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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093049
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】演出装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20240702BHJP
   G03B 35/00 20210101ALI20240702BHJP
   H04N 13/302 20180101ALI20240702BHJP
   H04N 13/346 20180101ALI20240702BHJP
【FI】
G02B30/56
G03B35/00 Z
H04N13/302
H04N13/346
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209150
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】318016342
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコアミューズメントラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅尊
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H059AC00
2H199BA32
2H199BA51
2H199BA61
2H199BB10
2H199BB12
2H199BB20
2H199BB49
2H199BB52
2H199BB54
2H199BB59
2H199BB66
5C061AA06
5C061AB12
5C061AB14
5C061AB16
(57)【要約】
【課題】物体に対して空中結像による演出効果を付加することが可能な演出装置の提供。
【解決手段】物体80に対して演出効果を付加する演出装置10は、画像を表示する表示部30と、入射光の一部を反射し、入射光の一部を透過する光学素子40と、光学素子40からの反射光を再帰反射する又は光学素子40からの透過光を再帰反射する反射部材50を含む。表示部30からの光が光学素子40により反射され、反射された光が反射部材50により再帰反射されて光学素子40を透過することで、或いは表示部30からの光が光学素子40を透過し、透過した光が反射部材50により再帰反射されて、光学素子40に反射されることで、物体80に重ね合わせて表示部の画像の結像画像32がユーザに表示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に対して演出効果を付加する演出装置であって、
画像を表示する表示部と、
入射光の一部を反射し、前記入射光の一部を透過する光学素子と、
前記光学素子からの反射光を再帰反射する又は前記光学素子からの透過光を再帰反射する反射部材と、
を含み、
前記表示部からの光が前記光学素子により反射され、反射された光が前記反射部材により再帰反射されて前記光学素子を透過することで、或いは前記表示部からの光が前記光学素子を透過し、透過した光が前記反射部材により再帰反射されて、前記光学素子に反射されることで、前記物体に重ね合わせて前記表示部の画像の結像画像がユーザに表示されることを特徴とする演出装置。
【請求項2】
請求項1において、
第2画像を表示する第2表示部を含み、
前記第2表示部からの前記第2画像の光が前記光学素子により反射される又は前記光学素子を透過することで、前記第2画像が前記ユーザに表示されることを特徴とする演出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2画像は、前記物体の背景となる背景画像であることを特徴とする演出装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2画像は前記背景画像であり、前記結像画像は前記物体に付加されるエフェクト画像であることを特徴とする演出装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記表示部により表示される前記結像画像の表示物は、前記第2表示部の前記第2画像よりも小さいことを特徴とする演出装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記物体の位置に応じて、前記結像画像の結像面の位置が設定されることを特徴とする演出装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記物体の位置に応じて前記表示部の位置が設定されることで、前記結像画像の前記結像面の位置が設定されることを特徴とする演出装置。
【請求項8】
請求項1において、
背景板又はジオラマを含み、
前記背景板又は前記ジオラマが前記光学素子を透過して前記ユーザに表示されることを特徴とする演出装置。
【請求項9】
請求項1において、
第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向と前記第2方向の間の方向を第3方向としたときに、
前記表示部は、主面が前記第1方向に沿うように配置され、
前記反射部材は、主面が前記第2方向に沿うように配置され、
前記光学素子は、前記反射部材と前記物体との間において、主面が前記第3方向に沿うように配置され、
前記表示部からの光が前記光学素子により反射され、反射された光が前記反射部材により再帰反射されて前記光学素子を透過することで、前記表示部の画像の前記結像画像が前記ユーザに表示されることを特徴とする演出装置。
【請求項10】
請求項1において、
第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向と前記第2方向の間の方向を第3方向としたときに、
前記表示部は、主面が前記第1方向に沿うように配置され、
前記反射部材は、主面が前記第1方向に沿うように配置され、
前記光学素子は、前記表示部と前記反射部材との間において、主面が前記第3方向に沿うように配置され、
前記表示部からの光が前記光学素子を透過し、透過した光が前記反射部材により再帰反射されて、前記光学素子に反射されることで、前記表示部の画像の前記結像画像が前記ユーザに表示されることを特徴とする演出装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記表示部は、液晶ディスプレイであり、前記光学素子は、偏光反射板であり、前記反射部材は、位相差付き再帰反射板であることを特徴とする演出装置。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記表示部は、表示板に形成された表示パターンに対応する画像を光源装置からの光により表示する装置であり、前記光学素子は、ハーフミラー又は偏光反射板であり、前記反射部材は、再帰反射板であることを特徴とする演出装置。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記結像画像は、前記物体に付加されるエフェクト画像であることを特徴とする演出装置。
【請求項14】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記物体は、フィギュア、模型、ぬいぐるみ又はジオラマであることを特徴とする演出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
映画、アニメ又はゲーム等の原作で表現されているオーラ、ビーム、炎又は煙などのエフェクトを、フィギュアにより再現するには樹脂成型により実現するのが一般的である。しかしながら、これらのエフェクトは原作では固体ではないため、その再現性が低いという問題がある。一方、ハーフミラーを利用した演出装置については特許文献1に開示される技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-176933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、ハーフミラーによる虚像は演出装置の筐体の奥側に表示されるため、フィギュア等の物体の付近にエフェクト等の画像を表示することはできない。
【0005】
本開示によれば、物体に対して空中結像による演出効果を付加することが可能な演出装置等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、物体に対して演出効果を付加する演出装置であって、画像を表示する表示部と、入射光の一部を反射し、前記入射光の一部を透過する光学素子と、前記光学素子からの反射光を再帰反射する又は前記光学素子からの透過光を再帰反射する反射部材と、を含み、前記表示部からの光が前記光学素子により反射され、反射された光が前記反射部材により再帰反射されて前記光学素子を透過することで、或いは前記表示部からの光が前記光学素子を透過し、透過した光が前記反射部材により再帰反射されて、前記光学素子に反射されることで、前記物体に重ね合わせて前記表示部の画像の結像画像がユーザに表示される演出装置に関係する。
【0007】
本開示の一態様によれば、表示部と光学素子と反射部材50が設けられ、これらの表示部、光学素子、反射部材により、表示部の表示画像が結像画像として物体に重ね合わせて表示されるようになる。このようにすれば、物体に対して空中結像による演出効果を付加できるようになり、あたかも空中に浮かんでいるかのように見える演出効果を物体に付加することが可能になる。
【0008】
また本開示の一態様では、第2画像を表示する第2表示部を含み、前記第2表示部からの前記第2画像の光が前記光学素子により反射される又は前記光学素子を透過することで、前記第2画像が前記ユーザに表示されてもよい。
【0009】
このようにすれば、ユーザには、物体に重ね合わせて結像画像が表示されると共に、第2表示部の第2画像も表示されるようになり、表示部を用いた結像画像による演出効果に加えて、第2表示部の第2画像による演出効果も、物体に対して付加できるようになる。
【0010】
また本開示の一態様では、前記第2画像は、前記物体の背景となる背景画像であってもよい。
【0011】
このようにすれば、表示部を用いた結像画像を物体に重ね合わせて表示しながら、物体の背後に、第2表示部による背景画像も表示できるようになる。
【0012】
また本開示の一態様では、前記第2画像は前記背景画像であり、前記結像画像は前記物体に付加されるエフェクト画像であってもよい。
【0013】
このようにすれば、空中結像のエフェクト画像による演出効果と、第2表示部の背景画像による演出効果とを、物体に対して付加してユーザに表示できるようになる。
【0014】
また本開示の一態様では、前記表示部により表示される前記結像画像の表示物は、前記第2表示部の前記第2画像よりも小さくてもよい。
【0015】
このようにすれば、物体に対して結像画像の表示物を空中結像の画像として付加できると共に、物体に付加された表示物の背後に、第2表示部の第2画像を、ユーザに見えるように表示できるようになる。
【0016】
また本開示の一態様では、前記物体の位置に応じて、前記結像画像の結像面の位置が設定されてもよい。
【0017】
このようにすれば、物体の配置位置に対応する位置に結像画像を結像させて、物体に対して結像画像による効果的な演出を付加できるようになる。
【0018】
また本開示の一態様では、前記物体の位置に応じて前記表示部の位置が設定されることで、前記結像画像の前記結像面の位置が設定されてもよい。
【0019】
このようにすれば、表示部の位置を設定することで、結像画像の結像面の位置を設定して、物体に対応する位置に結像画像を空中結像させることが可能になる。
【0020】
また本開示の一態様では、背景板又はジオラマを含み、前記背景板又は前記ジオラマが前記光学素子を透過して前記ユーザに表示されてもよい。
【0021】
このようにすれば、表示部の結像画像による演出と、背景板又はジオラマによる演出とを物体に付加することができ、より演出効果の高い演出装置を実現できるようになる。
【0022】
また本開示の一態様では、第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向と前記第2方向の間の方向を第3方向としたときに、前記表示部は、主面が前記第1方向に沿うように配置され、前記反射部材は、主面が前記第2方向に沿うように配置され、前記光学素子は、前記反射部材と前記物体との間において、主面が前記第3方向に沿うように配置され、前記表示部からの光が前記光学素子により反射され、反射された光が前記反射部材により再帰反射されて前記光学素子を透過することで、前記表示部の画像の前記結像画像が前記ユーザに表示されてもよい。
【0023】
このようにすれば、表示部からの画像の光が光学素子により反射され、反射部材により再帰反射されて光学素子を透過することで、結像面に結像画像を生成できるようになる。
【0024】
また本開示の一態様では、第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向と前記第2方向の間の方向を第3方向としたときに、前記表示部は、主面が前記第1方向に沿うように配置され、前記反射部材は、主面が前記第1方向に沿うように配置され、前記光学素子は、前記表示部と前記反射部材との間において、主面が前記第3方向に沿うように配置され、前記表示部からの光が前記光学素子を透過し、透過した光が前記反射部材により再帰反射されて、前記光学素子に反射されることで、前記表示部の画像の前記結像画像が前記ユーザに表示されてもよい。
【0025】
このようにすれば、表示部からの画像の光が光学素子を透過して、反射部材により再帰反射された後に光学素子により反射されることで、結像面に結像画像を生成できるようになる。
【0026】
また本開示の一態様では、前記表示部は、液晶ディスプレイであり、前記光学素子は、偏光反射板であり、前記反射部材は、位相差付き再帰反射板であってもよい。
【0027】
このように、光学素子として偏光反射板を用い、反射部材として位相差付き再帰反射板を用いることで、表示部が偏光状態の光を出す液晶ディスプレイである場合にも、適正に空中結像を実現できるようになる。
【0028】
また本開示の一態様では、前記表示部は、表示板に形成された表示パターンに対応する画像を光源装置からの光により表示する装置であり、前記光学素子は、ハーフミラー又は偏光反射板であり、前記反射部材は、再帰反射板であってもよい。
【0029】
このようにすれば、位相差付き再帰反射板に比べて安価な通常の再帰反射板を用いることが可能になり、低コストな演出装置を実現できる。
【0030】
また本開示の一態様では、前記結像画像は、前記物体に付加されるエフェクト画像であってもよい。
【0031】
このようにすれば、エフェクト画像を空中結像して、物体に重ね合わせて表示できるようになる。
【0032】
また本開示の一態様では、前記物体は、フィギュア、模型、ぬいぐるみ又はジオラマであってもよい。
【0033】
このようにすれば、フィギュア、模型、ぬいぐるみ又はジオラマの展示等に好適な演出装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本実施形態の演出装置の基本的な構成例。
図2】本実施形態の演出装置の第1構成例。
図3】本実施形態の演出装置の第2構成例。
図4】演出装置の動作説明図。
図5】演出装置の第3構成例及びその動作説明図。
図6】物体に対する空中結像による演出効果の具体例を示す図。
図7】物体に対する空中結像による演出効果の具体例を示す図。
図8】演出装置の外観図の一例。
図9】本実施形態の演出装置の第4構成例
図10】第4構成例の演出装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、必須構成要件であるとは限らない。
【0036】
1.演出装置
図1に本実施形態の演出装置10の基本的な構成例を示す。本実施形態の演出装置10は、フィギュア等の物体80に対して演出効果を付加する装置であり、表示部30と光学素子40と反射部材50を含む。また演出装置10は、演出装置10の筐体12や、物体80の配置部14や、配置部14が設けられるベース部15などを含むことができる。
【0037】
例えば表示部30、光学素子40、反射部材50は、演出装置10の筐体12の内部に設けられている。また筐体12の前方にはベース部15が設置され、ベース部15の上面には配置部14が設けられている。そしてフィギュア等の物体80は配置部14に配置されている。なお本実施形態の演出装置10は図1等の構成には限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0038】
例えば図1において第1方向DR1に直交する方向を第2方向DR2とする。また第1方向DR1と第2方向DR2の間の方向を第3方向DR3とし、第1方向DR1の反対方向を第4方向DR4とする。例えば図1では第1方向DR1は水平方向であり、第2方向DR2は鉛直方向であり、第3方向DR3は水平方向に対して角度θをなす方向である。例えば0<θ<90度であり、例えば第3方向DR3はθが45度程度となる方向である。但し第1方向DR1、第2方向DR2、第3方向DR3、第4方向DR4はこれには限定されるものではなく、種々の方向を想定できる。そして光学素子40は、表示部30の例えば上方向である第2方向DR2に設けられている。反射部材50は、光学素子40の例えば奥側方向である第1方向DR1に設けられている。そして物体80は、光学素子40の例えば手前側方向である第4方向DR4に配置される。
【0039】
表示部30は画像を表示する。例えば表示部30は、物体80に対して演出効果として付加される結像画像32を表示するための装置である。例えば表示部30は、液晶ディスプレイにより実現できる。或いは表示部30は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ又はブラウン管ディスプレイ等により実現してもよい。或いは表示部30は、LED等の光源素子によるセグメント表示器により実現してもよい。例えば表示部30は、後述するように、光源装置と、光源装置からの光により表示パターンに対応する画像を表示するような装置により実現してもよい。或いは表示部30は、miniLEDディスプレイやマイクロLEDディスプレイなどや、プラズマディスプレイ、無機ELパネル、電子ペーパー、又はOHPなどの装置により実現してもよい。
【0040】
光学素子40は、入射光の一部を反射し、入射光の一部を透過する。例えば光学素子40への入射光の一部は、光学素子40により反射され、入射光の他の部分は、光学素子40を透過する。光学素子40での入射光の反射は例えば鏡面反射である。光学素子40は例えば板状又はシート状の光学部材である。この光学素子40は、例えばビームスプリッターと呼ぶこともできる。光学素子40としては、例えば偏光反射板又はハーフミラーなどを用いることができる。
【0041】
反射部材50は、光学素子40からの反射光を再帰反射する又は光学素子40からの透過光を再帰反射する。例えば光学素子40が入射光の一部を反射した場合に、反射部材50は光学素子40からの反射光を再帰反射するための部材である。また光学素子40が入射光の一部を透過した場合に、反射部材50は光学素子40の透過光を再帰反射するための部材である。反射部材50は再帰反射板又は再帰反射シートと呼ぶこともできる。反射部材50としては、位相差付き再帰反射板、或いは位相差付きではない通常の再帰反射板などを用いることができる。
【0042】
そして本実施形態では、後述の図4で詳細に説明するように、表示部30からの光が光学素子40により反射され、反射された光が反射部材50により再帰反射されて光学素子40を透過することで、物体80に重ね合わせて表示部30の画像の結像画像32がユーザに表示される。例えば物体80の近くに空中結像の画像が表示される。結像画像32は、光学素子40の例えば手前側方向である第4方向DR4に位置する結像面に結像する画像である。表示部30からの光は、表示部30の表示画像の画像光(映像光)である。この表示部30からの光が、入射光の一部を反射する光学素子40により例えば鏡面反射されて、反射部材50に入射する。そして入射した光が反射部材50により再帰反射されて、光学素子40に入射する。この入射した光が、入射光の一部を透過する光学素子40を透過することで、結像画像32が物体80の付近に結像する。これによりユーザの視点VPには、表示部30の画像が空中に結像した結像画像32として見えるようになり、後述の図6図7に示すように、結像画像32によるエフェクト画像82を物体80に対して付加できるようになる。
【0043】
或いは後述の図5で詳細に説明するように、表示部30からの光が光学素子40を透過し、透過した光が反射部材50により再帰反射されて、光学素子40に反射されることで、物体80に重ね合わせて表示部30の画像の結像画像32がユーザに表示されてもよい。例えば表示部30からの画像光である光が、入射光の一部を透過する光学素子40を透過し、透過光が反射部材50に入射する。そして、入射した透過光が反射部材50により再帰反射されて、光学素子40に入射し、その入射光が、入射光の一部を反射する光学素子40により鏡面反射されることで、結像画像32が物体80の付近に結像する。このようにしても、図6図7に示すように、結像画像32によるエフェクト画像82を物体80に対して付加できる。
【0044】
以上のように本実施形態の演出装置10では、表示部30と光学素子40と反射部材50が設けられ、これらの表示部30、光学素子40、反射部材50により、表示部30の表示画像が結像画像32として物体80に重ね合わせて表示されるようになる。このようにすれば、物体80に対して空中結像による演出効果を付加できるようになる。これにより、あたかも空中に浮かんでいるかのように見える演出効果を物体80に付加することが可能になる。従って、例えば樹脂成型等により演出効果を付加する場合に比べて、物体80に対してよりリアルな態様での空中結像による演出効果を付加することができる。
【0045】
2.演出装置の詳細な構成例
図2に本実施形態の演出装置10の詳細な第1構成例を示す。図2の演出装置10は、表示部30、光学素子40、反射部材50に加えて、第2表示部60を含む。第2表示部60は第2画像を表示する。例えば第2表示部60は、第1表示部である表示部30の表示画像とは異なる第2画像を表示する。そして後述の図4で説明するように、例えば第2表示部60からの第2画像の光が光学素子40により反射されることで、第2画像がユーザに表示される。例えば第2表示部60からの第2画像の光が、入射光の一部を反射する光学素子40により例えば鏡面反射されることで、第2画像がユーザに表示される。例えば光学素子40がハーフミラーとして用いられて第2表示部60の第2画像がユーザに表示される。これによりユーザの視点VPからは、第2表示部60の第2画像が虚像62として見えるようになる。或いは第2表示部60からの第2画像の光が光学素子40を透過することで、第2画像がユーザに表示されてもよい。例えば第2表示部60からの第2画像の光が、入射光の一部を透過する光学素子40を透過することで、第2画像がユーザに表示される。例えば後述の図5において背景板70の位置に第2表示部60を配置する。これにより第2表示部60からの第2画像の光が光学素子40を透過して、第2表示部60の第2画像がユーザに表示されるようになる。
【0046】
このように第2表示部60を設けることで、ユーザには、物体80に重ね合わせて結像画像32が表示されると共に、第2表示部60の第2画像も表示されるようになる。従って、表示部30を用いた結像画像32による演出効果に加えて、第2表示部60の第2画像による演出効果も、物体80に対して付加できるようになる。これにより、単に物体80を配置する場合に比べて、表示部30の結像画像32による演出と、第2表示部60の第2画像による演出とを加えることができ、より演出効果の高い演出装置10を実現できるようになる。
【0047】
例えば第2表示部60が表示する第2画像は、物体80の背景となる背景画像である。背景画像は、例えば演出装置10の主要題材である物体80を引き立たせる背後の光景の画像である。例えば物体80がフィギュア、模型又はぬいぐるみである場合には、背景画像は、例えばそのフィギュア、模型又はぬいぐるみに対応するキャラクタ等が登場する映画、アニメ又はゲーム等の原作においてキャラクタ等の背後に表示される画像である。このようにすれば、表示部30を用いた結像画像32を物体80に重ね合わせて表示しながら、物体80の背後に、第2表示部60による背景画像も表示できるようになる。これにより表示部30の空中の結像画像32による演出効果と、第2表示部60の背景画像による演出効果とを、物体80に対して付加してユーザに表示できるようになり、より演出効果の高い演出装置10を実現できるようになる。例えば空中結像の後ろに背景画像が重なって見えるようになるため、奥行き感のある演出が可能になる。
【0048】
例えば第2表示部60の第2画像は背景画像であり、表示部30の結像画像32は物体80に付加されるエフェクト画像である。エフェクト画像は、物体80に付加されるエフェクトを表すエフェクト表示物(エフェクトオブジェクト)の画像である。例えばエフェクト画像は、オーラ、ビーム、炎、光、雷、水又は風などを表現した画像である。例えば物体80がフィギュア、模型又はぬいぐるみである場合には、エフェクト画像は、例えばそのフィギュア、模型又はぬいぐるみに対応するキャラクタ等の周囲に描かれる画像であり、例えばそのキャラクタ等が周囲に対して発するエフェクトの画像である。このようにすれば、表示部30を用いた結像画像32によるエフェクト画像を物体80に重ね合わせて表示しながら、物体80の背後に、第2表示部60による背景画像も表示できるようになる。これにより表示部30が表示するエフェクト画像の空中結像による演出効果と、第2表示部60の背景画像による演出効果とを、物体80に対して付加してユーザに表示できるようになり、より演出効果の高い演出装置10を実現できるようになる。
【0049】
また表示部30により表示される結像画像32の表示物は、例えば第2表示部60の第2画像よりも小さくなっている。結像画像32の表示物は、結像画像を構成する表示物であり、空中結像されてユーザに見える表示物である。例えば結像画像32がエフェクト画像である場合に、結像画像32の表示物は、物体80に付加されるエフェクトを表すエフェクト表示物(エフェクトオブジェクト)である。例えば結像画像32の表示物は、光、炎、オーラ、雷、水又は風などのエフェクトを表したエフェクト表示物である。そして結像画像32のエフェクト表示物等の表示物は、第2表示部60に表示される背景画像等の第2画像よりも小さくなっている。例えば結像画像32の表示物の表示範囲は、第2画像を構成する1又は複数の表示物の表示範囲よりも狭くなっている。このようにすれば、物体80に対して結像画像32の表示物を空中結像の画像として付加できると共に、物体80に付加された表示物の背後に、第2表示部60の第2画像を、ユーザに見えるように表示できるようになる。例えば結像画像32の表示物の方が、第2画像の表示物よりも大きいと、第2画像の表示物の全てが結像画像32の表示物に隠れて見えなくなってしまう事態が発生するが、結像画像32の表示物の方が第2画像の表示物よりも小さいことで、このような事態を防止できる。
【0050】
また第2表示部60は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。このようにすれば、ユーザにとって視認性の高い第2画像をユーザに表示できるようになる。例えば第2表示部60の第2画像の光は、光学素子40により反射される又は光学素子40を透過することユーザに表示される。従って、第2表示部60の第2画像の輝度が低いと、ユーザにおける第2画像の視認性が低下してしまう。この点、第2表示部60として、バックライト等を有する液晶ディスプレイや、自発光素子である有機EL素子により構成される有機ELディプレイを用いれば、高い輝度の第2画像を表示できるため、ユーザの視認性が低下してしまう事態を防止できる。また液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイによれば、結像画像32の表示物よりも大きな大画面の第2画像を表示できるようになる。これにより物体80に付加された表示物の背後に、第2表示部60の第2画像を、ユーザが十分に視認できるように表示できるようになる。なお、第2表示部60は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ以外に、例えばブラウン管ディスプレイ、LED等の光源素子によるセグメント表示器、miniLEDディスプレイやマイクロLEDディスプレイなどや、プラズマディスプレイ、無機ELパネル、電子ペーパー、又はOHPなどの装置により実現してもよい。若しくは、例えば第2表示部60は、光源装置と、光源装置からの光により表示パターンに対応する画像を表示するような装置により実現してもよい。
【0051】
図3に本実施形態の演出装置10の詳細な第2構成例を示す。図3では、表示部30、光学素子40、反射部材50等に加えて、調整機構34が設けられている。そして図3では、物体80の位置に応じて、結像画像32の結像面の位置が設定されるようになっている。例えば表示部30の位置の調整機構34により、表示部30の位置が調整されることで、結像画像32の結像面の位置が設定される。例えば表示部30の位置が第2方向DR2に沿ってA1に示すように調整されることで、結像画像32の結像面の位置が第1方向DR1(第4方向DR4)に沿ってA2に示すように調整される。
【0052】
調整機構34は、例えば演出装置10のオペレーターが手動で表示部30の設置位置を調整するものであってもよいし、モーター等の駆動機構により表示部30の設置位置を調整するものであってもよい。手動で設置位置を調整する場合には、例えば調整機構34に、表示部30を取り付けるためのアタッチメントや、アタッチメントに取り付けられた表示部30をA1に示すように移動させるためのガイドなどを設けて、オペレーターが表示部30の設置位置を手動で調整すればよい。自動で設置位置を調整する場合には、例えばモーターと駆動ベルトなどを用いて、アタッチメントに取り付けられた表示部30をガイドに沿ってモーターの駆動力で移動させればよい。なお調整機構34の構成は、これに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0053】
このように本実施形態では、物体80の位置に応じて、結像画像32の結像面の位置が設定される。例えば物体80を手前側方向である第4方向DR4に配置する場合には、結像画像32の結像面の位置も第4方向DR4に移動させる。また物体80を奥側方向である第1方向DR1に配置する場合には、結像画像32の結像面の位置も第1方向DR1に移動させる。このようにすることで物体80の配置位置に対応する位置に結像画像32を結像させて、物体80に対して結像画像32による効果的な演出を付加できるようになる。例えば後述の図6図7のように物体80であるフィギュア81の周囲にオーラ等のエフェクト画像82を空中結像させることが可能になる。
【0054】
また本実施形態では、物体80の位置に応じて表示部30の位置が設定されることで結像画像32の結像面の位置が設定される。例えば表示部30の位置を、上方向である第2方向DR2に移動させると、結像画像32の結像面は例えば奥側方向である第1方向DR1に移動する。また表示部30の位置を、下方向である第2方向DR2の反対方向に移動させると、結像画像32の結像面は例えば手前側方向である第4方向DR4に移動する。このようにすれば、表示部30の位置を調整することで、結像画像32の結像面の位置を調整して、物体80に対応する位置に結像画像32を空中結像させることが可能になる。これにより物体80の位置に対応する好適な位置に結像画像32を表示して、結像画像32による演出効果を物体80に対して付加できるようになる。
【0055】
図4は本実施形態の演出装置10の動作説明図である。例えば図4において第1方向DR1に直交する方向を第2方向DR2とし、第1方向DR1と第2方向DR2の間の方向を第3方向DR3としている。例えば第1方向DR1と第3方向DR3のなす角度をθとした場合に、0<θ<90度の関係が成り立ち、一例としてはθ=45度となる。但しθは例えば40度~50度程度であってもよい。
【0056】
そして図4では表示部30は、主面が第1方向DR1に沿うように配置される。例えば表示部30は、光学素子40の下方において、主面が水平方向に沿うように配置される。表示部30の主面は例えば表示部30の表示画面の面である。また反射部材50は、主面が第2方向DR2に沿うように配置される。例えば反射部材50は、演出装置10の箱状の筐体12の内面の奥側面において、主面が鉛直方向に沿うように配置される。反射部材50の主面は、例えば板状又はシート状の反射部材50の主面である。また光学素子40は、反射部材50と物体80との間において、主面が第3方向DR3に沿うように配置される。例えば光学素子40は、物体80の奥側方向である第1方向DR1の位置であって、反射部材50の手前側方向である第4方向DR4の位置に配置される。そして光学素子40は、主面が水平方向に対して例えば45度程度の角度の方向に沿うように配置される。光学素子40の主面は、板状又はシート状の光学素子40の主面である。また図4では、第2表示部60は、光学素子40の第2方向DR2に配置される。例えば第2表示部60は、演出装置10の箱状の筐体12の内面の上側面において、主面が水平方向に沿うように配置される。
【0057】
そして図4では表示部30からの光が光学素子40により反射され、反射された光が反射部材に52より再帰反射されて光学素子40を透過することで、表示部30の画像の結像画像32がユーザに表示される。例えば表示部30からのB1、C1に示す光が、光学素子40により反射(鏡面反射)されて、B2、C2に示す反射光が反射部材50に入射する。そしてB2、C2に示す反射光が反射部材50により再帰反射されて、B3、C3に示す反射光が光学素子40に入射する。そして入射したB3、C3に示す反射光が光学素子40を透過することで、結像画像32が生成される。このようにすれば、表示部30からの画像の光が光学素子40により反射され、反射部材50により再帰反射されて光学素子40を透過することで、結像面に結像画像32を生成できるようになる。これにより、物体80に対する空中結像による演出付加を実現できるようになる。
【0058】
また図4では光学素子40の第2方向DR2に第2表示部60が設けられている。そして第2表示部60の第2画像の光が光学素子40により反射(鏡面反射)されることで、D1、D2、D3に示すように、第2表示部60の第2画像を虚像62としてユーザに表示できるようになる。これにより後述の図6図7に示すように、第2表示部60の第2画像を背景画像84としてユーザに表示できるようになる。
【0059】
図5は本実施形態の演出装置10の詳細な第3構成例及びその動作説明図である。図5では、表示部30は、主面が第1方向DR1に沿うように配置される。また反射部材50は、主面が第1方向DR1に沿うように配置される。例えば図4では反射部材50は、主面が鉛直方向である第2方向DR2に沿うように配置されていたが、図5では反射部材50は、主面が水平方向である第1方向DR1に沿うように配置されている。例えば反射部材50は、光学素子40の第2方向DR2に配置される。例えば反射部材50は、演出装置10の箱状の筐体12の内面の上側面において、主面が水平方向に沿うように配置される。そして光学素子40は、表示部30と反射部材50との間において、主面が第3方向DR3に沿うように配置される。例えば光学素子40は、表示部30の上方向である第2方向DR2の位置であって、反射部材50の下方向である第2方向DR2の反対方向の位置に配置される。そして光学素子40は、主面が水平方向に対して例えば45度程度の角度の方向に沿うように配置される。
【0060】
そして図5では、表示部30からの光が光学素子40を透過し、透過した光が反射部材50により再帰反射されて、光学素子40に反射されることで、表示部30の画像の結像画像32がユーザに表示される。例えば表示部30からのE1、F1に示す光が、光学素子40を透過して、透過光が反射部材50に入射する。そして入射した透過光が反射部材50により再帰反射されて、E2、F2に示す反射光が光学素子40に入射する。そして入射したE2、F2に示す反射光が光学素子40により反射(鏡面反射)されることで、結像画像32が生成される。このようにすれば、表示部30からの画像の光が光学素子40を透過して、反射部材50により再帰反射された後に光学素子40により反射されることで、結像面に結像画像32を生成できるようになる。これにより、物体80に対する空中結像による演出付加を実現できるようになる。
【0061】
なお光学素子40は、その主面として、反射が強い第1面と反射が弱い第2面を有する場合がある。例えば光学素子40であるビームスプリッターの蒸着面は、反射が強い第1面となり、第1面の裏面である第2面は反射が弱い面になる。反射が強いとは反射率が高いことである。このため、図4の構成の場合には、反射が強い第1面が、光学素子40の第1方向DR1に位置する反射部材50と対向するように、光学素子40を配置すればよい。一方、図5の構成の場合には、反射が強い第1面が、光学素子40の第2方向DR2に位置する反射部材50と対向するように、光学素子40を配置すればよい。このように図5の構成では、図4とは反射部材50の配置位置が異なるため、これに応じて光学素子40を裏返して配置する必要がある。
【0062】
また図5では、演出装置10に背景板70が更に設けられている。背景板70は例えば背景画像が描かれた板状又はシート状の部材である。図5では例えば光学素子40の第1方向DR1に背景板70が設置されている。別の言い方をすれば、物体80と背景板70との間に光学素子40が配置されるように、背景板70が設けられている。例えば箱状の筐体12の奥側面に背景板70が設置されている。或いは図5において背景板70の代わりにジオラマを配置してもよい。ジオラマは、背景又は周囲環境等を立体的に表現したものである。例えばジオラマは、山、平地、ビル、都市、川又は海等の背景又は周囲環境を、立体的に造形した部材である。
【0063】
このように本実施形態の演出装置10は、背景板70又はジオラマを含み、背景板70又はジオラマが光学素子40を透過してユーザに表示されるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザの視点VPには、光の一部を透過する光学素子40を介して、背景板70の画像やジオラマの画像が見えるようになる。これにより、ユーザには、物体80に重ね合わせて結像画像32が表示されると共に、背景板70又はジオラマの画像も表示されるようになる。従って、表示部30を用いた結像画像32による演出効果に加えて、背景板70又はジオラマによる演出効果も、物体80に対して付加できるようになる。これにより、単に物体80を配置する場合に比べて、表示部30の結像画像32による演出と、背景板70又はジオラマによる演出とを物体に付加することができ、より演出効果の高い演出装置10を実現できるようになる。
【0064】
なお図5において、背景板70の代わりに第2表示部60を設けてもよい。即ち図5において本実施形態の演出装置は、背景板70、ジオラマ又は第2表示部60を含み、背景板70、ジオラマ又は第2表示部60の画像が、光学素子40を透過してユーザに表示されてもよい。この場合の第2表示部60は、散乱光のタイプの表示装置を用いることが望ましい。散乱光のタイプの表示装置は、表示画像の光が散乱光である表示装置であり、例えばminiLEDディスプレイやマイクロLEDディスプレイなどや、ブラウン管ディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクター(投影映像)、LED(セグメントディプレイ)又はOHP(バックライト+透過フィルムの構造の表示装置)などである。偏光のタイプの表示装置は、表示画像の光が偏光である表示装置であり、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。例えば図4の構成の場合には、背景表示である虚像62は、単純な鏡面反射によるものなので、第2表示部60として用いられる表示装置のタイプに制限はなく、散乱光のタイプの表示装置であってもよいし、偏光のタイプの表示装置であってもよい。一方、図5の構成の場合には、背景画像は、光学素子40である偏光反射板を透過した画像になるため、第2表示部60として偏光のタイプの表示装置を使用すると、向きによっては背景画像(背景映像)が見えなくなってしまう。このため図5の構成の場合には、第2表示部60として散乱光のタイプの表示装置を用いることが望ましい。
【0065】
なお本実施形態は種々の変形実施が可能である。例えば図4において光学素子40の上方向に表示部30を配置し、光学素子40の下方向に第2表示部60を配置したり、図5において光学素子40の上方向に表示部30を配置し、光学素子40の下方向に反射部材50を配置するなどの種々の変形実施が可能である。即ち表示部30を上部に配置して上方から下方に画像光を照射して実現してもよいし、画面の方向が横向きになるように表示部30を配置して、右方向や左方向から画像光を照射して実現してもよい。また第1方向DR1、第2方向DR2は、各々、水平方向、垂直方向には限定されず、これらとは異なる方向であってもよい。
【0066】
図6図7は、物体80に対する空中結像による演出効果の具体例を示す図である。図6図7では物体80であるフィギュア81が配置部14に配置されている。そして結像画像32であるエフェクト画像82が空中結像して表示されている。フィギュア81は、映画、アニメ又はゲーム等の原作に登場するキャラクタ又は人物等を表した成形物である。そしてエフェクト画像82は、この原作で表現されているオーラ、ビーム、炎、煙などのエフェクトを表した画像である。フィギュア81を樹脂成型により実現する場合、このようなエフェクトも樹脂成型により実現するのが一般的であるが、エフェクトは原作では固体ではないため、原作のようなエフェクトを再現することが難しいという課題がある。
【0067】
この点、本実施形態では、表示部30の画像を空中結像することでエフェクト画像82が表示されるため、原作のようなエフェクトを再現でき、高い再現性のエフェクトを実現できるという利点がある。例えば、あたかも本物のエフェクトがフィギュア81の周囲に発生したかのように見える演出効果を実現できる。また本実施形態のエフェクト画像82は、エフェクトがアニメーションする動画の画像であってもよい。この場合にはエフェクト画像82の動画であるエフェクト映像を表示部30に表示すればよい。このようにすれば、空中結像したエフェクトがアニメーションするような映像効果を実現でき、樹脂成形のエフェクトでは実現できない演出を実現することが可能になる。
【0068】
また図6図7では、フィギュア81やエフェクト画像82の背後に背景画像84が表示されている。この背景画像84は、例えば図4の第2表示部60の第2画像や、図5の背景板70やジオラマの画像により実現される。この背景画像84は、例えば映画、アニメ又はゲーム等の原作においてキャラクタ又は人物の背景として表示されるものを表現したものである。このようにすれば、フィギュア81に対して、エフェクト画像82の空中結像による演出効果と、背後の背景画像84による演出効果を付加することが可能になる。これにより、フィギュア81だけを展示する場合に比べて、高い演出効果の演出装置10を実現できる。例えば空中結像の後ろに背景画像が重なって見えるようになるため、奥行き感のある演出が可能になる。
【0069】
このように結像画像32は、物体80に付加されるエフェクト画像82である。このようにすれば、エフェクト画像82を空中結像して、物体80に重ね合わせて表示できるようになる。これにより、あたかも物体80の周囲に本物のエフェクトが発生しているかのように見える演出効果を実現できる。またエフェクト画像82は、表示部30の表示画像により実現できるため、樹脂成形等によりエフェクトを実現する場合に比べて、例えば再現性が高いエフェクトやリアルなエフェクトを簡素に実現できるようになり、高い演出効果の演出装置10の実現が可能になる。
【0070】
また物体80は、例えばフィギュア、模型、ぬいぐるみ又はジオラマである。フィギュアは、例えば図面等から造形した立体物である。模型は実物の形を模して作ったものであり、例えばプラモデルなどである。例えばフィギュアも模型の1つという言うこともできる。ぬいぐるみは、内部に綿、布、プラスチック片又は蕎麦殻等を詰めて縫い合わせたものであり、動物やキャラクタをかたどった玩具などである。ジオラマは周囲環境や背景を立体的に表現した造形物である。このようにすれば、フィギュア、模型、ぬいぐるみ又はジオラマに対して、フィギュア、模型、ぬいぐるみ又はジオラマに応じた結像画像32による演出効果を付加して演出できるようになる。これによりフィギュア、模型、ぬいぐるみ又はジオラマの展示等に好適な演出装置10を実現することが可能になる。
【0071】
図8は演出装置10の外観図の一例を示す図である。この演出装置10では、箱状の展示ケースである筐体12の内部に、表示部30、光学素子40、反射部材50、第2表示部60などが設けられている。また演出装置10を移動自在とするためのキャスター16が、筐体12の下面に設けられている。この演出装置10は、例えば展示会場などの施設において、例えばフィギュア等の展示装置として設置される。図1図5のフィギュア等の配置部14は、例えば施設の運営者が用意する。或いは大サイズのフィギュア等を施設の床面に直接に配置してもよい。図8の演出装置10によれば、様々な種類のフィギュア等を演出装置10の前方に配置しながら、その種類に応じたエフェクト画像をフィギュア等に空中結像させることが可能になり、汎用性の高い演出装置10を実現できる。
【0072】
以上のように本実施形態の演出装置10では、画像を表示する表示部30と、入射光を反射又は透過する光学素子40と、光学素子40の反射光又は透過光を再帰反射する反射部材50が設けられる。そしてこれらの表示部30、光学素子40、反射部材50を用いて、表示部30の画像が物体80に対して空中結像されて表示されるようになる。これにより物体80に対して空中結像の演出効果を付与できる演出装置10を実現することが可能になる。
【0073】
例えば本実施形態の比較例の方式として、反射部材を用いずに1枚のパネルである結像光学パネルだけを用いて空中結像を実現する方式も考えられる。この結像光学パネルでは、特殊なミラー構造が規則的なパターンで微細に形成されている。しかしながら、このような結像光学パネルを用いる比較例の方式では、例えば図2に示すように第2表示部60を設けて虚像62を鮮明な画像でユーザに見せたり、図5に示すように背景板70を設けて背景画像を鮮明な画像でユーザに見せることが難しいという欠点がある。即ち、このような結像光学パネルは、1枚のパネルで空中結像を実現できるが、結像光学パネルをハーフミラーのように用いた場合に、表示される虚像62に画像がぼやけたりゴーストが発生してしまうなどの問題が発生する。また背景板の背景画像を結像光学パネルを透過させて表示する場合にも、画像がぼやけてしまうなどの問題が発生する。
【0074】
この点、本実施形態では、入射光の一部を反射し一部を透過する光学素子40での光の反射及び透過と、反射部材50での再帰反射により空中結像を実現している。このようにすれば例えば図2のように光学素子40をハーフミラーとして用いて虚像62を表示した場合にも、比較例の方式に比べて画像のぼやけが少ない鮮明な画像をユーザに表示できるようになる。また図5のように背景板70やジオラマの画像を光学素子40を透過させて表示した場合にも、比較例の方式に比べて画像のぼやけが少ない鮮明な画像をユーザに表示できるようになる。即ち本実施形態によれば、物体80に対して空中結像による演出効果を付加できると共に、第2表示部60、背景板70又はジオラマ等を用いて、空中結像が付加された物体80に対して更に背景画像等を表示するという演出効果も付加できるようになる。
【0075】
また本実施形態の他の比較例として、物体80を配置せずに、結像画像32だけを表示する手法も考えられる。しかしながら、このように何も無いところに空中結像しても、ユーザが空中結像に対して焦点を合わせにくいという問題がある。この点、本実施形態によれば、物体80に重ね合わせるように結像画像32を表示している。例えば物体80に対応する場所に結像画像32を表示している。このようにすれば、物体80に対してユーザの目の焦点が合った状態で結像画像32が表示されるため、空中結像に対してユーザが容易に焦点を合わせて、空中結像を鮮明に見ることができるという利点がある。
【0076】
また本実施形態では図2に示すように、表示部30の位置を調整することなどにより、結像画像32の結像面の位置も調整することができる。これにより、配置される物体80の位置や、その物体80の演出効果について想定される発生位置などに応じて、結像画像32の結像面の位置も調整できるようになる。従って、物体80の種類、大きさ又は設置位置などに応じた空中結像による適切な演出効果を物体80に対して付加することが可能になる。
【0077】
また本実施形態では、例えば、表示部30は、液晶ディスプレイであり、光学素子40は、偏光反射板であり、反射部材50は、位相差付き再帰反射板である。偏光反射板は例えば入射光の偏光状態に応じて入射光を反射したり透過する光学素子である。偏光反射板は偏光型ビームスプリッターとも呼ばれる。位相差付き再帰反射板(再帰反射シート)は、入射光を再帰反射する際に光の偏光状態を変化させる反射部材である。例えば液晶ディスプレイの液晶パネルは、偏光方向が異なる2枚の偏光フィルターにより液晶層を挟んだ構造になっている。また液晶パネルの背後にはバックライトが設けられている。そして例えばTN液晶などの液晶層への電圧印加により、捻れ状態の液晶分子が直立して捻れがとれることを利用して、画素毎の光のシャッター機能を実現して、画像を表示している。このため表示部30である液晶ディスプレイから光学素子40には、例えば第1偏光状態の光が入射される。そして図4の構成の場合には、液晶ディスプレイからの第1偏光状態の光が偏光反射板により反射されるように設定されている。そして反射された第1偏光状態の光は、反射部材50である位相差付き再帰反射板により再帰反射されると、第2偏光状態の光になる。そして、この第2偏光状態の光が、光学素子40である偏光反射板に入射されると、この第2偏光状態の光が光学素子40を透過して、結像画像32として結像されるようになる。一方、図5の構成の場合には、液晶ディスプレイからの第1偏光状態の光が、光学素子40である偏光反射板を透過し、反射部材50である位相差付き再帰反射板からの光が第2偏光状態の光として偏光反射板により反射されるようにすればよい。このように、光学素子40として偏光反射板を用い、反射部材50として位相差付き再帰反射板を用いることで、表示部30が偏光状態の光を出す液晶ディスプレイである場合にも、適正に空中結像を実現できるようになる。またバックライト等を用いて輝度の高い画像の光を出す液晶ディスプレイを用いることで、光の反射や透過で輝度が低下する場合にも、より鮮明な空中結像の画像をユーザに表示することが可能になる。
【0078】
例えば表示部30からの光が偏光であり、光学素子40がハーフミラーであり、反射部材50が通常の再帰反射板である場合には、表示部30からの100%の光は、ハーフミラーでの透過で63%になり、再帰反射板での反射で31.5%になり、ハーフミラーでの透過で8.5%になる。一方、表示部30からの光が偏光であり、光学素子40が偏光反射板であり、反射部材50が位相差付き再帰反射板である場合には、表示部30からの100%の光は、偏光反射板(偏光型ビームスプリッター)での透過で81%になり、位相差付き再帰反射板での反射で40.5%になり、偏光反射板での透過で32.8%になる。このときに光学素子40が偏光反射板であり、反射部材50が通常の再帰反射板である場合には、偏光反射板の透過光は3.6%になってしまう。即ち位相差付き再帰反射板を用いれば、光軸を90度変更することで、透過率を例えば10%から90%に向上できる。
【0079】
また表示部30からの光が散乱光であり、光学素子40がハーフミラーであり、反射部材50が通常の再帰反射板である場合には、表示部30からの100%の光は、ハーフミラーでの透過で63%になり、再帰反射板での反射で31.5%になり、ハーフミラーでの透過で8.5%になる。偏光の表示装置は液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、散乱光の表示装置は、LED、プロジェクター等である。一方、表示部30からの光が散乱光であり、光学素子40が偏光反射板であり、反射部材50が位相差付き再帰反射板である場合には、表示部30からの100%の光は、偏光反射板(偏光型ビームスプリッター)での透過で45%になり、位相差付き再帰反射板での反射で22.5%になり、偏光反射板での透過で18.2%になる。
【0080】
このように表示部30が液晶ディスプレイであり、光学素子40が偏光反射板であり、反射部材50が位相差付き再帰反射板である組合わせは、光のロスが最も少なくなる組合わせとなる。
【0081】
3.空中結像キット
図9図10に本実施形態の演出装置10の詳細な第4構成例を示す。この第4構成例により、図8の構成に比べて小型の空中結像キットなどの実現が可能になる。この演出装置10は、軽量な材料で形成された筐体であるケース20と、ケース20の内部に設けられた光学素子40を含む。ケース20の前方側には配置部22が設けられ、この配置部22に、物体80であるフィギュア81が配置される。そして光学素子40は例えばハーフミラー又は偏光反射板である。なお、図4又は図5の構造でもこの演出装置10のようにキット化可能である。
【0082】
またこの演出装置10では、図10に示すように、表示部30として、表示板36と光源装置38が設けられている。また背景板70も設けられている。表示板36は表示シートであり、主面に表示パターンが形成されている。例えば表示板36は表示パターンが形成されたフィルムなどにより実現できる。そしてこの表示板36は光源装置38の上面39に配置される。これにより、表示板36に形成された表示パターンに対応する画像を光源装置38の光により表示する表示部30が実現される。このようにすることで、図9に示すように、表示パターンに対応するエフェクト画像82を、物体80であるフィギュア81に重ねて空中結像することが可能になる。また背景シートである背景板70は、主面に背景画像が描かれている。この背景板70は、演出装置10のケース20の背面側に設置される。これにより図9に示すように、フィギュア81及びエフェクト画像82の背後に、背景画像を表示できるようになる。
【0083】
図9図10の演出装置10によれば、ユーザが、自身の好みのフィギュア81を空中結像キットの配置部22に配置し、そのフィギュア81に対応する表示板36、背景板70を選んで設置することが可能になる。これによりユーザは、フィギュア81に対して、そのフィギュア81に適切な様々な空中結像による演出効果や背景画像による演出効果を付加して、楽しむことが可能になる。例えば景品獲得装置などにより、フィギュア81とセットで、表示板36や背景板70を、景品としてユーザが獲得できるようにする。或いは空中結像セットであるケース20、光学素子40等を、景品として獲得できるようにしたり、フィギュア81、表示板36又は背景板70を単体で、景品として獲得できるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザは、フィギュア81等の物体80に対して、空中結像等による様々な演出効果を付加して楽しむことが可能になる。
【0084】
このように図9図10の演出装置10では、表示部30は、表示板36に形成された表示パターンに対応する画像を光源装置38からの光により表示する装置となっている。そして光学素子40は、ハーフミラー又は偏光反射板であり、反射部材50は、再帰反射板となっている。表示部30は例えば少なくとも表示板36を含めばよい。ハーフミラーはビームスプリッターの1つである。ハーフミラーは、一部の光を反射し、一部の光を出射するが、偏光反射板のように偏光状態に応じて光を反射又は透過する機能は有していない。偏光反射板は、例えば入射光の偏光状態に応じて入射光を反射したり透過する光学素子である。再帰反射板は通常の再帰反射板であり、位相差付き再帰反射板のように光の偏光状態を変化させる機能は有していない。このような構成の演出装置10によれば、位相差付き再帰反射板に比べて安価な通常の再帰反射板を用いることができ、低コストな演出装置10を実現できる。また表示部30を表示板36と光源装置38により実現できるため、液晶ディスプレイ等を用いる場合に比べて、小型で安価な表示部30を実現できる。また異なる表示パターンの表示板36を用いることで、フィギュア81等の物体80に対して様々なパターンの空中結像の演出効果を付加することができ、小型、安価で演出効果の高い演出装置10を実現できるようになる。
【0085】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また演出装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本開示の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
10…演出装置、12…筐体、14…配置部、15…ベース部、16…キャスター、20…ケース、22…配置部、30…表示部、32…結像画像、34…調整機構、36…表示板、38…光源装置、39…上面、40…光学素子、50…反射部材、60…第2表示部、62…虚像、70…背景板、80…物体、81…フィギュア、82…エフェクト画像、84…背景画像、DR1…第1方向、DR2…第2方向、DR3…第3方向、DR4…第4方向、VP…視点
図1
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図10