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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093047
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】定電圧回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 5/00 20060101AFI20240702BHJP
   G05F 3/24 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G05F5/00
G05F3/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209148
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高田 幸輔
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420NA16
5H420NB02
5H420NB25
5H420NC26
(57)【要約】
【課題】電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動が小さい定電圧回路を提供する。
【解決手段】定電圧回路100は、電源端子101と、接地端子102と、少なくとも2個のデプレッション型トランジスタ(以下、DTr)121と、DTr122と、エンハンスメント型トランジスタ(以下、ETr)123とを直列に接続するとともにお互いのゲートを接続して構成されるED型基準電圧回路104と、電源端子とED型基準電圧回路の間に直列に接続されるDTr105と、第1出力端子110又は第2出力端子130と、接続点P5と接地端子との間に接続され、電源電圧の変動を抑制する電源変動抑制回路103とを備える。電源変動抑制回路は、電源電圧の変動の有無を検出する検出回路と、検出回路と並列に接続され、オンとオフとを切替可能なパストランジスタ124とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を供給する電源端子と、
接地端子と、
少なくとも第1のデプレッション型トランジスタ及び第2のデプレッション型トランジスタと、エンハンスメント型トランジスタとを有し、前記第1のデプレッション型トランジスタ、前記第2のデプレッション型トランジスタ及び前記エンハンスメント型トランジスタを直列に接続するとともに互いのゲートを接続して構成されるED型基準電圧回路と、
前記電源端子と前記ED型基準電圧回路の間に直列に接続される第3のデプレッション型トランジスタと、
前記第3のデプレッション型トランジスタと前記ED型基準電圧回路との接続点である第1接続点と前記接地端子との間に接続され、前記電源電圧の変動を抑制する電源変動抑制回路と、
前記第1のデプレッション型トランジスタ及び前記エンハンスメント型トランジスタの接続点である第2接続点及び前記第1接続点の何れか一方の接続点と接続される出力端子を備え、
前記電源変動抑制回路は、
前記第1接続点と接続される第1端子と、前記接地端子と接続される第2端子と、前記電源電圧の変動が設定される範囲を超えているか否かに対応する信号レベルを含む検出信号を出力する第3端子と、を有する検出回路と、
ゲートが前記検出回路の前記第3端子と接続され、ソースが前記検出回路の前記第1端子及び前記第2端子の一方に接続され、ドレインが前記検出回路の前記第1端子及び前記第2端子の他方に接続され、前記ゲートに印加される信号レベルに応じてオンとオフとが切り替え可能なパストランジスタと、を有することを特徴とする定電圧回路。
【請求項2】
前記検出回路は、前記パストランジスタのソースと接続される第1端と、前記パストランジスタのゲートと接続される第2端とを含む抵抗と、前記パストランジスタのゲート及び前記抵抗の第2端と接続される第1端と、前記パストランジスタのドレインと接続される第2端とを含む容量と、を有する請求項1に記載の定電圧回路。
【請求項3】
前記検出回路は、前記パストランジスタのソースと接続される第1端と、前記パストランジスタのゲートと接続される第2端とを含む定電流源と、
前記定電流源の第2端と接続される第1端と、前記パストランジスタのドレインと接続される第2端とを含む容量と、を有する請求項1に記載の定電圧回路。
【請求項4】
前記パストランジスタは、ゲートが前記検出回路の前記第3端子と接続され、ソースが前記検出回路の前記第2端子に接続され、ドレインが前記検出回路の前記第1端子に接続され、
前記検出回路は、前記パストランジスタのゲートと接続されるドレインと、前記パストランジスタのソースと接続されるソースと、自己のソースと接続されるゲートとを含むデプレッション型のNチャンネルトランジスタと、前記パストランジスタのドレインと接続される第1端と、前記パストランジスタのゲート及び前記デプレッション型のNチャンネルトランジスタのドレインと接続される第2端とを含む容量と、を有する請求項1に記載の定電圧回路。
【請求項5】
前記パストランジスタは、ゲートが前記検出回路の前記第3端子と接続され、ソースが前記検出回路の前記第1端子に接続され、ドレインが前記検出回路の前記第2端子に接続され、
前記検出回路は、前記パストランジスタのソースと接続されるドレインと、前記パストランジスタのゲートと接続されるソースと、自己のソースと接続されるゲートとを含むデプレッション型のNチャンネルトランジスタと、前記パストランジスタのゲートと前記デプレッション型のNチャンネルトランジスタのゲート及びソースと接続される第1端と、前記パストランジスタのドレインと接続される第2端とを含む容量と、を有する請求項1に記載の定電圧回路。
【請求項6】
前記第1接続点に接続される第1電源端と、
前記接地端子に接続される第2電源端と、
前記第2接続点に接続される第1入力端と、
出力端と、
前記出力端と接続される第2入力端と、を有する演算増幅器をさらに備える請求項1から請求項5の何れか一項に記載の定電圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に定電圧回路は、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動が小さいことが望ましい。一例として、複数のデプレッション型のNMOSトランジスタを直列接続して構成された定電圧回路がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-113321号公報(図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の定電圧回路では、デプレッション型のNMOSトランジスタのドレインとソース間に存在する寄生容量を介して電源電圧の急激な変動が出力に伝達してしまうという点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮し、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動が小さい定電圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る定電圧回路は、電源電圧を供給する電源端子と、接地端子と、少なくとも第1のデプレッション型トランジスタ及び第2のデプレッション型トランジスタと、エンハンスメント型トランジスタとを有し、前記第1のデプレッション型トランジスタ、前記第2のデプレッション型トランジスタ及び前記エンハンスメント型トランジスタを直列に接続するとともに互いのゲートを接続して構成されるED型基準電圧回路と、前記電源端子と前記ED型基準電圧回路の間に直列に接続される第3のデプレッション型トランジスタと、前記第3のデプレッション型トランジスタと前記ED型基準電圧回路との接続点である第1接続点と前記接地端子との間に接続され、前記電源電圧の変動を抑制する電源変動抑制回路と、前記第1のデプレッション型トランジスタ及び前記エンハンスメント型トランジスタの接続点である第2接続点及び前記第1接続点の何れか一方の接続点と接続される出力端子を備え、前記電源変動抑制回路は、前記第1接続点と接続される第1端子と、前記接地端子と接続される第2端子と、前記電源電圧の変動が設定される範囲を超えているか否かに対応する信号レベルを含む検出信号を出力する第3端子と、を有する検出回路と、ゲートが前記検出回路の前記第3端子と接続され、ソースが前記検出回路の前記第1端子及び前記第2端子の一方に接続され、ドレインが前記検出回路の前記第1端子及び前記第2端子の他方に接続され、前記ゲートに印加される信号レベルに応じてオンとオフとが切り替え可能なパストランジスタと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動が小さい定電圧回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る定電圧回路構成例を示す回路図である。
図2】本発明の第2の実施形態の定電圧回路の構成例を示す部分回路図である。
図3】本実施形態に係る定電圧回路の第1変形例を示す回路図である。
図4】本実施形態に係る定電圧回路の第2変形例を示す回路図である。
図5】本実施形態に係る定電圧回路の第3変形例を示す回路図である。
図6】本実施形態に係る定電圧回路の第4変形例を示す回路図である。
図7】本実施形態に係る定電圧回路の第5変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る定電圧回路を、図面に基づいて説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る定電圧回路の一例である定電圧回路100の回路図である。
【0011】
定電圧回路100は、電源端子101と、接地端子102と、ED型基準電圧回路104と、電源変動抑制回路103と、デプレッション型のNチャンネルMOSトランジスタ(以下、「NMOSトランジスタ」とする)105と、第1出力端子110と、第2出力端子130と、を備えている。接地端子102は、回路動作の基準となる電源電圧の一例として、0V(ゼロボルト)の電源電圧(以下、「接地電圧」とする)を供給する電源端子である。
【0012】
ED型基準電圧回路104は、例えば2個等の複数のデプレション型のNMOSトランジスタ121、122と、少なくとも1個のエンハンスメント型のNMOSトランジスタ123と、を有している。デプレッション型のNMOSトランジスタ121と、第1のデプレション型のNMOSトランジスタとしてのNMOSトランジスタ122とは、直列に接続されている。デプレッション型のNMOSトランジスタ122とNMOSトランジスタ123とは、直列に接続されている。
【0013】
デプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインは、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のソースと接続されている。デプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインとデプレッション型のNMOSトランジスタ105との接続点は、ED型基準電圧回路104と第3デプレッション型トランジスタとしてのNMOSトランジスタ105との接続点P5を構成する。
【0014】
より具体的に説明すれば、NMOSトランジスタ123は、ゲートが自己のドレインと第1出力端子110とデプレッション型のNMOSトランジスタ122のソースに接続されている。デプレッション型のNMOSトランジスタ122は、ゲートが自己のソースとデプレッション型のNMOSトランジスタ121のゲートに接続されている。すなわち、デプレッション型のNMOSトランジスタ122のソースとNMOSトランジスタ123のドレインとの接続点P4には、デプレッション型のNMOSトランジスタ122、123の各ゲートが接続されている。また、第2接続点としての接続点P4には、デプレッション型のNMOSトランジスタ121のゲート及び第1出力端子110が接続されている。
【0015】
電源変動抑制回路103は、検出回路120と、パストランジスタとしてのNMOSトランジスタ124と、を備えている。検出回路120は、例えば、3個の端子を有する3端子回路として構成され、容量125と、容量125と直列に接続される抵抗126とを有している。
【0016】
抵抗126は、NMOSトランジスタ124のソースと接続される第1端と、NMOSトランジスタ124のゲートと接続される第2端とを含んでいる。容量125は、抵抗126(より詳細には第2端)と接続される第1端と、NMOSトランジスタ124のドレインと接続される第2端とを含んでいる。
【0017】
ここで、容量125とNMOSトランジスタ124のドレインとの接続点P1、すなわち容量125の第2端は、検出回路120の第1端子を構成する。抵抗126とNMOSトランジスタ124のソースとの接続点P2、すなわち抵抗126の第1端は、検出回路120の第2端子を構成する。容量125と抵抗126との接続点P3は、検出回路120の第3端子を構成する。
【0018】
接続点P1は、第1接続点としての接続点P5と同一のノードである。すなわち、容量125の第2端及びNMOSトランジスタ124のドレインは、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のソース、第2出力端子130及びデプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインと接続されている。接続点P2は、接地端子102及びNMOSトランジスタ123のソースに接続されている。
【0019】
デプレッション型のMOSトランジスタ105は、ドレインが電源端子101に接続され、ゲートがデプレッション型のNMOSトランジスタ121のソースとデプレッション型NMOSトランジスタ122のドレインに接続され、ソースが第2出力端子130とデプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインと容量125の第2端とNMOSトランジスタ124のドレインに接続されている。
【0020】
次に、定電圧回路100の動作について説明する。
電源端子101は、所定の電源電圧を供給する。接地端子102は、接地電圧を供給する。
【0021】
直列に接続されたデプレッション型のNMOSトランジスタ121、122は、接続点P5の電圧を電源として定電流を生成する。デプレッション型のNMOSトランジスタ121、122で生成された定電流は、NMOSトランジスタ123に供給され、ドレインに定電圧を生成する。このようにしてED型基準電圧回路104は、定電圧を生成して第1出力端子110から出力する。
【0022】
デプレッション型のNMOSトランジスタ105は、ソースフォロワとして動作する。具体的には、デプレッション型のNMOSトランジスタ121のソース電圧に閾値の絶対値を加算した電圧を接続点P5に生成する。接続点P5に生成された電圧は、第2出力端子130から出力される。
【0023】
電源端子101の電圧が安定しており、十分な時間が経過している状態(以下、「定常状態」とする)において、容量125は、接続点P5の電圧が充電されている。抵抗126は、直流電流が流れないため、抵抗126の両端の電圧は0Vになる。NMOSトランジスタ124のゲートとソース間の電圧は、0Vであるため、NMOSトランジスタ124はオフしている。
【0024】
上述した定常状態から、例えば、電源端子101の電圧が急激に上昇し、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間の寄生容量を介して接続点P5の電圧が上昇したことを仮定する。接続点P5の電圧が上昇すると、容量125及び抵抗126に充電電流が流れて、NMOSトランジスタ124のゲート電圧が上昇する。
【0025】
NMOSトランジスタ124は、ゲート電圧が閾値電圧を超えるとオンする。NMOSトランジスタ124がオンすると、接続点P5と接地端子102がNMOSトランジスタ124を介して接続されるため、接続点P5の電圧の上昇が抑制される。そして、接続点P5の電圧を電源とするED型基準電圧回路104の出力電圧、すなわち第1出力端子110の電圧の変動が抑制される。定電圧回路100において、第1出力端子110は、第2出力端子130よりも精度が高い電圧を供給可能である。
【0026】
以上説明したように、定電圧回路100によれば、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間に寄生容量が存在している場合であっても、電源変動抑制回路103によって電源電圧の急激な変動に対して、第1出力端子110及び第2出力端子130から出力される出力電圧の変動を小幅に止めることができる。故に、定電圧回路100によれば、電源電圧の急激な変動に対して、従来の定電圧回路よりも出力電圧の変動が小さい定電圧回路を提供できる。
【0027】
定電圧回路100によれば、電源変動抑制回路103が、NMOSトランジスタ124、容量125及び抵抗126を有する構成のため、定電圧回路100の構成を複雑化させることなく、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。また、電源変動抑制回路103は、単一の容量で構成される電源変動抑制回路に対して、容量125を小さくできるので、電源変動抑制回路103全体としても単一の容量で構成される電源変動抑制回路よりも小サイズで構成することができる。故に、定電圧回路100によれば、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくする構成の付加に伴う面積の増大を最小限に抑えつつ電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0028】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る定電圧回路の一例である定電圧回路1000の部分回路図である。
【0029】
定電圧回路1000は、定電圧回路100に対して、演算増幅器160をさらに備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、本実施形態の説明では、演算増幅器160を中心に説明するとともに、定電圧回路100と実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0030】
定電圧回路1000は、定電圧回路100に対して、演算増幅器160をさらに備えている。演算増幅器160は、正の電源端161と、負の電源端162と、出力端163と、反転入力端164と、非反転入力端165と、を有する。正の電源端161は第2出力端子130に接続されている。負の電源端162は接地端子102に接続されている。出力端163は第3出力端子150に接続されている。第1入力端としての反転入力端164は第3出力端子150に接続されている。第2入力端としての非反転入力端165は、第1出力端子110に接続されている。
【0031】
次に、定電圧回路1000の動作について説明する。
例えば、電源端子101(図1参照)の電圧が急激に上昇し、デプレッション型のNMOSトランジスタ105(図1参照)のドレインとソース間の寄生容量を介して、接続点P5電圧が上昇したことを仮定する。このとき、定電圧回路100と同様に電源変動抑制回路103によって、第1出力端子110及び第2出力端子130の電圧の変動が抑制される。
【0032】
演算増幅器160は、第2出力端子130の電圧を正の電源端161に受けるとともに、接地端子102の接地電圧を負の電源端162から受け、ボルテージフォロワとして動作する。演算増幅器160は、第1出力端子110に現れる電圧を、バッファして、出力端163を介して第3出力端子150へ出力する。第2出力端子130の電圧は、電源端子101の電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動が小さいので、第3出力端子150から出力される出力電圧についても、電源電圧の急激な変動に対して電圧の変動を小さくすることができる。
【0033】
以上説明したように、定電圧回路1000によれば、定電圧回路100と同様の効果を得ることができる。すなわち、定電圧回路1000によれば、電源電圧の急激な変動に対して、第1出力端子110、第2出力端子130及び第3出力端子150から出力される出力電圧の変動を小さくすることができる。また、定電圧回路1000によれば、定電圧回路1000の構成を複雑化させることなく、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。さらに、定電圧回路1000によれば、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくする構成の付加に伴う面積の増大を最小限に抑えつつ電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0034】
また、定電圧回路1000によれば、ボルテージフォロワとして機能する演算増幅器160を備えることによって、従来の定電圧回路よりも低出力インピーダンスで電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくした定電圧回路を提供することができる。
【0035】
なお、上述した定電圧回路1000では、第1出力端子110、第2出力端子130及び第3出力端子150から電圧を出力可能な構成としているが、第1出力端子110は省略されていてもよい。また、図2に例示される定電圧回路1000は、定電圧回路100を備える例であるが、定電圧回路1000は、定電圧回路100の代わりに、後述する定電圧回路200、300、400、500及び600の何れかを備えていてもよい。
【0036】
続いて、本実施形態に係る定電圧回路の幾つかの変形例として、定電圧回路200、300、400、500及び600について、それぞれ説明する。
【0037】
(第1変形例)
図3は、本実施形態に係る定電圧回路の第1変形例である定電圧回路200の回路図である。
【0038】
定電圧回路200は、定電圧回路100(図1参照)に対して、電源変動抑制回路103の代わりに、電源変動抑制回路203を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、第1変形例の説明では、電源変動抑制回路203を中心に説明するとともに、定電圧回路100と実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0039】
電源変動抑制回路203は、電源変動抑制回路103に対して、検出回路120の代わりに、検出回路220を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。検出回路220は、検出回路120に対して、抵抗126の代わりに、定電流源226を有する点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
【0040】
定電流源226は、NMOSトランジスタ124のソースに接続される第1端と、NMOSトランジスタ124のゲートに接続される第2端とを含んでいる。容量125は、定電流源226(より詳細には第2端)と接続される第1端と、NMOSトランジスタ124のドレインと接続される第2端とを含んでいる。容量125の第2端は、さらに、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のソースとデプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインと第2出力端子130に接続されている。定電流源226の第1端は、さらに、接地端子102とNMOSトランジスタ123のソースと接続されている。
【0041】
次に、定電圧回路200の動作について説明する。
定電流源226は、その両端に電位差が無い場合は、定電流を供給することはできない素子として定義する。定常状態において、容量125は、接続点P5の電圧が充電されている。定電流源226は、その両端電圧が0Vであり、直流電流も流れていない。NMOSトランジスタ124は、ゲートとソース間の電圧が0Vであり、オフしている。
【0042】
例えば、電源端子101の電圧が急激に上昇し、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間の寄生容量を介して接続点P5の電圧が上昇したことを仮定する。接続点P5の電圧が上昇すると、定電流源226のインピーダンスが非常に高いため、容量125を介してNMOSトランジスタ124のゲート電圧が上昇する。なお、その他の動作については、定電圧回路100の動作と実質的に相違しないため、説明を省略する。
【0043】
以上説明したように、定電圧回路200によれば、定電圧回路100と同様の効果を得ることができる。すなわち、定電圧回路200によれば、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間に寄生容量が存在している場合であっても、電源変動抑制回路203によって電源電圧の急激な変動に対して第1出力端子110及び第2出力端子130から出力される出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0044】
また、定電圧回路200の構成を複雑化させることなく、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。さらに、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくする構成の付加に伴う面積の増大を最小限に抑えつつ電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0045】
(第2変形例)
図4は、本実施形態に係る定電圧回路の第2変形例である定電圧回路300の回路図である。
【0046】
定電圧回路300は、定電圧回路100(図1参照)に対して、電源変動抑制回路103の代わりに、電源変動抑制回路303を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、第2変形例の説明では、電源変動抑制回路303を中心に説明するとともに、定電圧回路100と実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0047】
電源変動抑制回路303は、電源変動抑制回路103に対して、検出回路120の代わりに、検出回路320を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。検出回路320は、検出回路120に対して、抵抗126の代わりに、デプレッション型のNMOSトランジスタ326を有する点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
【0048】
デプレッション型のNMOSトランジスタ326は、NMOSトランジスタ124のゲートと接続されるドレインと、NMOSトランジスタ124のソースと接続されるソースと、自己のソースと接続されるゲートと、を含んでいる。デプレッション型のNMOSトランジスタ326のドレインは、さらに、容量125の第1端に接続されている。デプレッション型のNMOSトランジスタ326のソースは、さらに、接地端子102とNMOSトランジスタ123のソースに接続されている。
【0049】
このように構成される定電圧回路300は、定電圧回路200に対して、定電流源226の代わりに、デプレッション型のNMOSトランジスタ326を有している。デプレッション型のNMOSトランジスタ326の機能は定電流源226の機能と実質的に相違しないため、定電圧回路300の動作は、定電圧回路200の動作と実質的に相違しない。
【0050】
以上説明したように、本構成例の定電圧回路300によれば、定電圧回路200と同様の効果を得ることができる。すなわち、定電圧回路300によれば、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間に寄生容量が存在している場合であっても、電源変動抑制回路303によって電源電圧の急激な変動に対して第1出力端子110及び第2出力端子130から出力される出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0051】
また、定電圧回路300の構成を複雑化させることなく、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。さらに、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくする構成の付加に伴う面積の増大を最小限に抑えつつ電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0052】
(第3変形例)
図5は、本実施形態に係る定電圧回路の第3変形例である定電圧回路400の回路図である。
【0053】
定電圧回路400は、定電圧回路100(図1参照)に対して、電源変動抑制回路103の代わりに電源変動抑制回路403を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、第3変形例の説明では、電源変動抑制回路403を中心に説明するとともに、定電圧回路100と実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
電源変動抑制回路403は、抵抗426と、容量425と、を有する検出回路420と、パストランジスタとしてのPチャンネルMOSトランジスタ(以下、「PMOSトランジスタ」とする)424と、を有している。抵抗426は、PMOSトランジスタ424のソースと接続される第1端と、PMOSトランジスタのゲートと接続される第2端を含んでいる。容量425は、抵抗426の(より詳細には第2端)と接続される第1端と、PMOSトランジスタ424のドレインと接続される第2端とを含んでいる。
【0055】
ここで、抵抗426とPMOSトランジスタ424のソースとの接続点P1、すなわち抵抗426の第1端は、検出回路420の第1端子を構成する。容量425とPMOSトランジスタ424のドレインとの接続点P2、すなわち容量425の第2端は、検出回路420の第2端子を構成する。容量425と抵抗426との接続点P3は、検出回路420の第3端子を構成する。
【0056】
抵抗426の第1端は、さらに、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のソースとデプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインと第2出力端子130に接続されている。容量425の第2端は、さらに、接地端子102とNMOSトランジスタ123のソースに接続されている。
【0057】
次に、定電圧回路400の動作について説明する。
定常状態において、容量425は、接続点P5の電圧が充電されている。抵抗426は、直流電流が流れないため、その両端電圧も0Vである。PMOSトランジスタ424は、ゲートとソース間の電圧が0Vであり、オフしている。
【0058】
例えば、電源端子101の電圧が急激に上昇し、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間の寄生容量を介して接続点P5の電圧が上昇したことを仮定する。接続点P5の電圧が上昇すると、容量425、抵抗426に充電電流が流れて、PMOSトランジスタ424のソース電圧が上昇する。PMOSトランジスタ424は、ゲートとソース間の電圧が閾値電圧を超えるとオンし、接続点P5と接地端子102の間を、PMOSトランジスタ424を介して接続するので、接続点P5の電圧の上昇が抑制される。そして、接続点P5の電圧を電源とするED型基準電圧回路104の出力電圧、すなわち第1出力端子110の電圧の変動が抑制される。なお、定電圧回路400のその他の動作については、定電圧回路100と実質的に相違しないため、説明を省略する。
【0059】
以上説明したように、定電圧回路400によれば、定電圧回路100と同様の効果を得ることができる。すなわち、定電圧回路400によれば、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間に寄生容量が存在している場合であっても、電源変動抑制回路403によって電源電圧の急激な変動に対して第1出力端子110及び第2出力端子130から出力される出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0060】
また、定電圧回路400の構成を複雑化させることなく、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。さらに、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくする構成の付加に伴う面積の増大を最小限に抑えつつ電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0061】
(第4変形例)
図6は、本実施形態に係る定電圧回路の第4変形例である定電圧回路500の回路図である。
【0062】
定電圧回路500は、定電圧回路400(図5参照)に対して、電源変動抑制回路403の代わりに、電源変動抑制回路503を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、第4変形例の説明では、電源変動抑制回路403を中心に説明するとともに、定電圧回路400と実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
電源変動抑制回路503は、電源変動抑制回路403に対して、検出回路420の代わりに、検出回路520を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。検出回路520は、検出回路420に対して、抵抗426の代わりに、定電流源526を有する点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
【0064】
定電流源526は、PMOSトランジスタ424のソースに接続される第1端と、容量425の第1端とPMOSトランジスタ424のゲートに接続される第2端と、を含んでいる。定電流源526の第1端は、さらに、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のソースとデプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインと第2出力端子130に接続されている。
【0065】
次に、定電圧回路500の動作について説明する。
定電流源526は、その両端に電位差が無い場合は、定電流を供給することはできない素子として定義する。定常状態において、容量425は、接続点P5の電圧が充電されている。定電流源526は、その両端電圧が0Vであり、直流電流も流れていない。PMOSトランジスタ424は、ゲートとソース間の電圧が0Vであり、オフしている。
【0066】
例えば、電源端子101の電圧が急激に上昇し、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間の寄生容量を介して接続点P5の電圧が上昇したことを仮定する。このとき、定電流源526によって容量425の充電電流が制限され、PMOSトランジスタ424のソース電圧が上昇する。PMOSトランジスタ424は、ゲートとソース間の電圧が閾値電圧を超えるとオンして接続点P5の電圧の上昇が抑制される。そして、接続点P5の電圧を電源とするED型基準電圧回路104の出力電圧、すなわち第1出力端子110の電圧の変動が抑制される。なお、定電圧回路500のその他の動作については、定電圧回路400と実質的に相違しないため、説明を省略する。
【0067】
以上説明したように、本構成例の定電圧回路500によれば、定電圧回路100と同様の効果を得ることができる。すなわち、定電圧回路500によれば、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間に寄生容量が存在している場合であっても、電源変動抑制回路503によって電源電圧の急激な変動に対して第1出力端子110及び第2出力端子130から出力される出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0068】
また、定電圧回路500の構成を複雑化させることなく、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。さらに、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくする構成の付加に伴う面積の増大を最小限に抑えつつ電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0069】
(第5変形例)
図7は、本実施形態に係る定電圧回路の第5変形例である定電圧回路600の回路図である。
【0070】
定電圧回路600は、定電圧回路500(図6参照)に対して、電源変動抑制回路503の代わりに、電源変動抑制回路603を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、第5変形例では、電源変動抑制回路603を中心に説明するとともに、定電圧回路500と実質的に相違しない構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0071】
電源変動抑制回路603は、電源変動抑制回路503に対して、検出回路520の代わりに、検出回路620を備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。検出回路620は、検出回路520に対して、定電流源526の代わりに、デプレッション型のNMOSトランジスタ326を有する点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
【0072】
デプレッション型のNMOSトランジスタ326は、PMOSトランジスタ424のソースに接続されるドレインと、PMOSトランジスタ424のゲートに接続されるソースと、自己のソースと接続されるゲートとを含んでいる。デプレッション型のNMOSトランジスタ326のドレインは、さらに、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のソースとデプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインと第2出力端子130に接続されている。
【0073】
定電圧回路600の動作については、デプレッション型のNMOSトランジスタ326の機能が定電流源526の機能と実質的に相違しないため、定電圧回路500の動作と実質的に相違しない。
【0074】
以上説明したように、本構成例の定電圧回路600によれば、定電圧回路500と同様の効果を得ることができる。すなわち、定電圧回路500によれば、デプレッション型のNMOSトランジスタ105のドレインとソース間に寄生容量が存在している場合であっても、電源変動抑制回路603によって電源電圧の急激な変動に対して第1出力端子110及び第2出力端子130から出力される出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0075】
また、定電圧回路600の構成を複雑化させることなく、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。さらに、電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくする構成の付加に伴う面積の増大を最小限に抑えつつ電源電圧の急激な変動に対して出力電圧の変動を小さくすることができる。
【0076】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え又は変更することができる。例えば、上述した定電圧回路100、200、300、400、500及び600は、第1出力端子110及び第2出力端子130を備える例であるが、これに限定されない。定電圧回路100、200、300、400、500及び600は、第1出力端子110及び第2出力端子130の少なくとも一方を備えていればよく、第1出力端子110及び第2出力端子130の他方が省略されていてもよい。
【0077】
ED型基準電圧回路104において、直列接続されるデプレッション型のNMOSトランジスタは複数個であればよく、更に多くのトランジスタを有してもよい。例えば、デプレッション型のNMOSトランジスタ121とデプレッション型のNMOSトランジスタ122の間に、1個以上のデプレッション型のNMOSトランジスタをさらに直列に接続することができる。直列接続されるデプレッション型のNMOSトランジスタが3個以上の場合、直列接続された複数個のデプレッション型のNMOSトランジスタの接続点は複数個有るが、NMOSトランジスタ105のゲートの接続先は、複数個のデプレッション型のNMOSトランジスタの接続点の何れかとすればよい。すなわち、デプレッション型のNMOSトランジスタ121のドレインからデプレッション型のNMOSトランジスタ122のソースまでに形成される何れかの接続点とすればよい。
【0078】
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
100、200、300、400、500、600、1000 定電圧回路
101 電源端子
102 接地端子
103、203、303、403、503、603 電源変動抑制回路
104 ED型基準電圧回路
123 NMOSトランジスタ(エンハンスメント型トランジスタ)
122 NMOSトランジスタ(第1のデプレッション型トランジスタ)
121 NMOSトランジスタ(第2のデプレッション型トランジスタ)
105 NMOSトランジスタ(第3のデプレッション型トランジスタ)
110 第1出力端子
120、220、320、420、520、620 検出回路
124 NMOSトランジスタ(パストランジスタ)
125、425 容量
126、426 抵抗
130 第2出力端子
160 演算増幅器
161 正の電源端(第1電源端)
162 負の電源端(第2電源端)
163 出力端
164 反転入力端(第1入力端)
165 非反転入力端(第2入力端)
226、526 定電流源
326 NMOSトランジスタ(デプレッション型のNチャンネルトランジスタ)
424 PMOSトランジスタ(パストランジスタ)
P1、P2、P3 接続点(第1端子、第2端子、第3端子)
P4 接続点(第2接続点)
P5 接続点(第1接続点)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7