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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093053
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/00 20060101AFI20240702BHJP
   F28F 1/40 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F28D7/00 Z
F28F1/40 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209171
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雄太
(72)【発明者】
【氏名】三谷 優人
(72)【発明者】
【氏名】森本 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】亀井 陸史
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】江口 駿作
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】行本 敦弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 誠司
(72)【発明者】
【氏名】東 正之介
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA05
(57)【要約】
【課題】熱交換器が搭載されるシステムに対して機器を設置するスペースを小さくすることができる。
【解決手段】第1流体と第2流体との間で熱交換を行う熱交換器は、軸方向に沿って延在する筒形状のコアを備え、コアは、軸方向に沿って延在する内部空間を画定する内周壁と、内周壁の外周側に配置される外周壁と、を含み、内周壁と外周壁との間には、軸方向に沿って延在するとともに第1流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第1流路と、軸方向に沿って延在するとともに第2流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第2流路とが、コアの周方向において互いに隣接するように配置されている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体との間で熱交換を行う熱交換器であって、
軸方向に沿って延在する筒形状のコアを備え、
前記コアは、
前記軸方向に沿って延在する内部空間を画定する内周壁と、
前記内周壁の外周側に配置される外周壁と、を含み、
前記内周壁と前記外周壁との間には、前記軸方向に沿って延在するとともに前記第1流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第1流路と、前記軸方向に沿って延在するとともに前記第2流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第2流路とが、前記コアの周方向において互いに隣接するように配置されている、
熱交換器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの周方向第1流路は、前記周方向に沿って並ぶ複数の周方向第1流路を含み、
前記少なくとも1つの周方向第2流路は、前記周方向に沿って並ぶ複数の周方向第2流路を含み、
前記複数の周方向第1流路のそれぞれと前記複数の周方向第2流路のそれぞれとは、前記周方向において交互に配置されている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記少なくとも1つの周方向第1流路は、前記コアの径方向に沿って並ぶ複数の径方向第1流路を含み、
前記少なくとも1つの周方向第2流路は、前記径方向に沿って並ぶ複数の径方向第2流路を含み、
前記複数の径方向第1流路のそれぞれと前記複数の径方向第2流路のそれぞれとが、前記周方向において互いに隣接するように配置されている、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの周方向第1流路及び前記少なくとも1つの周方向第2流路のそれぞれは、前記内周壁と前記外周壁との間を前記軸方向に沿って直線状に延び、
前記少なくとも1つの周方向第1流路の入口は、前記軸方向の一方側において前記コアの径方向に開口し、
前記少なくとも1つの周方向第1流路の出口は、前記軸方向の他方側において前記軸方向に開口し、
前記少なくとも1つの周方向第2流路の入口は、前記軸方向の他方側において前記径方向に開口し、
前記少なくとも1つの周方向第2流路の出口は、前記軸方向の一方側において前記軸方向に開口している、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記コアの前記内部空間は、前記第2流体と熱交換された前記第1流体である熱交換済第1流体が流入するように構成されている、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項6】
両側が開口している格納空間が内部に形成される格納管をさらに備え、
前記格納管は、
前記コアの前記内部空間に挿入され、前記格納空間の一方側の一方側開口を含む挿入部と、
前記挿入部の前記軸方向の他方側の他端部から前記コアの径方向の外側に延び、前記格納空間の他方側の他方側開口を含むフランジ部と、を含む、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記コアは、前記コアの前記内部空間を前記軸方向の一方側から覆い、前記格納管の前記挿入部よりも前記軸方向の一方側に位置する一方側壁をさらに含み、
前記内周壁と前記挿入部との間には、前記軸方向に沿って前記フランジ部まで延在し、前記少なくとも1つの周方向第2流路の入口と連通する第2流体流入路が形成されている、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記内周壁の前記内部空間側の表面、及び前記一方側壁の前記内部空間側の表面に設けられる断熱材をさらに備える、
請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記フランジ部を前記内周壁に支持させる第1支持部材をさらに備える、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記挿入部の前記軸方向の一方側の一端部を前記一方側壁に支持させる第2支持部材をさらに備える、
請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記コアの前記内部空間は前記軸方向の前記少なくとも1つの周方向第1流路の出口側に開口しており、
前記内部空間の開口を覆う閉塞壁を含み、前記コアの前記軸方向の他方側の他端部に接続される蓋をさらに備え、
前記閉塞壁と前記コアとの間には、前記少なくとも1つの周方向第1流路の出口、及び前記格納空間の前記他方側開口のそれぞれと連通する第1流体流出路が形成されている、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1流体流出路に配置され、前記少なくとも1つの周方向第1流路から流出された前記第1流体の温度を調温する調温装置をさらに備える、
請求項11に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記調温装置は、前記コア又は前記蓋に脱着可能に取り付けられる、
請求項12に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記コアは、前記コアの前記他端部から前記径方向の外側に延びるコアフランジ部を含み、
前記蓋は、前記蓋の前記軸方向の一方側の一端部から前記径方向の外側に延びる蓋フランジ部を含み、
前記コアフランジ部と前記蓋フランジ部とを締結するボルトと、をさらに備える、
請求項11に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記コアの前記軸方向の一方側の一端部に接続されるヘッダをさらに備え、
前記ヘッダは、前記一方側壁との間に前記少なくとも1つの周方向第1流路の入口と連通する第1流体流入路を形成する第1壁を含む、
請求項7に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記ヘッダは、前記コアとの間に前記少なくとも1つの周方向第2流路の出口と連通する第2流体流出路を形成する第2壁を含む、
請求項15に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記コアは、前記内周壁と前記外周壁との間を前記周方向第1流路と前記周方向第2流路とに仕切る伝熱壁を含んでおり、
前記伝熱壁は、前記周方向第1流路の内部、又は前記周方向第2流路の内部に向かって突出する突起を有する、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1流体と第2流体とを熱交換させる熱交換器は、軸方向に沿って延在し第1流体が流通する第1流路、及び軸方向に沿って延在し第2流体が流通する第2流路が形成されている熱交換コアを備えることが開示されている。
【0003】
特許文献2には、第1流体が流通し熱回収部材が配置される第1流路を形成する内筒と、第1流路よりも内筒の径方向外側を第2流体が流通する第2流路を形成する外筒と、を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/172320号
【特許文献2】特開2021-113655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱交換器は、宇宙船や航空機など機器を設置するスペースが限られているシステムに搭載されることがある。このため、熱交換器は、熱交換器と熱交換器以外の他の機器とを足し合わせた機器容積が小さくなるように構成されることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、熱交換器が独立して設けられているので、機器容積を小さくするように構成されていない。さらに、熱交換器で熱交換された流体を供給対象に供給するために配管の設置が必要となり、機器容積を大きくする虞がある。特許文献2に記載の技術では、熱交換が行われる流路内に他の機器(熱回収部材)が配置されているので、少なくとも熱回収部材の配置が可能な程度に流路の径を確保する必要があり、熱交換器の容積が大きくなる虞がある。また、流路の径が大きくなると、伝熱面積が小さくなり、熱交換効率が低下する虞がある。
【0006】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、熱交換器が搭載されるシステムに対して機器を設置するスペースを小さくすることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る熱交換器は、第1流体と第2流体との間で熱交換を行う熱交換器であって、軸方向に沿って延在する筒形状のコアを備え、前記コアは、前記軸方向に沿って延在する内部空間を画定する内周壁と、前記内周壁の外周側に配置される外周壁と、を含み、前記内周壁と前記外周壁との間には、前記軸方向に沿って延在するとともに前記第1流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第1流路と、前記軸方向に沿って延在するとともに前記第2流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第2流路とが、前記コアの周方向において互いに隣接するように配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の熱交換器によれば、熱交換器が搭載されるシステムに対して機器を設置するスペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るコアの構成を説明するための図である。
図3】第1実施形態に係るコアの構成を説明するための図である。
図4A】第1実施形態に係る周方向第1流路の構成を概略的に示す図である。
図4B】第1実施形態に係る周方向第2流路の構成を概略的に示す図である。
図5】第2実施形態に係るコアの構成を説明するための図である。
図6A】第2実施形態に係る周方向第1流路の構成を概略的に示す図である。
図6B】第2実施形態に係る周方向第2流路の構成を概略的に示す図である。
図7】第3実施形態に係る熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
図8】第3実施形態に係る熱交換器の構成を説明するための図である。
図9】幾つかの実施形態に係る熱交換器の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態による熱交換器について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0011】
<第1実施形態>
(構成)
本開示に係る熱交換器1は、第1流体X1と第2流体X2との間で熱交換を行う。第1流体X1及び第2流体X2のそれぞれは、液体であってもよいし気体であってもよいが、通常は両者の温度は異なっている。本開示では、第1流体X1が第2流体X2よりも低温である場合を例にして説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る熱交換器1A(1)の構成を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、熱交換器1Aは、軸方向D1に沿って延在する筒形状のコア2を含む。図1に例示する形態では、コア2は円筒形状を有しており、コア2の内部空間3は軸方向D1の両側に開口している。幾つかの実施形態では、コア2の内部空間3は軸方向D1の一方側のみに開口している。
【0013】
図2は、第1実施形態に係るコア2の構成を説明するための図であって、コア2をコア2の径方向D2から視ている。図3は、第1実施形態に係るコア2の構成を説明するための図であって、コア2を軸方向D1から視ている。本開示において、径方向D2は、軸方向D1と直交する方向であって、コア2の軸線Oを始点としている。
【0014】
図2に示すように、コア2は、軸方向D1に沿って延在する内部空間3を画定する内周壁4と、この内周壁4の外周側に配置される外周壁6と、を含む。第1実施形態では、内周壁4及び外周壁6の両方が円筒形状を有しており、外周壁6は内周壁4よりも大径である。外周壁6は、内周壁4を径方向D2の外側から覆っている。外周壁6と内周壁4との間には、後述する周方向第1流路8及び周方向第2流路10を含む隙間5が形成されている。
【0015】
図3に示すように、内周壁4と外周壁6との間(隙間5)には、第1流体X1が流通可能な周方向第1流路8と、第2流体X2が流通可能な周方向第2流路10とが、コア2の周方向D3において互いに隣接するように配置されている。第1実施形態では、周方向第1流路8及び周方向第2流路10のそれぞれは、隙間5を軸方向D1に沿って直線状に延びている(図4A及び図4B参照)。尚、本開示は、周方向第1流路8及び周方向第2流路10のそれぞれが軸方向D1に沿って任意の形状に延びていればよく、直線状に延びることに限定するものではない。
【0016】
第1実施形態では、図3に例示するように、コア2は、隙間5を周方向第1流路8と周方向第2流路10とに仕切る伝熱壁12を含んでいる。周方向D3において、伝熱壁12は、周方向第1流路8と周方向第2流路10との間に位置している。周方向D3において、周方向第1流路8は、伝熱壁12を挟んで周方向第2流路10とは反対側に位置している。径方向D2において、周方向第1流路8と周方向第2流路10は、互いに少なくとも一部が重なり合っている。径方向D2において、周方向第1流路8と周方向第2流路10は、互いに同じ位置である。軸線Oから周方向第1流路8までの距離と軸線Oから周方向第2流路10までの距離は同一、又はほぼ同一である。
【0017】
図3に例示する形態では、コア2は複数の伝熱壁12を含んでおり、隙間5は周方向D3に沿って並ぶ複数の周方向第1流路8と周方向D3に沿って並ぶ複数の周方向第2流路10とを含んでいる。そして、複数の周方向第1流路8のそれぞれと複数の周方向第2流路10のそれぞれとは、周方向D3の全体に亘って交互に配置されている。
【0018】
図3に例示する形態では、伝熱壁12は、周方向第1流路8の内部、又は周方向第2流路10の内部の何れか一方に向かって突出する突起13を有している。不図示であるが、幾つかの実施では、伝熱壁12は、周方向第1流路8の内部に向かって突出する第1の突起、及び、周方向第2流路10の内部に向かって突出する第2の突起を有する。
【0019】
図4Aは、第1実施形態に係る周方向第1流路8の構成を概略的に示す図である。第1実施形態では、図4Aに例示するように、周方向第1流路8の入口14は、軸方向D1の一方側において径方向D2の内側に開口している。そして、周方向第1流路8の出口16は、軸方向D1の他方側において軸方向D1の他方に向かって開口している。周方向第1流路8は、軸方向D1に平行となるように直線状に延びている。
【0020】
図4Bは、第1実施形態に係る周方向第2流路10の構成を概略的に示す図である。第1実施形態では、図4Bに例示するように、周方向第2流路10の入口18は、軸方向D1の他方側において径方向D2の内側に開口している。そして、周方向第2流路10の出口20は、軸方向D1の一方側において軸方向D1の一方に向かって開口している。周方向第2流路10は、軸方向D1に平行となるように直線状に延びている。
【0021】
尚、本開示は、図4A及び図4Bに例示する形態に限定されない、幾つかの実施形態では、周方向第1流路8の入口14は、径方向D2の外側に開口している。幾つかの実施形態では、周方向第2流路10の入口18は、径方向D2の外側に開口している。幾つかの実施形態では、周方向第1流路8の入口14及び周方向第2流路10の入口18の両方が軸方向D1の一方側に位置し、周方向第1流路8の出口16及び周方向第2流路10の出口20の両方が軸方向D1の他方側に位置する。つまり、第1流体X1と第2流体X2のそれぞれが、軸方向D1の一方側から他方側に向かって流通するようになっている。
【0022】
第1実施形態では、コア2は、不図示の3Dプリンタによって粉末状の材料である粉体が積層造形された造形物である。3Dプリンタは、例えば3DCAD(computer-aide design)データ又は3DCG(Three-dimensional computer graphics)データに基づき3次元のオブジェクト(コア2)を造形する三次元積層造形装置である。この3Dプリンタは、例えば、粉体をレーザで局所的に溶融させた後、焼き固めて積層造形させるように構成されており、粉体を貯蔵する材料バケットと、造形物を形成するための造形ステージと、余剰の粉体を貯留するための余剰分バケットと、を備えている。
【0023】
(作用・効果)
第1実施形態に係る熱交換器1Aの作用・効果について説明する。第1実施形態によれば、周方向D3において、周方向第1流路8及び周方向第2流路10は、伝熱壁12を挟んで、互いに隣接している。このため、周方向第1流路8を流通する第1流体X1と周方向第2流路10を流通する第2流体X2との間で熱交換を行わせることができる。そして、内周壁4によって画定されている内部空間3に熱交換器1A以外の機器を格納することができる。このため、熱交換器1Aが搭載されるシステム(宇宙船や航空機など)に対して機器を設置するスペース(熱交換器1Aとこの熱交換器1A以外の他の機器とを足し合わせた機器容積)を小さくすることができる。
【0024】
第1実施形態によれば、周方向第1流路8の周方向D3の両側に周方向第2流路10が配置され、周方向第2流路10の周方向D3の両側に周方向第1流路8が配置されている。このため、熱交換器1Aの熱交換効率を高めることができる。
【0025】
第1実施形態によれば、周方向第1流路8の出口16を介して周方向第1流路8内を確認することができるので、周方向第1流路8のメンテナンスを容易化することができる。同様に、周方向第2流路10の出口20を介して周方向第2流路10内を確認することができるので、周方向第2流路10のメンテナンスを容易化することができる。特に、コア2が3Dプリンタによって積層造形された造形物である場合、周方向第1流路8内や周方向第2流路10内には粉体が残る可能性があるが、これらの流路内の清掃を容易化することができる。
【0026】
第1実施形態によれば、伝熱壁12が突起13を有するので、伝熱壁12が周方向第1流路8に面する伝熱面積、又は伝熱壁12が周方向第2流路10に面する伝熱面積の何れか一方を増大させる。このため、第1流体X1と第2流体X2との間の伝熱量(熱交換量)を増大させ、熱交換効率を高めることができる。
【0027】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る熱交換器1Aについて説明する。第2実施形態では、周方向第1流路8が径方向第1流路22を含み、且つ周方向第2流路10が径方向第2流路24を含んでいる点で第1実施形態と異なる。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0028】
(構成)
図5は、第2実施形態に係るコア2の構成を説明するための図であって、コア2の一部を軸方向D1から拡大して視ている。第2実施形態では、図5に例示するように、周方向第1流路8は、径方向D2に沿って並ぶ複数の径方向第1流路22を含む。周方向第2流路10は、径方向D2に沿って並ぶ複数の径方向第2流路24を含む。
【0029】
複数の径方向第1流路22のそれぞれは、周方向D3において、互いに少なくとも一部が重なり合っている。コア2は、径方向D2において互いに隣り合う径方向第1流路22、22の間に設けられる第1の径方向仕切壁23を含んでいる。第2実施形態では、コア2は3Dプリンタによって積層造形された造形物であり、内周壁4、外周壁6、伝熱壁12及び、第1の径方向仕切壁23が一体的に構成されている。
【0030】
図5に例示する形態では、複数の径方向第1流路22は、径方向D2の内側から外側に向かって順に、第1の径方向第1流路22A(22)、第2の径方向第1流路22B(22)、第3の径方向第1流路22C(22)、第4の径方向第1流路22D(22)、及び第5の径方向第1流路22E(22)を含んでいる。第1の径方向第1流路22Aは、複数の径方向第1流路22のうち最も径方向D2の内側に位置している。第5の径方向第1流路22E、複数の径方向第1流路22のうち最も径方向D2の外側に位置している。
【0031】
尚、図5に図示されていないが、伝熱壁12は、第1の径方向第1流路22Aの内部、第2の径方向第1流路22Bの内部、第3の径方向第1流路22Cの内部、第4の径方向第1流路22Dの内部、及び第5の径方向第1流路22Eの内部の少なくとも1つに向かって突出する突起13を有していてもよい。
【0032】
複数の径方向第2流路24のそれぞれは、周方向D3において、互いに少なくとも一部が重なり合っている。コア2は、径方向D2において互いに隣り合う径方向第2流路24、24の間に設けられる第2の径方向仕切壁25を含んでいる。第2の径方向仕切壁25は、内周壁4、外周壁6、伝熱壁12、及び第1の径方向仕切壁23とともに一体的に構成されている。
【0033】
図5に例示する形態では、複数の径方向第2流路24は、径方向D2の内側から外側に向かって順に、第1の径方向第2流路24A(24)、第2の径方向第2流路24B(24)、第3の径方向第2流路24C(24)、第4の径方向第2流路24D(24)、及び第5の径方向第2流路24E(24)を含む。第1の径方向第2流路24Aは、複数の径方向第2流路24のうち最も径方向D2の内側に位置している。第5の径方向第2流路24E、複数の径方向第2流路24のうち最も径方向D2の外側に位置している。
【0034】
尚、図5に図示されていないが、伝熱壁12は、第1の径方向第2流路24Aの内部、第2の径方向第2流路24Bの内部、第3の径方向第2流路24Cの内部、第4の径方向第2流路24Dの内部、及び第5の径方向第2流路24Eの内部の少なくとも1つに向かって突出する突起13を有していてもよい。
【0035】
第2実施形態では、図5に例示するように、複数の径方向第1流路22のそれぞれと複数の径方向第2流路24のそれぞれとが、周方向D3において互いに隣接するように配置されている。径方向D2において、複数の径方向第1流路22のそれぞれと複数の径方向第2流路24は、互いに同じ位置である。
【0036】
図6Aは、第2実施形態に係る1つの周方向第1流路8の構成を概略的に示す図である。第2実施形態では、図6Aに例示するように、内周壁4と外周壁6との間の隙間5は、第1分岐部26を含む。第1分岐部26は、周方向第1流路8の入口14を含むとともに、複数の径方向第1流路22のそれぞれと連通している。つまり、第1分岐部26に流入した第1流体X1は、複数の径方向第1流路22のそれぞれに分岐して流通する。
【0037】
図6Bは、第2実施形態に係る1つの周方向第2流路10の構成を概略的に示す図である。第2実施形態では、図6Bに例示するように、内周壁4と外周壁6と間の隙間5は、第2分岐部28を含む。第2分岐部28は、周方向第2流路10の入口18を含むとともに、複数の径方向第2流路24のそれぞれと連通している。つまり、第2分岐部28に流入した第2流体X2は、複数の径方向第2流路24のそれぞれに分岐して流通する。
【0038】
(作用・効果)
第2実施形態に係る熱交換器1Aの作用・効果について説明する。第2実施形態によれば、複数の径方向第1流路22と流路断面積が等しい1つの径方向第1流路22を含む場合と比較して、第1の径方向仕切壁23が設けられるので、コア2の強度を高めることができる。同様に、複数の径方向第2流路24と流路断面積が等しい1つの径方向第2流路24を含む場合と比較して、第2の径方向仕切壁25が設けられるので、コア2の強度を高めることができる。
【0039】
第2実施形態によれば、コア2の隙間5が第1分岐部26を含むことで、周方向第1流路8は、周方向第2流路10に干渉することなく、第1流体X1を複数の径方向第1流路22のそれぞれに分岐させることができる。同様に、コア2の隙間5が第2分岐部28を含むことで、周方向第2流路10は、周方向第1流路8に干渉することなく、第2流体X2を複数の径方向第2流路24のそれぞれに分岐させることができる。
【0040】
コア2が、内部空間3が非形成である中実形状を有している場合、径方向D2の内側で互いに隣接している周方向第1流路8と周方向第2流路10との間の距離(伝熱壁12の周方向D3の肉厚)と径方向D2の外側で互いに隣接している周方向第1流路8と周方向第2流路10との間の距離との差が大きくなる。このため、コア2は、径方向D2における伝熱量に大きな差が生じ、熱交換器1の性能が低下する虞がある。第2実施形態によれば、コア2は、径方向D2の内側に内部空間3が形成されている中空形状を有している。このため、径方向D2の内側で互いに隣接している周方向第1流路8と周方向第2流路10との間の距離と径方向D2の外側で互いに隣接している周方向第1流路8と周方向第2流路10との間の距離との差を小さくすることができる。このため、コア2の径方向D2における伝熱量の差を抑制し、熱交換器1Aの性能低下を抑制することができる。
【0041】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る熱交換器1Bについて説明する。第3実施形態では、熱交換器1Bは、コア2に加え、蓋40、ヘッダ50、格納管60、及び断熱材80をさらに含む点で第1実施形態及び第2実施形態のそれぞれと異なる。第3実施形態において、第1実施形態の構成要件及び第2実施形態の構成要件のそれぞれと同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0042】
(構成)
図7は、第3実施形態に係る熱交換器1B(1)の構成を概略的に示す斜視図である。図8は、第3実施形態に係る熱交換器1Bの構成を説明するための図である。第3実施形態では、図7及び図8に示すように、熱交換器1Bは、コア2と、蓋40と、ヘッダ50と、を含む。また、図8に示すように、この熱交換器1Bは、格納管60と、断熱材80と、を含む。
【0043】
第3実施形態では、図8に例示するように、コア2は、内部空間3を軸方向D1の一方側から覆う一方側壁30をさらに含んでいる。この一方側壁30は、後述する格納管60の挿入部62よりも軸方向D1の一方側に位置している。一方側壁30は、内周壁4と一体的に構成されている。一方側壁30は、内周壁4の軸方向D1の一方側の一端面4aよりも軸方向D1の他方側に位置している。
【0044】
コア2の内部空間3は、軸方向D1の他方側(周方向第1流路8の出口16側)に開口している。蓋40は、内部空間3の開口31を覆う閉塞壁42を含む。第3実施形態では、図8に例示するように、閉塞壁42は、内部空間3の開口31よりも大径である。さらに、閉塞壁42は、内部空間3の開口31よりも軸方向D1の他方側に位置している。蓋40は、閉塞壁42の縁から軸方向D1の一方側に沿って延びる蓋壁44をさらに含んでおり、凹形状を有している。この蓋壁44は、蓋40の軸方向D1の一方側の一端部を含んでいる。
【0045】
蓋40は、コア2の軸方向D1の他方側の他端部32に接続される。第3実施形態では、蓋壁44がコア2の他端部32に脱着可能に構成されている。図7及び図8に例示するように、コア2は、コア2の他端部32から径方向D2の外側に延びるコアフランジ部33を含んでいる。蓋40は、蓋壁44から径方向D2の外側に延びる蓋フランジ部46を含んでいる。そして、熱交換器1Bは、コアフランジ部33と蓋フランジ部46とを締結するボルト81をさらに含んでいる。
【0046】
ヘッダ50は、コア2の軸方向D1の一方側の一端部34に接続される。第3実施形態では、図8に例示するように、ヘッダ50は、第1壁52と、第2壁54と、ヘッダ壁56と、を含んでいる。
【0047】
第1壁52は、コア2の一方側壁30との間に周方向第1流路8の入口14と連通する第1流体流入路51を形成する。第1壁52は、コア2の一方側壁30よりも軸方向D1の一方側に位置している。周方向第1流路8の入口14は、内周壁4に形成されており、一方側壁30よりも軸方向D1の一方側に位置している。図8に例示する形態では、ヘッダ50は、第1壁52に接続され、熱交換器1Bの外部から供給される第1流体X1を第1流体流入路51に流入するための流入管58を含んでいる。
【0048】
第2壁54は、コア2との間に周方向第2流路10の出口20と連通する第2流体流出路53を形成する。第2壁54は、第1壁52及びコア2の一端部34のそれぞれよりも軸方向D1の一方側に位置している。第2壁54は、第1壁52よりも大径であり、第1壁52を軸方向D1の一方側から覆っている。図8に例示する形態では、ヘッダ50は、第2壁54に接続され、第2流体流出路53から第2流体X2を熱交換器1Bの外部に流出するための流出管59を含んでいる。
【0049】
ヘッダ壁56は、第2壁54の縁から軸方向D1の他方側に沿って延びており、コア2の一端部34に脱着可能に構成されている。第3実施形態では、図7及び図8に例示するように、コア2は、コア2の一端部34から径方向D2の外側に延びる第2のコアフランジ部35を含んでいる。ヘッダ50は、ヘッダ壁56から径方向D2の外側に延びるヘッダフランジ部57を含んでいる。そして、熱交換器1Bは、第2のコアフランジ部35とヘッダフランジ部57とを締結する第2のボルト82をさらに含んでいる。
【0050】
図8に例示するように、格納管60は、内部に格納空間61が形成されている。この格納空間61は、軸方向D1の両側が開口している。第3実施形態では、格納管60の格納空間61には、構造物100が配置されている。構造物100は、第2流体X2と熱交換された第1流体X1を利用するものであれば特に限定されない。第3実施形態では、構造物100は、第1流体X1から有毒成分を除去するための触媒101(100)である。幾つかの実施形態では、構造物100は、燃焼器、電動機などである。
【0051】
格納管60は、挿入部62と、フランジ部63と、を含む。挿入部62は、筒形状を有しており、コア2の内部空間3に挿入される。挿入部62は、格納空間61の軸方向D1の一方側の一方側開口64を含む。一方側開口64は、コア2の一方側壁30よりも軸方向D1の他方側に位置しており、コア2の内部空間3に開口している。つまり、コア2の内部空間3は、軸方向D1における一方側壁30と挿入部62との間に位置する折返し部3aであって、後述する無毒化済第1流体X13が流通する折返し部3aを含んでいる。
【0052】
フランジ部63は、挿入部62よりも肉厚の筒形状を有しており、挿入部62の軸方向D1の他方側の他端部66から径方向D2の外側に延びる。フランジ部63は、格納空間61の軸方向D1の他方側の他方側開口65を含む。フランジ部63は、コア2の他端部32と接続されている。挿入部62の内面とフランジ部63の内面とは互いに面一となっている。尚、第3実施形態では、フランジ部63は、挿入部62の他端に接続され、挿入部62よりも軸方向D1の他方側に位置しているが、本開示はこの形態に限定されない。幾つかの実施形態では、フランジ部63は、挿入部62の他端よりも軸方向D1の一方側に位置している。
【0053】
第3実施形態では、図8に例示するように、蓋40の閉塞壁42とコア2との間には、周方向第1流路8の出口16、及び格納空間61の他方側開口65のそれぞれと連通する第1流体流出路70が形成されている。つまり、周方向第1流路8から流出する第1流体X1は、第1流体流出路70を流通して、格納管60の格納空間61に流入する。このように、コア2の内部空間3は、格納管60を介して、第2流体X2と熱交換された第1流体X1である熱交換済第1流体X11(1)が流入するように構成されている。
【0054】
第3実施形態では、図8に例示するように、熱交換器1Bは、第1流体流出路70に配置される調温装置90をさらに含む。調温装置90は、周方向第1流路8から流出する熱交換済第1流体X11の温度を調温する。このような調温装置90は、例えば、熱交換済第1流体X11を予め設定された温度に加熱する加熱装置であってあってもよいし、熱交換済第1流体X11を予め設定された温度に冷却する冷却装置であってもよい。第3実施形態では、調温装置90は、熱交換済第1流体X11を触媒101による有毒成分の除去が可能な温度(例えば、200度)に加熱する加熱装置である。調温装置90によって加熱された熱交換済第1流体X11は、加熱済第1流体X12(X1)として格納管60の格納空間61に流入する。そして、加熱済第1流体X12は触媒101と接触して有毒成分が除去される。触媒101によって無毒化された加熱済第1流体X12は、無毒化済第1流体X13(X1)としてコア2の内部空間3の折返し部3aに流入する。
【0055】
第3実施形態では、調温装置90は、コア2に脱着可能に取り付けられている。不図示であるが、例えば、調温装置90は、伝熱管と、伝熱管を支持する支持板と、を含む。支持板は、コア2の軸方向D1の他方側の端面(他端部32)に形成されるスリットに嵌め込まれている。幾つかの実施形態では、調温装置90は蓋40に脱着可能に取り付けられている。
【0056】
第3実施形態では、図8に例示するように、挿入部62の外径は内周壁4の内径よりも小さく、内周壁4と挿入部62との間には、軸方向D1に沿って挿入部62の軸方向D1の一方側の一端からフランジ部63まで延在する第2流体流入路72が形成されている。第2流体流入路72は、コア2の内部空間3の折返し部3aと周方向第2流路10の入口18と連通する。周方向第2流路10の入口18は、内周壁4に形成されており、フランジ部63よりも軸方向D1の一方側に位置している。内部空間3の折返し部3aから第2流体流入路72に流入した無毒化済第1流体X13は、第2流体流入路72を軸方向D1の他方側に向かって流通する。そして、この無毒化済第1流体X13は、第2流体X2として、周方向第2流路10に流入する。そして、第1流体X1と熱交換された熱交換済第2流体X21(X2)は、第2流体流出路53を流通し、上述したように、流出管59を介して熱交換器1Bの外部に流出(排出)される。
【0057】
断熱材80は、内周壁4の内部空間3側の表面74、及び一方側壁30の内部空間3側の表面76に設けられる。断熱材80は、第2流体流入路72を流通する無毒化済第1流体X13と周方向第1流路8を流通する第1流体X1との間の熱交換を抑制するとともに、第2流体流入路72を流通する無毒化済第1流体X13と周方向第2流路10を流通する第2流体X2との間の熱交換を抑制する。さらに、断熱材80は、コア2の内部空間3の折返し部3aを流通する無毒化済第1流体X13と第1流体流入路51を流通する第1流体X1との間の熱交換を抑制する。
【0058】
(作用・効果)
第3実施形態に係る熱交換器1Bの作用・効果について説明する。第3実施形態によれば、コア2の内部空間3に熱交換済第1流体X11が流入するように構成されているので、温度制御が要求される機器を内部空間3に格納することができる。さらに、内部空間3は、周方向D3の全体に亘って周方向第1流路8及び周方向第2流路10を含む熱交換部分に覆われているので、この機器の熱損失を抑制することができる。尚、本開示は、内部空間3に熱交換済第1流体X11が流入される構成に限定するものではない。幾つかの実施形態では、内部空間3は、熱交換済第1流体X11が非流入であるように構成される。
【0059】
第3実施形態によれば、熱交換器1Bは触媒101を格納する格納管60を含んでいるので、コア2と格納管60とを互いに別体にし、触媒101のメンテナンスを容易化することができる。
【0060】
第3実施形態によれば、コア2が一方側壁30を含むことで内部空間3に折返し部3aが含まれるようになり、格納管60から流出した無毒化済第1流体X13の流通方向を周方向第2流路10の入口18に向けて折り返すことができる。このため、第1流体X1が周方向第1流路8を流通する方向と第2流体X2が周方向第2流路10を流通する方向とを互いに反対向きにさせ、熱交換器1Bの熱交換効率を高めることができる。
【0061】
第3実施形態によれば、熱交換器1Bは断熱材80を含むので、第1流体X1及び第2流体X2のそれぞれと無毒化済第1流体X13との熱交換が抑制される。このため、熱交換器1Bの熱交換効率の低下を抑制できる。
【0062】
第3実施形態によれば、熱交換器1Bは蓋40を含み、蓋40の閉塞壁42とコア2との間には第1流体流出路70が形成されている。このため、格納空間61に熱交換済第1流体X12を流入させることができる。さらに、熱交換器1Bは、第1流体流出路70に配置される調温装置90を含むので、触媒101による有毒成分の除去が可能な温度に調整してから熱交換済第1流体X11を格納空間61に流入させることができる。また、この調温装置90は、コア2に脱着可能に取り付けられているので、調温装置90のメンテナンス性を向上させることができる。
【0063】
第3実施形態によれば、ボルト81によってコアフランジ部33と蓋フランジ部46とが互いに締結されるので、コア2の内部空間3、周方向第1流路8、及び周方向第2流路10の気密性を高めることができる。
【0064】
第3実施形態によれば、熱交換器1Bはヘッダ50を含み、ヘッダ50の第1壁52とコア2の一方側壁30との間には第1流体流入路51が形成され、ヘッダ50の第2壁54とコア2との間には第2流体流出路53が形成されている。このため、周方向第1流路8に第1流体X1を流入させるとともに、周方向第2流路10から熱交換済第2流体X21を流出させることができる。
【0065】
図9は、幾つかの実施形態に係る熱交換器1Bの構成を説明するための図である。幾つかの実施形態では、図9に例示するように、熱交換器1Bは、フランジ部63を内周壁4に支持させる第1支持部材92と、挿入部62の軸方向D1の一方側の一端部93を一方側壁30に支持させる第2支持部材94と、を含む。
【0066】
図9に例示する形態では、挿入部62の一端部93は、挿入部62のうち一方側開口64を含む部分である。第1支持部材92は、例えば、リング形状を有しており、内周壁4の表面74に取り付けられている。この第1支持部材92は、フランジ部63を径方向D2の外側から押える機能を有する。第2支持部材94は、例えば、筒形状を有しており、一方側壁30の表面76から軸方向D1の他方側に沿って延びている。第2支持部材94の内径は挿入部62の外径と略同一であり、挿入部62の一端部93が第2支持部材94に嵌め込まれている。尚、第2支持部材94は、無毒化済第1流体X13を第2流体流入路72に流通可能に構成されている。
【0067】
図9に例示して説明した構成によれば、第1支持部材92が設けられることで、コア2からの格納管60の脱落を抑制することができる。さらに、第2支持部材94が設けられることで、第1支持部材92だけが設けられる場合と比較して、格納管60のフランジ部63及び挿入部62の一端部93の両方がコア2によって支持されるので、格納管60の振動をさらに抑制するとともに、格納管60における応力集中をさらに抑制し、熱交換器1Bの耐久性を高めることができる。
【0068】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0069】
[1]本開示に係る熱交換器(1)は、
第1流体(X1)と第2流体(X2)との間で熱交換を行う熱交換器であって、
軸方向(D1)に沿って延在する筒形状のコア(2)を備え、
前記コアは、
前記軸方向に沿って延在する内部空間(3)を画定する内周壁(4)と、
前記内周壁の外周側に配置される外周壁(6)と、を含み、
前記内周壁と前記外周壁との間には、前記軸方向に沿って延在するとともに前記第1流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第1流路(8)と、前記軸方向に沿って延在するとともに前記第2流体が流通可能な少なくとも1つの周方向第2流路(10)とが、前記コアの周方向(D3)において互いに隣接するように配置されている。
【0070】
上記[1]に記載の構成によれば、周方向第1流路を流通する第1流体と周方向第2流路を流通する第2流体との間で熱交換を行わせることができる。そして、内周壁によって画定されている内部空間に熱交換器以外の機器を格納することができる。このため、熱交換器が搭載されるシステムに対して機器を設置するスペースを小さくすることができる。
【0071】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]に記載の構成において、
前記少なくとも1つの周方向第1流路は、前記周方向に沿って並ぶ複数の周方向第1流路を含み、
前記少なくとも1つの周方向第2流路は、前記周方向に沿って並ぶ複数の周方向第2流路を含み、
前記複数の周方向第1流路のそれぞれと前記複数の周方向第2流路のそれぞれとは、前記周方向において交互に配置されている。
【0072】
上記[2]に記載の構成によれば、周方向第1流路の周方向の両側に周方向第2流路が配置され、周方向第2流路の周方向の両側に周方向第1流路が配置される。このため、熱交換器の熱交換効率を高めることができる。
【0073】
[3]幾つかの実施形態では、上記[1]又は[2]に記載の構成において、
前記少なくとも1つの周方向第1流路は、前記コアの径方向(D2)に沿って並ぶ複数の径方向第1流路(22)を含み、
前記少なくとも1つの周方向第2流路は、前記径方向に沿って並ぶ複数の径方向第2流路(24)を含み、
前記複数の径方向第1流路のそれぞれと前記複数の径方向第2流路のそれぞれとが、前記周方向において互いに隣接するように配置されている。
【0074】
上記[3]に記載の構成によれば、複数の径方向第1流路と流路断面積が等しい1つの径方向第1流路を含む場合と比較して、コアの強度を高めることができる。同様に複数の径方向第2流路と流路断面積が等しい1つの径方向第2流路を含む場合と比較して、コアの強度を高めることができる。
【0075】
[4]幾つかの実施形態では、上記[1]から[3]の何れか1つに記載の構成において、
前記少なくとも1つの周方向第1流路及び前記少なくとも1つの周方向第2流路のそれぞれは、前記内周壁と前記外周壁との間を前記軸方向に沿って直線状に延び、
前記少なくとも1つの周方向第1流路の入口(14)は、前記軸方向の一方側において前記コアの径方向に開口し、
前記少なくとも1つの周方向第1流路の出口(16)は、前記軸方向の他方側において前記軸方向に開口し、
前記少なくとも1つの周方向第2流路の入口(18)は、前記軸方向の他方側において前記径方向に開口し、
前記少なくとも1つの周方向第2流路の出口(20)は、前記軸方向の一方側において前記軸方向に開口している。
【0076】
上記[4]に記載の構成によれば、周方向第1流路の出口を介して周方向第1流路内を確認することができるので、周方向第1流路のメンテナンスを容易化することができる。同様に、周方向第2流路の出口を介して周方向第2流路内を確認することができるので、周方向第2流路のメンテナンスを容易化することができる。
【0077】
[5]幾つかの実施形態では、上記[1]から[4]の何れか1つに記載の構成において、
前記コアの前記内部空間は、前記第2流体と熱交換された前記第1流体である熱交換済第1流体(X11)が流入するように構成されている。
【0078】
上記[5]に記載の構成によれば、温度制御が要求される機器を内部空間に格納することができる。さらに、内部空間は、周方向第1流路及び周方向第2流路を含む熱交換部分に覆われているので、上記の機器の熱損失を抑制することができる。
【0079】
[6]幾つかの実施形態では、上記[1]から[5]の何れか1つに記載の構成において、
両側が開口している格納空間(61)が内部に形成される格納管(60)をさらに備え、
前記格納管は、
前記コアの前記内部空間に挿入され、前記格納空間の一方側の一方側開口(64)を含む挿入部(62)と、
前記挿入部の前記軸方向の他方側の他端部から前記コアの径方向の外側に延び、前記格納空間の他方側の他方側開口(65)を含むフランジ部(63)と、を含む。
【0080】
上記[6]に記載の構成によれば、コアと熱交換器以外の機器を格納する格納管とを互いに別体にし、格納管内の機器のメンテナンスを容易化することができる。
【0081】
[7]幾つかの実施形態では、上記[6]に記載の構成において、
前記コアは、前記コアの前記内部空間を前記軸方向の一方側から覆い、前記格納管の前記挿入部よりも前記軸方向の一方側に位置する一方側壁(30)をさらに含み、
前記内周壁と前記挿入部との間には、前記軸方向に沿って前記フランジ部まで延在し、前記少なくとも1つの周方向第2流路の入口と連通する第2流体流入路(72)が形成されている。
【0082】
上記[7]に記載の構成によれば、第1流体が流れる方向を第2流体が流れる方向と反対向きにし、熱交換効率を高めることができる。
【0083】
[8]幾つかの実施形態では、上記[7]に記載の構成において、
前記内周壁の前記内部空間側の表面(74)、及び前記一方側壁の前記内部空間側の表面(76)に設けられる断熱材(80)をさらに備える。
【0084】
上記[8]に記載の構成によれば、周方向第1流路を流通する第1流体及び周方向第2流路を流通する第2流体のそれぞれが、挿入部の一方側開口から周方向第2流路の入口まで流通する流体と熱交換することを抑制し、熱交換効率の低下を抑制できる。。
【0085】
[9]幾つかの実施形態では、上記[6]から[8]の何れか1つに記載の構成において、
前記フランジ部を前記内周壁に支持させる第1支持部材(92)をさらに備える。
【0086】
上記[9]に記載の構成によれば、コアからの格納管の脱落を抑制することができる。
【0087】
[10]幾つかの実施形態では、上記[9]に記載の構成において、
前記挿入部の前記軸方向の一方側の一端部(93)を前記一方側壁に支持させる第2支持部材(94)をさらに備える。
【0088】
上記[10]に記載の構成によれば、上記[9]の構成と比較して、格納管のフランジ部及び挿入部の一端部の両方がコアによって支持されるので、格納管の振動をさらに抑制するとともに、格納管における応力集中をさらに抑制し、熱交換器の耐久性を高めることができる。
【0089】
[11]幾つかの実施形態では、上記[6]から[10]の何れか1つに記載の構成において、
前記コアの前記内部空間は前記軸方向の前記少なくとも1つの周方向第1流路の出口側に開口しており、
前記内部空間の開口を覆う閉塞壁(42)を含み、前記コアの前記軸方向の他方側の他端部(32)に接続される蓋(40)をさらに備え、
前記閉塞壁と前記コアとの間には、前記少なくとも1つの周方向第1流路の出口、及び前記格納空間の前記他方側開口のそれぞれと連通する第1流体流出路(70)が形成されている。
【0090】
上記[11]に記載の構成によれば、格納空間に第2流体と熱交換された第1流体(熱交換済第1流体)を流入させることができる。
【0091】
[12]幾つかの実施形態では、上記[11]に記載の構成において、
前記第1流体流出路に配置され、前記少なくとも1つの周方向第1流路から流出された前記第1流体の温度を調温する調温装置(90)をさらに備える。
【0092】
上記[12]に記載の構成によれば、熱交換済第1流体の温度を任意の温度に調整してから格納空間に流入させることができる。
【0093】
[13]幾つかの実施形態では、上記[13]に記載の構成において、
前記調温装置は、前記コア又は前記蓋に脱着可能に取り付けられる。
【0094】
上記[13]に記載の構成によれば、調温装置のメンテナンス性を向上させることができる。
【0095】
[14]幾つかの実施形態では、上記[11]から[13]の何れか1つに記載の構成において、
前記コアは、前記コアの前記他端部から前記径方向の外側に延びるコアフランジ部(33)を含み、
前記蓋は、前記蓋の前記軸方向の一方側の一端部(44)から前記径方向の外側に延びる蓋フランジ部(46)を含み、
前記コアフランジ部と前記蓋フランジ部とを締結するボルト(81)と、をさらに備える。
【0096】
上記[14]に記載の構成によれば、ボルト締結によって蓋をコアに取り付けることで、コアの内部空間、周方向第1流路、及び周方向第2流路の気密性を高めることができる。
【0097】
[15]幾つかの実施形態では、上記[7]から[14]の何れか1つに記載の構成において、
前記コアの前記軸方向の一方側の一端部(34)に接続されるヘッダ(50)をさらに備え、
前記ヘッダは、前記一方側壁との間に前記少なくとも1つの周方向第1流路の入口と連通する第1流体流入路(51)を形成する第1壁(52)を含む。
【0098】
上記[15]に記載の構成によれば、周方向第1流路に第1流体を流入させることができる。
【0099】
[16]幾つかの実施形態では、上記[15]に記載の構成において、
前記ヘッダは、前記コアとの間に前記少なくとも1つの周方向第2流路の出口と連通する第2流体流出路(53)を形成する第2壁(54)を含む。
【0100】
上記[16]に記載の構成によれば、周方向第1流路から第2流体を流出させることができる。
【0101】
[17]幾つかの実施形態では、上記[1]から[16]の何れか1つに記載の構成において、
前記コアは、前記内周壁と前記外周壁との間を前記周方向第1流路と前記周方向第2流路とに仕切る伝熱壁(12)を含んでおり、
前記伝熱壁は、前記周方向第1流路の内部、又は前記周方向第2流路の内部に向かって突出する突起(13)を有する。
【0102】
上記[17]に記載の構成によれば、伝熱壁が周方向第1流路に面する伝熱面積、又は伝熱壁が周方向第2流路に面する伝熱面積の何れか一方を増大させるので、第1流体と第2流体との間の伝熱量(熱交換量)が増大する。よって、熱交換効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0103】
1 熱交換器
2 コア
3 内部空間
4 内周壁
5 隙間
6 外周壁
8 周方向第1流路
10 周方向第2流路
12 伝熱壁
13 突起
14 周方向第1流路の入口
16 周方向第1流路の出口
18 周方向第2流路の入口
20 周方向第2流路の出口
22 径方向第1流路
23 第1の径方向仕切壁
24 径方向第2流路
25 第2の径方向仕切壁
26 第1分岐部
28 第2分岐部
30 一方側壁
31 内部空間の開口
32 コアの他端部
33 コアフランジ部
34 コアの一端部
35 第2のコアフランジ部
40 蓋
42 閉塞壁
44 蓋壁
46 蓋フランジ部
50 ヘッダ
51 第1流体流入路
52 第1壁
53 第2流体流出路
54 第2壁
56 ヘッダ壁
57 ヘッダフランジ部
58 流入管
59 流出管
60 格納管
61 格納空間
62 挿入部
63 フランジ部
64 一方側開口
66 挿入部の他端部
65 他方側開口
70 第1流体流出路
72 第2流体流入路
74 内周壁の表面
76 一方側壁の表面
80 断熱材
81 ボルト
82 第2のボルト
90 調温装置
92 第1支持部材
93 挿入部の一端部
94 第2支持部材
100 構造物
101 触媒
D1 軸方向
D2 径方向
D3 周方向
O 軸線
X1 第1流体
X11 熱交換済第1流体
X12 加熱済第1流体
X13 無毒化済第1流体
X2 第2流体
X21 熱交換済第2流体

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9