(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093042
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ボルト供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20240702BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65G47/90 A
B65G47/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209139
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】吉川 尚志
【テーマコード(参考)】
3F072
3F080
【Fターム(参考)】
3F072AA21
3F072GA10
3F072GC03
3F072GE01
3F072GG10
3F072GG12
3F072JA09
3F072KD01
3F072KD11
3F072KE01
3F072KE18
3F080AA24
3F080BA02
3F080BC03
3F080BF01
3F080BF11
3F080BF14
3F080CB03
3F080CD10
3F080CE11
3F080CF22
3F080CF23
3F080CG13
3F080DA01
3F080DA04
3F080DA18
3F080DB04
3F080EA09
3F080EA18
3F080FA01
3F080FB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ボルトを扱う現場で、ボルトの供給能力を向上させる。
【解決手段】ボルト供給装置14は、ボルトBを供給する供給路30と、供給路の下流に配される複数の分配供給路34(34a、34b)と、供給路と複数の分配供給路との間に配され、供給路から供給される複数のボルトを配列し、配列した複数のボルトから成るボルト群が複数の分配供給路に順次供給されるように変位可能な可動供給路32と、可動供給路から分配供給路にボルト群を搬送するプッシャー36(36a、36b)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトを供給する供給路と、
前記供給路の下流に配される複数の分配供給路と、
前記供給路と複数の前記分配供給路との間に配され、前記供給路から供給される複数の前記ボルトを配列し、配列した複数の前記ボルトから成るボルト群が複数の前記分配供給路に順次供給されるように変位可能な可動供給路と、
前記可動供給路から前記分配供給路に前記ボルト群を搬送するプッシャーと、
を備える、ボルト供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボルト供給装置であって、
複数の前記分配供給路は、第1分配供給路と、第2分配供給路とを備え、
前記可動供給路は、第1可動供給路と、第2可動供給路とを備え、
前記可動供給路は、前記供給路から前記第1可動供給路に前記ボルトを搬入可能な状態に設定すると、前記第2可動供給路に予め搬入された前記ボルト群を前記第2分配供給路に搬送可能な状態となり、前記供給路から前記第2可動供給路に前記ボルトを搬入可能な状態に設定すると、前記第1可動供給路に予め搬入された前記ボルト群を前記第1分配供給路に搬送可能な状態となる、ボルト供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載のボルト供給装置であって、
前記プッシャーは、前記ボルト群を構成する複数の前記ボルトの各々の間に挿入される複数の挿入部を備える、ボルト供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載のボルト供給装置であって、
前記ボルト群が搬入され得る空きスペースが生じた前記分配供給路である搬入可能路を検出する検出部と、
前記搬入可能路に前記ボルト群を供給し得るように前記可動供給路を変位させるとともに、前記可動供給路から前記搬入可能路に前記プッシャーを用いて前記ボルト群を搬送する制御を行う制御部と、
を備える、ボルト供給装置。
【請求項5】
請求項1に記載のボルト供給装置であって、
前記分配供給路に搬入された複数の前記ボルトのうち先頭に位置する前記ボルトである先頭ボルトの前記分配供給路からの排出を制限するストッパと、
前記ストッパの制限が解除された状態で前記先頭ボルトにエアを供給することにより、前記先頭ボルトを前記分配供給路から排出するエア供給部と、
を備え、
前記ストッパは、前記先頭ボルトが前記分配供給路から排出された後に、前記分配供給路からの前記ボルトの排出を制限する、ボルト供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業者へボルトを1本だけ供給することができるボルト取出補助装置が開示される。この装置は、容器部内に保管されるボルトを、流下レール部へ1列に整列させて流下させる。更に、この装置は、流下レール部を流下するボルトをボルト排出口から排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボルトを扱う現場では、ボルトの供給能力を向上させることが望まれる。
【0005】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、ボルトを供給する供給路と、前記供給路の下流に配される複数の分配供給路と、前記供給路と複数の前記分配供給路との間に配され、前記供給路から供給される複数の前記ボルトを配列し、配列した複数の前記ボルトから成るボルト群が複数の前記分配供給路に順次供給されるように変位可能な可動供給路と、前記可動供給路から前記分配供給路に前記ボルト群を搬送するプッシャーと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボルトの供給能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、ボルト締結ステーションの上面図である。
【
図3】
図3は、ボルト供給装置のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1 ボルト締結ステーション10]
図1に示すように、生産ラインには、ワークWをボルトBで締結するためのボルト締結ステーション10が設けられる。ワークWは、搬送機100によって上流の作業ステーションからボルト締結ステーション10に搬入され、ボルト締結ステーション10から下流の作業ステーションに搬出される。
【0010】
ボルト締結ステーション10には、1つ又は複数のボルト締結装置12と、1つ又は複数のボルト供給装置14とが設けられる。
図1に示すボルト締結ステーション10には、2つのボルト締結装置12と2つのボルト供給装置14とが設けられる。ボルト締結装置12は、例えば多関節の産業用ロボットである。産業用ロボットは、エンドエフェクタにナットランナー(不図示)を備える。更に、産業用ロボットは、ボルトBをピックアップするための吸着装置(不図示)をエンドエフェクタの先端に備える。産業用ロボットは、ロボットコントローラ(不図示)の動作指示に従って動作する。これにより、産業用ロボットは、ボルト供給装置14のピックアップ部22からボルトBをピックアップし、ピックアップしたボルトBでワークWを締結することができる。
【0011】
[2 ボルト供給装置14の構成]
図2に示すように、ボルト供給装置14は、ホッパー部16と、パーツフィーダ部18と、ボルト供給部20と、ピックアップ部22とを備える。ボルト供給部20は、パーツフィーダ部18とピックアップ部22との間に配される。このような構造により、ボルトBは、ホッパー部16からパーツフィーダ部18に供給され、パーツフィーダ部18からボルト供給部20を介してピックアップ部22に搬送される。
【0012】
[2-1 ホッパー部16]
ホッパー部16は、ホッパー24に複数のボルトBを貯蔵する。ホッパー部16は、パーツフィーダ部18のボルトBが不足する場合に、パーツフィーダ部18のボウル26にボルトBを補充する。
【0013】
[2-2 パーツフィーダ部18]
図2に示すように、パーツフィーダ部18は、ボルトBを入れるボウル26を備える。また、
図3に示すように、パーツフィーダ部18は、ボウル26を振動させる振動機78を備える。すなわち、パーツフィーダ部18は、振動によってパーツを排出するボウルフィーダである。振動機78がボウル26を振動させると、ボウル26内のボルトBは、排出部28から順次排出される。つまり、パーツフィーダ部18は、ボルトBを下流に供給する。なお、ボルトBは、頭部を上に向けた状態で排出部28から排出される。
【0014】
[2-3 ボルト供給部20]
図2に示すように、ボルト供給部20は、供給路30と、可動供給路32と、複数の分配供給路34と、プッシャー36とを備える。供給路30は、ボルト供給部20のボルト供給経路のうち、最上流に配される。各々の分配供給路34は、ボルト供給部20のボルト供給経路のうち、最下流に配される。可動供給路32は、供給路30と複数の分配供給路34との間に配される。
【0015】
[2-3-1 供給路30]
図2に示すように、供給路30は、x方向に直線状に延びる。供給路30が直線状に延びているため、パーツフィーダ部18から供給路30に供給される複数のボルトBは、供給路30によって1列に配列される。供給路30は、振動機80(
図3)に取り付けられる。供給路30と振動機80とは、振動によってボルトBを搬送する直進フィーダを構成する。供給路30の形状は、曲線状であってもよい。また、供給路30は、振動以外の方法によってボルトBを搬送するフィーダであってもよい。すなわち、供給路30は、例えばモータの動力を用いてボルトBを搬送してもよい。
【0016】
供給路30は、上流側に位置する上流端38と、下流側に位置する下流端40とを有する。上流端38は、パーツフィーダ部18の排出部28に接続される。下流端40は、後述する第1可動供給路32aの上流端44a又は第2可動供給路32bの上流端44bに接続可能である。供給路30は、上流端38から下流端40にかけて下方に傾斜する。振動機80が供給路30を振動させると、供給路30上の複数のボルトBは、1列に配列された状態で下流端40に向かって徐々に移動する。このように、供給路30は、複数のボルトBを1列に配列して下流に搬送する。
【0017】
[2-3-2 可動供給路32]
図2に示すように、可動供給路32は、第1可動供給路32aと第2可動供給路32bとを備える。可動供給路32は、1つの供給路のみを備えてもよいし、3つ以上の供給路を備えてもよい。第1可動供給路32aと第2可動供給路32bの各々は、供給路30に接続可能である。また、第1可動供給路32aは、後述する第1分配供給路34aに接続可能である。第2可動供給路32bは、後述する第2分配供給路34bに接続可能である。つまり、可動供給路32は、供給路30から供給される複数のボルトBを複数の分配供給路34に分配することが可能である。可動供給路32は、振動機82(
図3)及び切替機構86(
図3)に取り付けられる。
【0018】
第1可動供給路32aと第2可動供給路32bの各々は、x方向に直線状に延びる。第1可動供給路32aと第2可動供給路32bの各々は、所定数のボルトBを1列に配列できる長さを有する。第1可動供給路32aが配される高さと、第2可動供給路32bが配される高さとは、同等である。第1可動供給路32aと第2可動供給路32bは、y方向に並べられる。y方向は、x方向と直交し且つ水平面と平行する。第1可動供給路32aと第2可動供給路32bとは、接続部42によって互いに接続される。第1可動供給路32aと第2可動供給路32bとは、一体的にy方向(y1方向、y2方向)に変位可能である。
【0019】
第1可動供給路32aは、上流側に位置する上流端44aと、下流側に位置する下流端46aとを有する。例えば、
図5B~
図5Dに示すように、第1可動供給路32aがy2方向に変位した状態では、上流端44aは、供給路30の下流端40に接続される。例えば、
図5Aに示すように、第1可動供給路32aがy1方向に変位した状態では、下流端46aは、第1分配供給路34aの上流端48aに接続される。第1可動供給路32aは、上流端44aから下流端46aにかけて下方に傾斜する。振動機82が第1可動供給路32aを振動させると、第1可動供給路32a上の複数のボルトBは、1列に配列された状態で下流端46aに向かって徐々に移動する。このように、第1可動供給路32aは、複数のボルトBを1列に配列して下流に搬送する。
【0020】
第2可動供給路32bは、上流側に位置する上流端44bと、下流側に位置する下流端46bとを有する。例えば、
図5Aに示すように、第2可動供給路32bがy1方向に変位した状態では、上流端44bは、供給路30の下流端40に接続される。例えば、
図5B~
図5Dに示すように、第2可動供給路32bがy2方向に変位した状態では、下流端46bは、第2分配供給路34bの上流端48bに接続される。第2可動供給路32bは、上流端44bから下流端46bにかけて下方に傾斜する。振動機82が第2可動供給路32bを振動させると、第2可動供給路32b上の複数のボルトBは、1列に配列された状態で下流端46bに向かって徐々に移動する。このように、第2可動供給路32bは、複数のボルトBを1列に配列して下流に搬送する。
【0021】
[2-3-3 分配供給路34]
図2に示すように、複数の分配供給路34は、第1分配供給路34aと第2分配供給路34bとを備える。分配供給路34は、3つ以上であってもよい。
【0022】
第1分配供給路34aは、x方向に直線状に延びる。第1分配供給路34aは、振動機84a(
図3)に取り付けられる。第1分配供給路34aと振動機84aとは、振動によってボルトBを搬送する直進フィーダを構成する。第1分配供給路34aの形状は、曲線状であってもよい。また、第1分配供給路34aは、振動以外の方法によってボルトBを搬送するフィーダであってもよい。すなわち、第1分配供給路34aは、例えばモータの動力を用いてボルトBを搬送してもよい。
【0023】
第1分配供給路34aは、上流側に位置する上流端48aと、下流側に位置する下流端50aとを有する。上流端48aは、第1可動供給路32aの下流端46aに接続可能である。下流端50aは、ピックアップ部22に接続される。第1分配供給路34aは、上流端48aから下流端50aにかけて下方に傾斜する。振動機84aが第1分配供給路34aを振動させると、第1分配供給路34a上の複数のボルトBは、1列に配列された状態で下流端50aに向かって徐々に移動する。このように、第1分配供給路34aは、複数のボルトBを1列に配列して下流に搬送する。
【0024】
第2分配供給路34bは、第1分配供給路34aと同じ構造を有する。第2分配供給路34bの上流端48bは、第2可動供給路32bの下流端46bに接続可能である。第2分配供給路34bの下流端50bは、ピックアップ部22に接続される。振動機84b(
図3)が第2分配供給路34bを振動させると、第2分配供給路34b上の複数のボルトBは、1列に配列された状態で下流端50bに向かって徐々に移動する。このように、第2分配供給路34bは、複数のボルトBを1列に配列して下流に搬送する。
【0025】
[2-3-4 プッシャー36]
図2に示すように、プッシャー36は、第1プッシャー36aと第2プッシャー36bとを備える。第1プッシャー36aは、第1可動供給路32aに搬入された複数のボルトBを1つのグループにして第1分配供給路34aに搬送する。第2プッシャー36bは、第2可動供給路32bに搬入された複数のボルトBを1つのグループにして第2分配供給路34bに搬送する。
【0026】
第1プッシャー36aと第2プッシャー36bの各々は、プッシャー駆動機構88(
図3)に取り付けられる。第1プッシャー36aは、第1可動供給路32a及び第1分配供給路34aに近接した状態又は離間した状態でx方向に移動可能である。また、第1プッシャー36aは、y方向にも移動可能である。同様に、第2プッシャー36bは、第2可動供給路32b及び第2分配供給路34bに近接した状態又は離間した状態でx方向に移動可能である。また、第2プッシャー36bは、y方向にも移動可能である。
【0027】
図2、
図4Aに示すように、第1プッシャー36a及び第2プッシャー36bの各々は、x方向に並ぶ複数の挿入部52を備える。第1プッシャー36aの各々の挿入部52は、y2方向に延びる。第2プッシャー36bの各々の挿入部52は、y1方向に延びる。
【0028】
例えば、
図4Bに示すように、複数の挿入部52は、一群のボルトB(ボルト群)を構成する複数のボルトBの各々の間に挿入される。互いに隣接する挿入部52のピッチは、ボルトBの頭部の直径より若干大きく設定される。複数の挿入部52は、可動供給路32から分配供給路34への一群のボルトBの搬入時に、隣接するボルトBが重なることを防止する。
【0029】
[2-3-5 各種ストッパ]
図2に示すように、ボルト供給部20は、第1ストッパ54と、第2ストッパ56と、第3ストッパ58aと、第3ストッパ58bとを備える。
【0030】
第1ストッパ54は、供給路30の下流端40の位置に配される。第1ストッパ54は、第1ストッパ駆動機構90(
図3)の動作に応じて、供給路30を開閉する。第1ストッパ54は、供給路30からのボルトBの排出を制限することができる。
【0031】
第2ストッパ56は、第1分配供給路34aの上流端48aと、第2分配供給路34bの上流端48bとの間に配される。第2ストッパ56は、第1可動供給路32aと第2可動供給路32bのうちのいずれか一方を閉じる。第2ストッパ56は、可動供給路32からのボルトBの排出を制限することができる。
【0032】
第3ストッパ58aは、第1分配供給路34aの下流端50aの位置に配される。第3ストッパ58aは、第3ストッパ駆動機構92a(
図3)の動作に応じて、第1分配供給路34aを開閉する。第3ストッパ58aは、第1分配供給路34aからのボルトBの排出を制限することができる。
【0033】
第3ストッパ58bは、第2分配供給路34bの下流端50bの位置に配される。第3ストッパ58bは、第3ストッパ駆動機構92b(
図3)の動作に応じて、第2分配供給路34bを開閉する。第3ストッパ58bは、第2分配供給路34bからのボルトBの排出を制限することができる。
【0034】
[2-3-6 エア供給部60a、60b]
図2に示すように、ボルト供給部20は、第1エア供給部60aと、第2エア供給部60bとを備える。第1エア供給部60aは、第1分配供給路34aの下流端50aの近傍に配される。第1エア供給部60aは、第1分配供給路34aの下流端50aに搬送されたボルトBの頭部に向けて、ノズルからエアを吹き付ける。第2エア供給部60bは、第2分配供給路34bの下流端50bの近傍に配される。第2エア供給部60bは、第2分配供給路34bの下流端50bに搬送されたボルトBの頭部に向けて、ノズルからエアを吹き付ける。
【0035】
[2-4 ピックアップ部22]
図2に示すように、ピックアップ部22は、回転板62と、フレーム64とを備える。回転板62は、円形である。回転板62の周縁には、複数の保持孔66が形成される。各々の保持孔66は、回転板62の上面に開口し、また回転板62の外周面に開口する。各々の保持孔66は、ボルトBの頭部が上を向いている状態で、ボルトBを保持する。フレーム64は、回転板62の外周を囲むとともに、回転板62の外周面に近接する。フレーム64には2つの切り欠きが形成される。一方の切り欠きには、第1分配供給路34aの下流端50aが配される。他方の切り欠きには、第2分配供給路34bの下流端50bが配される。回転板62は回転機構94(
図3)に取り付けられる。回転板62が回転することにより、一対の保持孔66のうちの一方が第1分配供給路34aと向かい合い、一対の保持孔66のうちの他方が第2分配供給路34bと向かい合う。
【0036】
[3 ボルト供給装置14のシステム]
図3に示すように、ボルト供給装置14は、コントローラ70(制御部)と、複数のセンサと、複数の動作機構とを備える。
【0037】
コントローラ70は、CPU、GPU等のプロセッサを備える。コントローラ70は、各々のセンサから検出結果を取得する。コントローラ70は、取得した検出結果に基づいて、各々の動作機構を動作させる。
【0038】
第1ボルトセンサ72は、パーツフィーダ部18のボウル26内のボルトBの量を検出する。第1ボルトセンサ72は、ボウル26内を撮影するカメラであってもよい。また、第1ボルトセンサ72は、ボウル26の重さを測定する重量センサであってもよい。第1ボルトセンサ72は、検出結果をコントローラ70に出力する。
【0039】
第2ボルトセンサ74は、分配供給路34へのボルトBの搬入状態を検出する。つまり、第2ボルトセンサ74は、一群のボルトBが搬入され得る空きスペースが生じた分配供給路34である搬入可能路を検出することができる。第2ボルトセンサ74は、第1分配供給路34aと第2分配供給路34bとを撮影するカメラであってもよい。また、第2ボルトセンサ74は、第1分配供給路34aと第2分配供給路34bの各々に設けられる位置センサであってもよい。第2ボルトセンサ74は、検出結果をコントローラ70に出力する。
【0040】
第3ボルトセンサ76は、ピックアップ部22の保持孔66へのボルトBの搬入状態を検出する。つまり、第3ボルトセンサ76は、保持孔66にボルトBが収容されたか否かを検出することができる。第3ボルトセンサ76は、ピックアップ部22を撮影するカメラであってもよい。また、第3ボルトセンサ76は、保持孔66の位置に設けられる位置センサであってもよい。第3ボルトセンサ76は、検出結果をコントローラ70に出力する。
【0041】
振動機78は、コントローラ70から供給される信号に応じてパーツフィーダ部18のボウル26を振動させる。振動機80は、コントローラ70から供給される信号に応じて供給路30を振動させる。振動機82は、コントローラ70から供給される信号に応じて可動供給路32を振動させる。振動機84aは、コントローラ70から供給される信号に応じて第1分配供給路34aを振動させる。振動機84bは、コントローラ70から供給される信号に応じて第2分配供給路34bを振動させる。
【0042】
切替機構86は、電動機構又は流体圧機構を備える。切替機構86は、コントローラ70から供給される信号に応じて可動供給路32をy方向に移動させる。プッシャー駆動機構88は、電動機構又は流体圧機構を備える。プッシャー駆動機構88は、コントローラ70から供給される信号に応じて第1プッシャー36a及び第2プッシャー36bをx方向及びy方向に移動させる。
【0043】
第1ストッパ駆動機構90は、電動機構又は流体圧機構を備える。第1ストッパ駆動機構90は、コントローラ70から供給される信号に応じて第1ストッパ54を開閉させる。第3ストッパ駆動機構92aは、電動機構又は流体圧機構を備える。第3ストッパ駆動機構92aは、コントローラ70から供給される信号に応じて第3ストッパ58aを開閉させる。第3ストッパ駆動機構92bは、電動機構又は流体圧機構を備える。第3ストッパ駆動機構92bは、コントローラ70から供給される信号に応じて第3ストッパ58bを開閉させる。
【0044】
第1エア供給部60a及び第2エア供給部60bの各々は、ブロワを備える。第1エア供給部60a及び第2エア供給部60bの各々は、コントローラ70から供給される信号に応じてエアを排出する。
【0045】
[4 ボルト供給装置14の動作]
図2に示すように、振動機78が振動すると、パーツフィーダ部18は、供給路30にボルトBを順次排出する。振動機80が振動すると、供給路30は、下流端40に向けてボルトBを順次搬送する。第1ストッパ54が閉じられていると、供給路30内の複数のボルトBのうち、先頭のボルトBは、第1ストッパ54に当接する。すると、第1ストッパ54に当接したボルトBは停止し、その後ろのボルトBも順に停止する。
【0046】
第2ボルトセンサ74が搬入可能路(空きスペースが生じた分配供給路34)を検出すると、コントローラ70は、切替機構86及びプッシャー駆動機構88に信号を供給する。これにより、可動供給路32及びプッシャー36が動作して、可動供給路32から搬入可能路に一群のボルトBが搬入される。例えば、切替機構86及びプッシャー駆動機構88は次のように動作する。
【0047】
図5Aに示すように、可動供給路32がy1方向に変位した状態で、供給路30は、第2可動供給路32bに接続される。この状態で第1ストッパ54が開くと、供給路30内のボルトBは、第2可動供給路32bに順次搬送される。振動機82が振動すると、第2可動供給路32bは、下流端46bに向けてボルトBを順次搬送する。第2可動供給路32b内の複数のボルトBのうち、先頭のボルトBは、下流端46bで第2ストッパ56に当接する。すると、第2ストッパ56に当接したボルトBは停止し、その後ろのボルトBも順に停止する。第2可動供給路32bは、1列に配列された一群のボルトBを保持する。この状態で第1ストッパ54は閉じる。
【0048】
図5Bに示すように、可動供給路32がy2方向に変位すると、第2可動供給路32bは、第2分配供給路34bに接続される。同時に、第1可動供給路32aは、供給路30に接続される。更に、第2プッシャー36bは、x2方向に変位して、第2可動供給路32bの真横に配される。
【0049】
図5Cに示すように、第2プッシャー36bがy2方向に変位すると、挿入部52は、第2可動供給路32b内の互いに隣接するボルトBの間に挿入される。
【0050】
図5Dに示すように、第2プッシャー36bがx1方向に変位すると、第2可動供給路32b内の一群のボルトBもx1方向に変位する。このようにして、第2プッシャー36bは、第2可動供給路32bから第2分配供給路34bに一群のボルトBを搬送する。この状態で第1ストッパ54が開くと、供給路30内のボルトBは、第1可動供給路32aに順次搬送される。
【0051】
図5A~
図5Dに示される一連の動作が、第1可動供給路32aから第1分配供給路34aへの一群のボルトBの搬送に対しても行われる。このようにして、第2可動供給路32bから第2分配供給路34bへの一群のボルトBの搬送と、第1可動供給路32aから第1分配供給路34aへの一群のボルトBの搬送とが交互に行われる。また、供給路30から第1可動供給路32aへのボルトBの搬送と、第2可動供給路32bから第2分配供給路34bへの一群のボルトBの搬送とが略同時に行われる。また、供給路30から第2可動供給路32bへのボルトBの搬送と、第1可動供給路32aから第1分配供給路34aへの一群のボルトBの搬送とが略同時に行われる。
【0052】
このように、可動供給路32は、供給路30から供給される複数のボルトBを複数の分配供給路34に分配する。このため、ボルト供給装置14は、1つのパーツフィーダ部18から複数箇所に同時にボルトBを供給することができる。従って、ボルト供給装置14によれば、ボルトBの供給能力を向上させることができる。更に、ボルト供給装置14によれば、ボルトBを供給する装置を複数設ける必要がないため、装置の設置スペースの増大を抑制することができる。
【0053】
ボルト供給装置14によれば、供給路30から一方の可動供給路32へのボルトBの搬送と、他方の可動供給路32から一方の分配供給路34への一群のボルトBの搬送とが略同時に行われる。従って、ボルト供給装置14によれば、ボルトBの供給能力を向上させることができる。
【0054】
ボルト供給装置14によれば、複数の供給装置を設けた場合と同等の供給能力を有するにもかかわらず、複数の供給装置を設けた場合と比較して構成要素の数を少なくすることができる。従って、ボルト供給装置14によれば、騒音及び消費電力を削減することができる。
【0055】
図2に示すように、振動機84aが振動すると、第1分配供給路34aは、下流端50aに向けて複数のボルトBを順次搬送する。振動機84bが振動すると、第2分配供給路34bは、下流端50bに向けて複数のボルトBを順次搬送する。
【0056】
図6Aに示すように、第1分配供給路34a内の複数のボルトBのうち、先頭のボルトBである先頭ボルトBfは、下流端50aに到達する。
図6Bに示すように、下流端50aの位置で、第1エア供給部60aは、先頭ボルトBfの頭部にエアを吹き付ける。先頭ボルトBfは、吹き付けられたエアによってx1方向に動かされ、ピックアップ部22の保持孔66に収容される。すると、先頭ボルトBfと、当該先頭ボルトBfの後方のボルトBとの間に隙間が生じる。
図6Cに示すように、先頭ボルトBfが保持孔66に収容されると、第3ストッパ58aは閉じる。
【0057】
ピックアップ部22の回転板62が回転すると、ボルトBが収容されていない保持孔66が、第1分配供給路34aの下流端50aと向かい合う。すると、第3ストッパ58aは開く。なお、第2分配供給路34bから保持孔66へのボルトBの収容も、第1分配供給路34aから保持孔66へのボルトBの収容と同じように行われる。
【0058】
[5 実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0059】
本発明の態様は、ボルト(B)を供給する供給路(30)と、前記供給路の下流に配される複数の分配供給路(34)と、前記供給路と複数の前記分配供給路との間に配され、前記供給路から供給される複数の前記ボルトを配列し、配列した複数の前記ボルトから成るボルト群が複数の前記分配供給路に順次供給されるように変位可能な可動供給路(32)と、前記可動供給路から前記分配供給路に前記ボルト群を搬送するプッシャー(36)と、を備える。
【0060】
上記構成において、分配供給路は、供給路から供給される複数のボルトを複数の分配供給路に分配する。このため、ボルト供給装置は、1つのパーツフィーダ部から複数箇所に同時にボルトを供給することができる。従って、上記構成によれば、ボルトBの供給能力を向上させることができる。更に、上記構成によれば、ボルトを供給する装置を複数設ける必要がないため、装置の設置スペースの増大を抑制することができる。
【0061】
上記態様において、複数の前記分配供給路は、第1分配供給路(34a)と、第2分配供給路(34b)とを備え、前記可動供給路は、第1可動供給路(32a)と、第2可動供給路(32b)とを備え、前記可動供給路は、前記供給路から前記第1可動供給路に前記ボルトを搬入可能な状態に設定すると、前記第2可動供給路に予め搬入された前記ボルト群を前記第2分配供給路に搬送可能な状態となり、前記供給路から前記第2可動供給路に前記ボルトを搬入可能な状態に設定すると、前記第1可動供給路に予め搬入された前記ボルト群を前記第1分配供給路に搬送可能な状態となってもよい。
【0062】
上記構成によれば、供給路から一方の可動供給路へのボルトの搬送と、他方の可動供給路から一方の分配供給路への一群のボルトの搬送とが略同時に行われる。従って、上記構成によれば、ボルトの供給能力を向上させることができる。
【0063】
上記態様において、前記プッシャーは、前記ボルト群を構成する複数の前記ボルトの各々の間に挿入される複数の挿入部(52)を備えてもよい。
【0064】
上記構成によれば、可動供給路から分配供給路への一群のボルトの搬入時に、隣接するボルトが重なることを防止することができる。
【0065】
上記態様において、前記ボルト群が搬入され得る空きスペースが生じた前記分配供給路である搬入可能路を検出する検出部(74)と、前記搬入可能路に前記ボルト群を供給し得るように前記可動供給路を変位させるとともに、前記可動供給路から前記搬入可能路に前記プッシャーを用いて前記ボルト群を搬送する制御を行う制御部(70)と、を備えてもよい。
【0066】
上記態様において、前記分配供給路に搬入された複数の前記ボルトのうち先頭に位置する前記ボルトである先頭ボルト(Bf)の前記分配供給路からの排出を制限するストッパ(58a、58b)と、前記ストッパの制限が解除された状態で前記先頭ボルトにエアを供給することにより、前記先頭ボルトを前記分配供給路から排出するエア供給部(60a、60b)と、を備え、前記ストッパは、前記先頭ボルトが前記分配供給路から排出された後に、前記分配供給路からの前記ボルトの排出を制限してもよい。
【0067】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0068】
14…ボルト供給装置 30…供給路
32…可動供給路 32a…第1可動供給路
32b…第2可動供給路 34…分配供給路
34a…第1分配供給路 34b…第2分配供給路
36…プッシャー 36a…第1プッシャー
36b…第2プッシャー 52…挿入部
58a、58b…第3ストッパ(ストッパ) 60a、60b…エア供給部
70…コントローラ(制御部)
74…第2ボルトセンサ(検出部) B…ボルト
Bf…先頭ボルト