機能を発揮する。
【0046】
操作受付部191は、入力装置13から入力される指示、または情報を受け付けるための処理を行う。具体的には、例えば、操作受付部191は、キーボード、マウス等から入力される指示に基づく情報を受け付ける。
【0047】
また、操作受付部191は、マイク171から入力される音声指示を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部191は、マイク171から入力され、音声処理部17でデジタル信号に変換された音声信号を受信する。操作受付部191は、例えば、受信した音声信号を分析して所定の名詞を抽出することで、ユーザからの指示を取得する。
【0048】
送受信部192は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。具体的には、例えば、送受信部192は、ユーザから入力された業務内容をサーバ20へ送信する。また、送受信部192は、ユーザに関する情報を、サーバ20から受信する。
【0049】
データ処理部193は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、アプリケーションプログラム181に従って演算を行い、演算結果をメモリ15等に出力する処理を行う。
【0050】
提示制御部194は、サーバ20から提供された情報をユーザに対して提示するため、出力装置14を制御する。具体的には、例えば、提示制御部194は、サーバ20から送信される情報をディスプレイ141に表示させる。また、提示制御部194は、サーバ20から送信される情報をスピーカー172から出力させる。
【0051】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、サーバ20の機能的な構成の例を示す図である。
図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0052】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0053】
記憶部202は、例えば、価格表DB(DataBase)2022と、価格表データ2023と、階層別位置別指数データ2024と、教師データ2025と、学習モデル2026等とを有する。
【0054】
価格表DB2022は、少なくとも階層別位置別指数の算出対象となる中古集合住宅の新築価格表、及び、この中古集合住宅についての2戸以上の価格を管理するためのデータベースである。価格表DB2022により管理される新築価格表等は、上述した外部データサーバ30から取得してもよいし、サーバ20が独自に収集してもよい。詳細は後述する。
【0055】
価格表データ2023は、少なくとも階層別位置別指数の算出対象となる中古集合住宅の新築価格表、及び、この中古集合住宅についての2戸以上の価格に関するデータである。価格表DB2022の説明でも述べたように、価格表データ2023は、上述した外部データサーバ30から取得してもよいし、サーバ20が独自に収集してもよい。また、端末装置10のユーザからの中古集合住宅の指定がどのような地域等の中古集合住宅であるかをサーバ20が事前に知ることは難しい(階層別位置別指数算出の条件として事前に端末装置10のユーザに提示してもよいが)ので、数多くの価格表データ2023がサーバ20内に蓄積されていることが好ましいが、データ規模によってサーバ20の規模も異なり、データ規模が嵩めば運営費用等も嵩むので、サーバ20の運営者がどのような価格表データ2023をサーバ20内に蓄積するかは適宜決定すればよい。
【0056】
特に、後述するように、階層別位置別指数の算出対象となる中古集合住宅について2戸以上の価格データが入手できないことも想定して、地域毎に複数の価格表データ2023が記憶部202に格納されていることが好ましい。
【0057】
ここに、新築価格表に記載された価格は公の販売価格であるが、実際にデベロッパーが販売した実販売価格であってもよいし、新築価格表に記載された価格と実販売価格とが価格表データ2023に含まれていてもよい。同様に、中古集合住宅についての2戸以上の価格は、成約価格が望ましいが、販売価格などを適切に補正し、活用してもよい。
【0058】
また、価格表データ2023のデータ形式に特段の限定はなく、いわゆるスプレッドシートであってもよいし、リレーショナルデータベースであってもよい。但し、部屋番号と階数、住戸の専有面積、価格に影響を与える住戸の性質(方角、価格、間取り、角部屋か否か、ルーフバルコニーがあるか否か)とが紐付けられた形でのデータ形式であることが好ましい。
【0059】
階層別位置別指数データ2024は、個々の中古集合住宅の階層別位置別指数を示すデータである。詳細は後述する。
【0060】
教師データ2025は、後述するクラスタ形成モジュール2038によりクラスタ化された中古集合住宅についての2以上の戸別の価格に関するデータである。教師データ2025はクラスタ形成モジュール2038により生成される。
【0061】
学習モデル2026は、上述した教師データ2025に基づき、図略のモデル学習プログラムに従って機械学習モデルに機械学習を行わせることにより得られる。この学習モデル2026に対して、階層別位置別指数の算出対象となる中古集合住宅の新築価格表を入力すると、今現在においてこの中古集合住宅のいずれかの住戸が販売された際の価格が2以上出力される。
【0062】
本実施形態に係る学習モデル2026は、例えば、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数、及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る予測モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよいが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる予測モデルは、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層あるいは隠れ層とを有する。予測モデルは、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての使用が想定される。
【0063】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network:CNN)を用いてもよい。
【0064】
また、上記はあくまで予測モデルの例示であり、予測モデルとしては、他の構成を備えてもよい。
【0065】
制御部203は、プロセッサ29が記憶部202に記憶されるアプリケーションプログラム2021を読み込み、アプリケーションプログラム2021に含まれる命令を実行することにより実現される。制御部203は、アプリケーションプログラム2021に従って動作することにより、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、価格表取得モジュール2033、価格表検索モジュール2034、時点修正算出モジュール2035、階層別位置別指数算出モジュール2036、相関係数算出モジュール2037、クラスタ形成モジュール2038、及び中古価格算出モジュール2039として示す機能を発揮する。
【0066】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0067】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0068】
価格表取得モジュール2033は、例えば外部データサーバ30から価格表データ2023を取得する。価格表取得モジュール2033による価格表データ2023取得タイミング及び取得間隔は任意であり、定期的に価格表データ2023を取得してもよいし、端末装置10のユーザから階層別位置別指数の算出指示があったことを契機に(トリガとして)価格表データ2023を取得してもよい。また、価格表取得モジュール2033による価格表データ2023の取得元は主に外部データサーバ30を想定しているが、外部データサーバ30以外のサーバから取得してもよい。
【0069】
価格表検索モジュール2034は、端末装置10のユーザからの指示により階層別位置別指数の算出動作を階層別位置別指数算出モジュール2036が算出するにあたり、階層別位置別指数算出の基礎となる、階層別位置別指数の対象である中古集合住宅の新築価格表及び中古集合住宅の2以上の住戸の価格を価格表DB2022から検索し、価格表DB2022を通じて価格表データ2023を検索する。価格表検索モジュール2034による検索結果は時点修正算出モジュール2035に渡される。
【0070】
時点修正算出モジュール2035は、価格表検索モジュール2034が検索した価格表データ2023のうち、中古集合住宅の2以上の住戸の価格について時点修正処理を行う。つまり、中古集合住宅の2以上の住戸の価格は、中古住戸として販売された時期がまちまちであり、しかも、今現在販売された(だろう)価格とは異なることが予想される。そこで、価格表データ2023として検索された中古集合住宅の2以上の住戸の価格を、今現在販売されたならばこの価格になるだろうと予想される価格に修正する処理を行う。これを時点修正処理という。時点修正処理そのものは既知であるので、時点修正算出モジュール2035は既存の時点修正処理手順を用いて時点修正処理を行えばよい。一例として、時点修正処理は、中古集合住宅がある(建築された)地域における戸別の価格の変動を参照して時点修正率を求め、この時点修正率に基づいて行う。そして、時点修正算出モジュール2035は、時点修正処理を行った中古集合住宅の2以上の住戸の価格と新築価格表とを階層別位置別指数算出モジュール2036に送出する。
【0071】
ここで、時点修正率は、当該中古集合住宅の時間経過に伴う価格変動のみならず、新築時の価格指数に対して時間経過に伴う環境変化を反映させたものにしてもよい。一例として、新築時には近隣に日照の邪魔になる他のマンションがなかったが、その後、日照に影響を与えるような高層の集合住宅が建築された、近隣に道路が開通してこの道路からの騒音が影響するようになったなどの周辺の環境変化を反映させたものにしてもよい。
【0072】
階層別位置別指数算出モジュール2036は、時点修正処理がされた価格表データ2023に基づいて、対象となる中古集合住宅の新築時の階層別位置別指数及び現時点での階層別位置別指数をそれぞれ算出する。新築時の階層別位置別指数の一例を
図7に示す。ここで、現時点での階層別位置別指数については、元となる価格表データ2023が2戸以上の価格表データ2023であるので、
図7に示す新築時の階層別位置別指数において全ての欄に指数が算出できない場合がある。
【0073】
さらに、階層別位置別指数算出モジュール2036は、後述する相関係数算出モジュール2037により算出された相関係数に基づいて、対象となる中古集合住宅の全戸を対象とした現時点での階層別位置別指数を算出する。なお、対象となる中古集合住宅の全戸を対象とした現時点での階層別位置別指数を算出できない場合、可能な限り多くの住戸についての階層別位置別指数を算出することが好ましい。
【0074】
加えて、中古集合住宅について2戸以上の価格表データ2023が入手できない場合、学習モデル2026に新築価格表を入力することで、対象となる中古集合住宅の全戸を対象とした現時点での階層別位置別指数を算出する。
【0075】
相関係数算出モジュール2037は、階層別位置別指数算出モジュール2036が算出した、対象となる中古集合住宅の新築時の階層別位置別指数及び今現在における階層別位置別指数に基づいて、これら階層別位置別指数の相関係数を算出する。相関係数の算出式そのものは既知であるので、ここでの説明は省略する。
【0076】
階層別位置別指数の相関係数の算出手順の一例について、
図10を参照して説明する。
図10に示すように、グラフの横軸を新築時の階層別位置別指数とし、グラフの縦軸を今現在の階層別位置別指数とし、対応する住戸における新築時及び今現在の階層別位置別指数をプロットする。本実施形態のシステムでは、今現在の階層別位置別指数は2戸以上求められていることから、プロットされた点に対する相関係数を求めることができる。
図10に示す例では、2戸の階層別位置別指数をプロットしているため、プロットされた2点を結ぶ直線から直ちに相関係数を求めることができる(この場合、直線の傾きが相関係数になる)が、3戸以上の階層別位置別指数が求められているならば、プロットされた3点を散布図と考え、相関係数の公式に数値を代入することで相関係数を求めることができる。プロットされた点数が多くなればなるほど相関係数の精度(つまり実情に応じた中古集合住宅全体の階層別位置別指数)を算出することができると考えられる。
【0077】
クラスタ形成モジュール2038は、中古集合住宅について2戸以上の価格表データ2023が入手できない場合、対象となる中古集合住宅に類似する他の中古集合住宅をクラスタ化して、クラスタ化した複数の中古集合住宅について、階数と方位を説明変数とし、階層別位置別指数を被説明変数とした回帰分析を行い、対象となる中古集合住宅に対する階層別位置別指数を求める回帰分析モデルを生成する。あるいは、また、これらクラスタ化した中古集合住宅の複数の価格表データ2023を教師データ2025としてまとめ、この教師データ2025を用いて機械学習を行い、学習モデル2026を生成する。
ここにいう類似とは、一例として、地域性、交通情報、建物の規模(階数など)・形状、築年などが共通するまたは近いことである。
【0078】
中古価格算出モジュール2039は、階層別位置別指数算出モジュール2036が算出した対象となる中古集合住宅の全戸を対象とした現時点での階層別位置別指数に基づいて、端末装置10のユーザから指定があった住戸の現時点で予想される価格を算出して端末装置10に提示する。
【0079】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶するデータベースのデータ構造を示す図である。なお、
図4は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。
【0080】
図4に示すデータベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
【0081】
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するための主キーとなるカラムが設定されるが、カラムへの主キーの設定は必須ではない。サーバ20の制御部203は、各種プログラムに従ってプロセッサ29に、記憶部202に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0082】
図4は、価格表DB2022のデータ構造を示す図である。
図4に示すように、価格表DB2022のレコードの各々は、例えば、項目「価格表ID」と、項目「物件名」と、項目「住所」と、項目「築年」と、項目「階数」と、項目「新築データ」と、項目「中古データ」と、項目「階層別データ」と、項目「中古調整」とを含む。価格表DB2022の各項目は、価格表取得モジュール2033が中古集合住宅の価格表データ2023を取得した際に、この価格表取得モジュール2033により入力される。価格表DB2022が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0083】
項目「価格表ID」は、本実施形態のシステム1(特にサーバ20)により管理される中古集合住宅単位の価格表データ2023(新築価格表と2戸以上の価格とを含む)を特定するためのIDである。項目「物件名」は、項目「価格表ID」により特定される価格表データ2023に係る中古集合住宅の物件名に関する情報である。項目「住所」は、項目「物件名」により特定される中古集合住宅の所在地である住所に関する情報である。項目「築年」は、項目「物件名」により特定される中古集合住宅の築年に関する情報である。項目「階数」は、項目「物件名」により特定される中古集合住宅の階数に関する情報である。項目「新築データ」は、項目「価格表ID」により特定される価格表データ2023に係る中古集合住宅の新築価格表のファイル名に関する情報である。項目「中古データ」は、項目「価格表ID」により特定される価格表データ2023に係る中古集合住宅の2戸以上の価格データのファイル名に関する情報である。項目「階層別データ」は、項目「価格表ID」により特定される価格表データ2023に係る中古集合住宅の階層別位置別指数のファイル名に関する情報である。項目「中古調整」は、項目「価格表ID」により特定される価格表データ2023に係る中古集合住宅の時点修正率に関する情報である。
【0084】
図5は、ある中古集合住宅(物件名がAAマンション)の価格表データ2023である、新築価格表のデータ構造を示す図である。
図5に示すように、新築価格表は各住戸を示すセルに部屋番号、間取り、専有面積及び販売価格が格納されたデータ構造をしている。各住戸を表すセルは同一階数のものについては行方向(
図5において横方向)、ほぼ同一位置にあって階数方向(つまり上下方向)に連なるものについては列方向(
図5において縦方向)に並べられている。なお、
図5において図示の煩雑化を避けるために、間取りの種類(例えば角部屋、ルーフバルコニーあり/なし)についての情報は図示していないが、これら情報も新築価格表に含まれうる。
【0085】
図6は、
図5に示す中古集合住宅の価格表データ2023である、2戸以上の価格データのデータ構造である。中古として販売されている際の価格データは全戸について取得できる場合はまずないので、中古として販売された住戸に対応する箇所に価格データが紐付けられた形で格納されている。
【0086】
図7は、
図5に示す中古集合住宅の新築価格表に基づく階層別位置別指数データ2024のデータ構造を示す図である。
図7に示す階層別位置別指数データ2024は、
図5の新築価格表と同様に階数方向が図中上下方向になっている。階層別位置別指数データ2024は、既に説明したように、対象となる中古集合住宅の新築価格表における平均単価を100とし、この平均単価に対して階数、方角(東西南北)、角部屋であるか否か、ルーフバルコニー部屋であるか否かに基づいて変動する指数を算出したものである。
【0087】
<3 動作例>
以下、サーバ20の動作の一例について説明する。
【0088】
図8は、サーバ20のメイン動作の一例を表すフローチャートである。
【0089】
ステップS800において、制御部203は、端末装置10から、算出対象となる中古集合住宅の物件名の入力を受け入れる。具体的には、例えば、制御部203は、受信制御モジュール2031により、端末装置10のユーザが入力装置13等を用いて入力した算出対象となる中古集合住宅の物件名の操作入力を受け入れる。
【0090】
次いで、ステップS801において、制御部203は、ステップS800において入力を受け入れた物件名を検索キーとして価格表DB2022を検索し、物件名に対応する新築価格表である価格表データ2023を抽出する。具体的には、例えば、制御部203は、価格表検索モジュール2034により物件名を検索キーとして価格表DB2022を検索し、物件名に対応する新築価格表である価格表データ2023を抽出する。
【0091】
ステップS802では、ステップS801で検索した価格表データ2023を記憶部202に取り込む。具体的には、例えば、制御部203は、価格表検索モジュール2034により、ステップS801で検索した価格表データ2023を記憶部202に取り込む。なお、ステップS801において物件名に対応する価格表データ2023を検索できなかった場合の動作は任意であり、再度ステップS800において別の物件名の入力を端末装置10に求める、
図8に示すフローチャートを終了させる等、種々の動作があり得る。
【0092】
ステップS803において、制御部203は、ステップS800において入力を受け入れた物件名に対応する中古の2戸以上の価格表データ2023を検索する。具体的には、例えば、制御部203は、価格表検索モジュール2034により価格表DB2022を検索し、2戸以上の価格表データ2023を検索する。
【0093】
ステップS804において、制御部203は、ステップS803において2戸以上の中古の価格表データ2023を検索できたか否かを判定する。具体的には、例えば、制御部203は、価格表検索モジュール2034により、価格表DB2022から2戸以上の中古の価格表データ2023を検索できたか否かを判定する。
【0094】
そして、2戸以上の中古の価格表データ2023を検索できたと判定したら(ステップS804においてYES)、プログラムはステップS805に進み、1戸以下の中古の価格表データ2023しか検索できなかった、あるいは、ステップS800で入力を受け入れた物件名に対応する中古の価格表データ2023を検索できなかったと判定したら(ステップS804においてNO)、プログラムは
図9に進む。
【0095】
ステップS805において、制御部203は、ステップS803において検索した2戸以上の中古の価格表データ2023について時点修正処理を行う。具体的には、例えば、制御部203は、時点修正算出モジュール2035により、ステップS803において検索した2戸以上の中古の価格表データ2023について時点修正処理を行う。時点修正処理の詳細については上述したので、ここでの説明は省略する。
【0096】
ステップS806において、制御部203は、ステップS805において時点修正処理がされた2戸以上の中古の価格表データ2023、及び、ステップS802おいて取り込んだ新築価格表である価格表データ2023に基づいて新築時の前記階層別位置別指数及び今現在の階層別位置別指数をそれぞれ算出する。具体的には、例えば、制御部203は、階層別位置別指数算出モジュール2036により、ステップS805において時点修正処理がされた2戸以上の中古の価格表データ2023、及び、ステップS802おいて取り込んだ新築価格表である価格表データ2023に基づいて新築時の前記階層別位置別指数及び今現在の階層別位置別指数をそれぞれ算出する。階層別位置別指数算出モジュール2036による階層別位置別指数の算出手順については上述したのでここでの説明は省略する。
【0097】
ステップS807において、制御部203は、ステップS806において算出した新築時の前記階層別位置別指数及び今現在の階層別位置別指数に基づいて、これら階層別位置別指数の相関係数を算出する。具体的には、例えば、制御部203は、相関係数算出モジュール2037により、ステップS806において算出した新築時の前記階層別位置別指数及び今現在の階層別位置別指数に基づいて、これら階層別位置別指数の相関係数を算出する。相関係数の算出手順については上述したのでここでの説明は省略する。
【0098】
ステップS808において、制御部203は、ステップS807において算出された相関係数に基づいて、対象となる中古集合住宅の全戸の階層別位置別指数を推定、算出する。具体的には、制御部203は、相関係数算出モジュール2037により、ステップS807において算出された相関係数に基づいて、対象となる中古集合住宅の全戸の階層別位置別指数を推定、算出する。
【0099】
ステップS808において相関係数算出モジュール2037が算出した、対象となる中古集合住宅の全戸の階層別位置別指数の一例を
図11に示す。
図11に示す例では、対象となる中古集合住宅の全戸の階層別位置別指数は、この中古集合住宅の新築時の階層別位置別指数に対する中古調整倍率(図示例では0.4倍)として推定、算出されている。つまり、新築時の階層別位置別指数に対して中古調整倍率を掛けることで、任意の住戸についての階層別位置別指数を求めることができる。この中古調整倍率は、ステップS807において相関係数算出モジュール2037が算出した相関係数に略相当する。
【0100】
図9は、サーバ20の動作の一例を表すフローチャートであり、
図8のステップS804の分岐先に相当するフローチャートである。
【0101】
ステップS900において、制御部203は、
図8のステップS800で端末装置10のユーザからの入力を受け入れた物件名に類似する新築価格表である価格表データ2023を価格表DB2022から検索する。具体的には、例えば、制御部203は、クラスタ形成モジュール2038により、
図8のステップS800で端末装置10のユーザからの入力を受け入れた物件名に類似する新築価格表である価格表データ2023を価格表DB2022から検索する。ここに、「類似する」という条件はクラスタ形成モジュール2038が設定する。類似する基準については任意に設定可能であるが、既に説明したように、対象となる中古集合住宅と地域が共通する、築年が共通または近似する、階数が共通または近似するなどの基準が一例として挙げられる。
【0102】
なお、ステップS900で検索を行う価格表データ2023は後述するクラスタ化処理等の元データとなるので、精度良い処理を行う観点から複数の価格表データ2023を検索することが好ましい。
【0103】
ステップS901において、制御部203は、ステップS900における検索に基づいて類似する新築価格表である価格表データ2023が検索できたか否かを判定する。具体的には、例えば、制御部203は、クラスタ形成モジュール2038により、ステップS900における検索に基づいて類似する新築価格表である価格表データ2023が検索できたか否かを判定する。そして、類似する新築価格表である価格表データ2023が検索できたと判定したら(ステップS901においてYES)プログラムはステップS903に進み、類似する新築価格表である価格表データ2023が検索できなかったと判定したら(ステップS901においてNO)、ステップS902においてクラスタ形成モジュール2038は検索条件(つまり類似する基準)を変更してステップS900に戻り、再度検索動作を行う。
【0104】
ステップS903において、制御部203は、対象となる中古集合住宅と、ステップS900において検索した結果抽出できた、対象となる中古集合住宅に類似する中古集合住宅とをクラスタ化する。具体的には、例えば、制御部203は、クラスタ形成モジュール2038により、対象となる中古集合住宅と、ステップS900において検索した結果抽出できた、対象となる中古集合住宅に類似する中古集合住宅とをクラスタ化する。クラスタ化(クラスタリング)の具体的な手順については公知であるので、ここでの説明は省略する。
【0105】
ステップS904において、制御部203は、ステップS903においてクラスタ化した中古集合住宅について、階数と方位を説明変数とし、階層別位置別指数を被説明変数とした回帰分析モデルを生成する。あるいは、また、制御部203は、ステップS903においてクラスタ化した中古集合住宅の複数の価格表データ2023を教師データ2025として機械学習処理等を行い、学習モデル2026を生成する。具体的には、例えば、制御部203は、クラスタ形成モジュール2038により、ステップS903においてクラスタ化した中古集合住宅について、階数と方位を説明変数とし、階層別位置別指数を被説明変数とした回帰分析モデルを生成する。あるいは、また、制御部203は、ステップS903においてクラスタ化した中古集合住宅の複数の価格表データ2023を教師データ2025として機械学習処理等を行い、学習モデル2026を生成する。機械学習処理の具体的な手順は公知であるので、ここでの説明は省略する。
【0106】
ステップS905において、制御部203は、ステップS904で作成した学習モデル2026に新築価格表である価格表データ2023を入力することで、この学習モデル2026に推論動作をさせる。具体的には、例えば、制御部203は、クラスタ形成モジュール2038により、ステップS904で作成した学習モデル2026に新築価格表である価格表データ2023を入力することで、この学習モデル2026に推論動作をさせる。
【0107】
そして、ステップS906において、制御部203は、ステップS905において学習モデル2026に推論動作をさせた結果である階層別位置別指数を取得し、これを、対象となる中古集合住宅の今現在の階層別位置別指数とする。あるいは、また、ステップS906において、制御部203は、ステップS904において生成した回帰分析モデルを用いて対象となる中古集合住宅の今現在の階層別位置別指数を求める。具体的には、例えば、制御部203は、クラスタ形成モジュール2038により、ステップS905において学習モデル2026に推論動作をさせた結果である階層別位置別指数を取得し、これを、対象となる中古集合住宅の今現在の階層別位置別指数とする。あるいは、また、ステップS906において、制御部203は、クラスタ形成モジュール2038により、ステップS904において生成した回帰分析モデルを用いて対象となる中古集合住宅の今現在の階層別位置別指数を求める。ステップS906において取得した、対象となる中古集合住宅の今現在の階層別位置別指数は、
図8のステップS808において例示したようなクラスタ内中古調整倍率として得られる。なお、
図8における中古調整倍率は相関係数に基づくものであるが、
図9のステップS906におけるクラスタ内中古調整倍率は、クラスタ化処理が行われていることから、クラスタ内において対象となる中古集合住宅の属性(地域、階数等)と、この中古集合住宅に類似する中古集合住宅の属性との相違を考慮したものとなる。この後、プログラムは
図8のステップS805に戻る。
【0108】
<5 一実施形態の効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態のシステム1によれば、中古マンションマーケットにおける新規な階層別位置別指数の算出技術を提供することができる。
【0109】
具体的には、本実施形態のシステム1によれば、算出対象となる中古集合住宅の新築価格表と、この中古集合住宅の2戸以上の戸別の価格とに基づいてそれぞれ第1、第2の階層別位置別指数を求め、これら第1、第2の階層別位置別指数の相関係数から、中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出しているので、第3の階層別位置別指数を合理的に(すなわち、作成者の個人的な経験等をできるだけ排して一定の根拠をもって)算出することができるとともに、この第3の階層別位置別指数を精度良く求めることができる。
【0110】
第3の階層別位置別指数は、中古集合住宅の戸別の価格のサンプル数が多くなればなるほど相関係数の結果の精度が高まるので好ましいが、中古集合住宅の戸別価格は実際の住戸の販売実績に基づくものであり、サンプル数を多く得られるとは限らない。そこで、相関係数は2戸以上のサンプルがあれば算出可能であるので、最低限2戸の価格が得られれば第3の階層別位置別指数を求めることができる。
【0111】
また、新築時の第1の階層別位置別指数は一定の基準に基づいて個人的な経験等を排して算出することはできるが、中古集合住宅の今現在の第2の階層別位置別指数は、既に説明したように、これまでは鑑定士等の個人的な経験等に基づいて算出するしかなかったが、本実施形態のシステム1によれば、明確な根拠及び一定の算出手順に基づいて、個人的な経験等を排して第3の階層別位置別指数を算出することができる。これが、新規な階層別位置別指数の算出技術を提供できる、という意味である。
【0112】
また、本実施形態のシステム1では、中古集合住宅の戸別の価格を2戸以上取得できない場合、対象となる中古集合住宅に類似する他の中古集合住宅と対象となる中古集合住宅とでクラスタを形成し、これらクラスタ内で第2の階層別位置別指数を算出しているので、第3の階層別位置別指数を算出できる機会をより多くすることができる。
【0113】
<6 付記>
なお、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0114】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0115】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0116】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0117】
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0118】
(付記1)
プロセッサ(29)を備えるコンピュータ(20)を動作させるためのプログラム(2021)であって、プログラム(2021)は、プロセッサ(29)に、階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける第1ステップ(ステップS802)と、新築時の価格表から、中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する第2ステップ(ステップS806)と、中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける第3ステップ(ステップS803)と、2つ以上の中古集合住宅の戸別の価格から、戸別の中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する第4ステップ(ステップS806)と、第2の階層別位置別指数と、第2の階層別位置別指数に対応する第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する第5ステップ(ステップS807)と、相関係数に基づいて、中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する第6ステップ(ステップS808)とを実行させる、プログラム(2021)。
(付記2)
プログラムは、第4ステップ(ステップS806)において、中古集合住宅の戸別の価格に対して、中古集合住宅の築年数に基づいて価格を補正し、及び/また、第2ステップ(ステップS806)において、中古集合住宅の新築時からの周辺環境の変化に基づいて、中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を補正する、する付記1に記載のプログラム(2021)。
(付記3)
第3ステップ(ステップS803)において、中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付けることができなかったら、第4ステップ(ステップS806)において、中古集合住宅に類似する他の中古集合住宅についてクラスタを形成し、同一のクラスタに属する他の複数の中古集合住宅の階層別位置別指数から第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する付記1または2に記載のプログラム(2021)。
(付記4)
第4ステップ(ステップS806)において、クラスタに属する他の複数の中古集合住宅の戸別の価格を教師データとした学習モデルを生成し、この学習モデルに第1の階層別位置別指数を入力することで、第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する付記3に記載のプログラム(2021)。
(付記5)
プログラム(2021)は、さらにプロセッサ(29)に、第6ステップ(ステップS808)で求めた第3の階層別位置別指数に基づいて、中古集合住宅の特定の戸別の価格を算出する第7ステップを実行させる、付記1~4のいずれかに記載のプログラム(2021)。
(付記6)
プロセッサ(29)を備えた情報処理装置であって、プロセッサ(29)は、階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける第1ステップ(ステップS802)と、新築時の価格表から、中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する第2ステップ(ステップS806)と、中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける第3ステップ(ステップS803)と、2つ以上の中古集合住宅の戸別の価格から、戸別の中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する第4ステップ(ステップS806)と、第2の階層別位置別指数と、第2の階層別位置別指数に対応する第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する第5ステップ(ステップS807)と、相関係数に基づいて、中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する第6ステップ(ステップS808)とを実行する、情報処理装置。
(付記7)
プロセッサ(29)を備えたコンピュータ(20)により実行される方法であって、プロセッサ(29)は、階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける第1ステップ(ステップS802)と、新築時の価格表から、中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する第2ステップ(ステップS806)と、中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける第3ステップ(ステップS803)と、2つ以上の中古集合住宅の戸別の価格から、戸別の中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する第4ステップ(ステップS806)と、第2の階層別位置別指数と、第2の階層別位置別指数に対応する第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する第5ステップ(ステップS807)と、相関係数に基づいて、中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する第6ステップ(ステップS808)とを実行する、方法。
(付記8)
階層別位置別指数を求めるべき中古集合住宅の新築時の価格表の入力を受け付ける手段(2033)と、新築時の価格表から、中古集合住宅の新築時の第1の階層別位置別指数を算出する手段(2036)と、中古集合住宅の戸別の価格の入力を2つ以上受け付ける手段(2033)と、2つ以上の中古集合住宅の戸別の価格から、戸別の中古集合住宅の第2の階層別位置別指数を2つ以上算出する手段(2036)と、第2の階層別位置別指数と、第2の階層別位置別指数に対応する第1の階層別位置別指数との相関係数を算出する手段(2037)と、相関係数に基づいて、中古集合住宅の任意の戸別の第3の階層別位置別指数を算出する手段(2039)とを具備する、システム。
【符号の説明】
【0119】
1…システム 10…端末装置 15、25…メモリ 16…記憶部 19、29…プロセッサ 20…サーバ 26…ストレージ 29…プロセッサ 180、202…記憶部 181、2021…アプリケーションプログラム 190、203…制御部 2022:価格表DB 2023:価格表データ 2024:階層別位置別指数データ 2025:教師データ 2026:学習モデル 2033:価格表取得モジュール 2034:価格表検索モジュール 2035:時点修正算出モジュール 2036:階層別位置別指数算出モジュール 2037:相関係数算出モジュール 2038:クラスタ形成モジュール 2039:中古価格算出モジュール