(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009306
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】地図データのデータ構造
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240112BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201299
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2022104284の分割
【原出願日】2018-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2017229995
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】岩井 智昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 多史
(72)【発明者】
【氏名】野口 良司
(57)【要約】
【課題】ある位置にある地物が劣化しているかどうかを判定することができる地図データのデータ構造を提供する。
【解決手段】地図データを、地物の位置を示す位置情報と、前記地物の劣化状態に関する劣化情報と、を関連付けて含むデータ構造とする。地図データは、情報処理装置が、前記位置情報により特定される前記地物が劣化しているかどうかを前記劣化情報に基づいて判定する処理に用いられる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地物に照射された光の反射光に関する情報と、当該地物の位置情報と、を含む反射光情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した複数の前記反射光情報に基づき統計処理を行う処理部と、
前記処理部が統計処理した統計処理後情報を閾値と比較することにより、前記地物の劣化状態を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、地物の劣化状態に関する劣化情報を含む地図データのデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両では、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)などのセンサで計測した地物位置と、自動運転用の地図データに記述された地物位置をマッチングして高精度に自車位置を推定する必要がある。利用する地物として標識や看板、道路に描かれた白線などがあり、これらの地物位置を含む自動運転用の地図データは安定した自動運転を行うために、現実に即して整備・更新を行う必要がある。例えば、白線が経年劣化等によりその一部が消えてしまっている場合には、地図データにおける当該白線を表すデータに対して、劣化情報を反映させておく必要がある。
【0003】
そのため、従来は地図整備車両を走行させて、劣化した地物がないか実地調査を行う必要があった。そうした中、レーザー計測技術の発達により、地表面を計測した点群データを用いて地図データの利用・更新等に活かす技術の開発が進められている。例えば、特許文献1には、点群データに建物や街路樹等、道路面以外のデータも多く含まれているところ、この中から道路面を計測しているデータを抽出する技術が開示されている。当該技術は道路に描かれた白線を抽出するための前処理として利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術を用いることにより、地表面を計測した点群データから道路領域を判定することができたが、地物の劣化状態まで判定することはできなかった。しかしながら、自動運転技術において、自車位置推定、レーンキープ、走行可能領域の認識などで地物の情報を用いた処理の重要性は非常に高く、地物の劣化状態がその処理に与える影響も大きい。そのため、実際の地物の劣化状態を把握し、劣化している地物については地図データに反映させておくことが重要である。
【0006】
本願発明は、こうした事情に鑑み、ある位置にある地物が劣化しているかどうかを判定することができる地図データのデータ構造を提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、地物の位置を示す位置情報と、前記地物の劣化状態に関する劣化情報と、を関連付けて含む地図データのデータ構造であって、情報処理装置が、前記位置情報により特定される前記地物が劣化しているかどうかを前記劣化情報に基づいて判定する処理に用いられる、前記地図データのデータ構造である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る劣化地物特定システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例に係る地図データ管理システムの概要構成を示すブロック図である。
【
図3】(A)は実施例に係るLidarが白線(劣化無し)での光の反射強度を測定する様子を示す図であり、(B)は当該反射強度を統計処理した場合のグラフの一例を示す図である。
【
図4】(A)は実施例に係るLidarが白線(劣化有り)での光の反射強度を測定する様子を示す図であり、(B)は当該反射強度を統計処理した場合のグラフの一例を示す図である。
【
図5】実施例に係る白線予測範囲の算出方法を説明するための図である。
【
図6】実施例に係る送信データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】実施例に係る地図データ管理システムによる反射強度データ処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】実施例に係るサーバ装置による劣化判定処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】(A)は第3変形例に係るLidarが垂直方向に複数の光を照射する様子を示す側面図であり、(B)は当該Lidarが白線での光の反射強度を測定する様子を示す図である。
【
図10】(A)は第3変形例に係る車両の進行方向に沿って破線の白線について測定された反射強度の一例を示す図であり、(B)は当該反射強度の分布に基づいて劣化判定に用いる反射強度を切り分ける有効エリア及び無効エリアを示す例図である。
【
図11】第5変形例に係る地図データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図12】第6変形例に係る送信データのデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお、
図1は、本実施形態に係る地図データのデータ構造の概要構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る地図データのデータ構造1は、地物の位置を示す位置情報1Aと、前記地物の劣化状態に関する劣化情報1Bと、を関連付けて含んで構成されている。
【0011】
送信データは、情報処理装置が、前記位置情報により特定される前記地物が劣化しているかどうかを前記劣化情報に基づいて判定する処理に用いられる。
【0012】
本実施形態に係る送信データのデータ構造によれば、情報処理装置は、ある位置にある地物が劣化しているかどうかを、当該位置を示す位置情報と関連付けられている劣化情報に基づいて判定することができる。
【実施例0013】
図2-
図8を用いて実施例について説明する。なお以下に説明する実施例は、本願発明を、地図データ管理システムSに適用した場合の実施例である。
【0014】
[1.地図データ管理システムSの構成及び概要]
図2に示すように、本実施例の地図データ管理システムSは、地図データを管理するサーバ装置100と、複数の車両のそれぞれに搭載される車載端末200とを含んで構成され、サーバ装置100と各車載端末200はネットワークNWを介して接続されている。なお、
図2では車載端末200を一台示しているが、地図データ管理システムSは複数の車載端末200を含んで構成してもよい。また、サーバ装置100についても複数の装置で構成してもよい。
【0015】
車載端末200は、
図3(A)、
図4(A)に示すように、車載端末200と共にLidar205が搭載された車両Vにおいて、Lidar205が自ら照射した光Lの白線W1、白線W2(「地物」の一例)からの反射光を受光することにより測定した反射強度を示す反射強度データDをサーバ装置100に送信する。なお、
図3(A)、
図4(A)において反射強度データDとして示している棒線は、その長さによってその地点における反射強度の大きさを表している(長いほど反射強度が大きい)。反射強度データDは、Lidar205が照射した光Lが照射された各地点における反射強度を含むデータである。
図3(A)、
図4(A)では、白線W1、白線W2それぞれについて5地点での反射強度が測定されていることを示している。
【0016】
サーバ装置100は、複数の車載端末200それぞれから受信した複数の反射強度データDに基づいて、劣化している地物を特定する。具体的には、複数の反射強度データDを統計処理することにより劣化している地物を特定する。例えば、
図3(A)に示すように、劣化していない白線については、白線内の各地点での反射強度は高い値且つ均一的な値となるため、
図3(B)に示すように、複数の反射強度に基づいて算出した平均値μが高くなり、且つ、標準偏差σが小さくなる。一方、
図4(A)に示すように、劣化した白線については、白線内の各地点での反射強度は低い値又は不均一的な値となることから、
図4(B)に示すように、複数の反射強度に基づいて算出した平均値μが低くなるか、又は、標準偏差σが大きくなる。そこで、サーバ装置100は、複数の反射強度に基づいて算出した平均値μや標準偏差σを閾値と比較することにより、地物が劣化していないか判定し、劣化している地物を特定する。そして、サーバ装置100は、劣化している地物に対応する地図データを更新する。なお、地図データの更新は、サーバ装置100から指示を受けた装置が行うこととしてもよい。
【0017】
[2.車載端末200の構成]
次に、本実施例に係る車載端末200の構成について説明する。
図2に示すように、車載端末200は、大別して、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、インターフェース部204を含んで構成されている。
【0018】
記憶部202は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等により構成されており、OS(Operating System)、反射強度データ処理プログラム、地図データ、反射強度データD及び各種データ等を記憶する。地図データには、劣化判定の対象となる地物(本実施例では、白線)について、その位置を示す位置情報と、他の地物と識別するための地物IDが記述されている(位置情報と地物IDは一の地物に紐付く情報であるため、地物IDは当該一の地物の位置を示す位置情報の一つということができる)。
図3(A)の例では、白線W1と白線W2にはそれぞれ別の地物IDが割り当てられる。なお、白線が数百メートルに及ぶなど長く、一の地物として取り扱うことが不適当な場合には、一定の長さ(例えば、5m)で区切りそれぞれを別個の地物として地物IDを付与して取り扱うこととする。また、記憶部202が記憶する地図データと同様の地図データ(地物毎に、位置情報と地物IDが記述された地図データ)が、サーバ装置100の記憶部102にも記憶されており、車載装置200とサーバ装置100それぞれにおいて地物IDにより同一の地物を特定することができる。更に、記憶部202が記憶する地図データは、例えば全国の地図データを記憶しておくこととしてもよいし、車両の現在位置を含む一定地域に対応する地図データをサーバ装置100等から予め受信して記憶しておくこととしてもよい。
【0019】
通信部203は、車載端末200とサーバ装置100との通信状態を制御する。
【0020】
インターフェース部204は、外部機器であるLidar205や内界センサ206と車載端末200の間でデータをやりとりする際のインターフェース機能を実現する。
【0021】
Lidar205は、車両のルーフ部分等に取り付けられ、赤外線レーザー光を照射し(ルーフ部分から下向きに一定の角度で照射し)、車両の周囲にある地物の表面上の点で反射した光を受光するという処理を、車両の周囲に円を描くように繰り返し、各点における反射強度を示す反射強度データDを生成することにより、地物を検出する機器である。反射強度データDは、レーザー光を水平に照射し、地面や地物で反射した強度を示すデータであるため、反射強度が低い部分(地物が存在しない地面部分)と反射強度が高い部分(地物が存在する部分)が含まれる。また、Lidar205は、車両フロント部やリア部などに複数取り付け、それぞれが取得した視野範囲の反射強度データを合成して、車両の周囲の反射強度データDを生成してもよい。
【0022】
Lidar205は、反射強度を測定すると即時に反射強度データD(反射強度が低い部分と高い部分を含む)を、インターフェース部204を介して車載端末200に送信する。制御部201は、Lidar205から反射強度データDを受信すると、受信した反射強度データDを、反射強度データDを測定するために照射した赤外線レーザー光の強度を示す照射強度データと、反射強度データDの受信時の車両(Lidar205)の位置を示す測定位置情報と、反射強度データDの受信時の日時を示す測定日時情報と、対応付けて記憶部202に記憶させる。なお、制御部201は、記憶部202に記憶させた反射強度データD、照射強度データ、測定位置情報及び測定日時情報のうち、測定から所定時間が経過したもの、或いは、サーバ装置100に送信したものについては、記憶部202から削除してもよい。
【0023】
内界センサ206は、車両に搭載される、衛星測位センサ(GNSS(Global Navigation Satellite System))、ジャイロセンサ、車速センサ等の総称である。
【0024】
カメラ207は、車両に搭載され、車両の周囲を撮影して得た撮影画像を、インターフェース部204を介して車載端末200に送信する。
【0025】
制御部201は、制御部201全体を制御するCPU(Central Processing Unit)と、制御部201を制御する制御プログラム等が予め記憶されているROM(Read Only Memory)と、各種データを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)と、により構成されている。そして、CPUが、ROMや記憶部202に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0026】
制御部201は、推定自車位置情報を取得する。推定自車位置情報は、車載端末200外の装置が生成したものであってもよいし、制御部201が生成したものであってもよい。推定自車位置情報は、例えば、Lidar205で計測した地物位置と、自動運転用の地図データの地物位置をマッチングして生成したり、内界センサ206で検出した情報と地図データに基づいて生成したり、これらの組み合わせにより生成することができる。
【0027】
また、制御部201は、推定自車位置情報と、地図データで示される白線の位置情報に基づいて、自車両(Lidar205)から見た実際の白線位置を予測する。このとき、制御部201は、ある程度の余裕を持って、白線が含まれる白線予測範囲を算出・設定する。
【0028】
ここで、
図5を用いて、白線予測範囲の設定方法について具体的に説明する。
図5における座標系等は次の通りである。
地図座標系:Xm,Ym
車両座標系:XV,YV
地図座標系における白線地図位置:mxm,mym
車両座標系における白線予測位置:lxv,lyv
地図座標系における推定自車位置:xm,ym
地図座標系における推定自車方位角:Ψm
車両座標系とは、車両の位置を基準(原点)とする座標系である。
【0029】
制御部201は、推定自車位置情報の示す推定自車位置に基づき、車両の進行方向(例えば、10m先)にある白線の位置情報の示す白線地図位置から、白線予測範囲を算出する。このとき、
図5に示すように、車両Vが走行するレーンが左側の白線1と右側の白線2により区切られている場合であれば、白線1及び2それぞれについて白線予測範囲を算出する。
【0030】
白線1と白線2とで白線予測範囲の算出方法は同様であるので、ここでは、白線1について白線予測範囲を算出する場合について説明する。まず、制御部201は、白線1地図位置と推定自車位置に基づいて白線1予測位置301(白線1についての白線予測位置)を算出する。白線予測位置は、次の(1)式で求められる。
【数1】
【0031】
次に、制御部201は、白線1予測位置301を基準に白線1予測範囲311を設定する。具体的には、白線1予測位置301を含む一定の範囲を白線1予測範囲311とする。そして、制御部201は、複数の点における反射強度を含む反射強度データDから、白線1予測範囲311内の反射強度を示す白線1反射強度データ321を抽出する。
【0032】
制御部201は、こうして抽出した反射強度データ321、322を、白線1地図位置及び白線2地図位置にそれぞれ対応する地物IDと、反射強度データ321、322の抽出元である反射強度データDと対応する照射強度データ、測定日時情報と対応付けてサーバ装置100に送信する。なお、以下では、Lidar205が測定し、車載端末200が記憶部202に記憶させた反射強度データD(Lidar205が測定した生データ又は生データを加工したデータであってもよい)を抽出前反射強度データDと呼び、そのうち、白線予測範囲内で抽出した反射強度を示す反射強度データDを抽出後反射強度データDと呼ぶ場合がある。
【0033】
ここで、
図6を用いて、車載端末200が反射強度データDをサーバ装置100に送信する際の送信データ500のデータ構造について説明する。
図6に示すように、送信データ500は、基本情報部510、認識オブジェクト情報部520及び特有情報部530を含んで構成される。
【0034】
基本情報部510は、ヘッダ511、車両メタデータ512、車両位置513を含んで構成される。ヘッダ511には、送信データのデータフォーマットのVer(バージョン)や、タイムスタンプ(送信データ500の送信時刻)が格納される。車両メタデータ512には、車載端末200が搭載されている車両を識別する車両ID、車両サイズを示す情報、車両が搭載するセンサの種別(Lidar205やカメラ207)を示す情報が格納される。車両位置513には、車載端末200が地物を認識した際の車両位置を示す情報が格納される。
【0035】
認識オブジェクト情報部520は地物ID521を含んで構成される。地物ID521は、劣化情報の対象である地物を特定するID(例えば、白線1地図位置及び白線2地図位置にそれぞれ対応する地物ID)が格納される。サーバ装置100や車載端末200は、地物IDに基づいて地物を特定する。
【0036】
特有情報部530は、取得日時531、劣化情報532、天候情報533、センサ種別534を含んで構成される。劣化情報532には、抽出後反射強度データD及び照射強度データが格納される。取得日時531には、制御部201がLidar205から反射強度データDを受信した日時を示す測定日時情報が格納される。天候情報533には、制御部201がLidar205から反射強度データDを受信した際の天候(晴、雨、雪、霧等)を示す情報が格納される。天候情報は、例えば、カメラ207が撮影した画像等に基づいて制御部201が生成することとしても良いし、天候情報提供サーバから受信することとしてもよい。また、特有情報部530には、天候情報533に代えて又は加えて、路面の状態(濡れ、積雪有り等)を示す路面情報を含んでもよい。使用センサ種別534には、劣化情報532に格納するデータを測定したセンサ種別を示す情報が格納される。本実施例では、劣化情報532には抽出後反射強度データD及び照射強度データが格納されるため、使用センサ種別534には、Lidar205を示す情報が格納される。
【0037】
[3.サーバ装置100の構成]
次に、サーバ装置100の構成について説明する。
図2に示すように、サーバ装置100は、大別して、制御部101、記憶部102、通信部103、表示部104及び操作部105を含んで構成されている。
【0038】
記憶部102は、例えばHDDやSSD等により構成されており、OS、白線劣化判定プログラム、地図データ、車載端末200から受信した送信データ500及びその他各種データ等を記憶する。
【0039】
通信部103は、車載端末200との通信状態を制御する。
【0040】
表示部104は、例えば、液晶ディスプレイ等により構成されており、文字や画像等の情報を表示する。
【0041】
操作部105は、例えば、キーボード、マウス等により構成されており、オペレータからの操作指示を受け付け、その指示内容を指示信号として制御部101に出力する。
【0042】
制御部101は、制御部101全体を制御するCPUと、制御部101を制御する制御プログラム等が予め記憶されているROMと、各種データを一時的に格納するRAMと、により構成されている。そして、CPUが、ROMや記憶部102に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0043】
制御部101は、一又は複数の車載端末200それぞれから受信した複数の反射強度データDに基づいて、白線の劣化状態を判定する。そして、制御部101は、劣化している地物が劣化していることを識別できるように、当該地物に対応する地図データを更新する。
【0044】
[4.地図データ管理システムSの動作例]
[4.1.反射強度データ処理時の動作例]
次に、
図7のフローチャートを用いて、地図データ管理システムSによる反射強度データ処理の動作例について説明する。なお、
図7のフローチャートでは、一の車載端末200が反射強度データDを測定してサーバ装置100に送信する流れについて説明しているが、地図データ管理システムSに含まれる各車載端末200について同様の処理が実行される。また、
図7の車載端末200のステップS101~ステップS105の処理は、定期的に(例えば、所定時間毎に、及び/又は、車載端末200が搭載された車両が所定距離移動する毎に)実行され、車載端末200によるステップS105の処理を受けて、サーバ装置100はステップS201~ステップS202の処理を実行する。
【0045】
まず、車載端末200の制御部201は、推定自車位置情報を取得する(ステップS101)。
【0046】
次に、制御部201は、ステップS101の処理で取得した推定自車位置情報の示す推定自車位置に対応する地図データから、白線の位置情報を取得する(ステップS102)。このとき、制御部201は、上述したように、車両の進行方向にある白線の位置情報と地物IDを取得する。
【0047】
次に、制御部201は、推定自車位置情報の示す推定自車位置と白線の位置情報の示す白線地図位置から、白線予測範囲を算出・設定する(ステップS103)。
【0048】
次に、制御部201は、Lidar205が測定した抽出前反射強度データDのうち白線予測範囲内のものを抽出して、抽出後反射強度データDを得る(ステップS104)。具体的には、制御部201は、まず、抽出前反射強度データDと対応付けて記憶されている測定位置情報の測定位置と、Lidar205がレーザー光を照射する際の照射角(下向きの一定の角度)に基づいて、白線予測範囲を含む範囲にレーザー光を照射して測定した抽出前反射強度データDを特定する。次いで、制御部101は、当該特定した抽出前反射強度データDにおける白線予測範囲内の部分を抽出して抽出後反射強度データD2を得る。例えば、制御部101は、車両方向を基準とする白線予測範囲の方位角(θ1、θ2(
図5参照))に対応する部分を抽出する。
【0049】
次に、制御部201は、送信データ500を生成する(ステップS105)。このとき、劣化情報532には、ステップS104の処理で抽出した抽出後反射強度データDが格納される。
【0050】
次に、制御部201は、ステップS105の処理で生成した送信データ500をサーバ装置100に送信し(ステップS106)、反射強度データ送信時処理を終了する。
【0051】
これに対して、サーバ装置100の制御部101は、車載端末200から送信データ500を受信すると(ステップS201)、これを記憶部102に記憶させ(ステップS202)、反射強度データ送信時処理を終了する。これにより、サーバ装置100の記憶部102には、複数の車載端末200それぞれから送信された複数の抽出後反射強度データDが蓄積されることとなる。
【0052】
[4.2.劣化判定処理時の動作例]
次に、
図8のフローチャートを用いて、サーバ装置100による劣化判定処理の動作例について説明する。劣化判定処理は、例えば、オペレータ等から白線について劣化判定することの指示とともに、劣化判定すべき白線の地物IDが指定された場合に実行される。
【0053】
まず、サーバ装置100の制御部101は、指定された地物IDを取得する(ステップS211)。次いで、制御部101は、当該地物IDを含む送信データ500であって、且つ、測定日時が所定期間内(例えば、直近3ヶ月)である送信データ500の劣化情報(抽出後反射強度データD)を記憶部102から取得する(ステップS212)。取得対象を測定日時が所定期間内の反射強度データDに限定している理由は、あまりに古い反射強度データDでは、現在の劣化状態を判定するのに適切でないからである。
【0054】
次に、制御部101は、ステップS212の処理で抽出した抽出後反射強度データDを補正する(ステップS213)。具体的には、測定日時情報又は天候情報(路面情報)の少なくとも何れか一方の情報を用いて反射強度データDの補正を行う。Lidar205により測定される反射強度は、日光の影響や路面の状態の影響を受けるため測定日時や測定時の天候(路面状態)により異なる。例えば、同一の白線における反射強度であっても、明け方や夕暮れ時での反射強度と日中での反射強度は異なる。また、晴天時の反射強度と、曇りや雨、雪等の時の反射強度も異なる。これにより、測定時の時刻や天候(路面状態)による反射強度データ間の差を相殺して、適切に劣化判定を行うことができる。
【0055】
次に、制御部101は、ステップS213の処理で補正した抽出後反射強度データDの平均を算出し(ステップS214)、次いで、標準偏差を算出する(ステップS215)。なお、制御部101は、平均及び標準偏差を算出する場合、地物ID毎(
図3(A)、
図4(A)の例では、白線W1と白線W2毎)に抽出後反射強度データDを処理する。また、
図3(A)、
図4(A)の例では、白線W1について5つの地点での反射強度が測定されているので、制御部101はそれぞれの地点での反射強度の平均及び標準偏差を算出する。
【0056】
次に、制御部101は、ステップS214の処理で算出した平均が第1の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS216)。このとき、制御部101は、平均が第1の閾値以下であると判定した場合には(ステップS216:YES)、指定された白線ついて「劣化あり」と判定し(ステップS218)、当該白線に対応する地図データについて「劣化あり」であることを示す情報を付加する更新を行い(ステップS219)、劣化判定処理を終了する。なお、制御部101は、ステップS218の処理で、指定された白線ついて「劣化あり」と判定することは、劣化した白線を特定することの一例である。一方、制御部101は、平均が第1の閾値以下ではないと判定した場合には(ステップS216:NO)、次いで、ステップS215の処理で算出した標準偏差が第2の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS217)。
【0057】
このとき、制御部101は、標準偏差が第2の閾値以上であると判定した場合には(ステップS217:YES)、指定された白線ついて「劣化あり」と判定し(ステップS218)、当該白線に対応する地図データについて「劣化あり」であることを示す情報を付加する更新を行い(ステップS219)、劣化判定処理を終了する。一方、制御部101は、標準偏差が第2の閾値以上ではないと判定した場合には(ステップS217:NO)、指定された白線ついて「劣化なし」と判定し(ステップS220)、劣化判定処理を終了する。
【0058】
以上説明したように、本実施例における地図データ管理システムSは、サーバ装置100の制御部101が、車両(「移動体」の一例)が備えるLidar205が照射した光を白線(「地物」の一例)が反射した反射光を受光することで測定された反射強度データDを取得し、当該取得した反射強度データDに基づいて劣化している白線を特定する。
【0059】
したがって、本実施例の地図データ管理システムSによれば、車両から取得する反射強度データDを用いることで、劣化している白線を特定することができる。なお、白線の劣化判定を、車両に搭載したカメラで撮影した画像に基づいて行うことも考えられるが、夜間、逆光など明るさの変化、カメラ解像度などの制約があるため、適切に劣化判定を行うことは困難であり、本実施例のように反射強度データDを用いた劣化判定の方が優位である。
【0060】
また、制御部101は、反射強度データDの測定日時を示す測定日時情報を更に取得し、測定日時情報に基づいて所定の期間に測定された反射強度データDを選択し、当該選択した反射強度データDに基づいて劣化している白線を特定する。したがって、所定の期間(例えば直近の数ヶ月間)を適切に設定することにより、白線の劣化判定に不適切な反射強度データDを除いた反射強度データに基づいて劣化している白線を適切に特定することができる。
【0061】
更に、制御部101は、光を反射した白線の位置を特定するための地物IDを更に取得し、反射強度データD及び地物IDに基づいて、劣化している白線を特定する。これにより、劣化している白線の位置も特定することができる。
【0062】
更にまた、制御部101は、位置情報に基づいて、設定された白線予測範囲内で測定された抽出後反射強度データDに基づいて、劣化している白線を特定する。これにより、白線以外で反射された光を示す反射強度データDを除外して劣化判定を行うことができ、より高精度に白線について劣化判定を行うことができる。
【0063】
更にまた、制御部101は、
図8のステップS218の処理で「劣化あり」と判定した白線に対応する地図データを更新する(「劣化あり」であることを示す情報を付加する更新を行う)。これにより、劣化している白線を表す地図データに対して、劣化情報を反映させることができる。
【0064】
更にまた、制御部101は、一又は複数の車両が備えるLidarが照射した光を白線が反射した反射光を受光して、当該一又は複数の車両のそれぞれにおいて測定された反射強度データDを取得し、当該取得した複数の反射強度データDに基づいて劣化している白線を特定する。したがって、本実施例の地図データ管理システムSによれば、一又は複数の車両から取得する反射強度データDを用いて、高精度に劣化している白線を特定することができる。
【0065】
なお、本実施例では、劣化判定の対象の地物を白線として説明したが、反射強度に基づいて劣化判定を行うことが可能な全ての地物を劣化判定の対象とすることができる。
【0066】
[5.変形例]
次に、本実施例の変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例は適宜組み合わせることができる。
【0067】
[5.1.第1変形例]
上記実施例では、劣化判定の対象である白線が実線である場合について説明したが、白線が破線である場合もある。また、白線はレーンを区切るためだけではなく、導流帯、文字、横断歩道等にも用いられている。更に、劣化判定の対象は白線のみならず、標識や看板等の地物も含めることができる。つまり、劣化判定の対象とする地物は様々な種別に分類することができる。そこで、地物の種類を示す地物種類情報を更に地物IDと紐付けておくこととし、地物の種類によって反射強度データを用いて劣化判定をする際の閾値を変更することとしてもよい。
【0068】
また、白線が破線である場合、白線がペイントされている部分毎に地物IDを設定して、白線がペイントされていない部分については地物IDを設定せずに劣化判定の対象から除外することとしてもよい。なお、導流帯、文字、横断歩道等は、白線の向きが車両の進行方向と平行でない場合もあるので、白線の種類毎に白線予測範囲の設定方法を定めておき(例えば、白線予測範囲の四隅の点の位置情報を地図データに記述しておき、車載装置200の制御部201はそれに基づいて白線予測範囲を設定する)、劣化判定の対象となる白線の種類に応じて白線予測範囲を設定することとしてもよい。
【0069】
[5.2.第2変形例]
上記実施例では、車載端末200の制御部201は定期的に反射強度データDをサーバ装置100に送信することとしたが、これに加えて、制御部201は車載端末200(自車両)が所定のエリア(例えば、サーバ装置100から指定された測定エリア)内で測定した反射強度データDのみを送信するという条件を加えることとしてもよい。これにより、例えば、サーバ装置100が白線の劣化判定を行う必要のあるエリアを測定エリアとして指定することにより、白線の劣化判定を行う必要のないエリアで測定された反射強度データDを受信しなくてすむ。これにより、車載端末200とサーバ装置100間の通信データ量の削減や、反射強度データDを記憶するサーバ装置100の記憶部102の記憶容量の節約、劣化判定に係る処理負荷の軽減を実現することができる。
【0070】
また、サーバ装置100の制御部101は、記憶部102に反射強度データDとともに記憶させた位置情報を参照して、指定されたエリア(例えば、オペレータ等により指定された、白線の劣化判定を行う必要のあるエリア)で測定された反射強度データに基づいて、劣化している白線を特定することとしてもよい。これにより、劣化判定を行う必要のあるエリアを指定することにより、当該エリア内の白線についてのみ劣化判定を行うことができ、劣化判定を行う必要のないエリアについて劣化判定を行う場合よりも処理負担を軽減できる。
【0071】
[5.3.第3変形例]
上記実施例では、Lidar205が車両のルーフ部分等に取り付けられ、一定の角度で下向きに車両の周囲に円を描くように一本の赤外線レーザー光Lを照射することとしたが、例えば、
図9(A)に示すように、Lidar205が車両の周囲に円を描くように複数本(
図9(A)では5本)の赤外線レーザー光Lをそれぞれ下向き方向の照射角度を異ならせて照射することとしてもよい。これにより、
図9(B)に示すように、一度に、車両の進行方向に沿って反射強度データDを測定することができる。また、上記実施例のように、一本の赤外線レーザー光Lを照射して反射強度データDを測定するということを車両Vが所定の距離移動する度に行い、それらを組み合わせることにより、
図9で示した例と同様に、車両の進行方向に沿って反射強度データDを得ることができる。
【0072】
また、第1変形例でも説明したが、
図10(A)に示すように、白線が破線である場合に、白線がペイントされていない部分は、白線の劣化がそもそも発生しないことから劣化判定の対象から外すことが好ましい。そこで、サーバ装置100の制御部101は、上述したように車両Vの進行方向に沿って測定された反射強度データDに基づいて、白線がペイントされている部分(ペイントエリア)を有効エリア、白線がペイントされていない部分(非ペイントエリア)を無効エリアとして切り分け、有効エリアに対応する反射強度のみに基づいて劣化判定を行うこととしてもよい。具体的には、
図10(A)、(B)に示すように、破線の白線について車両Vの進行方向に沿って測定された反射強度データDの示す反射強度は、大別して、ペイントエリアで高い値となり、非ペイントエリアで低い値となることから、閾値を設定して、反射強度が閾値以上であれば有効エリア、それ以外は無効エリアとして切り分ける。これにより、第1変形例で説明したように、破線である白線のペイントエリア毎に地物IDを設定することなく、実線である白線と同様に所定の距離毎に地物IDを設定することができ、且つ、非ペイントエリアについて劣化判定を行わないようにすることができる。なお、このペイントエリア(有効エリア)と非ペイントエリア(無効エリア)を切り分ける手法は、破線の白線以外にも、ペイントエリアと非ペイントエリアで構成される導流帯、文字、横断歩道等の劣化判定に採用してもよい。
【0073】
[5.4.第4変形例]
上記実施例では、予め白線予測範囲を算出して、そこに含まれる反射強度データDは、白線で反射した光によるものとして処理を行っている。すなわち、車載端末200がサーバ装置100に送信する抽出後反射強度データDは、白線での反射強度を示すデータであることが保証されていた。第4変形例では、車載端末200は、Lidar205から受信した抽出前反射強度データDを、測定位置情報及び測定日時情報と対応付けてサーバ装置100に送信することとする。そして、サーバ装置100の制御部101は、当該抽出前反射強度データDの示す反射強度の分布と、車両が走行するレーンを区切る白線の位置関係から白線による反射に基づく反射強度を特定し、当該特定した反射強度に基づいて、劣化判定を行うこととする。そして、劣化判定により地物が劣化していると判定した場合には、反射強度データDと対応する測定位置情報と、Lidar205がレーザー光Lを照射する照射角度を示す情報との組み合わせにより、劣化している白線の位置を特定することとしてもよい。これにより、Lidar205が測定した抽出前反射強度データDから、白線の劣化判定に用いる部分を抽出する処理、白線の地図位置の取得処理に掛かる車載端末200の処理負担を軽減することができる。また、第4変形例では、記憶部202に記憶されている地図データに白線の位置情報を持たせなくても、サーバ装置100において白線の劣化判定を行うことが可能となる。
【0074】
[5.5.第5変形例]
送信データ500の劣化情報532に、抽出後反射強度データD及び照射強度データに代えて、反射率(照射強度データに対する抽出後反射強度データDの割合)を格納することとしてもよい。この場合、取得日時531には、反射率の基となる抽出後反射強度データDを測定した日時を格納する。サーバ100の制御部101は、車載端末200から受信した抽出後反射強度データD及び照射強度データ、又は、反射率(以下、「抽出後反射強度データD及び照射強度データ、又は、反射率」をまとめて「反射強度データD等」という場合がある)に基づいて、地物の劣化レベル(例えば、10段階のレベル)や劣化種別(例えば、塗料の部分剥離、塗料のかすれ、汚れ付着)を判定することとしてもよい。このとき、制御部101は、カメラ207が撮影した撮影画像を車載端末200から受信して、当該撮影画像、又は、反射強度データD等の少なくとも何れか一方に基づいて、地物の劣化レベルや劣化種別を判定することとしてもよい。例えば、制御部101は反射強度データD等を統計処理して判定したり、撮影画像を解析して判定したり、両者を組み合わせて判定したりしてもよい。なお、車載端末200から撮影画像を受信する場合、例えば、送信データ500の劣化情報532に撮影画像を含ませたり、別途、撮影画像用の領域を設けたりしてもよく、このような場合、取得日時531には、撮影画像の撮影日時が格納されるとともに、使用センサ種別534にはカメラ207を示す情報が格納される。そして、制御部101は、判定した地物の劣化レベルや劣化種別を地図データに反映することとする。次に、
図11を用いて記憶部102に記憶される地図データのデータ構造(特に地物である白線(「区画線」という場合がある)に関する劣化情報を保持する地図データのデータ構造)について説明する。
【0075】
図11に示すように、地図データ600は、地物ID(区画線ID)601、位置602、線幅603、所属リンク604、線の種別605、劣化情報取得日(時)606、劣化情報607及び劣化種別608を含む。地図データ600は、サーバ装置100、車載端末200又は他の情報処理装置が、位置602により特定される地物が劣化しているかどうかを劣化情報607に基づいて判定する処理に用いられる。地物ID(区画線ID)601には、区画線を識別するIDが格納され、サーバ装置100や車載端末200が地物(区画線)を特定する際に用いられる。位置602には、区画線の位置を示す緯度・経度情報が格納される。なお、区画線の中央を通る長手方向の線を構成する複数の点のそれぞれについて位置を示す緯度・経度情報を格納することとしてもよい。線幅603には、区画線の短手方向の長さ情報が格納される。線の種別605には、区画線の種別(破線、実線など)を示す情報が格納される。
【0076】
劣化情報取得日(時)606には、劣化情報607に格納される劣化レベルを取得(判定)した日付が格納される。劣化情報607には、区画線の劣化レベルが格納される。劣化種別608には、劣化の種別を示す情報が格納される。劣化情報取得日(時)606については、劣化レベルを判定した日付に代えて、劣化レベルの判定に用いた反射強度データD等の測定日時又はこれから求まる日付又は日時(劣化レベルの判定を、一定の期間に測定された反射強度データD等に基づいて行った場合には、当該一定の期間を代表する日付又は日時)を格納してもよい。例えば、一日に大量の反射強度データD等を受信している場合などは、ステップS212の所定期間を処理日の前日などの一日にしてもよく、その場合、その日付(処理日の前日の日付)を格納する。また、所定期間を○年○月○日の午前10時~午前11時などにしてもよく、その場合、劣化情報取得日(時)606に○年○月○日の午前10時(又は午前11時)を格納することとしてもよい。なお、地図データ600のデータ構造の例として上記のものを示したが、対象が白線の場合には、上記以外にもさらに、再帰性反射材が塗布されているか否かや、降雨時に水溜りになりやすいか否か、などを示す情報を追加しても良い。
【0077】
制御部101は、同一の地物について劣化レベル及び劣化種別を判定する度に、当該地物を特定する地物ID601又は位置602と対応付けて、劣化レベル及び劣化種別を判定した日時を示す情報を格納した劣化情報取得日(時)606と、劣化レベルを格納した劣化情報607と、劣化種別を示す情報を格納した劣化種別608と、を履歴情報として地図データ600に保持してもよい。履歴情報は、地物の劣化の進行状況を予測するために利用することができる。また、地物の劣化が地物の修復無しに回復した場合には、劣化種別が汚れ付着であったと判定することもできる。
【0078】
[5.6.第6変形例]
第5変形例では、サーバ装置100の制御部101が車載端末200から受信した反射強度データD等や撮影画像に基づいて、地物の劣化レベルや劣化種別を判定することとしたが、車載端末200の制御部201が反射強度データD等に基づいて、地物の劣化レベルや劣化種別を判定し、判定結果を送信データ500に含めてサーバ装置100に送信することとしてもよい。そして、第6変形例における送信データ500においては、取得日時531に劣化レベルを判定した日時を格納する(または、劣化レベルの判定に用いた反射強度データD等の測定時期を特定する日付又は日時を格納してもよい)。また、劣化情報532に制御部201が判定した劣化レベルを格納することとする(但し、この場合も反射強度データD等を送信データ500に含めることが好ましい)。更に、
図12に示すように、送信データ500の特有情報部530に劣化種別535を設け、劣化種別を示す情報を格納する。更に、天候情報533には、劣化レベルの判定に用いた反射強度データDを測定した際の天候又は路面状態を特定する情報を格納してもよい。更に、Lidar205が測定した反射強度データD等とカメラ207が撮影した撮影画像の双方に基づいて地物の劣化レベルや劣化種別を判定した場合には、送信データ500の使用センサ種別534にLidar205及びカメラ207を示す情報を格納する。なお、車載端末200は、その他のセンサで測定したデータに基づいて地物の劣化レベルや劣化種別を判定した場合には、送信データ500の使用センサ種別534に当該その他のセンサを示す情報を格納する。
【0079】
一方、サーバ装置100の制御部101は、送信データ500の取得日時531に格納された情報を、地図データ600の劣化情報取得日(時)606に格納する。また、制御部101は、送信データ500の劣化情報532に格納された劣化レベルを、地図データ600の劣化情報607に格納する。更に、制御部101は、送信データ500の劣化種別535に格納された情報を、地図データ600の劣化種別608に格納する。なお、制御部101は、同一の地物ID(区画線ID)を含む送信データ500を受信する度に、当該地物IDと対応付けて、取得日時531に格納された情報を格納した劣化情報取得日(時)606、劣化情報532に格納された劣化レベルを格納した劣化情報607及び劣化種別535に格納された情報を格納した劣化種別608を履歴情報として地図データ600に保持してもよい。履歴情報は、地物の劣化の進行状況を予測するために利用することができる。また、地物の劣化が地物の修復無しに回復した場合には、劣化種別が汚れ付着であったと判定することもできる。
【0080】
[5.7.第7変形例]
第7変形例は第5変形例の変形例である。第7変形例における地図データ600の劣化情報607には、送信データ500の劣化情報532に格納された反射強度データD等を格納することとしてもよい。すなわち、サーバ装置100の制御部101は、劣化レベル及び劣化種別を判定せずに、車両端末200から受信した送信データ500における劣化情報532に格納された反射強度データD等を格納するとともに、送信データ500の取得日時531に格納された測定日時を地図データ600の劣化情報取得日(時)606に格納することとしてもよい。また、この場合も、同一の地物ID(区画線ID)を含む送信データ500を受信する度に、当該地物IDと対応付けて、取得日時531に格納された情報を格納した劣化情報取得日(時)606、劣化情報532に格納された反射強度データD等を格納した劣化情報607を履歴情報として地図データ600に保持してもよい。履歴情報は、地物の劣化の進行状況を予測するために利用することができる。また、地物の劣化が地物の修復無しに回復した場合には、劣化種別が汚れ付着であったと判定することもできる。