(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093054
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】舗装路面冷却装置、転圧機械及び舗装路面冷却方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/03 20060101AFI20240702BHJP
E01C 19/48 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E01C23/03
E01C19/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209175
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 雅嘉
(72)【発明者】
【氏名】白井 悠
【テーマコード(参考)】
2D052
2D053
【Fターム(参考)】
2D052BB05
2D052DA27
2D053AA16
2D053AB03
2D053AB09
2D053AD01
(57)【要約】
【課題】アスファルト混合物を舗設した舗装路面の温度を効果的に低下させて、舗装工事個所の交通開放時間を短縮化させる。
【解決手段】舗装路面冷却装置500は、ブロワファン320と、ブロワファン320を回転駆動させるエンジン330と、ブロワファン320及びエンジン330を収容するとともに、ブロワファン320への空気吸込口340A及びブロワファン320からの空気噴出口340Bが夫々形成されたケーシング340と、ケーシング340の空気噴出口340Bに連結される送風ノズル350と、ブロワファン320の空気噴出側に液体を供給する液体ノズル800と、を有している。そして、ブロワファン320の空気噴出側に液体ノズル800から液体を供給しつつ、ブロワファン320により生成された空気流により液体の気化を促進して空気流の温度を低下させ、この空気流を路面に吹き付けて路面を冷却する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロワファンと、
前記ブロワファンを回転駆動させるアクチュエータと、
前記ブロワファン及び前記アクチュエータを収容するとともに、前記ブロワファンへの空気吸込口及び前記ブロワファンからの空気噴出口が夫々形成されたケーシングと、
前記ケーシングの空気噴出口に連結される送風ノズルと、
前記ブロワファンの空気噴出側に液体を供給する液体ノズルと、
を有する、舗装路面冷却装置。
【請求項2】
前記液体ノズルに液体を供給する液体タンクを更に有する、
請求項1に記載の舗装路面冷却装置。
【請求項3】
前記液体タンクから前記液体ノズルへと供給する液体の流量を調整する流量調整弁を更に有する、
請求項2に記載の舗装路面冷却装置。
【請求項4】
作業者が背負うための左右一対のショルダーストラップを更に有する、
請求項1に記載の舗装路面冷却装置。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の舗装路面冷却装置を少なくとも1つ搭載した転圧機械。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の舗装路面冷却装置を使用し、前記ブロワファンの空気噴出側に前記液体ノズルから液体を供給しつつ、前記ブロワファンにより生成された空気流により液体の気化を促進して空気流の温度を低下させ、当該気化の促進により温度が低下した空気流を路面に吹き付けて路面を冷却する、
舗装路面冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物を舗設した舗装路面の温度を効果的に低下させることで、舗装工事個所の交通開放時間を短縮化させる、舗装路面冷却装置、転圧機械及び舗装路面冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装では、アスファルトフィニッシャによって高温のアスファルト混合物を路盤上に敷き均した後、タイヤローラやマカダムローラなどの転圧ローラ(転圧機械)によってアスファルト混合物を転圧して締め固める。このとき、路盤上に敷き均されて締め固められたアスファルト混合物は、その温度が比較的高く、これが使用可能温度まで低下するまで交通開放することが困難である。このため、特開平11-158810号公報(特許文献1)に記載されるように、転圧ローラの下部に設けられた複数のノズルからアスファルト混合物が締め固められた舗装表面に水を散布することで、アスファルト舗装を短時間で使用可能温度まで冷却する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既設道路のアスファルト舗装は、交通を遮断して行う必要があるため、例えば、渋滞発生を極力回避すべく、交通量が昼間と比較して少ない夜間に行われることが多い。この場合、転圧ローラによってアスファルト混合物が締め固められたアスファルト舗装の表面に水を散布しても、太陽光がないために気化熱を利用できず、アスファルト舗装を短時間で使用可能温度まで低下させることができない。このため、従来技術では、交通開放までの時間を短縮することが困難な場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、アスファルト混合物を舗設した舗装路面の温度を効果的に低下させて、舗装工事個所の交通開放時間を短縮化させることができる、舗装路面冷却装置、転圧機械及び舗装路面冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
舗装路面冷却装置は、ブロワファンと、ブロワファンを回転駆動させるアクチュエータと、ブロワファン及びアクチュエータを収容するとともに、ブロワファンへの空気吸込口及びブロワファンからの空気噴出口が夫々形成されたケーシングと、ケーシングの空気噴出口に連結される送風ノズルと、ブロワファンの空気噴出側に液体を供給する液体ノズルと、を有している。転圧機械は、上記の舗装路面冷却装置を少なくとも1つ搭載している。
【0007】
また、このような舗装路面冷却装置を使用し、ブロワファンの空気噴出側に液体ノズルから液体を供給しつつ、ブロワファンにより生成された空気流により液体の気化を促進して空気流の温度を低下させる。そして、気化の促進により温度が低下した空気流を路面に吹き付けて路面を冷却する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アスファルト混合物を舗設した舗装路面の舗装路面冷却装置、転圧機械及び舗装路面冷却方法において、舗装路面の温度を効果的に低下させて交通開放時間を短縮化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に適用可能なエンジンブロワの一例を示す斜視図である。
【
図2】同上のエンジンブロワの内部構造の一例を示す縦断面図である。
【
図3】同上のエンジンブロワの内部構造の一例を示す縦断面図である。
【
図4】舗装路面冷却装置の一例を示す側面図である。
【
図5】舗装路面冷却装置の一例を示す縦断面側面図である。
【
図6】舗装路面冷却装置を搭載した転圧機械の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1~
図3は、本実施形態に適用可能な背負式エンジンブロワ(以下「エンジンブロワ」と略記する)100の一例を示している。エンジンブロワ100としては、例えば、株式会社マキタが製造及び販売をしている「背負式エンジンブロワEB7650TH」など、本技術分野の当業者にとって周知のエンジンブロワを利用することができる。なお、市場に流通しているエンジンブロワ100に限らず、以下において詳細に説明する舗装路面冷却装置を独自に設計、製作及び販売してもよい。
【0011】
エンジンブロワ100は、側面視でL字形状をなすフレーム200と、フレーム200に載置して固定されたブロワユニット300と、ブロワユニット300とは反対側のフレーム200の背面に固定された左右一対のショルダーストラップ400と、を有している。
【0012】
フレーム200は、例えば、比較的堅牢かつ軽量な中空形状のアルミニウム合金からなり、ブロワユニット300が上面に載置固定される台座部210と、台座部210の後端部から上方へと立ち上がってから台座部210の他端側へと屈曲する左右一対の背当部220と、を有している。ここで、背当部220の先端が屈曲することで、ブロワユニット300の上部を保護することができる。なお、左右一対の背当部220は、荷重が作用したときに相互に離間することを抑制すべく、中間部の任意箇所の少なくとも一部が左右方向に延びる部材によって連結されて補強されていてもよい。
【0013】
ブロワユニット300は、ボリュートケース310の内部に回転可能に配置されたブロワファン320と、ブロワファン320を回転駆動させるアクチュエータの一例として挙げられるエンジン330と、ブロワファン320が内部に配置されたボリュートケース310及びエンジン330を収容するケーシング340と、を有している。ケーシング340の所定箇所には、ブロワファン320へと空気を導く空気吸込口340A、及びブロワファン320によって生成された空気流を噴出する空気噴出口340Bが夫々形成されている。
【0014】
ケーシング340の空気噴出口340Bの先端開口部には、ここから噴出された空気流を冷却対象である舗装路面上へと導く送風ノズル350が着脱可能に連結可能となっている。送風ノズル350は、具体的には、空気噴出口340Bの先端開口部に着脱可能に連結されるエルボ部350Aと、エルボ部350Aの先端開口部に着脱可能に連結される可撓性を有する蛇腹パイプ部350Bと、蛇腹パイプ部350Bの先端開口部に着脱可能に連結されて軸方向の周りを自由に回転する回転パイプ部350Cと、回転パイプ部350Cの先端開口部に着脱可能に連結される直線状のショートパイプ部350Dと、ショートパイプ部350Dの先端開口部に着脱可能に連結されるエンドノズル部350Eと、を有している。ここで、エンドノズル部350Eは、先端開口部の内径が異なるものが複数準備されており、風速を重視する場合には内径の小さなものを使用し、風量を重視する場合には内径の大きいものを使用することができる。
【0015】
また、送風ノズル350において、蛇腹パイプ部350Bと回転パイプ部350Cとの間に位置する蛇腹パイプ部350Bの先端部、又は回転パイプ部350Cの基端部には、作業者が送風ノズル350を把持して冷却対象たる舗装路面に先端開口を向けるコントロールハンドル360が取り付けられている。コントロールハンドル360の所定箇所には、エンジン330の回転速度を増減させて風量を調整するためのトリガレバー360Aが取り付けられている。
【0016】
ブロワユニット300は、フレーム200の背当部220の略全面、及び背当部220側の台座部210の一部に対して載置されて、例えば、クランプ、クリップ、ボルト及びナット、取付ブラケットなどの周知の締結具(図示せず)を介して固定されている。そして、フレーム200の台座部210とブロワユニット300との間に形成されている空間に、例えば、樹脂製の燃料タンク370が着脱可能に固定されている。燃料タンク370の上部の所定箇所には、ここから燃料タンク370の内部へとガソリンなどの燃料を補充するための燃料キャップ370Aが着脱可能に取り付けられている。なお、ブロワユニット300とフレーム200との間の所定箇所には、ブロワユニット300で発生した振動がフレーム200に伝達することを抑制すべく、複数のコイルスプリングSPRが取り付けられている。
【0017】
燃料タンク370に貯蔵されている燃料は、
図3に示すように、その底部で開口する燃料パイプ370Bを通って気化器370Cへと供給され、ここで空気と燃料との混合気が生成されてエンジン330の吸気バルブを経て燃焼室へと供給される。エンジン330の燃焼室へと供給された混合気は、所定のタイミングで作動する点火プラグ370Dにより着火して体積が膨張し、その結果ピストンをクランクシャフトに向かって押し下げてこれを回転駆動させる。クランクシャフトが回転駆動すると、その回転駆動力によってブロワユニット300のブロワファン320が回転駆動し、上述したように空気流を生成する。ここで、エンジン330の燃焼室で燃焼した混合気は、図示しない排気バルブを経てマフラ370Eへと供給され、ここで消音されつつ外部へと放出される。ここで、ブロワユニット300のケーシング340の背面の所定箇所には、作業者などが操作してエンジン330を始動させるためのスタータハンドル370Fが取り付けられている。
【0018】
さらに、フレーム200の背面、具体的には、背当部220を挟んでブロワユニット300と反対側に位置するフレーム200の背面には、幅方向に所定距離だけ離間した2位置に左右一対のショルダーストラップ(背負い帯)400が取り付けられている。ショルダーストラップ400は、作業者がエンジンブロワ100を背負うことで両手を自由にし、例えば、その両手でコントロールハンドル360を把持して容易に一人で作業を可能にするものである。このため、ショルダーストラップ400には、例えば、作業者の体格などによって長さを自由に調整可能な調整機構が備えられている。
【0019】
図4及び
図5は、以上説明したエンジンブロワ100を利用して、アスファルト混合物を舗設した舗装路面を冷却する舗装路面冷却装置500を構成した一例を示している。なお、舗装路面冷却装置500を構成するエンジンブロワは、上述したエンジンブロワ100に限らず、市場に流通している様々なエンジンブロワ、専用に設計及び製造したエンジンブロアであってもよい。
【0020】
舗装路面冷却装置500は、エンジンブロワ100に加えて、エンジンブロワ100への取付部として機能するフレーム600と、液体の一例として挙げられる水を所定量貯蔵するタンク700と、エンジンブロワ100のブロワファン320の空気噴出側に水を供給するノズル800と、タンク700からノズル800へと供給する水の流量を調整する流量調整弁900と、を有している。ノズル800は、図示しない配管と(必要に応じて屈曲していてもよい)と、配管の先端部に一体化された先細り形状のノズル部と、を有しているが、ここでは詳細に説明しない。ここで、タンク700が、液体タンクの一例として挙げられるとともに、ノズル800が、液体ノズルの一例として挙げられる。
【0021】
フレーム600は、例えば、比較的堅牢かつ軽量な中空形状のアルミニウム合金からなり、エンジンブロワ100のフレーム200に対して、例えば、クランプ、クリップ、ボルト及びナット、取付ブラケットなどの周知の締結具(図示せず)を介してレトロフィット可能な形状に構成されている。なお、エンジンブロワ100のフレーム200からフレーム600を取り外すことがない場合には、エンジンブロワ100のフレーム200にフレーム600を溶接によって一体化するようにしてもよい。
【0022】
フレーム600は、フレーム200の台座部210の左右両端部において前後方向かつ平行に延びる左右一対の第1の部材610と、左右一対の第1の部材610の両端部を垂直方向に連結する前後一対の第2の部材620と、左右一対の第1の部材610の前後方向の一端部(後端部)から上方に向かって垂直かつ平行に延びる左右一対の第3の部材630と、左右一対の第3の部材630の先端部(上端部)を左右方向に連結する第4の部材640と、を有している。また、フレーム600の左右一対の第3の部材630であって、左右一対の第1の部材610及び前後一対の第2の部材620により形成される矩形形状の骨組にエンジンブロワ100が載置及び固定された状態でフレーム200の最上位と所定間隔を隔てた箇所には、左右一対の第3の部材630の一面から前方へと平行に延びる左右一対の第5の部材650、及び左右一対の第5の部材650の両端部を垂直方向に連結する前後一対の第6の部材660により形成される矩形形状の骨組が固定されている。この骨組の上面には、例えば、クランプ、クリップ、ボルト及びナット、取付ブラケットなどの周知の締結具(図示せず)を介してタンク700が載置かつ固定されている。
【0023】
ノズル800は、エンジンブロワ100に収容されたボリュートケース310において、
図2において破線で示すように、ブロワファン320の回転駆動によって生成された空気流の空気噴出口に先端開口800Aが位置するように配置されている。ノズル800の先端開口800Aは、例えば、ブロワファン320からの空気流によって水の気化が促進するように、タンク700から供給される水を噴霧状態や液滴状態で噴射供給する形状に形成されていることが望ましい。
【0024】
タンク700の下部であってノズル800の基端部の接続箇所には、タンク700からノズル800へと供給する水の流量を調整可能にすべく、流路面積を全閉から全開まで連続的又は段階的に開閉可能な流量調整弁900が取り付けられている。従って、例えば、周囲温度や日照条件などによりタンク700からノズル800へと供給する水の流量を適宜調整したり、移動や作業終了などによりタンク700からノズル800への水の供給を停止したりすることができる。なお、
図4及び
図5には明確に図示していないが、タンク700の上部には、その内部に水を補充するためのキャップが着脱可能に取り付けられている。
【0025】
次に、かかる舗装路面冷却装置500の作用について説明する。
作業者は、最初に、タンク700のキャップを開けてその内部に水を補充し、例えば、エンジン330の振動によりタンク700から水がこぼれたり、タンク700の水補充口から異物が入り込んだりしないようにすべくキャップを取り付ける。そして、作業者は、スタータハンドル370Fを勢いよく引いてブロワユニット300のエンジン330を始動させてから、タンク700に付設された流量調整弁900を適宜操作して、タンク700からノズル800へと水の供給を開始する。その後、作業者は、フレーム200の背面に取り付けられた左右一対のショルダーストラップ400を両肩にかけて背負い、送風ノズル350の中間部に取り付けられたコントロールハンドル360を片手で把持し、もう一方の片手でトリガレバー360Aを適宜操作して風量を調整しながら、アスファルト混合物を舗設した舗装路面に空気流を放出して冷却する。
【0026】
このとき、流量調整弁900及びノズル800を介して、タンク700からボリュートケース310の内部に配置されたブロワファン320の空気噴出側に適量の水が供給されるので、ブロワファン320の回転によって生成された空気流によって水が拡散されて気化が促進される。このため、水の気化熱を利用してブロワファン320から排出される空気流の温度が低下し、温度が低下した空気流により高温のアスファルト混合物が舗設された舗装路面を冷却することができる。本出願人が実際に測定したところ、ブロワファン320に水を供給しない場合と比較して、ブロワファン320の空気噴出側に水を供給すると、エンジンブロワ100の送風ノズル350から供給される空気流の温度が10℃ほど低下することが確認できた。
【0027】
従って、このように温度が低下した空気流によって高温のアスファルト混合物を舗設した舗装路面を冷却すれば、従来技術と比較してより短時間で使用可能温度まで低下し、舗装工事個所の交通開放時間を短縮化させることができる。また、舗装路面冷却装置500は作業者が背負って使用することができるため、比較的小規模な施工箇所であっても容易に活用することができる。
【0028】
要するに、以上説明した舗装路面冷却装置500を使用し、ブロワファン320の空気噴出側にノズル800から水を供給しつつ、ブロワファン320により生成された空気流により水の気化を促進して空気流の温度を低下させる。そして、気化の促進により温度が低下した空気流を路面に吹き付けて路面を効率的に冷却する。
【0029】
ところで、舗装路面冷却装置500は、左右一対のショルダーストラップ400によって作業者が背負って作業する構成に限らず、
図6に示すように、タイヤローラなどの転圧機械1000の所定箇所、例えば、前輪FWの後方A、後輪RWの後方Bなどに搭載するようにしてもよい。この場合、舗装路面冷却装置500は、作業者が背負う必要がないため、左右一対のショルダーストラップ400を設ける必要はない。また、舗装路面冷却装置500は、転圧機械1000の左右方向において、離間した複数位置に搭載するようにしてもよい。なお、転圧機械1000は、本技術分野の当業者にとって周知であるため、これ以上の説明は省略することとする。
【0030】
このようにすれば、アスファルト舗装において、アスファルトフィニッシャによって高温のアスファルト混合物を路盤に敷き均した後、転圧機械1000によってアスファルト混合物を転圧して締め固めながら、舗装路面冷却装置500によって舗装路面を同時に冷却することができる。このため、ワンパスによって、アスファルト混合物の締め固めと冷却とを行うことが可能となり、舗装工事個所の交通開放時間を更に短縮化させることができる。
【0031】
なお、当業者であれば、様々な上記実施形態の技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置き換えたりすることで、新たな実施形態を生み出せることを容易に理解できるであろう。
【0032】
その一例を以下に列挙すると、舗装路面冷却装置500を構成するブロワは、エンジンブロワ100に限らず、電動モータによってブロワファン320を回転駆動させる電動ブロワであってもよい。この場合、舗装路面冷却装置500は、エンジン330、燃料タンク370、燃料キャップ370A、燃料パイプ370B、気化器370C、点火プラグ370D、マフラ370E及びスタータハンドル370Fなどに代えて、電動モータ、再充電可能なバッテリ及びその制御基板などを備えていればよい。さらに、舗装路面冷却装置500は、例えば、外部の商用電源や発電機などから供給された電力を使用して電動モータを駆動するようにしてもよい。この場合、電動モータが、アクチュエータの一例として挙げられる。
【0033】
また、舗装路面冷却装置500は、水を所定容量貯蔵するタンク700を備えず、外部のタンクや蛇口からノズル800へと水を直接供給するようにしてもよい。その他、ブロワファン320の空気噴出口に供給する液体は水に限らず、例えば、気化し易いアルコール溶液、路面に散布する乳剤などであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 エンジンブロワ
300 ブロワユニット
320 ブロワファン
330 エンジン(アクチュエータ)
340 ケーシング
340A 空気吸込口
340B 空気噴出口
350 送風ノズル
400 ショルダーストラップ
500 舗装路面冷却装置
700 タンク(液体タンク)
800 ノズル(液体ノズル)
900 流量調整弁
1000 転圧機械